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折々の記 2011 @

【心に浮かぶよしなしごと】

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【 02 】01/24

  01 24 ▼イヴの七人の娘たち ▼一万年の旅路
      ▼「伝達様式」と「ミトコンドリアDNA利用研究」
      ▼DNAルーツ ▼「陸山会事件は冤罪」


 01 24 (月) イヴの七人の娘たち 一万年の旅路 「伝達様式」と「ミトコンドリアDNAを利用した研究など」 DNAルーツ

  前のセクション【 01】01 22 ミトコンドリア続編です。
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004279.html
イヴの七人の娘たち
・イヴの七人の娘たち

今日の60億人の全人類には、たった一人の”母”がいるという。

母系でのみ受け継がれるミトコンドリアDNAを解読すると、15万年前にアフリカの地で生まれたたった一人の女性「ミトコンドリア・イヴ」が人類共通の祖先であるという有名な学説である。生殖のたびにDNAは複製される。ミトコンドリアDNAの突然変異の確率は安定しているので、現在の子孫のDNAと比較すれば、おおよその生存年代を測定できる。世界中の現代の人類のDNAを集めて分布を調べることで、その骨を残した人間がどこに住んでいた人間なのかも判明する。

現代ヨーロッパの6億5千万人のDNAを解析すると、4万5千年前から1万年前の異なる時代、異なる地域に生まれた7人の女性の誰かにつながることが分かっている。この本は、その7人のミトコンドリア・イヴの娘たちの世代の物語である。

最初のイヴの娘はギリシアで生まれたアースラ。アースラの一族は全ヨーロッパへ広がり、ネアンデルタール人を絶滅に追い込んだ。第2の娘アースラは2万5千年前にマンモスと生きた。第3の娘のヘレナは2万年前の最終氷河期に地中海沿岸で暮らした。科学的データに基づいて、7人の娘たちの人生がフィクションとして語られる。

イヴの娘たちはおそらくそれぞれの社会で特別な存在ではなかった。ふつうの女性としてふつうに生きた可能性が高いらしい。もちろん自分から始まる家系が、後世の人類の大部分を生み出す重要な位置にいることなど知る由もなかった。

イヴの娘たちは遺伝学上、何が特別なのか。それは彼女らのミトコンドリアDNAが広く現代の人類に共有されていることである。イヴの娘たちの世代には他にも女性はいっぱいいた。その人たちも子供を産んでいただろう。しかし、何万年もの間に人類が複雑に交雑する中で、少数のイヴの娘たちのDNAが勢力を広げていった結果、今の人類のDNAから辿れる家系は彼女らだけのものになってしまったということだ。

日本人、アメリカ人、フランス人などというが、DNAの観点では分類の意味がない。純粋な民族という概念はナンセンスだ。全員が完璧な混血である。それにも関わらず世界で33、ヨーロッパで7の少数の母系のDNAが、いまの私たちの中にも生き残っているのだ。それは、母系の文字通り、へその緒でつながり、抱きしめ、乳を与えた女性たちの愛で結ばれた大きな家系である。もっともっとたどれば一人のグレートマザー「ミトコンドリア・イヴ」がいる。

イブの娘らに共通する点が2つ。1つめは娘を産んだこと。ミトコンドリアDNAは女系にのみ引き継がれるからだ。そして、2つめは、二人の娘を産んでいること。これは少しわかりにくいのだが、母系のみのDNA系図を描いてみれば分かる。今生きる女性は無数にいる。だが母親、祖母、曾祖母と系を上へたどればたどるほど、枝の数は少なくなり、やがて、たった二つの枝が一つになる世代があるはずだ。そこにイヴたちはいる。

この本は研究が成功するまでの経緯と、時代考証、科学考証のもと想像力を発揮して書かれたイヴの娘たちの7編の物語からなる。私たちは何者か?という普遍的な疑問に、ひとつの答えを提供してくれる興味深い研究である。

オックスフォード大学の人類遺伝学教授の著者ブライアン・サイクスは、化石化した古い人骨からDNAを抽出することに成功した同分野の第一人者。同教授は自分の祖先がどのイヴなのかを調べる研究ビジネスを運営している。

・OXFORD ANCESTORS : http://www.oxfordancestors.com/

日本人向け解説もある。95%の日本人には9人の”母”がいるそうだ。

・Sony Magazines : http://www.sonymagazines.jp/mmt/200111080700.html

「あなたのDNAも調査してもらえます!

日本人の95%は、9人のDNAの母から生まれています。 あなたは誰の子どもなのか?

→【DNA母系図】
http://www.minc.ne.jp/~yoshir/yoshir/novel/ivuno7nin.html
イヴの七人の娘たち

ブライアン・サイクス『イヴの七人の娘たち』ソニーマガジンズ 2001年

 「この世でいちばんの強者も弱者も,大金持ちも貧乏人も,われわれ人間の細胞はすべて,そうした驚異的な旅を乗り越えてきたもの−つまり遺伝子を運んでいるのである。これは,大いに誇りに思うべきことだ」(本書より)

 母から娘へ…母系で継承される“ミトコンドリアDNA”。そのわずかな突然変異を調べることで,目には見えない人々の繋がりが見えてくる…ロシアで発見された遺体は,ロマノフ王朝最後の皇帝一家なのか? 南太平洋に住む人々の故郷はアジアなのか,それとも南アメリカなのか? ネアンデルタール人と現代人との関係は? そして7つのグループに分けられたヨーロッパ人は,それぞれに“一族の母”がいた…

 小説ではなく科学ノンフィクションです。ですが,小さな手がかりを追いかけながら,壮大な人類の歴史と“旅”を描き出していくその展開は,下手なエンタテインメント小説よりはるかにおもしろい。
 その“手がかり”となるのが,“ミトコンドリアDNA”。母系のみで受け継がれるDNAです。同じミトコンドリアDNAを持つもの同士は,どこかで必ず共通の母親を持つこと,さらに約1万年で1回のペースで突然変異を起こすため,似ていながらも少しだけ違うDNAを比べることで,両者が今からどれくらい前に分かれたかがわかります。

 「物語」は,アルプス山中の氷河で発見された5000年前の遺体“アイスマン”からはじまります。アイスマンから抽出されたミトコンドリアDNAを手がかりに,彼の“子孫”を見つけ出そうとする作業が描かれます。その結果,著者の友人である女性が“親戚”であることが明らかになります。著者は,それを知ったときの彼女の気持ち−好奇の対象としてではなく“つながった者”としてアイスマンを見る気持ちに触れることで,この作品の主調低音ともなる「人々の繋がり」を描き出しています。
 この効果的な「つかみ」に続いて,DNAや遺伝学といった学問のアウトライン,歴史を述べていきます。さらにミトコンドリアDNAの特異な性質へと繋がっていきます。ここらへん,関心の温度差によって,やや退屈に感じられる方もおられると思いますが(「棒の皿」の比喩がよくわからなかったです^^;;),なるべき平易な言葉で学問を解説しようとする著者の姿勢が感じられますね。
 その上で著者は,ふたつのエピソードを紹介します。メイン・ディッシュ前の「前菜」といった雰囲気ですが,このセレクトがじつに巧いですね。ひとつは「ロシア帝国最後の皇帝一家の処刑をめぐる謎」です。アナスタシア皇女が生き残ったのではないか,というのは,歴史ミステリでは,しばしば取り上げられるモチーフですが,ミトコンドリアDNA分析の原理の説明を兼ねつつ,その真相へと迫っています。ここで印象に残ったのはつぎのような文言です。
「DNAは,神話を消滅させるほどの力がある−たとえそれがわれわれにとって,ぜひとも信じたい神話だったとしても」  もうひとつは「南太平洋の島々にすむ人々の故郷はどこか?」というテーマです。ヘイエルダールのコン・ティキ号による太平洋横断の冒険談は,子どもの頃にわくわくしながら読んだ記憶がありますが,そこで示された仮説=南アメリカ→南太平洋への移住が,やはり分析により否定されます。これを「科学によるロマンの否定」などと呼ぶべきではないでしょう。なぜなら,アジア地域からの「大航海」にしても,十二分にロマンをかきたてるものでしょうから。
 このふたつの比較的メジャーなネタを取り上げることで,ミトコンドリアDNA分析という,少々“浮世離れ”した科学技術に対する親近感を産み出すことに成功していると言えましょう。

 そして,いよいよ核心のテーマ「ヨーロッパ人の祖先は何者か?」へと移っていきます。このテーマはふたつに分かれていて,ひとつは「ネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの関係」,もうひとつは「旧石器時代人と新石器時代人との関係」です。
 前者については,わたしも前から関心があったので,非常に興味深かったです。ネアンデルタール人というのは,ときには「野蛮で原始的な人類の祖先」というイメージが与えられたり,ときには「現代社会に紛れ込んでも,ぜんぜん遜色のない現代人類の一種族」という考えもあったりと,議論が分かれているところです。で,結論はというと,現代人類はネアンデルタール人の遺伝子を受け継いでいない,とのこと。両者は交雑不可能であった可能性が匂わされています(交配して子どもができても,ラバやレオポンみたいに,次世代を作る生殖能力がない)。つまりこの地球上には,一時期,ふたつの異なる「種」の「人類(ホモ属)」が共存していたことになります。これって,SFなどではよく見られる,一惑星上での「異種族共存」が実際にあったわけで,想像力を刺激されますよね。
 後者は,ヨーロッパにおける農耕牧畜のはじまり=新石器時代のはじまりが,「情報の伝播」か「人間の置換」か,という議論。結論としては「情報の伝播」説,ヨーロッパ人の多くは旧石器時代人の遺伝子を受け継いでいるとしています。しばしば文化の違いは,その担い手自身(「人種」とか「民族」とか)の違いに置き換えられて説明されちゃいますが,それほど一筋縄ではいかない,というお話ですね。

 その上で著者は,ヨーロッパ人の「母」となった「7人のイブ」たちの生活を描いています。これはかなり想像力を交えた「物語」的なものではありますが,そこには著者の主張が出ているように思えます。つまり,彼女たち7人の「イヴ」の姿を,生き生きと描き出すことによって,「人種」という枠組みがきわめて危ういものであり,むしろミトコンドリアDNAの分析によって明らかにされた「個人と個人との繋がり」を重視すべきだという主張を,より鮮明に表わしているように思います。
 また彼女たちひとりひとりを個性豊かに設定していることは,家父長制の下,もっぱら父系のみを記録した「系図」では現れてこない女性たち,母系の確実な存在と重要性を示す意図があったのではないかと思います。

 いずれにしろ,科学素人にも楽しめる,出色の科学ノンフィクションではないでしょうか(付け加えれば,著者が発表したヨーロッパ人の祖先に関する仮説をめぐる反論についての記述もおもしろかったです。学理上の議論とともに,そこに「人間」の弱点や欠点などが紛れ込んでいるところなど,やっぱり「学者も人間なのだよ」といった感じです)。

02/08/16読了



ミトコンドリアによる人類の祖先に係わって 2009.2.28 に配本購入した
ネイティヴ・アメリカンの口承史
一万年の旅路
THE WALKING PEOPLE
by
Paula Underwood

一万年間語り継がれたモンゴロイドの大いなる旅路

(以下の三節は、本のカバーの表紙裏に印刷してある文章です)
アメリカ大陸に住む、インディアンとも呼ばれるネイティヴ・アメリカンの人々は、その昔ベーリング海峡が陸つづきだったころ、すなわちベーリング陸橋を渡り、アジア大陸からアメリカ大陸へやってきたモンゴロイドの子孫だという説が定着しつつある。

「一万年の旅路」は、ネイティヴ・アメリカンのイロコイ族に伝わる口承史であり、物語ははるか一万年以上も前、一族が長らく定住していたアジアの地を旅立つところからはじまる。 彼らがベーリング陸橋を越え北米大陸に渡り、五大湖のほとりに永住の地を見つけるまでのできごとが緻密に描写されており、定説を裏づける証言となっている。

イロコイの系譜をひく著者ポーラー・アンダーウッドは、この遺産を継承し、それを次代に引き継ぐ責任を自ら負い、ネイティヴ・アメリカンの智恵を人類共有の財産とするべく英訳出版に踏み切った。

      「一万年の旅路」の‘はじめに’は次の内容になっています。


は じ め に

これは古来の方法で伝えられた口承史です。

口承で受け継がれるほかの多くの伝承や歴史と同様、いつか自分がその責任を負うかもしれない話を聞かせてもらえるようになるだけでも、たくさんの試験と訓練が必要です。

物心つくかつかないかのころから、父は私の記憶力を試し、鍛えました。 一番単純な例をあげると、私が見ていたものから別な方向へ体を向けられ、それまで何が見えていたかを言わされるというようなことをやりました。  (好上 : 注記 … 赤文字部分は「0歳教育」で取り上げている大脳開発法そのものです)  これをなんの前ぶれもなく何度も何度もやらされるうちに、人によっては、そのとき見ているすべてを頭に焼きつけると、その脳内写真のようなイメージを、たったいま見ているように再現するコツが身についてきます。

ただし、これはけっして合格・不合格を決めるテストではなかったし、うまくやらなくてはいけないというプレッシャーをかけられたこともありませんでした。 もし私がこの務めにふさわしい器でないとしたら、父があえてそれを私の肩に預ける必要はなかったのです。 けれど、それはたたの遊びでもありませんでした。 それは学びであり、生きるということをよりよく理解するための機会だったのです。

この歴史のかなりの部分を学ぶ能力が私にあるというおよその脈がつかめたとき、父はほんの断片を語り聞かせはじめました。 映画館でやる「次週の予告」のように、食欲をそそるに足る程度のものです。 物語り全体を学ぶには、まずほかにいくつか必要なことがありました。 たとえば、完璧な注意力をもって耳を傾けること、一つのことに一昼夜意識を集中して目をさましていること、歌や詩などほかのものごとを暗記すること、理解力などがあります。

右のような領域のそれぞれに私が多少の能力を持ち合わせていると納得できたとき、父は歴史の全体を聞かせはじめました。 一時に少しずつ、なおも理解を試しながらです。 私がどこかの一節を憶えたと思うと、聞かせてもらったのとは別の形でそれを“語り返す”ように促されました。 そこから二つのことを教えられました。 一つは、自分が何かを憶えたなどと性急に思い込んではいけないこと。 もう一つは、何かを聞くのと、それを理解するのとは二つの別なステップだということです。

最後にようやく、一つの部分を丸ごと父に向かって語り返す勇気ができたとき、また新しいことを学ばされました。 三つのちがった形で三回、どれも父が語ってくれたのとは別な形で語り返すように求められたのです。

つまり、私はどんな現代語でもそれを語り直せるくらい完璧な理解を示さなければならなかったわけですが、たんにおもしろがられるのではなく本当に理解してもらうためには、語り手にそれぐらいの理解が必要なのです。 父が指摘したように、言葉というのは変化していきます。 父の母親が好んで音読したシェークスピアの言葉を解する人は、あまり多くありませんでした。 歴史がそれほど眠ってしまったのでは価値がなくなります。

この学びにどれほど長い年月と忍耐力が注ぎ込まれているかを知ればこそ、私は父から学んだすべての正確さに対して深い敬意を抱くものです。 「はしがき」でほのめかしたとおり、ここで語られている内容に当てはまるかもしれない数多くのものごとを、私自身じっさいに目や耳で確かめてきました。 私の聞いた内容には、子どものときは不可能だったり存在しなかったりしたものがたくさん含まれていて、なかにはつい五年前までそうだったことさえありますが、その多くがいまでは実現していたり、最近の研究でわかったりしています。 私は父から学んだすべての正確さにたてして深い敬意を抱くものです。

けれども、父はそういうことをどこで学んだのでしょうか?

いまから五世代前、智恵の道を歩みつつあった一人の若い女性が、この古代の学びの一切に関する責任を引き受けてくれました。 彼女はイロコイ連邦結成当時の五つの“国”の一つであるオナイダ族の出身でした。 氏族は亀。 それが私の祖父の祖母です。 彼女はこの<古(イニシエ)の智恵>が身のまわりから一掃されていくのをまのあたりにして、それを途絶えさせず、一つの新しい世代が耳を傾けることを学ぶときまで、のちの世に伝えていこうと決意しました。 そのときが来たらこれを、聞く耳をもったあらゆる地球の子どもたちへの贈り物とすべし――彼女はそういい残したそうです。

彼女はその学びをたずさえて西のイリノイ州へ移り、そこで私の祖父に伝えました。 祖父はそれをネブラスカ州の農場で私の父に教えました。 そして私が意欲満々でこの責任を引き受けたのは、父がロサンジェルスに手づくりした家でてした。 それにともなって、これら<古(イニシエ)の学び>から献身のなんたるかを学び、アメリカ合衆国というもっと大きな“国”の言葉である英語に書き下ろす新しい責任も受けいれたのです。

書き言葉というリニアル(直線的)な形に変換することは、いまから200年近く前、私の祖父の祖母と、彼女に学びを授けた<古きものごとの守り手>とのあいだで取り決められたものです。その<古の守り手>が七世代後に向けて語れるよう図るという特別な責任は、そこで託されて以来、私まで代々引き継がれてきました。

そのとき取り決めたことが、こうして実行されたわけです。

これがイロコイの歴史なのか、そこへ加わった一支族の歴史なのか、私にはわかりません。 けれどもこれが、数えきれぬ世代を通じて、心にとどめるということを決して忘れなかった私の祖先の歴史であることは確かです。

彼らを代表し、またもっとも最近の五世代を代表して、いま私はこれを当初の目的どおり、聞く用意のある耳への贈り物として差し出します。
                                                 やさしい想いが訪れますよう ……

    


■次のサイトを見ると、ミトコンドリアDNAの「伝達様式」と「ミトコンドリアDNAを利用した研究など」が出ています。

    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2DNA
    ミトコンドリアDNA - Wikipedia

伝達様式

ミトコンドリアは卵子の細胞質に約25万存在する。精子鞭毛基部にもわずかに存在するが、一般的に精子由来の物は受精前後に何らかの形で排除される。そのためもともとの卵子の中にあったミトコンドリアのみが細胞分裂後も引き継がれることになり、ミトコンドリアDNAは常に母性遺伝すると考えられる。父親から受け継いだという例も1例報告されている(Schwartz and Vissing, 2002)が、その患者はミトコンドリア酵素複合体の不足と重い運動機能障害を抱えている。

哺乳類の精子に含まれるミトコンドリアは、一般に受精後卵細胞の中で死滅してしまうとされる。精子由来のミトコンドリア(ミトコンドリアDNAを含む)は、後で胚の中で破壊されるようにユビキチンによる印が付けられることが1999年に報告されている(Sutovsky et. al. 1999)。時に、例えばハイブリッド種において、このプロセスは失敗に終わる。

ミトコンドリアDNAを利用した研究など

ミトコンドリアDNAは、母親から子に受け継がれる特性を生かして、家系を追跡するための研究に利用される。

有名なものには「イヴの七人の娘たち」ブライアン・サイクス(「THE SEVEN DAUGHTERS OF EVE」BRYAN SYKES)がある。現代のヨーロッパ人はほぼ7つのクラスター(群)に分けることができ、理論的にそのクラスターの元となる配列をもたらしたのは、旧石器時代の7人の女性だと考えられる。 更にアジアやアフリカ人の遺伝子も検証したところ、現代に生きる世界中の人々の母系先祖はアフリカの1人の女性であると推定することができるという、いわゆるミトコンドリア・イブの理論も同様の分析に基づくものである。

また、Svante Paaboは、イヌの先祖を追いかけて4匹の個体にさかのぼる研究を発表している。

但し、ミトコンドリアDNAは母系をたどることしかできないため、人類の系統や移住の足跡をたどるためには、学問的には不十分である。そのため人類の足跡をたどるためには、父系の系統のみをたどることができるY染色体の分析と併せ検証するか、或いは人類の核DNAそのものを分析する必要がある。

※例 南アメリカのコロンビア人を調査したところ、ミトコンドリアDNAは、ほぼ全ての人がモンゴロイド系の特徴を持っていたが、Y染色体はほぼ全てがヨーロッパ系コーカソイド(特にスペイン人)に特徴的なタイプのみであった。逆に東ヨーロッパの諸民族のミトコンドリアDNAはほぼ全てコーカソイド系であったが、Y染色体及び核DNAにはモンゴロイド系の特徴を持っている人々が少なからず発見された。

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また、犯罪の現場で毛髪が見つかったがDNA鑑定が行なえないような場合に(自然に落ちた毛髪などは、毛根部分にDNA鑑定の対象にする組織が残っていない事がある)、ある人物を容疑者として捜査の対象に含めておくべきか、外してもよいかを決定する判断材料として、毛髪内のミトコンドリアDNA(毛髪内でもミトコンドリアDNAは残存している)が利用される。

*ミトコンドリアによる系譜の研究がすすめられた時期は「遺伝的刷り込み」と呼ばれる現象が遺伝学的にまだ考慮されていなかったため、ミトコンドリア遺伝子が「母親由来のゲノムからのみ発現する遺伝子群(Maternally expressed genes、MEG)」であるとすれば、男性の身体では単に非発現状態で休眠しているだけであり、この論は齟齬を含んでいるのではないかという人があるが、父親と母親から一つずつ一対の遺伝子を受け継ぐことになっている核DNAで、一方の遺伝情報を発現させるために起こる遺伝的刷り込みが、環状のミトコンドリアDNAに対してどう関係するのかという疑問がある。



DNAルーツ(祖先調査)についての情報は次のサイトです。 興味深いものです。

    http://www.rocus.co.jp/roots/dnaroots.htm
    DNAルーツ

DNAルーツ(祖先調査)
※この検査は、検査キットを使用して郵送のみで検査可能です。

DNAを分析して行う研究では、世界中から集められた原住民の遺伝子情報を基に人口集団、民族性、祖先の移動パターンに特有の遺伝子マーカーがあることがわかりました。この研究成果から非常に特徴的な遺伝様式で人口集団において比較的特有性のある遺伝子マーカーが祖先の関連性の確率を計算するのに使用されるようになりました。

遺伝パターンの分類では2つの型があります。

   1 父性DNA系統(Y染色体)
   2 母性DNA系統(ミトコンドリア)

Y染色体マーカーは父方のつながりで父親から男性の子孫へと受け継がれます。ミトコンドリアDNAマーカーは母方のつながりで母親から男女問わず子どもへと受け継がれますが、女性の子どもだけが更にその子孫へ引き継ぎます。男性に受け継がれた場合は、その人物一世代でそのミトコンドリア系統は終了します。

DNAルーツは、以下の目的に適しています:

  *価格には、採取キット、鑑定書、発送費用を含みます。
  この検査にはインフォームドコンセントは必要ありません。

           サービス名                             価格

   母系(ミトコンドリア )DNAルーツ:関係者は、
   男性または女性。この検査は母性系統を調                 63,000円
   べます(ミトコンドリアは関係者の母方から遺
   伝します)。

   父系(Y-STR/SNP)DNAルーツ:関係者は、
   男性に限られます。この検査は、父性系統                 63,000円
   を調べます(Y染色体は関係者の父方から
   遺伝します)。

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父系(Y-STR/SNP)DNAルーツ(Y染色体と父性遺伝のDNAルーツ調査解析)

Y染色体上のマーカーは父親から息子へと引き継がれます。
ミトコンドリアDNAマーカーと同様に数個のY染色体マーカーが特定の集団(ハプログループ)において特有性があります。約18の主要なヒトの父方の家系が存在し、そして、大陸特有のものが多くあります。ローカスではY染色体上に位置する一塩基変異多型(SNPs)の分析でこれらの家系を特定します。ローカスは、父方の家系に関して可能なだけ多くの情報を提供するためにY染色体の複数の領域を調べます。

Y染色体の父方の祖先検査のために明らかにすることができる祖先の情報量はDNAを検査して確立される結果に依存します。通常、非常に古いDNA家系を持っている個人は西 ヨーロッパなどの大陸地域に特定できます。北アメリカの南西部などの、より特定された地域では新しい家系を特定できます。最も新しいY染色体家系はさらに詳細な人口集団の特定情報を提供します。

Y染色体ハプログループ:

   * B, E: サハラ砂漠以南にアフリカの家系に見られ ます。
   * E, G, H, I, J, R : ヨーロッパ、中東、西アジアの家系から見られます。
   * C, D, N, O, Q, R: アジアの集団で見られます。
   * P, Q, F: インディアンの家系に見られ ます。

注意: いくつかのハプログループがヨーロッパとアジアの両方に存在しています。しかしヨーロッパ系、またはアジア系の特定の家系に細分できることがあります。

  *価格には、採取キット、鑑定書、発送費用を含みます。
  この検査にはインフォームドコンセントは必要ありません。

           サービス名                             価格

   父系(Y-STR/SNP)DNAルーツ:関係者は、
   男性に限られます。この検査は、父性系統                 63,000円
   を調べます(Y染色体は関係者の父方から
   遺伝します)。

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母系DNAルーツ

このマーカー上の存在、欠損が、特定の人物の母系DNAに割り当てるのに使用されます。約30の主要なヒトの母系(図1)があり、その多くが大陸特有のものです。これらの主要なヒトの家系(ハプログループ)は、更に亜流として地域的や集団特有のものとして細分されている場合があります。ローカスでは、母系に関して可能な限り多くの情報を提供するため ミトコンドリアの複数の領域を調べます。

ミトコンドリアのDNAルーツ検査のために明らかにすることができる祖先の情報量はDNAを検査して確立される結果に依存します。通常、非常に古いDNA家系を持っている個人は西 ヨーロッパなどの大陸地域に特定できます。北アメリカの南西部などの、より特定された地域では新しい家系を特定できます。最も新しいmtDNA家系はさらに詳細な人口集団の特定情報を提供します。

ローカスでは、あなたの母系に関して可能な限り多くの情報を提供するためにあなたのミトコンドリアDNAの複数の領域を調べます。これには三段階のプロセスがあります:

  1 研究所では、DNA家系の地理的起源を決定するの補助する際にロードマップとして機能するように
    ミトコンドリアゲノムの最も参考になる領域の配列を決定します。
  2 このミトコンドリア配列に基づいて、研究所ではハプログループの帰属を確認し、ハプログループの
    中で特定の地域、人口集団で特異的マーカを特定するために追加のSNP DNA鑑定を実行します。

  3 ハプログループの帰属を確かめて、特定のハプロタイプ(家系)を特徴付けると、研究所は、最も近い
    バイオ地理的な一致を特定するためにDNAデータベースに対して系列を分析します。


mtDNAハプログループ:

   * L1, L2, L3--サハラ砂漠以南のアフリカの家系
   * H, I, J, K, T, U, V, W, X--ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアの白人グループ。
   * A, B, C, D, E, F, G, M--アジア人、オセアニア、およびインディアン

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ヒトDNAルーツ DNA移動パターンマップ(mtDNAハプログループ)


                     図1: 世界中のDNAに関する研究から編纂されたこのDNA移動パターンマップは、
                         最初の人類がおよそ13-18万年前にアフリカで生まれたことを示しています。
                     注意:
                        a)アフリカではmtDNAマクロ家系L
                        b)ユーラシアとオーストラリアではmtDNAマクロ家系MN
                        c)西ユーラシアではmtDNA家系H, I, J, K, T, N, U, V, W, X
                        d)アジアとオセアニアではmtDNA家系A, B, C, D, E, F, G, M, P, Q, Z
                        e)アメリカ大陸ではmtDNA家系A, B, C, D, X

  *価格には、採取キット、鑑定書、発送費用を含みます。
  この検査にはインフォームドコンセントは必要ありません。

           サービス名                             価格

    ミトコンドリアDNAルーツ:関係者は、男性
    または女性。この検査は母性系統を調べま                63,000円
    す(ミトコンドリアDNAは関係者の母方から遺
    伝します)。



阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK105 > 294.html  2011年01月22日

森ゆうこ議員「陸山会事件は冤罪」とマスコミ叱る

 検察審査会の闇を追及し続ける森ゆうこ議員が、意図的な「反小沢」報道を繰り返す記者クラブメディアを一喝した。21日、国会内で行われた党運営に関する記者会見での一幕だ。

 東京地検特捜部は、陸山会の土地購入をめぐって政治資金規正法違反で大久保隆規元秘書を起訴したものの供述調書を取り下げた。石川知裕議員が検察による自白強要を録音したICレコーダーの記録は証拠採用されることが決まった。検察側の公判維持は困難を極めるだろう。

 西松事件は検察が訴因を変更し裁判そのものが消滅している。小沢一郎元代表をめぐる疑惑は冤罪の色が極めて濃いのである。

 にもかかわらず新聞・テレビは事件発生当初から「小沢真っ黒」とばかりに囃し立てた。検察リークによる虚報を垂れ流したのである。

 森議員は「西松事件の裁判はもうありません。陸山会事件は冤罪です」としたうえで「(社名を挙げながら)マスコミは虚報・誤報の経緯を明らかにし、謝罪して頂きたい」。
 森議員がよく通る声で話すと会場は水を打ったように静まりかえった。30人近くいた記者クラブメディアの記者たちは沈黙するしかなかった。「不都合な真実」を突きつけられたためダンマリを決め込んだと言った方が正確だろう。

 「小沢事件」とは既得権益を同じくする記者クラブメディアと検察が仕込んだデッチあげなのである。