2003年(1/7〜1/26)
不安な日々

1月7日 (測定無し)口からミルクを飲みはじめる!

産まれて初めて10ccだけ口からミルクを飲む。最初のひとくちは、びっくりしてたそうだ。見たかったな〜。様子を見ながら少しずつ量を増やしていくそうだ。
少しうんちが白っぽかったのが気になる。


1月8日 2035g 検査結果の説明を受ける

胆汁の便への混ざりが悪く、白い便が出ている。黄疸もあり、胆道が詰まっている可能性があるとのこと。明日、造影剤を用いて再度CT検査の予定。

エコー検査のため8時、ミルク抜き。頭部の検査は異常なしとのこと


1月9日 2058g 小児外科医と小児科担当医より説明

樹:ここ数日灰白色便が出ている。黄疸も良くならない。
この時点でのカンファレンスの内容は、辛いものだった。

「胆道閉鎖症」「胆道拡張症」のいずれかの可能性があるらしい。前者だった場合には、一刻を争うので、さ来週まで現在の状況(灰白色便、黄疸)が続いていれば、閉鎖症と判断し、手術するとのこと。パパの肝臓の一部を移植する「生体肝移植手術」だそうだ。

ハイリスクな手術であることを淡々と厳しい言葉で説明していく外科の先生。何度も「死亡の可能性」という言葉が出てくる。同席していた担当看護士さんの目に涙。頭が真っ白になりそうだった。目を見開き、冷静に先生の話を聞こうと努めた。隣にいるパパの顔を見ることが出来ず、目の前の、難しい言葉の並んだホワイトボードだけを見ていた。

カンファレンスの後、樹の顔を見る。よく寝ていた。見ていると泣いてしまいそうだったので、逃げるようにしてGCUを出た。

帰りの車中、二人とも言葉が出なかった。パパは何度も何度も小さく独り言のように「よし!」「よし!」と繰り返している。自分自身に「樹はきっと大丈夫」と言い聞かせているのだろう。

白い便さえ出なくなれば、ハイリスクな移植手術の可能性も無くなるはずだ。この日から、面会に行くのが楽しみでもあり、恐怖にもなった。

(この辺りの表現は悩みましたが、当時の私達の気持ちをそのままに、医師の言葉や感じたことをあえてそのままに書かせていただきました。)


1月10日 2078g 昼間のみ、ミルクを全量口から飲む。

造影、胆汁の検査、腹部CT、胃液採取。今日は慌ただしい一日だったようだ。

うんちは黄色。胆汁が流れている証拠だ。(ほら、やっぱり大丈夫だよ。)心の中で呟いた。

今日から昼間だけ、口からミルクを(全量)飲ませているらしい。看護士さんが飲ませている様子を見せてくれた。飲んでるけど、口からこぼれる量も多い。ゲップはじょうずに出来た。

呼吸や脈などを見ながら飲ませるので、ママがミルクをあげるのはまだ先。早くミルクあげたいな。


1月11日 2155g

うんちは濃い黄色。今日もミルク飲みを見学。45ml。昨日よりこぼす量も少なく、上手に飲めた。
連休明けの14日に検査の日程が決まった。


1月12日 2185g

うんちは黄〜緑色。ということは、胆道閉鎖症の可能性は無くなったのかな?医師からの説明が聞けてなくて詳しいことはまだわからない。

ミルクを飲むのが上手くなってきたようだ。口から飲むようになり、体重も大きく増えるようになってきた。顔も少しふっくらしてきた。


1月13日 (測定無し)

うんちは黄色。口から飲みはじめて、おなかが空くと泣いて伝えるようになったようだ。泣き方も元気。

まだおなかいっぱいには飲ませてもらえない。時間も決まった時間。こんな時、ママに出来るのはニップルをくわえさせることくらい。(おなかが空いた状態でママがだっこすると、母乳の匂いでおっぱいを探すので、かわいそうなのだ。)早くおなかいっぱいに飲ませてあげたい。

おなかが空いた樹はニップルをくわえ、パパがだっこして落着いた。



1月14日 2230g 白っぽい便が出た

白い便。オムツを開いた瞬間、息が止まりそうになった。パパは目をそらし、黙り込んでしまった。私は樹に話しかけながら、いつもの通りにオムツ替えを済ませる。
一度は黄色便が出ているのだから閉鎖ではないはずだ。そう頭で理解はしていても、何かしらの問題があることは間違いないのだろうと覚悟した。

小児科担当医に話を聞くことが出来た。先生の見解は、胆道閉鎖ではなく、胆道の入口付近でなにか詰まりかけてる。石のようなものがあるのではないかとのこと。明日MR検査をするらしい。(検査のためミルクなし)

パパは昨日まで順調だったのがここに来て白い便が出て、ショックを隠しきれない。先生の説明も頭に入ってこないようだ。私はパパを元気づけながら、自分自身にも(大丈夫!)と言い聞かせていた。


1月15日 2200g MR検査の日 パパ、再度ストレス性腸炎で面会自粛

白い便が出たり、黄色の便が出たりしているようだ。14:30末梢確保、15:00鎮静剤、15:30MR検査。
面会時、眠くなる薬を使ったため、起こすと機嫌が悪い。

パパは再度ストレス性腸炎による下痢のため、面会を自粛。


1月16日 2232g MR検査結果

樹:まだ白い便が出ている。嘔吐が続いている。13:00、EDチューブを2cm深める。(=鼻〜胃までのチューブの先端を、十二指腸まで伸ばした。)ミルク55cc×8回に。

検査の結果「胆道閉鎖症」はほぼ否定され、移植手術の可能性は消えた。胆道と小腸の境目あたりに「どろだんご状」の固まり(胆泥)があり、胆汁の流れを妨げているとの所見。自然に取れてくれればそれが最良。しかしまだ「胆道拡張症」の疑いは残るので、手術の可能性はゼロではないらしい。

パパはまだ面会自粛。窓越し面会。


1月17日 2250g 私の両親が樹とはじめての面会。

樹:黄色いうんちにひと安心。23:00内服薬を経口にて上手に飲む。

パパ面会自粛中。実家から来た私の両親と3人で窓越し面会。初孫だが、抱かせてやれるのはいつになるのか今は見当もつかない。


1月18日 2310g

樹:白い便、黄色い便が交互に出ている。55ccのミルクをゴクゴク飲んだ。まるでじいじとばあばに「元気だよ!」って言ってるみたい。

窓の近くまで樹を連れていき、初孫の顔を見せる。樹はいろんな表情をしてくれた。


1月19日 2315g 両親、帰宅。

両親はお昼の便で帰った。

樹:白い便。

面会に行くとおなかが空いて大泣きしていた。パパは外(窓越し)なので、ママがだっこする。少し泣き止むが、おっぱいを探している様子。飲ませてやりたいが、ニップルをくわえさせることしか出来ない。夢中でニップルに吸い付く樹を見てると切なくなった。


1月20日 2360g ママ、初めて樹にミルクを飲ませる

産まれて明日で2ケ月。今日からママがミルクを与えても良いことになった。パンフレットをいただき、それを見ながら、飲ませ方のコツや注意することなどのお話を聞く。モニター(血中酸素濃度)の数値、唇の色などを見ながら与える。緊張する。

ミルクの量は55ml。ゴクゴクと良い飲みっぷり。げっぷも上手に出た。


1月21日 2385g 2ケ月、おめでとう!

樹:黄色の便。調子はよさそうに見える。パパ:面会自粛で、引き続き窓越しの面会。

今日もママが面会時にミルクを飲ませる。パパがいないので、写真がほとんど撮れない。


1月22日 2390g 鼻のチューブが外された!

樹:ようやく鼻のチューブが抜けた!管も何もついていない樹の顔を、初めて見た。

抜去は昨日、面会後だったらしい。あとは胆泥が流れ落ちてくれさえすれば、いつでも退院(通院に切替え)できるとのこと。便に胆泥の黒い固まりがないか、毎回チェックしているようだ。流れ落ちてなくなってくれたらいいのに。

パパ:窓越しの面会。


1月24日 2445g

来週からNICUの拡張工事のため、一時的にNICUの子達がGCUに移ってくるが、すべての子がGCUには入りきれないため、「急変の心配がほぼなく比較的、症状の安定した子が小児科病棟へ移動させられることになり、樹も移動することになった。

NICU・GCU共に清潔区域(中で手術も出来るほど)だが、一般病棟となると外と同じ。インフルエンザが流行っている中、一般病棟への移動は正直言って恐い。先生は「退院(通院)でも良いが‥薦められない。」と言うし…仕方ないのかな。不安。

樹:黄色い便。パパ:窓越しの面会。


1月25日 2450g

樹:緑色の便。ミルクが60mlに増えた。

ママ:移動先の小児病棟を見学。パパ:窓越し面会。小児病棟にも入れず。


1月26日 誕生から2ケ月5日目、初の沐浴と直接授乳

小児病棟では親が沐浴させても良いそうなので、沐浴の練習をすることになった。はじめての沐浴。ミルク前だったので、泣いて動くので、落とさないかとヒヤヒヤ。

直接授乳のお許しが出た。誕生から2ケ月5日目にして、やっと念願の直接授乳!上手に吸い付き、50cc飲めた。初めてにしては上出来の量だそうだ。一生懸命に吸う樹の顔を見て、母乳が止まらないで良かったと思った。

パパは窓越しだったので、初沐浴が見られず、すごく残念そうだった。


今日でGCUは卒業。明日からは一般小児病棟。新しい環境に樹が早く慣れてくれると良いが…。


何はともあれ…
NICU・GCU、卒業おめでとう!