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続折々の記 2022 ⑤
【心に浮かぶよしなしごと】
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【 07 】06/27~     【 08 】06/29~     【 09 】07/03~

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【 02 】06/09
     歴史は今の連続しかない   村の鍛冶屋
     液肥の利用とリン酸肥料の使い方   要・注意
     日米韓、共同訓練再開へ ウクライナ紛争の二の舞(バイデンの主導)  防衛相会談
        対北朝鮮、3カ国では結束 「日米韓、安保協力を深化」
        「地域の安定、損ねる」 台湾巡り中国批判 米国防長官
        東南アジア、連携促す日米に距離 対中ロ「ASEANは中立」
        アジア安保会議 力の支配許さぬ連携を  社説

 2022/06/09
歴史は今の連続しかない   村の鍛冶屋

    村の鍛冶屋

  しばしも休まず つち打つひびき
  飛び散る火花よ はしる湯玉
  ふいごの風さえ 息をもつがず
  仕事に精出す 村の鍛冶屋

  あるじは名高い はたらきものよ
  早起き早寝の やまい知らず
  永年きたえた 自慢の腕で
  打ち出すすきくわ 心こもる

「しばしも休まず 槌(つち)うつ響き」が歌い出しの童謡『村の鍛冶屋(かじや)』は、1912年刊行「尋常小学唱歌」で発表された文部省唱歌。作詞・作曲者は不明。

日本における「鍛冶屋」と言えば、武士の時代に武器の生産をしていた刀鍛冶・鉄砲鍛冶が思い浮かぶが、この童謡・唱歌『村の鍛冶屋(かじや)』では、料理道具や農具を扱ういわゆる「野鍛冶」を題材としている。

1912年に文部省唱歌として出版された当時の3番の歌詞を見ると、「刀はうたねど大鎌小鎌、馬鍬(まぐわ)に作鍬(さくぐわ)鋤(すき)よ鉈よ」とあり、刀ではなく「平和の打ち物」を打つ「野鍛冶」の歌であることがよく分かる。

文部省唱歌『村の鍛冶屋』3番以降はその後歌われなくなり、昭和22年にはひらがな表記の童謡「村のかじや」に改められた。改訂後の2番の歌詞「うち出す鋤鍬 心こもる」の部分に「野鍛冶」を示す表現が残されている。

民謡や童謡・唱歌の歌詞が無料で表示・印刷できます。 有難いまとめです

  あ 会津磐梯山やあおげば尊しなどあで始まる曲
  い 伊勢音頭や五木の子守唄などいで始まる曲
  う 浦島太郎、うさぎなどでうで始まる曲
  え 越後獅子や江戸子守唄などえで始まる曲
  お 朧月夜や大きな栗の木の下でなどおで始まる曲

  か 肩たたきや河内音頭などかで始まる曲
  き 君が代や木曾節などきで始まる曲
  く 黒田節や草津節などくで始まる曲
  け げんこつ山のたぬきさんなどけで始まる曲
  こ 鯉のぼりや荒城の月などこで始まる曲

  さ さくらや斎太郎節などさで始まる曲
  し 十五夜お月さんや静かな湖畔などしで始まる曲
  す 砂山やズンドコ節などすで始まる曲
  せ 船頭小唄や背くらべなどせで始まる曲
  そ 早春賦やソーラン節などそで始まる曲

  た 炭坑節や竹田の子守唄などたで始まる曲
  ち ちょんこ節や茶摘などちで始まる曲
  つ 月や津軽じょんがら節などつで始まる曲
  て 鉄道唱歌やてぃんさぐぬ花などてで始まる曲
  と どんぐりころころ、通りやんせなどとで始まる曲

  な 南部盆唄なにゃとやら、七つの子などなで始まる曲
  に 二宮金次郎や人形などにで始まる曲
  ぬ 盗人ドーイなどぬで始まる曲
  ね ねましょねなどねで始まる曲
  の ノーエ節などので始まる曲

  は 箱根八里などはで始まる曲
  ひ 日向木挽唄や日の丸の旗などひで始まる曲
  ふ 故郷などふで始まる曲
  へ へのへのもへじなどへで始まる曲
  ほ 蛍の光や北海盆唄などほで始まる曲

  ま 牧場の朝や丸竹夷などまで始まる曲
  み 宮古地方子守歌や宮さん宮さんなどみで始まる曲
  む 虫の声や村の鍛冶屋などむで始まる曲
  め メリーさんの羊などめで始まる曲
  も 紅葉や桃太郎などもで始まる曲

  や 八木節や山寺の和尚さんなどやで始まる曲
  ゆ 雪や夢路よりなどゆで始まる曲
  よ よさこい節や淀川三十船舟唄などよで始まる曲

  ら らで始まる曲
  り りんごのひとりごとなどりで始まる曲
  る るで始まる曲
  れ れで始まる曲
  ろ ロンドン橋などろで始まる曲

  わ 我は海の子などわで始まる曲


そのむかし昭和の28年前後のこと、学校へ管理主事が来た時の話の中に

  指ふる ことのみばかり 思えたただ

        帰らぬむかし 知らぬゆくすえ


誰の作なのか話はなかったが、妙に心に引っかかり頭のすみに残っていた。 その後、村の出身文学者椋鳩十さんや仏教の教えの中にも「今」こそ未来につながり、そのまま過去になる、ことを教えられた。

素直に考えてみると、「村の鍛冶屋」の歌そのままが「今」に集中した人の姿を教えていたのかと思うのでした。 どんなに偉い人にしても、この鍛冶屋さんのように働いている人も、全く人としての値打ちは変わらないのだと気が付きました。 私がとろくさかっただけのことでした。 今を大事にすることが、人にとっては一番大事な心得だったのです。
以上終り。

 2022/06/10
液肥の利用とリン酸肥料の使い方      要・注意

肥料の基本と三要素【肥料成分比】 N(窒素):P(リン酸):K(カリ) は、「葉:実:根=は:み:ね」で覚える
   https://basilist.jp/basilog/npk.html

過リン酸石灰の特徴と使い方【肥料の上手な施し方】
   https://livingtucson.com/karinsansettkai-hiryou-2932.html

リン酸肥料の種類と性質
   https://agri-biz.jp/item/detail/650?page=5

 ここまでの話を整理する意味を含めて、以下にリン酸肥料の種類と性質を取り上げ、その使い方について述べてみよう。

 まず、リン酸肥料はその肥効によって、水溶性く溶性の二つに分けられる。水溶性は、文字どおり水に溶ける形のリン酸成分である。く溶性とは、二%のクエン酸に溶けるリン酸成分である。

 水溶性リン酸は、肥効が速いという特徴を持っている。ところが、水に溶けたリン酸分が容易に土中の活性化したアルミニウムや鉄と結びついて、土に固定されてしまう。

 これに対してく溶性リン酸は、水には溶けず、土に施されると作物の根や粘土によってはじめてリン酸成分が少しずつ溶け出して、ゆるやかに吸収される。このため、肥効は遅いが、肥料の損失は少ないという特徴を持つ。
 く溶性リン酸(C-P)
 水に溶けにくく、強い酸にとけるリン酸のこと。根から出る根酸程度の酸ではゆっくり溶け出すので、施用後にゆっくりと効くタイプのリン酸肥料です。有機質成分の「鶏糞燃焼灰」に含まれるリン酸は、く溶性です。一般に有機質肥料がゆっくり効くのは、このためです。

リン酸肥料(P)とは|花肥や実肥と呼ばれる効果は?種類と使い方は?
   https://greensnap.jp/article/9425

リン酸肥料(P)とは|花肥や実肥と呼ばれる効果は?種類と使い方は?

植物が成長に必要とする養分には、窒素、カリとならんで3要素とされる、「リン酸」があります。リン酸は花肥や実肥とも呼ばれ、草花にはもちろん、果菜類の野菜にとっても大切な肥料です。

リン酸肥料とはどんな肥料?

リン酸は植物の成長に欠かせない養分のひとつで、その中でも窒素やカリと並んで、肥料として与える分量の多い3要素のひとつとされています。「花肥」や「実肥」とも呼ばれ、おもに花や実つきをよくするために施す栄養分です。

土の中や肥料ではリン酸とよびますが、実際の元素ではリンであり、リンの元素記号の「P」と表記されることもあります。

リン酸は植物には欠かせない栄養成分で、花つきがよくなる、実つきがよくなるという効果があります。

これは、リン酸が遺伝子や情報伝達のもととなるDNA・RNA(核酸)を構成する重要成分であり、細胞膜を構成する成分であるためです。

つまりリン酸が適正値だと、植物の中で「花を咲かせよう」とか「実をつけよう」という情報伝達が的確に行われて、なおかつ新しく作り出すつぼみなどの細胞にまわってくれるということなのです。

ちなみにリン酸自体は植物に元からある成分です。生育期の植物の根や芽の先端には多く含まれています。

リン酸肥料の使い方

園芸でよく使われる有機肥料や化成肥料には基本的に、窒素・リン酸・カリのうち2種類以上の要素がふくまれています。一方で、いずれか1要素のみを含んだ「単肥」という肥料もあるので、肥料設計はそれらをうまく組み合わせると上手に栽培できます。
リン酸は他の肥料養分と違って、水に流されにくく、土の中にとどまりやすいという特徴があります。そのためリン酸肥料においては、元肥で必要全量を施し、追肥では施さないのが基本です。

ただし、多年草の草花については、開花前にリン酸肥料を施すと花つきがよくなります。

リン酸肥料の施肥例

果菜類の野菜であるトマトは、1㎡あたり窒素25g・リン酸30g・カリ25gを必要とします。

この場合、元肥では窒素10g・リン酸30g・カリ10gを施して、あとは2回にわけてNK肥料を使って窒素15g・カリ15gのみを追肥するというのが、リン酸肥料の施肥イメージです。

一方、よく使われるNPK8-8-8型(3要素が同率含有)の肥料を元肥に使う場合は、窒素を基準に元肥の量を決めると、窒素10g・リン酸10g・カリ10gとなってしまいます。このようなリン酸の量が足りないときには、リン酸単肥を合わせて使い、リン酸が30gになるようにするといいでしょう。

リン酸肥料は多すぎても少なすぎてもだめ!

たとえば、元肥でリン酸肥料の必要分をすべて施したのに、追肥する肥料にリン酸の成分がふくまれると、過剰状態になるので気をつけましょう。

リン酸肥料に過不足がおこると、次のような症状がでるので、目安にしてください。

リン酸が欠乏しているときにおきる症状

リン酸が欠乏していると、葉が濃い緑色になっていき、しだいに赤みもしくは紫色にそまっていく症状がでます。また、株全体にツヤやはりがなくなり、とくに下葉は赤みがかって落葉することもあります。

リン酸が過剰なときにおきる症状

リン酸が過剰な状態になっている場合、草丈が伸びずに生育不良を起こす可能性があります。

また、リン酸は腰部の微量要素であるマグネシウムと、互いの吸収を高める相互関係をもっており、リン酸が過剰になると、逆にマグネシウムの吸収がうまくいかずに、下葉の葉脈の間が数珠状に応変するマグネシウムの欠乏症を起こします。

リン酸肥料は骨粉、鶏糞、コメヌカなどからできています。遅効性を持つ成分なので、元肥や置き肥として使われます。

リン酸は与えすぎると生育不良になることもあるので、必ず適量を守るようにしましょう。

リン酸肥料の種類

よく使われる化成肥料については、NPKの比率によってリン酸の含有率がかわるので、製品表示をよく確認しましょう。

そのほか、リン酸が多く含まれる肥料は次のものがあります。

リン酸が多い有機肥料

骨粉
リン酸17〜24%、窒素4%
緩効性の有機肥料で、過リン酸石灰や草木灰と併用して使う必要がある。

鶏ふん
リン酸、5〜9%、窒素3〜4%、カリ3%、石灰10〜15%
速効性の有機肥料で、乾燥鶏ふんなら施肥後3〜4週間、発酵鶏ふんなら施肥後1週間で作付けできる。

米ぬか
リン酸4〜6%、窒素2%、カリ1%
緩効性の有機肥料で、施してからよくすき込むようにする。施肥後3週間後に作付けする。

熔リン
リン酸20%、苦土15%、ケイ酸20%、アルカリ50%
緩効性の単肥。硫安や塩安などの酸性肥料に接することで溶けてゆっくり効果がでる。酸性土の土作りにも向いている。

過リン酸石灰
リン酸17〜20%
速効性の単肥。水に溶けやすく、栽培期間が短い作物に向いている。

リン酸肥料を使って植物を元気に育てよう

液肥(液体肥料)の作り方と与え方。基本と応用をご紹介! 2017.07.31    https://hi.takagi.co.jp/blog/?blog_id=5&category_id=1

植物を育てるために必要な栄養分となる肥料。家庭菜園用の肥料にはさまざまな種類があり、その中でも「液肥(液体肥料)」は土に吸収されやすく即効性があるため、植物に元気がないときなどに使うと便利です。
しかも、液体肥料は自分で手作りすることもできるので、化学肥料を使わずに植物を育てたい方でも使うことができます。
そこで今回は、液肥の作り方と効果的な与え方についてご紹介します。

油かす(あぶらかす)を利用した液肥の作り方

液肥を手作りする場合、米ぬかや魚粉を使用するものもありますが、今回は油かすを材料とする1番シンプルな液肥の作り方をご紹介します。
油かすとは、菜種や大豆、ひまわりなどの植物の種から油を搾った後の“残りかす”のこと。窒素の含有量が多く、リン酸とカリもわずかに含む、代表的な有機系肥料の1つです。
最近ではネット通販でも購入できますが、ホームセンターなどのガーデニングコーナーなどで入手可能です。

液肥の作り方

【材料】・油かす ・水 ・ペットボトル1.5~2L(丈夫な素材のもの)

【作り方】
1.「油かす1:水10」が基本の分量です。1.5Lのペットボトルで作る場合は、油かすをペットボトルの底に高さが1cmほどになるように入れ、水をその10倍(約1L)注ぎます。
2.ペットボトルのフタを閉めて上下に振り、水と油かすを混ぜます。混ぜ終わったら、フタを緩めておいてください。

3.直射日光が当たらない、風通しの良い場所に約1~2カ月置いて発酵させます。
※季節や置き場所の気温によって発酵期間は変動します。暖かい季節は約1カ月で発酵完了しますが、寒い季節は約3カ月かかる場合もあります。

4.発酵期間中は、1週間に1回程度はよくかき混ぜましょう。その際フタはしっかりと閉めて行ってくださいね。混ぜ終わったらフタは再度緩めておきます。

5.出来上がったら上澄み液を5~10倍に薄めて使用します。

■注意点
発酵中に内容物が膨張し噴き出してしまう恐れがあるため、水はペットボトルの容量の8割程度までにしましょう。
また、必ず容器のフタは緩めるようにしてください。

油かす発酵後は臭いがきつくなるといわれています。
発酵や保管をする際は室内ではなく、お庭やベランダの日陰部分に置くようにしましょう。

液肥(液体肥料)の与え方・基本のポイント
手作り液肥の場合も、市販の液肥の場合も、肥料は与え方を間違えると植物にとって逆効果になってしまいます。
ここでは、液肥の基本的な与え方についてご紹介します。

■肥料は「葉」ではなく「根」に与える
液体なのでつい葉部分にも与えてしまいがちですが、肥料は根に与えるのが基本です。 特に液肥の場合は、散布した水分が蒸発し濃度の高い液肥だけが残留することで、葉にシミが残ってしまうこともあるため注意が必要です。

■濃度の薄い液肥を回数多めに与える
液肥は栄養素が高いため、元気のない植物にたっぷりと与えたくなりますが、濃い濃度の液肥を一気に与えてしまうのはかえって植物を弱らせてしまうことになります。
人間も体が弱っているときに高カロリーのものを食べるとかえって負担になりますよね。植物もそれと同じです。
液肥はなるべく濃度を薄め、回数を多めに少しずつ与えるようにしましょう。


液肥(液体肥料)の与え方・応用編!
濃度の薄い液肥を、何度かに分けて与えた方が良いと先にご紹介しましたが、液肥を与える度に希釈をするのはちょっと手間ですよね。

液肥を散布するときは、自動で液肥を希釈してくれるタイプの散布器をおすすめします。
液肥の上澄みを希釈したものをジョウロに移して…というような手間も省けますし、一定した濃度での散布が可能になります。
お世話をする人が楽になるだけでなく、液肥の濃さにバラつきが出ないことで植物の健康が保たれる、一石二鳥な方法だといえるでしょう。

自動で液肥を希釈してくれるタイプの散布器の中には、液肥を自動で希釈してくれるだけでなく、レバー操作ひとつで液肥の散布と通常の水やりを切り替えられる製品もあります。
水やりの負担も減るため、散布器を選ぶ際にはこのようなポイントもチェックすることをおすすめします。

 2022/06/12
日米韓、共同訓練再開へ
ウクライナ紛争の二の舞 (バイデンの主導)
防衛相会談

 日米韓3カ国の防衛相は11日、シンガポールで会談し、核・ミサイル開発を進める北朝鮮や、日米韓の安全保障協力の強化などについて協議した。会談後に発表した共同声明で、北朝鮮のミサイル発射への対応として、日米韓による共同訓練を再開することを打ち出した。共同訓練は日韓関係の悪化などにより、2017年12月を最後に行われていなかった。▼2面=3カ国では結束、3面=米が中国批判、5面=東南アジアは距離、6面=社説

 会談は「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」の開催に合わせて行われ、日本の岸信夫防衛相、米国のオースティン国防長官、韓国の李鐘燮(イジョンソプ)国防相が出席した。対面での開催は19年11月以来となる。一方、日韓による会談は行われなかった。

 共同声明では、3氏は北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイル開発について「国際的な平和と安定に対する重大な脅威だとの深い懸念」を共有したと強調。相次ぐ弾道ミサイル発射を強く非難し、弾道ミサイルの探知・追尾訓練などを実施するほか、「弾道ミサイル発射に対処するための3カ国によるさらなる活動を具体化する」と記した。

 「自由で開かれたインド太平洋」の推進についても協議した。名指しはしていないが、中国を念頭に「この地域において現状変更を試み、緊張を高めるいかなる一方的な行動にも強く反対する」と表明。日米韓防衛相会談としては初めて「台湾海峡の平和と安定の重要性」を盛り込んだ。

 また、米国は同盟国である日本と韓国それぞれに対し、「核の傘」を含む「拡大抑止」の提供を確認。日本と韓国は、二国間関係の重要性を強調した。

 日米韓の共同訓練をめぐっては、北朝鮮がミサイル発射を繰り返していた16~17年に、弾道ミサイルを探知・追跡する訓練や情報共有訓練を計6回実施した。だが、元徴用工への賠償を日本企業に命じた18年の韓国大法院(最高裁)判決や、韓国海軍の駆逐艦による海上自衛隊の哨戒機への火器管制レーダー照射問題などを受けて日韓関係が悪化。18年からは行われていない。

 ただ、北朝鮮や中国の軍事活動の活発化で地域の安全保障環境が厳しさを増すなかで、米国が日韓関係の改善を強く要望。今回の会談で日米韓の共同訓練の再開にこぎつけた。

 岸防衛相は11日夕の会見で「北朝鮮の状況を考える時に(日米韓が)共同で対処していくことの重要性が、今まで以上に増している」と語った。(シンガポール=松山尚幹)

▼2面=3カ国では結束 (時時刻刻)
対北朝鮮、3カ国では結束 「日米韓、安保協力を深化」

 シンガポールに集った日米韓の防衛相が11日、およそ2年半ぶりに対面での3カ国会談を実施した。脅威を増す北朝鮮の核・ミサイル開発への対応などを話し合い、「3カ国での結束」を誇った。一方で日韓2カ国だけの公式の会談はなく、両国の関係改善への視界が晴れているとは言えない。(シンガポール=稲田清英、清宮涼、松山尚幹)▼1面参照

 日米韓の防衛相が会するシャングリラホテルの一室に、カメラのシャッター音が慌ただしく鳴り響く。米国側は訪れた多数の報道陣を招き入れ、それぞれが国旗の前に立つ「3ショット」の撮影で、結束をアピールした。

 日米韓がともに見すえる相手は北朝鮮だ。会談では、北朝鮮の大量破壊兵器や弾道ミサイル開発を改めて「重大な脅威」と確認。共同声明で3カ国でミサイルに対処する活動を具体化させていくことをうたった。韓国の国防関係者は今回の会談について「まず3者で会うことに意味がある」とみる。

 米国は、対立が深まる中国やウクライナに侵攻したロシアなど多方面への対応を同時に迫られる状況に置かれている。こうしたなか、バイデン政権は北朝鮮への対応で、特に日米韓3カ国での連携を重視する。オースティン国防長官は11日の演説で、「日米韓の安全保障協力を深化させている」と述べ、連携を強化する姿勢を示した。

 ■正恩氏「自衛権は譲れない」

 米国が中ロの対応に追われる状況は、北朝鮮からみれば軍事的圧力を強める好機だった。

 3月には米本土を射程に収めうる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を撃ち、5月のバイデン米大統領の日韓歴訪の前後にもミサイルの発射を続けた。そして、北東部の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場を整備し、いつでも核実験に踏み切れるよう準備している。

 北朝鮮にとって「核」は、強大な軍事力を持つ米国から、独裁的な金正恩(キムジョンウン)体制を守るために不可欠な手段となっている。朝鮮中央通信によると、金正恩総書記は8~10日に開いた朝鮮労働党中央委員会総会で、核実験などへの直接の言及はないものの、「自衛権は国権を守るために一歩も譲れない、我が党の『強対強』『正面勝負』の闘争原則だ」と強調した。

 国防力強化の目標の達成を前倒しするよう求めもした。長引く制裁による経済の疲弊に加え、5月には国内に新型コロナウイルスの感染者がいることを公表しているが、核・ミサイル開発については最優先にしていく姿勢を示したと言える。

 北朝鮮をめぐる情勢は、5月の韓国の政権交代を一つの契機として変化し始めている。2018年に北朝鮮が米国のトランプ前政権との対話路線に転じて以降、融和的な姿勢を貫いた文在寅(ムンジェイン)前政権の方針を「失敗」と断じ、圧力路線へ変えていく尹錫悦(ユンソンニョル)政権の誕生だ。ここから、米韓と北朝鮮は互いに「力」を見せ合う局面に入っていると言える。

 バイデン大統領は、核兵器を含む米国の戦力を背景に韓国や日本への攻撃を思いとどまらせる「拡大抑止」を強く打ち出す。北朝鮮によるミサイルの発射に対しても、今月2~4日の米韓両軍による合同軍事演習の実施や、ミサイルによる応酬で強く牽制(けんせい)している。

 この互いに「牽制」に「牽制」を重ね合う状況は、北朝鮮が対話路線に応じる前の17年の状況をほうふつとさせる。北朝鮮によるICBMの発射は17年以来で、核実験を強行すればこれも17年以来となる。米韓軍の合同演習には17年以来初めて米原子力空母が参加し、今回の防衛相会談で合意されたのは、17年以来となる3カ国によるミサイルへの対応訓練の再開だった。

 ■日韓は会談なし、改善先送り

 「日韓での意思疎通の重要性は認識しているが、具体的な会談については適時適切に判断していく」。岸信夫防衛相は11日、記者団から、日韓による防衛相会談が開かれなかった理由を問われ、こう語った。

 防衛省幹部は当初、「立ち話」での意見交換の可能性を否定していなかった。結局、日米韓の枠組みでは共同訓練再開という一定の前進が見られたが、日韓の関係改善は依然として進んでいないことが浮き彫りになった。

 5月に尹政権が誕生した際、日本側には歓迎ムードが広がった。保守系の尹氏は日本との関係を重視する姿勢を明確にしており、政権発足前に政策協議代表団を日本に派遣。岸氏も代表団と面会した。

 しかし、5月末に韓国国立海洋調査院の調査船が島根県の竹島(韓国名・独島)周辺で、事前申請をせずに海洋調査を実施したことが発覚。外務省が韓国側に抗議し、自民党からも反発する声が起きた。

 防衛省幹部によると、岸氏は日米韓の会談の場で日韓関係について触れ、「いろいろな課題がある」などと懸念を伝えたという。

 その一つが18年に発生した、韓国海軍駆逐艦による、海上自衛隊の哨戒機への火器管制レーダー照射だ。防衛省幹部は「両国部隊同士の信頼関係に関わる重大な問題。なかったことにはできない」と話し、今も「しこり」が残る。

 日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も大きな懸案だ。日本の対韓輸出規制への報復措置として、文在寅前政権が19年に破棄を通告。米国の求めで破棄はしていないが、日韓の情報連携は不十分なままだ。

 また、政治的には18年の元徴用工判決が最大の問題だ。戦時中の徴用工をめぐり、韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じ、資産が差し押さえられた。現金化される事態になれば、日本側は「日韓関係は後戻りができなくなる」(外務省幹部)と話す。

 尹大統領は、6月末にスペインで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で岸田文雄首相と接触したい意向だ。韓国政府高官は「立ち話ではなく、正式な会談によって首脳同士の信頼醸成を図りたい」と話す。朴振(パクチン)外相を今月中旬にも訪日させ、林芳正外相と首脳会談に向けた調整を進めたい考えだ。

 一方の日本側は、夏の参院選を控え、自民党を中心に韓国との接近に慎重な声が根強い。日韓間の問題解決には、韓国側が具体的な提案を示すことが不可欠との考えで、政権発足間もない尹政権が、信用できる具体案を示すことは無理だとみているからだ。

 日本外務省幹部も「就任のあいさつは終わった。中身のある話をもう少し詰めて持ってきて欲しい」と話す。本格的な日韓の関係改善は参院選後に先送りされる見通しだ。

▼3面=米が中国批判
「地域の安定、損ねる」 台湾巡り中国批判 米国防長官

 オースティン米国防長官は11日、訪問先のシンガポールで演説し、台湾周辺での中国の軍事圧力の強まりについて、「インド太平洋地域の安全と安定、繁栄を損なう恐れがある」と批判した。中国代表団からは反発の声が聞かれた。

 「中国は台湾付近で挑発的で、不安定化につながる軍事活動を増加させている」。オースティン氏は開催中のアジア安全保障会議での演説で中国の動きを牽制(けんせい)し、台湾への軍事支援を続ける方針も示した。

 オースティン氏は演説で、台湾を中国の一部だとする中国政府の立場を認知した米国の「一つの中国」政策に変わりがないことを確認しつつ、「一方的な現状変更には断固として反対する」と釘を刺した。インド太平洋地域で、同盟国などとともに、地域の安全保障に関与する姿勢も強調した。

 一方でオースティン氏は、「我々は敵対や紛争を求めない。新冷戦や、アジアのNATO(北大西洋条約機構)も求めない」と述べ、中国軍幹部との意思疎通を続けることが重要だとした。

 中国メディアによると、オースティン氏の演説を受けて中国の張振中・中央軍事委員会連合参謀部副参謀長が取材に応じ、「バイデン大統領は『台湾独立は支持しない』と述べているが、米国は明らかに言行不一致だ」と批判した。

 オースティン氏が演説した会場にいた中国代表団の1人は、「米国は、中国と周辺国の関係を裂こうとしているように感じた」と批判した。(シンガポール=清宮涼、山根祐作、北京=冨名腰隆)

▼5面=東南アジアは距離
東南アジア、連携促す日米に距離 対中ロ「ASEANは中立」

 シンガポールで開催中のアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)では、対中国やロシアで連携を促す日米などの呼びかけに対し、東南アジア諸国からは距離を置こうとする発言が相次いでいる。▼1面参照

 岸信夫防衛相は11日の演説で、ロシアによるウクライナ侵攻を引き合いに「ルールに基づく国際秩序を守るための歴史的な岐路に立っている」と、東南アジア諸国などに連携を呼びかけた。念頭には、南シナ海の軍事拠点化を進める中国などがあるとみられる。

 だが、東南アジア諸国は慎重だ。インドネシアのプラボウォ国防相はこの日の演説で東南アジア諸国について「植民地化され、搾取された経験は私たちの潜在意識の中に常にある」と指摘し、大国間の競争の影響を受けてきたからこそ「私たちは全ての大国を尊重するよう常に努力している」と説明した。

 演説後の質疑でプラボウォ氏が具体的に「大国」として挙げたのは米国、豪州、ロシア、中国。中国については「常にインドネシアの良き友であり続けている」と言及した。

 関係者によると、10日にあった米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の防衛相らによる会議では、米国がASEAN側に中国への対応を強化するよう求めたという。

 マレーシアのヒシャムディン国防相は11日の講演で「ASEANは、自分たちの進む道を自分たちで決める」と強調。その後の取材では「米国がどんな要求をするにせよ、それが米国のためだけでなく、ASEANの利益になると納得させなければならない」と述べた。カンボジアの国防省高官は「ASEANが米中のどちらかの側に立つことは望んでいない。中立であることがASEANの進むべき道だ」と話した。(シンガポール=半田尚子、西村宏治)

▼6面=社説
アジア安保会議 力の支配許さぬ連携を

 ロシアのウクライナ侵略のような、力による一方的な現状変更をアジア・太平洋で起こさせないためには、関係諸国の連携が一層重要になる。日本は「法の支配」など普遍的価値の旗を掲げつつ、多様な地域各国の声にしっかりと耳を傾け、安定した秩序づくりに率先して取り組まねばならない。

 岸田首相がシンガポールで開かれているアジア安全保障会議に出席し、基調講演をした。日本の首相の出席は、14年の安倍氏以来8年ぶりだ。米中をはじめとする各国の国防・安全保障担当閣僚らが一堂に会する場で、日本の考えを明らかにし、率直な意見交換を行うことは、透明性を通じた地域の信頼醸成の一助になるだろう。

 首相は冒頭、現下の国際情勢に対する認識の中で、南・東シナ海における国際法に反した行動や、この地域における「人権を尊重しない動き」に言及した。ただ、先月のバイデン米大統領との首脳会談後の共同声明とは異なり、中国を名指しすることはなかった。中国と経済的な結びつきの強い国が多い東南アジア諸国連合(ASEAN)への配慮からに違いない。

 講演の中心は「平和のための岸田ビジョン」の提唱だった。「自由で開かれたインド太平洋」のさらなる推進や「核兵器のない世界」に向けた取り組み、安保理改革を始めとする国連の機能強化などの5本柱からなるが、そのひとつが日本自身の防衛力の抜本的な強化だ。

 5年以内の実現、防衛費の「相当な増額」、敵基地攻撃能力の検討……。先の日米首脳会談に続き、国内での説明が十分でないまま、対外的な約束を先行し、既成事実化しているのではないか。「平和国家としての在り方は不変」というなら、軍拡競争によって、かえって地域の不安定化を招くことのないよう、慎重な対応が必要だ。

 台頭する中国と平和的に共存するには、力による対峙(たいじ)だけではなく、直接対話や国際機関を介した協調など、重層的なアプローチが欠かせない。今回の会議中、日中の防衛相会談が開かれる見通しなのは、歓迎できる。偶発的な軍事衝突を避けるための当局間のホットラインの設置などで前進をみたい。

 首相が地域の秩序づくりの不可欠なパートナーと位置づけたのがASEANだ。ただ、中ロとの関係ひとつとっても、一枚岩ではない。また、外務省が先月発表した世論調査によると、ASEANの人々が考える「重要なパートナー」は、中国が日本を上回って1位となった。米中対立のはざまで、どちらの陣営につくかと、分断を迫るようなことは避けねばならない。


世界はバイデンの綿密な計画による意図を反映している。 しかもそれが無言の圧力によるものであり、 みんなを動かして自分はいつも安泰の立場を貫いている。 中露側から見ればすべて嫌な振る舞いに見えていると私は思います。 解っている政治家もさてとしては、その意向を口には出さない。