2005-03-18(Fri)
パラレル文3◆ヒムロ いい加減タイトルとか付けるべき?
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今回は事前に注意。 同性愛ならびに近親姦の性的描写を含みます。お嫌いな方はスルー推奨。
夜半、大路を五人の男が駆けて行った。見ると手に手に鉈や包丁を持ち、目は殺気にぎらついて居る。家々の庇の隙間から其れを認め、黒い男が言う。 「あれかい虚目の」 「あれじゃァ無ェ、あれじゃァ無ェが原因の一端さ」 「如何するんでェ、見す見す死なせるのかィ」 「さてねェ。俺のこの目に見えた物なら、其れが定めという物だろう」 「ええー…」 「ええじゃァねェよ。一々情をかけて如何するってんだィ」 「なんかさァ、あいつが哀れでよォ…」 「確かに哀れだろうさ」 「そんな、生まれ育ちじゃァ、碌碌幸せも知らなんだろうに…」 虚目は煙管を咥えて吸うた。ほうと火が映る。やがてふぅ、と吐き出した。其れは或いは溜息であったやも知れぬ。
目が合った。合わそうと思って合ってしまったのではない、目を開けると目の前に居たのだ。 布団を敷いた部屋に、青黒い小鬼がひい、ふう、…六匹。其れらがじっとこちらを見て居る。 『儂の子よ』 『儂の贄よ』 『喰ろうてやろう』 『血肉も骨も喰ろうてやろう』 『喰ろうて…』 また、来るのか。心の臓がきゅうとせり上がり、体が凝る。如何してなのだ、如何して…。 寝所の向こうの廊下に、ぽつと灯が見える。灯を持って此方に来るのだ。そして。 障子の向こうで影が止まる。 「一輝」 びくりと肩が震える。震えたままの声ではい、と応えた。 「判って居ろう」 はい―そろそろと布団を抜け、障子を開ける。開けさせられる。 父親は無言で入って来た。その後でするりとまた障子を閉める。枕元の行灯に灯を移し、父親が振り返る。手には、桜色の帯を持って。 この時ばかりは小鬼どもの声が、父親の声で聞こえる。 「手を」 言われる儘に両の手を差し出す。父親がその手を桜色の帯で縛った。 その通りだ。俺は贄だ。喰ろうて―喰らわれているだろう。食らって如何しようと言うのだ。小鬼の最後の声はいつも聞こえぬ。 父親の手が夜着の前を肌蹴、帯を抜き取る。『一輝』は目を閉じた。閉じる刹那、小鬼に食まれる自分の幻影が見えた。
『一輝』の母は武家の娘だったと言う。父一人娘一人の貧乏武家の、その娘を父親が買い取り同然に手に入れたと言う。大層器量の良い、気立ての優しい娘だったそうだ。 しかし母は『一輝』の産褥で死に、その後は父親が小間使いを雇い育てたという。夜は二人きり、血の繋がった家族なのだから当然の事だが、この父にとっては違ったようである。 自らの血を分けた、しかも同じ男である『一輝』を、父親は、事も在ろうか亡くした妻の代わりに仕立てたのである。
ずる、ずるり。体の奥から擦れる音は、例え耳を塞げど遮れる物では無い。手を縛られ自由を奪われたなら尚更の事である。 「んー、んんー」 片手で『一輝』の口に蓋をし、もう片手で色の白い太腿を抱え上げて父親は狂ったように腰を振った。使い込まれて緩み、ぽってりと腫れ上がった後孔は慣れた物で、きゅうきゅうと父親の男根を締め付け、憎むべき男により快楽を与えて居る。首や胸、大腿は噛み付かれ吸い上げられ、赤い痕が散って居た。色香の花だと父親は悦に入って居た様だが、当の本人にしてみれば吐き気を催す物より他の何物でも無い。 しかもこの父親、もう歳だと言うのに一向に枯れもせぬ。いっそ立たずに為ってしまえば楽な物を、と男は常に思っている。 「んふぅっ」 急にまだ桃色の幼さを残す男根を擦り上げられ、背が撓った。後孔に咥え込んだ父親の男根が擦られれば否が応でも勃起してしまうつぼを突く。包皮を剥かれ、張り詰めた亀頭をにじられてはもう我慢もならぬ。 「んんん!」 がくがくと空腰を使いながら男は精を吐き出した。吐き出しながらも尚突かれる。すると突かれる儘に後から後から精が溢れ出し、男の腹と言わず脚と言わず、凡てを白く汚して行った。父親が口から手を放すと、聞くにも情けない声が抑えきれず夜気に漏れた。口も閉じられず、溢れてくる物を飲み込めもせず、声と共に涎がつうと垂れていくのが判ったが、判ったところで如何することも出来ず。 「あ、ああ、あああ」 ずんずんと勢いよく直腸を突かれながら、男は大波に揺られている流木を想った。段々削り取られ大破していく其れの様に、自分の身も砕け散ってしまえば良いのにと、そう思った。 聞こえる笑い声が父親の物であるのか、はたまたその小鬼の物であるのかも判らず、その内『一輝』の意識はふつりと途切れた。 | | |