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研究室

美食ミステリー傑作選

河出文庫 1990 小鷹信光編


美食ミステリー傑作選

美食ミステリ・アンソロジー。そう聞いてわくわくしてしまったわたしですが、内容をひととおり読んで、少しがっかりしました。

なにしろ、美食というからにはスタウトばりに豪華メニューがずらり、なのかと思っていたら、意外にしょぼかった。飲用水って・・・ もちろん、個々の作品はおもしろいので、あくまで期待していた部分が外れた、という意味でですが。

とはいえ、アンソロジー編纂の着眼としてはおもしろいと思います。小鷹氏はあとがきで、スタウトの編纂による未訳のアンソロジー、"Eat, Drink, and Be Buried"を読んで、それをお手本にこのアンソロジーを編んだ、ととても正直に述べておられますが、確かにしゃれたアイデアですね。

しかし、本家のスタウトのアンソロジーも、“美食ミステリ”と銘打つほどテーマに通徹したものではなかったらしいので、やっぱり豪華メニューとおもしろいミステリを両立したアンソロジーというのは難しいのかもしれません。


タイトル 作者 原題 備考(料理名)
とっておきの特別料理 チャールズ・マージェンダール Secret Recipe カレー風味の煮込み料理(キャセロール)
殺人料理 C・P・ダネル Recipe for Murder フランス料理各種(若七面鳥の栗づめ、鶏のささ身インド風、牛フィレ・マスコット、オムレット・シュルップリーズ・ナポリ風、ポタージュ・バグラション・グラ、なすトルコ風、うずらのショーフロア)
完全犯罪 ジョン・コリア A Matter of Taste チョコレート
リード氏食卓にのる エド・デュモント Mr.Reed Goes to Dinner ロースト・ビーフ
すばらしいスフレ ヴィンセント・マコナー Soufle's Surprise スフレ
卵料理の隠し味 フランク・シスク A Rcipe for Eggs ゆで卵
お代は舌で A・H・Z・カー Payment in Kind ソース
ディナーはラム酒で ローレンス・G・ブロックマン Rum for Dinner ラム酒
コック長に脱帽 ヘンリー・スレッサー Compliments to the Chef 山しぎの焼き肉シチュー
一杯の水 リチャード・マシスン A Drink of Water 飲用水
デザートの報い スタンリー・エリン Just Desserts スフレ
二人はお茶で マーガレット・マナーズ Two for Tea 紅茶
感謝祭の二人の紳士 O・ヘンリー Two Thanksgiving Day Gentlemen 七面鳥料理