【懐かしい歌へ】

文部省唱歌

小学生時代…戦前…【心に浮かぶ懐かしい友】

【 01 】初めに       【 02 】一年生
【 03 】二年生       【 04 】三年生
【 05 】四年生       【 06 】五年生
【 07 】六年生       【 08 】○○○


【 05 】四年生
………………………………………………………………………………
     01 春の小川    08 動物園   15 牧場の朝  22 村の鍛冶屋
     02 かげろう    09 お手玉   16 水車    23 餅つき 
     03 いなかの四季  10 曽我兄弟  17 広瀬中佐  24 雪合戦 
     04 靖国神社    11 夢     18 たけがり  25 近江八景
     05 蚕       12 雲     19 山雀    26 何事も精神
     06 五月      13 漁船    20 霜     27 橘中佐 
     07 藤の花     14 夏の月   21 八幡太郎
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01  春の小川           02  かげろう

1 春の小川はさらさら流る     1 ゆらゆらゆら きらきらきら
  岸のスミレやレンゲの花に      春の日の 光を受けて
  匂いめでたく 色美しく       石のほとりに 橋の上に
  咲けよ咲けよと ささやく如く    燃ゆるかげろう
2 春の小川はさらさら流る       道行く人の袂にもつれ
  エビやメダカや小ブナの群れに    飛び交う蝶の羽風にゆれて
  今日も一日ひなたに出でて    2 ゆらゆらゆら きらきらきら
  遊べ遊べと ささやく如く      春の日ののどけさ見せて
3 春の小川はさらさら流る       草の葉末に 花の上に
  歌の上手よ 愛しき子ども      燃ゆるかげろう
  声をそろえて小川の歌を       崩れて立ちて 乱れてゆれて
  歌え歌えと ささやく如く      あるかと見れば はや影もなく

03  田舎の四季          04  靖国神社

1 道をはさんで畑一面に      1 花は桜木 人は武士
  麦は穂が出る 菜は花盛り       その桜木に囲まるる
  眠る蝶々 飛び立つ雲雀        世を靖国の御社よ
  吹くや春風 たもとも軽く      御国のために潔く
  あちらこちらに桑摘む乙女      花と散りにし人々の
  日増し日増しに春蚕も太る      魂はここにぞ鎮まれる
2 並ぶ菅笠 涼しい声で      2 命は軽く 義は重し
  歌いながらに植え行く早苗       その義を践みて大君に
  長い夏の日いつしか暮れて       命捧げし大丈夫よ
  植える手先に月影動く        銅の鳥居の奥深く
  帰える道々 後見返れば       神垣高く 祀られて
  葉末葉末に 夜露が光る       誉れは世々に残るなり

05  蚕              06  五月

1 風暖かき五月のはじめ      1 風わたる
  里の乙女が取るや羽箒        五月の空を見上ぐれば
   掃きおろしたる春の蚕       山を覆える椎の木の
   さながら黒き塵の如く       若葉青葉の陽に映えて
2 四度の眠りいつしか過ぎて      さわさわ揺らぐ潔よさ
  箸の太さは小指の太さ        さながら生きてあるように
   競い競いて桑はむ音      2 風かおる
   木の葉に雨のそそぐ如く      五月の浜に来てみれば
3 髪も結ばず夜さえ寝ねず       浜に咲いたるハマナスの
  心つくして一月余り         砂に這いつつ陽に照りて
   努めし甲斐の見えたる今日     ゆらゆら揺らぐ美しさ
   嬉しや 繭は山の如く       さながらものを言うように

07  藤の花            08  動物園

1 野山もかすむ春雨の       1 動物園ののどかな午後は
   晴れて なごりの         孔雀がすっかり得意になって
  「水嵩に車はげしや藤の花」     うち中いっぱい広げて見せる
  しぶきに濡れて 日に映ゆる     金ぴか模様の晴着の衣装
                  2 ライオンも虎も眠っているが
2 雲雀の声は夕空に          ラクダは呑気なとぼけた顔で
   消えて こなたの         煎餅食べてはけろりとしてる
  「藪畑や穂麦にとどく藤の花」    故郷の砂漠も忘れたように
  しずかに揺れて 日は暮るる   3 木登り上手ブランコ上手
                    お猿はいつでも愛嬌者よ
                    ガチョウの奏でるオーケストラに
                    よちよちダンスをあひるが踊る

09  お手玉            10  曽我兄弟

1 一・二・三・四・五つの扱い   1 富士の裾野の夜はふけて
  手先のはたらき           うたげのとよみ静まりぬ
  一つに受けてさらりと投げれば    屋形屋形の灯は消えて
  乱れて落ちては花模様花模様     あやめも分かぬさつきやみ
                  2 「来たれ 時致 今宵こそ
2 白・黒・赤・青・紫加えて      十八年のうらみをば」
  五つのお手玉            「いでや 兄上 今宵こそ
  あやに飛んだり千鳥にぬけたり    ただ一撃に 敵をば」
  飛び交い行き交う蝶の舞蝶の舞  3 共に松明ふりかざし
                    目指す屋形にうち入れば
3 上・下・縦・横、両手の早わざ    かたき工藤は酔い伏して
  みごとに受け止め          前後も知らぬ高いびき
  五つ五色 残らず揃えて     4 「起きよ 祐経 父の仇
  まずまず一貫貸しました貸しました  十郎 五郎 見参」と
                    枕を蹴っておどろかし
                    起きんとするを はたと斬る
                  5 仇は報いぬ 今はとて
                    「出合え出合え」と呼ばはれば
                    折しも小雨降りいでて
                    空にも名のるほととぎす

11  夢

1 金の自動車に飛び乗ると     2 銀の飛行機に飛び乗ると
  走るよ走るよ 何処までも      上がるよ上がるよ 何処までも
  大きな道をまっしぐら        重なる雲を突き抜けて
  とうとう崖からさかさまに      とうとう火星の世界へと
  落ちたと思えば 夢だった      ついたと思えば 夢だった

12  雲

1 朝日に燃ゆればもみの絹     3 遥けき山の端 遠き沖
  夕日に映ゆれば錦にて        しずかに休むと見る中に
  晴れたる空の白無垢は        大空わたり 海を越え
  雨降る前に墨染めの         あらしを起こし 雨を呼び
  変わるぞ不思議 雲の色       変わるぞ不思議 雲のわざ
2 時には連なる峰となり
  時には重なる波と見え
  あるいは獣 鳥のはね
  魚のうろこと種々に
  変わるぞ不思議 雲のさま

13  漁船

1 えんやらえんやら 艪拍子そろえて
  朝日の港を漕ぎ出す船
  見よ見よあの雲 今日こそ大漁
  それ漕げ それ漕げ おも舵とり舵

     2 ゆらりやゆらりと 波間に揺られて
       磯には網船 沖には釣り船
       見よ見よあれ見よ かかるは 捕れるは
       網にも糸にも 魚のかずかず

          3 えんやらえんやら 獲物に勇んで
            入り日の沖をば急いで漕ぐ船
            見よ見よ浜辺に 妻子が迎える
            それ漕げ 漕げよや 櫓拍子早めて

14  夏の月            15  牧場の朝

1 涼しい風に ゆらゆらと     1 ただ一面に立ち込めた
  波打つ広い稲田の上に        牧場の朝の霧の海
  いつの間に浮き出たか        ポプラ並木のうっすりと
  まんまるい夏の月          黒い底から 勇ましく
  きれいな顔して にこにこと     鐘が鳴る鳴る かんかんと
  空から私を眺めてる
2 涼しい風に ゆらゆらと     2 もう起きだした小屋小屋の
  ゆらゆら蚊帳の中から見れば     あたりに高い人の声
  いつの間に出て来たか        霧に包まれ あちこちに
  またここへ夏の月          動く羊の幾群れの
  嬉しい顔して にこにこと      鈴が鳴る鳴る りんりんと
  窓から私をのぞいてる
                  3 今さし昇る日の影に
                    夢から覚めた森の山
                    あかい光に染められた
                    遠い野末に 牧童の
                    笛が鳴る鳴る ぴいぴいと

16  水車

1 桃の花散る小川の水に      2 月の流れる小川の水に
  一つかかった水車          一つかかった水車
  のどかに照らす春の陽浴びて     汀の虫の鳴く音につれて
  こっとん こっとん 車は廻る    こっとん こっとん 車は廻る
  こっとん こっとん 車は廻る    こっとん こっとん 車は廻る

17  広瀬中佐           18  たけがり

1 轟く砲音 飛び来る弾丸     1 秋の日の 空澄み渡り
  荒波洗う デッキの上に       風暖かに さてもよき日や
  闇を貫く中佐の叫び         山遊び するによき日や
  「杉野は何処 杉野は居ずや」     友よ 来よ 手籠をもちて
2 船内隈なく尋ぬる三度         いざ 裏山に茸たずねん
  呼べど答えず 探せど見えず      山深く 行きてたずねん
  船は次第に波間に沈み      2 たどり行く 細道づたい
   敵弾いよいよ あたりに繁し    はや 香ばしき茸 匂えり
3 今はとボートに移れる中佐      山風に 茸 薫れり
  飛び来る弾丸に忽ち失せて       「うれし この松の根元に
  旅順港外 恨みぞ深き         まず見つけつ」と高く呼ぶ声
  軍神広瀬と その名残れど       山彦に 響く呼び声

                    いでや あの岩の小かげに
                    皆うち寄りて えもの数えん
                    茸狩の勲 くらべん

19  山雀

1 くるくる廻る 目が廻る     3 つけつけ鐘を 一・二・三
  蜻蛉返り 宙返り          お寺の鐘が 鳴る時は
  川瀬にかかる水車          お前も山が こいしかろ
  ぴいぴい山雀 ぴい山雀       ぴいぴい山雀 ぴい山雀
2 よいこら引いた 綱引いた
  もいちど引いた 綱引いた
  釣瓶の水を こぼすまい
  ぴいぴい山雀 ぴい山雀

20  霜              21  八幡太郎

1 笹の葉の 白きは霜の      1 駒のひづめも匂うまで
  光にて まだ夜は深し        「道もせに散る山桜かな」
  野辺の道 野辺の道          しばし眺めて「吹く風を
                     勿来の関と思えども」
2 有明の 消えにし影を        甲斐なき名やと ほほ笑みて
  松の葉に しばし残せる       緩く打たせし 優しさよ
  霜の色 霜の色         2 落ち行く敵を 呼び止めて
                    「衣のたては綻びにれり」
                     敵は見返り「年を経し
                     糸の乱れの苦しさに」
                    つけたることのめでたきに
                    賞でて赦しし 優しさよ

22  村の鍛冶屋          23  餅つき

1 しばしも止まずに槌打つ響    1 今日はうちでは餅つきじゃ
  飛び散る火の花 走る湯玉      ぺったんこ ぺったんこ
  ふいごの風さえ息をもつがず     お父さんがついてお母さんが手がえし
  仕事に精出す村の鍛冶屋       姉さんが手伝い うちじゅうぐるぐる
                    てんてこ舞いじゃ
2 主は名高き 一刻老爺        師走は短い そけつれ それつけ
  早起き早寝の 病知らず     2 今日は隣の餅つきじゃ
  鉄より堅しと 誇れる腕に      お爺さんがのしてお婆さんも手伝い
  勝りて堅きは 彼が心        おじさんおばさん鉢巻き たすきで
                    てんてこ舞いじゃ
                    お正月はめでたい それつけ それつけ

24  雪合戦            25  近江八景

1 晴れたる朝の雪の原       1 琵琶の形に 似たりとて
  東と西に立ち別れ          その名を負える 湖の
  用意 始めの声の下         鏡の如き 水の面
  手に手に飛ばす雪つぶて       飽かぬ眺めは 八つの景

2 当たりてひるむ卑怯者      2 まず渡り見ん 瀬田の橋 瀬田唐橋
  恐れず進む 剛の者         輝く入り日 美しや
  雪を蹴散らし 雪を浴び       粟津の松の 色映えて  粟津夕松
  互いに寄する 敵味方        霞まぬ空の のどけさよ

3 激戦 今と見るうちに      3 石山寺の 秋の月    石山秋月
  後ろに響く 休戦の         雲おさまりて 影清し
  ラッパと共に 西東         春より先に 咲く花は
  一度にドッと 鬨の声        比良の高嶺の 暮れの雪 比良暮雪

                  4 滋賀唐崎の 一つ松   唐崎夜雨
                    夜の雨にぞ 名を得たる
                    堅田の浦の 浮御堂   堅田落雁
                    落来る雁も 風情あり

                  5 三つ四つ五つ うち連れて
                    矢橋を指して 帰り行く 矢橋帰帆
                    白帆を送る 夕風に
                    声程近し 三井の鐘   三井晩鐘

26  何事も精神          27  橘中佐

1 軒よりおつる雨だれの      1 屍は積もりて 山を築き
  たえず 休まず打つ時は       血潮は流れて 河をなす
  石に穴をうがつなり         修羅の巷か 向陽寺
   我等は人と生まれ来て       雲間をもるる 月青し
   一たん心定めては
   事に動かず さそわれず    2 「味方は大方 撃たれたり
  はげみ進むに 何事の        暫く此処を」と 諫むれど
  など成らざらん 鉄石の       「恥を思えや 兵 よ
  堅きもついにとおすべし       死すべき時は 今なるぞ

2 小さき蟻も いそしめば     3 御国の為なり 陸軍の
  塔をもきずき 燕さえ        名誉の為ぞ」と 諭したる
  千里の波を渡るなり         言葉なかばに 散り果てし
   ましてや人と生まれ来て      花橘ぞ かぐはしき
   一たんめあて定めては
   わき目もふらず 怠らず
  ふるい進むに 何事か
  など成らざらん 盤石の
  重きもついに うつすべし
                                       



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