NPO法人とは何か? |
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NPO法人とは営利を目的としない活動を行う団体で、平成10年3月25日に施行されました。この資格を得るためには、内閣府や都道府県などの所轄庁の認証を得て法人登記をする必要があります。NPOの認証数はというと、平成19年現在で全国で凡そ33,000法人となっており、長野県では約690団体が認証されています。
NPO法人の活動範囲は下記の17分野に限定されます。
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号数 |
活 動 の 種 類 |
第1号 |
保健・医療又は福祉の増進を図る活動 |
第2号 |
社会教育の推進を図る活動 |
第3号 |
まちづくりの推進を図る活動 |
第4号 |
文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 |
第5号 |
環境の保全を図る活動 |
第6号 |
災害救援活動 |
第7号 |
地域安全活動 |
第8号 |
人権の擁護又は平和の推進を図る活動 |
第9号 |
国際協力の活動 |
第10号 |
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 |
第11号 |
子どもの健全育成を図る活動 |
第12号 |
情報化社会の発展を図る活動 |
第13号 |
科学技術の振興を図る活動 |
第14号 |
経済活動の活性化を図る活動 |
第15号 |
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 |
第16号 |
消費者の保護を図る活動 |
第17号 |
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 |
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活動分野別の認証数(定款記載数)で言うと、「保健・医療又は福祉」が最も多く、続いて「社会教育」、「まちづくり」、「文化、芸術又はスポーツ」と、ほぼ号数の昇順になっています。
つまり、営利を目的とした会社では活動のし難い、保険・福祉・教育といった公共性の高い分野において活動が盛んであることが言えます。
具体的な事業活動を示しますと、
- 高齢者や障害者の移送サービス
- タクシー事業
- 病院経営
- 都市計画や建築工事
なお、非営利とは利益の配分をしてはならないという意味であり、収益事業を行っても何の問題もありません。 |
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なぜNPO法人を設立するのか? |
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なぜNPO法人を設立するのでしょうか?それは、NPO法人を設立するメリットがあるからです。
まず、NPO法人は国策です。つまり国が率先して設立を促し、小さな政府・自治の実現のために、現在公共で行っている事業をNPO法人に移管、あるいは共同して行っていこうという目的があるのです。
- ■ 資金的メリット
NPO法人化することで、個人・団体では不可能であった資金が調達できるからです。調達もとには金融機関のほか、公的な補助金・助成金が受けられ、また国税庁認定NPOになれば、企業や個人からの寄付を受けることもできます。
また、NPOの設立にあたっては、株式会社や有限会社のような最低資本金の規制がありませんので、誰でも、資金なしで設立することができます。
- ■ 社会的メリット
NPO法人は公益法人となります。当然、社会的信用度も高くなり、組織(法人)として各種の契約が締結できたり、法人名義で銀行口座などを開設することもできます。また、公共施設を利用しやすくなります。
- ■ 継続的メリット
NPO法人は資産を保有することができます。つまり、法人名義で車や土地を所有できるということです。そして法人格である以上、これらの資産は理事等の設立者の死亡後でも、法人組織に帰属し、未来へ存続していくことができるのです。
- ■ 事業的メリット
冒頭でも説明しましたが、NPOは国策です。行政庁は公共事業をNPOに移管していこうという施策にありますので、国や公共自治体からの業務委託を受けたり、審議団体となることができます。
- また、NPO事業では、職員を雇用することができます。この職員はボランティアである必要はありませんので、給料を支払い、社会保険や厚生年金に加入することもできるのです。
さらに、福祉の分野においては、従来は社会福祉法人が行っていた介護ビジネスをNPOが行うことができます。つまり、介護保険法の指定事業になれるのです。
- ■ 税務的メリット
NPO法人が行う非営利活動には法人税が課税されません。ただし、収益活動を行っている場合には、その収益活動については法人税が課税されます。
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NPO法人となるには? |
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NPO法人は、所轄庁の認証を受け、登記を完了することによって成立します。所轄庁は、原則は都道府県ですが、事務所が複数県にまたがって設置される場合、内閣府となります。
NPO法人の具体的な設立は次の手順で行われます。 |
プロセス |
内 容 |
1 |
法人化の検討 |
設立関係者が集まって、自分たちの行う活動がNPOの活動分野に該当するか、また、法人化した場合の事業活動の内容と継続性について検討します。 |
2 |
申請書類の作成 |
所轄庁に申請する書類の作成に着手します。 |
3 |
設立総会の開催 |
作成した申請書類の内容で法人設立することを確認・正式決定します。 |
4 |
認証申請 |
申請書類を所轄庁に認証申請します。 |
5 |
認証通知 |
申請受理後、2ヶ月以上、4ヶ月以内に認証の可否通知を受け取ります。 |
6 |
設立登記 |
認証通知受理後、2週間以内に、設立登記を行います。 |
7 |
登記完了と所轄庁への届出 |
登記の完了をもって正式にNPO法人が成立しますが、この登記簿謄本等を所轄庁へ提出します。 |
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NPO法人の認証要件は次のとおりです |
項 目 |
認 証 要 件 |
組 織 |
設立者 |
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社員 |
- 最低10名以上 (社員とは従業員ではありません)
- 社員の資格に不当な条件をつけないこと
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役員 |
- 理事 3名以上、監事 1名以上
- 理事または監事は、それぞれの定数の2/3以上いること
- 役員のうち報酬を受ける者の数が1/3以下であること
- 役員は、被後見人や被保佐人など、法20条に規定する欠格事由に該当しないこと
- 各役員について、その配偶者もしくは3親等以内の親族が2人以上いないこと。各役員ならびにその配偶者および3親等以内の親族の数が、役員総数の三分の一を超えないこと
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暴力団もしくはその構成員の統制の下にある団体でないこと |
活動目的 |
NPO法で指定された17の分野に該当すること |
不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを主な目的とすること |
活 動 |
営利を目的としないこと |
宗教活動や政治活動を主な目的としないこと |
特定の公職の候補者もしくは公職にある者または政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと |
特定の個人または法人その他の団体の利益を目的として事業を行なわないこと |
特定の政党のために利用しないこと |
特定非営利活動に係る事業に支障をきたす程の収益活動を行わないこと |
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NPO法人の認証申請にあたり必要な書類は、概ね次のとおりになります。
- 申請書
- 定款
- 役員名簿
- 就任承諾書
- 役員の住所又は居所を証する書面
- 宣誓書
- 役員のうち報酬を受ける者の名簿
- 社員のうち10人以上の者の名簿
- 確認書
- 設立趣旨書
- 設立者名簿
- 設立についての意思の決定を証する議事録
- 設立当初の財産目録
- 設立当初の事業年度を記載した書面(事業年度を設ける場合)
- 設立の初年及び翌年(当初の事業年度及び翌事業年度)の事業計画書
- 設立の初年及び翌年(当初の事業年度及び翌事業年度)の収支予算書
このように、設立にあたっては前もって明確な事業計画と収支予算の計画が必要です。 |
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NPO法人の設立後は? |
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NPO法人として認証設立後は、法人格を与えられた以上しなければならない義務が発生します。
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- ■ 活動報告の義務
NPO法人は毎事業年度終了後、次の書類を、毎事業年度開始から3ヶ月以内に作成して所轄庁に提出しなければなりません。
- 事業報告書
- 財産目録
- 貸借対照表
- 収支計算書
- 前年において役員であったことがある者の名簿及びそのうち前年において報酬を受けたことがある者全員の名簿
- 社員のうち10人以上の者の名簿
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- ■ 会計の義務
NPO法人の会計は通常の企業会計原則とは異なり、NPO法において会計の原則が定められております。
また、NPO法人の会計についてはNPO特定非営利活動促進法の規定により、特定非営利活動に係る事業と収益事業を区分経理しなければなりません
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- ■ 納税の義務
NPO法人は、会費、寄付金、助成金、補助金などの収入は非課税ですが、 法人税法上の収益事業については、普通法人と同じ扱いとなり、法人税申告の義務があります。
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国税庁認定NPO法人とは? |
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既にNPO法人になっている法人のうち、一定の要件を受けたものを「認定特定非営利活動法人」と認定し、その認定NPO法人に対して税の支援措置を与えるということが基本的な内容です。
NPO法人は、税務署を通じて認定NPO法人の認定申請をすることができ、国税庁長官は、この申請した法人が、一定の要件を満たすと認めるとき、その法人を 「認定NPO法人」と認定することになります。
なお、認定の有効期間は国税庁長官が定める日から2年間です。 |
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主な優遇措置は次のとおりです。
- 国税庁長官の認定を受けたNPO法人に対して寄付した個人は、その支出した寄付金に対して、寄付金控除等の対象とする税制上の特例措置が講じられます。
- 国税庁長官の認定を受けたNPO法人に対して寄付した法人は、その法人が支出した認定NPO法人に対する寄附金について、一般の寄附金の損金算入限度額とは別に、当該損金算入限度額の範囲内で損金算入が認められます。
- 相続又は遺贈により財産を取得した者(平成13年10月1日以後に財産を取得した者に限る)がその取得した財産を相続税の申告期限内に認定NPO法人に対して寄附した場合には、その者又はその者の親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果と認められる場合を除き、当該寄附に係る財産の価額は相続税の課税価格の計算の基礎に算入されません。
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認定NPO法人の要件は、概ね次のとおりです。
- 直前2事業年度における総収入(一定の額を控除)に占める受入寄附金総額(一定の額を控除)の割合が3分の1以上であること
- 直前2事業年度において、同一の市町村内における受入寄附金、活動、受益者のいずれかの割合が80%以下であること
- 共益的・互助的な活動、特定の著作物等に関する活動などの占める割合が50%未満であること
- 役員又は社員と親族関係を有する者又は特殊な関係にある者、特定の法人の役員又は使用人である者及びこれらの者の親族等が役員又は社員数の3分の1以下であり、公認会計士若しくは監査法人の監査を受けていること
- 事業費の総額のうちに特定非営利活動に係る事業費の額の占める割合が80%以上であることや、受入寄附金の70%以上を特定非営利活動に係る事業費に充てていること等
- 法令に違反する事実、偽りその他不正の行為により利欲を得、又は得ようとした事実またはその他公益に反する事実がないこと
- 申請書を提出した日を含む事業年度開始の日において、その設立の日以後1年を超える期間が経過していること
- 申請の際、所轄庁から、その法人につき法令、法令に基づく行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当の理由がない旨の証明書の交付を受けていること
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