T はじめに
1 当委員会の設置目的
2 当委員会の構成
3 当委員会の基本方針
4 当委員会の活動状況
5 当委員会の調査・検証の対象
6 中間報告の位置付け、当委員会の今後の活動予定
U 福島原子力発電所における事故の概要
1 福島第一原子力発電所の概要
2 東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波の発生
3 現在判明している福島第一原発における被害の概要
4 福島第一原子力発電所事故に伴う被災状況
V 災害発生後の組織的対応状況
1 原災法、防災基本計画等に定められた災害対応
2 事故発生後の国の対応
3 事故発生後の福島県の対応
4 事故発生後の東京電力の対応
5 事故発生後のオフサイトセンターの対応
W 東京電力福島第一原子力発電所における事故対処
1 地震発生後、津波到達までの状況及びこれに対する対処
(3月11日14時46分頃から同日15時35分頃までの間)
2 津波到達後、原子力災害対策特別措置法第15 条第1 項の規定に基づく特定事象発生報告までの状況
及びこれに対する対応(3月11日15時35分頃から同日17時12分頃までの間)
3 原災法第15 条第1 項の規定に基づく特定事象発生報告後、1 号機R/B 爆発までの状況及びこれに対する対応
(3月11日17時12分頃から同月12日15時36分頃までの間)
4 1号機R/B爆発後、3号機R/B爆発まで
(3月12日15時36分頃から同月14日11時1分頃までの間)
5 3号機R/B爆発後、2号機S/C圧力低下及び4号機R/B爆発まで
(3月14日11時1分頃から同月15日6時10分頃までの間)
6 2号機S/C圧力低下及び4号機R/B爆発後(3月15日6時10分頃以降)
7 R/B(原子炉格納容器外)における水素爆発
X 福島第一原子力発電所における事故に対し主として発電所外でなされた事故対処
1 環境放射線モニタリングに関する状況
2 SPEEDI情報の活用及び公表に関する状況
3 住民の避難
4 被ばくへの対応
5 農畜水産物等や空気・土壌・水への汚染
6 汚染水の発生・処理に関する状況
7 放射性物質の総放出量の推定及びINES
8 国民に対する情報提供に関して問題があり得るものの事実経緯
9 国外への情報提供に関して問題があり得るものの事実経緯
10諸外国及びIAEA等国際機関との連携
Y 事故の未然防止、被害の拡大防止に関連して検討する必要がある事項
1 我が国の原子力施設等に対する安全規制
2 地震対策
3 津波対策の在り方
4 シビアアクシデントに対する対策の在り方
5 津波対策・シビアアクシデント対策についての基本的な考え方
6 複合災害時の原子力災害対応
7 原子力安全・保安院の規制当局としての在り方
8 原子力安全委員会の在り方
Z これまでの調査・検証から判明した問題点の考察と提言
1 はじめに
2 今回の事故と調査・検証から判明した問題点の概観
3 事故発生後の政府諸機関の対応の問題点
4 福島第一原発における事故後の対応に関する問題点
5 被害拡大を防止する対策の問題点
6 不適切であった事前の津波・シビアアクシデント対策
7 なぜ津波・シビアアクシデント対策は十分なものではなかったのか
8 原子力安全規制機関の在り方
9 小括
10おわりに
報告書資料編
•表紙・目次
第U章資料
第W章資料
第X章資料
第Y章資料
参考資料
略語表・英略語表
※中間報告についての国民の皆様からの意見募集について
当委員会では、今回中間報告をとりまとめたところですが、平成24年夏頃を目途に最終報告をまとめる予定
としております。
国民の皆様から中間報告の調査内容、調査結果等について、ご意見・感想を頂き、今後の最終報告に向け
た検討、活動に活かしていきたいと考えております。
このため、平成24年1月末までを集中募集期間として、下記メールアドレスにてご意見を募集しております。
・ご意見の募集はメールのみに限らせて頂きます。
なお、添付ファイルによる意見送付は、システムセキュリティ―の都合からご遠慮をお願いします。
・いただいたご意見について、個別のご回答・返信は致しませんのでご了解願います。
・いただいたご意見については、内容を公表させて頂くことがあります。
メールアドレス iinkai.goiken(a)cas.go.jp
※ (下平注記) 殊に Z これまでの調査・検証から判明した問題点の考察と提言 を Dark Red にしてありますが、端的に分かりやすく問題点を解説してあります。
http://icanps.go.jp/2011/07/03/member.pdf
検証委員会名簿
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会名簿
委員長 : 畑村洋太郎 東京大学名誉教授、工学院大学教授
委員 : 尾池 和夫 (財)国際高等研究所所長、前京都大学総長
柿沼志津子 (独)放射線医学総合研究所放射線防護研究 センターチームリーダー
高須 幸雄 東京大学グローバル地域研究機構特任教授
前国際連合日本政府代表部特命全権大使
野 利雄 弁護士、元名古屋高等検察庁検事長
田中 康郎 明治大学法科大学院教授、元札幌高等裁判所 長官
林 陽子 弁護士
古川 道郎 福島県川俣町長
柳田 邦男 作家、評論家
吉岡 斉 九州大学副学長
(10名)
技術顧問 : 安部 誠治 関西大学教授
淵上 正朗 株式会社小松製作所顧問、工学博士
(2名)
(五十音順、敬称略)
以上で中間報告に関する事実を終わります。
12 31 (土) 朝日新聞発 ネットデータ入手方法 |
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広がる所得格差、どこへ行く資本主義
2011年12月24日
朝日新聞社(Astand)
広がる所得格差、どこへ行く資本主義● http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2011121900012.html
年末になると、3年前に起きた製造業の「派遣切り」を思い出す。
リーマンショックで打撃を受けた製造業の派遣社員が大量解雇され、寒空の公園に食物を求める行列ができた。それは「総中流」と言われてきた日本社会の裏側でいつの間にか格差が広がり、ついに隠し切れなくなって表に露出した姿だった。いま先進国を中心に非正規労働(契約社員・パート・派遣など)が増え、所得格差が拡がって貧困世代の再生産が起きている。
世界の飢餓人口も増えている。資本主義のグローバル化や金融化、IT化がもたらした現実だ。東西冷戦の終結以来、世界を豊かにすると思われた資本主義の行き先に誰もが不安を抱いている。人類社会はその方向を正すことはできるのだろうか。
労働者にとって非正規労働は働き方の選択肢を広げる意味で本来は有用な仕組みであったはずだ。日本では外国に比べて閉鎖的だった労働市場を活性化する役目を果たしてきた。たとえば世間に評判の悪い「日雇い派遣」。空き時間のある日を活用したい学生や副業を希望するサラリーマンに人気があり、企業側も毎日の仕事量の増減に応じて人を雇えるのでとても便利な制度である。
しかし、派遣をはじめ非正規労働は人件費削減の格好の手段として産業界が最大限活用したことで歪みを生じた。それは1995年に日本経営者団体連盟(日経連)が「新時代の日本的経営」と題する文書を発表したことが一つのきっかけになった。
この文書は、企業の従業員を「長期蓄積能力活用型」「高度専門能力活用型」「雇用柔軟型」の3グループに分類。「長期蓄積能力活用型」の正社員には人材教育や能力開発を施す一方、「雇用柔軟型」(派遣・契約・パート社員)は時間給で昇給しないグループとし、コスト削減のために大量活用する方針を打ち出した。
企業はこの路線に沿って社員の非正規化を進め、グローバルなコスト競争に臨んだ。非正規労働者が雇用の調節弁となったので、正社員は解雇されなくなり、組合運動は穏健になった。日経連は2002年、「その役目を終えた」として経団連に統合された。
この1990〜2000年代は、世界では東西冷戦が終わって中国やインドが改革開放経済に舵を切った時期で、インターネットが普及して高度成長路線への転換を遂げつつあった。
なかでも中国は2001年にWTO(世界貿易機関)に加盟し、外資導入政策によって「世界の製造基地」として大発展を遂げた。日本の製造業は安い中国製品に圧迫され、2004年には小泉内閣が「製造業派遣」の解禁に踏み切った。
こうして「雇用柔軟型」が浸透した結果、 ・・・・・続きを読む
小沢議員第9回公判 田代検事を尋問 取り調べにないやり取りを報告書に記載
2011年12月30日
朝日新聞社(Astand)
小沢議員第9回公判 田代検事を尋問 取り調べにないやり取りを報告書に記載● http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2011122300004.html
資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で起訴された民主党元代表・小沢一郎被告(69)の第9回公判が12月15日、東京地裁で開かれた。東京地検特捜部の捜査で元秘書・石川知裕衆院議員(38)を取り調べた田代政弘検事(44)の証人尋問があり、田代検事は「威迫はしていない。供述していないことを調書にしたことはない」と答えた。
▽注:法廷でのやりとりは記者のメモから起こしたもので、正確に聞き取れなかった部分があります。
聞き取れなかった部分は「〓」「…」「○○」などと表示してあります。
▽関連記事: 小沢一郎議員 記事一覧
田代検事は、「虚偽記載を小沢氏に報告し、了承を得た」という内容の石川議員の供述調書を作成した。検察官役の指定弁護士が小沢氏の共謀を支える最大の証拠とする一方、小沢氏側は「無理やり取られた」と主張しており、調書の信用性が争点となっている。
石川議員は保釈後の2010年5月17日、検察審査会が1回目の審査で「起訴相当」の議決をした後の再捜査として受けた田代検事の調べを、ICレコーダーで「隠し録音」していた。
この日、最初に質問した指定弁護士は、隠し録音の一部を改めて法廷で再生。石川議員が「逮捕前に『早く認めないと、ここは恐ろしい組織だから、何するか分かんないんだぞ』って諭してくれたことあったじゃないですか」と言い、田代検事は「うんうん」と応じる場面を流した。
このやり取りについて田代検事は、「この発言自体記憶がない。理解して承認して『うん』と言ったわけではなく、相づち」と証言。「やり取りを聞いてもらっても威迫がないことは明らかだ」と訴えた。
隠し録音には、陸山会の総収支を小沢氏に報告した時期の訂正を求められた田代検事が「なんで変わったのってなっちゃうからさ。めんどくせーからさ」と答える様子も含まれていた。この点について田代検事は「以前にはまったく出ていない話で、根拠のない話をし始めたと思って退けた」と説明した。
さらに隠し録音の中で田代検事は「無難なのは従前の供述を維持しちゃうこと。(供述を変えると)小沢先生が組織ぐるみで口裏合わせをしたかのような印象を検察審査会に与え、強制起訴の可能性が高くなるよね」と述べて石川議員を説得もしていた。田代検事はこの理由については「真実により近い供述を維持させるべきだと思った。小沢氏が起訴されないようにするためではない」と証言した。
田代検事は、09年12月に任意の聴取を開始し、10年1月に逮捕して翌2月まで勾留して取り調べた時の状況についても振り返った。
最初の取り調べでは「『私は検事の立場だが、とにかくフェアにやる』と宣言した」と証言。捜査当初から「主任検事に『小沢氏は与党幹事長で慎重を期さないといけない相手。録音される危険もある。足元をすくわれるな』と言われていた」といい、「弁護士もついており、不合理な脅迫などできる状況ではなかった」と強調した。
石川議員の性格については「八方美人で正論に弱く、自分は立派な政治家でありたいという思いが強い」と分析。「正論で攻めるのが一番よいと思って説得し、検事と被疑者という対立関係は途中からなくなった」と述べ、信頼関係の中で調書の訂正にも応じていたことを強調した。
田代検事は石川議員ら元秘書の公判でも同様の証言をしたが、裁判官は「威迫ともいうべき心理的圧迫と、小沢氏の不起訴見込みという利益誘導」を認定し、小沢氏の関与を認めた調書を証拠採用しなかった。
続いて質問した弁護側は、田代検事が小沢氏の関与について事実と異なる捜査報告書を作成したことが強制起訴につながったとみて追及した。
田代検事は10年5月17日の取り調べについて、特捜部長に充てた「捜査報告書」を作成していた。
報告書は問答形式で、田代検事が同年1月の逮捕中に小沢氏への虚偽記載の報告・了承を認めた経緯を尋ねると、石川議員が「検事に『11万人の選挙民の支持で議員になったのに、やくざの手下が親分を守るようにウソをついていたら選挙民を裏切ることになる』と言われたのが効いてこらえきれなくなった」と答えたと記載されていた。
だが、この言葉は隠し録音にも供述調書にもない。一方で、審査会の2回目の議決書は「石川氏は再捜査で、小沢氏に不利な報告を認めた理由を『自身が有権者から選ばれた議員である』などと合理的に説明し、供述も維持した」と記して調書を信用していた。
弁護側は虚偽の捜査報告書が審査会に出され、強制起訴の根拠の一つになったとみて追及。田代検事は「逮捕中に石川氏が話したことなどと若干記憶が混同して書いてしまったが、虚偽ではない」と弁明した。
報告書には、逮捕時の「報告・了承」調書について「『事実なら署名拒否する理由はない』と理詰めで来られ、私もその通りだと思い、『弁護士には内緒に』とお願いして署名した」という石川議員の言葉もあるが、これも録音にない。田代検事は「この通りのやり取りはなかった」と認めた。報告書が審査会に出されると予想していたかは「可能性はあると思っていた」と語った。
最後に質問した裁判官も報告書の作成過程に着目し、「供述調書のように詳しいが、メモも作らず、記憶喚起だけで作ったのか」と質問。田代検事は「そうです」と答えた。
この日は、石川議員の政策秘書の女性(37)の証人尋問もあり、石川議員の逮捕中に特捜部の聴取を受けた時の様子を「午後11時ごろまで調べを受け、保育園に子どもを迎えに行く連絡もさせてもらえなかった」と証言した。
◇
法廷でのやりとりは以下の通り。
■田代政弘検事が証人に
《10:00〜10:30》
■検察官役の村本道夫・指定弁護士が質問
村本指定弁護士:現在の所属は。
田代検事:新潟地検。
村本指定弁護士:陸山会事件の捜査に携わった期間は。
田代検事:平成21年7月下旬ごろから22年5月下旬ごろ。
村本指定弁護士:秘書公判に証人として呼ばれた際の調書は見た?
田代検事:はい。
村本指定弁護士:訂正するところはある?
田代検事:必ずしも説明が十分伝わらなかったところがあるかもしれないが、事実関係について訂正することはない。
村本指定弁護士:その調書が採用されているので、それを前提として聞いていく。
田代検事:はい。
村本指定弁護士:石川議員について、21年12月27日、1月13日、14日に任意の調べをし、1月15日を逮捕し、2月4日まで調べを。
田代検事:はい。
村本指定弁護士:任意段階で、連絡窓口は誰?
田代検事:主任検事が。石川議員の方は南弁護士だと聞いていた。
村本指定弁護士:逮捕後の弁護士は誰だと?
田代検事:安田弁護士グループと木下弁護士グループ。
村本指定弁護士:どうして二つあると知った?
田代検事:石川議員から聞いたから。逮捕当日は安田弁護士ともう1人が接見に来たのだが、その後の取り調べの中で石川議員が「弁護団が安田弁護士グループと木下弁護士グループの二つあり、アドバイスが違うので非常に困惑している」と言っていた。木下弁護士グループには札幌の弁護士が1人いたので、「この人も木下弁護士グループなのか」と聞いたら「この人は自分の知り合いで、自分がお願いしてつけた」と話していたので、厳密に言えば3グループかもしれない。逮捕当日は安田弁護士ともう1人が、それ以降は毎日、各弁護士グループが1回ずつ接見していた。
村本指定弁護士:弁護士の接見を意識して調べていた?
田代検事:もちろん。調べの内容はすぐに弁護士に伝わるし、録取した聴取もすぐに伝わる。アドバイスを受けることも予測された。
村本指定弁護士:石川議員は被疑者ノートをつけていた?
田代検事:つけていたと思う。
村本指定弁護士:取り調べる内容はどうやって決める?
田代検事:被疑事実、主任検事から渡された証拠や主任検事の指示に基づき、基本的には私の判断で。
村本指定弁護士:特捜部では、証拠を分析する人と取り調べにあたる人は分離されていた?
田代検事:はい。
村本指定弁護士:池田氏、大久保氏の調書を渡されることは。
田代検事:ありません。
村本指定弁護士:口頭では。
田代検事:主任検事からピンポイントで「このような供述が出ているので確認を」と言われることはあるが、それ以上のことはない。
村本指定弁護士:取り調べにあたる検事同士で話をすることは。
田代検事:一切ありません。
村本指定弁護士:1月23日の小沢氏の取り調べについては事前に知っていた?
田代検事:知らなかった。これは当然極秘情報で、取調官である私たちが知らされることはない。報道レベルで知っていた。
村本指定弁護士:一般的に、被疑者が事実と違う供述をした時はどう対処する?
田代検事:事実と違うことを話すには理由がある。それを取り除くようにするのだが、客観的事実に反するものからどちらか分からないことまであるので、ケースバイケース。
村本指定弁護士:調書の作成方法は。
田代検事:口頭で口授、事務官がパソコンで入力、プリントアウトして調書を渡す、私がパソコンの・・・・・続きを読む
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小沢議員第10回公判 服役中の前田元検事が特捜部捜査の舞台裏を証言
2011年12月31日
朝日新聞社(Astand)
小沢議員第10回公判 服役中の前田元検事が特捜部捜査の舞台裏を証言● http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2011122900003.html
資金管理団体「陸山会」をめぐる土地取引事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された民主党元代表・小沢一郎被告(69)の第10回公判が12月16日、東京地裁で開かれた。陸山会の元会計責任者・大久保隆規元秘書(50)を検事として取り調べた前田恒彦受刑者(44)=証拠改ざん事件で実刑が確定=が証人として出廷。「自分の調べに問題はないが、特捜部のゼネコン捜査は見立て違いの妄想だった。小沢氏は無罪だと思う」と述べた。
▽注:法廷でのやりとりは記者のメモから起こしたもので、正確に聞き取れなかった部分があります。
聞き取れなかった部分は「〓」「…」「○○」などと表示してあります。
▽関連記事: 小沢一郎議員 記事一覧
前田元検事は昨年1〜2月、大阪地検特捜部から東京地検特捜部に応援で入り、大久保元秘書の調べを担当した。大久保元秘書は、政治資金収支報告書の虚偽記載への自らの関与を認める内容の供述調書に署名したが、小沢氏の公判では「威迫や誘導があった」と主張した。検察官役の指定弁護士が「前田元検事の取り調べは適切だった」と立証するため証人として呼んだ。
前田元検事はまず、指定弁護士の質問を受けた。
自分の調べについては「私は社会的に死んだ身で、死人に口なしで言い返せない立場にあるが、大久保さんの公判での証言はあまりにでたらめ」と語り、「実際は大久保さんは調書を何度も読んだうえで署名していた」と強調した。
そのうえで、特捜部の捜査には「問題があった」と言及した。「検察の有利不利を問わずお話しするのが、一般国民による検察審査会の議決への、私の対応だと思う」と切り出し、捜査の「内情」を暴露した。
前田元検事は応援入りした初日に、主任検事から「この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられなかったら特捜部の負けだ」と言われたという。
問題の土地購入の原資となった小沢氏の4億円の出どころについて、特捜部長ら一部幹部と現場の検事らの間に認識の違いがあったと指摘。「特捜部長の頭の中では、胆沢ダム(岩手県奥州市)工事で各ゼネコンから小沢氏側に裏金がいくらずつ渡った、という筋を描いていた」という。
「水谷建設が提供を認めた5千万円以外の話を出せ」という捜査方針に対し、現場の検事らは「話は全然出ず、難しいと考えていて、だいぶ疲弊していた」と証言。「特捜部長らは妄想を抱いて夢を語っていた。小沢氏の立件に積極的だったのも特捜部長、主任検事、最高検検事の3人だけだった」と述べた。
特捜部は結局、水谷建設以外から裏金の供述を得られず、秘書らも授受を完全否定。ゼネコン捜査の不調は、小沢氏の起訴を断念する最大の要因となった。
前田元検事は、続いて弁護側の質問を受けた。
前田元検事は、検察官役の指定弁護士が証人出廷を要請するために刑務所まで会いに来た際、「小沢さんは無罪だと思う。職務上、大変ですね」と話したと証言。この日の法廷でも、「私が裁判官なら無罪判決を書く」と言い切った。その理由として、小沢氏の強制起訴を決めた検察審査会や指定弁護士に対し、検察が不利な証拠を隠していると指摘した。
一つは捜査時の「取り調べメモ」。特捜部の検事らは、捜査の見立てと合わずに調書にできなかった場合、手書きの取り調べメモをパソコンで清書して各検事で共有していた。問題の土地購入の原資となった小沢氏の4億円については「ゼネコンからの裏金」とみて捜査したが、水谷建設以外から全く供述が得られていないことが分かる大量のメモが配られたという。
審査会の議決書は「小沢氏の4億円の出どころの説明は著しく不合理だ」と指摘した。しかし、前田元検事は「審査員がこうした特捜部のメモを見れば、水谷建設の話の信用性は低くなった」と語った。ただし、「メモは検察に『出せ』と言っても、『ない』と言うだろう」とも付け加えた。
また審査会は、元秘書・石川知裕衆院議員(38)が「小沢氏に虚偽記載を報告し、了承を得た」と認めた調書を、強制起訴を決める最大の根拠にした。前田元検事は、石川議員の弁護士からの「取り調べ時間が長い」などの苦情の文書も隠されていると指摘。「審査員が知っていれば、石川調書の信用性は低くなる」と述べた。
石川議員を取り調べた検事から、小沢氏に虚偽記載を報告して了承を得た場面は「最大で『おう』という程度」と聞いたといい、「この調書では小沢氏の共謀を問うのは難しい」とも語った。
そのうえで、「特捜部を愛しているからこそ、手持ちの証拠の全面開示と、被疑者・参考人を問わず全事件での取り調べの可視化(録音・録画)に踏み込むべきだ」と力説した。
大久保元秘書らの公判では、検察側が前田元検事の調書をすべて撤回し、証人申請もしなかったため、前田元検事は今回、陸山会事件で初めて法廷に立った。
前田元検事は昨年年9月、大阪地検特捜部の主任検事として捜査した郵便不正事件で、厚生労働省の村木厚子元局長=無罪が確定=が関与したように押収品のフロッピーディスクを改ざんしたとして証拠隠滅容疑で逮捕された。今年4月に懲役1年6カ月の実刑判決を受け、控訴せずに確定。現在も服役している。
前田元検事は、オレンジのフリース、青いジャージズボン、腰縄手錠という姿で入廷。裁判官、指定弁護士、弁護団の順に深く一礼した。宣誓書を朗読した後、「失礼します」と言って着席した。
法廷でのやりとりは以下の通り。
《10:00〜10:30》
■検察官役の山本健一・指定弁護士が質問
指定弁護士:あなたは検察官として陸山会事件を捜査した。
前田元検事:はい。
指定弁護士:陸山会事件で証人となるのは初めて。
前田元検事:はい。
指定弁護士:あなたが作成した調書は秘書公判では証拠請求が撤回され、証人申請もされなかった。
前田元検事:はい。
指定弁護士:なぜだと?
前田元検事:大きく3点ある。1点目は、言われているような任意性が問題になる調べはやっていないが、私の事件で受刑中であり、予断、偏見、色眼鏡で見られるので信用してもらえない。法廷という公の場でさらし者になるのが嫌だった。私の事件を捜査した最高検の検事には「出ない。私の調書は使わないでくれ」と言った。2点目は、最高検としても、私が出れば私の事件も陸山会事件で争点になってしまう可能性があり、出さない方がいいと判断された。陸山会の捜査には問題があったと思っていて、私の事件でもそれを申し上げた。証人なら偽証はできないので、私の口から何が出てくるか分からないので出さないという判断もあったと思う。3点目は、私の調書がなくても大久保さんの有罪は明らかなので撤回した。
指定弁護士:証人に出ないというのはまずあなたから申し入れたと。
前田元検事:はい。他の事件も同様に、私の調書を使うのはやめてほしいと言った。
指定弁護士:なぜ今回は出廷した?
前田元検事:2点ある。1点目は、私の調べ内容について大久保さんがいろいろ言っているが、報道を見る限りかなりでたらめ。私は社会的に死んだ身で死人に口なしで言い返せない立場にいるが、あまりに違う。秘書公判では切り違え尋問が認定されたが、絶対間違っている。2点目は、検察が起訴したのではなく、一般国民の検察審査会の議決で判断して起訴になった。私の調べは内容ないが、当時の特捜部の捜査には確かに問題があった。検察に有利不利を問わずお話するのが検察審査会の議決を受けた私の対応だと思った。
指定弁護士:特捜部の捜査で問題があったのは何?
前田元検事:いろいろあるが、筋が違うのでは。
指定弁護士:手法に問題?筋というか見立ての問題?
前田元検事:一番は見立てですが、捜査の進め方、私以外の検事の取り調べを私は知っているが、問題があった。
指定弁護士:あなたの調べには問題があったと思っていない?
前田元検事:思ってない。
指定弁護士:あなたは平成8年4月に任官。
前田元検事:はい。
指定弁護士:特捜部の在籍歴は。
前田元検事:検事を14、5年やる中、大阪、東京合わせて8、9年は特捜部にいた。
指定弁護士:経歴の半分以上を特捜部というのはよくあること?
前田元検事:いや、私の同期では私1人くらい。
指定弁護士:検察庁の中でもあなたの調べに期待していたということ?
前田元検事:はい。
指定弁護士:陸山会事件の当時は大阪地検特捜部に。
前田元検事:はい。
指定弁護士:いつから捜査に?
前田元検事:昨年1月、大久保さんの身柄勾留の6日目から。捜査の応援としては前日の午後1時に東京地検に出頭して、勾留満期の20日目まで。
指定弁護士:1月20日に来て、1月21日から取り調べを。
前田元検事:はい。
指定弁護士:応援に入るよう言われたのはいつ?
前田元検事:正式には月曜日、内々には前の週の金曜日に。
指定弁護士:何を調べると教えられていた?
前田元検事:教えられない。
指定弁護士:資料を渡されることは。
前田元検事:ありません。
指定弁護士:東京に来るまで、どこまで捜査が進んでいて、自分が何を担当するかは分からなかった?
前田元検事:20日午後1時に着任しているが、その前の日に吉田副部長と主任検事に電話であいさつしたが、その段階でも捜査の展開や担当は教えられなかった。
指定弁護士:1月20日は着任して何をした?
前田元検事:1月20日段階で捜査を拡大するということで、全国から20人近い検事が応援で入った。午後1時に検察庁10階の事務課に全員集合し、佐久間部長、吉田副部長の順にあいさつした。20人くらいが1人ずつごあいさつした後、吉田副部長に「前田君だけ残ってくれるか」と言われ、ソファで差し向かいになり、「大久保の取り調べをやってもらうから」と言われた。あまり事件を把握していなかったので、口にはしなかったが「大久保って誰ですか?」というのが率直な気持ちだった。吉田副部長からは「大久保の話をよく聞いてくれ」と言われ、「分かりました」と。
指定弁護士:大久保さん以外の調べやブツ読みはやってない?
前田元検事:やってません。
指定弁護士:資料はいつ見た?
前田元検事:副部長へのあいさつが終わった後、1班主任の木村キャップの909の部屋にぞろぞろ行ったんだが、私だけは副部長の指示を受けていたので遅れて木村検事の部屋に入った。簡単なペーパーで木村検事が概要を説明していたが、その他大勢の検事向きの説明だった。他の検事が出て行った後、私と、池田さんの取り調べを担当する花崎検事が残され、別に「特命」ということで指示を受けた。
指定弁護士:応援に来る前に情報が与えられないのは一般的なこと?
前田元検事:事案によるが、マスコミが注目していた事件だった。大阪特捜の前田というと「割り屋」と言われていて、マスコミに尾行とかされていた。応援に入るとなると、特捜部は何か考えているのではと臆測される。事前に私が何を担当するというのが分かると臆測を呼ぶので、情報はかなりコントロールされていた。
指定弁護士:その時になって資料を?
前田元検事:若手検事とは別のペーパーを私と花崎検事は渡された。業者からの金のやり取りに関する資料だった。木村検事は「この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢を挙げられなかったら特捜部の負けだ。恥ずかしい話だが東京には割り屋がいないので大阪を頼ることになった」と言った。そして「資料は別の部屋に置いてあるから見ておいてくれ」と言われて行ったら、段ボール箱が1箱あった。
指定弁護士:段ボール1箱とは少ない。全てではない?
前田元検事:全ても何も、その資料はお恥ずかしい話、ほとんど見ていない。一番上にあった西松事件からの大久保さんの調書は見ているが、他は見ずに、東京にいる同期の検事とか、私も人事交流で2年東京特捜に行っていたが、私の次の次に交流で行っている検事もいた。そういう検事の部屋を回って、生の情報収集をした。御用聞きじゃないが。調書としてまとまっているもの以外の現場の空気感が分かるように聞いて回った。
指定弁護士:それで、どういうことが分かった?
前田元検事:木村検事からの説明にもあったが、3点分かった。1点目は、西松事件の公判が大久保さんは先行している。今でこそ収支報告書の作成への関与を全面否定しているが、西松事件公判では収支報告書作成への関与は争っていない。他方で、西松建設からの企業献金という認識はなかったという争い方をしていると。2点目は、当時一番問題とされていたのは4億円はどこからきた金なのかということ。調べや御用聞きをした中で、田代検事や吉田副部長から聞いた限り、佐久間部長の頭の中では、5千万円は水谷建設、1億円は○○建設、1億円は○○建設と、胆沢ダム工事の二つの工事を受注したスーパーゼネコンはいくら、下請けの水谷はいくら、別のところはいくらという筋を描いている、と。現場はそれを追いかけているが、現場は業者の調べをずっとやってる。1月20日に応援を取ってやるのも、企業からの裏献金をもっと出させること。私が御用聞きした検事はよると、現場はだいぶ疲弊している、と。上は「話を出せ」というが、業者は取り調べ慣れしていて話は全然でない、難しいな、と。
指定弁護士:その点、大久保さんについてはどう言っていた?
前田元検事:私の前の宮本検事の段階で、水谷建設からの裏献金は認めているが、5千万円じゃなくて500万、2千万円ではなくて200万円とか。受け取ったことは認めているがゼロが一つ少ないと。あと、日本発破技研の山本さんからも裏で金をもらっているとは認めている。これも100万とかもらったけど、金額が違っている、と。
指定弁護士:3点目は何?
前田元検事:そもそも西松事件が先行していて、争っていないのは1点目ともつながるんだが、本件の陸山会事件では弁解録取、裁判官の勾留質問では全面否認なんてしていなくて、認否留保でほとんど割れそうな状況だと分かった。
指定弁護士:そうすると、あなたとしては何を期待されていると?
前田元検事:企業をいくらたたいても金を渡したという話は水谷建設と日本発破技研以外は出てこない。受け取った側からも、水谷以外からも受け取ったというのを引き出す。企業献金について割れということを期待されていた。
指定弁護士:収支報告書への関与は重点にすえていなかったと?
前田元検事:木村検事、副部長からも「収支報告書は目をつぶっていても有罪になる」と言われていた。そこは当然という前提。裏企業献金をもっと喋らせる、金額、業者名を出させるということだった。
《10:30〜10:45》
指定弁護士:21日からの大久保さんの取り調べのスタンスは?
前田元検事:「よく聞いてくれ」と吉田副部長から言われてたので、白紙から聞く。21日の午前に宮本検事から引き継ぎをして、午後から取り調べをした。
指定弁護士:大久保さんはどんな供述を?
前田元検事:初日は興奮していた。興奮して色々と30分くらい話をした。検事が代わって、私が受け取ってもいない水谷建設の5千万円を怒鳴ったり、机たたいたりして調書取るのではないか。そんな事実はないんだ、と言っていた。検察不信をぶつけてきた。
指定弁護士:大久保さんが気にしていたのは政治献金?
前田元検事:西松建設事件の公判で、企業献金を否認していたので、500万、200万を受け取ったのを認めていたというが、金額についてもそうだが、趣旨についても、「陸山会もしくは小沢一郎がもらったのではない。私がもらったんだ。もらったことは小沢さんにも言ってない」と言っていた。
指定弁護士:収支報告書作成の関与については?
前田元検事:不満をしゃべらせた。大久保は前田検事がどう対応するのかを見ていると思っていた。私は「こんなとこ来とうはなかった」と言った。これはNHKの大河ドラマの「天地人」で、直江兼続役の子役、これは「こども店長」で・・・・・続きを読む
防衛産業は緩慢な死を迎える
2011年12月30日
朝日新聞社(Astand)
防衛産業は緩慢な死を迎える
防衛費はこの10年ほど横ばいだ。だが、装備調達費は大きく減じている。1990年には1兆727億円だった主要装備の調達予算は2010年には6837億円と3割以上も下落している。これは燃料費の高騰、人件費などの高騰も原因だが、最も大きいのは装備の高度化による維持整備費の上昇である(「防衛生産・技術基盤の維持・育成に向けた防衛省の取組み」<防衛省>3ページ以降を参照 http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/seisan/sonota/pdf/01/001.pdf)。
装備調達予算の減少に対して維持整備予算は1990年が4769億円だったものが2005年には金額で装備調達費を追い抜き、2010年では7923億円と約8割も膨れあがっている。
また装備の高度化=高額化に伴って各装備の調達数は減る傾向にある。従来から防衛装備調達数は毎年少量の調達を続けてきた。このため調達コストが上がり、なおさら調達単価が上がるという悪循環を起こしてきた。
例えば89式小銃は旧式化した64式小銃の後継だが、1丁あたり30万円以上かかり、先進諸国の小銃に比べても概ね4〜6倍ほど高く、このため20年経っても更新が完了していない。部隊では教育、兵站が二重に必要でありコストがかかる。のみならず相互の弾薬に互換性もないので、有事になれば不利である。
これはメーカーにとってもいいことではない。いつまでも古い装備のパーツの生産を行わなくてはならない。つまりそのための機械や従業員が拘束される。例えば1種類の小銃で年間1000個必要な部品があるとしよう。小銃が2種類ならばそれぞれ500個が必要となり、1種類に比べて生産効率は半分に落ちる。
陸上自衛隊は新型の10式戦車を導入、2012年度から配備が始まる。このため74式、90式、10式と3世代の戦車が存在することになる。90式と10式は120ミリ滑腔砲を使用しているが、10式用の新型砲はより強力な新型徹甲弾を使用する。この弾薬は90式の主砲では使用出来ない。部品はもちろん乗員の訓練は小銃とは比べ物にならないくらい多額の費用がかかる。対して欧米先進国では大抵1種類だ。しかも新型戦車を開発するのではなく、既存の戦車の改良で凌いでいる。
そもそも我が国本土で大規模な戦車戦が起こりうる可能性はない。周辺諸国にそのような揚陸能力を持った国はない。また仮面ライダーの「ショッカー」やレインボーマンの ・・・・・続きを読む