美食ミステリ・アンソロジー。そう聞いてわくわくしてしまったわたしですが、内容をひととおり読んで、少しがっかりしました。
なにしろ、美食というからにはスタウトばりに豪華メニューがずらり、なのかと思っていたら、意外にしょぼかった。飲用水って・・・ もちろん、個々の作品はおもしろいので、あくまで期待していた部分が外れた、という意味でですが。
とはいえ、アンソロジー編纂の着眼としてはおもしろいと思います。小鷹氏はあとがきで、スタウトの編纂による未訳のアンソロジー、"Eat, Drink, and Be Buried"を読んで、それをお手本にこのアンソロジーを編んだ、ととても正直に述べておられますが、確かにしゃれたアイデアですね。
しかし、本家のスタウトのアンソロジーも、“美食ミステリ”と銘打つほどテーマに通徹したものではなかったらしいので、やっぱり豪華メニューとおもしろいミステリを両立したアンソロジーというのは難しいのかもしれません。
タイトル | 作者 | 原題 | 備考(料理名) |
---|---|---|---|
とっておきの特別料理 | チャールズ・マージェンダール | Secret Recipe | カレー風味の煮込み料理(キャセロール) |
殺人料理 | C・P・ダネル | Recipe for Murder | フランス料理各種(若七面鳥の栗づめ、鶏のささ身インド風、牛フィレ・マスコット、オムレット・シュルップリーズ・ナポリ風、ポタージュ・バグラション・グラ、なすトルコ風、うずらのショーフロア) |
完全犯罪 | ジョン・コリア | A Matter of Taste | チョコレート |
リード氏食卓にのる | エド・デュモント | Mr.Reed Goes to Dinner | ロースト・ビーフ |
すばらしいスフレ | ヴィンセント・マコナー | Soufle's Surprise | スフレ |
卵料理の隠し味 | フランク・シスク | A Rcipe for Eggs | ゆで卵 |
お代は舌で | A・H・Z・カー | Payment in Kind | ソース |
ディナーはラム酒で | ローレンス・G・ブロックマン | Rum for Dinner | ラム酒 |
コック長に脱帽 | ヘンリー・スレッサー | Compliments to the Chef | 山しぎの焼き肉シチュー |
一杯の水 | リチャード・マシスン | A Drink of Water | 飲用水 |
デザートの報い | スタンリー・エリン | Just Desserts | スフレ |
二人はお茶で | マーガレット・マナーズ | Two for Tea | 紅茶 |
感謝祭の二人の紳士 | O・ヘンリー | Two Thanksgiving Day Gentlemen | 七面鳥料理 |