これも各務三郎氏が編纂したアンソロジー。この頃この“傑作選シリーズ”が次々出たらしく、これもその中の一つです。わざわざ“世界”とつけているところをみると、やはり当時は、ショートショートといえば星新一、だったのでしょう。
定義の明確さに若干の疑問があった安楽椅子探偵とは違って、こちらははっきりしています。とにかく短いこと。短くてなおかつ面白くもあるためには、ひねりをきかせる必要がある。ショートショートの名手はとにかくぴりっとした感性、洒脱なユーモアを持っていなければならないといえるかもしれません。
とにかく数が多すぎて大変ですが、1、2巻はクライム&ミステリ、怪奇&幻想、コントの三部構成になっていて、3巻だけよく分かりません。余りもの?
スレッサー、ダールという巨匠の名ももちろん見られますが、中には意外な人もいます。2巻のロレンス・ブロックはローレンス・ブロックです。デビューして間もない頃の貴重な作品で、SFですがやっぱり一種の犯罪小説です。ダンセイニのウサギとカメの話も、らしくていいです。
| クライム&ミステリー | |
|---|---|
| 『走れ、ウィリー』 | ヘンリー・スレッサー |
| 『失礼、番号ちがい――ではありません』 | チャールズ・アインスタイン |
| 『五人目の客』 | G・G・フィックリング |
| 『とんだ災難』 | ジェームズ・M・アルマン |
| 『チェックメイト』 | サミュエル・W・テーラー |
| 『死刑囚監房』 | ウィリアム・P・マッキヴァーン |
| 『危険な曲がり角』 | ジム・ボズワース |
| 『心あたたまる記事』 | M・C・ブラックマン |
| 『名人気質』 | ロン・スティーヴンス |
| 『拝啓、ケスター様』 | ギルバート・ラルストン |
| 『宇宙探偵小説作法』 | H・F・エリス |
| 『ミニー伯母さんと事後従犯者』 | サミュエル・ホプキンス・アダムス |
| 『ツグミの巣』 | ヒュー・H・ケーヴ |
| 『黒板に百回』 | シド・ホフ |
| 『では、ここで懐かしい原型を……』 | ロバート・シェクリイ |
| 『特別サービス』 | エド・レイシイ |
| 怪奇&幻想 | |
| 『風の中のジェレミイ』 | ナイジェル・ニール |
| 『浮遊術』 | ジョセフ・ペイン・ブレナン |
| 『夢の家』 | アンドレ・モロア |
| 『二〇〇〇年』 | ロバート・アバーナシイ |
| 『深夜特急』 | アルフレッド・ノイズ |
| 『ふるさと遠く』 | ウォルター・S・テヴィス |
| 『ルーシーがいるから』 | ロバート・ブロック |
| 『一ドル九十八セント』 | アーサー・ポージス |
| 『遅すぎた来訪』 | ジョン・コリア |
| 『ふだんの一日』 | ウィリアム・F・ノーラン |
| 『選択』 | W・ヒルトン−ヤング |
| 『ヒューマニスト』 | ロマン・ギャリ |
| 『金色の霧』 | ピーター・カーター |
| 『メリー・クリスマス』 | L・P・ハートリイ |
| コント | |
| 『人生の楽しみ』 | オルガ・ロズマニス |
| 『蛇踊り』 | コーリー・フォード |
| 『昨日は美しかった』 | ロアルド・ダール |
| 『ゲームは公平に』 | テリー・サザーン |
| 『脚光』 | パッド・シュールバーグ |
| 『赤色の悪夢』 | フレドリック・ブラウン |
| 『オスカー賞の夜』 | ジョン・マクレーン |
| 『時間厳守』 | ジョン・オハラ |
| 『ヒーロー退場』 | ジェラルド・ミゲット |
| 『虹ます』 | ショーン・オフェイラン |
| 『わかれ』 | レイ・ブラッドベリ |
| 『ライター』 | マッキンレイ・カンター |
| クライム&ミステリー | |
|---|---|
| 『鋼鉄の爪』 | マッキンレイ・カンター |
| 『案山子』 | ポール・ジョーンズ |
| 『時限爆弾』 | スティーブン・マーロウ |
| 『ジョークスター』 | ロバート・アーサー |
| 『仕事の鬼』 | アラン・V・エルストン |
| 『ブラック・マックス』 | オクティヴァス・R・コーエン |
| 『町を求む』 | フレドリック・ブラウン |
| 『正義の警笛』 | エド・レイシイ |
| 『怪人ルペスキュ氏』 | H・H・ホームズ |
| 『ジェリー・マロイの供述』 | アンソニイ・バウチャー |
| 『ブラウン夫婦に浴槽はない』 | マーゴット・ベネット |
| 『隣りの人』 | ポーリン・C・スミス |
| 『目撃者』 | アーウィン・ショウ |
| 怪奇&幻想 | |
| 『この子ひとり』 | ロアルド・ダール |
| 『ある日地球に…』 | アーサー・フェルド |
| 『夢売ります』 | ロバート・シェクリイ |
| 『すばらしい牢獄』 | ロレンス・ブロック |
| 『わが亡きあとに…』 | エイブラム・デビットスン |
| 『巨匠』 | ハーバート・ゴールドストーン |
| 『ペギーとピーターの月旅行』 | ドン・ホワイト |
| 『誰かが呼んでいる』 | ウィルスン・タッカー |
| 『再臨』 | ロバート・ブロック |
| 『ダンシング・パートナー』 | ジェローム・K・ジェローム |
| 『ライラックの茂み』 | オーガスト・ダーレス |
| コント | |
| 『ワラと地下牢』 | ジャン・ルシュパン |
| 『女か、それともトラか』 | フランク・R・ストックトン |
| 『証言』 | ポール・ギャリコ |
| 『街路』 | アラン・シーガー |
| 『愛の証明』 | ウルフ・マンコウィッツ |
| 『家計簿の恋』 | マックス・フィッシャー&アレックス・フィッシャー |
| 『兎とカメに関する驚くべき真相』 | ロード・ダンセイニ |
| 『危うし、ランス・オニール!』 | スコット・メレディス |
| 『はまり役』 | リチャード・コーネル |
| 『億万長者になる法』 | スティーヴン・リーコック |
| 『それいけ、ドジャース』 | ウィル・スタントン |
| 『帰郷』 | フレデリック・ネベル |
| 『わかれ』 | イアン・S・トムスン |
| 『報復』 | マイクル・ズロイ |
| 『歳末蔵払い』 | メアリ・L・ロビイ |
| 『踊る二十日鼠』 | ハウエル・N・ホワイト・ジュニア |
| 『ささやかな記念品』 | ジョン・コリア |
| 『夜の訪問者』 | フィリス・デューガン |
| 『禁煙は命とり』 | マーガレット・E・ブラウン |
| 『待ちかねて』 | ビル・プロンジーニ |
| 『夏の一夜』 | アンブローズ・ビアス |
| 『捕われた聴衆』 | ジャック・リッチー |
| 『一年のいのち』 | リチャード・マシスン |
| 『二本目の瓶』 | ジェイムズ・ロナルド |
| 『再起』 | ジョン・D・マクドナルド |
| 『酔って一夜で九百ドル』 | オスカー・シスゴール |
| 『いたずら』 | ギ・ド・モーパッサン |
| 『詩人と情婦』 | ローレンス・ハウスマン |
| 『チャールズ・ローンズバリイの証言』 | ウィリストン・フィッシュ |
| 『あたしの名前を呼ばないで』 | ジェームズ・パーディ |
| 『アメリカの大試合』 | ジェームズ・A・カーチ |
| 『ハイネの唄』 | A・J・リーブリング |
| 『マリアーナ』 | フリッツ・ライバー |
| 『ディー・デイ』 | ロバート・トラウト |
| 『びんの中の恋人』 | ロン・ウェッブ |
| 『さようなら、ハーマン』 | ジョン・オハラ |
| 『良き隣人』 | エドガー・パングボーン |
| 『目につく男』 | エドワード・D・ホック |
| 『医者の指示』 | ジョン・F・スーター |
| 『警部の昼食』 | ドナルド・B・イェーツ |
| 『青い手紙』 | アルバート・ペイスン・ターヒューン |
| 『十月と六月』 | O・ヘンリー |
| 『生活水準』 | ドロシー・パーカー |
| 『善行家』 | オスカー・ワイルド |
| 『どんなふうに私が正式な結婚をしたか』 | A・チェーホフ |
| 『屈辱のとき』 | E・B・ホワイト |
| 『海の見える窓』 エスター・カールスン | |
| 『めったにいない女』 | ウィリアム・サンソム |
| 『聖処女ケイティ』 | ジョン・スタインベック |
| 『はるかなるブロードウェイ』 | コーリー・フォード |