3.軸組工法での断熱

 軸組工法(いわゆる在来工法のこと)では、構造的に壁が優先されており、床、天井がそれに配置されている。このため、壁内の断熱材中の空気は、熱伝導により対流をおこし、特に上部に移動し、天井部分で遮断されていないため天井裏に移動し、さらに屋根裏に滞留する。これにより、断熱効果が半減し、屋根裏からの温度変化による結露をおこし、天井裏や壁を伝わって基礎部分まで腐食の原因となっている。  

  一方、プラットフォーム工法(枠組壁工法、俗に2×4工法)では常に床が最優先に施工され、その上に壁がつくので、壁の中の空気は対流により壁より外に出ることはない。壁内に断熱材を充填すれば、断熱効果が得られる。

 軸組み工法やプラットホーム工法でもそうであるが、これだけでは、湿気に弱いので、手を抜かず、防水シートで室内側の壁面・天井を覆い、壁内に湿気が浸透しないようにし、また、室外側では、壁内の湿気が抜けるように透湿性、外部からの雨等の防水を兼ねたシートを施工し、外壁との間に通気スペースを空ける必要がある。鉱物質のグラスウール以外に自然系のファイバーを利用したものもあり、これは、防水シートが必要ない。つまり、湿気を含んでも、乾燥時には、また抜気できるので湿気が抜けるのである。地球の環境にも優しい天然の繊維での断熱材を利用すればかなりの効果は期待できる。これから、有望視される断熱材に一つである。(何も軸組にこだわったことではなかったが、)


 このように、プラットフォーム工法では、断熱の点では遙かに軸組工法より有利であり、諸外国がオイルショック以後のエネルギーコスト削減に向けて省エネ住宅の実施に実績を上げてきたのである。軸組工法を主体とした日本では、断熱材を以前の倍以上いれているにもかかわらず、筋交い等の部分での断熱処理が完全にできていないため等によるのか、効果があがらなかったのは、こうした工法の違いも大きな原因の一つである。


  不利な点
    ・柱梁のくみあわせであるので、 筋交い等の箇所での断熱材の処理が難しい
    ・壁が連続しており、天井、床で隔壁されていない。(壁内対流)
    

  最近では、これらの対策を講じた軸組み工法採用の施工者が大部分と聞くので、今までの様なことは無いのではとも思うが、構造的な欠点ではあるので、壁、床、天井の接合部分での断熱性・気密性が確保できる構造にする注意が必要である。