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折々の記 2015 ⑦
【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】08/22~     【 02 】08/23~     【 03 】08/30~
【 04 】09/02~     【 05 】09/04~     【 06 】09/07~
【 07 】09/08~     【 08 】09/20~     【 09 】09/27~

【 04 】09/02

  09 02 天竜河岸の月見草   
  09 03 田中宇の国際ニュース解説   世界はどう動いているか
        米国債を大量売却し始めた中国  【2015年8月30日】
        構造転換としての中国の経済減速 【2015年9月1日】
  09 04 あれ!? ヒグラシが鳴いた   アブラゼミもほとんど聴かないのに

 09 02 (水) 天竜河岸の月見草     


「月見草の花」   作詞:山川清 作曲:山本雅之

 1 はるかに海の 見える丘
   月のしずくを すって咲く
   夢のお花の 月見草
   花咲く丘よ なつかしの

 2 ほんのり月が 出た宵は
   こがねの波が ゆれる海
   ボーと汽笛を ならしてく
   お船はどこへ 行くのでしょ

 3 思い出の丘 花の丘
   きょうも一人で 月の海
   じっとながめる 足もとに
   ほのかに匂う 月見草

   http://duarbo.air-nifty.com/songs/2007/08/post_54c7.html  二木紘三

《蛇足》 昭和24年(1949)発表。

 山川清・山本雅之のコンビで作られた童謡には、ほかに『森の小人』があります。山本雅之は、これらのほかにも『一寸法師』『いなばの白うさぎ』『かにの床屋』『かもめの船長さん』など、多くの童謡を作曲しています。

 月見草はメキシコ原産のアカバナ科二年草で、日本には嘉永年間に渡来したといわれますが、現在ではほとんど見られません。一般に月見草と呼ばれているのは、この種ではなく、同属の帰化植物で広く分布するマツヨイグサやオオマツヨイグサです。(二木紘三)

「喜びも悲しみも幾歳月」   作詞・作曲:木下忠司

 1 俺(おい)ら岬の灯台守は
   妻と二人で沖行く船の
   無事を祈って灯(ひ)をかざす
   灯をかざす

 2 冬が来たぞと海鳥(うみどり)なけば
   北は雪国 吹雪の夜の
   沖に霧笛が呼びかける
   呼びかける

 3 離れ小島に南の風が
   吹けば春来る花の香(か)便り
   遠い故里思い出す
   思い出す

 4 星を数えて 波の音(ね)きいて
   共に過ごした幾歳月(いくとしつき)の
   よろこび悲しみ 目に浮かぶ
   目に浮かぶ

   http://duarbo.air-nifty.com/songs/2007/08/post_5bce.html  二木紘三

《蛇足》 木下忠司は400曲以上の映画主題歌を作りましたが、とくに多いのが、実兄の映画監督・木下恵介の作品につけた曲です。
 この歌は、若山彰の迫力のある歌唱と相まって大ヒットしました。

 昭和32年(1957)に制作された『喜びも悲しみも幾歳月』は、実在の灯台守の妻・田中キヨの手記に基づいて作られたものです。灯台守の夫婦を佐田啓二と高峰秀子が演じました(写真)。
 夫婦は、昭和7年(1932)の神奈川県観音崎灯台から始まって、北海道から九州まで各地の灯台を転勤して回ります。その間に家族が味わった哀歓や同僚たちとの交流がテーマになっています。(二木紘三)

「故郷の廃家」   作詞:犬童球渓、作曲:ウイリアム・ヘイズ(アメリカ)

 1 幾年ふるさと 来てみれば
   咲く花 鳴く鳥 そよぐ風
   門辺(かどべ)の小川の ささやきも
   なれにし昔に 変わらねど
   荒れたる 我が家に
   住む人 絶えてなく

 2 昔を語るか そよぐ風
   昔をうつすか 澄める水
   朝夕かたみに 手をとりて
   遊びし友人(ともびと) いまいずこ
   さびしき 故郷や
   さびしき 我が家や

多くの栄枯盛衰の姿を目にしてきて、それはただ歌の世界の感傷だけでなく人の世の悲しさそのものとしての実感が胸に迫ってくるので、お気に入りへ選び出しました。 これは他人事ではないのです。(2010/4/17記)

この歌も心をうつ歌の一つです。

   http://duarbo.air-nifty.com/songs/2009/03/post-3b7c.html  二木紘三

《蛇足》ヘイズは1837年、ケンタッキー州のルーイヴィルで生まれ、1907年、70歳のとき、同地で亡くなりました。  生涯に約350曲作りましたが、そのうちわが国でもよく知られているのが、この曲と『冬の星座』(原題は"Mollie Darling")です。(二木紘三)

 09 03 (木) 田中宇の国際ニュース解説     世界はどう動いているか

米国債を大量売却し始めた中国
 【2015年8月30日】 中国が、米国を助けていた米国債の買い貯め(QE)をやめて、逆に米国債の大量売り(QT)を始めたことは、米国や日本にとって大きな脅威だ。中国がやめた分のQEを、誰かが代わりにやらないと、長期的に米国債の金利が上がり債券金融システムが崩れかねない。株が暴落した中国を「ざまあみろ」と冷笑している場合ではない。中国株の暴落は、日本が無理なQEを拡大することにつながる。

構造転換としての中国の経済減速
 【2015年9月1日】 中国の固定資産投資は明らかに過剰だ。しかし、この数年間の中国の過剰投資がなかったら、リーマン危機後の世界不況はもっと長く厳しいものになっていた。中国は、世界経済にとって大恩人である。日本も、中国の投資拡大がなければ、アベノミクスなどと命名して浮かれていられなかった。とはいえ、中国の過剰投資策は昨年あたりから弊害の方が多くなり、中国政府は今年から投資の増加を抑える政策を始めていた。今夏の中国株の暴落は、こうした過剰投資策の終焉を受けたものだった。


どうしても、国際金融システムの動きを深く理解していくことは、世界の動向を理解する上で大事なことです。 そのために、田中宇の国際ニュース解説には目を通していなければならない。


2015年08月30日 田中 宇
米国債を大量売却し始めた中国
   http://tanakanews.com/150830treasury.php

 中国政府が、かつてない速度で米国債を売っている。中国の中央銀行である人民銀行は、8月の1カ月間に1千億-1500億ドル規模の米国債を売ったと概算されている。人民銀行はそれまでも、ドル高元安を止めるために、今年1-6月に約1千億ドルの米国債を売ったが、8月は1カ月間で、それまでの半年分の米国債を売ってしまったことになる。 (Brace for Quantitative Tightening, As China Leads Forex Reserves Purge) (From China - quantitative tightening)

 人民銀行は8月11日、人民元の対ドル為替レートの決定方法を変更することで人民元を切り下げた。米国の連銀(FRB)が6年ぶりに利上げする意志を強め、ドル高の傾向が強まる中で、中国が元ドル相場を横ばいに維持するのが難しくなった末の元切り下げだった。その前後から、市場では元売りドル買いの圧力が高まり、放置すると元の対ドル為替がどんどん下落しかねなかった。人民銀行は、外貨準備として膨大に備蓄している米国債の一部を売る、ドル売り元買いの市場介入をすることで、8月11日以降、元ドル為替を横ばいに維持している。しかし、横ばいを維持するために売らねばならない米国債が、前代未聞の規模にまで増加している。(人民元のドル離れ)⇒【註 1】 (新興市場バブルの崩壊)⇒【註 2】 (Catch-22 for Zhou as Yuan Support Means Quantitative Tightening)

【註 1】
(人民元のドル離れ)
   http://tanakanews.com/150816china.php
人民元のドル離れ
【2015年8月16日】 中国の為替自由化は、人民元をドルと並ぶ基軸通貨に仕立てていこうとする中国の戦略の一環だ。中国経済の主導役が輸出産業だった従来は、固定相場制の維持や切り下げが中国経済の浮揚策として有効だった。だが、工業部門が中国のGDPに占める割合は低下し始めている。今後しだいに、中国は固定相場制を維持する利得が減っていく。中国自身は、固定相場制からの離脱をゆっくりやろうと考えていたが、ドル崩壊を懸念するIMFに急かされ、前倒しすることにした。
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【註 2】
(新興市場バブルの崩壊) 
   http://tanakanews.com/150825stock.php
新興市場バブルの崩壊
【2015年8月25日】 新興市場諸国の景気悪化は、資金調達バブルの崩壊が一因だ。もともと新興諸国の資金の多くは米国で調達されていた。だが、米国が戦略をドル安からドル高、金融緩和から金融引き締めの傾向に転換したことで、新興市場から米国への資金流出がひどくなり、中国の株暴落やブラジルの景気悪化などにつながった。
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 中国の巨額の売りは、米国債の金利を押し上げ要因だ。しかし同時に、米国の株価が急落し、高リスクの株式から低リスクの米国債へと資金を逃避する流れが増え、国債金利の押し下げ要因となってバランスしているため、米国債金利は上がっていない。中国政府は、米国債を売る前に、米政府に相談して了承を得たという。元ドル為替安定のためやむを得ないと米政府も判断したのだろう。 (It's Official: China Confirms It Has Begun Liquidating Treasuries, Warns Washington)

 米国の株価急落は一段落したが、中国の株価は今後も下落すると予測されている。バンカメは、上海の平均株価が今後さらに35%下落すると予測している。中国当局は市場への資金注入で株価の下落を止めているが、このやり方は金がかかりすぎ、1-2カ月しか続けられない。中国政府は株価対策を縮小せざるを得ず、そうするとまた株が暴落する。 (Chinese Stocks To Plunge Another 35%, BofA Says)


バンカメ
   http://wpedia.goo.ne.jp/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A1
バンク・オブ・アメリカ(Bank of America Corporation)は、アメリカ合衆国ノースカロライナ州のシャーロット市に本社を置く銀行である。「バンカメリカ」や「バンカメ」の略称で呼ばれることもある。尚、名前からにして「アメリカの中央銀行」と良く間違えられるが、中央銀行ではない。

世界金融危機の引き金となったサブプライムローン証券の不正販売をめぐり、米司法省と166億5千万ドルの支払いで和解している[1]。

中央銀行
   http://wpedia.goo.ne.jp/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E9%8A%80%E8%A1%8C
日本銀行についても、六人の意見が載っている。

 中国の株が下がるほど、世界から中国に投資されていた資金が流出し、元安ドル高の圧力が強まる。人民銀行が元安を止めるには、総額1兆ドル強の、手持ちの米国債のすべてを売らねばならないと概算されている。中国は03年以降、貿易黒字を使って米国債などドル建て資産を買い貯め、昨年のピーク時に総額4兆ドル近くの外貨資産を貯めていた。 (Why QE4 Is Inevitable)

 中国の米国債売りは、米連銀がドルを過剰発行して米国債を買い支えていたQE(量的緩和策)の逆回しだ。米連銀は、リーマン危機後に痛んだままの債券金融システムを延命するため、昨年までに3回のQEを行い、合計で3兆ドル近くを買い支えた。中国人民銀行も同時期に、国内の民間輸出企業が貯め込んだドルを、人民元を発行して買い上げ、そのドルで米国債を買っていた。中国は、南シナ海問題などで米国から敵視されていたのに、米国を助けることになるQEをずっと続けていた。


米連銀(連邦準備制度)
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E9%82%A6%E6%BA%96%E5%82%99%E5%88%B6%E5%BA%A6
連邦準備制度(れんぽうじゅんびせいど、英語: Federal Reserve System, FRS)は、アメリカ合衆国の中央銀行制度を司る私有企業体で、ワシントンD.C.にある連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)が全国の主要都市に散在する連邦準備銀行(Federal Reserve Bank, FRB)を統括する組織形態を特徴とする。FRBは日本の日本銀行に相当し、紙幣の発行などを行う。「連邦 (Federal)」という語があることから、連邦政府系の機関であると誤解されるが、FRBの株式は民間金融機関が所有しており、連邦議会による監査などは一切行われていない。

日本での略称は FRS だが、実際には連邦準備制度と制度を運営する「理事会」はあまり区別されず、両者とも FRB と呼ばれることが多い。また、連邦準備制度理事会の長は「議長」(Chair of the Federal Reserve Board)と呼ばれる。2014年2月1日からはジャネット・イエレンが議長(第15代)を務めている。

FRBは世界金融危機に際し、TARPに紛れて16兆ドルもベイルアウトした[1]。それを受けた金融機関は国際決済システムと密で不透明な関係をもつ。不祥事の一部が周知され、2015年5月13日に米上院銀行委員会の長が、FRBに対する議会の監査強化や大手金融機関の資産基準引き下げなどを盛り込んだ、多岐にわたる法案を提出する運びとなった[2]。

米連銀総裁「年内に利上げ2回と予測」 米報道
   日本経済新聞
   http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK20H0E_Q5A620C1000000/
【ワシントン=岩本昌子】(2015/6/20) 米サンフランシスコ連邦準備銀行のウィリアムズ総裁は19日、利上げの時期について「米経済が今後予想通りに成長するならば、今年中に2回利上げすると予測している」と語った。サンフランシスコ市内で記者団に語ったと、米ダウ・ジョーンズ通信などが報じた。

 総裁は2015年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。米連邦準備理事会(FRB)イエレン議長の側近の一人。総裁は「利上げの開始時期はだんだん近づいてきている。利上げを早く始めれば、穏やかに上げていくことができる」とし、早い時期の利上げが好ましいとの考えを示した。


 今の中国は逆に、米国債を大量売却しており、これまでに進めたQEを巻き戻し(清算)していることになる。ドイツ銀行の分析者は、今の中国の行為をQE(Quantitative Easing)と反対のQT(Quantitative Tightening)と呼んでいる。1兆ドルのQTは、10年もの米国債の利回りの2%上昇に匹敵すると概算されている。利回りが上がるほど債券の信用が下がる。 (Deutsche Bank: It's Chinese 'Quantitative Tightening' That's Been Slamming Markets Around the World - Forget QE. Now it's all about QT)

 中国が、米国を助けていた米国債の買い貯め(QE)をやめて、逆に米国債の大量売り(QT)を始めたことは、米国や日本にとって大きな脅威だ。中国がやめた分のQEを、誰かが代わりにやらないと、長期的に米国債の金利が上がり債券金融システムが崩れかねない。米国は昨年、QEをやりすぎて続けられなくなり、日本(とEU)に肩代わりさせて、何とか危機を先送りしている。米連銀はドル蘇生のため、日欧にQEを肩代わりさせて自分だけ利上げをもくろんでいる。米連銀は、株価が下がっても、まだ9月の利上げをあきらめていないようだが、中国のQT開始は、利上げをますます困難にする。株が暴落した中国を「ざまあみろ」と冷笑している場合ではない。中国株の暴落は、日本が無理なQEを拡大することにつながる。 (Devaluation Stunner: China Has Dumped $100 Billion In Treasurys In The Past Two Weeks)

(日銀の黒田総裁は、中国は株が暴落しても今年の実体経済の成長が6-7%を維持するので、日本から中国への輸出が減って日本経済が不況に突入することはないと発言した。実のところ、中国の経済成長は今年から来年にかけてかなり減速しそうだ。黒田の発言は、日本株の再急落を防ぐための歪曲発言のようだ。嫌わねばならない中国を歪曲的に賛美しなければならないこと自体、日本経済がいかに中国に依存しているかを物語っている) (BOJ's Kuroda says China slowdown unlikely to hit Japan exports much)

 中国以外の新興市場諸国も、投資資金の流出による対ドル為替の下落を防ぐため、中国同様、米国債を売り払う傾向だ。今月、中国(千億から1500億ドル)を含む全世界で合計2千億ドル分の米国債が売られたと概算されている(確定的な指標がないので推定で概算するしかない)。米国債の売りが中国に次いで激しいのはサウジアラビアで、今年に入って600億ドルの外貨資産を売った。サウジは、米国のシェール産業を潰すために世界的な石油安を引き起こし、自国の財政もきつくなって、貯め込んだ米国債を売り始めている。 (Here's How Long Saudi Arabia's US Treasury Stash Will Last Under $30, $40, And $50 Crude)

 米国債の保有額は、中国が世界一、サウジが世界第3位だ。1位と3位が、米国債の買い手から売り手に転じている。中国からの資金流出も、サウジと米シェール産業の戦いも、まだまだ続くので、米国債がいずれ危機に陥っても不思議でない。(Saudi foreign reserves fall slows in July after bond sale)

 中国もサウジも、やむなく米国債を売却しているかたちになっているが、実のところ両国とも、米国債を貯め込む必要性が低下している。「やむなく」を装って国債相場を下げないようにしつつ、手持ちの米国債を売り抜けようとする戦略かもしれない。中国を筆頭とするBRICS ⇒【註 1】は、ドルでなく自国の諸通貨で貿易決済する体制を強化している。BRICSは、ドル基軸制を守る国際機関であるIMF世銀体制からも自立しつつあり、BRICS開発銀行やAIIB ⇒【註 2】などを創設し、独自の国際決済システムを構築している。中国やサウジなど新興諸国は、貿易がドル建てのみで貿易の儲けで米国債を買うしかなかった従来の体制から離れつつある。

【註 1】
BRICS
   ブラジル=Brazil、ロシア=Russia、インド=India、中国=China、南アフリカ共和国=South Africa
   https://ja.wikipedia.org/wiki/BRICs
BRICS
BRICSは、2000年代以降著しい経済発展を遂げているブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国の総称。BRIC(ブリック)とも呼ばれる。投資銀行ゴールドマン・サックスのエコノミストであるジム・オニールによって書かれた2001年11月30日の投資家向けレポート『Building Better Global Economic BRICs』で初めて用いられ、世界中に広まった。

また、BRICs4ヶ国に南アフリカ共和国を加えた5ヶ国は、BRICSと総称される。

BRICs4ヶ国は、2009年6月16日にロシアのエカテリンブルクで初めての首脳会議を開催した。2011年4月13日に中国の北京で行われた首脳会議には南アフリカ共和国が初めて参加し、首脳会議の正式名称をBRICS首脳会議(英語版)に変更した。 ブラジルのフォルタレザで開かれた第5回BRICSサミットの初日にあたる2014年7月15日、1000億ドルの資本金を持つ新開発銀行の設立と、同じく1000億ドルにのぼる外貨準備基金の設立を記した、長らく待ち望まれた文書に新興国の首脳らは署名した。
以下 URLへ


【註 2】
AIIB
   アジアインフラ投資銀行 Asian Infrastructure Investment Bank
   Infrastructure=(経済)基盤  Investment Bank=投資銀行
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%A9%E6%8A%95%E8%B3%87%E9%8A%80%E8%A1%8C
AIIB
アジアインフラ投資銀行とは、中華人民共和国が提唱し主導する形で設立を目指している、アジア向けの国際開発金融機関。2015年末の業務開始を予定している。
以下 URLへ


AIIBは必ず失敗する
   http://ironna.jp/theme/259
一体、この乖離はなんなのか。中国が設立を主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加の是非をめぐり、メディアの論調と世論が大きな違いをみせている。AIIBを評価する「中国の代弁者」たちよ、どうか日本の足だけは引っ張らないでくれ。(日中関係 小島新一編集長)
以下 URLへ


AIIBの参加遅れは財界人のせいか
   http://www.soubunshu.com/article/416653463.html
今回の駐中国大使によるAIIB参加発言は当然政府の指示や許可の下で行われましたが、私はむしろ駐中国大使の次の言葉が気になります。「財界は目覚めるのがやや遅かった。ただ、財界人らはすでにAIIBへの参加を訴え始めており、その訴えは有効なものとなるだろう。」
AIIB加入遅れは民間の目覚めが遅れたためであって、これから民間人が有効に訴えれば政府も参加に同意するだろうと仰っているのです!
ご存じのように、中国政府は最初から日本政府にAIIB設立参加を要請したのです。「中国を包囲するダイヤモンド構想」を公言して憚らない安倍総理にしてみれば「俺の包囲網から逃げたいのか」とも思ったでしょうが、最初から「不透明」「リスキー」「ADB(アジア開発銀行)がある」と相手にしませんでした。中国政府からどんな話と条件を受け取ったかは民間どころか、国会議員にも「不透明」でしょう。
以下 URLへ



 そう考えると、最終的に中国やサウジが米国債保有の大半を売る気だとしても不思議でない。今のところ米国債相場はむしろ上昇傾向で、中国やサウジはうまく米国債を売り払えるかもしれない。だが、保有額が世界第2位のわが日本は、対米従属一辺倒であるだけに、中国などの米国債売りのためにQEを拡大してやり、米国債が危機になっても手放さず、紙切れを握りしめていることになりかねない。 (多極化への捨て駒にされる日本)⇒【註 1】

【註 1】
(多極化への捨て駒にされる日本)
   http://tanakanews.com/150510japan.htm
多極化への捨て駒にされる日本
【2015年5月10日】 きたるべき米国の金融大崩壊で覇権体制が多極化する前に、日本をけしかけて中国敵視策を強め、ウクライナ危機を扇動してロシアを反米の方に押しやって中露を結束させ、米国に頼らない新しい世界秩序、つまり多極型の覇権体制を一足先に作る動きを中露に急がせる、それが米国中枢の隠れた意図と考えられる。ウクライナも日本も、米国の隠れ多極主義の捨て駒として使われている。安倍訪米で日米同盟が強化されたと喜んでいる場合ではない。
以下 URLへ


 米政府は今年3月から5カ月間、米国債の発行総額を増やさない状態を続けている。満期がきた国債と同額の新規発行はできるが、純増は許されない。これは、米議会の多数派が共和党に握られており、共和党が「小さな政府主義」で、法定上の米国債の発行総額の上限(現在約18兆ドル)を引き上げることを拒否していることが表向きの理由だ。実のところ、米政府と議会は、この政治対立によって米国債の発行総額を増やさないことで、需給逼迫の状況を作り、米国債の潜在的な信用が低下しても、金利が上がらないようにしている。国債発行が制限されているので、米国はインフラ整備もままならない。米国債の潜在的な危機は拡大している。 (150 Days: Treasury Says Debt Has Been Frozen at $18,112,975,000,000)

 ブルームバーグ通信によると、米国では直近のデータである7月分で、個人投資家が、株式投資信託から6・5兆ドル、債券投信から8・4兆ドルの資金を引き上げている。通常、株投信から引き上げられた資金は債券投信に流入する。両方からの資金流出は異常であり、08年のリーマン危機以来のことだ。米国民は全体として、金融投資の全般に対してリスクが大きすぎると考え始めている。金融システムは、QEやゼロ金利など過剰な緩和策で何とか延命しているだけで、いつ崩壊が顕在化しても不思議でない。米国も、最近の株安は一過性のものでなく、いずれ再発する可能性が高い。FTのようなマスコミですら、株の下落傾向が今後長く続くと書いている。 (Fed Up Investors Yank Cash From Almost Everything Just Like 2008) (US approaches a true bear market)

   【ブルームバーグ通信】 世界の最新経済情報/金融ニュース
   【 FT 】 The Financial Times 英国の経済紙

 今回の中国の株暴落や元切り下げは、受動的な動きでなく、中国政府が能動的にやっている経済構造の大転換であるという見方がある。これについては次回に書く。(次回とは 09月01日)

2015年09月01日 田中 宇
構造転換としての中国の経済減速
   http://tanakanews.com/150901china.php

 中国経済は減速するのか。株の暴落は、中国経済が大きく減速する序章なのか。それは今、世界中の経済専門家にとって、分析すべき最大の課題といえる。08年のリーマン危機後の世界経済の成長の3分の1は、中国経済の成長によるものだ。中国経済が大幅に減速すると、世界経済は不況に陥る。世界経済を下支えする力は、米連銀の緩和策よりも、中国の過剰投資政策の方がずっと強い。QEは、金融システムの延命に効果があるが実体経済を改善しない。世界の実体経済を支えてきたのは、中国の過剰投資だった。中国が過剰投資を縮小した結果、世界は不況の瀬戸際にある。FTは、QEを「宴会の酒(パンチボール)」にたとえ、中国の過剰投資策を酒よりずっと強い「麻薬(モルヒネ)」にたとえている。 (China-led market distress echoes taper tantrum) (ADB Chief Economist: Claims of China's growth collapse 'greatly exaggerated')

 中国の株暴落、人民元と金利の切り下げ後、中国経済が大幅減速しそうだとの観測が一時流れたが、その後、中国経済は大して減速しないといった分析が席巻するようになっている。 (China Stunner: Real GDP Is Now A Negative -1.1%, Evercore ISI Calculates)

 IMFは、8月中旬に発表した報告書に、中国の経済成長率が昨年の7・4%から今年は6・8%に減速するとの予測を盛り込んだ。ムーディーズは8月28日、中国の来年の経済成長率についての予測を、以前の6・5%から6・3%に引き下げた。いずれも、大した減速を予測していない。 (China pays the price of change) (On Second Thought, China Slowdown Will Hit Global-Growth Outlook)

 ゴールドマンサックスは、中国のバブル崩壊の元凶となっている地方政府の過剰投資について、中国政府が地方政府の高利の短期債務を、政府発行の低利の長期債務と交換(スワップ)し、投資部門が再活性化するので、中国経済の成長率が7-9月期の前年同期比7・5%から、9-12月期に8%成長へとむしろ加速すると予測している。 (GOLDMAN SACHS: Chinese economic growth is about to accelerate)

 中国経済があまり減速しないとか加速するといった予測が、具体的な成長率の数字をあげているのと対照的に、中国経済の大幅に減速するという予測には、具体的な数字がついていない。しかし、なぜ減速しそうかという構造的な分析は、大幅減速説の方がずっと説得力がある。中国経済は減速しにくいとの予測は、米欧日の株価を維持するための楽観論にも見える。IMFは中国経済の成長率を下方修正しそうだ。 (IMF: Global markets should brace for China slowdown) (IMF Says China Economy Slows; Caixin China PMI Collapses)

 インド人の経済学者サンジーブ・サンヤル(Sanjeev Sanyal)らによると、中国は投資主導の経済成長から離脱する移行期に入っており、投資の減速により、今後数年間、中国の経済成長率が低下すると予測される。彼によると、08年のリーマン危機後の世界不況によって工業製品の需要が世界的な落ち込んだため、中国は、世界への工業製品の輸出を増やすことで経済成長するそれまでの経済戦略を棚上げし、代わりに自国のインフラ整備や住宅建設などの投資を急増することで経済成長を維持した。 (Secular decline in China's growth could last several years: Sanjeev Sanyal)

 この投資増加策によって、中国は世界から鉄鉱石やエネルギーなどのコモディティ類、原材料を旺盛に輸入し続け、これがリーマン危機後の世界経済が不況から立ち直る原動力になった。米国など世界からの投資資金が、中国の交通インフラや工業設備、住宅建設などに投資され、資金は中国の株式市場にも入り込み、昨年からの株高をあおった。中国は、世界の投資資金の4分の1を使ってきた。 (Not seeing a cyclical downturn in China, but a structural shift: Sanjeev Sanyal)

 しかし、数年間の旺盛な投資の後、中国のインフラ整備や住宅建設は過剰気味になり、建設されたが使われていない工業設備や商業施設、住宅などが全国各地でかなり目立つようになっている。中国経済は11兆ドルの規模(GDP)だが、毎年5兆ドルの資金が中国の固定資産に投資されてきた。GDPの50%近い巨額の投資が行われているのだから、投資効率がやや低くても年率20%ぐらいの経済成長を中国にもたらしても不思議でないが、実際の経済成長率は7%程度であり、投資効率が非常に悪い。無駄な投資が大半であり、効率は年々悪化するばかりだ。FTやボストングローブなども、サンヤルと同様の分析を載せている。 (Why worries about China make sense) (The end of China's growth model)

 中国では、今年前半に2200キロの新たな高速鉄道(新幹線)が開通するなど、インフラ投資が依然旺盛だが、高速鉄道の新設はすでに最重要幹線網で一段落し、しだいに最重要でない路線の高速化になっている。投資効率は低下している。 (News Analysis: China boosts infrastructure investment to shore up growth)

 中国の固定資産投資は明らかに過剰だ。しかし、この数年間の中国の過剰投資がなかったら、リーマン危機後の世界不況はもっと長く厳しいものになっていた。中国は、世界経済にとって大恩人である。日本も、中国の投資拡大がなければ、アベノミクスなどと命名して浮かれていられなかった。 (新興市場バブルの崩壊) ⇒【註1】

【註1】
(新興市場バブルの崩壊)
   http://tanakanews.com/150825stock.php
◆新興市場バブルの崩壊
【2015年8月25日】 新興市場諸国の景気悪化は、資金調達バブルの崩壊が一因だ。もともと新興諸国の資金の多くは米国で調達されていた。だが、米国が戦略をドル安からドル高、金融緩和から金融引き締めの傾向に転換したことで、新興市場から米国への資金流出がひどくなり、中国の株暴落やブラジルの景気悪化などにつながった。
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 とはいえ、中国の過剰投資策は昨年あたりから弊害の方が多くなり、中国政府は今年から投資の増加を抑える政策を始めていた。今夏の中国株の暴落は、こうした過剰投資策の終焉を受けたものだった。 (China's push-me-pull-you policies leave the world reeling) (The Great Unwind, China Begins Dumping Treasuries)

 中国政府は、投資増を抑えたら経済成長が減速すると予測し、低成長が続く今後の状態を示すものとして「新常態」(new normalの訳語)という言葉を流布してきた。景気が減退すると、所得が減って市民の不満が増すなど、世の中全体の状況が悪くなる。中国の役人や企業人たちの中には、経済の減速を容認する習近平政権の姿勢に反発し、投資バブルを再燃・延命させようとする者が多い。 (Crises Put First Dents in Xi Jinping's Power) (We have reason to believe the unthinkable is happening to China's president)

 こうした全体的な趨勢に対抗するため、大統領に相当する習近平は、汚職取り締まりキャンペーンを使って共産党上層部の他の有力者たちの権力を削いで自分の力を増強し、毛沢東以来の大きな権力を握るようになった。トウ小平が1990年代に作った「集団指導体制」の時代が終わりつつある。習近平は、自分の側近たちに党内に小組織を作らせ、バブルを維持・延命させようとする役所から権限を奪い、政策決定権を小組織に与えている。 (The Chinese model is nearing its end)

 今夏の株の暴落も、習近平ら政権上層部は、意図して効果的な株価対策をやらず、暴落を看過容認した観がある。7月初めの暴落では、2日後まで中国当局が本格的な市場介入をしなかった。8月の暴落では、前日に利下げをやる選択肢があったのにやらず、暴落が2日続いた後の翌週になって「あとのまつり」的な利下げをやるなど、間抜けに見える政策をとっている。米欧の新聞は「中国政府は株価対策もきちんとできない無能な奴らだ」と書いている。だが、投資抑制と経済の減速を容認すべきかどうかをめぐって議論してきた中共の上層部が、株価の暴落を予測して対策を考えていなかったとは思えない。 (China's Next Problem: Paying for Its Stock-Market Bailout)

 習近平は、株価下落の責任を首相の李克強に押しつけている。実のところ李克強は、首相としての権力のかなりの部分を習近平に奪われ、中共史上再弱の首相と呼ばれている。株暴落への稚拙な対応は、李克強でなく、習近平の意図するところだったと考えられる。 (This Could Be Very Bad News Ahead Of China's Open Tonight) (Questions over Li Keqiang's future amid China market turmoil)

 投資バブルの戦略を縮小し、代わりの策を何もしなければ、中国経済はかなり減速する。習近平は、何か代わりの策をやろうとしているのだろうか。一つ指摘されているのは、中国国内に向けた投資増を抑止していく穴埋めとして、他の新興諸国や発展途上諸国の産業インフラなどの固定資産の国際投資を中国が急増することだ。中国は昨年から「海のシルクロード」「一帯一路」といった、国際インフラ投資の戦略をさかんにやっている。今春には、国際インフラ投資のための銀行としてAIIB(アジアインフラ開発銀行)も設立した。 (China Takes Its Debt-Driven Growth Model Overseas)

 この国際投資が、従来の中国の投資戦略と異なる点は、従来の中国が米国など世界からドル建てなどで資金調達して国内投資に回していたのと対照的に、昨今の中国の国際投資は多くの部分が人民元建てで、ドルや米欧に依存せず、中国自身の資金を世界に投資することだ。これまでの中国の国内投資は、リーマン危機後の世界経済の成長に不可欠なものだったので、それを代替する今後の中国の国際投資も世界経済の成長に不可欠なものになる。AIIBにそっぽを向いた米国や日本は、自らを負け組の側に置いたことになる(米国は隠れ多極主義、日本はその米国に従属)。人民元は来年、国際基軸通貨の一つとしてIMFのSDRに組み入れられるだろう。 (China's overseas investment paving way for renminbi internationalisation)

 投資バブル戦略を代替する中国の経済成長策としてもう一つ存在するのは「投資でなく国内消費で高度成長を実現すること」だ。FTなどは最近、株価が暴落しても北京や上海の市民の消費は旺盛です、と言いたげな記事を何本も出している。中国政府は、市民が金曜日に半休をとって週末に余暇に出かけてカネを使うことを奨励している。過剰投資戦略が終わり、超高級ブランドはぱったり売れなくなったが、白物家電などは人気商品がよく売れている。 (China's caravan parks defy economic fears) (China slowdown belies consumer market health)

 米国では、約半分の家庭が資産の一部を株式に投資しているが、中国で株式投資をやっているのは20-30人に一人だけだ。中国では、株価の暴落が市民全体の所得減に直結しない。中国では今年に入り、投資増の抑制で、製造業や建設業が明確に成長鈍化しているが、サービス業は成長が加速している。中国の消費社会は成長しつつある。 (Why China's stock market implosion might not be very meaningful) (On Second Thought, China Slowdown Will Hit Global-Growth Outlook)

 しかし、中国経済を投資主導から消費主導に転換するのは、少なくとも短期的に、かなり難しい。消費主導の成長モデルへの移行は、何年も前から提唱されていたが、実現はゆっくりしか進んでいない。中国人の多くは倹約家で、贈答や贈賄など「形を変えた投資」以外の、自家消費の部分では、なかなか旺盛に消費しない。ラテン的なブラジル人は、リーマン後の金利低下を背景に、旺盛な消費で2010年ごろまで一時期高度成長していたが、今はマイナス成長だ。この時期に、中国は旺盛な投資をしていた。この「ありとキリギリス」的な対照性には、国民性が反映されている。中国は、今後もなかなか旺盛な消費社会にならないだろう。 (Emerging markets: Fixing a broken model)

 このほか、これまでの投資バブル政策の中で巨額の起債や銀行借入をして不動産開発事業などに投資して多くが失敗している中国の地方政府の負債(高利の短期債務が中心)を、中央政府が債務保証する低利の長期債務と交換(スワップ)することで、経済が再活性化するという分析もある。中国経済の成長率が7・5%から8%に加速するという、前出のゴールドマンサックスの予測の根拠になっているものだ。この交換をやらないと、いずれ地方政府の事業性負債の多くが事業の破綻によって返済不能になり、金融危機を引き起こすが、交換を実施すると、それが新たな事業資金になって経済が再活性化すると、以前から多極化を予測してきた欧州のシンクタンク(LEAP)が分析している。中国政府が地方政府の債券を買い支える中国版QEもあり得るという。 (China - The potential financial meltdown)

 しかし私から見るとこれは、すでに行き詰まりを見せている投資バブルの再燃・再扇動でしかない。以前に非効率な投資を頻発していた地方政府が、今から急に効率的な投資をやるとは思えない。バブルを再膨張で延命させると、その後のバブル崩壊がさらに大きくなって手に負えなくなる。米国の債券金融システムがこの破綻の道をたどり、日本が日銀のQEで破綻道に同伴している。

 中国政府は最近、人民元を切り下げるなど、米国などからの投資金が自国から流出するよう仕向けている。これは株の暴落を黙認したのと同様、習近平政権の意図的な戦略だろう。今後、米国の債券金融システムがしだいに不安定になるだろうから、その際に自国への投資金が乱高下に巻き込まれるのを防ぐため、あらかじめ米国からの資金を意図的に流出させ、代わりに人民銀行が作った国内資金で穴埋めすることにしたと考えられる(そのため人民銀は国内銀行の準備金比率を下げた)。こうした姿勢から推測すると、習近平政権が米国と同じようなバブルの再膨張策をやりたがるとは思えない。

 中国政府の幹部の中には、経済が減速したらバブルを再膨張させるのが良いと考える者が多く(それは従来の世界的な常識論でもある)、バブル再膨張を禁じる習近平の策は不評だ。習近平は、自らに権力を集中させて独裁者になることで、常識論の台頭を食い止め、バブルの再膨張を防ごうとしている。経済成長が7%以下になると暴動が増えて政権崩壊につながりかねないと、中国政府自身が以前に言っていた。この論理は、中国がこれまでの投資バブル策を正当化するための誇張だった可能性もあるが、暴動が増えた場合の政権崩壊(党上層部の分裂)を防ぐため、習近平が独裁権力を強化したとも考えられる。 (We should worry about China's politics not the economics)

 今のところ、一帯一路やAIIBなどの対外投資の増加だけでは、既存の投資バブルを完全に代替することはできそうもない。一帯一路はもともと新疆ウイグル自治区の成長策として作られたが、同自治区とパキスタンやキルギスを結ぶ道路沿いにある開発区は、どこもガラガラで事業として成功していない(私は昨夏見に行った)。いずれ変わるかもしれないが、今はまだ無駄な投資が大半だ。中国経済はしばらく減速した状態(新常態)が続きそうだ。そして、中国の減速は世界不況を引き起こす。 (米国の利上げと世界不況) ⇒【註1】

【註1】
(米国の利上げと世界不況)
   http://tanakanews.com/150812dollar.php
米国の利上げと世界不況
【2015年8月12日】 米連銀が利上げを志向する目的は、景気の過熱を防ぐためでない。基軸通貨としてのドルの信用を守るためだ。従来、世界の多くの国々が、輸出を振興するため、米国債(ドル)を買って自国通貨を売り、自国通貨の対ドル為替の上昇を防いできた。米国がゼロ金利策を続け、低利回りのままだと、世界各国が米国債の保有を減らし、ドルが貿易決済通貨として使われず、ドルが基軸性を喪失しかねない。それを防ぐため、米連銀は短期金利を1-2%の水準に戻し、ドルや米国債の健全さを蘇生したい。
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 覇権分析として見ると、中国が対外的な固定資産投資を増やすことは、米国が覇権国になった直後の第二次大戦後、ドイツ・西欧や日本などに対してマーシャル計画など大きな国際投資を行ったことと似ている。米国の覇権(債券金融システム)がいつまで持つかによって、中国の台頭や覇権多極化の今後の速度も変わってくるが、世界情勢が覇権転換期の様相を強めていることは感じられる。



 09 04 (金) あれ!? ヒグラシが鳴いた     アブラゼミもほとんど聴かないのに

梅雨前線とおなじように秋雨前線が、日本列島と平行して海岸近くに停滞している。 秋野菜の種まきに困っていた。

晴れ間を見てきのう、大根をまいた。 白菜の植えつけとレタスの植えつけは済ませた。

けさ鞍馬沢の山から「ミーン、ミンミンミンミンミ-ン、 ~ ~ ~ 」と、懐かしげにヒグラシの鳴き声が一つ聞こえてきた。 あれ!? …… と耳を澄ましていたのに、彼の鳴きごえはきこえてこなかった。