雑 記 帳

日々の生活やプレイ中のゲームについての呟きなど。
※今後ヒムロが書き込むことはありません。


2005-03-21(Mon)  生還しました■在処
B型インフルエンザに罹患しまして一時は39度を突破するは過呼吸も併発するは筋肉痛と関節痛のダブルパンチで寝たきりになるはで朦朧とかすむ意識のなか戸叶にリンゴむいてもらう幻覚とか見たりしてましたが、対インフルエンザ最終兵器・民古(仮)のおかげで現世に戻ってこれました。ブラボー☆現代医学。
テレビもパソコンも断って布団にこもってましたがケータイはずっと枕元において時折いじってました。だって暇だったんだもん。ハラショー☆現代っ子。
運悪くというか良くというか、倒れたのが金曜だったもので三連休じっくり静養できて助かりました。
九州で起こった地震のことは実家(震源地とは海をまたいで隣県)からの「こっちは無事よ、そっちは大丈夫?」というママンからのメールで知りました。ごめん気づきもしないで寝てたよママン。病から回復して平穏で健康な生活のありがたみを実感しているところですので、明日にでも募金をしてこようと思います。


>ヒムロ嬢
連載おつかれさま!うっとり萌えたしじっくり燃えたよ〜想像の余地が残る設定がいいよいいよ。この世の果てまで三人つるんでたらいいよあの子達は。
スクロールして画像が現れた瞬間に腰が抜けたけど(笑)、ナースもありがたく美味しくいただきましたわ。本職ナースは実用第一だけどエロナースはやっぱミニスカピンクだよね!


WJ16号
とっくにタイミングを失した感のあるジャンプですが、かいつまんで。
<本編
高校でやった覚えのない競技の連発にああこれがマンガ体育祭ってやつかと納得しつつ、学校行事にマジになる三兄弟は悶絶級にかっこかわいくて辛抱たまらんくて小っさい丸いのと大っきい丸いのと一緒にお持ち帰りさせろこの野郎。
あー……黒木が余計なこと言わなきゃ赤組のカゴはひっくり返らなかったんじゃないかしら。
たまたま同じくらいの背の高さだからよかったけど陸が180cmオーバーとかに成長してたらこんなうまいこと連携できなかっただろうな。
子ブタ超かわいい。食いたい。これは恋?(いやたぶん食欲)
あと、他の二人のキャラはぶれさせておいて自分はそのまんまなキャプテンはちょっとずるいと思いましたが、壊れていても雪さん(演技派)の可憐さは微塵も揺らがないことがわかってちょっと安心しました。
<アニメ関連
モン太がかっぺー!?マジで!?ウソッープ!?(感激)
三兄弟は全員知らない人でした。まあ本職の声優さんなら安心してお任せできます。1話に出たらしばらく出番ないだろうけど頑張ってください。
ていうかアニメ情報とはいえどジャンプの紙面に見開きでハァハァ三兄弟独占記事だなんて嘘みたいにデカイ扱い、きっと最初で最後ね…(とりあえず拝んどこ)。黒木のホクロは無しで、トガは現行サングラスでいくのね。さて十文字の傷はどこで出現するのかしら。最初からかしら。
<ワンピ
ちょ、ちょっと言葉にならない…ものすごいアッパー(ルフィ×ロビンロビンはとっくに船長のものルフィ海賊団のクルーでした)とダウナー(メリィィィィィィィィィィィィィィィ!!!)同時に食らっちゃった…
<ナルト
これだから主人公プッシュはやめられない。


病み上がりに長文失礼しました。
Name   Message   

2005-03-21(Mon)  パラレル文6◆ヒムロ

 顔を上げた子供は、まるで男と同じ顔をして居た。頬の十字傷が無いだけで。
 誰も声を出さなかった。鬼すらも身動ぎ一つせず、見えぬ筈の目でじっと子供を見ている様だった。子供はひたひたと男に歩み寄り、ふわりと其の手を戒める帯を撫でた。あれだけ血に染まった衣の中に在りながら、不思議と全く汚れていない艶やかな桜色の其れが、するりと解けた。はらりと落ちた其れを、男が慌てて受け止める。
 そして子供は男と鬼の間に割って入り、男をそろりと押し遣った。
『其の方の言う鬼念とは、余りに強過ぎたが為に鬼に魅入られる想い。この人は自分の念に呑まれて鬼に堕ちただけの事…お前が気に病む必要は無いのですよ、一輝』
 一輝、と子供ははっきり男を呼んだ。
『だからお前がこの方に沿うて死ぬ事も無いのです―鬼念に囚われたこの人が悪いのですから』
「―真逆」
 この男を前に、そして其の父を前に斯様な話し振りが出来るのは一人だろうが―混乱する男に、子供が手を重ねた。
『この人が愛しい者を道連れに逝こうと願うのならば、私が共に逝きましょう』
「ははうえ」
 ほろりと言葉が零れた。
『お前を守りたかった。良人も守りたかった。でも肉の無い私には出来ぬ事だった』
 初めて触れた小さな母の手は、仄かに暖かく、男は其れに泣かずには居られなかった。其の温かさが、広がり切った火からの物かも知れなくとも、其の時の男にはそう思えた。
『でも良人も肉持たぬ妖物と化した今なら、お前を守る事だけはこの私にも出来ましょう』
「母上…!」
 子供の姿をした母親は、名残惜しそうに手を放した。
『もう直ぐ此処は崩れます、早くお行き為さい』
「でも…!でも私は此れから如何すれば良いのですか!両親失って、家も居場所も失って!如何にも為らぬならいっそ…!」

『一輝!』

 子供の姿からとはとても思えぬ、燐と張った声だった。
『お前はもう充分苦しい思いをした。お前はもう此の世の底を見た筈です。でも其れももう終り、お前は此れから自由を手に入れるのですよ、今まで富の代わりに手に入れられなかった物がお前の物に成るのです』
 だから、と。
『だからもう泣かなくて良いのです―お前は最後くらい母に笑んだ顔を見せてお呉れで無いのかえ?』
「…母上…」
 ごうと燃え盛る炎の中、男は涙を拭い、其れでも半泣きの笑顔を造って見せた。
「母上の救って下さったこの命、決して無駄には致しません」
『其れで良いのです、笑ってお暮らし。幸せにお為り。お前の失った十六年間を取り戻し為さい』
 男はぎゅう、と手にした桜色の帯を握り締めた。
「話ァ纏ったかい」
 炎に包まれていると言うのに、まだ呑気に煙管を吹かしながら虚目が問うた。きり、と顔引き締めて男は振り返る。
「ああ。俺は、お前達と共に行く」
「良い面してやんの」
 黒がにかっと笑うて見せた。がしりと男の腕を掴む。
「そうと決まりゃァさっさと逃げねェと。焼肉になっちまう」
 背を向けた刹那、唸る様な声で鬼が呼んだ。
『一輝…』
 背を向けた儘、男は告げた。
「さよなら父上」
 柱を焼いた火ががらがらと崩れた。


『儂の…愛しい…』
 泣く鬼の足に縋り、子供が言う。
『私では不満で御座いますか』
『きよ…』
『ええ、貴方のかわいい恋女房で御座いますよ』
『儂は…また置いていかれるのか…』
『いいえェ、私がずっとお側に居りますよ』
 柱という柱が折れ、屋根が一斉に崩れ落ちてくる。
『さァ参りましょう旦那様』




 もうもうと煙を上げる火事の華を遠くに見ながら、男三人佇んで。
「…」
 出る言葉は無い。其処に居るのは全てを持たぬ妖物と、今しがた全てを失った唯の男。
 無言の儘、黒に抱えられて居た男はその腕から抜け、漸く自分の足で地を踏み締めた。男に残ったのは、血塗れの着物と桜色の帯、後は自分の身一つ。所在無さげに着物の前を締め、もう大方血も乾きこびり付いた其の着物の上から、桜色の帯を締めた。
「…そういえば」
 暫く振りに喉から出た声は少し掠れて居たが、見っとも無い程では無い。
「お前たちの行く先を聞いて居なかったな」
 黒が、吹き付ける煤を孕んだ熱風に心地良さげに頬を晒しながら言う。
「旅をするのさ、道々色んなもん見ながらさ」
 腹空かす時も勿論在るし、金に困りゃァ人殺しの一つや二つしちまうぜ、俺ァ甘いもんには目がねェのよ。
「旅をしてどこへ行くんだ」
「唐土かも知れねえ、海かも知れねえ、また旅をするのさ」
「何故?」
「安息の地を見付けんが為」
 虚目がふうと紫煙を吐いた。
「倭の人間は異形に厳し過ぎるからな…」
 そうしてやっと虚目が傘を脱いだ。夜闇にもはっきりと判る、麦の穂の様な明るい髪が其処に在った。ほうと見惚れる男に、虚目はにやりと笑うて言う。
「心配なさんな、お前ももう立派な妖よ」
 人である事をやめた証だと虚目の言う、満月が如き光の筋がはらりと舞った。男が其れを自らの髪であると気付くには少し掛かった。
「な、旅は楽しい物か?」
 黒と虚目、二人目を合わせ、二人声を合わせて答えた。
「お前が俺等を嫌いで無ければ」
「ならば懸念は要らぬ様だな」
 黒はまたにんまり笑い、男の背をばんばん叩いて、お前ェ初めて笑ったなァ十文字、と言い又笑うた。
 十文字は黒の背を叩き返して、おうよもう何時でも笑って居てやるさ、と、声を出して笑った。
 其れが人をやめた後であれ十文字にとって初めての事だったのを虚目だけが知っている。



_______________________________________________________________________

ハイ、これで終わりです。
個人的には、旅して旅して渡って行って、最終的にアメリカに辿りついてアメフトに出会えばいいと思います。
十文字はエロい体してる割には二人とは一切ホモホモしい事するでもなく、何千年でも純粋に友情してればいい。これパパ十本番入れたときの私の基本スタンス。別名パパ十以外焦らしプレイ。

トガ=虚目について書き切れてないところ(何で虚目なのか人の相が見える人のものではない目を持っているのかなど)がありますが、入れたらヒキが悪いのでカット。
ヒキが悪い通り越して物語の全体像が分かり難くなっている上言葉遣い地の文もバラバラだけどばっくれ。
最後になりましたが、本人はこれ、ホラーのつもりで書きましたから。
では御愛読(笑)ありがとうございました。
次回作は思いついたら何か書きます。
Name   Message   

2005-03-20(Sun)  パラレル文5◆ヒムロ
まだちょっとグロいかも知れません。


 声など出せよう筈も無かった。瞬きすら忘れて、鬼と化した父親と、其れの作った血溜りとに男は見入って居た。びちゃり、もう誰の物とも付かなくなった血を踏んで、鬼の手が『一輝』に伸びる。
『鬼崇りで死ぬよ』
 ああ、正にあの坊主の言うた通りでは無いか―しかし、と男は思った。
『我が子よ』
『我が妻よ』
『我が娘』
『恋人よ、妾よ、全ての愛しき者よ』
 自分を愛してくれていたから、父親は鬼に、為って呉れたのでは無いかと思った。
 其れならいっそ、父親の望む儘に引き裂かれてしまおうかと。ならば父親も喜んで呉れるのでは無いのかと。そう、思った。
 先に人の頭を握り潰した物とは思えぬ程ふうわりと、鬼の腕が男の体を抱いた。父親が死んで、鬼になって、それでも生まれて初めて、『一輝』はこうして優しく抱かれたのである。
「父上…」
『喰ろうてやろう、愛してやろう、我が愛しき息子よ』
 冷たい肉に抱き締められて尚、否一層、自分の為に人の道を外れた父親が愛しいと思う。だから。
『血肉も骨も喰ろうてやろう、溶け合うて一つに為ろう』
 小鬼どものいつも唱えて居た最後の言葉を聞き、目の前で頭から喰らわんと鬼が大口開けて構えても、男には動く事など出来なかった。
 一つだけ違うと言うのなら、父上は鬼にこそ為れど俺は崇りで死ぬのでは無い―死の直前で、男はぼんやりとそう心の中で虚目の男に言い、血生臭い鬼の息を受けて目を閉じた。


 刹那。
 ぎゃっ、と声を上げて鬼が男を放り投げた。柱に強か背を打ち、痛みに目を開けると、昼間の二人の男の姿が在った。
「邪魔ァしてるぜ、十文字」
「あんた…」
 言うた男の直ぐ脇を火の矢と見紛う物が駆け抜け、鬼の右目を焼いた。左目は既に焼け爛れて居る。先に鬼が男を放した物が其れで在ったらしい。
「…」
 虚目が音も無く現れる。相変らず煙管を燻らせ、ちらと男を見た。
「俺ァ構わんと言ったんだがな、黒がどうしてもと言う物だから」
「だから…?」
「まあ、今は簡潔に助けに来た、とでも言っておくさ」
 訳の判らぬ言葉を言う虚目の反対側で、黒が視界を失った鬼に突っ込んで行く。
「うらァ!!」
「お前さん、知ってるかィ。鬼って奴ァな、人の武器じゃァ屠れぬのよ。唯一倒せるといやァ神器名剣、鬼切丸と言うが…」
「そんな物、在る訳無かろう…!」
 どっ、と腹に響く音にびくりとした。黒は殺されてしまったんでは無いだろうか。恐る恐る振り向く間も無く、悲鳴が響いた。人の声とは思えぬ。鬼の悲鳴だとでも言うのか。
「他に傷つける事なら出来るッてのは在るのよ、例えば恨み辛みを帯びた呪い刀」
 振り向いた男の目に映ったのは、腕を落とされた鬼と、血錆で真っ黒に為った脇差を握る黒。
「あれは…?」
 くッ、と虚目が笑ったのが判った。
「あれはな、二十年程前に吉原の太夫が吉原一帯皆殺しにした時の獲物よ。血を吸い過ぎて此の世の理からはみ出した、呪い刀よ…そして、黒の正体其の物でも在る」
 鬼の両腕落とした黒が、賊どもと鬼の血浴びて真っ赤に為って横に戻って来て居た。
「べらべらと勝手に紹介してくれんじゃねェや、俺が話すことが無く為っちまう」
「黒、あんた…」
 血塗れの手が強く男の肩を掴んだ。
「十文字。俺はお前が死ぬべきじゃァねェと思った。だから此処へ、お前の相を消しに来たんだ」
 混乱した儘、男は消す、と鸚鵡返しに呟いた。
「そうだ。俺らと一緒に行くか、此処で死ぬか、今選べ」
「行くか、死ぬか…って」
「相を消すってのァ」
 虚目がのんびりと言った。
「此の世の理捨てて、人を辞めるってこった。この黒や俺の様に、妖物として生きるって事だ」
 相―運命を無に帰すという事は、つまりそういう事なのだろう。しかし、選択は其れだけでは無い。その場合、今居る鬼は殺して行くぞと、言外に述べられて居る。
「其の…其の鬼は俺の父親なんだ、殺してなんて」
「だろうなァ、俺の虚目が見た通りさ。ほれ、今もお前さんを探して居る」
 虚目が煙管で差した先には、目を失い腕を失い、それでも掻き抱くべき息子を探す哀れな父の姿が在った。自由に為らぬ手を付き体を起こして、駆け寄る。火照った頬に、涙がつうと伝った。
「俺の為に鬼に為ったのなら、俺も其の責問うて喰われるべきだろう!」
「莫迦か、お前は!同情でてめェの命潰す気か!?」
 黒の怒号が胸に痛い。それでももう引けぬ。
「其れが父上の望みなら、今叶えんで何とする!」
「…頭に血ィ、昇ってねェか」
 ぼたぼたと鬼の血が男に滴る。見る間に頭から真っ赤に為りながら、男は虚目に向き直った。
「お前さんの父御はな、お前さんの為に鬼に為ったんじゃねェ、鬼念に取り憑かれた結果さ」
 そしてすうと煙管を持った手を横に伸ばした。煙管を下向けとんと叩くと、その下から見る間に火が伸びて行く。
「何を…」
「俺らと行くにせよ、今喰われて死ぬにせよ、お前さんには此処はもう必要ねェだろう。さっさと肝ァ決めさせてやるよ」
 火の綺羅めきが虚目の厳しい表情に妖しく揺らめいた。どくりどくりと心の臓が早鐘を打つのが判る。
「俺は…」
 男が言おうとした刹那、其れまで全く動かなかった子供の幻影―男がずっと連れていた物―がすっくと立ち上がった。
Name   Message   

2005-03-18(Fri)  パラレル文4◆ヒムロ
今回はエロ注意ではなくグロ注意。すみません。
______________________________________________________________


 桜色の帯は、元々母親の物だった。写真も無い当時、『一輝』にとっては唯一の母を偲ばせる物である。父親は母について一度も話した事は無い。その桜色が、次に『一輝』が目を開けた時に先ず見た物であった。
 父の姿は無く、行灯も消えて居る。何処へ行ったか障子は開け放った儘である。自分が達した後、そのまま捨て置いたのか、尻からは青臭い精液が零れて居た。乾き切っていない処を見ると、そう時が経った物でも無いらしい。
「つッ…」
 腕も腰も酷く使われた後は相応に軋む。先ずは手の此れを解かなくては。しかし咥えて引いては見るが如何にも為らぬ。ちらと自分の後ろの物を見たが、変わらずじっと蹲ったままである。
 上等の絹帯は力任せに引けども皮を苛むのみで、矢張り如何にも為らぬ。朝を待つしか無いのかと溜息を吐いた処で気が付いた。
 後ろの、後ろに居る筈の物が戸口に立って居る。そして、すうと何かを指差した。
「!」
 小鬼である。しかし父の物とは違う、父の其れの半分ほどの大きさ、怒りに滾った赤い小鬼が五匹。まだ此方には気付いていない。
『殺してやる、殺してやるぞォォ』
『殺して奪ってやるぞォォ』
 誰とは知らずとも、入って来たであろう者たちの目的は直ぐに判った。強盗だ。
気付いてひっと息を呑んだ瞬間、赤い小鬼が此方を向いた。
 気付かれた。その主も気付いてしまった事だろう。逃げなければ、しかし今の自分の姿では。どたどたと足音も聞こえる、形に構っても居られまい。男は手を突いてやっとこ立つと、そろりと部屋を抜け出した。
 父親に手の帯を解いて貰えば、刀なり何なり在るのだから何とでも為ろう。


「父上…」
 たんと襖を開け。
 男は見た。
 頭をざっくり割られた父の姿を。
 逃げようとしたのか背を斬られ、倒れ込んだ処に鉈で割られたらしい、其の時の男には其処まで認知することは出来なかったが。
「あ…」
 腰が抜け、へたり込む。血の海の中に白い夜着の裾が浸り、びちゃりと鳴った。
 此処に来るまでに父の小鬼は居たのに、…今殺された処なのだろうか。ならば。
 背後に人が立った気配が在った。目の前には赤い小鬼が追い付いて居る。
「餓鬼も見つけたぞう」
 野太い声を聞き付けて残りが集まったらしい、もう男には其れを確認する気も起きぬ。
「声も上げんか。気でも触れたんかもしれんナ」
「えい、何だこの格好は」
「さてな。強欲爺の慰み物か」
「死ぬ前に儂等にも相手せい、若旦那よゥ」
 血の海に転がされ、赤い血がじっとりと衣に染みた。
「聞けば男の尻は女のホトより良いと言うがな」
 目の先に小鬼が居る。主ももう居らぬと言うのに、しつこい念というのは消えぬ物なのか、と男は思った。其れももう関係の無い事、あの坊主が言っていた通り、自分は此処で死ぬのだ。真だったかと、今更ながら男は思った。
 しかし―あの坊主は何で死ぬと言っていたろうか。
 賊のがさついた手で身体を撫でられながら、ぼうと男は青黒い小鬼を見て居た。小鬼が集まっている。ギイギイと啼き、次には父親の死骸に歩み寄る。そして、すうと其れらが父親だった物に溶け込んでいくのを、男は見て居た。
「あ、…」
 もう何も感じなく為ったと思っていた体が漸く反応を返す、尻の穴に指を入れられて居る、其の男が物珍しそうにへえ此れだけ広がる物か、と言ったのが聞こえた。別の男が、『一輝』の口許に一物を寄せ、舐めろと強要した。動かずに居ると無理矢理口に其れを突っ込まれた。饐えた匂いに噎せそうに為る。
 しかし『一輝』の目は父親の死骸に向いた儘―小鬼が入って行ったと思うと、もこもこと死肉が盛り上がったのだ。無論『一輝』にかまけている賊は誰も其れに気付いて居ない。
 もこもこと盛り上がった肉はやがて人の姿では無く為った。ああ此れが、と男は思った。賊どもは未だに気付いて居ない。もしや見えぬのだろうか。聞こえぬのだろうか。あれだけ醜い声を上げているのに。
『触れるなァ…』
『儂の物に触れるなァ…』
 『其れ』はぶんと腕を振るい、今まさに『一輝』に竿を捩じ込もうとした男の頭を弾いた。ぱん、と水を叩いた様な音がした。
「うわあぁぁぁぁ!!」
 賊は『一輝』の腹の上に打ち撒かれた血に驚き、犯そうとした男の頭が既に無い事に気付き悲鳴を上げた。あれだけ大きな肉塊なのに、気付かないのか、逃げる事もせずに。『其れ』は残った男の体を鷲掴み、手足を引き千切った。血飛沫を浴びて真っ赤に染まる。賊がやっと気付いたか、叫んだ。
「お、鬼だああ!!」
 逃げようとした背に爪を立て、手足を掴んでは地に叩きつけ、骨ごと噛み砕きながら、其れは言う。
『殺してやろうぞ、欠片も残さず喰ろうてやろうぞ』
 ばらばらに砕けた賊の血で部屋中が真っ赤に染まる。もう誰も生きては居らぬ。父親は鬼になり、自分に仇した者どもを残らず血溜りに変えて仕舞って居た。
  • ヒムロ(2005/03/19 01:40)
    思うのですが読んでて面白いですかこんなの。しかし今回グロくてごめんなさいよー
Name   Message   

2005-03-18(Fri)  どーん。◆ヒムロ
grp0318203241.jpg 400×414 32K
早く元気になってね。


姐さんがインフルエンザにかかったので応援貼り。
復活後姐さんが必死こいて消すのかどうかは判らないけど。
(注:虐めているのではありません。あくまで元気付けているだけです。)

こんだけ修正入れたんだから鯖からデリられることはないと思うんだけど…
  • ヒムロ(2005/03/18 20:34)
    ナースですと言わなきゃわからんような絵ですな。しかも左右脚の長さが違って見える…え、遠近法ですよ!(苦しい言い訳)
Name   Message