折々の記へ
折々の記 2010 A
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】01/28〜
【 02 】01/30〜
【 03 】01/31〜
【 04 】02/06〜
【 05 】02/08〜
【 06 】02/11〜
【 01 】01/28
01 28 時事問題の書籍
01 29 鳩山総理 施政方針演説
国会審議の模様がテレビでずっと放映されています。
自民党で質疑にたつ人々はみな、鳩山総理と小沢幹事長の政治資金の問題と、民主党の失政の重箱の隅をつついたような質疑に明け暮れています。 国民不在の質疑に老生はただ呆然としています。
日本の行く末を見つめた審議が真剣にやり取りされるような、そんな国会審議を望んでいるものにとっては、そうした議論はほとんど聞かれず、国会議員への期待はありません。
子どもみたいな質問などクソ喰らえ !! 民主党は日本の将来を見つめて着実に計画を建てていってもらいたい。
武力行使 ……… それは国家が認めている殺人と破壊の行為であります。
戦争 ……… それを仕組むのは守銭奴であり、『死の商人』である。 それに間違いはありません。
戦争ヒステリーが噴出すれば、人間は全く理性を失ってしまう。 問題を話し合う能力は愛国心の誘導によって消し飛んでしまう。 問題の決定は感情に基づいて行なわれ、自由と正義という原則は、国益と考えられるものと引き換えに放棄される。
………… ジョン・コールマン …………
戦争で、銀行家は膨大な利益をえる。 二度にわたる世界大戦や朝鮮戦争、ベトナム戦争でどれほどの利益があったのか、誰にもわからない。
今も次の戦争が計画されているが、核戦争にはならないだろう。 どちらの陣営の銀行家も、お互いの資産を破壊するつもりはないからだ。 次の戦争も勝者も敗者もない、「殺し合い戦争になる。 ほくそえむのはペーパーマネーを操る企業や銀行家なのである。
………… ジョン・コールマン …………
ヒール・ザ・ワールド【日本語歌詞】 どうしてマイケル・ジャクソンが支持されたかわかります。
君の心の中にある 一つの場所 僕は知っているよ それが愛なんだ
そして君のその場所が 明日を待たずとも 明日はもっと
明るく輝けるんだ 泣く必要なんてないよ 君の心の中にある
その愛でね 傷つくことも 悲しむこともない 必ず たどり着けるんだ
君が生きて行こうと願うなら 少しだけの気持ちが あればいい
今よりもっと 世界を癒せばいい
素晴らしい世界にしよう 君のために 僕のために そして世界みんなのために
死んでいく人たちもいる もし君が生きていこうとするのなら
もっと素晴らしい世界にしよう。君のために 僕のために
僕らは どこまでも 飛んでいける
魂は決して なくなったりしない・・僕は感じているんだ・・
君たちは皆 兄弟だ 怖がらず この世界を 作り上げよう
武器を捨てて 僕らは たどりつけることが できる
素晴らしい世界にしよう 僕のため 君のため そして世界みんなのために
死んでゆく人もいる もし 君が生きて行こうと 願うなら
君のために 僕のために よりよい世界にしよう
世界を癒そう もっと 幸せな世界にしよう 【繰り返し】
heal v. (病気・傷を)いやす, いえる; 治す, 治る; (悩み・不和を)解消させる
■最近手に入れた本 そしてその紹介
「CIA秘録 上」 ニューヨーク・タイムズ記者 ティム・ワイナー 文芸春秋
*その誕生から今日まで *全米図書賞受賞 *噂、伝聞一切なし *CIAは公式HPで必死の反論
*諜報によって第二の真珠湾攻撃を防ぐ そう意図してたちあがった超大国の諜報機関。
だが、幹部たちは、情報の分析を軽視し、外国の元首暗殺、政権転覆などの秘密工作に奔走する。
嘘をつくことで成り立つ「大義」のもと壊れていく秘密工作本部長の心。
麻薬のような秘密工作の興奮は、歴代大統領をもとりこにしていく。
*陰謀は面白い。 失敗しても隠せばよい。
*五万点の機密解除文書 10人の元長官を含む300人以上のインタビュー
すべて実名証言で明らかになった「驚愕の内幕」
「CIA秘録 下」 ニューヨーク・タイムズ記者 ティム・ワイナー 文芸春秋
*神話は崩壊し、大きな災いにみまわれるだろう。
*分析部門を軽視し、秘密工作に狂弄 成功は過大に、失敗は隠蔽
こうして「万能のCIA」の虚像は出来上がった。
「コールマン博士は知っていた」 ジョン・コールマン 成甲書房
*世界的な経済崩壊、金融恐慌は(キャッシュレス奴隷社会実現にむけた)“300人委員会”の邪悪な
企みの一里塚に過ぎない。
*株価暴落、デリバティブ崩壊、巨大金融機関の破綻、警告のす
べてが現実となってしまった………
なぜコールマン予測はかくも正確なのか?
300人委員会の黒い野望を解析すれば、国際マネーの未来など、たやすく見通せるのだ !!
*さらに的中していく〈世界経済〉戦慄予言 !!
デリバティブ
補足説明derivative financial instruments債券・株式など本来の金融商品から派生した金融取引。
先物取引・オプション取引・スワップ取引などによるものがあり,価格変動リスクの回避,
低コストの資金調達,高利回りなどの特徴がある。金融派生商品。
ジョン・コールマン
1935年英国に生まれ、元・英国軍事諜報部第6課(M16)将校。 任地アフリカでの諜報活動中、英国
王室と諜報機関が「300人委員会」を中核とする闇の世界権力の忠実な道具であり、全世界人類と諸
民族国家の敵である事実を偶然に入手した秘密文書によって知り、M16を脱出、1969年にアメリカ
に移住、帰化。以後35年にわたって300人委員会等の活動を徹底して暴露、警告を続けている。
英国軍事諜報部は「裏切り者」は容赦なく抹殺する組織であり、博士も報復として資産、年金、保険
などを剥奪され、著作には妨害工作、剽窃、誹謗中傷が執拗に繰り広げられている。 また2001年
以降は、ELF放射線を使用と思しき攻撃が博士の自宅にもなされ、深刻な健康被害をこうむっている。
公式ウェブサイト : www.coleman300.com
「世界がドルを棄てた日」 田中宇 光文社
*いま、金融恐慌の裏で起きている壮大なドラマ
*米国の投資銀行リーマン・ブラザーズ破綻後、世界は基軸通貨としてのドルを棄てざるを得なくなっ
た。 なぜ米国はドルの価値を引き下げるような、財政赤字の急増や金融破綻の黙認を続け、ドルに
象徴される自国の覇権を自滅させているのか? 金融危機を的中させた著者が、近代史の隠された
ドラマを読み解く。
*第7章では、オバマ政権とその先の時代における世界と日本が直面しそうな事態と選択肢を、大胆に
予測してみた。 ドル崩壊は、対米従属という安泰だが拘束された戦後日本の国是の持続を不可能
にする。 日本人は、世界恐慌の影響で生活は大変になるものの、対米従属から開放され、政治的に
覚醒する機会を得る。 日本の将来は意外に明るいと私は考えている。
「国際情勢 メディアが出さないほんとうの話」 田中 宇 PHP研究所
*テロを黙認するアメリカ 仕組まれたリーマン・ショック スパイ戦争に勝利したロシア
ニュースの「裏」と「行間」を読み込む国際情勢解説者が、世界を動かす力学と覇権の構造を解き 明かす
*日本のメディアは表層の出来事のニュースしか載らず、解説や社説は薄っぺらで杓子定規だ。 米英の
マスコミには存在する「深読み可能な行間の含み」も、日本のマスコミには存在しない。 今後2012年ぐ
らいにかけて、米国の覇権は崩壊していく。 日本は従来のような対米従属一本槍ではやっていけなく
なる。 それなのに日本人は、今起きつつある歴史的な世界の多極化に対する準備ができていない。
国際情勢に対する深い読み解きが、今ほど必要になっている時はない。(「まえがき」より)
「日本が対米従属を脱する日」 田中 宇 風雲舎
*歴史が変わる時 というのは、ファンファーレは鳴らない。 道頓堀に飛び込む者もいない。
何も起きない。 しばらく経って人々は、あれがその時だったと気づく ……… 。
*2009年9月25日にG20が開かれた。 最終日に、ホワイトハウスとG20が、
「G8の代わりは、これからはG20だ」という声明を出した。 僕はそれを見て、「え!ついに来たか」と
思った。 一週間ぐらい経って、ドルが崩壊感を強めて、金が一オンス1000ドルを超えた。
「 そうか、時代は変わったんだ !! 」 (「本文」より)
*民主党が日本の世論に沿った戦略を打ち出すなら、対米従属の維持に傾くはずだ。
だが、日本の視点を離れ米国発の情報を見ると、むしろドル崩壊や多極化の方向性が感じられる。
米国の中枢には、ドル崩壊と多極化を誘発している人々がおり、彼らの戦略は成功しつつある。
キッシンジャー元国務長官とかロックフェラー一族とか、そういった人々は隠れ多極主義者である。
彼らが小沢一郎にドル崩壊が近いと伝え、小沢を中心とする民主党がその情報が事実だと考えて、
対米従属からの離脱とアジア重視策を新政権の柱にしたのではないか。 日本を対米従属から
離脱させたのは、他ならぬ米国自身だと私は思っている。 (「本文」より)
「300人委員会 上」 ジョン・コールマン 成甲書房
「イラク殺戮戦争」「反・原発運動」「サブプライム金融危機」「アフリカ食糧飢饉」 これらは全て 「300人委
員会」による人類家畜化への壮大な実験である。 「ハリー・ポッター」「ダ・ヴィンチ・コード」「ビートルズ」
「マイケル・ジャクソン」 これらは全て 「300人委員会」 洗脳マインドコントロールの創作物である。 不
屈不撓のコールマン博士の主著「300人委員会」の全面増補改訂・新訳版。 迫りくるワンワールド政府、
奴隷人間に 堕したくなければ、コールマン警告にこそ耳を澄ませ !!
「300人委員会 下」 ジョン・コールマン 成甲書房
朝日新聞社説 1月28日付 抜書き
米倉経団連―脱皮は献金の廃止から
経団連は政権与党を中心に企業の政治献金を呼びかけ、企業活動に利する政策実現を求めてきた。企業益が国民益に直結した時代はともかく、国民益との隔たりが拡大した今、献金への理解は得られまい。
「政治とカネ」への疑惑と懸念が政権交代後にむしろ強まっていることも、企業献金に対する国民のまなざしを一段と厳しくさせている。しかも民主党は3年後をめどに企業・団体献金を廃止すると政権公約にうたった。米倉次期会長は、企業献金の廃止に向けて動き出さねばならない。
………………………………………… ∞ …………………………………………
経団連は政権与党を中心に企業の政治献金を呼びかけ、企業活動に利する政策実現を求めてきた。企業益が国民益に直結した時代はともかく、国民益との隔たりが拡大した今、献金への理解は得られまい。
「政治とカネ」への疑惑と懸念が政権交代後にむしろ強まっていることも、企業献金に対する国民のまなざしを一段と厳しくさせている。しかも民主党は3年後をめどに企業・団体献金を廃止すると政権公約にうたった。米倉次期会長は、企業献金の廃止に向けて動き出さねばならない。
heal the world Michael Jackson 歌詞と動画
Heal the World
ヒール・ザ・ワールドは、『デンジャラス』に 収録されたバラード風の楽曲で 作詞作曲はマイケル・ジャクソン。 ウィ・アー・ザ・ワールドと同様に、歌詞は人生や世界の問題をテーマにし、マイケルの訃報ニュースではマスコミは、こぞって 「ヒール・ザ・ワールド」 を流したためネットでも あの歌は?歌詞は?日本語訳(字幕は?)と大きな反響を 呼んだバラード曲です。
【デンジャラス(紙ジャケット仕様)】
平和を訴えるメッセージソングが、ジョン・レノンのイマジンなら、世界の貧困層に目を向けた 癒し系の楽曲で 2001年のアメリカ同時多発テロ事件直後には、流されていたものです。
スリラーやBAD の 不良っぽい マイケルとは、正反対のメッセージ性の高い Heal the World は、マイケル自身が 本当に歌いたかった曲だったのでしょうね。 プロモーションビデオには、貧困層の子供たちが 映し出され イントロの オーケストレーション・プレリュードを マーティ・ペイチが担当したことでも 話題になりました。
1993年1月に行われた第27回スーパーボウルのハーフタイム・ショーで世界各国の数千人の子供たちと一緒に感動的なパフォーマンスを行った映像はデンジャラスザショートフィルムコレクションに 収録されています。
ヒールザワールド【日本語歌詞】 → (前出掲載)
Heal the world 和訳
http://blogs.yahoo.co.jp/hmr_entertainment/folder/443351.html?m=lc&p=2
<Yahoo!ブログ - 洋楽の歌詞を和訳します(曲も聴けます)>
格調高く新政権にふさわしい立派な施政方針演説でした。
夜になってパソコンを開いてニュースや新聞記事を見ていますと、政治家のリーダーともある人のコメントの中には、“木を見て大木の根を知らず”まがいの感想を述べている人もありました。 巷で言う ‘坊主憎けりゃ袈裟までも’ とか ‘揚げ足とり’ という類の域にとどまっている人もあります。 狭量の士には成り下がりたくありませんね。
日本が大きく変わろうとしている世界情勢の中においても、まだ‘井の中の蛙’でいるのでは、曰く「御し難し」なのです。 しかも国会議員でリーダー格の肩書の人がです。 それはそれとして、記念として記録しておきます。
民主党:【衆参院本会議】鳩山総理 施政方針演説
2010/01/29
【衆参院本会議】鳩山総理 施政方針演説
「いのちを守る」社会を 人間が人間らしく幸福に生きるために
鳩山由紀夫総理は、29日衆参の本会議で、就任後初となる施政方針演説を行い「いのちを守る」ことを最重要命題として、政府のすべての施策を構築し直すことを訴えた。
冒頭、鳩山総理は、「いのちを、守りたい」と切り出し、「未来を担う子どもたちが、自らの無限の可能性を自由に追求していけるそんな社会を築く」と宣言した。
また、鳩山総理は、ガンジーの「七つの社会的大罪」(理念なき政治、労働なき富、良心なき快楽、人格なき教育、道徳なき商業、人間性なき科学、犠牲なき宗教)を引き、「人間が人間らしく幸福に生きていくためにどのような経済が、政治が、社会が、教育が望ましいのか。今、その理念が、哲学が問われている」と呼びかけた。
そのうえで、人間の幸福を実現するための経済をつくりあげることが、この内閣の使命だとした。
また、「新しい公共」の力を支援することで、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築くとした。
同時に、文化立国日本を目指すとして、「異なる文化を理解し、尊重することを大切にしながら、国際社会から信頼され、国民が日本に生まれたことを誇りに感ずる文化を育みたい」とした。
政治的課題として、中央政府と関連公的法人のピラミッド体系を自律的でフラットな地域主権型の構造に変革すること、地域主権国家をつくることを訴え、「本年を地域主権革命元年とすべく内閣の総力を挙げて改革を断行する」とした。
さらに、責任ある政治を掲げ、戦後行政の大掃除を進め、特別会計の整理統合を含め、総予算を全面的に組み替えること、行政組織や国家公務員のあり方を見直すこと、府省庁の再編、政治家自らが襟を正し、政治資金のあり方をより透明で信頼できるものにすることを訴えた。
外交では、東アジア共同体構想の実現へ各国との信頼関係を構築すると述べるとともに、「揺るぎない日米同盟はその重要性に変わりがないどころか、東アジア共同体の形成の前提条件として欠くことができない」と日米同盟の重要性を強調した。さらに、日米同盟を21世紀にふさわしいものに深化させるとした。
マニフェスト関連では、子ども手当を月1万3000円支給すること、高校の実質無償化を開始する、年金記録問題では、紙台帳とコンピューター記録との突合を開始するなど「国家プロジェクト」として取り組むこと、戸別所得補償制度の導入、高速道路の無料化の社会実験を実施することなどを表明した。
最後に、「人のいのちを守る政治、この理念を実行に移すとき。子どもたちに幸福な社会を、未来にかけがえのない地球を引き継いでいかねばならない。この平成22年を、日本の再出発の年にしていこう」と呼びかけた。
…………… <民主党ホームページ>より ……………
民主党は29日午後、施政方針演説をはじめ政府4演説が行われる衆議院本会議を前に代議士会を開催。鳩山由紀夫総理(代表)が「新しく生まれ変わる日本の姿を示すきっかけにしたい」と決意表明した。
まず、松崎公昭議運理事が本日の本会議の流れについて説明。
続いて挨拶に立った山岡賢次国会対策委員長は、昨日の平成21年度第2次補正予算成立を受け、鳩山総理の労をねぎらったうえで、本日、鳩山総理の施政方針演説をはじめとする政府4演説が行われるとして、「新たなスタートであり、意義のある日。総理と一体となり声援を」と呼びかけた。
鳩山総理は、「ひな壇から皆さんを見ていると大変壮観。皆さま方が圧倒的な議席を占めていることが、日本の政治を新しくできる。その原動力だとしみじみ感謝している。そのような皆さまのお力のなかで第2次補正予算成立できた」と挨拶。「いよいよ今日から施政方針演説、新しく生まれ変わる日本の姿を示すきっかけにしていきたい。演説では新しい政治を興すためにそれなりの思いを述べたい。国民の皆さんに期待をもってもらえるような政治を一緒につくりあげていきたい」と決意表明した。
…………… <民主党ホームページ>より ……………
首相官邸
第174回国会における鳩山内閣総理大臣施政方針演説
平成22年1月29日
一 はじめに
いのちを、守りたい。
いのちを守りたいと、願うのです。
生まれくるいのち、そして、育ちゆくいのちを守りたい。
若い夫婦が、経済的な負担を不安に思い、子どもを持つことをあきらめてしまう、そんな社会を変えていきたい。未来を担う子どもたちが、自らの無限の可能性を自由に追求していける、そんな社会を築いていかなければなりません。
働くいのちを守りたい。
雇用の確保は、緊急の課題です。しかし、それに加えて、職を失った方々や、様々な理由で求職活動を続けている方々が、人との接点を失わず、共同体の一員として活動していける社会をつくっていきたい。経済活動はもとより、文化、スポーツ、ボランティア活動などを通じて、すべての人が社会との接点を持っている、そんな居場所と出番のある、新しい共同体のあり方を考えていきたいと願います。
いつ、いかなるときも、人間を孤立させてはなりません。
一人暮らしのお年寄りが、誰にも看取られず孤独な死を迎える、そんな事件をなくしていかなければなりません。誰もが、地域で孤立することなく暮らしていける社会をつくっていかなければなりません。
世界のいのちを守りたい。
これから生まれくる子どもたちが成人になったとき、核の脅威が歴史の教科書の中で過去の教訓と化している、そんな未来をつくりたいと願います。
世界中の子どもたちが、飢餓や感染症、紛争や地雷によっていのちを奪われることのない社会をつくっていこうではありませんか。誰もが衛生的な水を飲むことができ、差別や偏見とは無縁に、人権が守られ基礎的な教育が受けられる、そんな暮らしを、国際社会の責任として、すべての子どもたちに保障していかなければなりません。
今回のハイチ地震のような被害の拡大を国際的な協力で最小限に食い止め、新たな感染症の大流行を可能な限り抑え込むため、いのちを守るネットワークを、アジア、そして世界全体に張り巡らせていきたいと思います。
地球のいのちを守りたい。
この宇宙が生成して百三十七億年、地球が誕生して四十六億年。その長い時間軸から見れば、人類が生まれ、そして文明生活をおくれるようになった、いわゆる「人間圏」ができたこの一万年は、ごく短い時間に過ぎません。しかし、この「短時間」の中で、私たちは、地球の時間を驚くべき速度で早送りして、資源を浪費し、地球環境を大きく破壊し、生態系にかつてない激変を加えています。約三千万とも言われる地球上の生物種のうち、現在年間約四万の種が絶滅していると推測されています。現代の産業活動や生活スタイルは、豊かさをもたらす一方で、確実に、人類が現在のような文明生活をおくることができる「残り時間」を短くしていることに、私たち自身が気づかなければなりません。
私たちの叡智を総動員し、地球というシステムと調和した「人間圏」はいかにあるべきか、具体策を講じていくことが必要です。少しでも地球の「残り時間」の減少を緩やかにするよう、社会を挙げて取り組むこと。それが、今を生きる私たちの未来への責任です。本年、わが国は生物多様性条約締約国会議の議長国を務めます。かけがえのない地球を子どもや孫たちの世代に引き継ぐために、国境を越えて力を合わせなければなりません。
私は、このような思いから、平成二十二年度予算を「いのちを守る予算」と名付け、これを日本の新しいあり方への第一歩として、国会議員の皆さん、そして、すべての国民の皆さまに提示し、活発なご議論をいただきたいと願っています。
二 目指すべき日本のあり方
私は、昨年末、インドを訪問した際、希望して、尊敬するマハトマ・ガンジー師の慰霊碑に献花させていただきました。慰霊碑には、ガンジー師が、八十数年前に記した「七つの社会的大罪」が刻まれています。
「理念なき政治」
「労働なき富」
「良心なき快楽」
「人格なき教育」
「道徳なき商業」
「人間性なき科学」、そして
「犠牲なき宗教」です。
まさに、今の日本と世界が抱える諸問題を、鋭く言い当てているのではないでしょうか。
二十世紀の物質的な豊かさを支えてきた経済が、本当の意味で人を豊かにし、幸せをもたらしてきたのか。資本主義社会を維持しつつ、行き過ぎた「道徳なき商業」、「労働なき富」を、どのように制御していくべきなのか。人間が人間らしく幸福に生きていくために、どのような経済が、政治が、社会が、教育が望ましいのか。今、その理念が、哲学が問われています。
さらに、日本は、アジアの中で、世界の中で、国際社会の一員として、どのような国として歩んでいくべきなのか。
政権交代を果たし、民主党、社会民主党、国民新党による連立内閣として初めての予算を提出するこの国会であるからこそ、あえて、私の政治理念を、国会議員の皆さんと、国民の皆さまに提起することから、この演説を始めたいと、ガンジー廟を前に私は決意いたしました。
(人間のための経済、再び)
経済のグローバル化や情報通信の高度化とともに、私たちの生活は日々便利になり、物質的には驚くほど豊かになりました。一方、一昨年の金融危機で直面したように、私たちが自らつくり出した経済システムを制御できない事態が発生しています。
経済のしもべとして人間が存在するのではなく、人間の幸福を実現するための経済をつくり上げるのがこの内閣の使命です。
かつて、日本の企業風土には、社会への貢献を重視する伝統が色濃くありました。働く人々、得意先や取引先、地域との長期的な信頼関係に支えられ、百年以上の歴史を誇る「長寿企業」が約二万社を数えるのは、日本の企業が社会の中の「共同体」として確固たる地位を占めてきたことの証しです。今こそ、国際競争を生き抜きつつも、社会的存在として地域社会にも貢献する日本型企業モデルを提案していかなければなりません。ガンジー師の言葉を借りれば、「商業の道徳」を育み、「労働をともなう富」を取り戻すための挑戦です。
(「新しい公共」によって支えられる日本)
人の幸福や地域の豊かさは、企業による社会的な貢献や政治の力だけで実現できるものではありません。
今、市民やNPOが、教育や子育て、街づくり、介護や福祉など身近な課題を解決するために活躍しています。昨年の所信表明演説でご紹介したチョーク工場の事例が多くの方々の共感を呼んだように、人を支えること、人の役に立つことは、それ自体が歓びとなり、生きがいともなります。こうした人々の力を、私たちは「新しい公共」と呼び、この力を支援することによって、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築き、地域の絆を再生するとともに、肥大化した「官」をスリムにすることにつなげていきたいと考えます。
一昨日、「新しい公共」円卓会議の初会合を開催しました。この会合を通じて、「新しい公共」の考え方をより多くの方と共有するための対話を深めます。こうした活動を担う組織のあり方や活動を支援するための寄付税制の拡充を含め、これまで「官」が独占してきた領域を「公(おおやけ)」に開き、「新しい公共」の担い手を拡大する社会制度のあり方について、五月を目途に具体的な提案をまとめてまいります。
(文化立国としての日本)
「新しい公共」によって、いかなる国をつくろうとしているのか。
私は、日本を世界に誇る文化の国にしていきたいと考えます。ここで言う文化とは、狭く芸術その他の文化活動だけを指すのではなく、国民の生活・行動様式や経済のあり方、さらには価値観を含む概念です。
厳しい環境・エネルギー・食料制約、人類史上例のない少子高齢化などの問題に直面する中で、様々な文化の架け橋として、また、唯一の被爆国として、さらには、伝統文化と現代文明の融和を最も進めている国のひとつとして、日本は、世界に対して、この困難な課題が山積する時代に適合した、独自の生活・行動様式や経済制度を提示していくべきだと考えます。
多くの国の人々が、一度でよいから日本を訪ねたい、できることなら暮らしたいと憧れる、愛され、輝きのある国となること。異なる文化を理解し、尊重することを大切にしながら、国際社会から信頼され、国民が日本に生まれたことに誇りを感ずるような文化を育んでいきたいのです。
(人材と知恵で世界に貢献する日本)
新しい未来を切り拓くとき、基本となるのは、人を育てる教育であり、人間の可能性を創造する科学です。
文化の国、人間のための経済にとって必要なのは、単に数字で評価される「人格なき教育」や、結果的に人類の生存を脅かすような「人間性なき科学」ではありません。一人ひとりが地域という共同体、日本という国家、地球という生命体の一員として、より大きなものに貢献する、そんな「人格」を養う教育を目指すべきなのです。
科学もまた、人間の叡智を結集し、人類の生存にかかわる深刻な問題の解決や、人間のための経済に大きく貢献する、そんな「人間性」ある科学でなければなりません。疾病、環境・エネルギー、食料、水といった分野では、かつての産業革命にも匹敵する、しかし全く位相の異なる革新的な技術が必要です。その母となるのが科学です。
こうした教育や科学の役割をしっかりと見据え、真の教育者、科学者をさらに増やし、また社会全体として教育と科学に大きな資源を振り向けてまいります。それこそが、私が申し上げ続けてきた「コンクリートから人へ」という言葉の意味するところです。
三 人のいのちを守るために
私は、来年度予算を「いのちを守る予算」に転換しました。公共事業予算を十八・三パーセント削減すると同時に社会保障費は九・八パーセント増。 文教科学費は五・二パーセント増と大きくメリハリをつけた予算編成ができたことは、国民の皆さまが選択された政権交代の成果です。
(子どものいのちを守る)
所得制限を設けず、月額一万三千円の子ども手当を創設します。
子育てを社会全体で応援するための大きな第一歩です。また、すべての意志ある若者が教育を受けられるよう、高校の実質無償化を開始します。国際人権規約における高等教育の段階的な無償化条項についても、その留保撤回を具体的な目標とし、教育の格差をなくすための検討を進めます。さらに、「子ども・子育てビジョン」に基づき、新たな目標のもと、待機児童の解消や幼保一体化による保育サービスの充実、放課後児童対策の拡充など、子どもの成長を担うご家族の負担を、社会全体で分かち合う環境づくりに取り組みます。
(いのちを守る医療と年金の再生)
社会保障費の抑制や地域の医療現場の軽視によって、国民医療は崩壊寸前です。
これを立て直し、健康な暮らしを支える医療へと再生するため、医師養成数を増やし、診療報酬を十年ぶりにプラス改定します。乳幼児からお年寄りまで、誰もが安心して医療を受けられるよう、その配分も大胆に見直し、救急・産科・小児科などの充実を図ります。患者の皆さんのご負担が重い肝炎治療については、助成対象を拡大し、自己負担限度額を引き下げます。健康寿命を伸ばすとの観点から、統合医療の積極的な推進について検討を進めます。
お年寄りが、ご自身の歩まれた人生を振り返りながら、やすらぎの時間を過ごせる環境を整備することも重要です。年金をより確かなものとするため、来年度から二年間を集中対応期間として、紙台帳とコンピューター記録との突き合わせを開始するなど、年金記録問題に「国家プロジェクト」として取り組みます。
(働くいのちを守り、人間を孤立させない)
働く人々のいのちを守り、人間を孤立させないために、まずは雇用を守ることが必要です。雇用調整助成金の支給要件を大幅に緩和し、雇用の維持に努力している企業への支援を強化しました。また、非正規雇用の方々のセーフティネットを強化するため、雇用保険の対象を抜本的に拡充します。
労働をコストや効率で、あるいは生産過程の歯車としか捉えず、日本の高い技術力の伝承をも損ないかねない派遣労働を抜本的に見直し、いわゆる登録型派遣や製造業への派遣を原則禁止します。さらに、働く意欲のある方々が、新規産業にも活かせる新たな技術や能力を身につけることを応援するため、生活費支援を含む恒久的な求職者支援制度を平成二十三年度に創設すべく準備を進めます。
若者、女性、高齢者、チャレンジドの方々など、すべての人が、孤立することなく、能力を活かし、生きがいや誇りを持って社会に参加できる環境を整えるため、就業の実態を丁寧に把握し、妨げとなっている制度や慣行の是正に取り組みます。社会のあらゆる面で男女共同参画を推進し、チャレンジドの方々が、共同体の一員として生き生きと暮らせるよう、障害者自立支援法の廃止や障害者権利条約の批准などに向けた、改革の基本方針を策定します。
また、いのちを守る社会の基盤として、自殺対策を強化するとともに、消防と医療の連携などにより、救急救命体制を充実させます。住民の皆さまと一緒に、犯罪が起こりにくい社会をつくり、犯罪捜査の高度化にも取り組んでいきます。
四 危機を好機に --フロンティアを切り拓く--
(いのちのための成長を担う新産業の創造)
ピンチをチャンスと捉えるということがよく言われます。では、私たちが今直面している危機の本質は何であり、それをどう変革していけばよいのでしょうか。
昨年末、私たちは、新たな成長戦略の基本方針を発表いたしました。
鳩山内閣における「成長」は、従来型の規模の成長だけを意味しません。
人間は、成人して身体の成長が止まっても、様々な苦難や逆境を乗り越えながら、人格的に成長を遂げていきます。私たちが目指す新たな「成長」も、日本経済の質的脱皮による、人間のための、いのちのための成長でなくてはなりません。この成長を誘発する原動力が、環境・エネルギー分野と医療・介護・健康分野における「危機」なのです。
私は、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築や意欲的な目標の合意を前提として、二〇二〇年に、温室効果ガスを一九九〇年比で二十五パーセント削減するとの目標を掲げました。大胆すぎる目標だというご指摘もあります。しかし、この変革こそが、必ずや日本の経済の体質を変え、新しい需要を生み出すチャンスとなるのです。日本の誇る世界最高水準の環境技術を最大限に活用した「グリーン・イノベーション」を推進します。地球温暖化対策基本法を策定し、環境・エネルギー関連規制の改革と新制度の導入を加速するとともに、「チャレンジ25」によって、低炭素型社会の実現に向けたあらゆる政策を総動員します。
医療・介護・健康産業の質的充実は、いのちを守る社会をつくる一方、新たな雇用も創造します。医療・介護技術の研究開発や事業創造を「ライフ・イノベーション」として促進し、利用者が求める多様なサービスを提供するなど、健康長寿社会の実現に貢献します。
(成長のフロンティアとしてのアジア)
今後の世界経済におけるわが国の活動の場として、さらに切り拓いていくべきフロンティアはアジアです。環境問題、都市化、少子高齢化など、日本と共通の深刻な課題を抱えるアジア諸国と、日本の知識や経験を共有し、ともに成長することを目指します。
アジアを単なる製品の輸出先と捉えるのではありません。環境を守り、安全を担保しつつ、高度な技術やサービスをパッケージにした新たなシステム、例えば、スマートグリッドや大量輸送、高度情報通信システムを共有し、地域全体で繁栄を分かち合います。それが、この地域に新たな需要を創出し、自律的な経済成長に貢献するのです。
アジアの方々を中心に、もっと多くの外国人の皆さんに日本を訪問していただくことは、経済成長のみならず、幅広い文化交流や友好関係の土台を築くためにも重要です。日本の魅力を磨き上げ、訪日外国人を二〇二〇年までに二千五百万人、さらに三千万人まで増やすことを目標に、総合的な観光政策を推進します。
アジア、さらには世界との交流の拠点となる空港、港湾、道路など、真に必要なインフラ整備については、厳しい財政事情を踏まえ、民間の知恵と資金も活用し、戦略的に進めてまいります。
(地域経済を成長の源に)
もうひとつの成長の新たな地平は、国内それぞれの地域です。
その潜在力にもかかわらず、長年にわたる地域の切り捨て、さらに最近の不況の直撃にさらされた地域経済の疲弊は極限に達しています。まずは景気対策に万全を期し、今後の経済の変化にも臨機応変に対応できるよう、十一年ぶりに地方交付税を一・一兆円増と大幅に増額するほか、地域経済の活性化や雇用機会の創出などを目的とした二兆円規模の景気対策枠を新たに設けます。
その上で、地域における成長のフロンティア拡大に向けた支援を行います。
わが国の農林水産業を、生産から加工、流通まで一体的に捉え、新たな価値を創出する「六次産業化」を進めることにより再生します。農家の方々、新たに農業に参入する方々には、戸別所得補償制度をひとつの飛躍のバネとして、農業の再生に果敢に挑戦していただきたい。世界に冠たる日本の食文化と高度な農林水産技術を組み合わせ、森林や農山漁村の魅力を活かした新たな観光資源・産業資源をつくり出すのです。政府としてそれをしっかりと応援しながら、食料自給率の五十パーセントまでの引上げを目指します。
地域経済を支える中小企業は日本経済の活力の源です。その資金繰り対策に万全を期するほか、「中小企業憲章」を策定し、意欲ある中小企業が日本経済の成長を支える展望を切り拓いてまいります。
さらに、地域間の活発な交流に向け、高速道路の無料化については、来年度から社会実験を実施し、その影響を確認しながら段階的に進めてまいります。
地域の住民の生活を支える郵便局の基本的なサービスが、地域を問わず一体的に利用できるようユニバーサルサービスを法的に担保するとともに、現在の持株会社・四分社化体制の経営形態を再編するなど、郵政事業の抜本的な見直しを行ってまいります。
(地域主権の確立)
地域のことは、その地域に住む住民が責任をもって決める。この地域主権の実現は、単なる制度の改革ではありません。
今日の中央集権的な体質は、明治の富国強兵の国是のもとに導入され、戦時体制の中で盤石に強化され、戦後の復興と高度成長期において因習化されたものです。地域主権の実現は、この中央政府と関連公的法人のピラミッド体系を、自律的でフラットな地域主権型の構造に変革する、国のかたちの一大改革であり、鳩山内閣の改革の一丁目一番地です。
今後、地域主権戦略の工程表に従い、政治主導で集中的かつ迅速に改革を進めます。その第一弾として、地方に対する不必要な義務付けや枠付けを、地方分権改革推進計画に沿って一切廃止するとともに、道路や河川等の維持管理費に係る直轄事業負担金制度を廃止します。また、国と地方の関係を、上下関係ではなく対等なものとするため、国と地方との協議の場を新たな法律によって設置します。地域主権を支える財源についても、今後、ひも付き補助金の一括交付金化、出先機関の抜本的な改革などを含めた地域主権戦略大綱を策定します。
あわせて、「緑の分権改革」を推進するとともに、情報通信技術の徹底的な利活用による「コンクリートの道」から「光の道」への発想転換を図り、新しい時代にふさわしい地域の絆の再生や成長の基盤づくりに取り組みます。本年を地域主権革命元年とすべく、内閣の総力を挙げて改革を断行してまいります。
(責任ある経済財政運営)
当面の経済財政運営の最大の課題は、日本経済を確かな回復軌道に乗せることです。決して景気の二番底には陥らせないとの決意のもと、この度成立した、事業規模で約二十四兆円となる第二次補正予算とともに、当初予算としては過去最大規模となる平成二十二年度予算を編成いたしました。この二つの予算により、切れ目ない景気対策を実行するとともに、特にデフレの克服に向け、日本銀行と一体となって、より強力かつ総合的な経済政策を進めてまいります。
財政の規律も政治が果たすべき重要な責任です。今回の予算においては、目標としていた新規国債発行額約四十四兆円以下という水準を概ね達成することができました。政権政策を実行するために必要な約三兆円の財源も、事業仕分けを反映した既存予算の削減や公益法人の基金返納などにより捻出できました。さらに将来を見据え、本年前半には、複数年度を視野に入れた中期財政フレームを策定するとともに、中長期的な財政規律のあり方を含む財政運営戦略を策定し、財政健全化に向けた長く大きな道筋をお示しします。
五 課題解決に向けた責任ある政治
以上のような政策を実行するのが政治であり、行政です。政府が旧態依然たる分配型の政治を行う限り、ガンジー師のいう「理念なき政治」のままです。新たな国づくりに向け、「責任ある政治」を実践していかなければなりません。
(「戦後行政の大掃除」の本格実施)
事業仕分けや子育て支援のあり方については、ご家庭や職場でも大きな話題となり、様々な議論がなされたことと思います。私たちは、これまで財務省主計局の一室で官僚たちの手によって行われてきた予算編成過程の議論を、民間の第一線の専門家の参加を得て、事業仕分けという公開の場で行いました。上から目線の発想で、つい身内をかばいがちだった従来型の予算編成を、国民の主体的参加と監視のもとで抜本的に変更できたのも、ひとえに政権交代のたまものです。
「戦後行政の大掃除」は、しかし、まだ始まったばかりです。
今後も、様々な規制や制度のあり方を抜本的に見直し、独立行政法人や公益法人が本当に必要なのか、「中抜き」の構造で無駄遣いの温床となっていないか、監視が行き届かないまま垂れ流されてきた特別会計の整理統合も含め、事業仕分け第二弾を実施します。これらすべてを、聖域なく、国民目線で検証し、一般会計と特別会計を合わせた総予算を全面的に組み替えていきます。行政刷新会議は法定化し、より強固な権限と組織によって改革を断行していきます。
(政治主導による行政体制の見直し)
同時に、行政組織や国家公務員のあり方を見直し、その意識を変えていくことも不可欠です。
省庁の縦割りを排し、国家的な視点から予算や税制の骨格などを編成する国家戦略局を設置するほか、幹部人事の内閣一元管理を実現するために内閣人事局を設置し、官邸主導で適材適所の人材を登用します。
こうした改革を断行するため、政府と与党が密接な連携と役割分担のもと、政府部内における国会議員の占める職を充実強化するための関連法案を今国会に提案いたします。
さらに、今後、国民の視点に立って、いかなる府省編成が望ましいのか、その設置のあり方も含め、本年夏以降、私自身が主導して、抜本的な見直しに着手します。
税金の無駄遣いの最大の要因である天下りあっせんを根絶することはもちろん、「裏下り」と揶揄される事実上の天下りあっせん慣行にも監視の目を光らせて国民の疑念を解消します。同時に、国家公務員の労働基本権のあり方や、定年まで勤務できる環境の整備、給与体系を含めた人件費の見直しなど、新たな国家公務員制度改革にも速やかに着手します。
(政治家自ら襟を正す)
こうした改革を行う上で、まず国会議員が自ら範を垂れる必要があります。国会における議員定数や歳費のあり方について、会派を超えて積極的な見直しの議論が行われることを強く期待します。
政治資金の問題については、私自身の問題に関して、国民の皆さまに多大のご迷惑とご心配をおかけしたことをあらためてお詫び申し上げます。ご批判を真摯に受け止め、今後、政治資金のあり方が、国民の皆さまから見て、より透明で信頼できるものとなるよう、企業・団体献金の取扱いを含め、開かれた議論を行ってまいります。
六 世界に新たな価値を発信する日本
(文化融合の国、日本)
日本は四方を豊かな実りの海に囲まれた海洋国家です。
古来より、日本は、大陸や朝鮮半島からこの海を渡った人々を通じて多様な文化や技術を吸収し、独自の文化と融合させて豊かな文化を育んできました。漢字と仮名、公家と武家、神道と仏教、あるいは江戸と上方、東国の金貨制と西国の銀貨制というように、複合的な伝統と慣習、経済社会制度を併存させてきたことは日本の文化の一つの特長です。近現代の日本も<和魂洋才>という言葉のとおり、東洋と西洋の文化を融合させ、欧米先進諸国へのキャッチアップを実現しました。こうした文化の共存と融合こそが、新たな価値を生み出す源泉であり、それを可能にする柔軟性こそが日本の強さです。自然環境との共生の思想や、木石にも魂が宿るといった伝統的な価値観は大切にしつつも、新たな文化交流、その根幹となる人的交流に積極的に取り組み、架け橋としての日本、新しい価値や文化を生み出し、世界に発信する日本を目指していこうではありませんか。
(東アジア共同体のあり方)
昨年の所信表明演説で、私は、東アジア共同体構想を提唱いたしました。アジアにおいて、数千年にわたる文化交流の歴史を発展させ、いのちを守るための協力を深化させる、「いのちと文化」の共同体を築き上げたい。そのような思いで提案したものです。
この構想の実現のためには、様々な分野で国と国との信頼関係を積み重ねていくことが必要です。断じて、一部の国だけが集まった排他的な共同体や、他の地域と対抗するための経済圏にしてはなりません。その意味で、揺るぎない日米同盟は、その重要性に変わりがないどころか、東アジア共同体の形成の前提条件として欠くことができないものです。北米や欧州との、そして域内の自由な貿易を拡大して急速な発展を遂げてきた東アジア地域です。多角的な自由貿易体制の強化が第一の利益であることを確認しつつ地域の経済協力を進める必要があります。初代常任議長を選出し、ますます統合を深化させる欧州連合とは、開かれた共同体のあり方を、ともに追求していきたいと思います。
(いのちと文化の共同体)
東アジア共同体の実現に向けての具体策として、特に強調したいのは、いのちを守るための協力、そして、文化面での交流の強化です。
地震、台風、津波などの自然災害は、アジアの人々が直面している最大の脅威のひとつです。過去の教訓を正しく伝え、次の災害に備える防災文化を日本は培ってきました。これをアジア全域に普及させるため、日本の経験や知識を活用した人材育成に力を入れてまいります。
感染症や疾病からいのちを守るためには、機敏な対応と協力が鍵となります。新型インフルエンザをはじめとする様々な情報を各国が共有し、協力しながら対応できる体制を構築していきます。また、人道支援のため米国が中心となって実施している「パシフィック・パートナーシップ」に、今年から海上自衛隊の輸送艦を派遣し、太平洋・東南アジア地域における医療支援や人材交流に貢献してまいります。
(人的交流の飛躍的充実)
昨年の十二月、私はインドネシアとインドを訪問いたしました。
いずれの国でも、国民間での文化交流事業を活性化させ、特に次世代を担う若者が、国境を越えて、教育・文化、ボランティアなどの面で交流を深めることに極めて大きな期待がありました。この期待に応えるために、今後五年間で、アジア各国を中心に十万人を超える青少年を日本に招くなど、アジアにおける人的交流を大幅に拡充するとともに、域内の各国言語・文化の専門家を、相互に飛躍的に増加させることにより、東アジア共同体の中核を担える人材を育成してまいります。
APECの枠組みも、今年の議長として、充実強化に努めてまいります。経済発展を基盤として、文化・社会の面でもお互いを尊重できる関係を築いていくため、新たな成長戦略の策定に向けて積極的な議論を導きます。
(日米同盟の深化)
今年、日米安保条約の改定から五十年の節目を迎えました。この間、世界は、冷戦による東西の対立とその終焉、テロや地域紛争といった新たな脅威の顕在化など大きく変化しました。激動の半世紀にあって、日米安全保障体制は、質的には変化を遂げつつも、わが国の国防のみならず、アジア、そして世界の平和と繁栄にとって欠くことのできない存在でありました。今後もその重要性が変わることはありません。
私とオバマ大統領は、日米安保条約改定五十周年を機に、日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で深化させることを表明しました。今後、これまでの日米同盟の成果や課題を率直に語り合うとともに、幅広い協力を進め、重層的な同盟関係へと深化・発展させていきたいと思います。
わが国が提出し、昨年十二月の国連総会において採択された「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意」には、米国が初めて共同提案国として名を連ねました。本年は、核セキュリティ・サミットや核拡散防止条約運用検討会議が相次いで開催されます。「核のない世界」の実現に向け、日米が協調して取り組む意義は極めて大きいと考えます。
普天間基地移設問題については、米国との同盟関係を基軸として、わが国、そしてアジアの平和を確保しながら、沖縄に暮らす方々の長年にわたる大変なご負担を少しでも軽くしていくためにどのような解決策が最善か、沖縄基地問題検討委員会で精力的に議論し、政府として本年五月末までに具体的な移設先を決定することといたします。
気候変動の問題については、地球環境問題とエネルギー安全保障とを一体的に解決するための技術協力や共同実証実験、研究者交流を日米で行うことを合意しています。活動の成果は、当然世界に及びます。この分野の同盟を、そして日米同盟全体を、両国のみならずアジア太平洋地域、さらには世界の平和と繁栄に資するものとしてさらに発展させてまいります。
(アジア太平洋地域における二国間関係)
アジア太平洋地域における信頼関係の輪を広げるため、日中間の戦略的互恵関係をより充実させてまいります。
日韓関係の、世紀をまたいだ大きな節目の今年、過去の負の歴史に目を背けることなく、これからの百年を見据え、真に未来志向の友好関係を強化してまいります。ロシアとは、北方領土問題を解決すべく取り組むとともに、アジア太平洋地域におけるパートナーとして協力を強化します。
北朝鮮の拉致、核、ミサイルといった諸問題を包括的に解決した上で、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を実現する。これは、アジア太平洋地域の平和と安定のためにも重要な課題です。具体的な行動を北朝鮮から引き出すべく、六者会合をはじめ関係国と一層緊密に連携してまいります。拉致問題については、新たに設置した拉致問題対策本部のもと、すべての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、政府の総力を挙げて最大限の努力を尽くしてまいります。
(貧困や紛争、災害からいのちを救う支援)
アフリカをはじめとする発展途上国で飢餓や貧困にあえぐ人々。イラクやアフガニスタンで故郷に戻れない生活を余儀なくされる難民の人々。国際的テロで犠牲になった人々。自然災害で住む家を失った人々。こうした人々のいのちを救うために、日本に何ができるのか、そして何が求められているのか。今回のハイチ地震の惨禍に対し、わが国は、国連ハイチ安定化ミッションへの自衛隊の派遣と約七千万ドルにのぼる緊急・復興支援を表明しました。国際社会の声なき声にも耳を澄まし、国連をはじめとする国際機関や主要国と密接に連携し、困難の克服と復興を支援してまいります。
七 むすび
いのちを守りたい。
私の友愛政治の中核をなす理念として、政権を担ってから、かたときも忘れることなく思い、益々強くしている決意です。
今月十七日、私は、阪神・淡路大震災の追悼式典に参列いたしました。十五年前の同じ日にこの地域を襲った地震は、尊いいのち、平穏な暮らし、美しい街並みを一瞬のうちに奪いました。
式典で、十六歳の息子さんを亡くされたお父様のお話を伺いました。
地震で、家が倒壊し、二階に寝ていた息子が瓦礫の下敷きになった。
積み重なった瓦礫の下から、息子の足だけが見えていて、助けてくれというように、ベッドの横板を とん、とん、とんと叩く音がする。
何度も何度も助け出そうと両足を引っ張るが、瓦礫の重さに動かせない。やがて、三十分ほどすると、音が聞こえなくなり、次第に足も冷たくなっていくわが子をどうすることもできなかった。
「ごめんな。助けてやれなかったな。痛かったやろ、苦しかったやろな。ほんまにごめんな。」
これが現実なのか、夢なのか、時間が止まりました。身体中の涙を全部流すかのように、毎日涙し、どこにも持って行きようのない怒りに、まるで胃液が身体を溶かしていくかのような、苦しい毎日が続きました。
息子さんが目の前で息絶えていくのを、ただ見ていることしかできない無念さや悲しみ。人の親なら、いや、人間なら、誰でも分かります。災害列島といわれる日本の安全を確保する責任を負う者として、防災、そして少しでも被害を減らしていく「減災」に万全を期さねばならないとあらためて痛感しました。
今、神戸の街には、あの悲しみ、苦しみを懸命に乗り越えて取り戻した活気が溢れています。大惨事を克服するための活動は地震の直後から始められました。警察、消防、自衛隊による救助・救援活動に加え、家族や隣人と励ましあい、困難な避難生活を送りながら復興に取り組む住民の姿がありました。全国から多くのボランティアがリュックサックを背負って駆け付けました。復旧に向けた機材や義捐金が寄せられました。慈善のための文化活動が人々を勇気づけました。混乱した状況にあっても、略奪行為といったものは殆どなかったと伺います。みんなで力を合わせ、人のため、社会のために努力したのです。
あの十五年前の、不幸な震災が、しかし、日本の「新しい公共」の出発点だったのかもしれません。
今、災害の中心地であった長田の街の一画には、地域のNPO法人の尽力で建てられた「鉄人28号」のモニュメントが、その勇姿を見せ、観光名所、集客の拠点にさえなっています。
いのちを守るための「新しい公共」は、この国だからこそ、世界に向けて、誇りを持って発信できる。私はそう確信しています。
人のいのちを守る政治、この理念を実行に移すときです。子どもたちに幸福な社会を、未来にかけがえのない地球を引き継いでいかねばなりません。
国民の皆さま、議員の皆さん、輝く日本を取り戻すため、ともに努力してまいりましょう。
この平成二十二年を、日本の再出発の年にしていこうではありませんか。
NGOとは?
Non-Governmental Organizationの略
もともとは、国連と政府以外の民間団体との協力関係について定めた国連憲章第71条の中で使われ ている用語です。国際協力に携わる「非政府組織」「民間団体」のことを意味します。
開発、人権、環境、平和など地球規模の問題に国境を越えて取り組んでいる非営利の民間組織をNGOと呼んでいます。
日本では、1960年代に活動が始まり、70年代末のインドシナ難民の国外流出問題を契機に難民 救出を目的とするNGOが数多く発足しました。
その後、中長期的な開発問題への取り組みや地球環境の保全、基本的人権の擁護といった課題へ とその活動領域を広げています。現在、全国で約300団体以上のNGOが海外のNGOと協力関係を 持ちながら活動しており、その活動が高く評価されています。
*NGO活動センター(JANIC)資料より一部抜粋
日本のNGO団体の目的や活動内容などが掲載されている「NGOダイレクトリー’96」がNGO活動推 進センターより有料配布されています。
<お問い合わせ> NGO活動推進センターTEL.03-3294-5370
NGO(Non-Govermental Organaizations)、すなわち日本語で「民 間公益団体」。「非政府機関」「民間自発団体(PVO)」ともいう。 市民の海外協力団体をさす。軍縮、人権、開発などさまざまな分野で、 各国の国内NGOが、国連諸機関の活動と協調して、あるいは独自に、 活動を展開するようになった。
(現代用語の基礎知識1990より抜粋一部変更)
NPOとは?
Non-Profit Organizationの略
「民間非営利団体」「民間公益組織」などと訳されています。非営利(利潤追求・利益配分を行わない こと)と同時に、非政府である(政府機構の一部ではない)こと、自主的、自発的な活動を行うことなど も意味されています。
日本では、市民団体、ボランティア活動の推進団体、公益法人の一部などが該当しますが、導入され て間もない概念のため、実際はどこまでがNPOにあたるかなど、まだわが国では、その範囲が明確 に合意されていません。
*「ボランティア新世紀」(第一法規)より出展
http://ja.wikipedia.org/wiki/NPO
NPO - Wikipedia
http://prefnpo.ddo.jp/cgi-bin/db.cgi?mode=view&no=201
長野県認証NPO法人データベース アイあい21
『カエルの会』
今後の計画はどうするか