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折々の記 2015 ⑦
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 08 】09/20

  09 20 安保法制論議の重い教訓   朝日新聞特別編集委員・星浩
  09 21 老衰による死亡   うるわしい穏やかな終末
  09 25 今日のニュース   戦争の反省から学びへ
  09 26 教育と米中首脳会談   新しい世界秩序の期待

 09 20 (日) 安保法制論議の重い教訓     朝日新聞特別編集委員・星浩

とうとう「(9月19日 2時22分)安全保障関連法が 参院本会議で可決・成立」してしまった。

これは 09 19 に書いた言葉でした。
09 20 の新聞記事を記録のため一部載せます。



朝日新聞
国民が政治を鍛え直す時
     特別編集委員・星浩
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11974238.html?ref=pcviewpage

 安全保障法制をめぐる国会論議が見せつけたのは、日本の政治がひどく劣化している現実だった。最大の責任は、安倍晋三首相にある。安保政策の大転換の意味を、懇々と説かなければならなかった。

 冷戦後、同盟国の米国はともすると、東アジアから引こうとする。一方で、中国の台頭は続く。米国との同盟関係を強化して中国と向き合う。それが日本にとって大切な選択であり、そのために限定的な集団的自衛権が必要だ――。安倍首相がそう考えているなら、理を尽くして冷静に説明するやり方はあったはずだ。

 柔軟な思考で野党とも話し合いの可能性を探る。時間がかかっても例えば、PKO(国連平和維持活動)への積極的な参加など、安保法制を一歩ずつ整備する手法もあっただろう。

 安倍首相は合意づくりの道を選ばなかった。瞬く間に広がった違憲論を説き伏せる気迫も論理も、示せなかった。だから、野党の追及に、まともに答えられない。

 多くの首相を見てきた。消費税を導入した竹下登首相に、関連法案の審議をいつまで続けるのかと聞いたら「野党が音を上げるまでだ」との答えだったことを覚えている。答弁席から野党議員に「早く質問しろよ」とヤジを飛ばす人はいなかった。

 日本が「存立危機事態」に陥れば、自衛隊に集団的自衛権による武力行使を命じる。誰よりも沈着さが求められる首相である。国会での安倍氏の姿に多くの国民は不安を感じたのだ。

 自民党の責任も重い。四半世紀前、イラクのクウェート侵攻を受けて自衛隊の多国籍軍支援に道を開く法案が提出された。政府の答弁は二転三転した。自民党は廃案を決断。引き返す度量を持っていた。今回は違う。党内論議もまともに行わない。本音では「法案には問題あり」と語る議員はいたが、公の席では声を上げない。多様な議論を交わせない政党の将来は暗い。

 野党も政府案への対抗軸を打ち出し、日本の将来を見据えた外交の構想力を競う。そんな場面がほとんど見られなかったのもいまの政治の身の丈だろう。
平和外交の在り方の具体的方法を提案して議論してほしかった。

 有権者にも問いたい。昨年12月の衆院選で、自民党が安保法制を整備することは、十分な分量ではなかったとはいえ、公約に掲げられていた。そこに選挙区で2546万人、比例区で1765万人が投票。47%が棄権した。小選挙区効果もあって、自民党は圧勝。安倍政権が存続し、安保法制の成立をもたらした。熟慮の末の投票・棄権だったのだろうか。多くの有権者が「こんなはずではなかった」と感じ、それが国会周辺の大規模デモにつながったのだろう。

 説得の力を欠く指導者、闊達(かったつ)さを失った政権党、半数近くが棄権する有権者……。嘆いてばかりはいられない。政治家任せにせず、国民の手で政治を、そして民主主義を鍛え直す時が来ている。それが、安保法制論議の重い教訓である。

読んでみると、星浩の思いがわかる

  米国の経済的負担の軽減のための日本の支援要請があったのか、推量か   国民との相談もなく腹を決めてしまった
  議論では真実に基づく発言でなかった
  野党も将来構想が乏しかった
  投票の棄権の多さに見られる国民の政治意識離れも大きい反省点だ
  デモは民意の意識発露のバロメーターだ
  自分達で民主主義を鍛え直す時が来ている

だから

  戦争回避の考えは、軍備や同盟によるものではなく、平和構築の具体企画を進めることです
  自衛隊は国際災害援助隊にすべきです
  不戦平和の壮大な企画は、政治家の本命の責任とすべきです
  21世紀こそ、温故知新の発想が急務の課題です
  壮大な思いやりの構想をうちたてることです



朝日新聞
法案可決からの始まり
     天声人語
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11974229.html?ref=pcviewpage

▼あの子たちはテレビニュースを見たのだろうか。1週間ほど前、同僚の記者から6通の「手紙」のコピーを見せられた。首都圏のある小学校の2年生6人が書いて、「安倍首相に届けてください」と校長室に持ち込んだという

▼いわば小さき有志である。どうしたらいいでしょうと、同僚は相談されたそうだ。見ると、ひらがなの多い文ながら戦争や平和について考えを懸命に書いていた。17日の参院特別委の採決は、これが現実とはいえ、あの子らには見せたくない言論の府の醜態だった

▼「議会の目的は殴り合いを議論に変えること」と、議会政治の本場英国のチャーチル元首相は言ったものだ。言葉の格闘こそ望まれるのに、集団格闘さながらの乱戦には大人も目を覆いたかった

戦後最低の投票率だった前回衆院選をへて、政府与党の思い上がりはここに極まった感がある。反対者を尊重しつつ治めるという民主主義の要所を顧みない。米国の警句「悪い政治家をワシントンへ送り出すのは、投票しない善良な市民たちだ」が胸をよぎる

▼政治家も官僚も、政策を立案して進めるのは、それを仕事として税金から報酬を受けている人たちだ。片や市民はデモが仕事ではなく、報酬もない。やむにやまれず行動する人たちである

▼茨木のり子さんの「内部からくさる桃」という詩から、一節を引きたい。〈ひとびとは/怒りの火薬をしめらせてはならない/まことに自己の名において立つ日のために〉。ここが新たな始まりになる。

   ひとびとは
   怒りの火薬をしめらせてはならない
   まことに自己の名において立つ日のために



<考論>欄
安保法成立、世界の目は 各国識者に聞く
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11974291.html

 <考論> 安全保障関連法を成立させた日本の動きを、諸外国も注視してきた。アジア太平洋地域の安全保障環境や日米関係、近隣諸国との関係にどう影響するとみているのか、各国の識者に聞いた。

① 脅威に日米で対処可能に 米国防大学国家戦略研究所上席研究員  ジェームズ・プリスタップ氏

 安全保障関連法は、新たに改定された日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に基づく防衛と安全保障の協力を明確に示したもので、重要だ。幅広い危機に対して切れ目のない対応ができるようになる。この対応には、尖閣諸島を含めた南西諸島も含まれる。中国への抑止力を高めるには、日米が危機に対処するため、共同で計画を立て、訓練して運用することを示すことが大切だ。

 (同法が東アジアの地域の安定を損ねるという)中国の主張は完全に間違っている。中国が尖閣周辺の日本の領海に侵入することをやめ、南シナ海で領有権を主張する計画を中止すれば、地域はより安定する。

 日米の防衛協力を強めることは、高まる北朝鮮の脅威に対しても日米が共同で対処するきっかけになる。

 過激派組織「イスラム国」(IS)に対処するために自衛隊を中東に派遣することを米国が求めるとは思わない。イラクやアフガニスタンでの戦後復興のような平和維持や支援活動が自衛隊の役割だと考える。(聞き手・峯村健司)

② 日中首脳合意に矛盾では 上海国際問題研究院研究員  呉寄南(ウーチーナン)氏

 自衛隊が日本周辺だけでなく世界中で米軍とともに戦争を行うことが法律上できるようになったと懸念している。戦場外での給油などの後方支援も、相手国からすれば同じ戦闘行為だ。

 日本は過去の反省から憲法9条のもとで平和国家の道を歩んできた。一内閣の判断でこの国際的評価を損ないかねない事態で、日本政治の大転換を意味する。

 安倍政権は、中国の海洋進出や軍備拡張を「脅威」とみなし、「(中国への)抑止力」を理由にしているが、2008年に両国首脳が「互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」と合意したことと矛盾しないか。

 習近平(シーチンピン)国家主席は「覇権を求めない」と表明した。2度の首脳会談を経て海空域の衝突回避の連絡メカニズムの協議なども進んだ。そんな中で中国の脅威を理由に法案を通したのでは、中日関係にプラスにならない。中国側は安倍政権が何をやろうとしているのかを厳密に観察し、警戒を強めていく。中国も対抗策を講じなければならない。(聞き手・倉重奈苗)

③ 対話で東アジアの信頼を 韓国・東西大日本研究センター所長  趙世暎(チョセヨン)氏

 安全保障関連法の成立は、平和憲法下の抑制的な防衛政策の一大転換にあたる。「専守防衛の枠を超えない」という言葉だけでは納得できない。

 日本が、集団的自衛権の行使が可能な「普通の国」になれば、韓国の安保政策にも重要な変数が追加される。安倍政権は「積極的平和主義」を唱えるが、実際には、日本が抑止力を強化すれば、相手国も対抗して抑止力を強化する。この地域の安保環境はむしろ不安定になる懸念がある。

 韓国の立場では、日本の安保法制により北朝鮮の核・ミサイルの脅威への対抗能力を高めることに、肯定的な側面がある。一方で、日中間に摩擦が生じる可能性を憂慮せざるを得ない。

 日本は周辺国から信頼を得なければならないが、安倍政権の歴史修正主義的な姿勢によって、逆に日本への不信感が高まっている。

 安保は抑止力の強化だけでは不可能で、対話と協力も必要だ。現実的な抑止力を維持しつつ、東アジア地域での協力と信頼構築に向けてさらに努力すべきだ。(聞き手・牧野愛博)

④ 南シナ海「力の均衡」期待 フィリピン元外務次官  ラウロ・バジャ氏

 南シナ海を含む東南アジアの力のバランスは現在、中国に大きく傾いている。強大な軍事力という物理的な手段を持ち、南沙(スプラトリー)諸島の埋め立て・開発など思いのままに活動しているが、周辺国には対抗できる力がない。

 日本が安全保障関連法によって地域への関与を強め、「力の均衡」に寄与することを期待する。現段階で、自衛隊の貢献内容は定かではなく、多くを期待するべきではない。だが我々は武力に限らず、船舶などの装備品、安全保障上の重要情報の提供など幅広い支援を必要としている。

 太平洋戦争で旧日本軍の侵略を受けた経験から、自衛隊の活動拡大に反発する声はフィリピンの一部にはまだある。だが時代は進み、「力の均衡」への寄与に期待する声の方が高まっている。過去を忘れないことは重要だが、とらわれ過ぎてはいけない。

 日本は大国でありながら、安全保障分野で地域や地球規模の役割を果たしてきたとは言いがたいが、その時が来たということだ。(聞き手・佐々木学)



安保法成立、世界の目は 各国政府の反応
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11974292.html?ref=pcviewpage

 安全保障関連法の成立を受け、各国は相次いで声明を発表した。日本への期待と懸念が交錯した。

① 米「同盟強化を歓迎」

 米国務省と国防総省は18日(日本時間19日)、「(日米の)同盟を強化し、地域・国際社会の安全保障の行動において、より積極的な役割を果たそうと日本が進めている努力を歓迎する」とした。

 南シナ海の領有権問題で中国と激しく対立しているフィリピンは、デル・ロサリオ外相が歓迎。そのうえで、「日本との戦略的パートナーシップを強める様々な取り組みを期待する。地域の平和と安定、国際社会の繁栄という共通の目的に大きく寄与する」とした。

② 豪「国防協力強める」

 ターンブル新首相が誕生したばかりのオーストラリアも歓迎姿勢だ。アンドリュース国防相は19日、豪州が進める次期潜水艦導入計画との関係に言及。「日本の国防政策の改革は、日豪間の国防・安保協力をさらに強めるもので、それには潜水艦の競争評価プロセスへの参加も含まれる」とした。

③ 中「軍事動向に関心」

 一方、中国外務省は19日未明、外交ルートを通じて日本側に対し「歴史的原因から日本の軍事動向には強い関心がある」との立場を伝えた。国防省は同日、「日本の平和憲法の制限を打ち破るものだ」と批判。日本が「軍事同盟を強化し海外派兵を強化しようとしていることは、日本の民衆と国際社会の強烈な憂慮を招いている」と懸念を表明した。

④ 韓「平和憲法堅持を」

 韓国は外交省報道官が「戦後、一貫して維持してきた平和憲法の精神を堅持し、地域の平和と安定に寄与するよう、透明性をもって推進すべきだ」との論評を発表。その中で「韓(朝鮮)半島の安全保障及び、我々の国益と関連した事案については、我々の要請や同意のない限り、集団的自衛権の行使は認められないことを改めて明確にしたい」とした。


 09 21 (月) 老衰による死亡     うるわしい穏やかな終末
NHK 総合 2015年9月20日(日) 午後9時00分~9時49分
老衰死  穏やかな最期を迎えるには

65歳以上の高齢者が3千万人を超え、史上類を見ない超高齢社会に突入した日本。医療の進歩とともに病を克服し、長寿化を成し遂げたいま、増え続けているのが「老衰死」だ。
戦後一貫して減り続けてきた「老衰死」の割合が、近年増加に転じている。背景にあるとみられているのが、点滴や胃ろうなど、徹底的に治療を尽くして延命を図るのではなく、“苦しまず穏やかな最期を迎えたい”という考えの広がりだ。番組では、入所者の平均年齢が90歳を超える都内の特別養護老人ホームを舞台に、半年間に渡って看取りの現場を記録。さらに、欧米諸国の研究機関を訪ね、老い衰えがもたらす穏やかな「老衰死」とは一体どのような死なのか、そのメカニズムに迫った。いつか必ず訪れる死をどのように受け止め、より良い最期を迎えるにはどうすればいいのか。長寿社会のいまを見つめる。
昨夜 09 20 21:00~21:45 NHKテレビで老衰死の放映があった。 秋から冬にかけて木の葉が落ちることと同じく、人もまたすべての活動の終末を迎えることは苦しみもない穏やかな永遠の眠りだと関係者は説明した。

花をみると、春に芽を出しやがて実をむすんで冬をむかえて枯れていく。 コオロギは八月の七夕さまの頃から鳴きはじめ霜がくる頃には鳴きやんで一生をおわる。

自然の摂理に準じて生滅している。

人の一生も大脳も感覚も五臓六腑も痛みや苦しみもその世代交番という役目を終えると、老衰して穏やかに亡くなっていく。 それが自然の摂理だから安心して生きていくことがだいじだと思う。


     水鏡述懐

滅びの相を知りて物事に執着せず
在るがまま生を送るこそいみじきことと存じ候
老いてなお寂しさを知らざるは心やすまることなし
花の散るごとく木の葉の落つるごとく 幕を引くこと美しく存じ候

                      戊子睦月  水鏡

from
2008 01 14(月) 温暖化への対応 <ニコラス・スターン>   <http://park19.wakwak.com/~yoshimo/moto.3331.html>


 09 25 (金) 今日のニュース     戦争の反省から学びへ

【その一】
NHKニュース 2015年(平成27年)9月25日[金曜日]
マララさん「すべての子に質の高い教育を」
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150925/k10010246871000.html


世界の持続的な発展を目指す新しい開発目標を採択する国連サミットが開幕するのを前に、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんがNHKのインタビューに応じ、「新しい開発目標では、すべての子どもたちに質の高い教育を実現してほしい」と訴えました。

マララ・ユスフザイさんは、25日に開幕する国連サミットで各国の首脳などと共に、世界の貧困や格差の解消を目指す2030年までの新しい開発目標の達成に向けた取り組みを表明する予定です。
これを前にNHKのインタビューに応じたマララさんは、以前の開発目標は初等教育にしか焦点を当ててこなかったと指摘したうえで、「新たな開発目標では、夢を大きく持ち、すべての子どもたちに12年間の質の高い教育を実現してほしい」と訴えました。
また、マララさんは、内戦が続くシリアから逃れてきた難民の子どもたちについて「教育を受けることは子どもたちの権利で、難民だからといってその権利が奪われるものではありません」と述べ、難民の子どもたちへの教育に国際社会が取り組むよう呼びかけました。
マララさんは、ことし7月、シリア難民のキャンプに学校を開設するなど精力的に活動していて、近くマララさんの日常を追ったドキュメンタリー映画も公開されることになっています。
この映画について、マララさんは「多くの人に力を与え、みずからの権利のため立ち上がり、声を上げるべきだと気付くきっかけになることを願っています」と話しています。

【その二】
NHKニュース 2015年(平成27年)9月25日[金曜日]
首相 「1億総活躍社会」担当大臣新設へ
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150925/k10010246991000.html


安倍総理大臣は、自民党の役員人事と合わせて来月4日からの週に断行する内閣改造で、24日に表明した誰もが活躍できる『1億総活躍社会』の実現に向けて、担当大臣を新たに設置する意向を固めました。

安倍総理大臣は、今月末で任期が切れる自民党の役員人事と合わせて、来月4日からの週に内閣改造を断行する意向で、党役員人事では谷垣幹事長に加えて二階総務会長を続投させる方針です。
また、内閣改造では、菅官房長官、麻生副総理兼財務大臣、岸田外務大臣、塩崎厚生労働大臣、それに甘利経済再生担当大臣を続投させるなど、来年の参議院選挙や政策の継続性を考慮して、党と内閣の骨格は維持する意向です。
こうしたなか安倍総理大臣は24日、自民党総裁への再選が正式に決まったことを受け、今後の政権運営について「目指すは『1億総活躍社会』だ」と述べ、希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、それに安心につながる社会保障の新たな「三本の矢」で、誰もが活躍できる『1億総活躍社会』の実現を目指す考えを表明しました。
安倍総理大臣としては、アベノミクスの成果を国民全体が感じられるよう、子育て支援や社会保障に集中的に投資することで「1億総活躍社会」を実現したい考えで、具体策の実行に当たる担当大臣を、来月の内閣改造で新たに設置する意向を固めました。
安倍総理大臣は、アメリカのニューヨークで開かれている国連総会での一般討論演説などに臨むため、26日、日本を発つことにしており、来月2日に帰国したあと、内閣改造に向けた調整を本格化させるものとみられます。

【その三】
NHK総合 2015年9月27日(日) 午後9時00分~9時58分
作家 山崎豊子
    ~戦争と人間を見つめて~


戦後の日本社会の暗部をえぐる数々の大作を世に問い、おととし、89歳で亡くなった作家・山崎豊子。山崎が死の床でまで書き続けたのは、戦争を経験した日本人の生き様だった。そして、その重厚な作品世界の土台となったのは、膨大な取材だった。山崎は、誰と向き合い、何を考え、どのように戦争と人間を見つめ続けたのか―。
山崎作品の主人公は、誰もが敗戦を明視し、自らの人生を厳しく律する。50年以上、山崎の作家活動を支えてきた秘書は「すべての主人公には、山崎の“かくあるべし”という理想が込められていた」と追想する。番組では、残された600本もの取材テープから作品群を読み解き、山崎が心血を注いで紡ぎ出した作品の深層を探っていく。さらに映像化された数々の作品で主演を務めた仲代達矢さんによる朗読や、「白い巨塔」「不毛地帯」の主人公を演じた唐沢寿明さん、「運命の人」の主人公を演じた本木雅弘さんの証言を交えながら、戦争を経験した日本人の「戦後の生き方」を問い続けた山崎のメッセージを凝視する。

【その四】
NHK総合 2015年10月10日(土) 午後9時00分~9時58分
私が愛する日本人へ
   ~ドナルド・キーン 文豪との70年~


「日本人と共に生き、共に死にたい――」東日本大震災の直後、日本国籍を取得したアメリカ生まれの日本文学研究者、ドナルド・キーンさん(93歳)。キーンさんは戦後70年に渡って、日本の文学の魅力を世界に伝え続けた。吉田兼好から太宰治や三島由紀夫までを次々と英語に翻訳。キーンさんの功績なしに、日本文学が世界で読まれるようにはならなかったとも言われ、その見識の高さからノーベル文学賞の審査に影響を与えたほどだ。太平洋戦争の最中、敵国・日本の情報分析係として日本語を身につけたキーンさんは、戦場で出会った様々な日本兵の姿から日本人に深い興味を抱いた。そして戦後、文学者となったキーンさんは、幾度となく滞在した日本で、数多くの文豪たちとの交流を重ねながら「日本人とは何者なのか」という壮大な問いを考え続けてきた。番組では、ドラマとドキュメンタリーを交差させながらキーンさんの波乱に満ちた歩みを描き、キーンさんが長い時間をかけてたどり着いた日本人への暖かくて厳しいメッセージを伝えてゆく。

【番組ナビゲーター】渡辺謙
【ドラマ出演】川平慈英、篠井英介、斉藤由貴、南野陽子、温水洋一、パトリック・ハーラン、
木下隆行、蛭子能収(順不同)ほか


 09 26 (土) 教育と米中首脳会談     新しい世界秩序の期待

烏合の衆の教育底上げを急げ、かたや烏合の衆の戦争卒業から平和企画を急げ !!

【その一】
朝日新聞デジタル > 記事(1面) 2015年9月25日
テロ思想根絶へ「兵器より子供に本を」
     マララさん語る
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11981447.html


 2014年のノーベル平和賞受賞者、マララ・ユスフザイさん(18)が、自身を題材としたドキュメンタリー映画の制作を機に、朝日新聞とのインタビューに応じた。「無人機ではテロの思想を殺すことはできません。そうした考えをやめさせ、子供たちに銃を取らせたくないのであれば、本を与えなければなりません」と語り、各国が軍事よりも教育や医療に予算を振り向けることこそがテロや過激思想に対抗する最善の道だと訴えた。▼12面=記者から子どもたちへ

 マララさんは、「残念ながら世界は兵器にお金を費やしすぎている」と述べ、世界の軍事費の8日分で、世界中の子供への初中等教育1年分になると指摘。過激派が生まれる背景として「多くは教育を受けておらず、職がなく希望もない。だから彼らは銃を取る」と語った。

 インタビューに先立つ国際メディアとの記者会見では、シリア情勢について「今や何百万人もの子供たち、人々が難民となっている。世界が目を向けなければこの戦争は続き、より多くの人たちが難民になり、より多くの子供たちが教育を奪われる」と警告した。

 自身の今後に関しては「殺される恐怖は、今や消えてしまった。誰も私を止めることはできないと信じているので、この活動を続ける」と表明した。(ロンドン=梅原季哉)

【その二】
朝日新聞デジタル > 記事 2015年9月25日
経済前面「新3本の矢」 首相会見、GDP600兆円目標
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11981449.html


 自民党は24日、党本部で両院議員総会を開き、安倍晋三首相(党総裁)の無投票再選を正式に決めた。首相は記者会見で、「アベノミクスは第2ステージへ移る。『1億総活躍社会』を目指す」と語り、強い経済など新たな「3本の矢」を提唱。2014年度に約490兆円だった国内総生産(GDP)について「GDP600兆円の達成を明確な目標に掲げたい」と宣言し、経済や社会保障に焦点を当てる姿勢を鮮明にした。▼3面=参院選を意識、6面=アベノミクス遠い実感

 安倍政権は、安全保障関連法を成立させた影響などで内閣支持率が低下するなか、再び経済を「最優先」に掲げることで支持率回復のシナリオを描く。

 総裁任期は18年9月末まで。首相は党本部で記者会見を開き、これまでの「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」に代わり、「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」の3点を掲げた。その上で、「誰もが家庭で職場で地域で、もっと活躍できる『1億総活躍社会』をつくる」などと述べた。

 子育て支援では、欲しい子どもの数をもとに算出する「希望出生率1・8の実現」を提案。「介護離職ゼロ」と生涯現役社会の構築のほか、待機児童ゼロや幼児教育無償化、3世代同居拡大などの支援策で、「50年後も人口1億人を維持するという国家としての意思を明確にする」とした。

 また、17年4月に予定される消費税率の10%への引き上げについては、「リーマン・ショックのようなことが起こらない限り予定通り実施していく」と話した。

 10月上旬に予定する内閣改造について、首相は「大きな骨格は維持しながら、同時に老・壮・青、男性、女性、バランスの取れた体制を整えたい」。菅義偉官房長官や麻生太郎財務相ら主要閣僚は留任させる意向を示唆した。(笹川翔平)

 ■会見骨子

   ・内閣改造・自民党役員人事では大きな骨格を維持
   ・アベノミクスは第2ステージ。「1億総活躍社会」を目指す
   ・GDP600兆円の達成
   ・希望出生率1.8を実現。50年後に人口1億人維持
   ・2017年4月の消費税率10%への引き上げは予定通り実施
   ・参院選で憲法改正を公約に掲げる

【その三】
朝日新聞デジタル > 記事 2015年9月25日
ふつうの女の子の大きな勇気
     マララさんにインタビューして
     ヨーロッパ総局長・梅原季哉
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11981335.html


 ▼(1面)から続く
 ◆学校に通う年ごろのみなさんへ


 マララ・ユスフザイさんは、ボードゲームのモノポリーが好きなごくふつうの18歳の女の子です。イギリスのバーミンガムで女子校に通っていて、ふだんは毎日、宿題と向き合い、テストに向けて勉強しています。息抜きのゲームでズルをして弟たちとケンカになることもありますが、本人によると「ほんのちょっぴりだけ」だそうです。

 そのマララさんが去年、2014年のノーベル平和賞を受けました。今度は映画の主人公にもなりました。彼女が特別な有名人で、何か特権を持っているからでしょうか?

 いいえ、そうではありません。マララさんはあなたたちと同じようなごくふつうの一人の子として、「学校に行きたい」と思った。その望みを隠(かく)さず、ブログに書くなどして、おおっぴらに声を上げた。そのことが気に入らない者たちが、マララさんを黙(だま)らせて、見せしめにするため、撃(う)ち殺そうとしたのです。

 今から3年前の2012年10月まで、マララさんは、生まれ育ったパキスタンのスワート渓谷(けいこく)という地方で暮らしていました。学校帰りのバスに乗り込んできた男たちが、「マララはどこだ」と聞き、彼女の頭をねらって銃を2発、撃ったのです。奇跡的に命は助かりましたが、意識不明の重体になり、緊急手術のためイギリスに運ばれました。

 男たちは、パキスタンで政府のやっていることを認めず、武器を手にこの地方の人々を支配していた「パキスタン・タリバーン運動」のメンバーでした。

 パキスタンのほとんどの人はイスラム教を信じています。マララさんもそうです。ところが、この「タリバーン」の男たちは、「イスラム教は女の子への教育を認めない」と主張して、学校を壊(こわ)したり、勉強する女の子たちに暴力をふるったりしました。マララさんはそれに対し「イスラム教は平和の宗教です。学ぶのを禁じていないどころか、学びなさいというのがイスラムの教えです」と批判したのです。

 そのために撃たれてしまいました。でも声を上げることをやめませんでした。パキスタンだけでなく世界中に、学校に通えない何千万人もの子供たちがいることを知り、その子たちの代わりに、「あらゆる子供に教育を」と主張しています。

 今も命をねらう者たちがいるのに、とても勇気がいることです。だから、彼女の言っていることは正しいと支持する姿勢を示すために、ノーベル平和賞が贈られたのです。

 映画もできて、世界中の注目は増す一方です。私は同じ年ごろの子を持つ一人の親としてちょっと気がかりで、彼女の思いを聞いてみました。

 でも、マララさんは「私は私。背の高さも同じです」と冷静でした。平和賞は世界中の子供たちへ贈られたもので、映画も、世界中の女の子の物語だと受け止めています。

 パキスタンにはまだ彼女を快(こころよ)く思わず、文化の違う西洋にちやほやされる操り人形だとみる人もいます。でも、私が聞いたのは、時にとつとつとしていましたが、彼女自身が考えた言葉でした。

 マララさんは何より、ふるさとのパキスタンに戻りたいのに、身の危険にさらされるので帰れずにいます。生まれ故郷を奪われているのは、今、国の中で戦争をしているシリアから、家族と逃れてくる何万人もの子たちと変わりません。「難民」なのです。

 子供たちをそんな目にあわさず、のびのび学校に通える平和な世界をつくる。それが大人が取り組まなければいけない宿題です。

 インタビューと会見要旨
 ◆世界は兵器にお金を費やしすぎ
     誰も私を止めることはできない


 朝日新聞によるマララ・ユスフザイさんのインタビューと記者会見でのやりとりの要旨は以下の通り。

 ――今回の映画を通じ、女子教育を標的にする勢力に何を言いたいですか。

 今回の映画は私たち一家族だけの話ではなく、世界中の何百万人もの人たち、教育を奪われた何百万人もの女の子の物語です。映画を通じ人々の意識が向上し、今でも世界中で6600万人以上の女子が学校に通えずにいることを思い起こしてほしいです。

 ――今年1月、過激派組織「イスラム国」(IS)に2人の日本人が殺されました。イスラム教についてどう考えますか。

 イスラムは平和の宗教です。イスラムという語自体が平和を意味するのです。イスラムの教えの中では明確に、もし一人の人間を殺せば、それは人類全体を殺害することだと説かれています。残念ながら、自分たちが真のイスラム教徒だと自称している人たちは、イスラム教について真実の知識を持っていないのです。

 ――今年は被爆70年で、一方であなたの国パキスタンも隣国インドも核兵器を持っています。核というもの、あるいは兵器全般についてどう考えますか。

 兵器は常に破壊をもたらします。世界は兵器にお金を費やしすぎています。もし世界の指導者が、軍に費やす総額のわずか8日分だけでも支出をやめさえすれば、世界中のあらゆる子供たちを対象とした12年間にわたる教育(初中等教育)への支出が1年間可能になります。

 私たちは彼らに対して、教育や保健衛生こそが人々にとって重要なのだと思い出させる必要があります。

 私がオバマ大統領に無人機攻撃の問題を提起したのは、無人機がテロリストを殺害できるのは確かですが、テロの思想自体を殺すことはできないからです。こうした人たちの多くは教育を受けておらず、職がなく、希望もないのです。そして彼らは銃を取るのです。子供たちに銃を取らせたくないのであれば、本を与えなければなりません。

 ――ノーベル賞受賞で何か変わりましたか。

 私は同じ私です。背の高さも同じで、体が変わったわけでもありません。

 でも、この賞は機会をもたらしてくれました。例えばカイラシュ・サティヤルティさん(ノーベル平和賞を共同受賞したインドの活動家)や、マララ基金、そのほか多くの団体が教育のためにしていることについての注目です。

 ――パキスタン国内では、マララさんは大人に言わされているだけといった見方をする人もいます。

 そうした人はとても少数だと思いますが、批判されるのは時にはいいことです。

 ――あなたはとても勇敢で冷静ですが、常にそうだったのですか。

 スワート渓谷にいたころ、学校に行くのが怖かった。テロリストが私をむち打つかもしれなかった。でも黙ったままでは状況は決して変わらない。それが私に勇気をくれたのです。今は私はとても楽観的です。

 ――ISの支配地域から、女性にとってひどい状況が伝わってきます。何ができるでしょうか。

 私たちの政治指導者は共にこの現象に真剣に向き合う必要があります。今や何百万人もの子供たち、人々が難民となっているからです。

 ――撃たれたことは運命だったと感じますか。

 私はもう一度狙われる可能性があるし、十分だからもうやめようというべきか、人生で想像できる最悪の時は過ぎた、というべきか、選択を迫られました。私は続ける、と言いました。殺されることについて抱いていた小さな恐怖は、今や消えてしまったからです。誰も私を止めることはできないと強く信じて、この活動を続けます。

 ◆映画「わたしはマララ」12月公開

 デイビス・グッゲンハイム監督による、マララさんを描く映画「わたしはマララ」は10月から米国で公開され、世界中で上映される(日本では12月から)。マララさんは「この映画を通じて、人々が意識を向上させ、今も世界中で6600万人以上の女子が学校に通えずにいるということを思い起こしてほしい」と語った。

 インタビューと記者会見は、映画制作がほぼ終了した8月に実施。朝日新聞のインタビューには、ケニア紙記者が同席した。(ロンドン=梅原季哉)

【その四】
朝日新聞デジタル > 記事 2015年9月25日
習氏、米IT界へ熱弁
     アップル、IBM、マイクロソフト…トップ一堂
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11981345.html


 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は、公式訪米の最初の訪問地となった西海岸シアトルで、積極的な経済外交を仕掛けた。アップルなど米国を代表するIT企業のトップらを一堂に集め、巨大な中国市場の魅力を訴えた。だが、サイバー問題などをめぐり、企業の間では温度差もみられる。

 23日午前(日本時間24日未明)、シアトル市内のホテルで開かれた会合「米中ビジネス・ラウンドテーブル」で習氏を迎えたのは、マイクロソフトのサトヤ・ナデラ氏、アマゾンのジェフ・ベゾス氏、アップルのティム・クック氏、IBMのバージニア・ロメッティ氏、アリババの馬雲(ジャック・マー)氏ら、米中の有名企業トップ30人だった。

 米中の経済、ひいては世界経済を動かす「オールスター」がこれだけ一堂に会するのは異例。4月に訪米した安倍晋三首相がシリコンバレーを回った際、面会した大手企業CEOは数人程度とみられ、中国市場を背景にした習氏の「集客力」の差が歴然と表れた。

 習氏は「中国経済の潜在力は巨大だ」と述べ、「外資の規制を大幅に減らして知的財産の保護を拡大する」と、中国へのさらなる進出を促した。

 習氏は前日に中国企業と航空機300機の購入契約を結んだボーイング社の工場を訪れたほか、マイクロソフト本社も訪問。マイクロソフト本社では米中のIT企業や政府関係者が集まった「米中インターネットフォーラム」も開かれた。

 中国政府は、ITを使った産業構造の高度化を図ろうとしている。発展モデルの転換の成否は、中国の将来を左右する。習氏が訪問地にシアトルを選んだ一つの理由は、この問題解決の重要なパートナーが米国だと訴え、対米重視の姿勢を印象づけることだ。

 ◆企業側、規制に不満も

 一方、米企業にとって、中国はのどから手が出るほど欲しい市場だ。ただ、中国政府が求めるネットの検閲などの条件は、匿名性などネットの根幹に関わる問題でもあり、米企業にとって容易にのめるものではない。

 フェイスブック、グーグル、ツイッターのトップは「ラウンドテーブル」に参加せず、フェイスブックのザッカーバーグCEOのみ、自身が参加した別の会合に習氏が立ち寄った際、記念撮影にだけ納まった。3社はいずれも、中国での利用が厳しく制限されているか、通常のサービスが使えない状態になっている。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、中国政府は今夏、米国のIT企業に対し、第三者がシステムにアクセスできるようにすることなどを求めた文書を作成していたという。

 中国の厳しい規制に、米国企業の不満は高まっている。米中ビジネス協議会が今月公表した調査では、中国で展開する米国のIT企業のうち、中国政府のIT関連の改革で業績に「良い効果が出ている」と回答したのは1%だけだった。

 米政府関係者は、習氏のシアトル訪問の狙いについて「首脳会談で大きな成果が出せない状況で、中国により好意的な企業に近づいて対中感情を良くしたいのだろう」とみる。サイバー問題で米政府が中国の企業などへの制裁を検討するなか、発言力のあるIT企業トップらとの会談で影響を和らげる思惑も透ける。

 中国国営新華社通信によると、マイクロソフト本社で習氏は、「ネットの安全問題で建設的な対話を果たすことを、米中協力の看板にするべきだ」と述べたという。

 (シアトル=林望、宮地ゆう、ワシントン=五十嵐大介)

【その五】
朝日新聞デジタル > 記事 2015年9月25日
(耕論)米中関係のいま
     趙可金さん
     デービッド・ランプトンさん
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11981314.html


 訪米している中国の習近平(シーチンピン)国家主席が、25日にオバマ米大統領との首脳会談に臨む。経済、軍事の力を背景に「新型大国関係」を突きつける中国と、警戒感を強める米国。両国の専門家には、今の米中関係はどう映るのか。

 ◆新たな国際秩序築く局面に 趙可金さん(清華大学副教授)

 今回の習氏の訪米は、世界第2の経済大国になった中国と超大国米国が協調に基づく関係を築くのか、競争の道を歩むのかを方向付ける可能性があるという意味で歴史的に大きな意味があります。

 中国では、1979年の米中国交正常化直後の(実質的な最高実力者だった)トウ小平氏の訪米に匹敵する意義があるとの声が出ています。トウ氏訪米は中国の進む方向を決め、世界を変えたとも言えます。米ソ冷戦下で中国が米国寄りに立場を移したことで、ソ連の孤立と冷戦終結を早めた側面があり、国内的には始まったばかりの改革開放に米国の支持を得て、その後の路線が固まりました。

 中国はそれから経済発展優先の道を歩んできましたが、成長の鈍化などを踏まえ、さらなる転換期を迎えています。米国も環太平洋経済連携協定(TPP)などを打ち出し、新たな国家戦略を始動させている。その中で互いの存在を受け入れ、共存できるかどうかは世界の未来に影響する話です。

 ◆縮小する国力差

 南シナ海やサイバーの問題、人権問題など、両国間の対立が目立ち始めているのは事実です。根底には、米中関係が国際秩序を巡る争いの局面に入ったという大きな流れがあります。中国の国内総生産(GDP)は日本を抜き、米国の約3分の2の規模になりました。国家としての力の差がなくなっていく中で先鋭化するのは、相手の制度や発展モデル、価値観を認められるかという問題です。具体的な利益の争奪より、世界はどのような秩序やルールに従うべきかという争いになっていく。

 象徴的なのが、インターネットを巡る対立です。米国はネット空間は自由であるべきだと主張します。中国はネット空間にも国家の「主権」が存在し、国家の安全を守るための「デジタルボーダー(国境)」があるべきだとの立場です。だから「(海外サイトへのアクセスを制限する)ファイアウォール」も必要になる。二つの価値観と秩序のせめぎ合いです。

 中国の対外政策は、北京五輪や(欧米を揺るがした)リーマン・ショックのあった2008年を境に大転換しました。「韜光養晦(とうこうようかい)(実力を隠して力を蓄える)」から「奮発有為(勇んで事を為す)」への転換です。南沙諸島で「争いは棚上げし、共同開発する」という立場は変わっていません。ただ、フィリピンやベトナムの一方的な開発に対応する余裕が出てきたことで、言うべきは言い、やるべきことはやるとの立場に変わった。周辺から侮られない大国としての外交への転換です。

 ◆対立越え成果も

 その中国が既存の超大国である米国との衝突を避けるため、習指導部が提唱したのが「新型大国関係」です。摩擦が目立ち、試みは挫折したとの声もありますが、新型大国関係は双方の協力関係だけを指しているわけではない。両大国が直面する矛盾を含む概念であり、相手の核心的利益に手を突っ込まないという前提に立てば何でも話し合えるというものです。

 米国がそれを受け入れないからといって、取り下げるものではない。肝心なのは我々は米国との全面的な衝突は望まない、それは双方の利益にならないという中国の立場を表明することなのです。両国は冷戦時代のような関係でもないし、同盟関係や全面的な戦略パートナーシップでもない。その中間にあるのが「新型大国関係」であり、その定義は双方の努力でこれから決まっていくでしょう。

 今回の首脳会談は厳しいやりとりが予想されますが、相互の依存関係が深まっている経済や環境問題を中心に成果が示されるでしょう。衝突回避の必要から、軍同士の信頼醸成の仕組みも具体化すると思います。南シナ海やサイバーの問題などで米社会の中国への視線は厳しくなっていますが、それを乗り越えて出される成果の中には、新たな世界秩序に育つものがあるかもしれません。

 (聞き手・撮影 林望)

    *

 チャオコーチン 75年生まれ。専門は中国、米国の外交。国力の高まりを背景に変化する中国の外交政策分析で知られる。共著に「中国国際関係理論研究」など。

    ◇

 ◆安全保障の問題、深刻度増す
    デービッド・ランプトンさん(ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院教授)


 米中関係にとって、今年はひどい夏でした。首脳会談を迎える雰囲気は、良くありません。

 3日には北京で(抗日)戦争終結70周年の記念式典が開かれ、軍事パレードには500もの新たな兵器が並び、(対米国の)「空母キラー」なども披露された。中国はいったい何のメッセージを送りたかったのか、周辺国や米国に疑問を抱かせました。

 同じころ、中国の軍艦5隻が米アラスカ沖に展開しました。ちょうど、そこにいたオバマ米大統領に見せつけるように。こんなことは(1979年の)国交正常化以来、初めてです。米中関係の歴史を見ると、どの時代にも問題があり、浮き沈みがありますが、今の米中関係は安全保障の問題がかつてなく深刻です。

 ◆中国がまいた種

 オバマ大統領が2009年に就任したころは、私は米中関係が進展するとの楽観的な見通しを持っていました。大統領選でオバマ氏は中国に否定的なことをあまり言わず、(強硬な)悪い公約もしなかった。就任当時に対中国で強硬だったクリントン、ブッシュ(子)政権とは違いました。

 だが、中国はオバマ氏の初訪中で大きなミスを犯しました。メンツをつぶした。オバマ氏は柔軟かつ友好的に振る舞ったのに、中国は(人権問題などで妥協せず、オバマ氏が弱腰との印象を与えるなど)対照的な行動を取りました。

 そして10年は、実に悪い1年でした。中国漁船が日本の巡視船に衝突したほか、中国はレアアースの輸出を止め、シリコンチップ市場を不安定化させた。南シナ海の領有権問題も深刻になり、当時のクリントン米国務長官がASEAN地域フォーラム(ARF)で厳しい立場にかじを切った。その会議で、(怒った当時の楊潔チ〈ヤンチエチー〉・中国外相が米国に同調した)シンガポール外相に向けて「中国は大国だが、小さい国もある」と迫ったことは重要な出来事でした。

 これにより、米国は日本などとの同盟を強化し、米高官が頻繁に中国の周辺国を訪問しました。中国は米国が自分たちを封じ込めていると言うが、これは中国に原因がある大きな過ちでした。

 ◆盟友作る努力を

 一方、アジアを重視する米国の「リバランス(再均衡)」政策も誤った方向に転がりました。軍事面での戦略が強調され、中国をおびえさせ、懸念を生みました。

 (中国の言う)周辺国が中国の変化に慣れるべきだ、との考え方は賢い外交だとは思いません。中国が周辺国を安心させる行動を取らないのなら、周りの国にも選択肢があります。日本が安全保障面で憲法解釈を変え、韓国は中国が嫌がる(米国の)ミサイル防衛システムの導入もできる。

 中国の言う「新型大国関係」は深刻な紛争を起こさないとの点では成り立っています。留学生の増加、輸出入で依存しあう経済もウィンウィンの関係でしょう。イランや北朝鮮の核問題でも、少しは協力が成立しています。

 しかし、(中国が求める)「核心的利益の尊重」は大きな問題です。中国が米国に台湾への武器売却の中止を要求しても、米国には(防御的性格の武器を供与するとした)台湾関係法がある。中国が南シナ海はすべて中国の領土・領海だと主張したら、米軍が(南シナ海を)迂回(うかい)しますか。これは問題の核心で、(解決に向けて)進展するとは思えません。

 中国はハイチや南スーダンの国連PKO(平和維持活動)に部隊を派遣するなど、いい点もあります。問題は、世界一の経済大国になろうとする中国がこれから富や力をどう使うか。人々の生活向上に向けるならいいが、軍拡に傾斜するなら米国、日本、ベトナム、そしてロシアをも動揺させるでしょう。少なくとも過去5年を見る限り、周囲を安心させていません。世界に中国の盟友はいるのでしょうか。中国は、友人をつくる努力をしなければなりません。

 (聞き手・撮影 奥寺淳)

    *

 David Lampton 46年生まれ。米スタンフォード大で博士号を取り、旧ニクソンセンターなどで中国研究の責任者を務めた。中国の指導者とも豊富な交流経験がある。

「耕論」一覧

 (耕論)米中関係のいま 趙可金さん、デービッド・ランプトンさん(2015/09/25)
 (耕論)読み解き経済 岡崎哲二さん、松井彰彦さん(2015/09/16)
 (耕論)虚と実 片山杜秀さん、UKさん(2015/09/15)
 (耕論)アベノミクスでいいのか 岩本康志さん、片岡剛士さん(2015/09/11)
 (耕論)どうする石炭火力 ジーナ・マッカーシーさん、金子祥三さん、平田仁子さん(2015/09/10)
 (耕論)あえて、挑戦 田中真紀子さん、三浦まりさん、吉田えりさん(2015/09/09)
 (耕論)日中のこれから 諏訪一幸さん、高見邦雄さん(2015/09/04)
 (耕論)誰かが兵士になる 廣瀬誠さん、小林よしのりさん、大内裕和さん(2015/09/02)
 (耕論)終のすみか 後藤和昌さん、浅川澄一さん、養老孟司さん(2015/09/01)
 (耕論)戦後400年! 堺屋太一さん、童門冬二さん、下川耿史さん(2015/08/29)

その他のオピニオン面掲載記事

 (耕論)米中関係のいま 趙可金さん、デービッド・ランプトンさん
 (池上彰の新聞ななめ読み)北朝鮮拉致再調査 真実に迫る特ダネ競争

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【その六】
朝日新聞デジタル > 記事 2015年9月25日 社説余滴
徳川政権と中国共産党
     村上太輝夫
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S11981302.html


 徳川家康の没後400年を記念する催しが各地で続いている。栃木県小山市は家康が会津攻めを中止し関ケ原に向かう引き返し点として知られるが、家康をまつる日光東照宮を後の将軍が参拝する「日光社参」では、江戸からの行程のほぼ中間にあたった。15日に始まった市立博物館の特別展で、社参にまつわる古文書や絵図を見た。

 それは各大名の兵馬を動員して長蛇の列を動かすもので、言わば大規模軍事演習であり、将軍の指揮権を確認する目的があった。街道周辺の住民は荷物運びを手伝い、宿舎用に自宅を空けた。そうした負担に備えて村々を取り調べた文書などが今に伝わる。

 企画した尾上仁美学芸員の説明を聞きながら思い出していたのは、今月3日に北京であった軍事パレードだ。

 行進したのは約1万2千人だが、準備にはさらに多くの将兵が関与した。警察と武装警察は街中で治安管理にあたった。パレードに使う道路沿いのビルはフェンスで封鎖された。中に事務所を構える友人は3日前に閉め出されて地方出張に出ていた。

 従来、建国から10年ごとの節目に実施したから次は2019年に行うべきところ、わざわざ今年、大規模に挙行した意図は何か。パレードの余韻が漂う街で知人が「8月30日の人民日報を読んだか」と教えてくれた。副総指揮を務めた王健中将の署名論文が載っていた。「閲兵で検閲するのは共産党中央と習近平(シーチンピン)主席に対する無比の忠誠である」

 政権トップについて3年弱、習氏は腐敗にまみれた軍に大なたを振るった。ここで軍を改めて動員し、最高指導者の地位を示す必要があった、とみることができる。

 徳川と中国共産党は、軍事力で政権を樹立した履歴に共通点を持つ。そのためか、威信を示す行動が軍事的になる。軍を動員する際に住民を巻き込む点も似ている。

 違いがあるとすれば軍事パレードが他国に刃を向けていると映る点だ。先日の社説では中国の「力の誇示」を批判した。だが、それはあくまで隣国としての受け止めだ。他国に対抗する目的なら、こんな手間をかける必要はないし、それはそれで着々と進行しているだろう。今回については内向きの行事だったと解釈したほうがいい。

 威信を示さねばならない政権とは、一見強そうだが、実はもろい部分を抱えているのかもしれない。

 (むらかみたきお 国際社説担当)