4.計画年度の変更

 前述のとおり区画整理事業の実施計画は事業費確保の遅れと、物価高騰による事業費の増大などの関係から、昭和54年に区画整理事業実施計画の大巾な見直しを行なった。このため、商店街近代化事業も実施計画年度の変更を余儀なくされることとなった。
 当初、区画整理事業の実施年度(工事期間)が51年度から55年度までであったため近代化事業の実施年度は51年度から54年度までの4年間という計画であった。ところが、区画整理事業の工事期間が51年度から62年度までと大巾に延長されたため、近代化事業も51年度から58年度までと4年間延長することになった。しかし、この近代化事業の4年間延長ということは、必ずしも区画整理事業の計画変更だけの理由ではなく、組合自体の権利調整が難行していたという理由も含まれていた。
 この年度変更についての事務処理も大変であった。今までの近代化計画は、すべて4年間で完結するという計画の基に実施計画書が作られ、国や県との協議ができていた。それを8年間の計画に練り直し、改めて国や県の承認を取り直さなければならない。
 国(中小企業事業団)では、4年間の高度化資金貸付け枠を確保していた。それを計画年度の後半になって急に「さらに4年間延長して欲しい」というのだから、国では、この近代化事業に対して危惧の念を持ったらしい。この計画変更を承認するに当って、「一筆誓約書の提出を」ということになり、組合では中小企業庁長官に対し次のような誓約書を提出してようやく承認を得た。
 「この商店街近代化事業が昭和58年度までに完結しない場合は、高度化資金が借りられなくとも、事業を完結させる」という内容であった。
 これは、絶対絶命の至上命令に等しいものである。もし、58年度までに完結できない場合は、組合員の中に高度化資金を借りられない人が出てしまうということになる。同じ組合員でありながら、このようなことは許される筈がない。
 従って、この1枚の誓約書は「どんな苦労や困難があっても、計画年度内には完結させなければならない」という意識を強く持たせることにつながった。さいわい区画整理事業の方も、このことを十分理解してくれ、組合も努力した結果、最悪の事態は避けることができた。


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