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【 06 】03/12
03/12 03 10のニュース 醜い森友学園の顛末
(1) 教育勅語肯定 稲田大臣の資質を問う (社説)
(2) 籠池氏、自説の独演会 一連の問題「仕組まれた」森友学園
(3) 校舎建築費、虚偽申告か 森友学園、小学校不認可へ
(4) 現地調査「妨害」で中止に (時時刻刻)森友、疑惑増すばかり
(5) 首相夫人の昭恵氏、20の肩書 名誉職、宣伝や発信期待 朝日新聞が取材で確認したもの
(6) 首相夫人の昭恵氏20の肩書へのコメント 無視はできない
(7) 倍首相に“第二の森友学園”疑惑! 特区指定、37億の土地がタダに
◆いろいろと疑惑が深い森友学園の教育思潮に、戦前の教育勅語是認が問題になっている。 森友学園については、9億円国有地を1億円で買い受けたことが国会で問題になり、ことに同学園の名誉園長が安倍総理夫人で8億円減額が問題のきっかけとなっていた。
更に安倍総理の肝いりの防衛大臣が森友学園の教育勅語実施を是認したことが問題となったのである。
2017年3月10日 ▼第16面記事
(1) (社説)教育勅語肯定 稲田大臣の資質を問う
2017年3月10日
稲田防衛相に閣僚としての資質があるのか。重大な疑義を抱かざるを得ない発言である。
稲田氏は8日の参院予算委員会で、戦前の教育勅語について次のように語った。
「日本が道義国家を目指すというその精神は今も取り戻すべきだと考えている」
「教育勅語の精神である道義国家を目指すべきであること、そして親孝行だとか友達を大切にするとか、そういう核の部分は今も大切なものとして維持をしているところだ」
天皇を頂点とする国家をめざし、軍国主義教育の根拠となったのが教育勅語だ。明治天皇直々の言葉として発布され、国民は「臣民」とされた。
親孝行をし、夫婦仲良く。そんな徳目が並ぶが、その核心は「万一危急の大事が起こったならば、大儀に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家の為(ため)につくせ」(戦前の文部省訳)という点にある。
いざという時には天皇に命を捧げよ――。それこそが教育勅語の「核」にほかならない。
稲田氏のいう「道義国家」が何なのかは分からない。ただ、教育勅語を「全体として」(稲田氏)肯定する発言は、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という憲法の理念と相いれない。
教育勅語は終戦後の1948年、衆院で排除の、参院で失効確認の決議がされた。衆院決議は勅語の理念は「明らかに基本的人権を損ない、且(か)つ国際信義に対して疑点を残す」とした。
当時から、「いいことも書いてある」などとする擁護論もあった。これに対し、決議案の趣旨説明に立った議員は「勅語という枠の中にある以上、勅語そのものがもつ根本原理を、我々は認めることができない」と言い切っている。
当時の文相も「教育勅語は明治憲法を思想的背景としており、その基調において新憲法の精神に合致しないのは明らか」と本会議で答弁した。
こうした議論を踏まえることなく、勅語を称揚する姿勢は閣僚にふさわしいとは思えない。
まして稲田氏は自衛隊を指揮監督する立場の防衛相である。軍国主義の肯定につながる発言は国内外に疑念を招く。
安倍政権では、教育勅語を擁護する発言が続く。2014年に当時の下村博文・文科相は、勅語が示す徳目について「至極まっとう。今でも十分通用する」などと語った。
こうした主張は政権全体のものなのか。安倍首相は明確な説明をすべきだ。
◆社説で取りあげている、稲田防衛大臣の意思表示に関わっては、■印の中で籠池氏は9日、報道陣に対し、「教育勅語」についても持論を展開したとして、大臣が籠池氏の森友学院教育方針を是認していることが分かる。
2017年3月10日 ▼第39面記事
(2) 籠池氏、自説の独演会 一連の問題「仕組まれた」 森友学園
2017年3月10日
工事車両や重機の音に混じって、大きな声が響き渡った。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却や小学校の設置認可をめぐる問題で9日、学園の籠池(かごいけ)泰典理事長が報道陣の取材に応じ、学校の認可を強く求め、国会の質疑やメディアへの批判を展開。ただ、小学校の建築費などの疑問については明確に答えなかった。▼1面参照
籠池氏は午後2時20分ごろ、学園が建設を進める大阪府豊中市の「瑞穂(みづほ)の國(くに)記念小學院(しょうがくいん)」予定地に黒っぽいスーツ姿で現れた。現地調査のため、すでに府教育庁職員が到着していた。
「静かに。国民の皆様にお伝えします」。籠池氏は集まった100人以上の報道陣を前に声を張り上げた。背後に未完成の校舎がある。「20年来、どのように小学校を作っていけばいいのか、いつも考えてきた。しかし、今、非常に悩んでおります」。そう切り出し、一連の問題を語り始めた。
まずは、府私学審議会が2015年1月に学校の工事の契約状況を報告することなどを条件に「認可適当」と答申したことに矛先を向け、「認可妥当(適当)がなければ、建物も建てていなかった」と主張。国会の予算委員会で学園の国有地取得などをめぐる質疑が続いていることにも「ほかの重要な国論について言うことがないのか」と批判した。一連の問題について「仕組まれてきたと思う」と自らの考えを語り、「どうぞ学校を開設させていただきたい」と訴えた。
その後、調査に来た教育庁職員が待つプレハブ施設内に入ったが、30分ほど後に再び報道陣の前へ。
学園側が今年2月の私学審に、愛知県の中等教育学校と「推薦入学枠の提供で合意」と報告したことについて、「我々のコンサルタントがちょっとミスをした。現在進行形ですから。正式決定と書いたのは本当に申し訳ない」と釈明した。
国に「23億8464万円」、府私学審に「7億5600万円」など学園側がいくつもの小学校建築費を示したことについて報道陣に問われると、正しいのは「7億5千万」と説明。しかし、理由は「ちょっとまだ」などと言葉を濁した。
動画サイト「ユーチューブ」にも一時、籠池氏が語る動画が掲載された。
籠池氏は、国有地取得について「何ら疑義はない。どなたにも口利きをしてもらったことはない」と主張。小学校が不認可の場合、「大変なことになる。大阪府に賠償請求をしないといかんようになる」と語り、そうならないよう「きちっと答えてます」と話した。
政治家との関係にも言及した。籠池氏について「知らない」「10年前にしか会っていない」と話す国会議員がいるとして、「そんなことない」「よく存じ上げている方もいますね」と指摘。「しっぽ切りはやめてほしい」と述べた。実名は明らかにしなかった。
■事実と異なるメディア批判
籠池氏はメディアの取材には「行きすぎですよ」などと指摘した。だが、事実と異なる点も多い。そのなかで朝日新聞について「会見もしないのに、『いついつ会見します』と書いた朝日新聞。とんでもない話だと思いますよ。あれから、このような騒動が起こった」と発言。「小学校の説明会の時、朝日放送だったか、朝日テレビだったか、眼鏡にカメラを入れ込んで、しかも保護者と思わせるような態度で侵入してきた」とも述べた。
朝日新聞は2月11日付朝刊で小学校建設地をめぐるごみ撤去の費用について報じた際、籠池氏が前日の朝日新聞の取材に「13日に改めて取材に応じる」と答えたと書いた。実際に籠池氏は同月13日、代理人弁護士と取材に応じた。籠池氏が会見を開く予定があると本紙が報じた事実はない。
朝日放送(大阪市)の広報部は「当社の取材方法について籠池氏が指摘したような事実はありません」、テレビ朝日(東京)の広報部は「その取材には行っておりません」とするコメントを9日に出した。
■「どこが悪い」主張の教育勅語 「総動員体制」への影響指摘
また、籠池氏は9日、報道陣に対し、「教育勅語」についても持論を展開した。
「何かことがあったとき、自分の身を捨ててでも人のために頑張んなさい。そういう教育勅語のどこが悪い。まったく悪くない」
籠池氏が理事長を務める学校法人「森友学園」が運営する幼稚園で、園児が「教育勅語」を暗唱していたことがわかっている。稲田朋美防衛相も8日の参院予算委員会で「日本が道義国家をめざすという、その精神は今も取り戻すべきだと考えている」と答弁した。
教育勅語は明治天皇が1890年、教育の根本理念を示すものとして授けた「教え」だ。中には、夫婦が仲良くする、父母に孝行する、友達を大事にする、といった一般的な道徳を表す項目もある。
しかし、教育勅語の本質は別のところにある。
君主に従い、奉仕する人民という意味で、国民を「臣民」と記している。さらに、臣民は国家の一大事には、勇気をふるって身を捧げ、「皇室国家」(戦前の文部省訳)のために尽くすとも書かれている。籠池氏の発言は、この部分を念頭に置いたものと受け止められる可能性もある。
また、教育勅語は国家神道と一体化し、神格化された勅語の謄本(写し)の前では、臣民は頭を垂れることとされた。「神」である天皇のもとで、国民を統合する役割があったというのが定説だ。全体主義が浸透し、戦争中の総動員体制につながったとも指摘される。
このため、太平洋戦争後の1948年、衆院は「根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている」と指摘。基本的人権を損ない、国際的にも疑問を残すものだとして、「排除」を決議した。参院も同日、「失効確認」を決議した。
籠池氏は9日、「偏向したことをみなさんが考えすぎるから、日本社会はだんだんおかしくなってくる」と教育勅語の正当性を強調。稲田氏は8日の参院委で「教育勅語自体が全く誤っているというのは私は違うと思う」と述べる一方、教育勅語の根幹部分の是非については直接、触れなかった。
◆「森友学園」の<「私学審議会の『認可妥当』という結論が出たため国有地を定期借地し、その後買収した」などと説明>この中の<私学審議会の『認可妥当』>の実証はできるのか。 理事長の話の中身は疑惑に満ちている。 何かが隠されていると考えざるを得ない。
2017年3月10日 ▼第1面記事
(3) 校舎建築費、虚偽申告か
森友学園、小学校不認可へ
2017年3月10日
学校法人「森友学園」(大阪市)が新設を目指す小学校「瑞穂(みづほ)の國(くに)記念小學院(しょうがくいん)」(大阪府豊中市)の設置認可を巡り、開校予定地で現地調査(実地検査)をした府教育庁は9日、学園側が初めて建築費の根拠となる領収書を提示したことを明らかにした。総額が15億5520万円だと示すもので、これまで学園側が府私学審議会に提出していた建築費7億5600万円とする契約書と食い違いが明らかになった。▼2面=現地調査を「妨害」、39面=籠池氏独演会
■国、土地買い戻し検討
府教育庁は、財務状況をよく見せようと建築費を過少に申告するため虚偽の書類を提出したとみており、小学校設置を「不認可」とする方針。
国は、学園が小学校開設の認可が得られなければ土地を買い戻す検討を始めた。財務省幹部は「小学校設置の認可適当が出たので土地を売却した。不認可になれば、当然買い戻しを検討する」と語った。
府教育庁によると、小学校の建築費について、学園側は府私学審議会向けに提出した資料の中で、7億5600万円とする契約書を提出。一方、小学校の施工業者は府建築振興課に対し、建築費は15億5520万円とする契約書を提出している。
府教育庁がこの日の調査で、学園の籠池泰典理事長らに金額の差について確認したところ、建築費の前払い金の領収書を見せられ、総額では施工業者が府建築振興課に提出した契約書に記載された15億5520万円に近い数字になったという。一方、籠池氏は調査後、取材陣に「(正しい金額は)7億5600万円だ」と説明した。建築費が15億5520万円だと示す領収書との矛盾についての説明はなかった。
府教育庁は調査で、2時間程度をかけて入学予定者数や教員の雇用契約書、教員の指導態勢、カリキュラムなどについても確認する予定だった。だが、調査中に学園が運営する幼稚園の副園長で籠池氏の妻が、無断で職員の写真を撮るなどしたため、20分弱で中止になったという。
府の松井一郎知事は9日夕、「出てきた書類全部違うわけなので、(認可は)ちょっと無理」と述べた。 籠池氏は敷地内で取材陣に対し、「私学審議会の『認可妥当』という結論が出たため国有地を定期借地し、その後買収した」などと説明。「この学校を開設させて欲しい」と訴えた。
◇
自民、民進両党は9日、参院国会対策委員長会談を開催。民進の榛葉賀津也参院国対委員長が「大きな疑義がある」として、籠池氏らの参考人招致を改めて要求した。しかし、自民の松山政司参院国対委員長は断り、国会で籠池氏本人から事情を聴くことについて消極的な姿勢を改めて示した。
◆大阪府教育庁が開校不認可、産廃土の処理、建築費の契約書疑念、調査「妨害」事態、籠池理事長ら参考人招致、安倍夫人の名誉欲、等々森友学園の紛争疑惑は終焉に近づいてきた。 醜い名誉欲と金銭欲の渦、国民にとって恥さらしの一つであった。
もう一つの恥さらし、豊洲市場移転についての醜い課題・・役職権力の凡欲と個人の金銭欲・・これも終焉に近づいている。
2017年3月10日 ▼第2面記事
(4) 現地調査「妨害」で中止に
(時時刻刻)森友、疑惑増すばかり
学校法人「森友学園」が4月開校をめざす小学校に対し、大阪府教育庁が不認可とする見通しとなった。産廃土の処理、建築費をめぐる複数の契約書……。疑念の解明に向けた教育庁による9日の調査も、学園側の「妨害」で中止された。事態が混迷を深める中、国会は籠池(かごいけ)泰典理事長らの参考人招致をめぐって綱引きが続いている。▼1面参照
■理事長妻、職員を詰問・撮影
「正常な調査ができないと判断した」。この日、「瑞穂(みづほ)の國(くに)記念小學院(しょうがくいん)」(大阪府豊中市)の現地調査を中止した後、記者会見した吉本馨(かおる)・府教育庁私学課長は、表情をこわばらせて言った。
吉本課長によると、今月初めに学園側と私学課員が面談した際、課員の写真や名前が、事実ではない文言とともに第三者のブログに掲載された。この日も、課員が建築事業費の契約書が3通りある問題について籠池理事長に説明を求めたところ、学園が運営する幼稚園の副園長でもある理事長の妻が「マスコミに資料を出しているのはお前だろう」と課員に詰め寄った。
さらに理事長の妻は課員に携帯電話のカメラを向けて撮影を始めた。課員が「やめて下さい」と求めても応じてもらえず、課員5人は20分ほどで調査をやめたという。吉本課長は「検査妨害があった」として、学園側に抗議文を送ったことを明らかにした。
そもそも、学校用地となる国有地の取引経緯は異例ずくめだった。財務省は、定期借地契約から売買契約に切り替え、10年間の分割払いを認めた例は過去にないと国会で答弁。公表が原則の売却価格も伏せられていた。
売却時に鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費8億1900万円を引いた根拠も不透明のまま。財務省近畿財務局が「開校が遅れる恐れ」を理由に、実績がない国土交通省大阪航空局に積算を依頼した経緯もあいまいだ。
そのごみも、敷地内に大部分が残されている可能性が高い。工事業者は朝日新聞の取材に対し、地下3メートルまでの産廃土について、近畿財務局の担当者から「『場内処分』を求められた」と証言。基礎工事で出た産廃土についても、別の業者が「半分は校庭に埋め戻した」と明かした。学園側は「仮置き」と反論しているが、府側は健康面への悪影響を懸念している。
小学校の設置認可の条件になっている財務の健全性や、教員の確保などの運営態勢についても、様々な疑念が浮かんでいる。
一方、学園の運営する幼稚園に子どもを通わせる保護者らが9日、府教育庁を訪れ、小学校の設置認可を要望した。女性保護者は「(小学校の)目の前に自宅を購入した人もいる。ぜひ認可を」、小学校に娘を通わせる予定だという男性保護者は「設置が許可されないことがあったら、どうしてこの小学校に行けないのか、子どもの前で説明していただきたい」とそれぞれ教育庁に申し入れた。
府教育庁は今後、府私学審議会の議論を経て、小学校の設置認可問題について正式に結論を出す予定だ。
■国買い戻す場合、校舎の存廃課題 小学校不認可方針で
小学校の設置が「不認可」となった場合、土地や建物の行方は国の判断にゆだねられることになる。
森友学園との売買契約では、土地は3月31日までに小学校用地として利用しなければならない、とされている。このため、ある財務省幹部は「大阪府が学校設置の不認可を出したら、土地を売った前提が崩れてしまう」と、買い戻しを検討することを認める。大阪府教育庁が正式に不認可と決めた場合、国有財産の扱いを話し合う「国有財産近畿地方審議会」で対応を検討する考えだ。
政府関係者も、「学校にならないなら国会から『買い戻せ』と追及されるのは確実。買い戻すしかない」。そのうえで、「国にとっては売った値段と同じ値段で買い戻せる。買い戻したらこの問題は終わり」と話す。
一方、不認可の決定が一時的な措置で、近い将来開校できる見込みが高い場合は、買い戻しにくいとみる関係者もいる。不認可の決定理由が不十分なら訴訟になるリスクもある。財務省は、私学審の議論や決定内容を分析したうえで最終判断する考えだ。
買い戻す場合には、ほぼ完成している校舎の存廃も課題となる。
売買契約書では、国が買い戻すときには森友学園に土地を「原状」の更地に戻す義務がある。ただし、「原状に回復させることが適当でないと国が認めたときは、現状のまま返還することができる」ともされている。
別の財務省幹部は、買い戻すなら「更地で戻してもらうのが原則」と語る。一方、国が校舎を引き取ることを前提に、「校舎には補助金が入っており、解体せずに別の用途で使うことも考えられる」と話す関係者もいる。
また、地中には大量のごみが残っているとされている。その処分をどうするかという問題も残る。
■国会招致、動かぬ与党 野党追及「真相究明を邪魔」
「籠池理事長が積極的に発言しているにもかかわらず、なぜ真相究明を自民党は邪魔するのか」
民進党の山井和則国会対策委員長は9日、自民党の竹下亘国対委員長と国会内で会談。籠池氏が府教育庁による現地調査の際に記者団の取材に応じたのに、与党が籠池氏らの参考人招致を拒むのは、理屈が立たないと批判した。
新年度予算案の審議が続く国会で、野党は衆参の本会議や常任委員会で問題の追及を続けてきた。自民の鴻池祥肇(こうのいけよしただ)元防災担当相の事務所の国有地売却への関与や売却の異例ずくめの枠組みは一定程度判明した。だが、なぜ、どのような経緯で異例の手続きが重ねられたのかは不透明だ。
政府側が「記録は廃棄したが担当者に個別確認はしていない」など、事実解明に対して消極姿勢を貫き、「適正な手続きだ」「不当な働きかけはない」と同じ答弁を繰り返して防戦するなか、堂々巡りの質疑も目立ち始めている。
この日の衆院本会議では、民進の菊田真紀子氏が「連日のように新たな問題が浮上している。この期に及んでも『手続きは適正だった』と言うのか」と迫ったが、麻生太郎財務相は「適正な手続き、価格で処分されたもので問題はない」と述べ、従来の答弁の枠を出なかった。
野党は、籠池氏や当時の財務省理財局長ら、6人の参考人招致を事態の打開策と位置づける。「交渉記録を破棄したので違法性の有無は関係者を呼び直接問いただすしかない」(共産党の志位和夫委員長)。一方の与党は「何を言い出すか分からない」(自民幹部)籠池氏を招致すれば、政府答弁の矛盾が露呈しかねないとの懸念から、「民間人の招致は慎重であるべきだ」(竹下氏)との理由を盾に逃げ切りを図る。
与野党の綱引きが続くなか、参院予算委員会で民進が提案した現地視察は、16日の実施で自民、民進両党が大筋合意した。だが、現地での籠池氏との面会については、自民側が難色を示している。(松井望美、平林大輔)
■地中のごみ処理「籠池氏が要求」 財務省室長が証言
地下に新たなごみが見つかったと森友学園側が訴えていた昨年3月半ば、財務省本省で籠池氏と面会した同省理財局の田村嘉啓・国有財産審理室長が9日、民進党の聞き取りに対し、当時のやりとりを明らかにした。籠池氏に「学校建設に影響が出ると困るので至急なんとかしてほしい」と言われ、「ルールがあるから、現場でしっかり話してほしい」と答えたという。
田村室長によると前日に自席の電話が鳴り、学園の副理事長から面会を求められた。籠池氏とは初対面。部下と一緒に30分程度話した。誰かから会うように指示を受けたかと民進党側から問われると、「指示はまったく受けていません」と否定した。
面会後の3月24日、学園側は国に土地購入を申し入れ、3カ月後の6月20日、土地の鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費約8億円を差し引いた価格で売買契約が成立した。
◆大阪府教育庁が開校不認可、産廃土の処理、建築費の契約書疑念、調査「妨害」事態、籠池理事長ら参考人招致、安倍夫人の名誉欲、等々森友学園の紛争疑惑は終焉に近づいてきた。 醜い名誉欲と金銭欲の渦、国民にとって恥さらしの一つであった。
もう一つの恥さらし、豊洲市場移転についての醜い課題・・役職権力の凡欲と個人の金銭欲・・これも終焉に近づいている。
2017年3月9日
(5) 首相夫人の昭恵氏、20の肩書 名誉職、宣伝や発信期待
朝日新聞が取材で確認したもの
安倍昭恵氏が名誉会長などの主な団体・イベント
朝日新聞が取材で確認したもの http://digital.asahi.com/articles/photo/AS20170308005073.html
名誉会長
・iPS細胞チャリティーコンペ実行委員会
・一般社団法人 鈴蘭会
・「全国身体障害者ほう助犬サミット」in東京
・社会福祉法人 中部少年学院 後援会
・東京宗像会
・ミャンマー祭り実行委員会
名誉顧問
・一般社団法人 日本障害者雇用推進協議会
・一般社団法人 日本ヒートアイランド対策協議会
・NPO法人 メコン総合研究所
・むかつくダブルマラソン実行委員会
顧問
・一般社団法人 「伊勢麻」振興協会
・NPO法人 ふるさとテレビ
名誉理事
・一般社団法人 日本コンディショニング協会
・女性未来農業創造研究会
特別名誉会員
・特別財団法人 白米千枚田継承保存協議会
名誉校長・名誉園長
・学校法人 森友学園(新設予定の小学校)
・学校法人 加計学園御影インターナショナルこども園
特別名誉顧問
・ハイスクール世界サミットin福島
顧問理事
・NPO法人 ハンズオン東京
名誉総裁
・女性による伝統芸能の伝承
学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、学園が開設予定の小学校で名誉校長に就いていた安倍晋三首相の妻昭恵氏(54)は、小学校も含め20の団体やイベントで名誉会長などの肩書を持っていた。政府は8日、昭恵氏が学園で講演した際の政府職員の同行が「公務」と認めた。識者は「首相夫人の活動には決まりが必要」と指摘する。
特集:森友学園問題
昭恵氏が名誉会長を務める団体の一つは「鈴蘭(すずらん)会」(福岡市)。森友学園の幼稚園に教材を売った一般社団法人だ。
鈴蘭会の広報担当者によると、昭恵氏は2007年に会の前身団体を視察し、漢文などを音読する「素読(そどく)」を体験した。「何かお手伝いはできないか」と昭恵氏から申し出があり、09年に会を発足した時に名誉会長になった。教材の売買には関与していないという。
広報担当者によると、昭恵氏は「私の肩書を自由に使って」と話していたという。「昭恵氏は人気があり、色々なところで宣伝してくれる」
昭恵氏が名誉会長や顧問などに就いている団体やイベントはネット上で多く見つかる。朝日新聞は取材で、森友学園の小学校を含めて少なくとも20の団体・イベントで役職に就いているか、過去に務めたことがあるのを確認した。
麻の普及に取り組む一般社団法人「伊勢麻」振興協会(三重県伊勢市)では顧問に就く。新田均理事は、「雑誌で麻の普及に言及していた」と依頼した理由を説明する。麻への理解を広げるための発信役を期待するが、就任後、活動してもらったことはないという。
棚田の保存活動をする公益財団法人「白米千枚田景勝保存協議会」(石川県輪島市)では13年10月、特別名誉会員になった。現地を公式に訪れたことはないという。協議会関係者は「総理夫人で知名度もある。メディア出演や講演、フェイスブックで話題にしてもらえば、よい情報発信になる。首相夫人という立場に期待していないとは言えない」と話す。
今年1月に東京であった「全国身体障害者ほじょ犬サミット」では名誉会長を務めた。実行委員会の女性は「『自分が役に立てるなら』という意向だったと思う。今回の騒動で、著名人の社会貢献が止まってしまうのが怖い」と話す。
■国の職員同行は「公務」 国会答弁訂正
昭恵氏について首相は、「妻は私人」「公人ではない」としている。だが国会の議論では、首相夫人の公的色合いの強さが次第に明らかになっている。
「公務として同行していた」。昭恵氏が2014年と15年に森友学園の幼稚園で講演した際に随行したサポート役の政府職員について、土生(はぶ)栄二内閣審議官は8日の国会でそう述べた。3日には「私的活動に関すること」と答弁していたが、これを訂正した。
土生氏は、公務に関する活動の連絡調整のために経済産業省出身の職員が随行したとし、「(昭恵氏の)私的活動そのものをサポートするといったものではなかった」と釈明。職員の旅費は昭恵氏側から支払われたが、当日は土曜日で、休日の超過勤務手当が支払われる対象だったとした。野党は「職員は公務で行ったのに、旅費を夫人に払わせるのは論理的におかしい」「総理夫人は明らかに公人だ」と批判した。
昭恵氏は8日、東京都内であった「女性が輝く社会の実現」がテーマの講演で「総理夫人という立場だからこそ、私に会ってうれしいと言ってくださる方がたくさんいらっしゃる」と自らの公的な立場を認識しているような発言をした。
森友学園の問題には言及しなかったが、「色んなところに行きますけど、そういうのはあまり取り上げていただけない。何かあった時だけだという感じ」と、自身の取り上げられ方に不満もにじませた。
昭恵氏は歴代の首相夫人に比べて活動派だ。首相は2日の国会で、海外出張への首相夫人同行は野田政権で1回だったのに対し、「妻の場合25回」と述べた。ただ、公私があいまいなまま活動が広がることには、懸念の声が上がる。
橋本龍太郎元首相の首相秘書官を務めた民進党の江田憲司衆院議員は7日、政府側へのヒアリングの場で、首相夫人の行事出席などは「政務秘書官が全部相談にあずかって、一私企業や私学のためには慎んだ」という経験を紹介した。「要請してくる人は総理夫人は総理の分身、代理だと思っている。その信用力を使って、自ら利益を得るために利用しようという魂胆で近づいてくる人が多い」という。
細川護熙内閣で首相秘書官を務めた成田憲彦・駿河台大教授(日本政治論)は「どの名誉職を受けるかのチェックは本人だけではできない。地元の議員など様々なルートから依頼もあるだろう。森友学園の名誉校長を引き受けたのは失点だが、本人だけを過剰に責めるのではなく、首相夫人の立場を制度化し、政府内に位置づけたうえで、行動規範をつくる必要があるのではないか」と話す。
■特区めぐり「不自然」 民進が指摘
安倍晋三首相の妻昭恵氏を巡っては、民進党の福島伸享氏が8日の衆院文部科学委員会で、森友学園の小学校の名誉校長に就いた約2週間後に、神戸市の認可外保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長に就任していたと取り上げた。
こども園を運営する学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)は、今年1月に国家戦略特区の事業者に認定され、愛媛県今治市に岡山理科大学の獣医学部を新設する方針。同学園は特区の計画を進めてきた今治市から36億7千万円分の市有地を無償で受け取る予定だ。
福島氏はこれまで獣医学部の新設が国に認められていなかった経緯を踏まえ、「極めて不自然だ」とし、「事業者に合わせて、(国家戦略特区の)制度を作った」と主張した。文部科学省側は「内閣府の国家戦略特区諮問会議で、国家戦略として獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的事由に対応するため、計画された」と話した。
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◆<首相夫人の昭恵氏、20の肩書 名誉職、宣伝や発信期待>このニュースに寄せられた人々のコメント。 寄せられたコメントは総理夫人としての恥部となっている。 当たらぬなどと嘯いてはいられない庶民の声の潮流である。
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(6) 首相夫人の昭恵氏20の肩書
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2017-03-09 04:32
http://ceron.jp/url/www.asahi.com/articles/ASK38666GK38UTIL03D.html
Twitterのコメント(77)
・政府は8日、昭恵氏が学園で講演した際の政府職員の同行が「公務」と認めた。識者は「首相夫人の活動には決まりが必要」と指摘する。
yuzu-(@yuzuyuzum) - 03/10
・これで『何でこんなに注目されるのか』と言える「神経」に、驚きだ。『20の団体やイベントで名誉会長などの肩書』を、持つ。当然、「首相夫人昭恵氏」となる。/中でも注目すべきは、「森友学園=名誉校長⇦辞退」と「加計学園=名誉園長」である。
kinugawasatoru(@azuchijyou2013) - 03/10
・「私の肩書を自由に使って」って、印籠にしまくりじゃないですか…(唖然) -
羅衾(@rakin550) - 03/09
・補助金・献金を頂くための「広告塔」になってるんだよ。首相夫人だから効果は最高だ。一職当たりのお手当は?円だろうね。100万円/年位かね・・・>
hirosi suzuki(@kura1693) - 03/09
・内閣総理大臣夫人の看板はデカい。広告としての効能書きは「宮内庁御用達」より効き目がある。それだけに内容を十分吟味して係るべきだ。今回は時代錯誤のおっさんへの応援で頂けない。
永野勝美(@naganokatumi) - 03/09
・-朝日新聞 はあるね♪ネット上で反安倍で馬鹿騒ぎしてる連中に流されずにマトモな意見を記事にした点は良いと思うよ。
豹12029(@1969Kawa) - 03/09
・以下略す このTwitterのコメント(77)は、すべて出ています。
※ceron.jp このHPには「Twitterのコメント(77)」のほか、続いて「関連記事」欄もあり多くの話題を提供しています。
次のコメントも出てきた。 ことに NEW YORK TIMS東京支局長のコメントは、マスメデアの先頭に立つ人々にとってマクロの、巨視的な、鳥瞰的な時間の広がりや空間の広がりなどに配慮するとともに、ミクロの、微視的な、一般の人々の感情的な動きや理性的判断の実情を配慮して、情報周知に努力する責務があることを指摘している。
見てみよう。
・安倍首相は従来の日本とは全く異なる国家をつくろうとしている。重大局面を迎えているにもかかわらず、なぜ日本のメディアは問題提起せず議論を展開しないのか。国民が選択しようにも、メディアが沈黙していては選択肢は見えてこない。(ニューヨーク・タイムズ東京支局長マーティン・ファクラー)
・問題は疑問も挟まず、従って何の質問もせず、説明も求めないメディアの方です。安倍首相が積極的平和主義を唱えれば、多くの国民が何の疑問ももたずに『そんなもんか』と思ってしまう。ここが危険なところです。(NYタイムズ東京支局長 マーティン・ファクラー)
・リベラルの先頭に立ってきた朝日新聞は何をやっているのか。もはや読む価値が感じられない。私がいま手にするのは、日刊ゲンダイ、週刊金曜日、週刊現代といった週刊誌。いまや週刊誌の方が、大手紙より読み応えがある。(ニューヨーク・タイムズ東京支局長マーティン・ファクラー)
◆<特区指定、37億の土地が無償譲渡される予定>おそらくこの件は森友事件のあおりを受けて立ち消えになるだろう。 だが痕跡は確実に実証しておくことが必要である。
ニューヨーク・タイムズ東京支局長マーティン・ファクラーの指摘しているように、日本のこれからについての方向の設計図を示さなくてはならない。
積極的平和主義ではなく、恒久平和を目指して人殺しの武器を作らない、人殺し武器を売らない、ひとごろし武器を手にしない、憲法第二章第九条の戦争放棄とは、外国の思惑を条件としてはいけない。 国益を条件としてもいけない。 よその軍備には関係なく、ユネスコ憲章の本旨を実現する恒久平和へのプログラムを志向しなければならない。
それこそが、東日本大震災復興の中核の心であり、放射能のメルトダウンを防ぐ心であり、家族の恒久安全を願う心である。
2017.03.02. 政治・政治家に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
(7) 安倍首相に“第二の森友学園”疑惑!
親友が経営、昭恵夫人が名誉園長の学校法人に特区指定、37億の土地がタダに
http://lite-ra.com/2017/03/post-2957.html
自民党の大物政治家である鴻池祥肇氏への口利き依頼が発覚した学校法人森友学園をめぐる国有地売却問題。国民の関心は安倍首相と政権幹部の関与の実態に集まっているが、じつはもうひとつ、森友学園と似た構図の疑惑が安倍首相にもちあがっている。
昭恵夫人が名誉園長を務め、自分の親友が経営する学校法人のために規制緩和をして、結果、この学校法人が経営する大学に約17万平方メートル、開発費も含めると37億円におよぶ土地が無償譲渡される予定になっているというのだ。
この学校法人というのは、岡山県に本拠を置く加計学園グループ。岡山理科大のほか、倉敷芸術科学大、千葉科学大など岡山県内外の5つの大学をはじめ、6つの専門学校、さらには高校、中学、幼稚園、保育園までを擁する一大教育グループだ。
加計学園を率い、ここまでの規模にしたのは、二代目で現理事長の加計孝太郎氏だが、この加計氏は、安倍氏が大学卒業後、アメリカに語学留学したときに知り合って以来の親友なのだという。たしかに首相動静を確認すると、昨年だけでも12月24日、10月2日、3月18日に加計氏と会食したとあり、7月22日にはゴルフを楽しんでいる。また、夏休み中の8月10日には安倍首相の別荘がある山梨県の居酒屋で秘書官を交えて食事をし、翌日にはやはりゴルフを一緒にプレー。よほどの仲であることが窺える。
また、加計学園が運営する千葉科学大学が2014年に開学10周年を迎えた際の記念式典に安倍首相が来賓として出席。祝辞でこう述べている。
「どんな時も心の奥でつながっている友人、私と加計さんもまさに腹心の友だ」(千葉日報14年5月26日付)
しかも、この加計学園には、森友学園同様、昭恵夫人も関わっていた。神戸市東灘区に加計学園が運営する「御影インターナショナルこども園」という認可外保育施設があるのだが、昭恵夫人はそこの「名誉園長」を務めているのである。
昭恵夫人が同園を訪問し、講演の模様を伝えた「産経WEST」2015年9月20日付けの記事には、こう書かれている。
〈同園によると、安倍首相は、同園を運営する学校法人加計学園の加計孝太郎理事長と古くからの友人で、同学園のグローバル教育に携わってきた昭恵夫人の名誉園長就任を受け、講演が実現した〉
まさに森友学園を彷彿とさせるが、疑惑の本番はここからだ。舞台になったのは、愛媛県今治市の郊外にある今治新都市第2地区。この今治新都市というのは愛媛県と今治市、都市再生機構が用地整備を進めてきたニュータウンで、今治市は街づくりの一環として大学誘致を目玉にしていた。
そんななかで、名乗りを上げたのが安倍首相の「腹心の友」が経営する加計学園で、同法人が運営する岡山理科大に獣医学部を新設、そのキャンパスを今治新都市第二地区に置く計画を2007年1月に申請したという。
だが、文科省は獣医師養成学部・学科の入学定員を獣医師の質の確保を理由に制限していた。そこで、今治市は獣医学部誘致のために入学定員の地域解除を求める構造改革特区を国に申請したのだが、あっさりはねつけられた。
読売新聞2008年4月28日付(大阪版)の記事によると、日本獣医師会が「現状で充足されている以上、定員を堅持すべき」と今治市の大学誘致に反対、2008年3月には国も「獣医師の供給不足は起きていない」として申請を却下したという。同市はその後も構造改革特区を利用した獣医学部誘致を15回にわたって提案したが、ことごとく却下されている。つまり、今治市と加計学園にとって入学定員制限は大きな壁として立ちはだかっていたのだ。
ところが、安倍首相が政権に返り咲くと、その状況は一転してしまう。2015年12月に安倍首相は国家戦略特区諮問会議において、今治市を全国10番目の特区にすることを決定。さらに2016年11月9日には、安倍首相が獣医学部の新設に向けて制度を見直すことを表明。「広域的に獣医師を養成する大学の存在しない地域に限り、獣医学部の設置を可能とするための関係制度の改正を、直ちに行う」としたのだ。これはどう見ても今治市と加計学園ありきの進め方だ。
この動きに、日本獣医師会は、地方獣医師会会長に向けた文書のなかで〈(今治市の)構想の内容はいずれも既存の16獣医学系大学で既に取り組んでいるものばかりであり、新規性はな〉い上に、2015年に閣議決定された「日本再興戦略」における獣医師養成系大学・学部の新設の4条件にも〈全く該当いたしません〉と批判。獣医師は不足しておらず、〈地域や職域における不足解消のためには、6年制教育修了者への魅力ある職場の提供、処遇改善等が必要です〉とし、こうまとめた。
〈仮に今治市の提案が採択された場合には、国際水準の獣医学教育を提供することは勿論、当該獣医学教育施設及び体制がその設置目的である上記の4条件を満たすものとなるよう、内閣府、文部科学省等において厳しく審査する必要があります〉
だが、国は今年1月4日に今治市と広島県の国家戦略特区で獣医師養成学部の新設を認める特例措置を告示し公募を開始。案の定、これに応募したのは加計学園のみで、結果、1月20日の会議で安倍首相が同学園を事業者として認可したのだ。この日、安倍首相は報道陣に対し、開口一番「1年前に国家戦略特区に指定した今治市で、画期的な事業が実現します」と高らかに宣言した。
そして、今治市はこれを受けて、今治新都市第二地区(同市いこいの丘)の市が所有する約17万平方メートルを加計学園に無償譲渡することを決定したのだ。
今治市議会では明日からこの土地の無償譲渡に関する補正予算関連法案の審議が始まるが、今治市はこの土地について、土地代、開発費合わせて36億7500万円を計上している。
国が認めてこなかった10年がまるで嘘のように、安倍首相の決定によってあまりにも順調に進んでいった加計学園の新学部開設。そして、安倍首相の「腹心の友」の経営する学園はその結果、37億円もの値段の土地をタダで手に入れた。
この経緯を見ていると、一国の総理大臣が自分のオトモダチのために「規制緩和」という錦の御旗を利用して便宜供与をはかった──そうとしか思えないのだ。森友学園の問題に直面しているいま、そう考えてしまうのは当然だろう。
森友学園については、今後もどんどん疑惑が出てくるであろうが、この加計学園の問題についても、マスコミと野党は徹底追及すべきだろう。
(編集部)