3.住民への説明

 一概に区画整理事業と言っても、当時、一般住民はもちろんのこと商店の人達でさえ、その考え方や手法については全く知識がなかった。従って、住民の理解と協力を得るための説明会は仲々大変であり、説明の任に当った市の担当者はだいぶ苦労をした。依田市長自ら説明会に出席して説得に当ったこともしばしばであった。

 これ等の、説明会で問題になったのは
1)この事業は商店街を近代化するための事業ではないのか。
2) 換地に当たって商店街が優先され、一般住民は不利な換地をされるの
  ではないか。
3)減歩率が高すぎる。
・・・等々であった。

(1)(2)については、決して商店街を近代化するためのものではなく、あくまでも地域住民の生活環境を良くするためのものであるので商店街有利の換地は行わない。ただし、商店会では商店街近代化事業を計画しているので、可能な限り協力はしてやって欲しいとロ添えをした。
(3)については
(イ)当時、佐久市に設置された土地開発公社(理事長依田市長)によって、当地区内の土地13,496u(4,082坪)を3億5,800万円余(減価補償金)で買収する。
(ロ)中込用水の水路を新しい道路敷の下に通す。
 これにより、減歩率19.17%を平均減歩率で14.7%までに引き下げる。

以上のような措置を取ることによって住民の要望に応えた。
しかし、昭和51年7月に、いよいよ権利者一人ひとりについての換地先が発表(仮縦覧)されると、これは換地予定であるとは言いながら、自分の移転先、面積、形状・隣接者などが示されたのだから関係者の関心は一気に高まった。
これにより、商店街有利の換地ではなく公平な換地であるということは理解されたが、一旦発表されると既得権意識が強く働いてしまい、喜ぶ人、ガッカリする人、怒る人、反応はさまざまであった。
 市ではこの発表説明会で後日隣接者あるいは周辺権利者の意向で位置、形状、面積等について若干の変動が有り得ることを説明して理解を求めた。
大方の権利者は多少の不満や不平はあったものの最終的には了解をしたが、中には訴訟(行政不服審査請求)を提起した人もいた.また強制執行(直接施行)寸前まで持ち込んだ人もいたほどで、いかに換地というものが難しいものであるかを痛感させられた。


      仮換地(暫定換地)説明会


仮換地(暫定換地)説明会      


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