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  バイデン大統領への批判  アメリカ内部から
    ウクライナ戦争をやめたくてもやめられない米国側
    米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化
    ウソだらけのウクライナ戦争

 2023/02/01
バイデン大統領への批判     アメリカ内部から

1月31日の田中宇発信の「田中宇の国際ニュース解説 世界はどう動いているか」の解説には、

   米国の軍産複合体系の権威あるシンクタンクであるランド研究所が
   「ウクライナ戦争を長引かせると米国の国益にならない。早く終わ
   らせた方が良い」と主張する論文を発表した。


の記事を載せた。

世界情勢が目まぐるしく変わっている実情から、私は違う解説を載せているかもしれないと思い、URLを開いてみたら上の記事が目に飛び込んできた。
これは凄い、 バイデンが息まく勝手我儘に辟易したから、やっぱり世界全体の人々の心の内を思う意見が飛び出すのは当然と言えば当然のことと小おどりしたい思いになった。 早速パソコンへ取り上げました。
ウクライナ戦争をやめたくてもやめられない米国側
 【2023年1月31日】ウクライナ戦争の和解交渉はない。停戦できないから延々と戦争が続く。戦争が続くほど中露が結束し、日本を追い越して世界最強の製造業を持つ中国は、安くて大量なロシアの石油ガス資源類を得てますます強くなる。中露のまわりにサウジやイラン、BRICSなど、他の資源諸国や大市場諸国も集まり、非米側は米国側の先進諸国をしのぐ経済力を持って台頭していく。世界は米単独覇権体制から、多極型の覇権体制に転換していく。ウクライナを早く停戦させれば米覇権の解体・喪失を防げるかもしれないが、ゼレンスキーが了承しないので停戦できない。ランド研の警告は正しいが無視される。
ところが見出し解説の最後に「ランド研の警告は正しいが無視される」の意見をそえていた。
しかし、この論文の反応は池の中に投げられた小粒な石としても、この波紋は世界の識者へ大きな波紋として伝わるに違いないのです。 では、田中宇のニュースの詳細を見ていきます。


ウクライナ戦争をやめたくてもやめられない米国側

2023年1月31日   田中 宇
米国の軍産複合体系の権威あるシンクタンクであるランド研究所が「ウクライナ戦争を長引かせると米国の国益にならない。早く終わらせた方が良い」と主張する論文を発表した。「戦争を長引かせるな」(Avoiding a Long War)と題するこの論文は、ウクライナ戦争が長引くほど、対露経済制裁の反動で世界のエネルギーや食糧の価格が高騰して米国に不利になり、軍事と経済の両面での米国のウクライナ支援のコストも上がると言っている。また戦争が長引くほど、ロシアと中国との結束が強まって中国に有利になるし、米国がウクライナ支援に資金と国力を取られるほど、米国は中国と敵対するための余裕が不足し、中国が米国を押しのけて台頭することを阻止できなくなると警告している。 (Avoiding a Long War) (Ukraine - RAND Study Sees Risks In Prolonged War)

(Avoiding a Long War)や(Ukraine - RAND Study Sees Risks In Prolonged War)など各節の末尾に括弧で示してあるのは、解説しているデータを示しています。
この二つは、(長い戦争を避ける)と(ウクライナ-ランド研究所のの調査では、長期にわたる戦争のリスクがみられます)の訳語がついているデータです。
必要であるデータを見たいときは、「ウクライナ戦争をやめたくてもやめられない米国側」のURL<https://tanakanews.com/230131ukrain.htm>から情報を呼び出し、(括弧)をクリックすれば、すべての情報データを読むことができます。
私はこの二つは大事ですから、印刷して保管しました。50頁余になりました。

ベトナム戦争で親米勢力にゲリラ戦をやらせて共産側に徹底抗戦することを提唱するなど、昔から無謀な好戦論で有名なランド研が、今回のような現実論を主張することは異例だ。米国側は、米欧政府高官からマスコミまでの権威筋のほとんどが「ロシアを潰すまでウクライナを支援してこの戦争を続けるべきだ」という好戦論を叫んでいる。最近は、NATO諸国がウクライナに新型の戦車を送るべきだという話になり、それを嫌がるドイツ政府が非難されている。戦車の次はNATO諸国が戦闘機をウクライナに送るんだという話も出ている(ウクライナ上空の制空権は露軍が握っており、戦闘機がウクライナ領空に入った途端にロシアと交戦になる)。NATOの将軍(オランダ人のRob Bauer)は、NATOがロシアと戦争する準備ができているとまで言っている(ウソだが)。ランド研の現実論は、ほとんど無視されている。 (New RAND Study Breaks From US Hawks, Warns Against "Protracted Conflict" In Ukraine) (Allies Angry At German 'Indecision' On Tanks For Ukraine Amid Russian Gains In East & South)

米国やNATOは、ロシアと直接交戦できない。したら核戦争になりかねない。米NATO(米国側)は、直接ロシアと交戦するのでなく、ウクライナを軍事支援し続けるだけだが、それだと露軍を打ち負かせず、戦争が長引く。ロシアとウクライナをうながして停戦・和解交渉させる道もあるが、ゼレンスキーのウクライナは、ロシアが占領地(ウクライナ東部2州とクリミア)をウクライナに返還しない限り交渉しないと言っている。占領地の住民の大半はロシア系であり、ロシアは同胞の安全を守るため返還に応じられない(返還したらゼレンスキー傘下の極右勢力がロシア系住民を売国奴とみなして殺害する)。ゼレンスキーはプーチンらロシア高官たちを戦犯として国連などで裁くことも要求しており、プーチンらに着せられた罪状は濡れ衣ばかりなので、当然ながら露側は拒否している。 (Will the war in Ukraine inevitably freeze?) (ロシアが負けそうだと勘違いして自滅する米欧)

和解交渉はない。停戦できないから延々と戦争が続く。ランド研が指摘するとおり、戦争が続くほど中露が結束し、日本を追い越して世界最強の製造業を持つ中国は、安くて大量なロシアの石油ガス資源類を得てますます強くなる。中露のまわりにサウジやイラン、BRICSなど、他の資源諸国や大市場諸国も集まり、非米側は米国側(先進諸国)をしのぐ経済力を持って台頭していく。世界は米単独覇権体制から、多極型の覇権体制に転換していく。ウクライナを早く停戦させれば、米覇権の解体・喪失を防げるかもしれないが、ゼレンスキーが了承しないので停戦できない。ランド研の警告は正しいが無視される。 (As West, Debt, & Stocks Implode; East, Gold, & Oil Explode) (Macgregor: This Time It's Different)

ゼレンスキーは米諜報界の傀儡だ。ランド研が正しい忠告をしているのだから、諜報界はそれに沿ってゼレンスキーに加圧して停戦交渉させるのが筋だ。しかし、そのようにはならない。なぜかというと、米諜報界は米覇権を自滅させて非米側を台頭させようとする隠れ多極派に乗っ取られており、米覇権を守ろうとするランド研はいつの間にか非主流派に追いやられているからだ。
(米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化)☚後へ載せる(権威筋や米国覇権のゾンビ化)

米(英)諜報界を乗っ取った多極派は、2021年の夏からゼレンスキー傘下の極右勢力をけしかけてウクライナ国内のロシア系住民への攻撃を急増させ、プーチンのロシアがウクライナに侵攻せざるを得ないように仕向けた。多極派は同時にプーチンに対し、ウクライナに侵攻して戦争を長引かせるほど、ロシアが中国を引っ張り込んで世界を多極化して勝ち組に入れることを入れ知恵し、プーチンは勝算を得てウクライナ戦争を始めた。多極派は、諜報界傘下の米国側のマスコミを動員して「露軍はもうすぐ負けるから、対露制裁とウクライナ支援を加速しよう」と喧伝させ、ゼレンスキーに加圧して停戦交渉を拒否させ、プーチンのロシア側も米国側のプロパガンダを大して否定しない「偽悪戦略」を採り、これらの策略が米国側を戦争長期化の泥沼に陥れた。 (プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類)(ウソだらけのウクライナ戦争)☚後へ載せる

ウクライナ戦争の長期化は意図的な策略なので、今後もこの状態が延々と続く。米諜報界の多極派はこの戦争より前に、地球温暖化対策と新型コロナウイルスに関しても、米国側とくに欧州を経済的に自滅させる方向で策略を展開してきた。また多極派は、ウクライナ開戦と同期して、米政界経由で米連銀を加圧し、インフレ対策(愚策)として利上げやQTをやらせており、これも米国側の金融崩壊につながっていく。これらのすべてが奏功し、覇権構造の転換が進んでいる。この流れは、ランド研の主張ぐらいで変わるものでない。米国側は、ウクライナ戦争をやめたくてもやめられなくなっており、覇権自滅の道に入り込んでいる。 (Top US Official Hails Nord Stream 2 Sabotage In Senate Testimony) (米露の国際経済システム間の長い対決になる)

米国内では、民主党がエスタブやマスコミ権威筋と結託し、ウクライナ戦争と地球温暖化と新型コロナの全てについて、覇権自滅的な超愚策を進めている。対照的に共和党は、以前に党を牛耳っていたエスタブ系と、トランプ以来の新興で草の根の反エスタブ右派ポピュリスト勢力が内紛し続けており、しだいにトランプ派が共和党を席巻している。バイデンの民主党は愚策ばかりやっているので支持が減り、トランプが席巻する共和党の支持率が上がっている。しかし民主党側は選挙不正のシステムを握っており、簡単には負けない。負けないが、民主党が選挙不正を繰り返すほど、共和党の支持者はそれに気づき、米国内の分裂状態がひどくなる。共和党のトランプ派は、ウクライナ支援に象徴される覇権行為の全体を放棄したがっている。米国は今後、政治分裂で決定不能性が高まり、いずれ共和党が政権に返り咲くころには、ドル崩壊も重なって、覇権放棄・孤立主義の国に変質している。 (In Arizona, bombshell new evidence of Maricopa County election wrongdoing) (Georgia Governor Declares State Of Emergency Over Atlanta Protests, Mobilizes 1,000 National Guard Troops)

このように米国が自滅しても、欧州(や日本)が対米従属を貫いて米国の弱さを穴埋めしてしまうと、米国の覇権が維持される。米国は1970年代、ニクソンショックやベトナム戦争で自滅しかけたが、日独が対米従属を貫いて米国を助けたので覇権が維持された米多極派はあのころを繰り返したくないので、今回は欧州を狙い撃ちして経済自滅させ、欧州人が対米従属をやめたくなるように仕向けている。ウクライナ戦争や温暖化やコロナへの対策で欧州経済が自滅して市民生活が悪化するほど、欧州の人々は対米従属の従来エリートでなく、新興の右派ポピュリストを支持して政権につかせる方向に流れていく。右派ポピュリストはロシア敵視や対米従属を馬鹿げていると考え、欧州はロシアと和解して対米自立していく。欧州の変質が進むと、ウクライナ戦争も終わる。欧州人は、ウクライナがロシアとポーランドに分割されることを黙認する。 (自滅させられた欧州)☚括弧内は次ページへ

米国覇権が衰退したら、豪州やNZも中国と対立したいとは思わず、中国の経済圏に入っていく。アングロサクソンの世界支配は終わる。日本の自民党政権は、豪NZよりも現実的なので、米中両属が良いとすでに考えている。中国は習近平が独裁化を達成したので今年初めからコロナ愚策を全放棄して経済の高度成長を再開したが、日本もこれに同期してコロナ愚策を放棄し、春から国民へのマスク着用の奨励を解除する。この同期は、日本が経済面の対中従属を強めていることを示している。 (コロナ対策やめて世界経済の中心になる中国) (Satire Or Serious: "Why Didn't The Unvaccinated Do More To Warn Us?")☚二つの括弧内は次ページへ

米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化

2022年5月15日   田中 宇
ウクライナ戦争は、開戦から3か月近くが過ぎた今、ロシア側(非米側)の勝ち、米国側の自滅的敗北で推移している。米国側がロシアからの石油ガス資源類の輸入を止め、SWIFT追放などロシアを米国中心の世界経済から完全に排除することでロシア経済を潰すはずだった対露経済制裁は、逆に、欧州諸国など米国側に石油ガス不足など経済の大打撃を引き起こす自滅策になっている。資源類の国際価格の高騰を受け、ロシア経済はむしろ好調になっている。対露経済制裁が米国側を自滅させることは事前にわかっていたが、米国側の諸政府やマスコミ権威筋はそれを全く無視して過激で無謀な対露制裁に突っ走り、予定通り自滅している。米国側の人々や政治家がマスコミに扇動されて対露制裁を強めるほど、米国側の人々自身の生活が破壊されていく自業自得になっている。 (米欧との経済対決に負けない中露)

同時に米国側は、金融バブルを維持するための唯一の支えだった米連銀(FRB)のQE(造幣による相場テコ入れ策)がインフレ対策の名のもとに終了させられたため金融バブルが崩壊し、株や債券の下落が止まらなくなっている(インフレの原因はQEでなく供給側なのでQE終了は超愚策)。米連銀が予定通り6月1日からQT(QEの巻き戻し。資産圧縮)を開始していくと、金融危機がひどくなり、ドルの基軸性が崩れ、米国の覇権体制が終わっていく。 (来年までにドル崩壊)

ウクライナ戦争とQEの終了が重なり、世界の体制が米単独覇権から多極型へと転換している。ロシアのラブロフ外相は最近、世界はすでに意思決定の中心がいくつもある多極型であると指摘した。世界はこれから多極化していくのでなく、すでに多極化が完了したとラブロフは言っている。(米国側の人々のほとんどが、まだ多極化の事実を感じていないので、それが感じられるようになるまで多極化は完了していないといえるが) (Russian operation in Ukraine contributes to freeing world from Western oppression - Lavrov)

ウクライナ戦争もQE終了・QTも、米国側が意図して行ったことだ。ウクライナ戦争は、ロシアからの突然の攻撃開始でなく、米国がロシアを開戦へと誘導して引き起こした。米当局は、昨春から1年かけてウクライナ軍に兵器を蓄積させ、今年2月半ばからロシア系住民がいるドンバス地方を激しく攻撃させて、ロシアの反撃を誘発した。米国中枢の戦略立案者たちは、自分たちの側(とくに欧州)を経済的に自滅させ、ロシアなど非米側を台頭させて世界を多極化することになるとわかったうえで、わざわざウクライナ戦争やQE終了・QTをやっている。ウクライナもQTも、米国による、意図的もしくは未必の故意の「世界を多極化する策」である。 (ウクライナ戦争で最も悪いのは米英)

こうした米国の多極化策は、バイデン大統領がやっているのでない。バイデンは、棒読みできるテレプロンプターがないと記者発表もできない人だ。米大統領府の隣のビルにテレプロンプター完備の特別な部屋が作られ、バイデンが出席するオンライン会議や発表のほとんどが、そこで行われている。バイデンは認知症なのか無能なのか、自分の言葉で政策を語れず、側近が作った政策文書を読むことしかできない。オバマやトランプは自分の言葉で世界戦略を語っていたが、今のバイデンは違う(昔は有能だったらしいが)。バイデンは、背後にいる側近や諜報界に操られている。米国で世界戦略・覇権戦略を立案してきたのは諜報界だが、米諜報界は配下の者たちをバイデン政権の側近として送り込み、多極化の世界戦略を進めている。米諜報界には昔から「隠れ多極主義者」が巣食っている。今回のウクライナ戦争とQE終了QTも、彼ら多極派がやっている策略だろう。 (Now We Finally Know Why Biden Is Using A Fake White House Stage) (バイデンの認知症)

多極派の起源は2度の大戦にさかのぼる。大戦で英国から世界の単独覇権の権限を譲渡された米国の当時の上層部(ロックフェラー家など)は、世界を多極型の覇権体制に転換することを希望していた。5大国(米英仏露中)が対等な立場で協力して世界のことを決める国連安保理常任理事国(P5)の体制がその象徴だった。世界が多極型なら、ユーラシアのことは英仏露中に任せ、米国は西半球のことだけやっていれば良いので楽だった。だがP5の協調体制は間もなく、英国勢が米国を動かして冷戦体制を構築したことにより、米英仏と露中の対立に変質させられた。P5の協調で世界を運営する多極体制は機能不全に陥った。米国は、世界の運営をP5に任せられなくなり、代わりに米国自身が、英国系に牛耳られた状態で覇権を運営し、冷戦に勝つためにユーラシアに関与し続けねばならなくなった。 (田中宇史観:世界帝国から多極化へ)

英国は2度の大戦で米国に覇権を譲渡する際、覇権運営の調査役・知恵袋として、英国が持っていた軍事諜報システムのノウハウを米国に伝授し、それを受けて米政府は諜報機関としてCIAを作った。英国は諜報や覇権運営の技能を米国に伝授すると言いつつ、新設された米諜報界を英国(英諜報界)の勢力(エージェント、スパイ)が牛耳るように仕向け、米国の覇権戦略の立案機能を英国が乗っ取ってしまった。英国が望む世界体制は多極型でなく、米国が単独で世界を支配する単独覇権を維持し、米国の覇権運営を担当する諜報界を英国が牛耳ることだった。英国は、米国が孤立主義的な西半球の国に戻らず単独覇権国にしておくため冷戦を起こして長期化した。

米国の上層部にもともといた多極型世界を希求する勢力は、英国に牛耳られた米諜報界で隠れた勢力として存在し続け、機会をとらえて反撃することを続けてきた。英国系はマスコミ権威筋や世論を支配するのがうまく、多極主義は「容共」や「孤立主義」として「悪」のレッテルを貼られた。多極化や米覇権の衰退や放棄は、中露など悪い諸国をのさばらせ、民主的な国際社会=米英支配を壊す悪事とされた。そのため多極派は隠れた地下勢力になった。米諜報界は、英国系の単独覇権主義者(軍産複合体)と、米土着の隠れ多極主義者との、今に続く長い暗闘になった。 (隠れ多極主義の歴史)

米欧先進諸国の経済力の低下が始まった1970年代以降、冷戦を終わらせて経済発展を「東側」や発展途上諸国に広げることが必要になり、多極派の意を受けたニクソンやレーガンが冷戦を終わらせた。だが、米諜報界での暗闘は終わらなかった。英国系は、ロシアや中国、イスラム世界を恒久敵とする新冷戦体制の構築を目論んだ。イスラム世界を恒久敵にする策略は、英国系のライバルとして米諜報界を牛耳りたがったイスラエル系が持ち込んできた(イスラエル系の背後に隠れ多極派がいた可能性もあるが)。その延長で2001年の911テロ事件が起こされた。 (ニクソン、レーガン、そしてトランプ)

こうした英国系からの反抗に対し、多極派は新手の策略を編み出した。それは、諜報界の隠れ多極派の要員が、英国系の一員のふりをして米大統領の側近として入り込んで露中やイスラム世界などを敵視する新冷戦体制の戦略を立案・実行し、その敵視戦略を過激に過剰に稚拙にやって失敗させ、米国の軍事力や外交的な信用力を浪費して覇権の低下を誘発し、結果的に米国覇権を崩壊へと誘導し、世界を多極型の新体制に転換させていく隠れ多極主義のやり方だった。このやり方は911後のイラク戦争で共和党のネオコン勢力によって初めて大胆に実践されて「大成功」をおさめ、米国の覇権低下を誘発した。(冷戦中のベトナム戦争での米国の大失敗が、この隠れ多極主義戦略の元祖だったともいえる) (歴史を繰り返させる人々)

冷戦後のロシア敵視は、ロシアと民族的に近い東欧のセルビアを悪者に仕立てるユーゴスラビア紛争が皮切りで、米国はセルビアの敵であるアルバニア系のコソボを支援して独立させ、ロシアを怒らせ、ドイツなど欧州とロシアとの敵対を扇動した。冷戦後にロシアとドイツが仲良くすることは、英国にとって大きな脅威だった(レーガンなど米国の隠れ多極主義者たちは、ドイツを再統合した上でロシアと仲良くさせて欧州を対米自立させるために冷戦を終わらせた)。今回のウクライナ戦争も、ノルド・ストリーム2の天然ガスパイプラインまで作ってロシアと仲良くしてきたドイツに、ロシア敵視とロシアからの石油ガス輸入停止を強いる英国流の「ドイツいじめ」「独露分離」が目的の一つになっている。だが同時に米国は今回、ドイツいじめを過激に稚拙にやって窮地に追い込んでおり、これはドイツが対米従属し続けられなくなる事態を作り出す隠れ多極主義の策略でもある。バイデン政権に入り込んだ隠れ多極主義者が、英国流のロシア敵視をやるふりをして、米国覇権(NATOの同盟国体制)を自滅させる多極化を進めている。 (同盟諸国とロシアを戦争させたい米国)

イスラム敵視の方は、米軍がタリバン政権を倒す(カブールから蹴散らす)ためにアフガニスタンに侵攻してテロ戦争を開始する計画がもともとあったので、911テロ事件がなかったとしても挙行されていた。911事件はむしろ「(誇張演出された)大規模テロ」の衝撃によって、米国の諜報界や政界、マスコミ権威筋(深奥国家全体)をテロ戦争やイスラム敵視であふれさせて麻痺させ、米諜報界を機能不全に陥れる効果があった。こうした麻痺や機能不全を引き起こす策略は、その後のコロナ危機や、今のウクライナ戦争でのロシア敵視でも行われている。この手の麻痺戦略は、機能不全の状態に紛れて多極派が米諜報界を乗っ取れるようにするためのものだ。 (911事件関係の記事)

911に関する報道は、誇張を多く紛れ込ませて劇的さを演出し、人々が感じる衝撃を大きくしてある。マスコミも諜報界に操作されて誇張に加担した。その半面、911テロ事件がどのように起こされたかに関しては、事件直後にまことしやかに報じられたシナリオが証拠の裏付けもないまま居座り、当局によるその後の捜査でも物証つきの犯行のシナリオが何も出てこないというインチキぶりだった。米当局(諜報界)と何の関係もない犯人たちが起こした事件でなく、米諜報界の配下もしくは監視下にいた人々が起こした自作自演系の事件なので、捜査がきちんとおこなわれない。911は、米国の諜報界や政界を麻痺させるために、諜報界(の多極派)が引き起こした事件だろう。事件の衝撃で麻痺状態にさせられた政治家や人々の世論は、冷静さ・合理的思考・理性が失われ、その後、諜報界の英国系が微妙な策略を展開して米国覇権を黒幕的に運営していくことが難しくなった。その分、政権転覆や戦争を過激に稚拙にやって覇権を自滅させるネオコンの隠れ多極主義の策略がやりやすくなった。イランが核兵器開発しているという話もネオコンが設置した濡れ衣だった。 (ネオコンと多極化の本質)

共和党の子ブッシュ政権が911事件からイラク戦争で自滅的に大失敗した後、民主党のオバマが大統領になり、米国覇権の立て直しを画策した。覇権好きのオバマは英国系だったといえる。オバマは、イランの核開発疑惑(濡れ衣)を乗り越えるために核協定(JCPOA)を結び、イラクからの米軍撤兵を挙行し、オサマ・ビンラディンを殺したことにして(実は故意の人違い殺人)アフガニスタンからの撤兵も進めようとした。だがオバマの覇権立て直し策は、隠れ多極派が強くなっていた米諜報界に妨害され続けた。米軍が撤兵した後のイランではアルカイダより強いイスラム過激派ISISが米諜報界の肝いりで作られ、オバマはISISと戦うイラク政府軍を支援するために米軍をイラクに戻さざるを得なくなった。米諜報は、リビアとシリアで新たに内戦を引き起こし、オバマが米国を中東から足抜けさせることを阻止した。オバマは、シリアの崩壊を防ぐためにロシアに頼んで露軍にシリア進出してもらうという多極主義をやらざるを得なくなった。 (軍産複合体と闘うオバマ)

オバマの次に大統領とになった共和党のトランプは、オバマと正反対に、同盟諸国を切り捨て、米国の覇権を放棄する策を進める隠れ多極主義者だった。トランプは、NATOやEUを邪険にして同盟国体制をつぶそうとしたり、経済の米中分離を進めて中国を非米化に押しやろうとした。多極派・覇権放棄屋のトランプに対し、諜報界の英国系は米民主党と結託してロシアゲートの濡れ衣をかけたりして潰そうとしたが果たせず、最終的に2020年の大統領選で民主党が不正をやってバイデンを勝たせ、トランプを排除した。 (不正選挙を覆せずもがくトランプ)

トランプ政権途中の2020年春に世界的なコロナ危機が起こった。あれは、もしかするとトランプを潰すための策だったのかもしれない。新型コロナのウイルスは、中国の武漢ウイルス研究所で研究中のコウモリ由来のウイルスが漏洩して世界に伝播した可能性が高いが、武漢ウイルス研究所は当時、米国から研究費をもらってコウモリ由来のウイルスがヒトに感染する可能性について研究しており、米国側の担当は、のちに米政府のコロナ対策の最高責任者(コロナツァー)になったアンソニー・ファウチや、動物ウイルスの専門家・エコヘルスの主催者でCIAの要員でもあるピーター・ダスザク(Peter Daszak)らだった。武漢ウイルス研究所の研究者(中国人)の多くは米国の大学に留学した経験を持ち、その際に米諜報界から勧誘・恫喝されてスパイにさせられた者もいたはずだ。米国のスパイになった中国人の研究員が、米諜報界の指示で研究中のウイルスを漏洩させ、コロナ危機を引き起こした可能性がある。米諜報界がコロナ危機を起こした感じだ。 (米中共同開発の生物兵器が漏洩して新型コロナに?) (Peter Daszak Worked For CIA, EcoHealth Alliance Is A 'CIA Front Organization') (Fauci Knew About Likely Lab-Leak From Secret Teleconference, Pushed Alternate Narrative Instead)

もしそうだとしたらそれは、米諜報界(英国系)が、自分たちの仇敵である多極主義者のトランプを潰すための策略だったと考えられる。コロナ危機発生後、世界各国に、コロナ対策に関して政府首脳より強い権限を持つコロナツァーが配置され、WHOからの司令を受けたコロナツァーが各国政府から政策決定権・国家主権を剥奪し、都市閉鎖やゼロコロナ策、偽陽性頻発のPCR検査の強要、ワクチン強制、国際的な人の移動の禁止などの超愚策を各国に強要した。国家の活動の広範な部分が、コロナ対策の名のもとに制限された。米国でも、ファウチがトランプより強い権限を持つようになった。世界的に、米国の覇権を上書きする「コロナ覇権体制」が組まれた。米諜報界の英国系が、コロナ危機を起こしてトランプから覇権運営権を奪った。 (世界の国権を剥奪するコロナ新条約) (国際政治劇として見るべきコロナ危機)

米民主党と、トランプ敵視のため民主党を支援する諜報界の英国系は、コロナ危機を口実に2020年の大統領選挙で不正がやりやすい郵送投票制度を大々的に導入し、トランプを不正に落選させ、バイデンを当選させる選挙不正をやってトランプを権力の座から追い出した。これも、米諜報界(英国系)が武漢ウイルス研究所から新型コロナウイルスを漏洩させて危機を醸成した当初からの目論見だった可能性がある。 (ずっと続く米国の選挙不正疑惑) (米民主党の選挙不正)

しかし、その後のコロナ危機対策の展開は、豪州や英独仏など米欧の米同盟諸国、米国の民主党系の諸州など、諜報界の英国側の地域において自滅的な超愚策が延々と行われ、米欧が経済を自滅させられる隠れ多極主義的な流れになった。諜報界の英国系の勢力がこんなことをするはずがない。これはもしかすると911後のテロ戦争のときと同様、最初に仕掛けたのは諜報界の英国系の勢力だったが、途中で主導権が隠れ多極派に乗っ取られ、そのため最終的に米国の覇権を自滅させる結果になったのでないかとも考えられる。米英諜報界の内部は、どの派閥の要員か正体を隠している人が多いようで、昔から乗っ取りが横行してきた。 (アングロサクソンを自滅させるコロナ危機) (コロナ帝国の頓珍漢な支配が強まり自滅する欧米)

コロナ危機はもう一つ、興味深い現象を引き起こしている。それは、コロナ対策を口実に、WHOなどが各国(とくに先進諸国)の国権を上書き剥奪してしまう「コロナ覇権体制」を握る勢力(米諜報界)が、各国(先進諸国)のマスコミや世論を簡単に歪曲できてしまう状況を作り出したことだ。マスコミや世論の歪曲は911後のテロ戦争時からあったが、コロナ危機は、そうした歪曲体制をものすごく強めた。新型コロナは医療分野の話であり、専門家でないと実体がわからないという印象が作られ、専門家を語る(騙る)コロナ覇権体制の配下の人々がマスコミや世論を簡単に歪曲できる状況を作った。WHOは専門家機関なので、コロナ覇権を握っているのはWHOでなく、その後ろにいる米諜報界だ。 (英米覇権の一部である科学の権威をコロナや温暖化で自滅させる)

そしてコロナ危機が一段落した2021年末以降、このシステムを使ってマスコミや世論を歪曲するテーマとして、コロナだけでなくロシア敵視が加わり、そのまま今年2月末の露軍のウクライナ侵攻が引き起こされた。世界がロシア非米側と米国側に大分裂し、非米側が資源類の利権の大半を持ち、米国側がロシアを激しく制裁するほど米国側の金融経済が自滅していく今の流れが作られた。ウクライナの戦況についても、世界経済の状況についても、米国側のマスコミ権威筋やSNSはものすごく歪曲された情報しか流さなくなり、ほとんどの人々が大間違いを信じ込み続けている。このすごい状況は、コロナ危機を使った強烈な情報歪曲体制が事前にあったので、米諜報界が簡単に作ることができた。 (ロシアを「コロナ方式」で稚拙に敵視して強化する米政府)

歪曲的なロシア敵視は以前からあったが、コロナで作られた超歪曲の新体制を活用し、ロシア敵視の歪曲がものすごく強化された。歪曲を軽信しない人が処罰される「情報歪曲独裁」「情報歪曲覇権」である。コロナの歪曲も、軽信しない人に自宅軟禁などの処罰を与えたが、それと同様の体制だ。コロナ危機は、ウクライナ戦争による米国側の自滅、覇権崩壊と多極化を引き起こすための「準備段階」だったと考えられる。このほか、グレタ・トゥンベリらを使った地球温暖化対策の過激でヒステリックでトンデモな推進も、コロナ危機と同時期に行われたが、これも以前からの情報歪曲体制の強烈化であり、コロナの歪曲覇権体制を活用して温暖化対策のヒステリが過激化されたと考えられる。温暖化対策(石油ガス停止、使い物にならない自然エネルギー推進)が先進諸国の経済を自滅させることから考えて、米英諜報界の隠れ多極派が推進している。 (コロナの次は温暖化ディストピア) (欧米の自滅と多極化を招く温暖化対策)

コロナ(都市閉鎖やゼロコロナなど超愚策で欧米経済が自滅)も、ロシア敵視(非米側との対立激化で米国側の経済が自滅)も、温暖化対策(化石燃料使用停止で欧米経済が自滅)も、過激な歪曲覇権体制を組んで強く推進するほど、欧米経済の自滅が加速し、米覇権の崩壊と多極化が促進される。コロナもロシア敵視も温暖化対策も、隠れ多極主義の策略だ。これを推進しているのは米諜報界の多極派であるこことがほぼ確実だ。これらの歪曲策は今後もずっと続き、米覇権崩壊と多極化が完了するまで終わらない。米国側のマスコミの信用は全く失われる。2度の大戦のロックフェラー以来、ずっと続いてきた隠れ多極派は、75年かけて諜報界を乗っ取って米覇権を自滅させて世界を多極化している。

ウソだらけのウクライナ戦争

2022年5月3日   田中 宇
2月末のウクライナ開戦から2か月あまりがすぎたが、この戦争に関する米国側(米欧日)のマスコミ報道はウソだらけのままだ。「ロシア軍は戦略的に大失敗して、残虐行為や過激な破壊攻撃といった戦争犯罪をウクライナで繰り返しつつ、ウクライナ軍の果敢な反撃を受けてキエフ周辺から撤退し、ロシア系が多い東部のドンバスにいったん引きこもり、そこからゆっくり南部に再侵攻しようとしている」といった感じの報道になっているが、露軍は大失敗していないし、残虐行為も過激な破壊も戦争犯罪も犯していない。ウクライナ軍は露軍に包囲されており、ほとんど反撃できていない。露軍は4月初めにキエフから撤退したが、それはキエフ周辺のウクライナ軍の施設を大体破壊したからだ。 (市民虐殺の濡れ衣をかけられるロシア) (ロシアが負けそうだと勘違いして自滅する米欧)

米国側のマスコミ権威筋がウクライナ戦争に関してウソばかり報じているのは、米国と同盟諸国のマスコミ権威筋の支配的な情報源である米中枢(諜報界、米政府筋)が、そのような情報を流して報道させているからだ。ロシア側が流す情報を分析すればウソを修正できるが、米国側のマスコミ権威筋は、ロシア側からの情報を全てウソと決めつけることを米中枢からの加圧で義務づけられているので、ウソを修正できない。開戦から時間が経つほど、この米国側の言論統制が強くなり、ウソまみれの公式論以外のことを言う人は権威を剥奪される。国際問題に関する権威の付与は米中枢を頂点とする構造になっており、権威を剥奪されたら生きていけない権威筋はウソしか言えなくなっている。賢い(生き方がうまい)権威筋ほど、悩まない方が良いと直観し、余計なことを考えずウソを本気で信じる。その方がうまく権威を獲得維持できる。 (まだまだ続くロシア敵視の妄想) (権威筋や米国覇権のゾンビ化)

ウクライナ戦争の大ウソを維持するため、米政府は言論統制をどんどん強化せざるを得ない。米政府は4月に入り、新たな試みとして、米マスコミの中でCNNとブルームバーグ通信の編集者を大統領府(ホワイトハウス)の安全保障会議に出入りさせ、大統領府直結で記事を書けるようにしてやる代わりに、書いた記事を大統領府の担当者が確認し、不都合な言い回しやニュアンスを替えさせてから報道させる新しい検閲体制を組んだ。この新たな検閲体制により、米国のマスコミは政府との一体化を増大させられている。日本の戦争中の「大本営発表」をもっと巧妙にしたものだ。 (White House Holds CNN and Bloomberg 'by the Throat' Greenlighting Fakes About Russia, Source Says)

米国(や日本)では従来、政府などがマスコミに歪曲した情報を漏洩(リーク)して報道させることで似たような機能を実現していたが、マスコミ側が政府側の意図通りのニュアンスで報道してくれないことも多く、今回の戦争のようにウソが膨張していると、マスコミ側が理性を働かせてしまってウソを報道してくれなくなる可能性が増す。それを防ぐため米政府は、報道の自由を大きく侵害する検閲体制を組み始めたのだろう。 (WH 'endorses' all CNN, Bloomberg articles about Russia)

ウクライナ戦争のウソの構図を戦略的に決めているのは、大統領府の安保会議の中に作られた「タイガーチーム」と呼ばれる組織のようだ。この組織は昨年からあり、最初は「ロシアがウクライナを侵攻しそうであることへの対応策」を練っていたことになっている。実際は、米国がロシアをウクライナに侵攻させたかったのであり、タイガーチームの実際の最初の課題は「ロシアをどのように挑発してウクライナに侵攻させるか」だったのだろう。2月末にロシアがウクライナに侵攻した後、タイガーチームの名目上の課題は「ロシアがウクライナで大量破壊兵器を使いそうだが、もし使ったら米欧はどう対応すべきか」に変わった。実際の課題は「ロシアがウクライナで大量破壊兵器を使ったという濡れ衣をどうやってロシアにかけるか」であろう。ブチャ虐殺など、他の戦争犯罪の濡れ衣がタイガーチームの発案だった可能性もある。 (Russia, Ukraine Conflict: Biden Assembles ‘Tiger Team’) (ウクライナで妄想し負けていく米欧)

タイガーチームは「露軍がどこまでひどいことをやったらウクライナにNATO軍が入るべきか」も考えている。露軍に大量破壊兵器や虐殺の濡れ衣をうまくかけられたら、次は、ドイツなど欧州のNATO諸国にウクライナに進軍しろよと加圧する同盟国いじめをやる気かもしれない。バイデン政権の中枢には隠れ多極主義者がたくさん入っており、彼らは米覇権の同盟国体制を自滅させるのが隠れた目標だ。タイガーチームには分科会もあって、そこは「ウクライナ戦争によって地政学的な大状況がどう変わり、何をすべきかを考える」ことになっている。自分たちの無茶苦茶によって米覇権がうまく崩壊して多極化が進んだら、その多極化が逆戻りしないよう、中露への敵視を続けつつ米国自身は孤立主義を増していく策を採る気でないか。 (U.S. Makes Contingency Plans in Case Russia Uses Its Most Powerful Weapons) (中立が許されなくなる世界)

タイガーチームは、イラク戦争を起こしたブッシュ政権中枢のネオコンと同様、政権と覇権の中枢に陣取って、自分たちと異なる分析や戦略案を出してくる諜報界のまっとうな他の勢力からの提案を潰す役目も果たしている。以前に紹介したスイスの諜報専門家であるジャック・ボーは「昨年来、ウクライナの状況を正確に把握している欧米の諜報機関がまったくなくなってしまったことに驚く。多くの諜報機関は、マスコミが報じているインチキと同じものをウクライナに関する諜報の結論にしてしまっている」と言っている。NATO諸国の全体で、タイガーチームに楯突くまっとうな分析を出してくる諜報員は潰される仕組みが作られているのだろう。ジャック・ボーの怒りは当然だが、彼は欧州人だし元当局者なので、米中枢の仕組みに関する深読みをしていない(彼はもともと軍産・権威筋内部の専門家で、今回は諜報界がひどい状態になっていることに対する義侠心から表に出た)。バイデン政権は、トランプと違うやり方で、予定通り順調に米国覇権を自滅させている。 (Jacques Baud: “The Military Situation In The Ukraine”) (ウクライナ戦争で最も悪いのは米英)

タイガーチームのような組織は、巨額の裏金・裏の予算を持っている。ウクライナ開戦後、米国は臨時の予算を組んでウクライナへの軍事支援を急増させている。しかし、米政府が米国内の軍事産業に作らせてウクライナに送り込んだことになっている巨額の兵器群のほとんどが、実際にウクライナ軍の現場に届いているのかどうか確認できず、追跡手段も作られていない。ウクライナ軍部隊の多くはすでに露軍に包囲され、米国などが兵器を送っても受け取れる状況にない。米国がウクライナに送ったはずの兵器の大半は、たぶん兵器の製造すら行われておらず、米政府が払った資金を軍事産業が管理して、それがタイガーチームの下請けのシンクタンクや実働部隊に分配されているのだろう。 (US weapons for Ukraine disappearing into 'black hole')

たとえば英国軍は、軍事諜報の専門家をウクライナ内務省に派遣して、ウクライナ内務省の国家警察や極右民兵団が露軍に濡れ衣をかけるための虐殺現場を演出するのを手伝っている。ブチャ虐殺の騒動演出の直前、現場に向けて英国人の車両が走っていったことを、ベラルーシの諜報機関が把握している。英諜報界は米政府のタイガーチームの下請けとして、ウクライナで露軍に濡れ衣をかける現場の担当者をしている。英政府は金欠なので、英諜報界は米国防総省の裏金を使っているはずだ。 (Bucha was "BRITISH JOB" Lukashenko claims.) (濡れ衣をかけられ続けるロシア)

英諜報界はウクライナに、化学兵器使用の濡れ衣をかけたプロである「白ヘルメット」を連れてきている。英諜報界はシリア内戦時に、シリア政府軍に空爆された反政府派(テロリスト。ISアルカイダ)が支配する街で瓦礫の中から市民を救助することで有名になった市民組織(のふりをしたテロリストの集まり)「白ヘルメット」の創設を手伝い、支援援助もしていた。白ヘルメットは、救援活動をするふりをして、シリア政府軍の空爆直後に現場に塩素などの毒性の物質を噴霧して市民に被害を負わせ、アサド政権のシリア政府軍が化学兵器で市民を攻撃したという話をシリア各地ででっちあげることを繰り返した。塩素は、ISカイダを支援するトルコ軍が供給していた。 (いまだにシリアでテロ組織を支援する米欧や国連) (シリア内戦 最後の濡れ衣攻撃) (露イランのシリア安全地帯策)

この英国系の策略は米国の下請けで行われていたらしく、米英は化学兵器使用を調査する国際機関OPCWを動かして歪曲的な現地調査をさせ、シリア軍に対し、化学兵器を使ったという濡れ衣をかけることに成功した。OPCWの現地調査団は、化学兵器が使われていないといったん結論づけたが、OPCWの上層部から圧力をかけられて結論を歪曲させられた。シリア軍は内戦前に自主的に米英の監督のもとで化学兵器を全て処理しており、化学兵器攻撃をやるはずがない。マスコミのウソ報道と裏腹に、シリア政府軍は1回も化学兵器を使っていない可能性がとても高い。私はそれを記事にしている。ロシアは、シリア内戦でアサド政権を助けて勝たせており、白ヘルメットの戦争犯罪やOPCWのウソを指摘したが、英米の詭弁に対抗しきれなかった。 (シリア政府は内戦で化学兵器を全く使っていない?) (Canada Reveals It Paid White Helmets $4 Million Annually After It Cuts Ties ) (OPCW: Investigation Into Two Alleged Syria Chemical Attacks Inconclusive)

英国は今回のウクライナ戦争の現場に、シリアから白ヘルメットの部隊を連れてきている(シリア内戦がアサド政権の勝ちに終わり、負け組になった白ヘルメットの人々はトルコ軍が占領する北シリアに住んでいた)。ウクライナに連れてこられた白ヘルメットの人々は、ウクライナ内務省や極右民兵団に、ロシア軍が化学兵器を使って市民を殺したという濡れ衣を演出するやり方を教えているはずだ。英政府は金欠だから、白ヘルメットの活動費用なども、米政府が軍事産業に発注したはずの兵器類で作った裏金が流用されている可能性がある。 (Opinion: The Syrian White Helmets are ready to help Ukraine) (NATO White Helmets follow al-Qaeda to Ukraine)

ロシア政府は、米英が化学兵器使用の濡れ衣を露軍にかけようとしていると、何度か警告している。実際の濡れ衣事件はまだ挙行されていない。米英側がタイミングを見計らっているのかもしれない。シリア内戦でアサド政権を擁護してきたロシア政府は、米英が白ヘルメットなどの現場部隊を使ってどのようにシリア政府軍に化学兵器使用の濡れ衣をかけてきたか、つぶさに見ている。ウクライナ戦争では、ロシア自身が、米英や白ヘルメットから、化学兵器使用の濡れ衣をかけられそうになっている。ロシアの政府や軍は、この濡れ衣戦争にどう対抗したら良いか、かなり前から考えているはずだ。これからの展開が注目される。 (White Helmets group shares tips with Ukrainians) (US comments on chemical attack accusations against Russia) (Kiev May Fake 'Russian Strike' on Ukrainian Naval Base to Destroy Odessa Cold Storage Complex: MoD)

米国防総省は1980年代から、巨額の予算をとってその一部(大半)を秘密作戦の費用に使うことをやってきた。自作自演臭が強い911テロ事件の前にアルカイダを育てるための資金も、そうした裏金が当てられたと考えられる。米国は、経済成長したら非米的な地域になりそうなアフリカ諸国を潰しておくため、アフリカ諸国の軍の幹部を米軍の学校で教える際に、クーデターのやり方も教え、アフリカでクーデターが頻発して政治的な不安定や内戦が永続し、アフリカが永久に経済成長できないようにしてきた。アフリカのどこかの将校が米国からの留学後に自国でクーデターを起こす際に、米国防総省の裏金が使われていた可能性もある。2014年のウクライナでの政権転覆や、その後の極右民兵団の育成にも、米国防総省の裏金が使われたはずだ。国防総省の裏金は、実態が全く不明のまま何十年も放置されている。この裏金がなかったら、世界の何百万人かが殺されずにすんだ。米国は人類を不幸にしている。米覇権にぶら下がって安穏としている同盟諸国はもっと悪い。 (米軍の裏金と永遠のテロ戦争) (The US Military Is Training Third World Coup Leaders Again)

ウクライナ戦争でウソ報道の必要性が急増し、検閲体制が組まれて報道の自由が失われていることから派生していろいろ書いた。話を戻す。米国では報道の自由だけでなく、国民の言論の自由も剥奪されつつある。インターネットの大企業が運営するSNSでは、かなり前からトランプ支持者や、新型コロナや地球温暖化やウクライナ戦争のウソなどに対して自然な疑問を持つ人が、運営企業から登録削除などの言論封殺の被害あっている。4月27日には、米政府の国土安全保障省の中に「偽情報統制委員会」(Disinformation Governance Board、偽情報管理会議)が作られ、ウクライナ戦争やその他の分野での「ウソ情報・偽情報(とレッテル貼りされる、実は正しい情報)」の発信者を捜査・検挙していく体制が組まれた。 (New Disinformation Governance Board better suited for dictatorships: Gabbard) (Who Is Nina Jankowicz? Head of Joe Biden's Disinformation Governance Board)

ウクライナ戦争に関してウソや偽情報を最も発信しているのは、すでに書いたように大統領府の安保会議を頂点とする米政府自身である。この新委員会は、まず米政府自体を取り締まらねばならないのだが、もちろんそんな話にはならない。新委員会の任務は、米政府が発するウソ情報を鵜呑みにせず、ウクライナ戦争の実際の状況はこんな風になっているんだと真実を語る人々、米政府のプロパガンダを拒否して対抗してくる人々を、偽情報の発信者とみなして取り締まることにある。新委員会にとっては、ウソを信じる人が正しい人で、ウソを信じずに正しいことを言う人は偽情報を発信する犯罪者である。これは全く、ジョージ・オーウェルの1984に出てくる「真理省」と同じである。ウクライナ戦争のウソに気づいているオルトメディアの分析者らは、この新委員会を「バイデンの真理省」と呼んでいる。 (Disinformation Governance Board: Biden’s ‘Ministry of Truth’) (New so-called ‘Ministry of Truth’ actually just a ‘Disinformation Governance Board’, which is precisely the opposite: DHS)

バイデンの真理省が取り締まりの対象としている分野はウクライナ戦争やロシア関係だけでない。バイデン大統領の息子のハンター・バイデンが父親の代理として中国やウクライナの政府系企業から資金(賄賂)を受け取っていた疑惑について語る人も、たぶん取り締まりの対象になる。バイデン政権の、大失敗している移民政策などを悪く言うことも、偽情報の流布とみなされうる。これらを語る人のほとんどは共和党支持者だから、真理省はバイデンが対立政党を潰すための機関でもある。いずれ米国の政権が交代すると、何が真実かも正反対になる。バイデンや民主党は、真理省を最大限に活用して共和党やトランプを「捜査」し、共和党の台頭を防ごうとするだろう。民主党系ネット大企業の独裁を破壊しようとするイーロン・マスクも逮捕されうる。米国はどんどん腐敗した国になっていく。・・・と言った途端に、それが偽情報発信の犯罪行為となる。 (Liberal media, watchdogs 'utterly asleep at their keyboards' on Biden’s Disinformation Governance Board) (On April 21 Obama Said Social Media Censors “Don’t Go Far Enough” – 6 Days Later Puppet Joe Biden Rolls Out “Ministry of Truth”)

ウクライナ戦争がウソだらけなのは、米英が作っているウソをプーチンのロシアが根強く訂正せず、ウソを放置しているからでもある。何度も書いているが、ウクライナ戦争が長期化するほど、この戦争で作られている米国側と、露中など非米側との決定的な対立構造が長く続き、資源や食料を握る非米側が優勢になり、米国側はインフレが金融崩壊に発展して破綻・敗北していく。米英が作ったウソの構図をロシアが放置した方が、この戦争は長期化する。それを知っているプーチンは、露政府にウソをあまり訂正させず放置している。露軍はウクライナでの戦闘をゆっくり展開している。これも長期化のためだ。米国側のマスコミ権威筋は、戦争は急いで終わらせないと失敗なので露軍は負けているとしたり顔で言っているが、全く間抜けである。 (米露の国際経済システム間の長い対決になる) (Pelosi's 'Victory' Rhetoric During Surprise Trip To Kiev Making Some Allies Nervous)

日本にも真理省が作られる前に記事を配信したいので (笑)、今回はこのへんでやめておく。