旅行写真02
1997年 1月
スイスアルプス
午前八時にバスに乗り込んだころは小雨が降っていた。今日だけは晴れて欲しかったが、天候はままにならない。
「アルプスは六日に一度しか晴れませんから、たいていこうなんですよ。」
とガイドさんが言い訳するが、皆の顔付きはやはり相当がっかりしていた。
十五分たらずで登山電車の駅ラウターブルンネン(796m)に到着する。
雨は止んでいたが空は一面灰色で山の輪郭などはとんと見当たらなかった。
それでも予定に従って九時発の電車に乗り込み、勾配を電車が登っていく。
十分ほどすると、空の様子が少し変わってきた。灰色一色だったのが、雲が形を成してきて、
やがて奇蹟が起こった。雲が切れて薄日が射してきたのだ。
ほんのちょっぴり青空さえ覗いて見える。あっちこっちから歓声があがった。
アルプスの峯々が姿を現わし始めたのだ。
一時間ほどで乗換え駅クライネシャイデック(2061m)に着いたころには、
もう辺りの雪に日差しが照り返し、「晴れている」と言っていい状態だった。そして・・・
メンヒ、アイガー、ユンクラフを始め自然の驚異が我々をぐるりと囲っていた。皆の顔は悦びと感動で輝いている。
「アルプスの少女ハイジ」に出てくるのとそっくりの大きな犬が人気を集め、記念写真を撮りたがった。
「ハイジ」に出てくるのとそっくりの大きな犬がいる
再び電車に乗り、クライネシャイデックに戻ってきたのは十二時四十分。
そこの賑やかな大食堂でスープとソーセージの昼食をとる。
あたりに、くちばしの黄色い小がらすが何羽も遊んでいる。
店のガラス窓にも絵になっているのでなじみの鳥なのだろう。外へ出たところで、イワヒバリとそっくりな鳥を見つけた。
十五時過ぎに麓のインターラーケンにたどり着く。
素晴しく晴れている。広い芝生の向こうに、三百六十度のアルプスの峰々が白く輝いて連なっている。
十六時。信じられないほど澄みきった青空の下をバスはジュネーブへと向かう。
アルプスの麓、インターラーケン