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続折々の記 ⑤
【心に浮かぶよしなしごと】
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【 02 】06/01
       国難と政治の虚無   現場の奮闘、盾にする過ち
       「一隅を照らす」現代にどう生かす?   最澄に学び、共感し合う社会に
       30年前普賢岳大爆発・コロナワクチン接種   
       高齢者医療2割負担、成立へ   
       政治家の責任感覚は崩れたまま……   「課長、違反認識の可能性」
       六四天安門事件   1989年6月4日(日曜日)

2021年6月2日 (多事奏論)
国難と政治の虚無
   現場の奮闘、盾にする過ち 高橋純子

 新型コロナワクチン大規模接種の予約システムには「欠陥」がある。そう調査報道した朝日新聞出版と毎日新聞に防衛省が抗議したことに呼応し、あの人が動いた。

 「朝日、毎日は極めて悪質な妨害愉快犯と言える」(安倍晋三氏のツイート)

 あまりに奇天烈(きてれつ)な難癖に驚き、マスクの下で音読してみる。メガネが曇る。

 大きな穴を見つけたら、「ここに穴があります(気をつけて)」と世間に知らせるのはメディアとして当たり前のことだ。それを愉快犯呼ばわりする前首相のやり口になんだかすっかり慣らされてしまった感があるが、本来とても異様なことである。

 「敵」を名指すことで問題の本質から目をそらさせ、失政をごまかし、仲間内の結束を高めて政権の底支えにつなげる。その便利な敵役に使われてきたのが一部のメディアだ。権力に目の敵にされるのは、不愉快だけれどある意味名誉なこと。寵愛(ちょうあい)されるよりよほど胸を張れる。

 とはいえ「身内」が犯した真正の罪への説明責任を、いまだ果たしておられぬ前首相である。「桜を見る会」前夜祭をめぐる公設第1秘書(当時)の政治資金規正法違反についてホテルの明細書を示す。公職選挙法違反の河井案里氏陣営に自民党が破格の1億5千万円を出した経緯と使途について、当時の党総裁として説明する。それら最低限の責任を放棄したまま放言している前首相は、この国の民主主義にとって「極めて○○な○○と言える」――さて、○に何を入れるべきか。ご意見募集します。

     *
 なにより今回、批判の口火を切ったのが岸信夫防衛相だったことにはもっと関心が払われていい。「この国難ともいうべき状況で懸命に対応にあたる部隊の士気を下げ、現場の混乱を招くことにも繋(つな)がります」

 国難や士気といった言葉を、実力部隊を率いる防衛相がもとより安易に振り回すべきではないと私は思うし、ましてや個別メディアの批判に用いたとなれば警戒心を抱かずにはいられない。自衛隊の「懸命な対応」を、政治が盾に取ってはいけない。ましてや矛にするなどあってはならない。これが防衛省・自衛隊ではなく、たとえば厚生労働省の失態だったら、こんな言い分が通ると踏んだだろうか。普通に謝罪し粛々と対策が練られたのではないか。厚労省の役人であれ自衛隊員であれ現下の奮闘に序列などないはずなのに、なんだろうこれ?

 為政者が何を利用し、私たちは何に利用されようとしているのか、目の前の危機対応に追われて視野が狭まり、より大きな危機を呼び込んではいないか。よくよく注意が必要なことは歴史が教えてくれている。

     *
 コロナ禍にあって思うのは、安倍政権の8年弱はやはり「痛手」だったということだ。政治も行政も批判に正面から向き合わず、うそや詭弁(きべん)の糸で紡いだ無謬(むびゅう)の繭の内にこもり、甘え、甘やかされてきた。この1年余の間、目の当たりにした後手と無軌道はその結果とみるべきだろう。

 ナンバー2として権勢をふるっていた人は首相となったいま、頼りないを通り越して痛々しい。このたび再延長された3度目の緊急事態宣言に際する4月23日の記者会見、(1)変異株への認識が甘かったのでは?(2)自身の政治責任をどう考えるか?と問われた首相の答えは次の通り。長いが引くのでかみしめてほしい。この虚無を。ひとりひとりが引き受けている痛みとの落差を。

 「そうした変異株の対策を行うことが大事だというふうに思っています。ただ、その対策を講じることというのは、基本的な従来の対策をしっかりやること、そういうことの中で対策を、そちらの勢いの方が強かったということだというふうに思います。それで、今回、人流を、このゴールデンウィークを中心として、短期間の間ですけれども止めさせていただく、そういう対策を講じたということです」
(編集委員)

2021年6月2日 最澄に学び、共感し合う社会に
「一隅を照らす」現代にどう生かす?
   オンラインシンポ

 天台宗の宗祖・伝教大師(でんぎょうだいし)最澄(さいちょう)が没して1200年。大遠忌(だいおんき)の法要が総本山の比叡山延暦寺(大津市)で3~5日に開かれるのを前に、オンラインシンポジウム「現代を照らす最澄のことば」(主催・朝日新聞社寺社文化財みらいセンター、共催・伝教大師最澄1200年魅力交流委員会)が、寺の大書院で開かれた。最澄が残した言葉「一隅(いちぐう)を照らす」を現代社会にどう生かすのかを語り合った。

 ■ファシリテーター
   サントリーホールディングス副会長 鳥井信吾
 ■パネリスト
   大阪大学大学院経済学研究科教授 堂目卓生
   比叡山延暦寺執行(しぎょう) 水尾寂芳
   READYFOR CEO 米良はるか
   京都大学法学部生 長崎真拓
   (いずれも敬称略)

     ◇
 (司会) 最澄が残した「一隅(いちぐう)を照らす」の言葉の意味を教えて下さい。

 水尾 伝教大師は「一隅を照らす、これ則(すなわ)ち国宝なり」とおっしゃいました。「一隅」は隅っこのことではありません。自分自身が照らす場所、自分が任された場所と考えています。そこをしっかり明るく照らす人が国の宝ということで、人を実践に導くための優れた言葉です。アフガニスタンで人道支援に尽力し、2019年に凶弾に倒れた中村哲医師もこの言葉を好んで使っておられました。

 (司会) 最澄の時代にも疫病があったでしょう。コロナ禍の現代に時空を超えて迫ってくるようです。

 堂目 大学の研究者は「象牙の塔」にこもっているといわれます。真理を求めるためには必要なことと思う一方、研究を世の中に役立てるにはそこを出なければならない。3年前に大阪大で「社会ソリューションイニシアティブ(SSI)」という組織を立ち上げました。2050年を見据えて「命を大切にし、一人ひとりが輝く社会」の実現を目指し、様々な人たちと一緒に社会課題の解決策を探し、提案しています。

 長崎 象牙の塔のような問題は学生にもあります。コミュニティーに閉じこもりがちになる人が多いと感じます。私は外交官をめざす中、国際社会に出るためには「自分の国の歴史や文化を相手の国の人に伝えられること」が必要だと考えました。伝教大師最澄1200年魅力交流委員会の活動の一つ、大学コラボプロジェクトに参加し、京都の企業や芸術家と文化について話し、日本文化への理解を深めました。

 米良 私は11年3月末に日本で初めてクラウドファンディング(CF)のサービスを始めました。当時は東日本大震災の直後。寄付のほとんどが義援金のため、現場で活動するための支援金が足りていない、被災現場に届いていない状況を知り、CFで支援しました。CFが世界中に広がる中、私たちは社会課題に対し、共感する「応援のお金」を集める活動を意識しています。コロナ禍でも飲食店や演劇、医療などで事業継続が困難な方を支えています。

 (司会) 共感という新しい視点で、お金の流れを可視化したのですね。

 堂目 共感という言葉は、「国富論」で有名な18世紀の英国の経済学者アダム・スミスが著した「道徳感情論」のキーワードです。他人の感情を自分の心の中に写し取り、それと同じ感情を引き起こそうとする「共感」で利己主義を制御し、経済取引をしようと呼びかけています。「分断」が指摘される現代社会で、どうやって共感を広げるかが課題です。

 長崎 日本の開発援助で注目を集めているアフリカでは、援助されてきた側が主役になるという考えが主流になりつつあります。日本は技術やモノだけでなく、1200年続いた日本の文化である「一隅を照らす」の価値観も伝えていくことが大切だと思います。

 (司会) 米良さんが携わった「注文をまちがえる料理店」を説明してもらえますか。

 米良 注文をとるスタッフが全員認知症の人というレストランを期間限定でオープンするというものです。間違えることを受け入れて、一緒に楽しむという新しい価値観を発信するプロジェクトで、私たちが費用を募り、1200万円ほど集まりました。視点を変えることで、SDGs(持続可能な開発目標)の理念「誰一人取り残さない社会」に挑戦しました。

 水尾 「共感」は、仏教でも言えることです。伝教大師の「忘己(もうこ)利他」という言葉で考えると、己を忘れて他を利するという心に、共感がある気がします。大師はこれを「慈悲の極み」と言われました。

 (司会) 一人ひとりの「一隅を照らす」行動が生み出す共感は、誰一人取り残さない社会につながることでしょう。最澄の言葉は、1200年大遠忌を迎える現代にも生きています。(構成・筒井次郎)

     *
 とりい・しんご 1953年、大阪市生まれ。甲南大理学部卒、南カリフォルニア大学院修了。1983年にサントリー(現サントリーホールディングス)入社。2014年から副会長。大阪商工会議所副会頭も務める。サントリー創業者・鳥井信治郎氏の孫。
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 どうめ・たくお 1959年、岐阜県生まれ。京都大大学院修了。01年から大阪大教授、18年から大阪大社会ソリューションイニシアティブ(SSI)長。専門は経済学史、経済思想で、主著に「アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界」など。
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 みずお・じゃくほう 1957年、滋賀県生まれ。比叡山で3年間、籠山後、88年に延暦寺一山の南楽坊住職となり、現在、禅定院住職。比叡山延暦寺で総務部長、教化部長などを歴任。20年6月、実務のトップである執行に就任した。叡山学院教授も務める。
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 めら・はるか 1987年、東京都生まれ。慶応義塾大大学院修了。11年、クラウドファンディングサービス「READYFOR」を始め、14年に株式会社化し、代表取締役CEOに就任。世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に日本人最年少で参加した。
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 ながさき・まさひろ 1999年、静岡県生まれ。19年、京都大法学部に入学。20年から伝教大師最澄1200年魅力交流委員会・大学コラボプロジェクトに参加。活動を通して京都の老舗企業の経営者や芸術家らと交流し、日本文化について発信を続けている。
 ■動画を無料配信

 伝教大師最澄1200年大遠忌・オンラインシンポジウム「現代を照らす最澄のことば」(約70分)を無料で配信しています。4月22日に無観客で収録。紙面では紹介しきれなかったお話も聞いていただけます。動画ツアー「比叡山延暦寺僧侶と歩く国宝・根本中堂」(無料、約40分)も配信中ですので、ぜひ、あわせてお楽しみください。
 いずれの動画も、申し込みは「朝日ID」のホームページの「イベント一覧」から。ご視聴には会員登録が必要です。視聴は2023年3月31日まで。期間中、何度でもご視聴できます。問い合わせは朝日新聞社・寺社文化財みらいセンター(jisha@asahi.comメールする)へ。

2021/06/03
30年前普賢岳大爆発・コロナワクチン接種

普賢岳大爆発からもう30年経つ。 いまでも映像が脳裏にある。 その後直接現地へ行って合掌してきた。 災害は忘れたころにやってくる、という。 川路の学校にいたときの36災害も脳裏にそのまま入っている。 大鹿村の大西山の大崩落も36災害によるものであり、原俊二先生の悲しい思いとして残っている。

今日は世界中を大混乱に巻き込んだコロナウイルスのワクチン接種をしました。 下伊那厚生病院で14:30からという予定で息子が勤務中にもかかわらず夫婦二人を車で送迎してくれた。 親思いの気持ちに深く感謝したい。 年寄り二人ともあたふたしているのです。

皆がワクチン接種をして、オリンピックの選手の皆さんの競技を観戦できることを願う。 オリンピックの実施可否についてもいろいろな意見がありました。 日本だけではなく世界中の皆さんがどうしたらいいか困ったことでした。

コロナウイルスも生きるためだろうが、世界中の人たちを震撼させました。

2021/06/04
高齢者医療2割負担、成立へ

75歳以上を対象に、病院などの窓口で支払う医療費の自己負担を1割から2割に引き上げる改正法案が3日、参院厚生労働委員会で自民、公明両党などの賛成多数で可決された。4日開かれる参院本会議で可決・成立する見通しだ。増え続ける高齢者の医療費の約4割を出している現役世代の負担軽減がねらいだ。▼4面=残る課題

新聞はこう述べている。 夫婦の場合年収320万円が対象となる。 高齢化が進み医療費の国庫負担は大変なことはわかる。 高齢者自身は自分の予期しない老衰によって心身ともにむしばまれることが多い。 こうした関係を周知できるようにし、健康で生涯を閉じたいものです。 私自身、アレッと思うことが多い。

老衰してきても、足腰の老衰実態をわきまえていて対応できる、そそんな様にできることが課題だと感ずる。 食事もそうだし、認知症にならないことも課題だから、高齢化の準備を学んでおく必要があるのです。

▼4面=残る課題 をみると、

医療経済・政策に詳しい二木立(りゅう)・日本福祉大学名誉教授は「医療費の財政が厳しいという理由が優先されて窓口負担を増やす議論が続くだろう。多くの若い人が75歳以上になった時まで見すえれば、生涯負担は増加する」と指摘する。

紙面を読んでいくといろいろの課題があることが判る。 課題それ自身だけを考えることなく、一人一人が高齢期を迎えるために「いろいろの学習をしていく」ことが如何に大事か理解できるのです。

今日は小林クリニックへ行く日です。 私自身、若い時の糖尿に始まり今はそのために月に一回医者の診断を受けることになっている。 前立腺がんを見つけたのも、糖尿診療の医師であった。

高齢になると、体の一つの疾患から老衰のためにいろいろと不健康なことが生じてくるのです。 このことは、みんなに知ってもらい「こんなふうにならない」ように、別の言葉で言えば「やがて我が身」にならないように、他山の石にしてほしい。

2021/06/05
政治家の責任感覚は崩れたまま……
   「課長、違反認識の可能性」 総務省検証委「行政ゆがめられた」

昨日のNHKニュースで、東北新社の接待問題の総務省検証委の結果が流れました。 「同省の担当課長らが2017年8月に「認識していた可能性が高い」と指摘。 当時認定を取り消さなかったことは「行政がゆがめられたとの指摘を免れない」と断じた」の内容でした。

これに対し、「武田総務相は4日の記者会見で「国民の疑念を抱く事態になっていることにつき、深くおわびを申し上げる」と陳謝し、給与3カ月分を自主返納すると表明。黒田武一郎事務次官も訓告の処分とした」と総務大臣が応じていました。

今日の朝日の記事を見てほしい。 紙面にはわかりやすい解説が出ており、総務省の処分一覧が表示され 3面(接待常態化)と7面(キー局など調査)も見てほしい。 企業はあらゆる種類のものがありその内容運営の仕方については私たち一般の人にはわからない。

組織から見ても外国企業との関係や他企業との関連が含まれ、心身の活動は大変だろうとの察しはつきます。 けれども人としてのモラルに欠けることは許されない。 ところが、企業との関係が深い行政サイドの責任者は金銭モラルは厳正でなければならないのです。何故か、それは個人のこととは違い、国民全体との責任感になるからです。

責任者はいのちをかけた仕事をしなければならないのです。 総理大臣の資質にもかかわるのです。

2021/06/05
六四天安門事件(wikipedia)

天安門事件で検索してみると、真っ先に次の解説が出ています。
六四天安門事件(ろくしてんあんもんじけん)は、1989年6月4日(日曜日)に中華人民共和国・北京市にある天安門広場に民主化を求めて集結していたデモ隊に対し、軍隊が武力行使し、多数の死傷者を出した事件である。
通常「天安門事件」と呼称する場合はこの事件を指す。

この項の解説は非常に詳しく出ており、現在の米中対立にしてもどちらがいいとは言えないのです。 ちゅうごくの専制政治は国土の広さ、民族の多様性、経済程度の格差、など雑多な要素を抱えた国の統一体だからこそ、共産党としての独裁的な手法をとっていると理解しなければならない。

ちょうど、世界が一つの国だとすればどういうやり方がいいのか、思案すらありません。 それと同じことなのです。