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続折々の記 2022 ⑦
【心に浮かぶよしなしごと】
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【 05】07/29
     会社役員の驚くべき報酬   これでいいのか?
        増える役員報酬、増えない賃金
     雷鳴を待つ   天声人語
     ロシアにメリットなし? 大統領令ににじむ本音とは
        大統領令の背景に何が?サハリン2をめぐるロシア国内法の動き
        ロシアが「サハリン2」譲渡を要求 日本のLNG調達に懸念
     ラクダ改めヘビ   天声人語
     日米、次世代半導体で協力 対中国、開発を加速 経済版2+2
        半導体、巨額公金で支援 日米、調達多様化狙う 経済版2+2
     下平評

 2022/07/28
1億円プレーヤー役員最多 663人 好業績・株高連動
驚くべき事実を知って社会の在り方を問う

 国内の上場企業で役員報酬が1億円以上の「1億円プレーヤー」が増えている。2022年3月期決算の企業では663人で、前年より119人増え過去最多を更新した。1億円以上の報酬の開示が義務づけられた10年3月期(289人)と比べると2倍以上だ。輸出関連企業の好業績や株価に連動した報酬体系が全体を押し上げた。▼6面=賃金は増えず

 株式関連などを除いた報酬と従業員の平均給与との格差が一番大きかったのは、トヨタ自動車の取締役のジェームス・カフナー氏だった。9億600万円に対し、従業員の平均給与は857万円で差は105・7倍。

 報酬が1億円以上の役員の平均と従業員の給与の平均を単純に比べると25・1倍の格差がある。高額報酬をもらう役員が増える一方で、従業員の給与の伸びは限定的だ。

 東京商工リサーチが22年3月期の開示企業2355社を集計した。

 1億円以上の役員がいる企業は前年より34社増え287社と過去最多。最も多かったのは日立製作所で前年より3人増の18人と3年連続でトップ。東芝は13人で前年の1人から大幅に増えた。上位10位に入った14社のうち10社で前年より人数が増えた。

 報酬は固定部分に加え、賞与や株式報酬による業績連動部分がある。国内の企業でも、株価や業績を報酬に反映する仕組みを導入するところが増えている。

 報酬額1位はZホールディングス取締役の慎ジュンホ氏で43億3500万円だった。41億円はストックオプション(自社株購入権)によるものだった。

 多額の退職金が上乗せされた事例もあった。報酬額2位の第一交通産業創業者の黒土始氏や、6位のスズキの元会長の鈴木修氏、8位の富士フイルムホールディングスの元最高顧問の古森重隆氏は、特別功労金や退職慰労金がふくらんだ。(鷲田智憲)

▼6面=賃金は増えず
増える役員報酬、増えない賃金 東芝、1億円超が13人 ZHD取締役は43億円

写真・図版 【写真・図版】報酬1億円以上の役員が多い企業と人数

 2022年3月期決算の企業で1億円以上の報酬を受け取る役員が600人を超えた。好業績もあって報酬は上昇傾向だが、従業員の賃金はなかなか増えない。経営者がもうけすぎだとの批判は、米国でも高まりつつある。▼1面参照

 「業績や時価総額が上がっているとはいえ経営は混乱している。役員報酬のルールを変えるべきではないか」。6月28日にあった東芝の株主総会で疑問の声が上がった。

 東芝では報酬が1億円以上の役員は13人いて前年の1人から大きく増えた。3月に社長を退任した綱川智氏は5億2300万円、今の島田太郎社長は1億9100万円だった。

 昨秋に会社を3分割する案を発表し、今年に入り2分割案に修正。それも3月の臨時株主総会で否決されるなど経営の混乱が続いていた。

 東芝は非上場化を含めた経営再建策を検討している。市場では株式を投資ファンドなどが買い取ってくれるとの思惑もあり、株価は値上がり傾向だ。三原隆正・執行役上席常務は総会で「役員報酬は報酬委員会で決める仕組みで引き続き検討する」と答えた。

 日立製作所や日産自動車などでも業績に連動する報酬が増えた。戸建て住宅大手飯田グループホールディングス(HD)も利益が拡大し、1億円以上は前年の1人から7人に増えた。

 ヤフーなどを傘下に置くZHDは、取締役の慎ジュンホ氏の報酬が43億3500万円でトップとなった。昨年3月にLINEと経営統合した。慎氏はLINEアプリ開発の功労者とされる。

 ZHDは6月の株主総会で報酬体系を変更する議案を出した。金銭と株式を合わせた取締役6人の報酬総額の上限を、現行の14億円から49億円超へ3倍以上にするものだ。臼見好生・社外取締役は「グローバルな環境も把握したうえで総合的に判断した」と説明する。報酬に占める株式報酬の割合は6~8割に高めるという。

 株主からは「株価が下がる中で報酬上限を上げるのはいかがか」「このような報酬がなければ役員の会社への貢献は期待できないのか」といった意見もあったが、議案は賛成多数で可決された。(村上晃一、女屋泰之)

 ■人材確保へ、業績連動の割合増加

 役員報酬は固定部分のほか、業績に応じた賞与や自社株を渡す株式報酬からなる。国内企業も欧米と同様に、固定部分の割合は小さく、業績連動の割合は大きくなってきている。

 大手コンサルティング会社ウイリス・タワーズワトソン(WTW)の報酬比較調査では、日本の最高経営責任者(CEO)の固定給の割合は2020年度が4割だった。欧米の1~3割と比べればまだ高いが、15年度は6割を占めていた。

 業績や株価に左右されない報酬体系は企業価値の向上につながらないとして、海外投資家らから問題視されてきた。国内では企業の行動規範を定めるコーポレートガバナンス・コードにおいて、中長期的な業績と連動する報酬の割合などを「適切に設定すべきだ」と15年に明記した。業績連動報酬を導入した企業の税負担を軽くするなど、政策も後押しした。

 WTWの櫛笥隆亮(くしげたかあき)氏は国内企業の経営体制の変化にも注目する。欧米では役員の役割を明確にし、能力を評価して報酬を決める。「グローバル展開する企業は体制が欧米寄りになってきた。報酬体系や水準を欧米に合わせないとフェアじゃなく、人材が集まらないと考えている」とみる。

 業績連動報酬は役員にもメリットがある。固定給などで受け取れば最大で5割超の税金を納めることになる。株式をもらえれば、配当にかかる税金が場合によっては2割ですむ。

 WTWの櫛笥氏は、業績連動報酬を重視して高額な水準をめざすところと、そうでないところの「二極化が進んでいく」とみる。(稲垣千駿)

 ■従業員給与、四半世紀ほぼ横ばい

 役員は「1億円プレーヤー」が増えているが、欧米に比べると報酬の水準はまだ低いという見方もある。

 コンサルティングなどのデロイトトーマツグループの21年度調査によると、CEOの報酬は、米国の中央値は17億9千万円だった。ドイツは7億円、フランスは6億3千万円、英国は5億5千万円で、日本は1億3千万円。同グループの村中靖パートナーは「グローバルの人材獲得競争で日本は出遅れている。役員報酬の水準は大企業を中心に今後も増加していくだろう」とする。

 報酬は高額化し、従業員の給与との格差は広がる。

 厚生労働省の毎月勤労統計調査は賃金の伸び悩みを示す。従業員30人以上の企業における一般労働者の「名目賃金」は、20年の水準を100とする指数でみると21年は100・7。1996年ごろからほぼ横ばいで推移している。

 大企業では従業員のボーナスが増えたところもあるが、賃金全体を大きく押し上げるほどの勢いはない。(橋本拓樹、田幸香純)

 ■米では平均25億円超、強まる批判

 米国では経営者と従業員の報酬の格差が問題になっている。大企業のトップが平均で年25億円を超えるお金を受け取る一方で、従業員の賃金は物価上昇に追いついていない。

 米国最大の労働団体、米労働総同盟・産別会議(AFL―CIO)によると、2021年の大企業CEOの年間平均報酬は1830万ドル(約25・2億円)。従業員との格差は324倍で、前年の299倍、2年前の264倍から広がる。株価指数「S&P500」に採用されている会社について調べたという。

 CEOの報酬トップは旅行予約サイト、エクスペディア・グループのピーター・カーン氏で2・96億ドル(約400億円)。アマゾンのアンディ・ジャシー氏が2・12億ドル(約292億円)、半導体大手インテルのパット・ゲルシンガー氏が1・78億ドル(約245億円)と続いた。

 AFL―CIOによると調査対象企業の利益は平均で前年比17・6%増。CEOの報酬は18・2%増。従業員の賃金は4・7%増えたが、物価を考慮するとマイナス2・4%だった。物価が急上昇している米国では実質賃金が減って生活は苦しくなっているという。

 格差への不満は高まっている。調査会社ジャスト・キャピタルが4月に公表したリポートによると、CEOと従業員の報酬格差が問題だと考える人は87%に上る。CEOの報酬が高すぎると考える人は73%。民主党の支持者だと81%、共和党の支持者でも71%と、支持政党を問わず批判的な見方が多い。

 巨額報酬は株主総会でも問題視されている。半導体大手インテルの5月の総会では、ゲルシンガーCEOの報酬案について株主の反対が賛成を上回った。金融大手JPモルガン・チェースの総会でも、ジェームズ・ダイモンCEOのボーナス案の賛成が3割にとどまった。(ニューヨーク=真海喬生)

(天声人語)
雷鳴を待つ

 雷の季節である。ずいぶん前のことだが、自宅近くに雷が落ち、大音響に驚いた。一瞬で壊れたのが固定電話。ゴロゴロと鳴ったら電源を抜いておくようにと教わったが、後の祭りだった
▼通信網や家々を守るため、雷を人為的に誘導する実験が始まったと聞き、NTT宇宙環境エネルギー研究所(東京)を訪ねた。「雷雲が近づいたらドローンを飛ばし、電線を垂らして雷を海へ落とす。世界初の誘雷実験です」と主任研究員の丸山雅人さん(43)は話す
▼実験場所には石川県内灘町を選んだ。日本海に面し、冬場の雷の多さから「雷銀座」と呼ばれる。この地で研究実績のある岐阜大工学部の観測機器を借り、研究班6人が砂浜で雷雲の接近を待った
▼手応えを得たのは今年2月末。雷雲とドローンの間の放電は捕捉できなかったが、ドローンから垂らした電線の先端と海面との間では大電流を観測できたのだ。「実験を登山にたとえるなら、6、7合目まで到達できました」と丸山さん
▼かみなり、いかずち、遠雷、激雷、鳴神(なるかみ)……。どれも夏の季語だが、実験は今年度も冬に行われる。北陸の冬の雷雲は夏より低空に生じ、ドローンで接近しやすいからだ。2030年までに誘雷技術の実用化をめざす
▼取材中、頭に浮かんだのは米建国の父のひとり、フランクリンのこと。雷雲を狙って凧(たこ)を揚げ、稲妻が放電現象だと実証した。凧の代わりにドローンで一閃(いっせん)の稲光をとらえる。雷神に立ち向かう気宇壮大な科学の技に期待したい。

学問、技術の進歩には驚く。 凡欲の守銭奴にはなりたくない。 人としての格調の豊かさこそ求めたいものです。
この28日の主題は凡欲にまみれた低俗さと凡欲に振り向かず汗を流している追及心、それは雲泥の差でもある。
世界の政治家の凡欲に発する振る舞いと、寄らば大樹を拒否する清廉潔白さを求める人の振る舞いも、将に雲泥の差と言わざるを得ない。

2022/07/25
ロシアにメリットなし? 大統領令ににじむ本音とは
この記事はコピーしまし。
  大統領令の背景に何が?サハリン2をめぐるロシア国内法の動き
  ロシアが「サハリン2」譲渡を要求 日本のLNG調達に懸念
サハリン2については、すでに報道されていました。 その詳しい記事があったので開いて読んでみるとよい。

2022年7月30日 (天声人語)
ラクダ改めヘビ

 まず小ささ、そして重さに驚く。つまんだ指先から意外な柔らかみも伝わってきた。歴史教科書でおなじみの国宝「金印」を、製作当時の技法で復元する試みが成功したと聞き、県立福岡高校で見せてもらった
▼紀元57年、倭(わ)の奴国(なこく)が後漢の洛陽へ使者を送った際、光武帝から受け取ったとされる印だ。江戸後期、福岡県の志賀島で見つかった。だが出土状況があいまいで、偽物説もある
▼復元したのは、考古学者や技術者らでつくる「九州鋳金研究会」。代表の宮田洋平福岡教育大教授(62)らが4年前に着手し、蝋型(ろうがた)など古代からの技術で試作を重ねた。失敗するたび地金を溶かし直し、精度を高めた
▼鋳金工芸家の遠藤喜代志さん(72)は「つまみ(鈕〈ちゅう〉)と印面とで完成度があまりに違うことに驚きました」と話す。「漢委奴国王」と彫られた印面は精緻(せいち)なのに、ヘビをかたどった鈕は不格好だ。奴国の位置を勘違いしていたため、北方向けのラクダを急きょ南国向けのヘビに作り替えた。そんな説を聞き、遠藤さんは得心した
▼鈕を凝視してみた。ずんぐりしたヘビは、途中までラクダだったなら合点がいく。ウロコ模様も大慌てで打ち込んだかのようだ。「しまった。奴国って北の国じゃなかったのか」。うわずった声が聞こえる気がした
▼2千年前の超大国にとっては外交上の凡ミスだったか。はるか洛陽の都まで赴いた奴国の使者も、押し頂いた金印がよもやそんな突貫作業の産物だったなどと思いもしなかったにちがいない。

2022年7月31日
日米、次世代半導体で協力 対中国、開発を加速 経済版2+2

写真・図版 【写真・図版】経済版2+2は同盟関係を広げる

 日米両国は29日に米ワシントンで開いた外務・経済閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)の初会合で、経済安全保障での協力を盛り込んだ共同声明をまとめた。軍事・経済両面で存在感を増す中国に対抗するため、次世代半導体の量産に向けた研究開発を加速させる。▼3面=巨額の支援

 終了後の共同記者会見で、萩生田光一経済産業相は「外交・安全保障政策と経済政策はもはや一体不可分。将来の産業競争力を左右する次世代半導体技術の開発は、日米協力の最重要分野だ」と述べた。

 経済版2プラス2は、外務・防衛閣僚による「2プラス2」を経済分野に広げる枠組みで、日米の同盟関係の新たな一歩となる。

 半導体はあらゆるハイテク機器に不可欠な「産業のコメ」と呼ばれ、最先端技術を握ることは経済安保上の「武器」にもなる。日米が協力し、2020年代の実用化をめざす。

 日本は米国との共同研究を進めるため、中核となる新組織を立ち上げる。産業技術総合研究所や理化学研究所、東京大など9機関でつくる予定で、国内外の企業や研究所にも参加を呼びかける。

 共同声明では、インド太平洋地域で経済的な圧力を強める中国を念頭に「経済的な影響力の有害な使用について、深刻な懸念と反対を表明した」と明記。今後の取り組みとして、(1)ルールに基づく経済秩序を通じた平和と繁栄の実現(2)経済的威圧と不公正で不透明な貸し付け慣行への対抗(3)重要・新興技術と重要インフラの促進と保護(4)半導体などのサプライチェーン(供給網)の強化――の4分野の行動計画を打ち出した。

 初会合では、経済版2プラス2を定期的に開くことでも合意した。具体的な対応を議論する「次官級協議」を年内に開くという。(ワシントン=若井琢水、榊原謙)

▼3面=巨額の支援
半導体、巨額公金で支援 日米、調達多様化狙う 経済版2+2

「経済版2プラス2」の終了後に記者会見する左から萩生田光一経済産業相、林芳正外相、ブリンケン米国務長官、レモンド米商務長官=29日、ワシントン、外務省提供  日米の外務・経済閣僚による「経済版2プラス2」が米ワシントンで初めて開かれた。最重要課題とされたのが、自動車やスマートフォンなどさまざまな製品に欠かせない半導体だ。政府主導で産業を育てる中国に対抗し、日米も巨額の財政支援でサプライチェーン(供給網)を強化しようとしている。▼1面参照

 ■台湾依存、有事に懸念

 会合後の共同記者会見に臨んだ萩生田光一経済産業相は、日米が共同で進めることになった次世代半導体研究の新組織について、こう踏み込んだ。

 「有志国・地域も含め、国際共同研究のハブにしていきたい」

 日米での協力を決めた直後に、日米以外にも連携の輪を広げると語った萩生田氏。背景には、半導体が国際的な分業を前提にしたサプライチェーンを必要とし、日米だけで完結するのが難しいという事情がある。

 日本は半導体の素材や製造装置、米国は最先端の設計や開発に強いが、半導体そのものの生産で高いシェアを握るのは台湾だ。

 万が一、台湾有事となれば、供給がストップしかねないリスクを日米両国は負っている。台湾依存を少しでも下げることが経済安全保障上、重要な課題になっているのだ。

 生産も含めたサプライチェーンをどこへ拡大していけばいいのか――。日米が出した答えはこうだ。

 「インド太平洋経済枠組み(IPEF)におけるサプライチェーンの取り組みの中核は、半導体だ」

 レモンド商務長官は会見で、自らが主導して5月に動き始めたIPEFを通じて、半導体サプライチェーンをつくるもくろみを明かした。台湾に次ぐ半導体大国の韓国、東南アジアの実力国ベトナム、マレーシア、タイなどの参加国との連携が念頭にあるとみられる。

 こうした国際的なサプライチェーンに各国の政策を組み合わせ、調達の多様化を図ろうとしている。

 米国では28日、半導体企業を誘致する補助金などに520億ドル(約7兆円)を使える法案が米議会を通過。近く成立する見通しだ。日本も台湾積体電路製造(TSMC)などが熊本県に建てる工場に最大4760億円、キオクシアなどが三重県で建設する工場に最大929億円を助成する。

 巨額の公金を海外の企業の支援に使うことには批判もある。だが、レモンド氏はその意義をこう強調した。「我々2カ国は、将来に投資をしているのだ」(ワシントン=若井琢水)

 ■米、中国名指し批判

 初会合後の共同記者会見では、米国が中国への対抗意識をむき出しにする場面が目立った。

 「我々は中国の威圧的な経済慣行が、国際経済秩序にいかに反するかについて議論した」

 ホスト役のブリンケン国務長官はいきなり中国を名指しで批判し始めた。やり玉に挙げたのは「債務のわな」の問題だ。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」による巨額融資を通じて、返済ができなくなった途上国への支配を強めるものだ。共同声明でも「経済的威圧」と明記された。

 レモンド商務長官も、半導体などのサプライチェーンを強化する意義に触れ、「極めて重大な技術について『敵対国』への依存度を下げていける」と語った。「敵対国」が、米国をしのぐ半導体の生産国にのしあがった中国を指すことは明らかだ。経済版2プラス2が、中国に対抗する枠組みであることを印象づけた。

 軍事・経済両面で影響力を強める中国への対抗策は日本にとっても喫緊の課題だ。「自由で開かれた経済秩序」を、米国の力を借りながらインド太平洋地域へ広げたい考えだ。

 日本が議長国となり、来年5月に広島市で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)での議論につなげる狙いもある。外務省幹部は「経済版2プラス2も含め、大事なことは米国をどうやってインド太平洋地域の経済安全保障に関与させ続けるかだ」と話す。(里見稔、ワシントン=榊原謙)

下平評

最近の世界不安定の筋書きは、アメリカにあるという見方が潮流になっている。 にもかかわらず、アメリカと日本は解ってはいるはずなのに堂々とマスコミに自分たちの意見を主張している。

日本古来にわたり大事にしてきた「和をもって尊しとなせ」その精神はどこへ行ったのか。

萩生田光一経済産業相と林芳正外相は、心底「和」の意味、価値をどう考えているのか? 私はもっと他の考え方や進め方があるのだから、識者の意見を耳にしなければならないと思っている。