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続折々の記 2022 ⑧
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】08/13~
【 02 】08/15~
【 03 】08/16~
【 04 】08/17~
【 05 】08/18~
【 06 】08/19~
【 07 】08/23~
【 08 】08/24~
【 09 】08/27~
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【 08】08/24
課題解決の夢 X軸とY軸の提示
田中宇の国際ニュース解説 世界はどう動いているか
2022/08/24
どうしてこんな夢を見たのか?
今朝がた年をとったのにどういうわけなのか知らないクラスの授業をすることになった。 子供の名前は知らないのに、おまけに外来参観者が何人かきている教室でした。
どういう問題なのか、とにかく子供たちの意見を聞かなければならなかった。 そこで困ったが、黒板にX軸とY軸が十文字のように交錯する図をチョークで書いた。 そうして生徒側の椅子に腰をかけ、
「X軸は時間を表わして歴史的な思考とか因果関係とかの考えをし、
Y軸は空間を表わして地理的な場所の広がりや他人の考えについ
ても考えて、自分の考えをまとめてほしいのです」
と説明しました。
すると何人か手を挙げたので、☛ 指をさして指名すると、その生徒は黒板へ出て行って図の左側へチョークで自分の意見をまとめたことを書いたのです。
私は、思わず「わぁー、すごい」と感心し、同時にほっとしたのです。 今の子どもたちはこんな風に反応して自分の意見を言うのだろうかと感心しました。
夢はそれでさめたのです。
目が覚めてから、
「どんな問題にせよ、一つは時間的にも因果の形跡からの思考が大事だし、一方他の人の情緒的な意見や思考も大事なんだ。 そして一つの課題に対しては、自分の意見をもたなければいけない。 それと共にそれぞれの人の意見を大事にしなければならないんだ」
と思ったのです。
珍しい夢でした。
「般若波羅蜜多心経」との正式名は、「般若」が、事物や道理を見抜く深い智慧を意味する語(paññā、パンニャー)の 音写 、「波羅蜜多」( 波羅蜜 )が、悟り・彼岸に至るための行為を意味する語(Pāramitā、 パーラミター)の 音写 、「心経」が重要な教え( 経 )を意味するため、「深い智慧によって悟りに至るための重要な教え」という経題名と理解される。 また、 大乗仏教 においては、悟りに至るための善行を6つ掲げて、6つの 波羅蜜 (波羅蜜多)= 六波羅蜜 と呼ぶが、このうち最も重要な「 波羅蜜 」が「 般若波羅蜜 」(智慧の波羅蜜)とされている。
度 まず、「度し難い」の読み方ですが「どしがたい」と読みます。. 「度し難い(どしがたい)」の意味は、「救いがたい」とか「どうしようもない」という状態や状況を表す言葉です。. 正しくは「済度(さいど)し難い」と書くべきところ、「済」が省略されるようになり「度し難い」として定着したようです。. 「済度(さいど)」は、仏教に由来する言葉であり、「済」は救うという意味で、「度」には渡すという意味があります。. 二つの漢字を繋げた「済度(さいど)」の意味は、「仏が、迷い悩んで苦しむ人を導き、悟りの彼岸に渡してやること」を表している言葉になります。.
照見五蘊皆空しょうけんごうんかいくう
照見(しょうけん) 心の眼が開いてものの実相が見える
五蘊(ごうん)
「色受想行識」の五蘊からくる自我
五蘊とは以下のとおりです。
色=目に見える物質(自然界、人間の体)
受=ものの喜怒哀楽を感じる感覚作用
想=外からの事柄を心に受け入れて想像する心の作用
行=生活行為
識=意識して分別するもの 行によって得た知識
これらの心と行為によって苦楽を重ねてしまうのです。
皆(かい) すべて
空(くう) 心は自我の思いから離れる
「平家物語」
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
※ 祇園精舎(ぎおんしょうじゃ、Jetavana-vihāra)、正式名:祇樹給孤独園精舎(ぎじゅぎっこどくおんしょうじゃ、梵語: jetavane ’nāthapiṇḍadasya-ārāme)は、インドのコーサラ国首都シュラーヴァスティー(舎衛城)、現ウッタル・プラデーシュ州シュラーヴァスティー県にあった精舎(vihāra)である。釈迦が説法を行った場所であり、天竺五精舎(釈迦在世にあった5つの寺院)の1つである。(座標 北緯27度30分34秒 東経82度02分24秒)
祇園精舎は、釈迦の大口支援者であったスダッタ(アナータピンディカ)によって、釈迦に寄贈された。そのためアナータピンディカ園とも呼ばれた。
現在では、一帯は歴史公園に指定されている。公園内には釈迦が説法を行った場所とされる香堂(ガンダクティ Gandhakuti、釈迦が寝食を行っていたとされる場所)やストゥーパなどが残されている。また園内には、仏教において二番目に尊いとされる菩提樹、「阿難菩提樹」がある。北インドの仏教徒にとって、祇園精舎は聖地の1つとして重要な位置を占めているが、その中でもガンダクティが最も重要とされる。
田中宇の国際ニュース解説 世界はどう動いているか
潰されていくドイツ 【2022年8月23日】
イラン核協定で多極化 【2022年8月20日】
短信集・日本の隠然非米化、など 【2022年8月19日】
悪いのは米国とウクライナ政府 【2022年8月17日】
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潰されていくドイツ
2022年8月23日 田中 宇
米国が起こしたウクライナ戦争は「敵」であるはずのロシアを潰さず、逆に台頭させている。そして「味方」であるはずのドイツなどEU諸国と、ウクライナを自滅させて潰している。最大の要因は、石油ガスなど資源類の貿易だ。ロシアは米国側に制裁されても石油ガスを中印など非米側に輸出できる。逆にドイツなどEUは冷戦後ずっと経済発展をロシアからのガス輸入に依存しており、輸入が止まると致命的だ。 (ドイツの失敗) (自滅させられた欧州)
気体の天然ガスをパイプラインで消費地に送ることは、LNG(液化天然ガス)や石油などに比べて安いエネルギーであり、冷戦後のドイツはロシアからウクライナ経由や北海海底ノルドストリームなどのパイプラインで送られてくる安い天然ガスを使った工業で経済成長してきた。だがウクライナ開戦後、ドイツやEUは、米同盟国としてロシアとの経済関係をすべて断絶する対露制裁を義務づけられ、ロシアからの天然ガス供給は平時の20%に減った。今後さらに減ってゼロになるとEU当局が予測している。ドイツやEUの経済は破綻し、市民の暖房費や電気料金が高騰し、貧困層の生活苦がひどくなっている。ドイツなどでは石油ガスのさらなる高騰が予測されるため、今冬の暖房用に樹木の薪を集め出す人が増えている。他人の土地の枯れ木や薪を盗む事件も頻発している。事態は先祖返りしている。 (Germany’s business model is broken) (Gas shortages, freezing temperatures, firewood hoarding: Just how bad could things get this winter?)
ウクライナ戦争は、ロシアの優勢で今後もずっと続く。劣勢なウクライナ政府が敗北を認めてロシアと和解するなら、米国側は対露制裁をやめてロシアからドイツへの天然ガス送付も再開しうる。だが米国は、傀儡であるウクライナが、ゲリラ戦やテロリスト的な戦法も併用しつつずっと戦争を続けるよう誘導している。ウクライナ側は最近、ロシア国内でのの破壊工作(クリミア無人機攻撃)、テロ(ダリア・ドギナ爆殺)などの非正規戦法を強めている。ウクライナ戦争は今後もずっと続く。ドイツの経済相(Robert Habeck)は最近「安いロシアのガスに依存してきたドイツの成長モデルは二度と戻らない」と宣言した。エネルギー価格が高騰したままになりそうなので、これまでドイツで操業していた工場群が国外に逃げ出している。ドイツでは電力やガスの料金がこの2か月で2倍、2年間で6倍になっている。 (Germany's Habeck: Germany's Russia-dependent energy model isn't coming back) (Germany Risks a Factory Exodus as Energy Prices Bite Hard)
ウクライナに勝つ見込みがあるなら、エネルギー危機が続いてもウクライナが勝つまで我慢する戦法もあり得る。だが、ウクライナが勝つ見込みはない。戦況の逆転にはNATO軍の参戦が必要だが、それをすると人類破滅の米露核戦争になる。現実的には今後、ロシアがウクライナの東部と南部を占領して住民投票などをやって分離独立とロシアへの併合を促進していき、残ったウクライナ西部はポーランドの傘下に入って国家機能を何とか維持し続ける。ウクライナ政府は、移住してきたポーランド人に自国民と同等の権利を与えている。ウクライナ人のかなりの部分(3割ぐらい?)がすでに、ゼレンスキー政権の弾圧政治と戦争を嫌がって欧州やロシアに移住してしまっている。その穴埋めとしてポーランド人が招き入れられている。ポーランドは、ウクライナを併合して大きくなってドイツに対抗したいのだろう。 (Poland takes the first step towards turning Ukraine into a Polish colony) (Kiev Selling Off Country, Prioritizing Poland in This 'Business Project')
ウクライナは、東西に分割された状態で、大した戦闘がなくても何年も戦争状態を続けそうだ。米国は対露制裁をやめない。ドイツも、対米従属を国是とする限り対露制裁に参加せざるを得ず、ロシアから石油ガス資源類を輸入できない。ドイツ経済は破綻した状態がずっと続く。冗談じゃない!。今すぐロシアからのガス輸入を再開するしかないぞ。ドイツ政界の有力政治家(副議長。Wolfgang Kubicki)は最近、そんな風に提案した。それは、経済的に正しいのだが、国際政治的には許されない。ドイツは対米従属をやめられないので対露和解できない。ドイツなど欧州は、ロシア以外の国々からの石油ガス輸入を急増できれば良いが、それはうまくいっても数年かかる。しかも、サウジアラビアなど他の石油ガス産出国は、表向き米欧との親しさを保ちつつ、こっそり非米化してロシアの味方になっており、欧米への輸出を増やしたがらない。 (Top German politician makes Nord Stream 2 plea) (複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ)
ドイツは反原発運動のせいで原発をどんどん停止しており、原発を止めるのを延期して稼働を続ければエネルギー危機を緩和できる。だが、それすらも国内政治の対立の中で簡単にやれない状況だ。ドイツなど欧州諸国は今冬、エネルギーや食糧が欠乏し、貧困層の間から凍死者ゃ餓死者がたくさん出てきそうな感じになっている。英国も、今冬の凍死者と餓死者が予測されている。独英など欧州諸国は、ウクライナ戦争の戦場になっていないしロシアと直接戦争しているわけでもないが、資源不足によって産業と国民生活が機能不全に陥って破綻しており、まるで対露参戦して戦場になっているかのような状態だ。 (Germany Denies WSJ Report Of Climate-Change Flip-Flop Over Nuclear Plants) (London's Mayor Warns Millions of Brits Won't Be Able to Afford 'Heating and Eating' This Winter)
ウクライナ戦争によって経済が破綻している独英など欧州諸国と対照的に、ロシアは参戦国なのに経済的な打撃をあまり受けておらず、国民生活も破壊されていない。むしろ開戦以来の石油ガス価格の高騰により、国家経済の中心である石油ガスの利益が急増し、露政府は大儲けしている。外貨準備も急増している。中国インドなど非米的な諸国はロシアの資源を旺盛に買ってくれるし、イランやサウジなど産油国もロシアに協力して石油ガスの国際価格を高止まりさせてくれている。 (制裁されるほど強くなるロシア非米側の金資源本位制)
「善悪」の面でも、米国側のマスコミ権威筋はロシアを歪曲的に極悪に描き続けているが、実のところウクライナ政府を傀儡化してロシア系住民を殺し続け、ロシアに脅威を与え続けてきたのは米国(米英)であり、ウクライナ戦争で極悪なのは米ウクライナの方だ。露軍による「虐殺」も、米国側によるプロパガンダであり、米国側の多くの人が間違いに気づかず延々と軽信している。 (濡れ衣をかけられ続けるロシア) (プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類)
なぜこんなことになっているのか。大きな原因の一つは、独英EU日など同盟諸国に、政策決定に必要な状況の全体像や予測などの情報を供給する米諜報界(隠れ多極派)が、意図的に大間違いの情報を発信し続けているからだ。米国は諜報界だけでなくバイデン政権も多極派に乗っ取られており、開戦直前にロシアが侵攻しそうだと察知してそう発表したのに、ロシアに警告して開戦を食い止めることをしなかった。そのくせ米国は、ロシアが開戦したら、過激で稚拙な対露全面経済制裁を開始し、ドイツなど欧州がロシアを制裁して資源輸入を長いこと止めたら経済破綻するとわかっていながら、欧州にも厳しい対露制裁を強要した。 (すでに負けているウクライナを永久に軍事支援したがる米国) (ロシアが負けそうだと勘違いして自滅する米欧)
開戦後、米諜報界は、ウクライナでの露軍の作戦が失敗しているのでロシアは自滅し、短期間でウクライナが勝利して戦争が終わる、という全くウソの分析を流し続けた。独英など欧州各国の上層部が、このウソをどの程度信じていたか不明だが、素人の私ですら、開戦の数日後には露軍の優勢を把握していた。欧州各国はロシア・ウクライナに対する独自の諜報網も持っており、露軍の優勢とウクライナ側の不利、米諜報界のウソを見破っていた可能性が高い。だが、欧州各国は国是が対米従属であり、米国の覇権運営を担当する諜報界の見立てや命令、忠告をウソ扱いして拒否することは政治的に不可能だ。米国側の各国は、政府マスコミ財界などエスタブ全体が米諜報界の傀儡だから、情報が間違いだと感じても鵜呑みにせざるを得ない。 (ロシアは意外と負けていない) (ウクライナ戦争で最も悪いのは米英)
ドイツなど欧州のエスタブたちの中に、このままではダメだ、停戦や対露和解をしてロシアからの石油ガス資源類の輸入を再開しないと欧州は破綻してしまうという危機感が強まっている。だが、それを公式に表明するエリートは少ない。開戦後、米諜報界とその傘下のウクライナ政府が流す歪曲ウソ情報によって「ロシアは戦争犯罪国」「極悪なロシアを許すな」という間違った善悪観が米国側で席巻・固定化しており、対露和解を提唱する者は「非国民」扱いされ、受け入れられない。ドイツの「極右」政党AfDなど、エスタブの外にいる勢力は「ウクライナ政府はロシアと和解して中立国家になるべきだった」と正しいことを言っているが、AfDは(今のところ)野党なので国家的な決定に結びつかない。 (Head of German parliamentary party names West’s ‘mistake’ in Ukraine) (ウソだらけのウクライナ戦争)
エスタブ以外の庶民は全欧州的に、石油ガス高騰、経済破綻による失業など、生活苦がひどくなっている。ネット上では、エスタブ系マスコミ以外の情報発信者たちが極右とか陰謀論者とレッテル貼りされつつ、米諜報界(深奥国家)やマスコミのロシア敵視の間違いを指摘する情報も流れており、庶民はしだいにマスコミの間違いに気づき、政府エスタブが歪曲情報に基づいて対露制裁しているのが悪いんだと理解し、政府批判を強めるようになっている。ドイツ政府は、物価高騰に不満をつのらせて反政府運動に参加する人々を「国家の敵」と呼び始めている。まるでナチスの再来だ。以前のコロナ危機で都市閉鎖やワクチン強要などの超愚策に反対していた人が、今回のウクライナ戦争でも政府や米国のウソに気づいて反政府運動している。彼らは「覚醒」(左翼リベラルがいうインチキな覚醒運動でなく真の)しているのだが、軽信者たちから、国家の敵・陰謀論者・極右呼ばわりされている。 (German Official Trashes Cost Of Living Protesters As "Enemies Of The State") (悪いのは米国とウクライナ政府) (左派覇権主義と右派ポピュリズムが戦う米国)
正しいことを指摘する人々を非国民・国家の敵扱いするドイツなどの政府は、すでに破綻に向かっている。ショルツ独首相の支持率は、史上最低を更新し続けている。ゼレンスキーは犯罪者で、プーチンの方が正しいと、世界の庶民のしだいに多くが気づき、ネットの言論はそっちに向かっている。ドイツではいずれ選挙でAfDなどのエスタブ外の政党が政権を握るようになる。そうなると、ドイツは対米従属をやめて対露和解し、ロシアからの石油ガスの輸入を再開できるかもしれない。そこまで行くのに何年かかるかわからないが。 (Russia gains ground in information war against Ukraine) (German chancellor’s ratings hit new low)
東欧や南欧など欧州の周辺諸国は、世界有数のドイツの経済力を頼りにしてEUに加盟したいと考えてきた。だがドイツは今、ロシアからの安いガスを絶たれて経済破綻しつつある。周辺諸国はドイツに頼れなくなっていく。ドイツの経済崩壊が進むと、EUの求心力も失われて解体しかねない。 (Why The EU Could End Within A Year) ("We're Facing The Biggest Crisis The Country Has Ever Had")
米国は11月の中間選挙で「草の根化・非エスタブ化」した共和党が議会多数派を握り、覇権を放棄していく。米国は、同盟諸国の安全を保障しなくなる。共和党のランド・ポール上院議員は「同盟国が戦争を仕掛けられたら自動的に米国が参戦して助けねばならないというNATOの5条は、米国の国権をないがしろにしており憲法違反だ。米国はNATOを離脱すべきだ」という思考を持っている。2024年に大統領に返り咲きそうなトランプも似たような考え方だ。 (Rand Paul: "Senate Just Rejected My Attempt To Reaffirm The Constitution") (Donald Trump’s hold on the Republican party is unquestionable)
米国は覇権を放棄していく。ドイツなど同盟諸国が、ウクライナ戦争で自滅しても対米従属を維持するのは馬鹿げたことになっている。同盟諸国は、対米自立を余儀なくされていく。この流れは、米諜報界を握る隠れ多極派が、米覇権を壊すため意図的に作っているものだ。米国覇権は、対米従属の同盟諸国によって支えられている部分が大きいので、多極派は同盟体制を破壊している。ウクライナ戦争は、ドイツなどEUが対米従属をやめるまで続く。米国の覇権を牛耳っていた英国も潰れていく。NATOやEUは機能不全が進み、解体していく。ウクライナ戦争の前には、新型コロナも超愚策によって欧州や豪加など同盟諸国の経済を破壊したが、あれも多極派による米覇権自滅策だったと考えられる。 (米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化) (ひどくなる大リセット系の嫌がらせ)
米同盟諸国の中でも、独英などに比べて日本はあまり自滅させられていない。日本政府はサハリン2の天然ガス利権を維持し、日本のロシアからの天然ガス(LNG)輸入は損なわれていない。米国は日本に厳しい対露経済制裁を強要せず、寛容な姿勢をとってくれている。ドイツがロシアからの天然ガス輸入停止を米国から強要され、経済を自滅させられているのと対照的だ。ペロシの訪台など米中対立も激化しているが、日本は中国と良い関係を何とか保持している。これまた米国は、日本に中国敵視を強要してこない(日本のマスコミとその軽信者たちは、くそみたいなことばかり言ってるが)。 (安倍元首相殺害の深層 その2) (中国と戦争しますか?)
日本だけでなく韓国も、中露敵視を米国から強要されていない。米国に中露敵視を強要されたら、日韓は中長期的に経済自滅だったが、米国は独英などにだけ自滅を強要し、日韓には強要してこない。コロナの時も、独英豪加など欧州系の同盟諸国は、都市閉鎖など経済を自滅させる超愚策を延々とやらされたが、日本は都市閉鎖もワクチン強制もやらずにお目こぼしされている。 (確定する日本の隠然非米化) (コロナ帝国と日本)
なぜ米国(諜報界多極派)は、独英など欧州系の同盟諸国だけ潰して、日本や韓国は放置・黙認しているのか。一つの理由は、独英豪加などが米国覇権の下支え役を主体的に担っているのと対照的に、日韓は米国覇権に従属しているだけの色彩が強く、多極派の米覇権潰しの対象外だからだろう。また多極派は、目標である米覇権解体と中露台頭・覇権多極化を達成するため、中国の台頭に協力しうる日韓を経済破綻させない戦略なのだろう。 (Germany has abandoned decades of balancing both Russia and US, how long will it survive on its new path?) (中国に非米化を加速させ米覇権衰退を早めたペロシ訪台)
もし日本が本気で中国を敵視していたら、米国(多極派)は、コロナでもウクライナ戦争でも台湾危機でも、日本にも独仏などと同様、経済自滅の策をやれと強要してきていただろう。中露を敵視せず日本を米中両属に導いた安倍晋三は正しかった。安倍の路線を継承して親中親露を目立たないように保っている岸田も正しい。マスコミとその軽信者の方が、自民党の親中路線を攻撃することで、日本を自滅させようとする大間違いをやっている。
イラン核協定で多極化
2022年8月20日 田中 宇
イラン核協定(JCPOA)は2015年、米国がイランに核兵器開発の濡れ衣をかけて経済制裁や軍事攻撃をして潰そうとしていた問題を外交的に解決するため、当時のオバマ米大統領が発案し、国連P5+1(米英仏露中+独)とイランとの間で締結した協定だ。イランは核兵器開発につながる行動を控え、IAEAの査察を受け続ける見返りに、P5+1が主導する国際社会はイランを仲間として受け入れ、経済制裁を解除するという協定だった。米国(やイスラエル)の中枢には、イランに濡れ衣をかけてイラクみたいに潰そうとする勢力(軍産複合体や隠れ多極派)がいたが、イラクに加えてイランも軍事攻撃して潰してしまうと、中東の混乱がひどくなり、事後の米国の負担が肥大化し、米国覇権の自滅になりそうだった。そのためオバマは、軍産の謀略を阻止してイランを米国側に引き戻しつつ米国覇権を維持するためにJCPOAを締結した。 (イランとオバマとプーチンの勝利) (トランプがイラン核協定を離脱する意味)
だが、隠れ多極派であるその次のトランプ大統領は、イランを米国覇権下に引き戻すのでなく逆に、イランを中露非米側に押しやるために、2018年にJCPOAを離脱した(他の諸国は残った)。離脱の表向きの理由は「イランを許すとイスラエルにとって脅威になるので離脱する」だった。トランプは、イランの「革命防衛隊(国軍より強い聖職者直属の軍隊)」をテロ組織に指定してイラン敵視を強化した。報復として、イランはウラン濃縮を再開した。その後、オバマの副大統領だったバイデンが2021年に大統領に就任すると、米政府はJCPOAに戻ることを方針に掲げた。だが、すでに米諜報界は隠れ多極派が牛耳っており、彼らがイランの脅威を誇張し、イランが求めた革命防衛隊に対するテロ指定の解除をバイデンが拒否せざるを得ないように仕向け、イランを怒らせて交渉を頓挫させてきた。 (Details of New Iran Nuclear Deal Approved by Iran) (米国を孤立させるトランプのイラン敵視策)
今年2月にウクライナ戦争が始まると、状況が変わった。対露制裁でロシアから石油ガスを輸入できなくなって経済難に陥った欧州が、ロシアの代わりにイランから石油ガスを輸入したいと考えるようになり、EUが米国とイランを和解させてJCPOAを再開する動きを開始し、欧州がイラン制裁敵視をやめてイランから石油ガスを輸入できるよう動き出した。ロシアがガス輸出を減らしているので、欧州の天然ガス相場は史上最高値を更新してどんどん上がっている。EUは、できるだけ早くイランから石油ガスを輸入できるようにしたい。EUは、米国が譲歩したがらない分を肩代わりし、米国と横並びだった革命防衛隊などへの制裁をEUが解除するなどイランへの譲歩を進め、イランも満足してウラン濃縮を縮小しても良いと言い出し、米国がJCPOAに復帰できる状態にした。米政府も、インフレ対策としてイラン協定に復帰したい。早ければ来週にも、米バイデン大統領が協定離脱を決めたトランプの大統領令を無効にする新たな大統領令を出し、米国がJCPOAに復帰するのでないかと言われている。 (EU proposes lifting pressure on Iran’s Revolutionary Guards to revive nuclear deal) (Iran nuclear deal's fate uncertain as EU makes final push)
米国がJCPOAに復帰したら、何をやってもうまくいかないバイデン政権として画期的だが、土壇場で実現しない可能性もある。バイデン政権はJCPOAに復帰したがっている。米国が復帰して核協定が完全なものに戻ると、イランは経済制裁を解かれて石油ガスの輸出が自由になり、石油ガスの国際相場が下がる。これは世界的なインフレ傾向を止める動きになり、インフレ悪化の責任を問われて支持率がどんどん下がっているバイデンとしては、JCPOAへの復帰が、インフレを抑止して再び人気を上げるための方策になる。民主党が惨敗しそうな11月の中間選挙まで3か月になった今の時期に、バイデンがJCPOAに戻って石油ガス相場を引き下げてインフレを緩和することは重要だ。 (US, Iran Return to Nuclear Talks at EU Behest)
米政界の共和党は、バイデンの得点を上げることになるJCPOAへの復帰に「危険なイランを甘やかす愚挙だ」と反対している。中東の軍事大国であるイランを、国家安全上の最大の脅威とみなすイスラエルも、JCPOA復活に正式に反対している。バイデン政権は、イスラエルと米国の立場が違うことを認めている。バイデンは、イスラエルと良い関係を維持することよりも、物価高騰に苦しんでバイデンを恨む米国民をなだめるインフレ対策を重視している。 (US, Israel Have Tactical Difference Over Iran Nuclear Deal) (Israel sees nuclear deal with Iran as inevitable @BenCaspit)
ゴールドマン・サックス(GS)は(米政界やイスラエルからの)反対論が強いため、米国がイラン協定に復帰する可能性はとても低いと予測している。GSは、JCPOAが再開しないので石油ガス相場の下落もないと予測している。対照的に、イスラエルのエルサレム・ポストには、間もなくJCPOAが再開されると予測する記事が出ている。イスラエルの諜報機関モサドは7月末から、JCPOA復活は不可避だと言っていた。ロシアの国連大使も、早ければ来週、米国がイラン協定に復帰すると言っている。 (Oil Surges On China "Reopening" Hopes As Goldman Says There Will Be No Iran Nuclear Deal) (The JCPOA Nuclear Deal 2.0 is coming any day now - opinion) (Iranian nuclear deal agreements to be reached as early as next week, says Russian diplomat)
インフレとイランのどちらを抑止すべきかをめぐり、米国、EU、イスラエルは紛糾している。それを尻目に、イラン自身と、最近イランと親密になったロシアは、どちらになっても自分たちの優勢が加速するので、ニヤニヤしながら傍観している。2月のウクライナ開戦後、ロシアは米欧から徹底的に経済制裁され、米欧から完全に断絶した非米側の国際経済体制をロシア主導で作ってその中で生きることを迫られるようになった。ロシアにとって最も頼れるのは中国だったが、同時に、ロシアよりずっと前から米欧に徹底的に経済制裁・断絶されて困窮しつつ最低限の経済運営をしてきたイランが、ロシアと同じ境遇の仲間として存在していた。 (Are US sanctions against Iran & Russia backfiring in dangerous ways?) (中国イラン同盟は多極化の道筋)
ロシアもイランも、石油とガスの大産出国だ。ウクライナ戦争が一段落した後の7月、プーチン大統領令がイランを訪問し、露イランは非米的な経済システムを一緒に作っていくことを決めた。ロシアは以前からイランと一緒にシリアでアサド政権を守る戦いをしており親しかったが、ウクライナ開戦後、露イランは一気に親密さを増した。また、ペロシ下院議長の台湾訪問などで米国から敵視を強められている中国も、露イランと一緒に非米的な国際経済体制を作っていくことになり、イランは今年、中露が作るユーラシア同盟体である「上海協力機構」に正式加盟させてもらった。 (Strengthening Ties With Iran, Putin Meets With Supreme Leader In Tehran) (Iran to Become Member of Shanghai Cooperation Organization This Year)
米国が露イラン中国を同時に敵視している限り、露イラン中国は結束し、ドルに頼らない貿易決済体制を効率化していき、石油ガスなど資源類を欧米でなく中国インドなど非米諸国に輸出する貿易路を確立していく。サウジアラビアやトルコやアフリカ中南米など、他の非米諸国もそこに入り、欧米抜きで発展が持続する非米側の世界経済が確立する。欧米は非米側から石油ガス資源類を買えなくなり、経済破綻していく。非米側が先進国になり、欧米は後進国になって立場が逆転する。米国がJCPOAに戻らないと、この傾向が今後も続く。ロシアもイランも中国も、これまで自分たちを抑圧してきた欧米諸国が自滅するのを良いことと考えている。JCPOAが再開されない方が、非米側と米国側の断絶が続き、非米側の経済システムが強化されて多極化が進む。 (Iran Gains Access To Russian Mir Payment Cards) (資源の非米側が金融の米国側に勝つ)
JCPOAの再開は以前なら、イランが米国側の経済システムに戻っていくことを意味した。以前は、非米側の経済システムがほとんど存在していなかった。だが今や、イランは非米側のシステムも使える。石油ガスの輸出先は、以前なら米国側(欧米日)だけだったが、今後は中印など非米側がむしろ主役だ。どちらにも輸出できるので、イランは強気になる。米政界を牛耳るイスラエルはイランを敵視し続けており、米国がいつまたイラン敵視を再開するかわからない。トランプが大統領に返り咲いたら、米国はまたJCPOAを離脱する。イランにとって米欧は信頼できない相手だ。露中印など非米側の方が信頼できる。強気のイランは、欧州に石油ガスを高く売りつける。イラン人はユダヤ人に負けない商売上手だ。 (Iran, Russia to Create Alternative Financial System to SWIFT)
米国がJCPOAに復帰することは、国際政治的に米国の弱さを示すものだ。米国はかつてイランに対して「いつでも潰してやるぜ」と息巻いていたのに、今ではイランに譲歩している。それを見て、サウジなどのアラブ諸国や、トルコ、アフリカ中南米諸国は、米国や欧州に対して、以前より強気に出るようになる。米国のJCPOA復帰は、政治的に、米国の覇権衰退に拍車をかける。米国の覇権が衰退するほど、プーチンのロシアも好き勝手にやれるようになるし、習近平は岸田に「もう対米従属ではやっていけなくなりますね。仲良くしましょう」と諭し誘うようになる。米国がJCPOAに戻らないと、米国側との断絶が続く非米側の経済システムが強くなる。米国がJCPOAに戻ると、政治的に米国の覇権低下に拍車がかかる。ロシアやイランにとっては、どちらでもかまわない。 (JCPOA players agree on 90% of issues reached on Iran’s nuclear dossier, says Tehran) (非米化で再調整が続く中東)
イスラエルは、イランを敵視し続ける一方で、米国側から非米側に転向したトルコとの国交を最近正常化した。イスラエルがトルコと和解したのは多極化対応策であり、イスラエルが米国覇権の衰退を理解していることを示している。イスラエルは以前から親ロシアでもある。イスラエルは、米国の中東覇権が衰退していく今後、ロシアやトルコの仲裁を受けてイランとも和解せざるを得なくなる。 (Oil Extends Gains After Indirect US-Iran Nuclear Talks Fail In Qatar) (Israel & Turkey Announce Full Normalization Of Ties)
イランは中東での覇権を拡大している。イラン(とロシア)のおかげでシリアは安定を取り戻しているし、イエメンでサウジが停戦できているのもイランのおかげだ。JCPOAの行方にかかわらず、非米側で発展していけるようになったイランは、欧米に対しても劣勢から優勢に転じつつある。このイランの強気の表出の一つが、最近米国で起きた、イスラム冒涜小説家サルマン・ラシュディの刺傷事件だ。またロンドンでは8月4日、イランと外交的な対立があるアゼルバイジャンの大使館が、イラン人暴徒たちによって襲撃・占領されている。世界の激動と多極化、米国覇権衰退の動きはまだまだ続く。 (Radical Shia Group Storms, Briefly Takes Over, Azerbaijan Embassy In London) (Escobar: The Power Troika Trumps Biden In West Asia)
短信集・日本の隠然非米化、など
2022年8月19日 田中 宇
国際情勢のテーマは多岐で、1回の記事で一つのテーマずつだと書き切れないことが増えていく。その対策として以前、短信の解説集をときどき出していたが、私は一つずつの解説を書いているうちに長くなり「短信」でなくなる。うまく書けず、一つのテーマで1本の記事にするやり方だけに戻した。だが最近、米日ともにマスコミの頓珍漢がひどくなり、私独自の解説をできるだけ多く出した方が良さそうだと思い始めている。それで今回は短信の解説集を復活してみた。といっても結局、一つずつが長くなり、2つのテーマしか書けなかった。日本の話と、米国政治の話だ。
▼確定する日本の隠然非米化
米国が欧州の同盟諸国に自滅的な中露敵視を強要し、欧州は石油ガスなど資源類が輸入できなくなって経済破綻が加速し、「先進国」でなくなり、石油ガスを握って豊かになる中露・非米諸国との「米中逆転」が進んでいる。日本も、隠然と親中国路線・米中両属戦略を進めてきた安倍晋三元首相が7月8日に殺された後、米国の言いなりになって中露敵視を強めて自滅していくのか、と懸念された。だが、8月8日の記事「安倍元首相殺害の深層 その2」( https://tanakanews.com/220808abe.htm )に書いたように、日本は中露敵視を強めておらず、ロシアのサハリン2ガス田に対する日本企業の資本参加も続けることにした。日露関係は悪化していない。日中関係はどうだろうと思ってたら、8月18日に日中の政権中枢の安保担当者どうしが会談し、日中双方が、相手方と協調関係を保つことを望んでいることが確認された。この日、岸田政権で安全保障を担当する秋葉国家安全保障局長が中国を訪問し、中国共産党中央政治局の外交担当である楊潔チと長時間の会談をした。日本政府が対米従属を最重視して、米国の言いなりになって中国を敵視しているなら、こんな会談は行われない。 (Japan Remains Open to Dialogue With China -Japan Foreign Minister)
米国の中枢(諜報界)を牛耳る隠れ多極派は、米覇権体制を自滅させて世界を多極化するため、世界各国に対し、4種類の策略をとっている。(1)中露イランなど米国の敵性諸国に対しては、稚拙に過激に敵視を強め、相手国が対抗して台頭してくるように仕向け、多極化推進に貢献させる。(2)一応米国の味方だが対米自立的・非米的な傾向を持つインド、トルコ、サウジアラビアなどに対しては、表向き味方・同盟国の関係を維持しつつも、相手国に人権や貿易紛争などの問題で難癖をつけて敵視を強め、相手国に対米自立を加速させ、米国側から非米側に転じさせる。米国は近年、中国を(2)から(1)に追いやる(多極主義的に言うと昇格させる)ことに成功した。サウジアラビアは大産油国なので、米国から人権問題などで難癖をつけられ、(4)から(2)に追いやられた(昇格させられた)。 (非米化で再調整が続く中東)
(3)同盟国のうち、米(米英)覇権体制の永続化に熱心な英国、EU(独仏)、カナダなどNATO諸国、豪州などに対しては、米国と一緒に過激で自滅的な中露敵視・対露制裁をやるよう巻き込み、足抜け不能な状態にして自滅させ、米覇権体制の崩壊・弱体化につなげる。イスラエルは(3)にされるのがいやなので(2)の方に動いている。(4)同盟国のうち、米覇権体制の永続化に熱心に関わるというよりも、対米従属しておいた方が得策だと考えているだけの日本、韓国、ASEAN、NZなどは、米国覇権が低下して中露が台頭するほど、目立たないように隠然と非米化していこうとするが、隠然とやっている限り、米国はこれらの諸国の非米化を黙認する。非米化を顕然化すると、米国から敵視され始めて(2)に移る。
私は最近まで、日本は、米国から「頼れる同盟国」とみなされたいがゆえに、(4)から(3)にわざわざ移動して自滅していくのでないかと懸念していた。日本の権威筋は戦前から世界・国際政治の見方が浅薄・中途半端なので事態を見誤り、第2次大戦で超間抜けな大敗をしてしまい、今回また、まさに米覇権が崩壊していくときに、米覇権からうまく逃げて非米化するのでなく正反対に、自国の運命を米覇権と一蓮托生にして馬鹿みたいに自滅していくのかも、と思っていた。日本を(4)から(3)に移動させるために、日本を(4)に留めていた安倍が殺されたのでないか、と懸念していた。しかし、日本はその後も(4)にいて、ロシアとも中国とも、表向きは敵っぽいが本質的には協調関係を何とか保っている。 (安倍元首相殺害の深層)
米国覇権は今後どんどん衰退・破綻が進む。(3)の諸国は、米国と一緒に破綻していく。(4)の諸国はあまり破綻せず、形成されつつある多極型世界における居場所を定めていく。これからの時代、(3)と(4)の違いはとても大きく、明暗を分ける。日本は、間抜けに粋がって(3)に転換しなくて良かった。昨秋に突然結成された米英豪の中国敵視同盟AUKUSは、まさに(3)の組織だが、あそこに日本も入れてもらうべきだと言っていた権威筋がけっこういた。AUKUSに入っていたら、今後の日本は自滅だった。入らなくて良かった。日本のAUKUS不加盟は、権力者だった安倍晋三が隠然非米化路線をとっていたことの象徴だ。そして、安倍路線は岸田や林に継承され、日本は今後もAUKUSに入らず、(4)にとどまる。日本の生活は、劇的に自滅していくドイツなど(3)の諸国に比べ、あまり破壊されずにすむ。 (中国と戦争しますか?)
ロシアは最近、自国で行う軍事演習ボストーク2022に、中国とインドの軍を招待した。ロシアに招かれて、これまでずっと敵対してきた中国とインドが、仲良く軍事演習する。これが多極型世界だ。米国覇権が完全に衰退すると、国際紛争は今よりはるかに少なくなり、世界は安定する。その逆になると思っている人は、長年のマスコミ報道に洗脳されている。いずれ世界がもっと多極化したら、日本の自衛隊や韓国軍も、ボストークに招待されるかもしれない。その前に、米国が再びトランプ化して孤立主義を強め、日韓やNATOから手を引いていく過程が必要だ。米国の日韓支配の終わりは意外と近い。 (Russia, China And India To Hold Massive "Vostok" War Games In Two Weeks)
▼FBIが嫌がらせするほどトランプの人気が高まる
米国では、中間選挙(連邦議会選挙)まで3か月に迫った8月8日、米捜査当局FBIの大部隊が、トランプ前大統領のフロリダ州の邸宅マールアラーゴ(マラゴ)に押し掛けて家宅捜索し、機密文書などを押収した。FBIはトランプが、大統領だった時に保持していた機密文書の束を、任期終了で大統領をやめた後も不法に保持し続けたという容疑で裁判所の令状をとり、家宅捜索と押収を挙行した。公職にいた時に手元にあった機密文書を辞めた後も保有し続けるのは、一見すると違法行為だ。トランプは、機密文書を違法に保有したスパイ防止法違反に問われそうになっている。バイデン政権の民主党はインフレ対策や治安維持で大失敗しており、中間選挙で大敗しそうなので、その前に共和党のトランプに罪を負わせて汚名を着せようとしているとか、民主党はトランプをJ6(2021年1月6日)連邦議事堂占拠事件の首謀者に仕立てたいんだとか言われている。 (Why The Case Against Donald Trump Remains Incomplete) (The Attempt To Prosecute Donald Trump Is Unleashing More Than Our Political System Can Handle)
しかし、なぜ機密文書がマラゴにあるのかという経緯をたどると、そもそもこれが違法行為でないことが見えてくる。2020年の大統領選挙では、民主党がコロナ口実の郵送投票制度などを悪用して大規模な選挙不正を行い、本当はトランプが勝ったのに、それをバイデンが勝ったことにねじ曲げ、共和党議員からも裏切り者が続出した結果、トランプは不正を覆せないまま任期終了でやめざるを得なくなり、そのままバイデンが大統領に就任した。トランプからバイデンへの政権交代は混乱の中で進められた。米国では、大統領の任期が終わるとき、歴史として記録するため、政策文書などの資料を集めてそれぞれの「大統領図書館」を出身地などに作る。資料の中には機密文書も多く、その扱いをどうするか、機密解除の判断などに関して議論が紛糾する。 (FBI Raid Has Solidified Trump's Clout In GOP Ahead Of Expected 2024 Run, Conservative Observers Say) (Victor Davis Hanson: FBI, RIP?)
トランプも大統領図書館の設立を計画しており、2021年の政権交代に際し、機密文書は米政府の公文書記録管理局の倉庫に、それ以外の文書はマラゴのトランプ邸宅に送られることになっていた。だが、混乱の中での政権交代だったため、機密文書を含んだままの42箱の文書がマラゴに送られてしまった。その後、トランプ陣営と、バイデン政権の米政府(公文書管理局、司法省)との間で交渉し、トランプの大統領図書館を作るため、42箱の文書の仕分けと、機密文書の公文書管理局への送付作業がマラゴで行われてきた。この仕分け作業はまだ続いているので、機密文書がマラゴに存在している。6月にも司法省の要員がこの件でマラゴに来てトランプ陣営と友好的に話し合いをしていた。ところがその後、どうやらこの機密文書を標的に「違法な機密文書の保有」の捜査をFBIが開始し、8月8日の家宅捜索になったようだ。マラゴのトランプ宅に機密文書があることは、大統領図書館の設立に関連した話であり、全く違法でない。FBIのマラゴ捜索は、民主党政権による、トランプや共和党に対する濡れ衣に基づく嫌がらせである。 (Trump Spox Calls For 'No Redactions' Of FBI Trump Raid Affidavit After Judge Orders DOJ To Unseal 'Portions') (FBI Sends 'Clear Message' To Trump, His Supporters: The Swamp Is Real, Rep. Davidson Says)
トランプ陣営は、自陣営の中にFBIのスパイがいたと考えている。その者がマラゴの邸宅のどこに機密文書がありそうかをFBIに教え、FBIはスパイの言葉を供述調書にして裁判所に提出して捜索押収令状を得た。トランプ陣営は、裁判所に対し、供述調書を公開せよと要求している。スパイが誰で、FBI・司法省の最終目標が何であるか知るためだ。だが、たぶん供述調書は公開されない。この政争はずっと続く。もしトランプが今回の容疑で起訴されて有罪になっても、それでトランプの大統領への立候補を禁止することはできない。トランプが囚人服を来て獄中から立候補を表明したら、その方が当選の確率が高まるかもしれないぐらいだ。 (Trump Spox Calls For 'No Redactions' Of FBI Trump Raid Affidavit After Judge Orders DOJ To Unseal 'Portions') (Arresting Or Convicting Trump Won't Keep Him Out Of 2024 Race)
民主党バイデン政権の米政府は、中間選挙で負けそうなので、FBI(検察、警察)やIRS(税務署)、国土安全省(テロリストの濡れ衣を人々にかける役所)などの役所の捜査官を大増員して、自分たちに歯向かってくる共和党支持者などの「敵性市民」に対し、犯罪や脱税やテロリストの濡れ衣をかけ、捜査や盗聴などをさかんに行っている。トランプは、その最大の標的だ。他の共和党の議員や活動家たちが、民主党政権の米政府による監視や捜査や嫌がらせの強化を全米各地で指摘している。そんな中で、FBIが大群でマラゴのトランプ邸宅に家宅捜索に入り、FBI自身が違法所有でないと知っているはずの機密文書の束を押収して帰った。当然ながら、全米の共和党支持者たちがFBIやバイデン政権に対して怒り、トランプへの支持を強める結果になっている。 (Congressman: "Tyranny" Is Coming "Right Into Everyone's Living Room Very Very Shortly") (Democrats Are "Coming After Middle-Class Hard-Working Americans" - Tulsi Gabbard Warns "Our Democracy Is In Grave Danger")
米西海岸の加州やワシントン州や東海岸のNYなど、民主党(左派)が支配してきた全米各地の多くで、「人権問題」を理由に警察が予算削減された結果、犯罪が急増し、麻薬中毒の増加が放置(奨励)され、超愚策なコロナの都市閉鎖やワクチン強要が延々と続き、学校では白人逆差別のCRTの左翼思想が義務化されて子どもたちが洗脳され、メキシコからの違法移民(多くが民主党支持とされる)の流入が容認されて混乱し、男が女のふりをして女子スポーツに出場して優勝することが許されている(性別に関する覚醒主義は、ジェンダーを意図的に混乱させる「人類の敵」「人道犯罪」である)。インフレも放置され、むしろ石油ガスの消費が減って温暖化対策になるのでインフレは良いことだと左派が豪語している。これらの左翼による「不正」に対し、民主党支持者の中からも怒りや反論が相次ぐと、反論や怒りを表明した人々が弾圧され、差別主義者として北朝鮮さながらの「糾弾式=人民裁判」にかけられ、IRSやFBIから「捜査」されて犯罪者に仕立てられる。当然ながら、民主党支持者は大幅に減っているが、マスコミの多くは民主党左派なので報道せず、米国社会の自滅が無視されている。 (覚醒運動を過激化し米国を壊す諜報界) (MSNBC Analyst Malcolm Nance Says The Left May Have To 'Fight' Their Trump-Supporting Neighbors) (Why Wokeness Is Doomed)
洗脳されていない米国市民が、自国の悪化を食い止めねばならないと思ったら、支持政党を共和党に替えるしかない。共和党には従来、軍産ネオコンなど米覇権主義の勢力もいたが、父親の七光でその勢力の最上位にいたリズ・チェイニー下院議員(イラク戦争を起こしたチェイニー副大統領の娘)が先日、地元ワイオミング州の共和党内の予備選挙でトランプ派の候補(Harriet Hageman)に惨敗し、軍産ネオコンがほとんど支持されなくなっていることが明確化した。共和党は、覇権放棄屋(孤立主義)の「トランプ党」になっている。この数か月、共和党内ではトランプへの批判も出ていたが、今回のマラゴ家宅捜索は、中間選挙まで3か月という絶妙なタイミングで、共和党内のトランプ支持を急増させてしまった。深読みさせてもらうなら、この家宅捜索は、トランプを再び勝たせて米国の覇権放棄と世界の多極化を進めたい諜報界の隠れ多極派がFBIにやらせたことである。民主党はまた郵送投票制度を悪用して選挙不正をやるかもしれないが、これだけ民主党劣勢・共和党優勢が進むと、選挙不正をやっても結果をねじ曲げられなくなる。 ( Trump Critics Say FBI Mar-a-Lago Raid May Have Handed Him GOP Nomination, "Potentially The Presidency") ('National' figure Cheney 'feels bigger' than 'small' Wyoming election, says ally of lawmaker 笑)
何がどうなるとしても、米国が再び順風満帆な単独覇権国に戻ることはもうない。米国は上層部を隠れ多極派に握られたまま、これから10-20年ぐらいかけて国家や社会や経済の機能が徹底的に破壊されていく。ウクライナ戦争の構図もずっと続き、欧州もどんどん破綻していく。欧米中心の世界体制は終わる。日本は、ぎりぎりで自滅する側に入らずにすんでいる。米連銀はQTをやれてない。不動産担保債券(MBS)を市場に売り戻したら、買い手がつかずに社債金利が高騰し、金融崩壊に発展しかねない。米金融システムは3か月ぐらい前から、崩壊寸前のところで何とか止まっている。これがいつまでもつのか。もたなくなると、金融から「この世の終わり」が始まる。 (Report: Biden Privately Warned by Historians That American Democracy Is in Peril) (‘Something worse’ than recession coming – JPMorgan)
書きたいテーマは4つあったが、そのうち2つしか書いてないのに長くなってしまった。残りの2つはウクライナ・トルコと、金融だった。金融のことは上に少し書いた。ウクライナに関しては、フランスのマクロンや、トルコのエルドアンが相次いでゼレンスキーと会談し、ザポロジエ原発に対する攻撃についての懸念を表明した。マクロンもエルドアンも「原発を攻撃しているのはウクライナだ」とは明言してない。露ウクライナのどちらが原発を攻撃しているのかは「わからない」ままに放置されている。だが、もしロシア軍が原発を攻撃しているのなら、ゼレンスキーでなくプーチンと会談するはずだ。仏トルコ首脳がゼレンスキーと会ったことからは、原発を攻撃しているのがウクライナ軍であるとしか思えない。話を曖昧にしている張本人は、ウクライナの背後にいる米国だろう。仏もトルコも、米国に気兼ねして攻撃者を曖昧にしたまま外交している。米国がウクライナに原発を攻撃させて全欧的な放射能漏れを引き起こそうとしているのに、EUは黙っている。ロシア軍が原発を占領していなかったら、すでに大惨事が起きていただろう。 (France's Macron: Underlined to Ukraine's Zelenskiy Concerns Over Nuclear Risks) (UN, Turkey and Ukraine discuss grain exports, nuclear safety)
悪いのは米国とウクライナ政府
2022年8月17日 田中 宇
ザポロジエ原子力発電所は、ウクライナ南東部にある欧州最大の原発だ。2月末にウクライナに侵攻したロシア軍は、ウクライナ側がロシアを脅すためにこの原発を破壊すると言い出したり、原発の核燃料を転用して核兵器を作ろうとせぬよう、この原発を占領した。ウクライナ軍はロシア軍よりはるかに弱いため、そのようなことをしかねなかった。露軍は原発を占領したが、ウクライナ側の要員に原発の運転を続けさせ、原発は平常通りの電力供給を続けてきた(戦時で産業が停止し電力需要が少ないため平時の7割の出力で運転)。 (There’s a nuclear catastrophe on the horizon in Ukraine) (Medvedev blames Kiev, West for attempts to stage another Chernobyl at Zaporozhye NPP)
8月5日以降、この原発の原子炉や使用済み核燃料貯蔵プール、冷却水貯蔵ダムに対し、ウクライナ軍が攻撃を仕掛けるようになった。ウクライナ政府は「原発を攻撃しているのはロシア軍だ」とウソを言っている。、米国側の政府やマスコミはいつもの通りウクライナが発するウソを簡単に信じ、欧米政府やG7は「ロシアは原発への攻撃をやめろ」「ロシアは原発の占領をやめて管理をウクライナに戻せ」と表明している。ロシア政府は「原発を攻撃しているのはウクライナ軍であり、このまま攻撃が放置されると原子炉や使用済み核燃料が破壊され、放射能が漏れて大変なことになる」と警告している。チェルノブイリやフクシマを越える核の大事故が起きる懸念がある。 (UNSC Holds Emergency Meeting As Smoke Observed Rising Over Zaporizhzhia Nuclear Plant) (G7 top diplomats call on Russia to hand over Zaporozhye NPP to Ukraine)
地元の露側当局者によると、ウクライナ軍は、米国からもらった精密誘導弾も使ってザポロジエ原発を攻撃しており、すでに数十発を撃ってきた。使用済み核燃料貯蔵庫から10メートルしか離れていない場所に着弾した誘導弾もあった。貯蔵庫に命中すると、冷却が失われた使用済み核燃料は放射能漏れや爆発を引き起こす。 (Ukraine bombs nuclear waste storage site)
ロシアは国連安保理を招集し、ウクライナ軍の攻撃でザポロジエ原発が危険な状態になっていることを訴えた。国連の事務局は、誰が原発を攻撃しているのか曖昧にしたまま危険を認知し、IAEA(国際原子力機関)が調査団を組織して現場に派遣する話が持ち上がった。だが、これに対して国連内でどこからか圧力がかかり、IAEAは調査団を結成できないままでいる。誰が圧力をかけて妨害しているのかは不明だ。ロシア側は、IAEAが現地に来たらウクライナ軍の仕業だと確定してしまうので米ウクライナ側が妨害していると言っている。 (Nuclear Catastrophe Is Gaining Momentum in Ukraine)
原発を警備しているのはロシア軍だ。露軍が自分で守っている原発を自分で攻撃するはずがない。もし露軍が原発を攻撃したのなら、米国側は喜んでIAEAに調査団を作らせて現場に行かせ、ロシアが原発を攻撃して危険にさらしていると非難する。ウクライナ戦争はロシアの優勢、米国側の劣勢で展開しているので、米国側はロシアを非難したくて仕方がない。民生用原発の攻撃などというテロリスト的な戦法を使いたがるのは、負けている米ウクライナ側だ。 (Ukrainian nuclear site faces new threat)
IAEAの調査団結成を妨害しているのがロシアであるなら、それも米国側が証拠をつけて非難できる。しかし、米国側はそういうことを全くやってない。ロシアがIAEAに、原発が攻撃されている状況を急いで見に来てくれと頼んでいるのに、誰かが妨害している。国連上層部の妨害者はロシアでなく米英に違いない。米英はウクライナ軍の原発攻撃を黙認している。もしくは、米英がウクライナ軍をそそのかして原発を攻撃させている。いずれもロシアのせいにするためだろう。 (Zaporozhye official explains why inspectors can’t reach nuclear plant)
ザポロジエ原発への攻撃が止められないと、いずれ核の大惨事になる。EU諸国も被害を受けるが、EU上層部はプロパガンダを軽信してロシアを非難している。馬鹿だ。ロシアや中国は、非米諸国の政治力を結集し、国連での米英の妨害策をやめさせようとしている。核惨事と国連の非米化と、どっちが先かという感じだ。 (Russia and UN discuss crisis at nuclear plant)
人権擁護団体アムネスティは、ウクライナ軍がロシア軍からの攻撃を避けるため、市民が多く住む市街地の学校や病院などを接収して駐屯する「人間の盾」作戦をウクライナ各地で展開し、市民を危険にさらしていると批判する報告書を8月初めに発表した。本来ならウクライナ軍は、自国民の被害を少なくするため、市街地でなく住民が少ない森の中などに駐屯すべきだが、実際は逆に、軍の犠牲を減らすために市街地に駐屯して市民を犠牲にしている。人間の盾作戦は人道犯罪だ。ウクライナ軍(政府軍と極右民兵団)が人間の盾をやっていることは、3月の戦争初期から知られており、私も何度か記事にした。だがマスコミや権威筋はウクライナ軍の人道犯罪を全く無視するか、ロシア側が発しているウソだと決めつけた。 (Amnesty International Says Ukraine’s Fighting Tactics Endanger Civilians)
今回、権威ある英国のアムネスティが、ウクライナ軍の人道犯罪をようやく指摘した。ウクライナ政府は激怒し、米国側の権威筋の中からも「利敵行為だ」といって猛然と非難が出た。米国側の「専門家」たちは、ウクライナ政府の反論を鵜呑みにしてアムネスティ報告書の「間違い」を指摘した。 (Amnesty further backtracks on Ukraine human rights report)
アムネスティは、ウクライナ政府に謝罪したが、ウクライナ軍が人間の盾作戦をやっているという指摘自体は撤回しなかった。アムネスティは報告書で、ロシア軍も多くの市民を殺していると書いて、バランスをとろうとした。だが、2月末からの戦争で死んだウクライナ市民の総数は5か月間に5千人強だと国連が発表している。死者数がとても少ない(アフガンもイラクも、その10倍ぐらい死んでいる)。ウクライナ軍が人間の盾作戦をやったが、露軍はウクライナ軍が立てこもる市街地をできるだけ攻撃せず時間をかけてウクライナ軍を排除したので市民の死者が少ない。 (Amnesty International apologizes for report critical of Ukraine)
国連はウクライナ市民が5千人しか死んでいないと発表しているのに、米諜報界は「ロシア軍はウクライナで7万5千人の戦死者を出した」と米議会に報告している。市民の死者が5千人なら、露軍兵士の死者数は3千人ぐらいのはずだ。7万5千人も死んでいるはずがない。米諜報界は開戦直後からずっと「露軍が稚拙な作戦で失敗を重ねている」という、間違った情報を流し続け、米国側のマスコミ権威筋のほとんどがこの情報を軽信し続けている。実際の露軍は、ゆっくり作戦を進めて成功し、ロシア系住民が住むウクライナ東部からウクライナ軍・政府を追い出し、その周辺の南部や北東部のロシア系の地域へと占領を広げ始めてている。露軍が成功していので、ウクライナ軍が追い込まれ、テロリストみたいに原発を攻撃したりしている。 (US Intelligence Tells Lawmakers Russian Casualties Surpass 75,000 In Ukraine)
8月初めには米国のCBSテレビが、米欧がウクライナに送った兵器のうち3割しか戦闘の現場に届いておらず、残りは行方不明になっていると報道した(その後、その報道はネット上から削除された)。EUの警察は、米欧がウクライナに送った兵器が、ウクライナ政府の上層部によってブラックマーケットに横流しされていると指摘している。これも、ウクライナ政府のひどい腐敗を表している。米欧の政府上層部は、ウクライナ政府が兵器を横流ししていることを知りながら、兵器を送り続けている。 (Officials Reveal Haphazard, Chaotic Way Western Arms Are Being Distributed In Ukraine) (Around 30% of Western weapons make it to Ukrainian troops)
米国からウクライナに送られたされる兵器の何割かは、もともと米国がウクライナに兵器を送っておらず、米国の軍産複合体・諜報界(両者は同じもの)の裏金として使われている可能性も高い。この手の裏金づくりの起源はベトナム戦争(や朝鮮戦争?)にさかのぼる。実のところ、ウクライナ政府より米国政府の方が大きく腐敗している。 (米政治家らに横領されるウクライナ支援金)
今回の戦争で、米国もウクライナも上層部がとても腐敗している。米ウクライナの上層部が流す情報の多くも、善悪が歪曲されたウソである。今回の戦争は、米英がウクライナ政府を傀儡化してロシア(国内露系住民)に戦争を仕掛けたものであり、もともと米英が悪く、ロシアは悪くない。ドイツなど米同盟諸国の政府上層部は、これらの腐敗とウソの構図を察知しているはずなのに、見てみぬふりをし、ウソを軽信して「極悪なロシアを勝たせるわけにいかないので、市民は石油ガスの値段が上がっても不平を言わず、生活が貧しくなっても我慢せよ」と言い続けている。今年の冬にかけて、ロシアから欧州に送られる石油ガスが減り続け、エネルギーや食糧の価格が高騰し、欧米や途上諸国などの人々の暮らしが悪化していく。 (Europeans must be willing to ‘pay’ to support Ukraine)
このテーマではまだ書きたいことがあるが、書き始めてから数日たってしまったので、大した結論や分析もつけず、とりあえずここで配信する。