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折々の記 2010 E

【心に浮かぶよしなしごと】

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【 06 】08/27

  08 27 悲しい哉! 中高校生なみの【朝日新聞社説】
  08 29 マスメディアの悲しいプロパガンダ
  08 30 朝日新聞の新紙面|朝日新聞グローブ (GLOBE)

 08 27 (金) 悲しい哉! 中高校生なみの【朝日新聞社説】

これは一体どうしたことだろうか?

朝日の社説としては、大局的な視点がなく世界の流れにも目にとめない、その場バッタリの中高生の一夜漬けの宿題さながらの社説としか評価できません。 これは一体どうしたことでしょう?

追記(8/29)  ……  どうもおかしいと感じておりいろいろと調べてみていると、次の社説は朝日新聞論説主筆の船橋洋一という人のようです。 8月15日の朝日新聞の社説と8月16日の社説は明らかに考え方の異なる人が書いた内容でした。 船橋洋一の書いた社説はどちらかは読み比べれば誰の目にも明らかにわかります。
彼がどういう人なのか‘Google’で調べるといろいろ出てきます。 公正中立など推奨もできないような人物です。

まずは目を通しましょう。

    8月27日朝日新聞社説

現在位置:asahi.com社説  2010年8月27日(金)付
小沢氏出馬へ―あいた口がふさがらない

 どうしてここまで民意とかけはなれたことができるのか。多くの国民が、あぜんとしているに違いない。

 民主党の小沢一郎前幹事長が、党代表選に立候補する意向を表明した。

 政治とカネの問題で「責任を痛感した」と、幹事長を辞して3カ月もたっていない。この間、小沢氏は問題にけじめをつけたのか。答えは否である。

 いまだ国会で説明もせず、検察審査会で起訴相当の議決を受け、2度目の議決を待つ立場にある。

 鳩山由紀夫前首相にも、あきれる。小沢氏率いる自由党との合併の経緯から、この代表選で小沢氏を支持することが「大義だ」と語った。「互いに責めを果たす」とダブル辞任したことを、もう忘れたのか。

 二人のこのありさまは非常識を通り越して、こっけいですらある。

 民主党代表はすなわち首相である。党内の多数派工作に成功し、「小沢政権」が誕生しても、世論の支持のない政権運営は困難を極めるだろう。

 党内でさえ視線は厳しい。憲法の規定で、国務大臣は在任中、首相が同意しない限り訴追されない。このため「起訴逃れ」を狙った立候補ではないかという批判が出るほどだ。政治とカネの問題をあいまいにしたままでは、国会運営も行き詰まるに違いない。

 より重大な問題も指摘しなければならない。

 自民党は小泉政権後、総選挙を経ずに1年交代で首相を3人も取りかえた。それを厳しく批判して政権交代に結びつけたのは、民主党である。

 今回、もし小沢首相が誕生すれば、わずか約1年で3人目の首相となる。「政権たらい回し」批判はいよいよ民主党に跳ね返ってくるだろう。より悪質なのはどちらか。有権者にどう申し開きをするのか。

 それとも小沢氏は代表選に勝っても負けても、党分裂といった荒業もいとわずに大がかりな政界再編を仕掛けようとしているのだろうか。

 金権腐敗政治と決別し、2大政党による政権交代のある政治、有権者が直接政権を選ぶ政治を実現する――。そんな政治改革の動きの中心に、小沢、鳩山両氏はいた。20年余の歳月を費やし、ようやく目標を達成したと思ったら、同じ二人がそれを台無しにしかねないことをしようとしている。

 ほぼ1年前、新しい政治が始まることを期待して有権者は一票を投じた。その思いを踏みにじるにもほどがあるのではないか。しょせん民主党も同じ穴のむじな、古い政治の体現者だったか――。政党政治自体への冷笑がさらに深まっては取り返しがつかない。

 代表選をそんな場にしてはならない。有権者は政権交代に何を託したのか、根本から論じ直し、古い政治を乗り越える機会にしなければならない。


民意と世論を社説執筆者はどう理解しているのだろうか? 小沢一郎の告発者についての解説には触れないのだろうか? 米軍基地についての世論調査は一度でもしたことがあるのでしょうか? 民意とは何でわかるのでしょうか?

因みに次のサイトを一読してみよう。

   晴れのち曇り、時々パリ(blog) http://blog.goo.ne.jp/veritas21

晴れのち曇り、時々パリ
あまりに世界の現実を知らない祖国ニッポン蛙。
温泉井戸の底で茹だってしまう前に、パリ在住の
小言コウ兵衛の声を聞いとくれ。

2010-08-27 06:26:16 | 政治と社会

さて、これからが『正念場』

日本を正しい方向へ戻す為9月14日までに我々国民がやらねばならぬ事
2010-08-27 06:26:16 | 政治と社会

とうとう小沢氏が、代表選に立つ事を明らかにされました。

これからが、正念場になる筈です。


白状します。

実は、私は2年ちょっと前まで、小澤一郎なる政治家が嫌いでした。
彼こそが、旧弊なる『金権体質』の典型的政治家だと、思っていました。

裏取引や駆け引き。
不透明な政治資金。

国会対策と選挙の達人。
寝技を駆使する剛腕。

と、信じ込んでいました。


民主党結成時に、「小沢が癌だ」と思っていました。

鳩山さんは、旧自民党系の中ではリベラル。
しかし、所詮は自民党出身者。

やはり、期待の星は『菅直人』

だと、思っていました。


ウヘェ〜、恥ずかしい。。。
今思い返すと、汗顔の至りデス。


その考えに、自分の中でストップがかかったのが、実に『西松事件』だったのです。

後は、一気呵成の「小沢ファン」への変貌ぶりに、家人もあきれておりました。

先の衆院選では、私の影響めでたく、家人も『民主党』に投票したものでした。
党員にまでなってしまった。


しかし、その後の成り行きの「目を覆うばかり」の拙行の連続に、いくら私が説得しようにも、家人の民主党への支持は、ドンドン失われて行ったのです。

しょっちゅう日本と当地を往復している家人が言うには。
「日本では、民主党への評価なんて全く無い」

「何にもしていない」
「景気は、増々悪くなってる」


私の反論は以下の通り。

半世紀以上の<悪政>の錆を落とすには時間がかかる。
短絡的に批判するべきではない。
もっと、時間を与えなければ。
小沢氏が居る。

と、どれだけ説得しても、「聞く耳持たぬ家人」なのでした。
私には白状しませんが、参院選にはどこか他の党に入れた気配が濃厚でした。

その間、私の<ブログ>にも「たいして興味を示さなかった」彼女は、マックの前に座り続ける私に、かなり苛ついていたようでした。

私としては、世間様に向かって「声を発信している」のに、家人一人すら説得で来なければ、意味がないと思い、時に触れては、「民主党の在り方」や、「小沢氏への罪をかぶせる」検察の不法な横暴、マスコミの恣意的な国民への洗脳作戦、などを語り、その度に、大した結果を得る事がなかったのが、正直なところです。


ところがその彼女に、最近また少し変化が見られる様になって来たのです。


私が、「何を書いたのか」とか、そのブログの順位などにも興味を示す様になりました。

そして、あれほど「うさん臭そうに」横目で見ていたブログの更新作業にも、余り批判がましい事を言わなくなってきたのです。

昨今は、私の事を「小沢命だね、まったく」と笑う程になり、そしてついに。

「一度小沢さんに首相をやってもらっても良いかも」

と言ったのです。


長々と、私事で恐縮でした。


言いたかった事は、ただ一つ。

周囲を見渡しましょう。
そして、未だに以下の様な人が近くに居たら、「どうすれば良いか」を、考えて欲しいのです。

「一年ちょっとの間に、三人も首相を換えるのは、いくら何でも良くない」
「そんなにコロコロ総理大臣を換えると、国際的にばかにされる」
「検察審査会に起訴を強制されるかもしれない人を、首相になどできない」
「政治とカネの問題に、説明が為されていない」
「金権体質だ」
「壊し屋だ」
「菅首相でがんばれば良い」
「小沢は末に過去の人」
「今の時代は、若返りが必要」

等と言う、マスコミが悪意を持ってねつ造した、小沢氏に対する「マイナス・イメージ」を、一つ一つ反論して、説明して、考えを改めさせる事が肝要である、という事なのです。


何人首相を換えようと、数は無意味です。
無能な首相、日本に取って「害をなす」首相である事が判明したら、即刻換えなければなりません。
無能であっても、「しょっちゅう代える事が良くない」と言う理由で続けさせる事は、国に取っての「取り返しのつかない損失」です。

「国際的にばかにされる」と言う様な、「井戸の底の発想」こそが、世界から馬鹿にされるのだ、と言う事を理解しなければなりません。
日本の、国際的立場など、はっきり言って「大して重きの有る」存在などではないのが、実情です。
「世界に馬鹿にされる」という理屈、つまり「世間体を気にする」事のみが行動原理である、そのような日本人気質こそが、馬鹿にされる所以なのです。
戦前戦後のフランスも、大統領がコロコロと代わりました。
代わる事には、必然性があるのです。
そんな事に、世間体は関係ありません。
癌細胞は、摘出しなければならないのです。

『検察審査会』なるシステムのイカガワシさを、知らしめなくてはなりません。
第一次募集だけ「くじ引きにして」、集められた候補者たちを、観察側が「面接して選ぶ」などと言う、詐欺にも等しい存在です。
しかも、陸山会事件の告発者が、『在特会』なるアンチ在日の右翼組織の頭目である事、など全く報じられない事を、知らしめなくてはなりません。
しかも、検察が起訴出来なかった「偽装献金」などの項目を飛ばして、罪にもならない「2ヶ月の記載づれ」ダケで、『不起訴不当』というお為ごかし。
それを報じず、「政治とカネ」と言い続けるマスコミ、などの異常さを、広く知らしめなければなりません。

検察が、あらかじめ「起訴を前提に」徹底的に捜査して、何処にも不正を見つけられず、「起訴出来なかった」彼は、『推定無罪』どころか、最初から『無罪』なのです。
「推定無罪」とは、起訴されていて、いまだ判決が下りていない状態を指して、言う筈です。
(法的詳細は素人故、間違っていれば申し訳有りません)
「金権体質と言う思い込み」にこだわりたいのなら、一体何処に疑惑が有って、どのような証拠があるのかを、示さなくてはなりません。
マスコミに造り出された「虚像としてのイメージ」を、実態だと思い込む事の危険性を、指摘しなくてはなりません。

「壊し屋だと言う思い込み」にこだわる人は、彼の政治思想を理解せず、彼の行動を把握していないからである事を、知らしめなければなりません。
彼は、常に「公正な二大政党制」を求めて来ました。
つまり、戦後延々と続いた『自民党一党独裁』型の政治による腐敗を起こさない為に、有権者が政権を選択し、交代させ得るシステムを、構築しようとしたのです。
その為に「自民党」を離れました。
そして、官僚による政策立案を廃止し、政治主導での立法を求めたのです。
当然「官僚達に酷く嫌われる」存在となりました。
その後は、自らの描く「新しい政治環境」を形作るには<権力>が必要であり、その都度、離合集散を繰り返して来たが、あくまで自らの理想を追い求めた結果であり、その彼の理想とする「政治環境」が、一般的には先進的に過ぎ、理解出来ずついて来られない「同志達にとっては」壊し屋としか見えない、先端的すぎた行動であった。
しかし、彼自身は、他の政治家と違って「自らの栄達」や「地位に対する拘り」は全く無いことを、広く知らしめなければいけません。

菅直人でがんばりたい人達には、一体どのようにがんばるつもりか、冷静に良く考えて貰うべきです。
民主党に国民が政権を付託した当時の公約を、党議にも計らず総て捨て有り、完全に官僚に操作された「操り人形」と化した彼に、一体何を期待すれば良いのかを、改めて考えるべきです。

そして、小沢氏は、「過去の人どころか」過去において「未来的過ぎた」政治家であった故に、理解されにくかったのです。
彼の政治哲学は、勿論時代の流れに沿って、練り直されての変化は有る物の、『新生党』時代からぶれておらず、その思想は、今、この時代にこそ達成しうる「現代の思想」なのです。

確かに、若返りは必要です。
おもだった『先進国』を見てみると、日本程に「老人政治家が国政を牛耳っている」国は、見当たらない気がします。
しかし、では原口氏に勤まると考えますか?
ましてや前原某や、枝野某に?
若手が育っていない以上、他にかけがえのない人材は、多少歳は喰っていても「利用しない手はない」では有りませんか。
いや、それどころか、小沢氏程の政治理念と、行動力と、ノウハウとを兼ね備えた人材が、他に居ますか?


このような事柄を、周囲の「反小沢」らしき人々に、アピールしなくてはなりません。


具体的には、もし周囲に『党員』や『サポーター』が居るようであれば、ぜひとも以上の点を確認しなくれはならないでしょう。
そして、「小沢へ一票を投じる様に」説得する事が肝要です。

マスコミのネガティヴ・キャンペーンは、増々酷く、ドンドン悪質になって来ました。
ニュースの「タイトルだけ見ても」明らかに、小沢の落選を誘導したい事が有り有りと解る様な物ばかり。

しかし、そのような「世論の誘導に簡単に影響を受ける」人が、残念ながらまだまだ多いのが実情です。


マスコミは、はっきり言って日本社会にとっての敵です。


小沢氏は、『新生党』時代から、『記者クラブ』による独占を廃し、会見をオープンにする努力を行った結果、大手マスコミにきらわれてしまったのでした。
それ以来の「嫌悪感を引きずっている」大手マスコミは、省益を優先する官僚主導を廃止したい小沢氏は官僚達の敵となり、マスコミのクロス・オーナーシップの禁止を伺わせる「小沢を仇敵と見なす彼ら大手マスコミ」は、官僚との利害の一致によって、官僚の御用マスコミと成り果てて、恥も外聞もない国民への恣意的報道を続けています。
それらの毒牙から、周囲の近しい人々を守らなくてはなりません。


そして、皆が夫々自分の選挙区の「地方議員」さん達の『立ち位置』を見極めなければなりません。
そして、彼らに菅直人への支持をさせない様に、運動の輪を広げて行かなければなりません。

勿論、地元選出の国会議員サン達にも、同じ運動を展開する必要が有ります。

メールを送り続けるなり、ファックスを使うなり、電話攻勢をかけるなり、やれる事はあれこれ有る筈です。

そのような「運動の輪」を、皆さん夫々の周囲の人達に協力していただいて、大きなウネリにしなければなりません。


さらに、これからの20日間程の間に「最も懸念される事は」、党員とサポーターとの票の開票に際して「不正がない様に」監視しなくてはなりません。
とくに、菅政権支持派が県連を握っている選挙区は、要注意だと思われます。

彼らは、何をしでかすか、信用ならない連中です。


そして、各人それぞれが、自分のやれる事をなしたならば。
後は『天命』を待つのみです。


正義は勝つ!

日本の為に、勝たなければなりません。


 08 29 (日) マスメディアの悲しいプロパガンダ

民主党代表の選出について、小沢一郎に対して激しいマスメディアのプロパガンダ攻撃が行なわれています。

日本の政治を論ずる人たちが、そして日本の将来を論ずる人たちが、情報操作をして自分の考える方向へ多くの人を騙していくとは言語道断です。

こうしたプロパガンダを暴き出し、正しい方向を照らし出そうとしている人たちがいます。

マスコミが情報操作をしているとすれば、マスコミのニュースと共に情報操作を批正するニュースも入手していかなければなりません。

老生がプロパガンダを批正している情報サイトは次のものです。

  田中宇の国際ニュース解説  http://tanakanews.com/index.html
  植草一秀の「知られざる真実」  http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/
  「世相を斬る」あいば達也  http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya
  晴れのち曇 時々パリ  http://blog.goo.ne.jp/veritas21
  萬晩報…お江戸のデスク日記  http://www.melma.com/backnumber_322/
  阿修羅…拍手(総合・政治…)ランキング  http://www.asyura2.com/

これらの情報サイトのデータはすべてコピーし保存しています。

一般のニュースについては、必要なものや関心とか興味を惹くものはコピーし製本して保存します。

嘘つきは泥棒の始まり


 08 30 (月) 朝日新聞の新紙面|朝日新聞グローブ (GLOBE)

「民主党政権の混乱は必然だった」を見て「象と六人の盲人」を思いだしました。

いろいろの見方や考え方があるものなんですね。 十人十色といいますから間違いないんですね。

それにしても、ちょっと離れた立場で考えることは大事なことなんですね。

ミクロ思考にもマクロ思考にも、無限の考え方があるんですね。

では鈴木崇弘さんの意見を見ましょう。


http://globe.asahi.com/index.html
朝日新聞の新紙面|朝日新聞グローブ (GLOBE)
ジャンル Meets JAPAN  世界と日本を考える


[第25回]  August 30 , 2010
民主党政権の混乱は必然だった
鈴木崇弘 Takahiro Suzuki (城西国際大学客員教授)

民主党政権の混乱は必然だった

参院選の敗退を受けて、菅政権の「政治主導」が後退を続けている。当初、官僚主導を排する司令塔となるはずだった「国家戦略局」も、首相の知恵袋的な組織へと縮小し、各省大臣や与党に配慮しながら政策運営を進める方向だという。

選挙の敗因については、菅首相の消費税発言ばかりが強調されているが、むしろ、民主党政権の政策継続性や歴史観に対する認識の欠如、政策運営の未熟さと稚拙さに対して、国民が強い不満を感じたことが大きいのではないだろうか。

しかし、こうした事態は、ある意味、当然の帰結だったと言える。

民主党は「官僚依存打破」を標榜(ひょう・ぼう)し、政権発足当初こそ、政務三役を中心に官僚を抑え込んだ。そしてダム建設の中止や事務次官会議の廃止、あるいは外交密約の公開、事業仕分けといった新しい方向性や手法を矢継ぎ早に展開し、政治主導型政治の到来を強く印象づけた。

だが、こうした施策は、時間的余裕のあった野党時代に重ねた勉強の蓄積をはき出したにすぎないいったん政権をとれば、入閣した議員たちは担当省庁の行事や日常的な政策判断で猛烈に忙しく、新しい政策を考える余裕はなくなるそもそも、政務三役だけで政策分野すべてに対応すること自体、不可能だ

結局のところ、現実の政策運営には、アイデアを継続的に提示し、政治家の手足として実効性のあるたたき台やビジョンをつくりあげる組織やシステムが不可欠なのだ。

現在の民主党の混乱と低迷は、官僚依存の脱却を声高に叫びながらも、代わって政策情報源と実行部隊となるシステムや政策インフラを十分に準備しなかったことに起因する。そして、立ちゆかなくなった政権は、再び「官僚依存」へと逆戻りの様相を呈している。

私は、留学や議員政策集団のスタッフ経験などを機に、日本には立法府を支える仕組み――具体的にはシンクタンクの機能がきわめて弱いことに気づき、かれこれ25年、その構築と理解の普及に従事してきた。いくつかのシンクタンク設立にもかかわった。政策情報源の多元化を図り、日本をより民主的な社会にしようとの思いからだった。

とりわけ1990年代後半からは、NPOや市民の社会的役割の重要性に関心が集まるようになる。バブル崩壊による長期低迷のなかで、自民党支配による55年体制や霞が関主導の制度疲労が指摘されるようにもなった。二大政党制による政権交代が現実味を帯びてくるなかで、市民を巻き込んだ政策形成過程の必要性が問われ出したのもこのころだ。

政党シンクタンクの挫折

欧米、とりわけ米国の政治においては、シンクタンクから多くの人材が政権中枢に登用されることで知られる。現政権も例外ではない。

オバマ大統領は、クリーンエネルギーへの投資を新しい産業の軸とする「グリーンニューディール」政策を推し進めている。これは、クリントン政権時代の大統領首席補佐官で、オバマの政権移行チームの共同議長でもあったジョン・ポデスタ氏が設立したシンクタンク「アメリカン進歩センター(CAP)」が提案してきたものだ。

CAPのスタッフの多くは、政権発足とともにシニアスタッフの職に就き、政策運営にかかわっている。さまざまな批判を浴びながらもオバマ大統領がそれなりの支持率を維持しているのは、こうしたシンクタンク出のスタッフが直接サポートしているからだ。

日本の政党も、こうした流れを意識しなかったわけではない。05〜06年ごろには自民党、民主党の両方がほぼ同時期に自前のシンクタンクを設立した。自民党の「シンクタンク 2005・日本」、民主党の「公共政策プラットフォーム(プラトン)」がそれだ。

私は、「2005・日本」の理事・事務局長に就任し、小泉政権の末期から麻生政権まで4政権のもとで、党の政策形成にたずさわった。政策マーケティングや政権運営のアドバイスといった先進的な試みをしたとの自負はある。だが、現実には様々な壁に阻まれた。

霞が関以外からの政策情報に対する理想と現実、一定の時間が必要な「研究」と一瞬で局面が変わる「政局」とのギャップ、政策研究に対するリテラシー(理解し、使いこなす能力)の不足、専門スタッフの活用の仕方、議員と党職員、秘書らの役割分担に伴う摩擦など、生々しくてまだ表ざたにするにはためらわれる数々の問題と困難があった。結局、昨年の下野でシンクタンクは休眠状態となり、閉鎖の方向にある。残念だ。

民主党のシンクタンクも、鳩山政権下でスタッフが党や政権の中にとりこまれてしまった。菅政権になって落選議員や候補者の人材プール機能として生かそうとの動きもあったようだが、活動は停止したままになっている。

必要性が叫ばれて久しいにもかかわらず、日本ではシンクタンクが根を下ろし、発展することができない。なぜか。

最大の要因は、「資金のなさ」だ。官僚機構には「税」という財源が保障されているが、それ以外に政策を深く研究し、精緻(せい・ち)な情報をつくるための資金はほとんど存在しない。欧米のシンクタンクを支える寄付文化や税の還流の仕組みが、日本には育っていないためだ。

だが、成熟した日本で、本当に政権交代を常態化させ、ゼネラリスト中心の官僚機構を超えた全体感と専門性をもった政策人材を育成するためには、シンクタンクが不可欠だという私の思いは、以前にも増して強まっている。

予算の一部を非営利に

これは公務員制度改革とも密接に絡む。民主党政権はもともと「天下り」の全面禁止を掲げていた。ところが、6月22日閣議決定の「退職管理基本方針」で、「出向」と読み替えて事実上の天下りを容認しただけでなく、定年まで役所にとどまり千数百万円の年収を手にすることができる「高給窓際スタッフ」を新設した。「改革」はかけ声のみで、再び骨抜きにされようとしている。

シンクタンクが整備されれば、官僚にも次の職場ができ、改革に強く抵抗する必要がなくなる。政権側も、シンクタンクから実効性ある政策アイデアを募ったり人材をリクルートしたりすることが可能になる。

では、寄付文化がすぐには育たない中で、シンクタンクが十分な資金を得られるようにするには、どうしたらいいか。

私の提案は、税制や予算の一部を非営利活動に生かせる仕組みを構築することだ。ハンガリーにあるパーセント法は参考になる。所得税のうち特定割合(たとえば1%)を納税者が自ら選択した公益機関に提供できる制度を日本でも導入してはどうか。

また、国会の独立機関として、民間非営利組織での政策研究や政策評価を推進する組織を設け、税金で運営する。米国の1%政策評価保留条項のように、政府の新規予算の1%を保留し、大臣の裁量で必ず民間の第三者への政策評価に差し向けるようにする仕組みも提唱したい。

軍事アナリストの小川和久氏は自署『「頭脳なき国家」の悲劇』で、シンクタンクは構想力を備えた「国家的頭脳」だが、日本には存在しないに等しいと指摘した。もう17年も前のことだ。
いいかげん、「国家的頭脳」の不在による「悲劇」を断つべきときにきている。



〔参考〕 1 すずき・たかひろ
東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院などに留学。東京財団研究事業部長、大阪大学特任教授、「シンクタンク2005・日本」理事・事務局長などを経て城西国際大学大学院国際アドミニストレーション専攻客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する』『シチズン・リテラシー』など。

〔参考〕 2 六人の盲人と象
有名な「六人の盲人と象」の話は、日本では「群盲象を評す」という諺になっていますが、もともとは「六度経」というお経から出典しているそうです。六人の盲人が自分が触れた箇所をもって象を説明しようとするお話です。・・・昔、インドパキスタン地方のある王様が6人の盲人に象を観察して報告するように言いました。盲人たちは、各々象の異なる部分・・・それぞれ象の耳、鼻、足、尻尾、牙、胴に触り、異なる報告をしました。「象は団扇のように平たくて大きい(耳)」、「象は大蛇のように長い(鼻)」、「象は太くて大木の幹のようだ(足)」、「象は細長くて紐のよう(尻尾)」、「象は槍のように硬く尖っている(牙)」、「象は壁のように平たく大きい(胴)」と表現します。それぞれの説明は全て正しいのですが、いずれの情報も特定のバランスの元に統合されなければ全く実用性を持ちません。

〔参考〕 3 シンクタンク【think tank】
種々の分野の専門家を集め、国の政策決定や企業戦略の基礎研究、コンサルティングサービス、システム開発などを行う組織。頭脳集団。
政府系のシンクタンクは、政策の提言などをする政策研究機関であり、日本では経済社会総合研究所、経済産業研究所、地球産業文化研究所、財務総合政策研究所、総合研究開発機構、行政管理研究センター、統計調査会、日本銀行金融研究所、日本国際問題研究所、防衛研究所などがある。
民間のシンクタンクの多くは金融系の企業や一般の企業とグループ会社となっている。