1. 区画整理事業
   (都市計画事業中込橋場土地区画整理事業)

1.計画までの経緯

 中込橋場地区は、国鉄小海線の中込駅前と国道141号線及び国道254線を中心に形成されていた。
 市街地中央部で両国道が不規則に交差しているうえ、道路は狭く、屈曲しており、しかも中心部を中込用水路が蛇行しながら流れていた。
 大正4年国鉄小海線(旧佐久鉄道)が開通したことにより急激に都市化が進んだが、曲がりくねった狭い道路沿いに自然発生的に料飲店、商店、住宅、事務所、倉庫などが混在密集した街という結果になってしまった。
 従って公共施設の整備は遅れ街全体が極めて劣悪の環境下に置かれることになり、佐久市の中心商店街と言われながら、逐年衰退傾向をたどりはじめていた。

 このままでは、急激に変化する社会情勢こ対応できなくなってしまい生活環境はますます悪くなる。都市機能を総合的に整備しなければ・・・という声が地域住民、特に商店会から強く出されてきた。
 中込商店会では商店街建設委員会(協同組合設立までの組織)を組織して、街づくりについての調査・研究を行なうとともに、佐久市当局の指導や佐久市商工会議所の助言などを得ながら、商店街診断、先進地視察などを行なった。
 その結果、岩村田や野沢が行なった用地買収方式による部分的な改造では総合的な街づくりにはならない。街ぐるみで土地区画整理事業を行ない、公共施設を整備し地域全体の生活環境を良くするとともに、商店街近代化事業を併せて実施することが最善の方法であるとの結論に達した。
 そこで、区域内の区長会を中心にした「中込地区都市計画推進委員会」(後に区画整理推進委員会)を組織して、この事業を側面から支援する体制をつくった。(区画整理委員会の項で詳述)
 この委員会は、地区内関係者の同意を得るため市に協力する一方、市議会に対し請願・陳情などを行ない区画整理事業による街づくりの堆進役をつとめた。昭和46年3月の市議会で請願が採択されたことにより、この事業は本格的に動き始めた。このように、この区画整理事業は、他都市に見られるような行政主導ではなく、民間主導(特に商店街)による事業として全国的にも注目されるようになった。
 事業着手までの経過、状況及び事業計画の槻要は次のとおりである。

(イ)事業着手までの経過

昭和44年12月 中込商店会から市及び議会に陳情書提出
昭和45年 4月〜
 10月
各区ごとに事業の目的手法等について説明会開催
昭和45年12月 都市計画推進委員会が事業施行について議会に請願書提出
昭和46年3月 議会にて請願書採択
昭和46年4月 土地区画整理推進委員会発足
昭和46年6月 推進委員会にて関係者の同意を得る(720戸のうち514)
昭和47年6月 土地区画整理推進委員会を新組織に改める
昭和47年7月〜9月 各区ごとに事業化について説明会開催
昭和47年10月〜48年3月 市単独費による現況測量及び基本調査実施
昭和48年4月 国庫補助採択
昭和48年4月〜6月 土地区画整理計画案説明会開催(3案を提示)
昭和48年7月 佐久都市計画審議会にて施行区域決定答申
昭和48年8月 土地区画整理事業決定案縦覧公告(意見書の提出5名)
昭和48年10月 土地区画整理事業決定告示(知事決定)
昭和48年10月〜11月 各区ごとの説明会開催
昭和49年4月 事業計画について県、国と協議に入る
昭和49年5月 事業計画について各区ごとに説明会開催
昭和49年11月 事業計画書の縦覧公告
昭和50年1月 事業計画認可
昭和50年1月 事業計画決定
昭和50年2月 基準地積閲覧
昭和50年4月 土地区画整理審議委員選挙(土地所有者5名 借地権者3名)
昭和51年1月 換地設計に入る
昭和51年4月 実施計画承認
昭和51年7月 換地設計説明会
昭和51年1月 仮換地指定(部分指定)
昭和52年2月 建物移転開始

 

(ロ)事業着手前の状況

イ)現況土地利用状況

区   分

面  積 

構 成 比

公共用地 道路、公園、水路  48,929m2 16.00%
民有地  宅地、農地、墓地 258,563m2 84.00%

  307,492m2 100.00%

 

ロ)地区内建物棟数
  総 棟 数   986棟

ハ) 地区内要移転建物用途別現況

用途別 数量 延面積  延面積構成比 備考
商 業 266 44,341m2

45.23%

併用住宅を含む
工 業  17 3,577m2

3.64%

    〃
住 居 365 35,190m2

35.90%

 
その他 315 14,918m2

15.23%

倉庫、事務所、物置

963

98,026m2

100.00%

 

 

ニ)関係者数

土地所有権者 365名(66.4%) 575名
借地権者  210名(33.6%)
借家権者  266世帯  

 

ホ)地区内人口
  2,184人 (71.14人/ha)

ヘ)地区内建ぺい率 
   37.91%

ト)地区内用途地域

区 分 面  積 構 成 比
商 業 地 域 16.85ha 54.80%
近隣商業地域 7.52ha 24.50%
住 居 地 域 5.81ha 18.90%
第1種住居専用地域 0.57ha 1.80%
30.75ha 100.00%

 

チ)過小住宅地過小借地
    過小宅地数 64戸(商業系65m2、住居系100m2)
    過小借地数 43戸(  〃         〃  ) 

リ) 中込駅乗降客数(年間)
 1,507,670人(1日当り平均4130人)(昭和55年)


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