名 前:平野 浩
筆者略歴:
慶應義塾大学経済学部卒業後、明治生命保険相互会社に入社。
営業スタッフ部門での経験が長いが、1985年より情報システム部門に転じ、ITを営業に応用・活用する業務に従事。1998年定年退職。
日刊メールマガジン「エレクトロニック・ジャーナル」を開始、現在も執筆中。 2000年3月に(株)イー・メディアを設立。
元 関東学院大学経済学部非常勤講師。著書多数。
財務省の正体(39)
日本の政治の現況(100)
明治維新(84)
新視点からの龍馬論(85)
ジャーナリズム論(68)
小沢一郎論(72)
クラウド・コンピューティング(52)
オバマの正体(62)
大恐慌後の世界(59)
円高・内需拡大策(40)
サブプライム不況と日本経済(54)
金の戦争(47)
石油危機を読む(52)
メディア覇権戦争(49)
地球温暖化懐疑論(31)
ニュートンの予言(36)
エルヴィス(34)
セカンドライフ(52)
日本経済回復の謎(45)
インターネットの歴史 Part2(59)
ケータイ通信戦争(41)
ダ・ヴィンチ・コード(40)
秘密結社の謎と真相(56)
日米経済関係の謎(22)
日露戦争(52)
Electronic Journal の 2012.1.10 に取り上げられている野田政権の課題を保存しておきます。
●「歴史に学ばない野田政権と財務省」(EJ第3214号)
日本の財政は大きな問題をかかえています。なぜなら、税収でその年の歳出を賄えない状態にあるからです。毎年赤字国債で穴埋めをしなければならず、財政の健全化を図る必要があります。しかし、政府がいうようにきわめて危機的であり、デフォルトの危険性があるかといわれると、必ずしもそうであるとはいえないのです。解決する方法はあるからです。
現在、野田政権は「消費増税」でそれを解決しようとしているのですが、実はそれこそ最悪の方法なのです。どうして最悪なのでしょうか。これについて考えてみることにします。
これについては、いろいろな諸説があるのですが、経済評論家の三橋貴明氏の解説が大変わかりやすいと思います。三橋氏の次の近著が参考になります。同書をベースとして、以下に解説をします。詳細は本を読んでいただきたいと思います。
三橋貴明著/徳間書店刊
『2012年/大恐慌に沈む世界/甦る日本』
添付ファイルを見てください。これは主要国の政府の負債残高の推移を示したものです。これを見ると、日本の政府負債残高は少なくともここ数年は急激には増えているわけではないことがわかると思います。
このグラフは「2000年=1」としたとき、政府の負債残高がどのくらい増えているかを示しています。これによると、日本の政府負債残高は、2000年対比で1.5 倍になっていますがこれはイギリスやフランスよりも低く、イタリアやドイツとほぼ同じ増加率であるといえます。
これに対して韓国や中国の政府負債残高は激増しています。とくに中国の伸びは群を抜いています。しかし、誰も中国や韓国は財政破綻するとはいいません。どうしてでしょうか。
それは、中国や韓国は政府負債残高が激増しているものの、GDPもその分だけ大きく拡大しているからです。経済の規模が拡大していれば、政府負債残高が増えてもそれは当然ですし、何ら問題はないからです。
そもそも資本主義は、国の経済主体──企業、家計、政府などが借金を増やして投資を拡大していくことが、成長の基本なのです。したがって、負債残高の増大に焦点を当てて批判することは資本主義における成長そのものを否定することになります。ところが現在、これを意図的にやっているのがほかならぬ日本の財務省なのです。
添付ファイルにも見るように、日本の政府負債残高の伸びは抑制的です。しかし、対GDP比率でみると200%を超えており年々悪化しつつあります。そのため、財務省は対GDP比率の悪化を強調し、それが問題であるとして、増税に結び付けようとしているのです。
それでは、対GDP比率はなぜ悪化しているのでしょうか。
いうまでもなく、GDPが伸びていないことが原因です。いつから伸びていないのかというと、1997年から2011年までの15年間にわたってその伸びはゼロなのです。
その15年間の名目GDPを示しておきます。スタートの1997年は橋本政権が消費税を3%から5%に2%上げた年なのです。その結果が15年間の経済低迷につながったのです。
≪名目GDPの推移≫
97年 516兆円 橋本 I 04年 498兆円 小泉
98年 505兆円 小渕 I 05年 501兆円 小泉
99年 498兆円 小渕 I 06年 507兆円 小泉
00年 503兆円 森 I 07年 516兆円 安倍
01年 498兆円 小泉 I 08年 504兆円 福田
02年 491兆円 小泉 I 09年 471兆円 麻生
03年 490兆円 小泉 I 10年 479兆円 鳩山
http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html
1997年から実に15年、名目GDPは515兆円からはじまって、2010年の479兆円、まったく伸びていない。平均値は465兆円です。ちなみに2011年の予測値は470兆円です。原因がデフレであることははっきりしています。
このデフレ──その原因を作ったのが橋本政権の消費増税であることと、そのうちの13年間は自民党政権であり、その経済運営に大きな責任があります。もちろん自民党時代も財務省が牛耳っており、自民党の経済失政の責任は財務省・日銀にあります。しかし、彼らは反省も責任も何ら感じていないのです。
しかし、国民の大きな期待を背負って政権交代を果たした民主党は、積年のデフレからの脱却を果たして経済回復に取り組むどころか、菅、野田政権にいたっては、財務省の傀儡政権に成り果て、こともあろうに不退転の決意で大増税をやろうとしているのです。あの橋本政権の経済失政に何ら学ぶことなく、またしても消費税を上げようとしているのです。
目的は「税収」を増やすことなのです。野田政権は、財務省から吹き込まれ、日本は既に成熟国であり、大きな経済成長は望めないという前提に立って、税収を増やすためには増税しかないと考えているのです。何しろ自民党以上に経済学の基礎に欠けている内閣で、財務省のいいなりです。
しかし、その前提からして間違っています。財務省と日銀は、15年間もデフレを放置し、挙句の果てにまたしても増税をやろうとしている。そして、いうに事欠いて「日本経済のケースは他国と違い特殊」のようなことをいっています。「愚者とは歴史に学べない人である」という言葉かありますが、それはそっくり野田首相、財務省の高級官僚、日銀総裁に贈りたいと思います。日本を潰す気なのでしょうか。 ── [財務省の正体/40]
≪画像および関連情報≫
●世耕弘成自民党議員のブログ/消費税増税に反対の弁
私は自民党麻生政権末期に消費税増税論議が行われた際も、明確に反対の立場に立っていたが、今もそれは変わらない。最大の理由は今回の消費税増税は「財政再建」を最大の目標に行われようとしているが、消費税を増税しても消費が冷え込むので財政再建には必ずしも貢献しないからである。平成10年の橋本内閣の当時に消費税は3%から5%に増税された。消費税1%は2兆5000億円に相当するので、単純計算すると税収は5兆円増えるはずだが、実際には景気回復の腰折れが発生して税収減が続き、今日に至るまでに平成10年の税収を上回ったことは一度もないのだ。財政再建を真剣に進め、財政健全化の一歩手前まで行ったのは小泉・安倍両内閣だ。小泉内閣発足時の基礎的財政収支(プライマリーバランス)28兆円の赤字だった。しかし安倍内閣退陣時には6兆円まで赤字は圧縮されていて、2011年(今年!)には収支が均衡する予定、すなわちこれ以上借金は膨張しないというところまで行く予定だったのだ。小泉・安倍内閣の間消費税増税はもちろん、大規模な増税は行っていない。にもかかわらず財政赤字を22兆円も圧縮できたのはなぜか。まず歳出面では公共事業を大幅に削減したこと(民主党政権がやっている規模とは比べものにならない10兆円から5兆円への圧縮)。さらに社会保障費の伸びを圧縮したこと。そして歳入面では構造改革の効果が出てきて税収が大幅に増えたことである。このように行革で歳出を削り、景気を良くして税収を増やすことこそが財政再建の近道なのだ。官僚がどんな理屈をこねようとも、小泉・安倍内閣の実例が示しているのだ。http://blogos.com/article/28207/
主要国の政府の負債残高の推移
posted by 平野 浩 at 02:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 財務省の正体 | |
この記事へのコメント
[世界中の危機・混乱・戦争は米国のウォール街金融が起こしている。目的は(新世界秩序)]ふじふじのフィルターさま
http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-35b3.html
世界の市民の命・生活・経済を破壊している真のテロリストは米国ウォール街の金融資本であるということに私達日本人も知る必要があります。米国の市民も彼らの被害者なのですね。
ウォール街は軍産複合体を支配し、そして、もちろん、原発も彼らが支配してやっていることです。世界中で起きていることは、私達に関係しています。関心を持って見ていこうではありませんか。無関心はダメです。
全く同感です。そしてこちらも。
[ショック・ドクトリン、1997〜1998アジア通貨危機の場合、]いかりや爆氏の毒独日記さま
http://blog.goo.ne.jp/ikariyax/e/4c9dcac5fa9310468d6caaf329e7c2e8
その前に、シカゴ学派がしかける金融資本主義の暴発で、アメリカ自身が自滅するかもしれない。(いかりや爆氏)
帝国の終焉 (トッペイ)2012-01-09 22:51:41イランの革命裁判所が、CIAのスパイ容疑でイラン系米国人に死刑判決を下しました。
米側もホルムズ海峡閉鎖は断固許さないということで緊張が高まっています。・・・たとえ、イラン戦争をアメリカが引き起こして一時的に経済が浮揚したとしてもアメリカ帝国の滅亡への一里塚となるでしょう。
もしアメリカが自滅するなら、座視していないで止めてやるのが本当の友達であり、君子の行う親身親切である。
直ちに地位協定を破棄して米軍への兵站をすべて止め、双頭の鷲の一方の頭米軍の世界に対するテロ攻撃暴走にブレーキをかけてやろう。
アメリカの将来ある若い人たちを軍産複合体が自ら策謀して作り出した戦場の死地に送り込むという愚かな米軍の血と金に飢えた狂乱のテロ犯罪に、平和不戦の憲法を戴く日本人は決して手を貸してはならない。
Posted by 東行系 at 2012年01月10日 17:09
平野様および読者様 新年あけまして、おめでとうございます。本日は仕事初めでしたが、本日のブログは、世直しに貢献する良い内容になっています。この調子で今年も頑張って、日本国民を啓蒙して下さい。
さて、昨年11月27日に大阪市長に当選した橋下徹氏は、公務員制度改革に関して、「公務員制度改革の抵抗勢力は、労働組合である。わたしは、労働組合の支援なしに当選した初めての大阪市長だ」と断言したように、日本国家(国民)に経済的損害を加え、将来の発展可能性を潰しているのは、官公労(官公庁にある労働組合から成る行政利権同盟)に他なりません。下記は、某サイトからの転載です。
利己的な私欲におぼれ、共産主義思想(労組の論理)に染まった国及び地方の公務員(官公労)は、国民にとって無用であるのみならず極めて危険である。なぜなら、国及び地方の公務員(官公労)の給料は、国民にとって過大な経済的負担となっているのみならず、国家財政悪化の根本原因であり、さらに、中国共産党(中国)及び朝鮮労働党(北朝鮮)と内通しながら日本国家の解体を促している有害な寄生虫に過ぎないからだ。また、公職選挙の面から見た場合、国及び地方の公務員は、自らの労働組合(職員団体)出身の候補者を公職選挙に擁立し、その候補者の当選を目指した選挙運動を組織的に公務として行い、その組織力により、地方公共団体の首長等に当選した者は、自らの労働組合(職員団体)の要求を実現することを公務としている。かかる利己的な労働組合(職員団体)の行為は、国民(住民)の税金を食い物にした行政(公務員)と政治(議員)の癒着であり、公私を混同した不法行為に抵触する。公務員の労働組合(職員団体)を野放しにしたままでは、公務員制度改革の実現は永遠に不可能である。そして、労働組合(職員団体)が公務員制度改革の障害物であり、公私混同した行政利権団体にすぎないこ?は、『地域政党・大阪維新の会代表の橋下徹氏(44)が、大阪府・大阪市の役所の労働組合(職員団体)からの選挙支援なしに大阪市長選挙(2011年11月27日)に当選した初めての大阪市長だ』 という事実が証明している。従って、共産主義思想(労組の論理)に染まった国及び地方の公務員(官公労)が、私欲におぼれて愛国心・公僕心・公共心をなくし、利己的な労働組合活動を行い、中国共産党(中国)及び朝鮮労働党(北朝鮮)と連携しながら日本国家の解体を進めている以上、国及び地方の予算から、かかる不逞の公務員(官公労)への給料支給を止め、すべからく免職しなければならない。なお、国家再建の根本策は、私利私欲なき不惜身命の気概を有する省庁を残し、他の全ての労働組合まみれの利己的な省庁を、その傘下に統廃合することである。これこそが、国家防衛・財政再建・社会保障を成し遂げる唯一の道である。
Posted by 国家とは何かを知る者 at 2012年01月10日 21:22
01 14 (土) 欧州国債、複数格下げの報道 NY市場、ユーロ急落
欧州国債、複数格下げの報道 NY市場、ユーロ急落
The Asahi Shinbun Digital 2012年1月14日01時15分
欧米の主要メディアは13日、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が同日中に、フランスなど複数のユーロ圏の国の国債を格下げすると一斉に報じた。AFP通信は「フランスの格下げを決めた」としている。欧州の政府債務(借金)危機への不安が強まり、共通通貨ユーロが売られて急落した。
同日のニューヨーク外国為替市場では、ユーロが急落し、一時は1ユーロ=97円20銭まで下がった。今月9日につけた約11年ぶりのユーロ安水準(97円28銭)を下回り、2002年1月にユーロが現金として出回るようになって以降の最安値もぬりかえた。
ユーロは13日の東京市場の時間帯に一時、1ユーロ=98円80銭台まで上昇していたため、そこから2円弱も急落したことになる。ニューヨーク時間の13日午前11時(日本時間14日午前1時)時点は、前日午後5時時点と比べ81銭円高ユーロ安の1ユーロ=97円46〜56銭。
ユーロは対ドルでも急落し、一時、前日午後5時時点と比べ1%以上値下がりした。
S&Pは昨年12月、ドイツやフランスなどユーロ圏諸国の国債の格付けを引き下げ方向で見直すと発表していた。13日になり、複数の欧米メディアが関係者の話として「13日中にも格下げは実施される見通しだ」と報じた。
格下げされれば、各国が借金のために発行する国債がさらに売られて値下がりするおそれがある。国債は値下がりした分、金利が上がるので、各国の借金の金利負担が増えて財政がさらに悪化する懸念が高まる。
欧州の財政危機の国を助ける「欧州金融安定化基金」(EFSF)もユーロ圏諸国の信用を背景に集めたお金が元手になっており、格下げによってEFSFの資金力が弱まる可能性がある。S&PはEFSFが発行する債券も最上級から格下げする可能性があると警告している。
欧州危機への不安が高まったため、13日のニューヨーク株式市場も大幅に下げている。大企業で構成するダウ工業株平均は一時、前日終値と比べ160ドル近く下落した。(ニューヨーク=山川一基)