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続折々の記 2022 ⑤
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【 09 】07/03
①サハリン2、譲渡命令 プーチン氏
制裁対抗か 日本、LNG権益失う恐れ
②ロシア、サハリン2日本排除鮮明
英・欧州勢は損失覚悟の撤退
③ロシアリスク、露呈
経済界「投資する企業なくなる」サハリン2
④下平評
2022/07/03
日本、LNG権益失う恐れ ロシア大統領令
ウクライナ問題に関して、対立関係から生じた問題は、世界の人々の経済生活を圧迫する結果が明らかになった。
バイデン大統領とEU離脱を実行したジョンソン首相の独断専横のウクライナ紛争の主導は、世界をこんな憂き目に導いたのです。 その実情は2022/07/02の日本の朝日新聞記事に報じられました。 こうした課題の解釈の仕方には、通り一遍の意見もあるだろうが、根底においては政治が経済を勝手に変えたということになっているのです。
報道された記事を読んでください。
ロシア大統領令
サハリン2、譲渡命令 プーチン氏
制裁対抗か 日本、LNG権益失う恐れ
【サハリン1・2の資源開発】
ロシアのプーチン大統領は6月30日、日本の商社も出資するロシア極東の液化天然ガス(LNG)・石油開発事業「サハリン2」の運営を、新たに設立するロシア企業に譲渡するよう命令する大統領令に署名した。ウクライナ侵攻をめぐり対ロ制裁を強める日本への対抗措置とみられ、日本側が事業の権益を失う恐れが出てきた。サハリン2で生産するLNGの約6割は日本向けとされ、日本のエネルギー戦略にも大きな影響を与える可能性がある。▼2面=日本排除鮮明、9面=リスク露呈
大統領令によると、サハリン2の運営会社がロシア政府に資産を譲渡。同政府が設立するロシア企業が、すべての権利と義務、従業員を無償で引き継ぐ。関係する外国企業や外国人の契約違反により、住民生活への脅威が発生したことなどを理由としている。
ロシアはウクライナ侵攻後、厳しい対ロ制裁を科した欧米や日本を「非友好国」に指定。今回の決定も、主要7カ国(G7)や北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議に参加し、ロシア批判を強める日本を揺さぶる狙いとみられる。
今後、焦点となるのが日本の権益だ。事業には、ロシア国営のガス最大手ガスプロムが約50%、英石油大手シェルが約27・5%、三井物産が12・5%、三菱商事が10%出資。シェルはロシアのウクライナ侵攻後に撤退を決め、売却交渉を中国企業としているとされる。
日本企業が新会社の株式を取得できる可能性もある。だが、ロシア側の条件に同意して1カ月以内に取得を申請し、承認を受ける必要がある。株式を取得しなかった場合は、売却資金を得られる仕組みだが、ロシア国内の口座に実質的に「凍結」されるうえ、減額される恐れもある。事実上、ロシア政府に「接収」される可能性もぬぐえない。今後は、同じく日本企業が参加する「サハリン1」の扱いも焦点となる。
岸田文雄首相は1日、参院選の遊説先の沖縄県で記者団に「すぐにLNGが止まるものではないと考えている。大統領令に基づき、この契約内容が、どのようなものを求められることになるのか注視しなければならない。(出資している)事業者ともしっかり意思疎通を図って、対応を考えなければならない」と述べた。
三井物産は「日本政府や事業パートナーとも今後の方針に関して協議して、適切に対応していく」とのコメントを出した。
■大統領令の骨子
・外国人や外国企業が鉱区の開発に関する合意に違反し、ロシアの国益などに脅威が生じたため、特別な経済措置をとる
・サハリン2の運営会社の権利・義務は全て、ロシア政府が新たに設立する会社に移る
・運営会社の資産は即時にロシア政府の所有となる
・運営会社の株主は新会社の設立から1カ月以内に、新会社での株式取得をロシア政府に申請しなければならない
・ロシア政府は申請から3日間かけて審査を行い、株式取得を認めるかどうかを決める
・取得を認めない、あるいは株主から取得の申請がなかったなどの場合、株式は売却される
▼2面=(時時刻刻)
ロシア、サハリン2日本排除鮮明
英・欧州勢は損失覚悟の撤退
欧米と同調して制裁を強める日本に対し、ロシアは「LNG」という急所を突いて揺さぶりをかけてきた。ロシアがこうした動きに出る予兆はあったが、日本がとれる対抗手段は限られていた。電力やガスの安定供給への影響も懸念される。▼1面参照
「ロシアの管轄権への忠誠心のテストだ」
ロシアの経済紙コメルサントは1日、サハリン2の権益維持の条件として、日本企業に新たなロシア企業への参加を求めた大統領令の狙いをこう説明した。
サハリン2はソ連崩壊後にロシアが混乱する中で契約が結ばれ、ロシア側には「外国企業に有利だ」との不満が根強い。サハリン2を巡ってはロシア議会内でも以前から見直しを求める声があり、ロシア下院のボロジン議長は6月15日、「1990年代初めの契約で、日本が法外な収入を得ている。我々に何百もの制裁を発動しているのにだ」と、日本排除を訴えていた。
ウクライナ侵攻後、日本は欧米と協調して厳しい対ロ制裁を科した。ロシアは制裁は国際法違反だと反発。日本が欧米と対ロシアで結束を示した主要7カ国(G7)や北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議を終えたタイミングで打ち出したのも、日本を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
ロシアでの事業継続を模索する日本とは異なり、欧州では多額の損失覚悟の撤退が相次ぐ。英国のクワルテング企業・エネルギー・産業戦略相は侵攻開始直後の2月28日、サハリン2に出資していた英石油大手シェルと対応を協議。シェルは同日に撤退を表明した。2022年1~3月期決算で、ロシア事業の撤退に伴い42億ドル(5700億円)強の費用を計上している。
英石油大手BPや欧州エネルギー大手エクイノールも、ロシアとの合弁事業の解消や投資停止を決めた。
ロシアのペスコフ大統領報道官は7月1日、ほかの外資系企業の国有化の例となるのか問われ、「個別に検討する」と言葉を濁した。だが、ロシア政府は、国内で営業を休止した欧米や日本など「非友好国」の企業に対し、「外部管理」の名目で資産の「接収」もちらつかせる。米マクドナルドや仏ルノーは事業をロシアに売却した。
すでにロシアでは欧米や日本との関係改善への期待はしぼみ、中国やインド、東南アジア諸国などとの関係強化にかじを切っている。
■エネ安保、弱み突かれた日本
「ただちにLNG輸入ができなくなるわけではないと思うが、今後、不測の事態に備えた万全の対策をとる必要がある」。1日夕、経済産業省内で報道陣の取材に応じた萩生田光一経産相はこう語った。
政府関係者によると、ロシア側から事前説明はなく発表で知ったという。このため政府は発表内容の精査や情報収集に追われた。
日本はこれまで、主要7カ国(G7)が主導するロシア制裁に足並みをそろえ、ロシア産の石炭や石油の段階的な禁輸を決めた。一方、日本の商社が出資するサハリン2のLNGについては「エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクト」(萩生田氏)とし、撤退しない方針を維持してきた。
石炭や石油と違って、LNGは増産の余地が少なく、サハリン2に代わる調達先をすぐに見つけるのが難しい。「長期かつ安価なエネルギーの安定供給源」(萩生田氏)として、今後もロシアからの輸入を続ける考えを示していた。
日本の足元を見透かすかのように、ロシアが「反撃」に出る予兆はあった。
外務省によると、ロシア議会では6月、地下資源法が改正され、資源開発に携わる外国企業の株式譲渡が盛り込まれた。この動きがサハリン2などに波及する可能性もあるとし、外務省と経産省が対応などを検討していたという。
サハリン2をめぐっては、2006年にロシア政府の意向で、国営ガス会社が運営会社の株式の50%超を握ることになった「先例」がある。外務省幹部は「『やるなよ、やるなよ』と思っていたが、『やっぱり来たか』という感じだ」と本音を漏らした。
ロシアが発表した時期については、岸田文雄首相のNATO首脳会議への出席がロシア側を刺激したとの見方がある。首相は首脳会議で、ロシアや中国を非難し、日本とNATOの関係強化を強調した。日本政府関係者は「NATOへの出席が影響しているだろう。日本がNATOであそこまで言うのはロシアだって嫌だ」と指摘する。
政府は、ロシアの示した条件を慎重に見極めながら対応策を検討している。外務省幹部は言う。「これを守ったら、しっかり先に道があるのかを確認していく作業だ。あちらの条件をのんだのに、結局損をしたら意味がない」
■電力不足に追い打ちも
「サハリン2」からのLNGがストップすれば、エネルギーの安定供給への影響は避けられない。
日本は輸入するLNG全体の8・8%(2021年)をロシアに依存している。その大半がサハリン2で、発電用の燃料や都市ガスの原料に使われている。
東京電力と中部電力が出資する火力発電会社JERAや東北電力、九州電力のほか、東京ガス、大阪ガス、広島ガスなどがサハリン2のLNGを調達し、電気・ガスを売っている。
調達量の半分近くをサハリン2が占める広島ガスは「関係各所から情報収集中」(広報)としている。
LNGを高騰が続く短期契約の「スポット市場」で買うことになれば、電気代やガス代のさらなる値上がりにつながりかねない。
この夏は「電力不足」も懸念されている。
政府は1日、7年ぶりとなる全国的な節電要請を出し、休止中の発電所も再稼働させて乗り切ろうとしている。LNG火力発電所は、日本の発電量の4割弱を占める主力電源だ。
LNGが不足して発電所が運転できなくなれば、電力不足はさらに深刻になる。あるエネルギー関連企業の幹部は「ロシア側は日本の状況が分かっているはず。これはロシアによる究極のいじわるだ」と話す。
▼9面=リスク露呈
ロシアリスク、露呈
経済界「投資する企業なくなる」サハリン2
ロシア極東の資源開発プロジェクト「サハリン2」について、プーチン大統領がロシアの新会社に移す大統領令に署名した。日本が事業に参加し続けられるかは不透明で、調達にも不安が広がっている。▼1面参照
「事実関係を確認している。まだコメントできない」。大統領令への署名が明らかになった日本時間1日朝、サハリン2に出資する商社などの関係者は対応に追われた。
エネルギー関連会社の多くはサハリン2から液化天然ガス(LNG)を輸入している。最大級の量を調達している火力発電会社JERAの担当者は「現在、売り主に状況を確認している」と話すにとどまった。調達量の9%を頼る東京ガスや、約20%の東邦ガスなど各社も、詳細を確認できていないとしている。
日本にとって安く安定したエネルギーであるサハリン2からのLNGが止まれば、影響は大きい。電力会社やガス会社は15~20年と長期の契約をしており、日本から距離が近く輸送コストも抑えられた。あるエネルギー会社首脳は「今回のロシアの動きは許されない。客も事業者も大変。日本政府にしっかり対応してもらいたい」と話した。
ロシアはウクライナへの侵攻前から、法解釈の不透明さなどでビジネスリスクが高いとみられていた国だ。サハリン2は当初、外資だけで進める計画だったが、ロシア側が環境破壊を批判することで参入に動いた。結果として、2006年にロシア政府系のガスプロムが出資比率の過半を握る構成になることが決まった。商社幹部は「あれは強引だった」と振り返る。
それでもエネルギー業界関係者は「中東より安定供給を意識している」とみていた。だが、今回の大統領令によって、経済界にはロシアへの不信感が高まっている。日本商工会議所の三村明夫会頭は1日、「契約したものを、国として理由もなく国有化する話はちょっと信じられない」と批判し、「将来ロシアに投資する民間企業はほとんどなくなってしまう」との見方を示した。(宮川純一、友田雄大)
■あらゆる電源調達、必要 日本エネルギー経済研究所、小山堅・首席研究員
サハリン2をめぐる大統領令で、ロシアから輸入している年間600万トンの液化天然ガス(LNG)が輸入できなくなると決まったわけではない。影響を冷静にみていかなければならない。
サハリン2では、権益と輸入契約の二つの影響が想定されるが、いずれも今の段階では不透明だ。権益は、ロシアの事業者が引き継ぐというが、今後も日本企業が参画できるのか、できないのかは判然としない。輸入契約もどうなるのかまだ、わからない。
LNG600万トンは大きく、世界を見渡しても、穴を埋められるほどの余剰はない。ある程度の代替調達ができたとしても、非常に価格が高くなる可能性がある。
LNGは電力供給で使われる部分が大きい。国と電力会社は総合的な対策が必要。あらゆる電源を調達していかなければならない。原発の再稼働も安全性を担保しながら進めていくことが必要になってくる。(今泉奏)
■問題は冬、節電不可避 国際大、橘川武郎教授
起こらなければいいな、と思うことが起きてしまった。もし供給が止まれば大問題だ。代替のガスの確保は難しい。買えたとしても調達価格が跳ね上がる。
日本の電力供給への影響は、今回の大統領令は1カ月間の猶予があり、液化天然ガスの商業的な備蓄もある。この夏については、安心はできないものの1~2カ月なら乗り切れると思う。
問題は冬だ。ガス需要そのものも増える。夏は電力需要のピークが昼間だから太陽光でしっかり発電できるが、冬は夕方や降雪時など、あまり発電できない時が需要のピークになる。原子力発電所の再稼働も、現実的には今年の冬にはできない。工事して稼働させるなら来年1、2月は間に合わない。頼りになりそうなのは石炭火力発電だが、(将来の脱炭素に向けて)完全にやめる時期の宣言は必要だ。もちろん、いっそうの節電が避けられないのは間違いない。(友田雄大)
◆下平評
論より証拠、百聞は一見にしかず、火の無いところに煙は立たぬ、など古来諺として日本には論理にしても役立つ事が民間に伝えられている。 因縁という言葉もある。
JKで因縁(インネン)を調べると、「日本大百科全書」では次のように解説しています。
因縁
いんえんの音便。仏教では,すべてのものごとが生起したり,消滅したりするには必ず原因があるとし,生滅に直接関係するものを因と言い,因を助けて結果を生じさせる間接的な条件を縁として区別するが,実際に何が因で何が縁であるかをはっきり分かつ基準があるわけではない。因縁は〈因と縁〉と〈因としての縁〉の二通りに解釈されるが,この両者を一括して縁と呼び,因縁によってものごとの生起することを縁起(えんぎ)とも言い,また,生じた結果を含めて因果(いんが)とも言う。因縁,縁起,因果は仏教教理の最も根本的な考え方であるが,必ずしも因から果へという時間的関係のみを意味するだけでなく,同時的な相互の依存関係,条件をも意味している。因縁は本来の意味からさらに広く,由来,来歴やものの道理の意味にも用いられるが,因縁を〈言いがかり〉の意味に用いたり,〈縁起が悪い〉というような言い方は,本来の意味からは遠くはなれている。
初閻魔とは?知って驚く信仰の意味や由来のすべて
「初閻魔」と聞いてピンとくる人はそう多くないと思います。
しかし気が付かないだけで私たち日本人の生活に昔から根付いている行事です。
今回はその「初閻魔」についてその意味や由来など知れば大変興味深い事柄に関して詳しく解説します。
読めば「そうだったのか!」と思われること間違いありません。
index
1. 閻魔とは
2. 十王とその役割
2.1. 秦広王
2.2. 初江王
2.3. 宋帝王
2.4. 五官王
2.5. 閻魔王
2.6. 変成王
2.7. 泰山王
2.8. 平等王
2.9. 都市王
2.10. 五道転輪王
3. 初閻魔とは
4. 縁日について
5. まとめ
1. 閻魔とは
閻魔とは皆さんよくご存じのあの地獄の番人である「閻魔様」の事です。
名前はよく知られていますがその実体について理解している方はあまりいないのではないでしょうか。
そこでまずこの閻魔様について説明します。
閻魔とは古代衣インド・アーリア語に属する言語サンスクリット語及びパーリ語の「ヤマ」の音訳で仏教やヒンズー教などにおける地獄・冥界の主とされています。
インドのヤマは後になり仏教に取り入れられ「閻魔天」となり、地獄の主と位置づけられるようになりました。
さらに中国に伝えられると道教における冥界である泰山地獄の主である泰山府君とともに冥界の王とされました。
そこでは閻魔王、閻羅王とも呼ばれることになります。
やがて泰山王とともに人が死ぬと裁く役割を担い信仰を集めるようになりました。
閻魔が身に着けている道服(中国の道教の道士が着る服)はこの頃から身に着けるようになったそうです。
同じ仏教であっても浄土真宗では亡くなると直ちに極楽浄土に往生するとされるので地獄に落ちるという発想はありません。
地獄には閻魔を含む十王が存在しています。
人が亡くなると七日ごとに「法要」」と言う名目で亡くなった方の冥福を祈りますがこれは十王が初七日から七日ごとに裁くことから由来しています。
2. 十王とその役割
2.1. 秦広王
初七日の裁き 本地(本来の姿)不動明王不殺生、不偸盗戒、不邪淫戒、不毛語戒、不飲酒戒の仏経五戒に反していたかについて審理し、その死者がわたるべき三途の川場所を決める。
2.2. 初江王
二七日 本地 釈迦如来泰広王の審理の結果や三途の川の亡者懸衣翁などからの報告を元に、主に盗みに関しての審理を行う。
2.3. 宋帝王
三七日 本地 文殊菩薩性に関する罪の審理を行い、正しくない性におぼれたもの、か弱い女性をだましたものなどに裁きが下されます。
2.4. 五官王
四七日 本地 普賢菩薩人が持つ五官が原因となる悪業や罪を審理対象とし、特に厳しいものが妄言(嘘)の詮議である。
2.5. 閻魔王
五七日 本地 地蔵菩薩生前の行いをすべて映ウツす浄玻璃(じょうはり)の鏡を持ち、そばには補佐官である司録と司命が控えている。
それまでの裁きの結果から死者が天上・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄の六道のうちどこに生まれ変わるかを決定する本地である地蔵菩薩は地獄と浄土を往来できるとされています。
2.6. 変成王
六七日 本地 弥勒菩薩六道のどれかに分けられた死者が、その中でどんな場所に生まれ変わるかの審理を行う。
2.7. 泰山王
七七日 本地 薬師如来生まれ変わる姿、その寿命などが決定される。
2.8. 平等王
百ヶ日 本地 観音菩薩死後百日目の裁きで以降の審理は再審となり、一種の救済措置となる。 遺族がしっかりと供養を行えば、悪しき道に堕ちたものも救済され、善道に行ったものは更に徳を努めるようになっている。
2.9. 都市王
一周忌 本地 勢至菩薩喪が明けたとされる。
ありがたい経文が入っているとされる光明箱を悪業の深いものが開けると業火に焼かれるという。
2.10. 五道転輪王
三回忌 本地阿弥陀如来死後三年目の裁きを行うがそれは地獄の責め苦が行われているすぐそばでなされる。
十王の中で何故閻魔だけが注目されるようになった理由は本地仏との対応が鎌倉時代になされ閻魔が六道を決定する裁きを行うことになったことではないかと考えられます。
死後であっても裁きいかんでは人間界や天上に行けるわけですから、必然的に強い信仰の対象となることは自然の成り行きと言えます。
閻魔の本地は地蔵菩薩とされていますが、これは偽経「地蔵菩薩発心因縁十王経」の登場で閻魔大王の本当の姿はお地蔵様であるという信仰が生まれたことにあります。
地蔵信仰はインドに起こり、中国を経て日本にもたらさたもので平安時代には生まれていました 地蔵は地獄におちて苦しみにあう死者を地獄の入り口で救済すると信じられており、地獄の入口を村境にあてはめ「境の神」の信仰と結びついたと考えられています。
境の神とは異郷と接する地点に祀る神で、境は未知の世界と接するところとして最も危険な場所と意識されていました。
その為境の内側を守るためには祀られる神も恐ろしい威力をもつものである必要から六道を決定する力を持つ閻魔と結びついたと思われます。
そこから生前に境の神として自分たちの日々の暮らしをつぶさに見ているお地蔵様を拝み、信仰することで死後地獄での閻魔様の裁きに温情が加えられると信じられるようになりました。
またお地蔵さまは日本の民間信仰では道祖神としての性格を持つとともに「子供の守り神」として信じられています。
3. 初閻魔とは
初閻魔とは旧暦の一月十六日と七月十六日の閻魔賽日(地獄の釜の蓋が開く)のうちその年の始めに行われるものをそう呼んでいます。
一月十五日は「小正月」と言われ、元日を大正月というのに対して呼んだ名です。
年神様や先祖を迎える行事を行う大正月に対して、小正月は家庭的な行事を行う日とされていました。
小正月の翌日十六日が「藪入り」となっています。
藪入りとは商家に嫁いだお嫁さんが結婚後初めて生家へ帰ったり、働く丁稚や女中さんがいくばくかのお小遣いをもらい、そのお金でお土産を買って実家へ帰る習慣のことです。
この藪入りの期間は地獄の邏卒達もさすがにその仕事を休むだろうという事で、その間に閻魔様に詣でようと始まったのが「初閻魔」で一年で最初の縁日となっています。
大斎日(だいさいにち)とも呼ばれています。
この大斎日と言う表現は文化年間(1804~1818年)頃に記された「秋田紀麗」に「一月十六日と七月十六日は大斎日とて、地獄の釜もひらくと云ひ」という記載が見られることからもそれより以前から初閻魔・大斎日が祝われてきたことが分かります。
また縁日が盛んになったのは江戸時代であるという説があることから江戸初期には存在していたと推測できます。
初閻魔で知られる各地の寺院をご紹介します。
・東京 深川えんま堂(法乗院)
日本最大の閻魔像で知られており、毎日一日、十六日と十二月三十一日~一月十六日にご開帳されます。
・京都 長円寺
初閻魔は正月一日~三日 八時から二十時まで観音堂で御朱印が戴けます。
夜閻魔があり申込制となっています。
・大椿山六道皇寺
一月十二日~十六日 初ゑんま詣
・大分県中津市 円龍寺
閻魔像の隣に三途の川の番人である奪衣婆の像が安置してあります。
4. 縁日について
縁日と言うと神社仏閣の祭礼の際参道にたくさんの出店が並び多くの参拝客で賑わうことで知られています。
正式には「特定の神仏に縁を結ぶ日」であり降誕・請願など、それぞれの神仏に縁のある日を選び祭祀や供養が行われることとあります。
この日に参拝すると普段以上の功徳を得ることができると信じられています。
現代でも各地で縁日が開催されていますがその中で主な縁日と執り行われている寺社をご紹介します。
観音様
毎月十八日
東京浅草寺
京都清水寺
鎌倉長谷観音お地蔵様
毎月二十四日
巣鴨とげぬき地蔵
大阪八尾寺
京都壬生寺お不動様
毎月二十八日
成田不動尊
高畑不動尊
東京五色不動尊お大師様
毎月二十一日
東京西新井大師
神奈川川崎大師
京都東寺
御室仁和寺
5. まとめ
初閻魔について意味や由来などをできるだけ分かりやすくまとめて解説しました。
おそらく初めて知る内容ばかりではないでしょうか。
初詣は多くの方が参拝しますが初閻魔に参拝する習慣がある方はそう多くないと思います。
仏教の伝来とも深く結びついているためその始まりは定かではなく鎌倉時代とされているようですが実際に初閻魔として参拝の対象になったのは江戸時代に入ってからのようです。
こうした民間信仰や庶民文化が発達したのは殆どが江戸時代で、そこには時代の安定という背景があったと考えられます。
一番の驚きは何故十王が仏との対応がなされ、その中で何故地蔵菩薩と閻魔が同一視されるようになったかという事です。
おそらくは地蔵菩薩がお地蔵さまとして親しまれ身近な信仰の対象となっていたことではないでしょうか。
そこには地獄に落ちた死者であっても地獄での救済はあり、その為には生前に多くの功徳を積んでおかなくてはならないということ、さらには残されたものは七日ごとに亡くなった人の冥福を祈願することで死者も救済されるという、日々の過ごし方を示す教えのように思われます。
現代では路傍にお地蔵様を見かけることはありませんが各地にお堂がありその中に鎮座されているのを見かけることがあります。
その時には是非手を合わせ日々の行いを振り返ってみるのもいいのではないでしょうか。
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下平記
「蜘蛛の糸」を再度読んでから、仏教のたとえ話として伝わるいろいろの教えの中で、蓮池で生じたお釈迦さまのことをあれこれ考えてみた。
悪業ゆえに苦しむ血の池にあえぐ犍陀多(カンダタ)でさえ救(スク)われる道があったのに、凡欲のためにそれができなかった姿をお釈迦さまはご覧になり、静かにそこを立ち去ったというのです。
著者はいろいろと考えてこの作品を書いたに違いない。 何を訴えようとしたのか、理解の仕方や程度は読者まかせなのです。
それで閻魔さまを調べたのです。 仏教での訓(オシ)えにある煩悩の姿を知ること、その訓えの中にある根底は何か。 生き身の中にはいろいろの行動意志があります。 いのちの願いに添いたい行動意志もいろいろあるのです。 それとは逆の許されない行動意志もあるのです。
その領域の区別をしなくてはならない思いは何だろうか。 いろいろ考えてみました。 誰しも持っている善悪をきめるもの、それは良心だと考えました。
歳をとって運転免許を返納していたのに、近いところだから一度だけどうしても生活上の必要から運転しました。 これを指摘され、悪かったという呵責の念にかられました。
良心があるかにこそ呵責の念にかられるのです。
裁判官がまもらなければならない大事なことは、その国で決まっている法律を遵守することを貫き通さなくてはなりません。 法律にはなっていない難問の場合にはどうするのか。 良心に従うことだと言います。
人が抱える煩悩は多方面であり、さらに深浅さも混在しているのです。 閻魔さまは行動を見通す鏡をもっているという。
浄玻璃の鏡
冥界の閻魔王庁にあって死者の生前の善悪の所業を映し出すという鏡。
* 明恵遺訓 「人は常に浄頗離の鏡に日夜の振舞のうつる事を思べし」
* 昭君 「罪を現はす浄玻璃は、それも隠れはよもあらじ」
良心こそ、清濁混淆の煩悩の中にあって大事な浄玻璃の鏡の役目を受けもつのではないだろうか。
ウクライナ問題に関して、対立関係から生じたすべての現象は人が内蔵している行動意志の因縁であり、人が内蔵している浄玻璃の鏡から隠れることはできないはずだと思うのです。
米英対中露の平和は、問題解決の方向と互助互恵の道のほかはないのです。