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【 05 】
        2022/4/6~2022/6/19まで

 22/06/21  国際ニュース解説

すでに負けているウクライナを永久に軍事支援したがる米国
 【2022年6月19日】米国は今後もずっと、勝てないし崩壊しそうなウクライナを軍事支援する。米上層部は、最終的にロシアの勝利になることを覚悟しつつ、ウクライナがロシアを打ち負かすのだという表向きの論調(妄想)をマスコミ権威筋に採らせ、崩壊寸前のウクライナに何年も兵器と資金をつぎ込んで延命させていくつもりだ。米国側がウクライナ戦争でロシア敵視の経済制裁を続けるほど、エネルギーや資源類を握るロシアなど非米諸国が資源類を高値でしか流さなくなり、米国側のインフレや物不足がひどくなり、米連銀QE終了による金融危機・ドル崩壊の進行と相まって、米国覇権の瓦解が進む。

◆もっとひどくなる金融危機
 【2022年6月15日】世界的にインフレが悪化し、金利が上がって株や債券が下落している。米銀行界で金融機関が相互に信用しなくなる信用収縮が起きているとの指摘もある。米連銀はインフレ対策として利上げとQT策をやっているが、インフレの原因は通貨政策でなく流通網の詰まりや対露制裁なので、利上げとQTの緊縮策をやってもインフレはおさまらない。連銀はインフレがおさまるまで緊縮を続けると言っているが、これは金融崩壊を引き起こすだけの不必要な大失策だ。高金利による不況とインフレの同時進行が来年まで続く。

◆当事者能力を失う米国
 【2022年6月11日】米バイデン大統領は、愚痴みたいな言い方をするばかりで、実効性がある政策を進めておらず「大統領ごっこ」をしているだけだ。バイデンが頓珍漢ばかり言い続けるのは、諜報界が送り込んだ側近たちが大統領に言わせているからだ。米諜報界が自作自演でインフレを起こし、それに対する間違った対策としてQTを進めてドルが崩壊していく。諜報界は、稚拙なウクライナ戦争でロシアや非米側に資源類を牛耳らせて台頭させ、米覇権の崩壊と多極化を引き起こす。頓珍漢なバイデンは、こうした策略の道具の一つだ。米諜報界は、米国の覇権国としての当事者能力を失わせている。

ひどくなる大リセット系の嫌がらせ
 【2022年6月9日】大リセット系の嫌がらせは、米国側の先進諸国の人々が受け入れている限りずっと続く。人々が温暖化やパンデミックなど大リセットのインチキを見破って政治的に拒否するようになると、大リセットは「失敗」という完成段階に近づいていく。大リセットは全体的に、未必の故意的に失敗させることによって本来の目的を達成する策略である。

◆ビルダーバーグが多極化と米欧崩壊を議論
 【2022年6月5日】6月2-5日のビルダバーグ会議は、多極化と米欧崩壊について議論した。ウクライナ開戦で急に激しくなった多極化の動き、NATOの挑戦(ロシアに勝てない失策)、エネルギー安保、グローバル化の巻き戻し(非米側諸国の金資源本位制による下剋上)、国際金融システムの混乱(米連銀のQE終了QT開始によるバブル崩壊)、米欧民主社会の分裂(米民主党体制下での社会破壊)、偽情報問題(米諜報界の隠れ多極主義者たちによるプロパガンダと諜報分析の意図的な発狂策)などが語られた(カッコ内は私なりの解説)。彼らが金融崩壊について議論したことは重要だ。早ければ今秋、遅くても来年秋に大崩壊するのでないか。崩壊したらQT中止・QE再開で延命させるかもしれないが。

ロシアの優勢で一段落しているウクライナ
 【2022年6月4日】軍事でも経済でも、ロシアの優勢で事態が一段落している。しかし日本など米国側のマスコミやネット大手ではこうした状況が全く報じられず、正反対の、ロシアが今にも潰れそうな妄想話ばかりが流布し続ける。米国側の自滅を加速する対露制裁が今後も続き、ロシアはますます優勢になる。こういう状態がたぶん来年まで続く。その間に米国の金融システムがQT由来の大崩壊を引き起こし、米国の覇権が崩れ、ロシアなど非米側が台頭して覇権が多極型に転換していく。マスコミはその流れを報じず、多くの人が気づかないうちに覇権転換が進む。

◆ドイツの失敗
 【2022年5月30日】今年のウクライナ開戦で、欧州と世界の冷戦後は終わった。QE終了でドル崩壊が加速し、替わりに露中・非米側の金資源本位制が強くなり、米国覇権体制も終わっていく。ドイツが率いるEUが世界の極の一つになるシナリオは失われて久しいが、代わりにドイツが採り続けた対米従属の方針も、米国覇権の終了とともに失われる。それが見えてきたのに、いまだにドイツやEUは対米従属のままロシアを敵視し、事前の準備も全くせずに自分たちが依存しているロシアからの石油ガス輸入を止める対露経済制裁をやろうとしてできず、大失敗している。

人類を怒らせるための大リセット
 【2022年5月29日】エリートが推進する大リセットは、人々を怒らせ、下からのエリート敵視が強まる。怒った人々は、左派・民主党でなく右派ポピュリズム・トランプ共和党のもとに結集する。米国は今後の選挙で共和党やトランプの勝ちになり、反エリート・大リセット反対・中国敵視の右派ポピュリズムの国になっていく。ナショナリズムが強まり、国権をWHOに譲り渡すパンデミック条約を離脱する。覇権運営のエリートやマスコミが凋落して覇権が放棄され、QTでドルが崩壊して多極化が進む。欧州もハンガリーのような右派ポピュリズムの国が増え、対米従属やロシア敵視をやめて自立する。大リセットは、草の根運動に潰されて乗り越えられるために存在している。ひどいディストピアが描き出されるほど反対派が鼓舞される。

◆左派覇権主義と右派ポピュリズムが戦う米国
 【2022年5月26日】ツイッターなどSNSで言論が統制・歪曲されている新型コロナ、地球温暖化、露中敵視、CRT、米違法移民、似非ジェンダー問題は米国で、いずれも左派覇権主義・民主党が言論統制や歪曲・運動推進に積極的で、右派ポピュリズム・共和党は歪曲に気づいて反対している(露中敵視は共和党も反対してない)。左派は自分たちの歪曲された(似非)運動を「覚醒運動」と呼んでいるが、それが歪曲な似非・妄想だと気づいている右派の方が、実は覚醒している。だがSNSやマスコミでは右派の言論の方が妄想扱いされている。覚醒は妄想で、妄想が覚醒だというジョージ・オーウェル1984型になっている。

複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ
 【2022年5月25日】米国側は金融崩壊してドルの力が低下していく。人類が日々必要とする石油ガス穀物など資源類の多くは非米側が持っている。資源類のドル建て価格が上昇していく。インフレや食糧難が世界的にひどくなる。インフレ激化や穀物戦争も、ウクライナ複合戦争の一部である。金融も石油ガス穀物も、米露だけでなく全世界を巻き込んでいる。今起きているのは単なる複合戦争でなく「複合世界大戦」、世界が米国側と非米側に二分されて勝敗がついていく「複合大戦」である。

中国と戦争しますか?
 【2022年5月22日】米英は中露に対して何をやりたいのか。日豪をNATOに入れたり、日本をファイブアイズやAUKUSに加盟させて、同盟諸国にもっと中露敵視をやらせたい?。同盟諸国に加圧し、米国側が団結して中露敵視を強めると、うまくいくのか?。いくわけない。米国側が敵視を強めるほど、中露は結束を強め、米国側を無視して自分たち非米側の世界を運営していくようになる。米国は中国と戦争する気がない。戦争せず敵視だけして対立感を醸成し、中露の結束を強化してやっている。

◆米政治家らに横領されるウクライナ支援金
 【2022年5月18日】米政府は開戦以来530億ドルをウクライナに支援していることになっている。だが米政界では、これらの支援金のかなりの部分が目的通りにウクライナのために使われず、不正使用や使徒不明になるのでないかという疑いが共和党側で強まっている。民主党系の米議員たちが親族や友人にウクライナ関連のNGOを作らせ、支援金の一部がそれらのNGOに入る構図が作られている疑いがある。NGOは何もせず報告書だけ巧妙に書き、NGOが米政府からもらった資金は議員と仲間たちで山分けされそうだ。日欧からの支援金も、この不正構造の中に流入させられている懸念がある。

フィンランドとスウェーデンNATO加盟の自滅
 【2022年5月16日】北欧2か国はロシアやウクライナに近いから、いくらでも独自の情報を集めて分析できる。今回それをやっている北欧2国の諜報員や外交官もいるはずだ。しかし、彼らが政府に出す報告書は首脳陣に軽視されている。米国の諜報界やマスコミ権威筋の全体が今回のように無茶苦茶な大間違いを信じ込んで流布したことは、これまでになかった。だから、メディアリテラシーを意識する人もコロリと騙されている。

米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化
 【2022年5月15日】都市閉鎖やゼロコロナなど超愚策で欧米経済が自滅するコロナ危機。非米側との対立激化で米国側の経済が自滅するロシア敵視。化石燃料使用停止で欧米経済が自滅する温暖化対策。いずれも過激な歪曲覇権体制を組んで強く推進するほど、欧米経済の自滅が加速し、米覇権の崩壊と多極化が促進される。コロナもロシア敵視も温暖化対策も、隠れ多極主義の策略だ。これを推進しているのは米諜報界の多極派である。これらの歪曲策は今後もずっと続き、米覇権崩壊と多極化が完了するまで終わらない。2度の大戦のロックフェラー以来、ずっと続いてきた隠れ多極派は、75年かけて諜報界を乗っ取って米覇権を自滅させて世界を多極化している。

◆来年までにドル崩壊
 【2022年5月11日】米英と対照的に日本とEUの中央銀行群はQEをやめてない。米英の中銀は多極派に乗っ取られて自滅的なQTを開始しているが、日本はその外におり、欧州もまだ何とか自立しているのでQEをやめていない。円安は150円や200円を超えるかもしれないが、ドル崩壊までの一時的な話であり、急にQEをやめて金融崩壊するよりましだ。これから米英がQTを進めてすごい金融崩壊になっていく中で、日銀はQEを続けていた方が金融的な余力を持ち続けられる。

同盟諸国とロシアを戦争させたい米国
 【2022年5月5日】米国自身は決してウクライナに派兵しない。米大統領府がウクライナの戦況を歪曲して実際と全く違う「露軍の大敗北」の話にしているからだ。今のように戦況をわざと大間違いして議会や国民に信じ込ませ、諜報界に正しい調査をさせないまま米軍を派兵すると、米軍は失敗して無駄な戦死者を出し、厭戦気運が高まってバイデンの人気がますます下がる。米大統領府が戦況分析を故意に大間違いしている限り、米軍は派兵されない。大間違いの戦況分析を正しい方向に転換するのは困難なので、米国は今後もずっとウクライナに参戦しない。ポーランドや独仏に参戦しろとせっつくだけだ。

ウソだらけのウクライナ戦争
 【2022年5月3日】ウクライナ戦争でウソ報道の必要性が急増し、米国では検閲体制が組まれて報道の自由が失われている。報道の自由だけでなく、国民の言論の自由も剥奪されつつある。米政府の国土安全保障省の中に「偽情報統制委員会」(Disinformation Governance Board)が作られ、ウクライナ戦争やその他の分野でのウソ情報・偽情報の発信者を検挙していく体制が組まれた。新委員会の任務は、米政府のウソ情報を鵜呑みにしない人々、米政府のプロパガンダを拒否して対抗してくる人々を、偽情報の発信者とみなして取り締まることにある。新委員会にとっては、ウソを信じる人が正しい人で、ウソを信じずに正しいことを言う人は偽情報を発信する犯罪者である。ジョージ・オーウェルの1984に出てくる「真理省」と同じだ。

◆ロシアを皮切りに世界が金本位制に戻る
 【2022年4月30日】ロシア政府が「金資源本位制」の導入を検討していることを正式に認めた。3月末からロシア中銀が1g5000ルーブルの固定相場で国内銀行から金地金を買い始め、金本位制への移行が感じられていた。これまで非公式だった金資源本位制の導入が今回正式なものになったことは、この導入がうまくいきそうだと露政府が考えていることを感じさせる。金本位制の導入は人類にとってニクソンショック以来51年ぶりだ。QEの終了によっていずれ米国側の金融が大崩壊してドル基軸が喪失すると、日米欧の米国側も通貨の立て直しのために金本位制を導入せざるを得なくなる。世界はドル崩壊と金本位制に向かっている。

ウクライナ戦争で最も悪いのは米英
 【2022年4月29日】米英は、ごろつきだったウクライナの極右ネオナチの人々を集めて訓練して武装させ、ウクライナ人だけでは足りないので欧米諸国からも募集して合流させた。米英は、極右やネオナチを集めて民兵団を作り、8年間にわたってロシア系住民を虐殺させた。米英の行為は極悪な戦争犯罪である。米英がウクライナに作って育て、親露派を虐殺し続けた極右ネオナチの民兵団を潰すのが、今回のロシアのウクライナ攻撃の目標の一つである「ウクライナの非ナチ化」になっている。正当な目標だ。ウクライナ戦争はロシアにとって正当防衛だ。

ノボロシア建国がウクライナでの露の目標?
 【2022年4月25日】露軍は今後、当初の目標である東部のドンバス2州を完全に管理下に入れるだけでなく、まだウクライナ側の管理下にある南部地域にも支配を広げ、沿ドニエストル共和国までロシアから陸路で行けるようにすることを目標にする。露軍のウクライナでの今後の目標はノボロシアの領土確保であるようだ。

◆権威筋や米国覇権のゾンビ化
 【2022年4月24日】マスコミやSNSは、コロナの脅威を誇張するばかりで、それを誇張だと正しく指摘する人々を間違っていると言って猛然と非難することをやり続けてきた。マスコミもジャーナリズムもSNSも、表向きは従来どおり機能しているように見えて実は全く別のものになっており、ゾンビ化している。正しいことは間違っていて、間違っていることが正しいという、オーウェル1984の状態になっている。そしてマスコミやSNSがコロナによって十分にゾンビ化し、それが一段落したところで、そのゾンビ化の状態がそっくりそのまま「活かせる」新たな事象として、ウクライナ戦争による強烈なロシア敵視が始まっている。

フランス大統領選でルペンが勝つかも
 【2022年4月22日】仏有権者の全体で、マクロン票の中には右翼を嫌う反ルペンの消極票が多い。対照的に、ルペン票の中には政策を支持する積極票が多い。支持者に占める熱心な人の割合は、マクロン54%、ルペン64%だ。当日の天候や社会情勢などの影響で全体的な投票率が低いほど積極票が多くなり、ルペンが有利になる。投票率が高くても接戦になり、マクロンが勝っても辛勝になる。

濡れ衣をかけられ続けるロシア
 【2022年4月21日】ミサイルの着弾地であるクラマトルスク駅と、胴体の落下地点である市内の小公園をつないだ線を延長していくと、45キロ先のドブロビリアの近くに、ウクライナ軍で唯一のトーチカUの保有部隊である第19ミサイル旅団の基地がある。ウクライナ軍の第19ミサイル旅団がトーチカUを発射してクラマトルスク駅で子供たちを殺したことはほぼ間違いない。地上軍以外がとても貧弱なウクライナ軍にとってトーチカUは貴重な兵器であり、第19ミサイル旅団は軍や政府の上層部と直結する指揮系統にある。クラマトルスク駅攻撃を命じたのはウクライナ政府の上層部だろう。

◆米欧との経済対決に負けない中露
 【2022年4月17日】ロシアがウクライナで戦争を始めたことにより、世界は、ロシアを徹底的に敵視・制裁する米国側と、ロシアと付き合い続ける非米側に二分された。ロシアを敵視したくない国々は米覇権システムに頼れなくなって非米側に入る傾向だ。世界の79億人のうち、米国側は10億人ほどで、残りの70億人近くは非米側に入る。世界を一つの経済システムで統合していた米国覇権は、世界の8分の1だけを統括する小さな体制に成り下がった。

◆米露の国際経済システム間の長い対決になる
 【2022年4月15日】ロシア政府はウクライナでの軍事作戦によって米国の覇権体制を終わらせるのが目標だと宣言している。これと正反対に米国政府はロシアを弱体化するのが米国の目標だと言っている。米国とロシアは直接軍事的に交戦しているわけでなく、ウクライナでの戦闘だけでは米国もロシアも潰れない。相互に相手を潰すと言っている果たし合いの主戦場は軍事でなく、経済制裁やドル利用回避、金資源本位制への移行の成功など、米国側とロシア・非米側、金融側と現物側が、経済政策を使って相互に相手方の国際経済システムを破壊しようとする経済対決である。この手の対決は簡単に終わらず、決着がつくまでには何年、長ければ何十年もかかる。

中立が許されなくなる世界
 【2022年4月14日】ロシア敵視しない国を敵とみなす米国の姿勢は、日韓などアジアの同盟諸国にも適用されている。だが米国側が日韓に強く要求することは、ロシア敵視よりも中国敵視である。欧州はロシアからの天然ガス輸入を止めさせられつつあるが、アジアでは、日本がサハリンからのガス輸入を止めず、韓国がロシアから石油ガスの輸入を急増しても、米国は黙認している。米国側は日韓に、ロシアとの関係を切れと言う前に、中国敵視を強めろ、日本はAUKUSに入ったらどうか、韓国はクワッドのサミットに出なよ、と言っている。

まだまだ続くロシア敵視の妄想
 【2022年4月13日】ウクライナ戦争は、すでに戦闘がだいたい終わっているが、米国側のマスコミ権威筋が描いて人々に軽信させ続ける妄想の構図として、激しい戦闘や残虐な市民殺害が延々と続くように演出がなされる。プーチンのロシアは今後もずっと米国側から敵視され続ける。プーチンはそれを歓迎している。米NATOは、ロシア敵視をしたがらない中立諸国に対する脅しや敵視を続け、中立諸国は米国を嫌ってロシア側についていく。すでに世界の資源類の大半は、親露もしくは中立な諸国が持つ利権になっている。米NATOがロシア敵視を続けるほど世界の資源がロシア側に属する傾向になり、米国側よりもロシア側(非米側)が豊かになる。

◆金融大崩壊か不正QTか
 【2022年4月10日】米連銀がこれから正直にQTをやって金融崩壊が起きると、幽閉されてきた金相場が高騰し、金本位的な体制を取り始めているロシアのルーブルが強化され、非米側の金資源本位制が成功する。 米国側は金融危機によって劇的に覇権崩壊し、インフレ、資源不足によって経済が悪化し、覇権対立は非米側の勝ち、米国側の負けになる。 そうでなく、連銀がこれから不正なQTをやっていくと、米国側の金融バブルは維持されて覇権崩壊がゆっくり進み、非米側と米国側の対立は決着がつかずに長引く。

【下平記】 不正なQTとは何か?

市場の話題「量的引き締め=QT」とは何か? 仕組みと株価に与える影響を探る!
最終更新 2022/1/19 16:30
株式マーケット為替・金利利上げインフレQEテーパリング米株市場の話題QTFRB

【QUICK Money World 荒木 朋】2022年に入り世界の株式市場が不安定さを増しています。きっかけは、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策の正常化が急ピッチに進むとの見方が強まったためです。21年11月に米国債などを買い入れる量的金融緩和の縮小(テーパリング)を開始し、正常化への第一歩を踏み出したFRBですが、テーパリングは今年3月に終了し、利上げに動くとの見方が金融市場ではコンセンサスとなっていました。しかし、市場の驚きを誘ったのは、FRBが「量的引き締め(QT)」にも前向きな姿勢を示していることが明らかになった点です。今回のキーワードとなる「量的引き締め(QT)」とは何かを解説するとともに、今後の金融市場などへの影響について考えていきたいと思います。

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「量的引き締め(QT)」とは何か?
FRBは1月5日、21年12月開催の金融政策決定会合である米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表しました。そこで明らかになったのは、FOMC参加者が従来想定よりも早く、かつ速いペースで利上げすることや、利上げ後しばらくして「量的引き締め(QT)」に動くことが適切との判断を示していた点です。

前のめりにも見えるFRBの背中を押しているのは、39年ぶりの上昇率となった消費者物価指数(CPI)などが示すインフレの加速です。過度にインフレが進むと景気を大幅に後退させるリスクがあります。これは過去の歴史が証明しています。最近の物価上昇は当初、一時的な事象と考えられていましたが、いまとなっては様々な要因が重なり持続性のある経済現象と受け止められています。

さてQTの話に戻りますが、これは英語の「Quantitative Tightening」の頭文字をとった略称で、量的金融緩和(Quantitative Easing=QE)を解除することを意味します。QE政策で中央銀行が市場から買い入れた国債などの金融資産について、満期を迎えた債券の再投資を停止して償還させたり、保有資産を売却したりすることにより、QEによって拡大したバランスシートを段階的に圧縮させることをQTといいます。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化を受け、FRBは20年3月に政策金利をゼロ%近辺まで引き下げるとともにQEを含む大規模な金融緩和を実施しました。金融緩和の効果があらわれ始めたため、FRBは現在、多額の金融資産買い入れを減らすテーパリングを実施していますが、QEは続いている状態です。そのQEは3月にも終了する予定ですが、QE終了後にそれほど間をおかず、積み上がったバランスシートを縮小させるQTにも踏み込む可能性が意識されています。

FRBの保有資産は現在9兆ドル弱と、20年3月の4兆ドル台から2倍強に膨らんでいます。QTは9兆ドル弱に膨らんだこの保有資産を徐々に減らしていき、バランスシートを圧縮していこうというものです。FRBは今年3月のQE終了後に利上げを決めると見込まれていますが、合わせてQTも実施することになれば、金融市場にとっては2重の引き締め圧力がかかることになります。

QT観測に金融市場はなぜ動揺?
FRBは過去、QTを含む金融政策の正常化を進めた実績があります。2008年のリーマン・ショック後に実施したQE政策は14年10月に終了。その後、バランスシートの残高規模を維持しつつ15年12月に利上げを再開。18年末まで利上げを続ける中、17年10月にQTを開始しました。そしてQTは19年7月まで続くことになりました。

金融政策の正常化への過程は、①QE縮小(テーパリング)開始②QE終了③QE終了後も一定期間バランスシートを維持④利上げ開始⑤バランスシートの縮小(QT)開始――という流れで行われたことが分かりますが、QT開始までの時間軸をみると、前回の正常化ではQE終了から3年、利上げ開始から2年弱の期間をおいてからQTが実施されました。

今回の正常化も同様の手順で実施されるとみられていますが、金融市場にサプライズの1つになったのが、その正常化プロセスの早期化観測です。FRBの想定では2022年3月のQE終了後、早い段階で利上げもQTも開始することが適切だと判断していることが明らかになりました。金融政策正常化の早期化はインフレ加速が原因とみられますが、今回、過去に慎重に正常化を進めてきたFRBがインフレ退治に向けてより強い姿勢を示したと受け止められたことが、金融市場の動揺を誘ったのです。

QTによるマーケットへの影響は?

QTを進めることによるマーケットへの影響はどうなるでしょうか。債券市場では、QTは米国債の需給の緩みを意識させることになるため、米長期金利の上昇要因になるとの見方が一般的なようです。というのも、一度購入した債券が償還期限を迎え現金がFRBの手元に戻っても、その資金で再び国債を購入すれば常に買い手が存在することになります。この買い手がついに姿を消すわけですから、国債を買わない=金利が上がるという構図へと局面が変化することを意味します。

また、株式市場には逆風との見方が多いようです。金融政策の正常化は経済状態や金融環境が安定しているからこそ進めるという見方もできますが、QEにより大量に出回ったマネーがこれまでの株式相場を押し上げてきた一因であることは間違いないだけに、QEを巻き戻すQTによるマイナスの影響は無視できないというわけです。市場にじゃぶじゃぶと流れ込んでいたマネーの量が細るだけでなく、ついに滞留していた資金が吸収されるためです。

以下のグラフはFRBのバランスシートとダウ工業株30種平均の推移を表したものです。

https://camo.qiitausercontent.com/06509c6b1a9b80641d1223da9e7487b502578bb5/68747470733a2f2f666972656261736573746f726167652e676f6f676c65617069732e636f6d2f76302f622f68696465616b692d39376335392e61707073706f742e636f6d2f6f2f696d616765732532466c486e32426e35696d315a6578306b317051794d70305738654a6e32253246355931344e7233446c2e706e673f616c743d6d65646961 ※FRBバランスシートとダウ平均の推移

2020年3月に世界的な新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化懸念を背景にダウ平均は急落しますが、その後の大規模なQE政策に伴いFRBのバランスシートが拡大、それに歩調を合わせるようにダウ平均も急回復したことが分かります。コロナ・ショック後の株高の一因がバランスシートの拡大によるものであるとするならば、その逆回転が起きれば株価にはマイナスとなり、下げ圧力が強まりかねないとの懸念につながっているようです。

ちなみに、前回の金融政策の正常化で、利上げとQTが重なったのは2018年でしたが、この期間のダウ平均は約6%の下落となりました。

日本の株式・金融市場を見渡すと、外国為替市場では米金利上昇に伴うドル買いを背景に円安・ドル高が進みやすいとみられています。株式市場では、円安は輸出関連企業には追い風となるものの、輸入物価の上昇などを通じて内需関連株を中心に企業収益の圧迫要因にもなります。

そもそも金利の上昇は、借金をする際の利息が増えることも意味します。借金をして事業を拡大しようとする成長企業にとっては、借金返済の金額が増えるだけに業績の圧迫要因になりかねません。ゆえに金利の上昇は特に成長企業の銘柄群、いわゆる「グロース株」にとって強い逆風となるのです。

まとめ

インフレ圧力が高まる中、金融引き締めに前向きな姿勢を強め始めたFRB。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン株」が経済に及ぼす影響など不確定要素もありますが、QTを巡る議論が浮上したことで金融政策の正常化が想定以上に前倒しで進められる可能性が金融市場では強く意識されています。

FRBはこれまで巧みな市場との対話によって、幾度となく金融市場の混乱を抑えてきました。そのため、パウエルFRB議長の手腕が期待されますが、当面はQTを巡るFRB高官の発言に一喜一憂する展開が想定されます。QTの動向は今後の金融市場の行方を占う重要なカギとなりそうなだけに、QTに関連するニュースは細かくチェックするといいでしょう。

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市民虐殺の濡れ衣をかけられるロシア
 【2022年4月8日】米国側が中立的な現地調査を却下したまま、一方的な「ロシア軍犯行説」が、ウクライナとその傘下の人々の主張だけをもとに流布され、米国側の政府やマスコミ権威筋がそれを鵜呑みにしてロシア敵視を喧伝し、米国側の多くの人々がそれを軽信し、早とちりしてロシアに怒っている。虐殺の真犯人はウクライナ極右民兵団だろう。彼らを育てたのは英米だ。