雛罌粟 (ひなげし)
(雛芥子(ひなげし)、虞美人草(ぐびじんそう))
(ポピー、アマポーラ、コクリコ)
(Poppy)
・罌粟(芥子:けし)科。
・学名 Papaver rhoca (雛罌粟)
Papaver nudicaule(アイスランドポピー)
Papaver orientale(オリエンタルポピー)
Papaver dubium (長実雛罌粟)
Papaver : ケシ属
nudicaule : 裸茎の
orientale : 東洋の、東方の
dubium : 不確実の、疑わしい
Papaver(ペパベール)は、ラテンの古名の
「papa(幼児に与えるお粥(かゆ)」が語源。
ケシ属の乳汁に催眠作用があるため、
乳汁を粥に混ぜて子供を寝かしたことに由来。
また、花弁が薄いので、
紙のパピルスに似ていることが由来、とも。
・開花時期は、 4/ 5頃〜 6/15頃。
早咲き遅咲きがある。
・ヨーロッパ原産。江戸時代に渡来。
・花弁は非常に薄く、しわがある。
つぼみは最初は下向きで表面に毛が生えており、
咲くときに顔を上げ、2つに割れて花が出てくる。
その風情がなんとも不思議。
・ちまたに咲いている雛罌粟からは、
採取が禁止されている「アヘン」は取れません。
植えても大丈夫です。ご安心を。
ちなみに、ほんとの「ケシ」は こちら。
→ ケシ
・いろんな「ポピー」があるが、
まとめて1ページにしてみました。
いろいろあります。
(1) ヨーロッパ産の「ヒナゲシ」。
(2) 地中海産の「鬼ゲシ」(オリエンタルポピー)
Oriental poppy
(濃い赤い色のものが中心)。
(3) 黄、橙、白の「アイスランドポピー」。
→ 18世紀に北極探検隊がシベリアで
この花を発見したことから。
ポピーといえば、このアイスランド
ポピーのことを指すことが多い。
Iceland poppy, Auctic poppy
(4) 4〜5月頃によく見かけるオレンジ色の花は、
「長実雛罌粟(ながみひなげし)」と呼ぶ。
いずれも英名の「ポピー」の名で親しまれる。
なお、スペインでは「アマポーラ」、
フランスでは「コクリコ」の名で呼ばれる。
・「罌粟」は「芥子」とも書く。
・「雛」は小さい、かわいいの意で、ケシの中では
小型でかわいい花であることから。
漢字の罌粟(けし)は漢名からで、
実の形が罌(もたい。液体をいれる口のつぼんだ
甕(かめ))に似ていて、
種子が粟(あわ)に似ているから。
種子は非常に小さく、そこから
「芥子粒(けしつぶ)」の言葉ができた。
・別名 「虞美人草」(ぐびじんそう)
中国歴史上の絶世の美女である虞美人に
たとえた(下記参照)。
「ポピー」
英語で「ケシ」を意味するが
日本に咲くポピーからは
アヘンの成分のモルヒネは採れないので
栽培できます。
★<古代中国のお話−「虞美人草」>
項羽(こうう)と劉邦(りゅうほう)の
最期の戦いのとき、項羽は愛する虞妃(ぐき)と
ともに劉邦の大軍にまわりを包囲された。
項羽は別れの宴を開いてから最後の出撃をし、
虞妃も自刃して殉じたが、
彼女のお墓にヒナゲシの美しい花が咲いた。
そのため人々はこの花を
「虞美人草(ぐびじんそう)」と呼んだ。
(悲しいお話です)
また、夏目漱石の小説に「虞美人草」がある。
漱石が新しい小説のタイトル名を決めあぐねていた
ときに、街角の花屋さんで見た「虞美人草」の名に
”おっ、いい名前♪ これにしよう”ということで
名づけた、ということらしい。
・1月23日、2月29日、3月25日の誕生花
(アイスランドポピー)
・花言葉は「慰め、いたわり、陽気で優しい、
思いやり」(アイスランドポピー)
・「ああ皐月(さつき) 仏蘭西(フランス)の野は
火の色す 君も雛罌粟(こくりこ)
われも雛罌粟(こくりこ)」 与謝野晶子
「陽(ひ)に倦(う)みて
雛罌粟(ひなげし)いよよ くれなゐに」
木下夕爾
・東京周辺の見どころ
<小岩菖蒲園>
江戸川の河川敷にある公園。
花菖蒲や菜の花、秋桜(コスモス)
などが咲く。ポピーもいっぱい。
花見頃5月中旬〜5月下旬。
江戸川区北小岩。
最寄駅 → 京成線江戸川駅
<昭和記念公園>
立川(たちかわ)の大規模公園。
花見頃5月中旬〜5月下旬。
立川市緑町。
最寄駅 → JR青梅線西立川駅
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