計画換気とは、室内空気の汚れに対する許容値を最も経済的に維持管理するための換気量と換気方法を考える。
すきま風の多い家では、家の中の空気の流れは、すきま風まかせとなり、いくら換気ファンを回しても、換気の経路が造れない。快適な換気による空気の流速は1cm/秒弱であるから、毎時0,5回位投入された新鮮な空気が排出されることになる。つまり、2時間かけて、家の中の空気が新鮮な空気に入れ替わることになる。
換気の方向と、すきま風の方向が異なってしまうと逆流してしまう。このため、すきま風の程度として、気密度というものがある。理想的には、1cm2/m2以下の隙間面積となることが必要であるが、現在の運用では、2cm2/m2から5cm2/m2の値を採用している。
また、この気密度の試験があるが、実施しているのは、一部の限られたハウスメーカーだけのようだ。今後はぜひ、この機密度の試験をしてみたい。
私は、今までのすきま風だらけの家の生活からして、今度計画する家は2cm2以下を目標としたい。
今の住宅メーカーのカタログで公表している値をみると、気密性のよいメーカーでは、1〜2cm2を達成している。(プラットフォーム工法採用のメーカーが多いが)
ただ、雑誌等で読むと、プラットフォーム工法では、2cm2/m2位は相当手を抜かなければ達成可能な数値であるそうだが。
室内をやや負圧にしておかないと、すきま風を考えた時、空気の流れは、換気装置の方に向かない。つまり、吸気量よりも若干排気量を増やすということである。(負圧ということ)
このためにも、上記の気密性が問題となるのである。住宅の水準を高めるためには、この気密度を高めることも必要と思う。
3.気密性の問題点
気密性は、今の住宅では、工法や断熱材の施工で、必然的に達成されてきている。我々は今までそんなに気密性の高い住宅に住んではいなかった。風がふけば、どこからとなくすきま風が入り、窓にはすきま風防止のシールを貼ったりしてきた。だから、家の中で、炭や練炭でも一酸化炭素中毒にならずに生活できた。すきま風が自然換気であった。(練炭は私も危ない思いがあるので、必ずしもいいものとは言えないが)
石油ストーブの時代でも、これが効いていた。かなりの二酸化炭素と一酸化炭素その他の排気ガスを生活上吸っていたのである。安価で手軽なエネルギーとして普及していった。特に最近のファンヒーターはその最たるものである。ただ、技術的に燃焼効率の向上といやな燃焼の臭いを押さえているので、あたかも安全でクリアーな様に感じてはいるのだが。
しかしながら、コストや利便性の問題だけでなく、我々の健康上のことを考慮すると、排気ガスの中で生活しているようなものではないだろうか。道路の中に居る以上かもしれない。さらに、灯油は燃焼時にかなりの水蒸気を発生する。(都市ガスもそうであるが、プロパンガスはさらに発生量が多いと言われている)気密性が上がると、これらの水蒸気は特に問題になってくる。
気密性が上がると、自然換気では、室内の空気が入れ替わらない。そこに、冬等の暖房器具の排気ガスが健康を害し、水蒸気を発生させ、多分これが、湿気を家のなかに浸透させ、結露等の原因の一つになっていると思われる。
4.気密性の高い住宅では、24時間の機械換気を前提としたい
確かに、機械換気は、費用がかかる。すきま風の時代では、必要なかったことであるので。しかし、すきま風の住宅では、暖かい室内は考えられなかった。相当強力は暖房を入れても、室外での廊下やトイレ等では身震いをした経験を持つ人は多いのではないか。だから、必然的に、機械換気に頼る必要がある。(家に帰って窓を開けても、家の空気が入れ替わるのは、自然換気では2時間近く掛かると言われているので、ちょっと窓を開けたくらいでは、だめである)
特に、冷暖房を必要としない時期には、極力窓を開けて、換気することを心がけるべきである。
私の家がそうであるように、昼間家に人がいない場合が多い時には、防犯上締め切っているので、夕方帰って玄関を開けたときのムッとする不快さは、ぜひ避けたかった。冷房が利いているわけではないのであるが、実家に帰ったときに感じる、蔵に入ったときの冷え冷えとしたあの感じが、断熱と換気で得られればと思っている。
そして、ファンヒーター等の直接燃焼式の暖房はさけて、FFの暖房器具、電気やお湯等での暖房に切り替える必要がある。その結果、排気ガスの問題と発生する水蒸気の問題を解決できるのである。さらに、機械換気にフィルターをつけると、花粉や有害な室内のフォルマリン、ダニ等を除去できることもある。
つまり、機械換気を完全に行うには、絶対に気密性が必要で、途中からの隙間風があっては、排気がショートカットされてしまう。当然給排気の量を調節したファンの回転のコントロールが必要である。さらに、冷暖房の必要ない時期では、窓をあけて、2方向への給排気の確保もしたい。台所の換気扇についても、完全密閉型で、給排気型を使用することを勧める。風で蓋がガタガタ鳴るようでは、完全な気密性は保てない。
省エネと言うことで、熱交換による給排気のファンが採用されている。確かに、理屈は理想である。ただ、湿気の多い空気を熱交換することについて、ちょっと問題もある。熱交換のフィルターの問題もあるので、まめな交換が出来ないのであれば、よく検討したほうがよい。