折々の記へ
折々の記 2015 ⑧
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】09/28~ 【 02 】10/02~ 【 03 】10/03~
【 04 】10/17~ 【 05 】10/20~ 【 06 】10/21~
【 07 】11/02~ 【 08 】11/10~ 【 09 】11/17~
【 01 】09/28
09 28 トンボの乱舞 秋の感覚
09 29 国連本部の方針① 世界の人々の理解が緊急
10 01 国連本部の方針② NHK クローズアップ現代放送
09 28 (月) トンボの乱舞 秋の感覚
一昨日は保育園の運動会があった。 明るい子ども達の声は元気を振舞ってくれてうれしい。 元島さんから今年のマツタケを戴きました。
昨日は家内と溝呂木さんは木下保健婦さんの誘いを受けて小布施へ日帰りで行ってきた。
守さん宅の稲刈りの手伝いにいってきた。
彼岸過ぎると朝夕は秋らしい冷気に包まれる。 日中の澄んだ青空はまたかくべつの感慨の世界となる。 夕方になると、秋を謳歌するかのようにトンボの乱舞が見られるようになった。
トンボに ジィーッ と目を凝らしていると‘秋の水、すみきった’ではじまる「赤とんぼ」の歌が鮮明に頭の中を占有する。
赤とんぼ 尋常小学唱歌第三学年
http://www.dia.janis.or.jp/~nasimoto/midi/index3.htm
1.秋の水、すみきった流れの上を赤とんぼ、
何百何千,揃って上(かみ)へ、ただ上へ、上って行くよ、上って行くよ。
2.秋の空、金色の夕日に浮かぶ赤とんぼ、
何百何千、並んで西へ、ただ西へ、流れて行くよ、流れて行くよ。
09 29 (火) 国連本部の方針 世界の人々の理解が緊急
持続可能な開発サミット、9月25-27日にニューヨークの国連本部で開催へ (概要)
http://www.unic.or.jp/news_press/info/15790/
人々と地球のために、私たちの世界を転換させよう
プレスリリース 15-082-J 2015年09月17日
誰も置き去りにしない、新たな持続可能な開発アジェンダ
人々と地球のためのグローバルな行動に向けた政府間協議プロセス
持続可能な開発目標
① 誰も置き去りにしない、新たな持続可能な開発アジェンダ
アジェンダ【agenda】1 計画。予定表。議事日程。協議事項。
特に、政治・政策的な分野で、検討課題、行動計画、の意
9月25日から27日にかけ、ニューヨークの国連本部で開催される「国連持続可能な開発サミット」には、161の加盟国の首脳が出席し、新たな野心的な持続可能な開発アジェンダを採択することになっています。この重要なアジェンダは、国際社会と各国政府が、今後15年間の繁栄と福祉の共有を促進するための出発点となるものです。
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は8月2日、サミットの成果文書に関する加盟国のコンセンサスができ上がったことを受け、今回の合意が「私たちの世界にとって歴史的な転換点が訪れたことを告げる普遍的、画期的かつ統合的なアジェンダを含んでいる」ことを明らかにしました。
「これは『人民のアジェンダ』であり、あらゆる場所のあらゆる次元で貧困に終止符を打ち、誰も置き去りにしないための行動計画となります」事務総長はこのように述べています。
193の国連加盟国が合意したアジェンダ案「Transforming Our World: 2030 Agenda for Sustainable Development(私たちの世界を転換する:持続可能な開発のための2030年アジェンダ)」は、宣言、17の持続可能な開発目標と169項目のターゲット、実施手段と新たなグローバル・パートナーシップに関するセクション、および、再検討とフォローアップの枠組みから構成されています。
このアジェンダは、貧しい国、豊かな国、中所得国を含め、あらゆる国々の行動を求める、独創性に富むものです。また、貧困に終止符を打つためには、経済成長を実現し、教育や保健、社会保障、雇用機会を含む幅広い社会的ニーズに対応する一方で、気候変動や環境保護にも取り組む計画が必要だという認識を示しています。さらに、不平等やインフラ、エネルギー、消費、生物多様性、海洋、産業化といった問題も取り扱っています。
この新しい持続可能な開発アジェンダは、エチオピアのアディスアベバで最近開催された「開発資金会議」の成果を土台としています。また、今年12月にパリで行われる新たな有意義かつ普遍的な気候協定に関する交渉にも好影響を与えることが期待されています。
② 人々と地球のためのグローバルな行動に向けた政府間協議プロセス
史上最大の成功を収めた貧困対策運動のきっかけとなった「ミレニアム開発目標(MDGs)」は、世界のリーダーが9月、採択する新たな持続可能な開発アジェンダのたたき台となっています。
1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」以来、世界は人間の福祉を実現する新たな経路として、持続可能な開発の道を歩むことを明らかにしました。「アジェンダ21」で提示された持続可能な開発という理念は、経済開発と、人々のニーズを充足し、環境を守る成長とのバランスをとらなければならないことを認識するものでした。
新たな持続可能な開発アジェンダは、2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」の成果、2010年の「MDGsサミット」、2012年の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」の成果、および、全世界の人々が示した見解を基に策定されています。
各国はMDGsの成功を認識し、リオ+20の成果文書「私たちが望む世界」の中で、一連の持続可能な開発目標を策定し、検討と適切な行動を仰ぐためのオープン・ワーキング・グループの設置に合意しました。
オープン・ワーキング・グループは1年以上に及ぶ包摂的かつ集中的な協議の末、17の具体的な目標と、これに関連する169項目のターゲットを提案しました。
2年以上にわたり行われた目標の内容に関する政府間交渉には、市民社会その他のステークホルダーからも数多くの意見が寄せられました。包摂的で透明性のある協議の結果、8月2日には、新たな持続可能な開発アジェンダに関する成果文書についてコンセンサスが成立しました。
この新しいアジェンダは、2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」で、世界のリーダーが正式に採択することになります。
③ 持続可能な開発目標
目標1 あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
目標2 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
目標4 すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
目標6 すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
目標7 すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
目標9 レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
目標10 国内および国家間の不平等を是正する
目標11 都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する
目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
目標14 海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
目標15 陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
目標16 持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
目標17 持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
関連リンク
持続可能な開発のための2030アジェンダ採択
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/15775/
持続可能な開発目標ファクトシート
プレスリリース 15-083-J 2015年09月17日
目標1:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
•全世界で極度の貧困の中で暮らす人々の数は、1990年の19億人から半分以下に減少しました。しかし、今でも8億3,600万人が極度の貧困に苦しんでいます。開発途上地域では、およそ5人に1人が一日1ドル25セント未満で生活しています。
•南アジアとサハラ以南アフリカには、極度の貧困の中で暮らす人々の圧倒的多数が集中しています。
•脆弱で紛争の影響を受ける小さな国々では、貧困率がしばしば高くなっています。
•全世界で5歳未満の子どもの4人に1人が、年齢に見合う身長に達していません。
目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する •開発途上地域全体で、栄養不良の人々の割合は1990-1992年の3%から2014-2016年の12.9%と、1990年以来ほぼ半減しています。しかし、今日も依然として、世界人口の9人に1人(7億9,500万人)が依然として栄養不良に陥っています。
•世界で飢餓に苦しむ人々の大多数が暮らす開発途上国では、栄養不良の人々の割合が人口の9%に達しています。
•飢餓に陥っている人々が最も多いのはアジアで、全体の3分の2を占めています。南アジアの割合は近年、低下してきていますが、西アジアの割合は微増となっています。
•飢餓率(人口全体に占める割合)が最も高い地域はサハラ以南アフリカで、およそ4人に1人が栄養不良に陥っています。
•栄養不良が原因で死亡する5歳未満の子どもは年間310万人と、子どもの死者数のほぼ半数(45%)を占めています。
•世界の子どもの4人に1人は、発育不全の状態にあります。開発途上国に限ると、この割合は3人に1人に上昇します。
•開発途上国では、就学年齢の子ども6,600万人が空腹のまま学校に通っていますが、アフリカだけでも、その数は2,300万人に上ります。
•世界で最も就業者が多い産業である農業は、現在の世界人口の40%に生計手段を提供しています。また、農村部の貧困世帯にとっては、農業が最大の所得源かつ雇用源となっています。
•ほとんどが天水農業を営む全世界5億軒の小規模農家は、開発途上地域の大部分で消費される食料の80%程度を提供しています。小規模農家への投資は、最貧層の食料安全保障と栄養状態を改善し、国内・世界市場向けの食料生産を増大させる重要な手段です。
目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する 小児保健
•1990年以来、1日当たりの子どもの死者は17,000人減少してはいるものの、毎年600万人を超える子どもが、5歳の誕生日を迎える前に命を落としています。
•2000年以来、はしかの予防接種でほぼ1,560万人の命が救われました。
•世界的な進歩にもかかわらず、サハラ以南アフリカと南アジアが子どもの死者数に占める割合は増大しています。5歳未満で死亡する子どもの5人に4人は、これら2地域で暮らしています。
妊産婦保健
•全世界で、妊産婦の死者数は1990年以来、ほぼ半減しています。
•東アジア、北アフリカ、南アジアでは、妊産婦の死者数がほぼ3分の2減少しました。しかし、開発途上地域の妊産婦死亡率(出生数に対する妊産婦死者数の比率)は、依然として先進地域の14倍に上ります。
•開発途上地域では、推奨される医療を受けられる女性が全体の半分にすぎません。
HIV/エイズ
•2014年までに、抗レトロウイルス治療を受けられる人々の数は、2003年のわずか80万人から、1,360万人へと増加しました。
•2013年のHIV新規感染は210万件と見られ、2001年の水準を38%下回っています。
•2013年末時点で、HIV感染者は3,500万人に達しているものと見られます。
•2013年末時点で、24万人の子どもが新たにHIVに感染しています。
目標4:すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
•開発途上国の初等教育就学率は91%に達しましたが、まだ5,700万人の子どもが学校に通えていません。
•学校に通えていない子どもの半数以上は、サハラ以南アフリカで暮らしています。
•小学校就学年齢で学校に通っていない子どものおよそ50%は、紛争地域に住んでいるものと見られます。最貧層世帯の子どもが学校に通っていない確率は、最富裕層の子どもの4倍に上ります。
•世界は初等教育で男女の平等を達成しましたが、すべての教育レベルでこの目標を達成できている国はほとんどありません。
•1990年から2015年にかけ、15歳から24歳の若者の識字率は世界全体で、83%から91%へと改善しました。
目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
•1990年の時点で、南アジアでは、小学校に通う女児の数が男子100人に対し74人にすぎませんでした。2012年までに、男女の就学率は拮抗しています。
•サハラ以南アフリカ、オセアニア、西アジアでは依然として、小学校と中学校に入学しようとする女児が障害に直面しています。
•北アフリカでは、非農業部門の有給雇用に占める女性の割合が、5人に1人に達していません。
•46カ国では現在、女性がいずれかの議院で議員数全体の30%超を占めています。
目標6:すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する •2015年の時点で、改良飲料水源を利用する人々の割合は、1990年の76%から91%へと増大しています。しかし、トイレや公衆便所など、基本的な衛生サービスを利用できない人々も、25億人に上ります。
•毎日、予防可能な水と衛生関連の病気により、平均で5,000人の子どもが命を失っています。
•水力発電は2011年の時点で、最も重要かつ広範に利用される再生可能エネルギー源となっており、全世界の総電力生産量の16%を占めています。
•利用できる水全体の約70%は、灌漑に用いられています。
•自然災害関連の死者のうち15%は、洪水によるものです。
目標7:すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する •世界人口の5人に1人に当たる13億人が、まだ近代的な電力を利用できていません。
•30億人がまき、石炭または動物の排せつ物を調理や暖房に用いています。
•エネルギーは気候変動を助長する最大の要素であり、全世界の温室効果ガス排出量の約60%を占めています。
•風力や水力、太陽光、バイオマス、地熱など、再生可能な資源から得られるエネルギーは無尽蔵で、環境汚染もありません。再生可能なエネルギーは現在、全世界のエネルギー供給の15%を占めています。
目標8:すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する •全世界の失業者数は、2007年の1億7,000万人から2012年には2億200万人近くにまで増大していますが、そのうち約7,500万人は若い女性と男性です。
•22億人が1日2米ドルという貧困ライン未満で暮らしていますが、安定的で賃金の良い仕事がない限り、貧困を根絶することはできません。
•2016年から2030年にかけ、全世界で新たに労働市場に参入する4億7,000万人に雇用を提供する必要があります。
•加工や製造に携わる中小企業は、産業化の初期段階で最も重要な役割を果たすだけでなく、最大の雇用創出者となるのが普通です。こうした企業は全世界の企業の90%以上を占め、雇用の50~60%をつくり出しています。
目標9:レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る •開発途上地域では、約26億人が安定的な電力供給を受けていません。
•全世界で25億人が基本的な衛生施設を利用できていないほか、水資源にアクセスできない人々もほぼ8億人近くに上っていますが、そのうち数億人がサハラ以南アフリカと南アジアに暮らしています。
•信頼できる電話サービスを受けられない人々は、100万人から150万人に及びます。
•低所得国をはじめ、多くのアフリカ諸国では、インフラの未整備により、企業の生産性が約40%損なわれています。
•製造業は重要な雇用産業となっており、2009年には全世界でおよそ4億7,000万人を雇用していますが、これは世界の全労働者29億人の約16%に相当します。2013年の製造業の雇用は、5億人を超えているものと見られます。
•産業化による雇用拡大効果は、社会によい影響を及ぼします。製造業で1人分の雇用が生じれば、他の部門で2人分の雇用が生じます。
•開発途上国の国内で加工される農産物は、わずか30%にすぎません。高所得国では98%が加工されます。このことは、開発途上国に大きなアグリビジネスの機会があることを示しています。
目標10:国内および国家間の不平等を是正する •人口の規模を考慮に入れると、1990年から2010年にかけ、開発途上国の国内における所得格差は平均で11%拡大しました。
•開発途上国では、75%を超える圧倒的多数の世帯が現在、1990年代よりも所得分配が不平等な社会に暮らしています。
•20%の最貧層世帯の子どもは依然として、20%の最富裕層の子どもに比べ、5歳の誕生日を迎える前に死亡する確率が3倍も高くなっています。
•全世界で社会保障は急激に拡大しているものの、障害を抱える人々が高額医療費を負担する確率は、平均の5倍に上ります。
•開発途上国の大半で、妊産婦の死亡率は全体として低下しているものの、農村部の女性は依然として、都市部の女性に比べ、出産中に死亡する確率が3倍も高くなっています。
目標11:都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする •世界人口の半数に当たる35億人が現在、都市に暮らしています。2030年までに、都市部の人口は世界人口のほぼ60%を占めることになります。
•現在、スラムには8億2,800万人が暮らしていますが、その数は増加の一途をたどっています。
•面積にして地球の陸地部分のわずか2%にすぎない都市は、エネルギー消費の60~80%、炭素排出量の75%を占めています。急速な都市化は、真水供給や下水、生活環境、公衆衛生に圧力を加えています。しかし、都市の稠(ちゅう)密(みつ)性(せい)は、効率性を高め、技術革新をもたらしながら、資源とエネルギーの消費を低減する可能性もあります。
•都市は、エネルギー供給を浪費にしかねない一方で、エネルギー消費を削減し、環境に優しいエネルギー・システムを採用することにより、その効率を最適化できる能力も秘めています。例えば、中国の日照市では太陽エネルギーの活用が進み、市街地では99%の世帯が、すでにソーラー給湯器を使用しています。
目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する •毎年、13億トンの食料が無駄に捨てられています。
•全世界の人々が電球を省エネ型に変えれば、合計で年間1,200億米ドルが節約できます。
•2050年までに世界人口が96億人に達した場合、現在の生活様式を持続させるためには、地球が3つ必要になりかねません。
•10億人以上が依然として、真水の供給を受けていません。
目標13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る •人間の活動による温室効果ガスの排出は、気候変動を引き起こしながら増大を続けています。現在の排出量は、史上最大の水準にあります。全世界の二酸化炭素排出量は1990年以来、50%近く増えています。
•大気中の二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素の濃度は、少なくとも過去80万年で例を見ない水準に達しました。二酸化炭素濃度は、第1に化石燃料からの排出、第2にネット土地利用変化からの排出により、産業革命以前に比べて40%上昇しました。海洋は人為的に排出された二酸化炭素の30%を吸収しているため、海洋の酸性化も進んでいます。
•過去30年間を10年ずつに区切ると、地球の気温は1850年以来のどの10年間の記録も更新し続けています。北半球では、1983年から2012年までの30年間の気温が、過去1,400年のどの30年間よりも高かったと見られています。
•1880年から2012年にかけ、地球の平均気温は0.85℃上昇しました。このまま放置すれば、地球の平均気温は21世紀を通じて上昇を続け、今世紀だけで上昇幅は3℃に達する可能性が高く、熱帯、亜熱帯を含む地球の一部地域では、それよりも大幅な気温上昇が生じると見られています。最も大きな影響が及ぶのは、最も貧しく、社会的に最も弱い立場に置かれた人々です。
•19世紀半ば以来の海面上昇は、それ以前の2千年紀の平均を超えるペースで進んでいます。1901年から2010年にかけ、地球の平均海面は0.19〔0.17~0.21〕メートル上昇しています。
•1901年から2010年にかけ、温暖化により氷が解け、海洋が拡大した結果、地球の平均海面は19 cm上昇しました。北極の海氷域は1979年以来、10年単位で縮小を続け、各10年当たり107万 km2の氷域が失われています。
•多様な技術的措置と行動の変化により、産業革命以前と比べた世界の平均気温の上昇を2℃に抑えることはまだ可能です。
•今後数十年間のうちに、各国政府が定めた2℃という温暖化目標を66%以上の確率で達成するための緩和手段は、数多くあります。しかし、追加的な緩和策を2030年まで延期すれば、21世紀中の温暖化を産業革命以前との比較で2℃未満に抑えるための技術的、経済的、社会的、制度的課題は、はるかに大きくなるでしょう。
目標14:海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する •海洋は地球の表面積の4分の3を占め、地球の水の97%を蓄え、体積で地球上の生息空間の99%を占めています。
•世界全体で、海洋と沿岸の資源と産業の市場価値は年間3兆ドルと、全世界のGDPの約5%に相当すると見られています。
•全世界の漁獲高は約8,000万トンとなっており、捕獲型漁業の規模は海洋の生産力に迫っていると見られます。
•海洋には、確認できているだけでおよそ20万の生物種が生息していますが、実際の数は数百万に上る可能性があります。
•海洋は、人間が作り出した二酸化炭素の約30%を吸収し、地球温暖化の影響を和らげています。
•海洋は世界最大のたんぱく源となっており、海洋を主たるたんぱく源としている人々は30億人を超えています。
•海面漁業は直接的または間接的に、2億人以上を雇用しています。
•漁業への補助金は、多くの魚種の急速な枯渇を助長するとともに、世界の漁業と関連雇用を守り、回復させようとする取り組みを妨げており、それによって海面漁業の収益は年間500億米ドル目減りしています。
•汚染や漁業資源の枯渇、沿岸生息地の消失など、人間の活動により大きな影響を受ける海洋の面積は、全体の40%にも及んでいます。
目標15:陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る •毎年、1,300万ヘクタールの森林が失われています。
•およそ16億人が、森林に依存して生計を立てています。その中には、約7,000万人の先住民が含まれます。森林には陸生種の動植物と昆虫の80%以上が生息しています。
•26億人が農業に直接依存していますが、農地の52%は土壌荒廃による中程度の、または深刻な影響を受けています。
•毎年、干ばつや砂漠化によって、穀物栽培で2,000万トンに相当する1,200万ヘクタールの農地(1分当たり23ヘクタール)が失われています。
•確認されている8,300の動物種のうち、8%は絶滅し、22%が絶滅の危険にさらされています。
•開発途上国では、農村部の住民の80%にも上る人々が、基本医療を伝統的な植物ベースの薬に依存しています。
目標16:持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する •国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の庇護対象となる難民の数は、2014年半ばの時点で1,300万人と、前年よりもさらに増えています。
•腐敗や贈収賄、窃盗、租税回避によって、開発途上国に年間1兆2,600億米ドルの損害が生じています。
•紛争国では2011年、小学校の退学率が50%に達し、2,850万人の子どもが学校に通えなくなりました。
目標17:持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する •2014年の政府開発援助(ODA)の総額は、およそ1,350億ドルとなっています。
•2014年には、開発途上国からの輸出品の79%が、無税で先進国に輸入されました。
•開発途上国の債務負担は、輸出収入の3%程度で安定しています。
•アフリカのインターネット利用者は、過去4年間でほぼ2倍に増えました。
•2015年の時点で、世界人口の95%に携帯電話の電波が届いています。
•世界の若者の30%は、インターネット利用歴が5年以上のデジタル世代に属しています。
•2000年には世界人口は6%強にすぎなかったインターネットの普及率は、2015年に43%へと上昇しました。
•しかし、40億人以上がインターネットを利用できておらず、しかもその90%は開発途上地域に暮らしています。
10 01 (木) 国連本部の方針② NHK クローズアップ現代放送
2015年9月28日(月)放送
国連70年 ①相次ぐ紛争そして難民… 平和は取り戻せるか
2015年9月29日(火)放送
国連70年 ② "誰も置き去りにしない"世界を目指して
2015年9月28日(月)放送
国連70年①相次ぐ紛争そして難民… 平和は取り戻せるか
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3707_all.html
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3707.html
【画像】出演者 ヤン・エリアソン さん (国連副事務総長)
70年前、国連憲章で「国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせる」ことを決意した国際連合。しかし、現実には安全保障理事会は有効に機能せず、今もシリア内戦、ISの台頭、ウクライナ問題などに有効な手立てを打ち出せていない。さらに「平和維持」を目的としてきたPKO活動が、非国家の武装勢力などが台頭する中で想定外の戦闘に巻き込まれるなど、不測の事態に直面する例も増えている。「拒否権」をもつ5大国が、世界の一致した行動を妨げている現実。その結果、行き詰まりを見せる国連の平和構築。シリーズ第1夜は、平和構築を巡り苦悩する国連の課題について、国谷キャスターが責任者に鋭く迫る。
放送まるごとチェック 放送した内容すべてテキストでご覧いただけます
過激派組織が引き起こす暴力の連鎖。
ヨーロッパに押し寄せる、おびただしい数の難民。
そして改善されない貧困と格差。
深刻化する問題にどう向き合っていくのか。
創設から70年。
世界の平和と安定を目指してきた国連は今、真価が問われています。
今月(9月)開幕した節目の年の総会で、国連はあえて高い理想を掲げました。
パン・ギムン国連事務総長
「我々が全世界の人々に対して約束する新たな目標は、“誰も置き去りにしない”。」
国連は、そして世界はどこに向かおうとしているのか。
2回シリーズで迫ります。
◆“決められない”安保理 泥沼化するシリア
◆相次ぐ紛争 そして難民… 平和は取り戻せるか
◆住民保護で武器使用も 変貌するPKO
◆変貌するPKO 平和をどう築くか
【動画を見る】
◆“決められない”安保理 泥沼化するシリア
【画像】今、国連が抱える差し迫った課題が、今世紀最悪の人道危機といわれるシリアの内戦です。 4年前、アサド政権による反政府勢力の弾圧から始まった内戦。これまでに、死者は24万人。
シリアの人口の半分に当たる1,100万人余りが住む場所を追われました。シリア問題でも安全保障理事会での大国の対立が事態を悪化させました。
【画像】アメリカ 国連大使
「アメリカは、安保理が責任を果たし、アサド政権に対して武器の禁輸などの制裁をいま科すべきだと考えている。」
【画像】ロシア 国連大使
「シリア政府を制裁するという最後通ちょう的な脅しは受け入れられない。このような決議案は、対話による平和的な解決の原則に反している。」
【画像】ロシアにとって、シリアは歴史的に関係が深い国です。 武器の輸出先であり、地中海に面した港をロシア海軍が使用しています。
【画像】一方、アメリカは独裁的なアサド政権に代わる親米政権を樹立したいとして、反政府勢力を支援してきました。 大国が対立を続ける中、内戦は泥沼化していきます。 戦闘の中で、国際法で禁止されている化学兵器が使用され、多くの市民が犠牲となりました。
【画像】さらに、国連が予期しなかった事態が起きます。 過激派組織IS・イスラミックステートの出現です。 国家という概念が当てはまらず、国際社会と対話することもできないISの台頭は、紛争の構図をさらに複雑化させていったのです。
【画像】国連のシリア特使として紛争の調停にあたった、ラフダール・ブラヒミ氏です。 アフガニスタンでの和平に尽力した経験を買われました。シリア問題では去年(2014年)1月、アサド政権側と反政府勢力側の協議を初めて実現させます。しかし、互いの利益を追求するロシアとアメリカ双方の協力が得られず、交渉は決裂したのです。
【画像】 前国連シリア特使 ラフダール・ブラヒミ氏
「安保理の理事国が席に着いて考えるのは、それぞれの国益のことです。どの国もそうです。これでは不完全だと言わざるを得ません。 国際社会はシリアのためにほとんど何もせず、問題解決の手助けをしませんでした。誇張したくはありませんが、国際社会のいくつかのメンバーの行動は、問題を解決するのでなく、むしろ悪化させました。」
【画像】国連が紛争解決のための役割を果たせない中、人道的な危機は一層深刻さを増しています。 隣国、レバノンにある難民キャンプ。 90家族600人が暮らしています。 難民の数が増え続ける中、このキャンプで1人に渡される国連の支援金は減少。 月1,500円程度と、去年の半分以下になりました。 難民たちは絶望感を募らせています。
【画像】 「ここの状況は悲惨です。 最初に来たときは支援が十分でしたが、今は状況が悪くなる一方です。」
現地で支援に当たる国連の責任者からも、早急な事態の打開を求める声が上がっています。
【画像】 WFP シリア事務所 マシュー・ホリングワース所長
「刻々と時計の針が進む中、難民の状況はどんどん悪化しています。 紛争はやまず、我々の支援能力は落ちています。 何か解決策を出さなくてはなりません。」
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◆相次ぐ紛争 そして難民… 平和は取り戻せるか
ゲストヤン・エリアソンさん(国連副事務総長)
●国連総会はシリア問題という重い空気に包まれているが、国連はなぜこれほどまで適切な対応を取ることができなかった?
【画像】国連がシリアの内戦に終止符を打てずにいることは非常に残念です。
失敗であることを認めなければなりません。
事態の打開のためには安全保障理事会が結束して取り組む必要がありますが、それができていません。
去年のウクライナ危機以降、ロシアと欧米が緊張状態にあることが団結をさらに難しくさせています。
現在、シリアはISが国土の3分の1を掌握し、ほかの過激派組織どうしの戦闘も続くなど、非常に混とんとした状況に陥っています。
難民は隣国のレバノンやヨルダン、そしてトルコに流入し、今やヨーロッパにも大量に押し寄せています。
こうした状況に終止符を打つために国連はいち早く結論を導き出さなくてはなりません。
●安保理の存在意義に立ち返ってみると、常任理事国は自分たちの国益ではなく世界の利益を最優先に考えなくてはならないが、機能不全に陥っている 結束する方法は?
私自身も、国連が何もできずにいることに対していらだちを感じています。 安保理がより強固な決議を採択できればよいと願っています。 常任理事国には、とてつもなく大きな責任があります。
これは大変な栄誉だと私は思います。 常任理事国は、世界の平和と安全を守る使命と責任が与えられているのですから。
(とても特別な地位?)
そのとおりです。
非人道的な残虐行為がある場合は、拒否権の発動を減らすべきだとフランスが提案しています。 一部の常任理事国は話し合うことの重要性を認識しています。これは大きな一歩です。
●ISへの対策が国際社会を団結させる1つのきっかけとなる?
ISの残虐さを認識した国際社会が団結する可能性はもちろんあります。 ISは意識的に人々に恐怖心を植え付け、追い込んでいます。 自分の民族や宗教などを強く意識させることで内向的で閉鎖的な思考にしむけようとしているのです。 人々を恐怖に陥れようとするテロリストのわなに落ちてはなりません。 断固たる態度で、国際社会が築き上げてきた価値のために立ち向かう必要があるのです。
●冷戦が終結し25年たつが、私たちはどうすればよりよい意思決定機関を持つことができる?
団結というと、慈善的な印象を与えるかもしれません。しかし私は、今日の世界において、団結は加盟国とその市民の利益のためであると言いたいです。
大きな不正義、大きな格差、大きな対立がある世界は非常に危険です。
私たちが次の世代への責任を果たすためにも、互いに団結し協力することが、それぞれの国益になるのだという立場を取る必要があるのです。
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◆住民保護で武器使用も 変貌するPKO
【画像】目の前の紛争に適切に対処できないと批判されてきた国連。
その国連がこの70年、紛争解決の1つの手段として可能性を模索してきたのが、安保理決議の下に行われるPKO=平和維持活動です。
初めて派遣されたのは1948年のパレスチナ。 建国したばかりのイスラエルとアラブ諸国の間に立って停戦を監視するのが任務でした。 以来PKOは、国際社会の求めに合わせて、その活動内容を変化させていきました。
【画像】日本が初めて自衛隊を派遣した1992年のカンボジアPKOでは、道路整備など、内戦からの復興事業や憲法を制定する選挙の実施など、国づくりを丸ごと支援しました。
【画像】冷戦中はアメリカとソビエトの対立が深まる中、PKOの派遣は限られていました。
【画像】しかし冷戦が終結すると、大国の利害がぶつかり合わないアフリカなどに次々と派遣。
現在は、世界16の地域に12万人以上。 過去最大規模に拡大しています。 紛争が終わったあとの平和を維持するPKO。しかし今、維持する平和もないような地域で活動をせざるをえない状況になっています。
【画像】1万3,000人が派遣されている南スーダン。
PKOが2万8,000人の住民を武装集団などから保護している施設です。ここでPKOは自衛のためだけでなく、住民を守るために武器を使用することが認められています。これまでよりも一歩踏み込んだ形で任務に当たっています。 4年前に独立した南スーダンは、国連の最も新しい加盟国です。
【画像】独立当初、国連は国づくりを支援するためPKOを派遣しました。
ところが一昨年(2013年)、状況が一変します。 民族間の対立を背景に激しい戦闘が起きました。 国連などが中心となって繰り返し停戦を呼びかけてきましたが、長期的な停戦は実現していません。これまでに数千人の住民が殺害されたと見られています。
【画像】 「人目につかない場所で仲間が殺され、女性はレイプされた。」
原則として、武力行使は自衛のためだけに限定されてきたPKO。あえて装備を強化し、住民の保護に乗り出したのです。
【画像】 南スーダンPKO エレン・マーグレット・ロイ代表
「戦闘が起きたとき、それがあまりに激しかったので、大勢の人がPKOの施設に押しかけてきて、私たちには選択の余地がありませんでした。しかし、いつまでも続けるべきことではありません。」
【画像】南スーダンでこれまで道路整備などの任務に当たってきた日本の自衛隊。
安全保障関連法が成立した今、他国の部隊やNGOなどが武装集団に襲われた際、自衛隊が武器を使用して救援に当たることも検討されています。そしてPKOにとって新たな脅威となっているのが、各地で勢力を拡大するイスラム過激派などの武装組織です。 西アフリカのマリでは先月(8月)、PKO関係者が利用していたホテルが襲撃され5人が亡くなりました。
【画像】去年1年間に亡くなったPKO隊員は126人。
国連の安保理では、各地に展開するPKOの司令官が一堂に会して強い危機感を訴えています。
【画像】マリPKO司令官
「平和維持のための部隊がテロリストのネットワークに脅かされている。」
【画像】ゴラン高原PKO司令官
「暴力がますますエスカレートし、PKOの部隊が直接の標的にされている。」
【画像】こうした事態を受けて今年(2015年)6月、PKOの改革案がまとめられました。
これまでになかった緊急に展開できる部隊を創設すること。 紛争地の市民を保護するため、あらゆる手段を講じること。 PKOのさらなる強化が必要だとしています。
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◆変貌するPKO 平和をどう築くか
●PKOの任務 より危険で複雑に、難しくなっているといえる?
【画像】おっしゃるとおりです。
我々は新しい世界にいるのだと自分に言い聞かせています。 私は長年、PKOの活動に関わってきましたが、国連は常に中立かつ公平な立場にあると見なされてきました。しかし今日の国連は、過激派組織から敵と見なされています。これはPKOの隊員が危険な状況に置かれていることを意味します。
●治安が悪い国にも部隊を派遣しなくてはならず、同時に隊員の命も守らなければならないが?
部隊を危険地域に送ることは大きなジレンマです。 3年前、西アフリカのマリに部隊の派遣を計画したとき、まさにこの部屋で長い議論を重ねました。 部隊が標的となる危険が伴うことも分かっていましたが、国連のほかに誰が行くことができたでしょう。
ほかに道はなかったのです。 私は毎朝、紛争地域から連絡を受けるたびに部隊の誰かが犠牲になったのではないかと不安になります。そして残念ながら、実際に犠牲者が続出してしまっているのです。
●すべてのPKO隊員や文民警察官は住民を保護するためにあらゆる手段を講じるとしているが、武力行使に踏み切る境界線はどこに?指針は?
【画像】そもそもPKOは戦闘のために設立されたものでも訓練されたものでもありません。
無論、路上でテロリストと戦うものでもありません。
そのことは報告書にも書かれています。 PKO部隊は、自己防衛や任務を守るだけの行動しか想定されておらず、とてもぜい弱です。しかし、現在のPKOの任務で最も重要な側面は、民間人を守ることだということを強調したいと思います。 今、アフリカ各地で行われている任務でも、住民保護を強く意識して活動していますし、南スーダンでは積極的に住民を保護しています。 民間人の安全が脅かされれば、我々は行動を起こさなくてはならないのです。
●国連は本当に紛争を防止する機関として機能し続け、世界平和の番人としての役割を果たすことができる?
困難な状況だからこそ国連は立ち上がらなければなりません。 国連が掲げた目標は、グローバルな世界で暮らす人々のためのものです。 紛争の温床となる貧困や不平等を放置すれば、私たちに火の粉として降りかかってきます。 今こそ改革を実行しなければ、国連の影響力は失われてしまいます。だからこそ常に成果を出さなければなりません。
【画像】私は国連憲章のこのことばをよく引用します。それは、“WE THE PEOPLES=我々人民は”です。
国連は人々のために存在し、平和と発展をもたらし、人権を守る。その使命を果たさなければ憎しみの連鎖を止めることはできないでしょう。
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2015年9月29日(火)放送
② "誰も置き去りにしない"世界を目指して
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3708.html
【画像】出演者 アミーナ・モハメッド さん(国連事務総長特別顧問)
世界で激しさを増す過激組織の活動。今も止むことがない民族間などの対立。国連は、「格差」と「貧困」、さらにそれらの根源でもある環境破壊など地球規模の問題を根本から解決しない限り、事態の打開にはならないと訴え続けてきた。そして国連は、設立70年の今年、新たな野心的な目標を掲げる。その名は「SDGs=Sustainable Development Goals(持続可能な発展目標)」。「誰も置き去りにしない(no one will be left behind)」を基本理念に、2030年の世界を見据えた新たな指針だ。17分野169項目という多岐にわたる目標で、途上国だけでなく、先進国も生産・消費のあり方を変える必要があるなど、人々のライフスタイルにまで踏み込んだ大胆な挑戦である。この壮大な目標の背景には何があるのか。そしてそれをどう実現していくのか。番組では、事務総長の命を受けSDGsのとりまとめを行ってきたナイジェリア人女性の特別顧問、アミーナ・モハメッド氏などへのインタビューを通して、その可能性について探る。
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社会への不満から若者たちが引き起こす犯罪やテロ。 人々の生活を一変させる気候変動や災害。 予測不能な危機が今、世界をしんかんさせています。
こうした中、国連がかつてない大目標を打ち立てました。 持続可能な開発目標=SDGsです。
パン・ギムン国連事務総長
「世界が一丸となって取り組まねばならない。」
格差や貧困、気候変動、そして私たちの生産や消費の在り方まで、対象分野は17に及びます。
その下に、169もの具体的な目標を盛り込みました。 世界中のあらゆる問題に対応しようというものです。スローガンは“誰ひとり置き去りにしない”。
究極の理想をどう実現していくのか。 国連の挑戦に迫ります。
国連70年② "誰も置き去りにしない"世界を目指して
“誰も置き去りにしない” 国連の危機感
強まる国連の危機感 野心的目標のねらいは
気候変動と貧困 止まらぬ負の連鎖
持続可能な世界へ 問われる先進国
“誰も置き去りにしない” 新たな支援のかたち
持続可能な社会へ 世界が今 すべきこと
◆ “誰も置き去りにしない” 国連の危機感
【画像】“誰ひとりとして置き去りにしない”というこれまでにない高い理想が、なぜ掲げられたのか。
国連が最も支援に力を注いできた地域の1つ、アフリカ東部のケニアです。 国連は干ばつに苦しむ遊牧民のために水を引き、農業を一から指導。 収入の糧をもたらしました。
【画像】 「ユニセフが支援している小学校です。 日本の資金を使っています。」
【画像】学校の建設も支援。
小学校へ入学できる子どもの割合を、15年前の68%から100%近くにまで改善しました。
子ども 「お医者さんになりたい。」
【画像】国連や各国の支援で社会基盤の整備が次々に進み、ケニアはこの15年で激変しました。 海外からの投資も増加。 2000年以降、GDPが2倍に伸びるほどの成長を遂げ、豊かになる人たちが増えました。
【画像】しかし、一方で顕在化したのが繁栄から取り残された人たちの怒りです。
2年前、首都ナイロビの高級ショッピングモールで悲劇が起きました。イスラム過激派組織アッシャバーブが買い物客たちを襲撃。 60人以上が命を落としました。
【画像】アッシャバーブの勧誘の魔の手が向かうのは、格差に不満を持つ若者たちです。
失業率は実に60%。 大学を卒業しても、限られた人しか就職できません。 行き場のない怒りが若者たちに鬱積(うっせき)しています。かつて、アッシャバーブに所属したことがある若者に取材をすることができました。
「安定した仕事が欲しいのです。でもそんなものはありません。とても苦しい状況でした。 子ども2人と年老いた母親の面倒を見ることは、とても出来ません。」
いくらあがいても、はい上がれない絶望感。 男性は2年前、見知らぬ女に声をかけられました。 金になる仕事がある。 行き着いた先はテロ組織でした。
「金持ちは景気の良さを実感していますが、私たち貧しい人間には関係ありません。政府は貧しい人がたくさんいるのに見て見ぬふりです。 とても悲しい。 金のためなら何でもやってやろうと、あんな所(テロ組織)に入ってしまったのです。」
【画像】国を豊かにして国民全体の暮らしを底上げするはずが、むしろ格差という火種を生んでしまっている現実。 国連が今回打ち出したSDGsでは、格差の是正が重要な目標として掲げられました。
さらにSDGsには、ほかの目標と連携して解決するというねらいがあります。
例えば、格差是正を実現するにも、教育の分野では“教育格差をなくす”。 都市環境では“スラムの改善”。 司法制度の整備では“すべての人に法的な地位を与える”など、あらゆる角度からアプローチしていこうというのです。 新たな時代の支援をどう実現していくのか。 国連の真価が問われます。
◆ 強まる国連の危機感 野心的目標のねらいは
ゲストアミーナ・モハメッドさん(国連事務総長特別顧問)
●SDGsの目標は非常に野心的で理想主義的 一方で現実的ではないという人もいるが?
【画像】私たちは、世界が直面する問題を直視し、対策を取るのか、傷口にばんそうこうを貼るような一時的な対応をしていくのか問われているのです。 私たちは、経済発展と環境問題の解決をどのように両立させるのかという議論を繰り返してきました。しかしこれらの問題は表裏一体であり、同時に考えていく必要があります。 目標が17もあるのは、私たちの住む世界が、いかに複雑かを表しています。 複雑な世界では、互いに絡み合う問題を総合的に解決していかなくてはならないのです。
●格差が拡大した国々では一部の人が社会から取り残された疎外感を募らせ、過激派に身を投じた この動きは従来型の開発がもたらした課題では?
格差は大きな課題だと思います。
多くの低所得国は経済成長し、中所得の国になりましたが、貧困層は置き去りにされました。ですから、国内の格差、国と国との格差はともに解決すべき大きな課題です。 私の祖国、ナイジェリアでいえば、社会からの疎外が根本的な問題の1つです。
教育の問題だけではありません。 過激派組織に加わった若者の多くは、教育を受けていました。 彼らは将来に希望を持てません。 国や社会が発展しても役割を与えられず疎外感を感じています。 失うものは何もないと思い込んでいるのです。そんな状況では何が起きてもおかしくありません。
私は、貧困が事態を悪化させていると思います。 大きな原因が、気候変動です。
◆ 気候変動と貧困 止まらぬ負の連鎖
【画像】人々が貧困に陥る背景には地球温暖化など、気候変動が大きく影響していると主張するモハメッドさん。
祖国・ナイジェリアでも、人々の生活を支えてきた大きな湖が干上がり、生活の糧を奪われた現実を目の当たりにしてきました。
地球環境の悪化から人々を救うためには、資源の浪費をやめるなど、先進国も含めた取り組みが必要だと指摘しています。
◆ 持続可能な世界へ 問われる先進国
【画像】ナイジェリアにはチャド湖というとても大きな湖があり、人々の暮らしを支えてきました。それが、すっかり干上がってしまったのです。 周辺の地域は深刻な貧困状態に陥りました。 政府も対策を打てず教育や医療すらも行き届かなくなりました。 環境はさらに悪化し、今の悲惨な状況を生み出してしまったのです。
●国連が打ち出した目標は地球の持続可能性にも注目している 途上国だけでなく先進国にもこれまでの経済成長の在り方を見つめ直すことを求めているが、これは大きな変化では?
これは大転換です。
誰もが関わる問題だといえば自分のことを省みなければいけなくなります。
今、持っているスキルや知識を生かして、より持続可能なライフスタイルを作り上げるのです。 日本など、先進国型のライフスタイルを見つめ直すことが重要です。 世界の人口の6割以上を占める貧困にあえぐ国々が経済成長すれば、日本のようなスタイルを目指すでしょう。それでは持続可能な世界は無理です。ナイジェリアもこのまま先進国を目指せば、日本を上回る温室効果ガスの排出国になってしまいます。そうなりたいとは思いません。
【画像】先進国は、責任ある発展を目指すべきなのです。
私たちの消費や生産は重大な結果をもたらします。このままでは地球に大きなダメージを与え、やがて私たち自身が苦しむのです。 地球は私たち人間なしでも存続できますが、私たちは地球なしで存続できません。 先に消えるのは、私たちなのです。
◆ “誰も置き去りにしない” 新たな支援のかたち
【画像】インドで最も貧しい地域の1つ、人口88万のマホバです。
男性優位の価値観が根強く残るこの地で、SDGs実現のヒントになる新しい取り組みが始まっています。マホバの人々は毎年のように干ばつに悩まされ、水の確保は困難を極めてきました。
【画像】これまで、国連などから井戸を作る支援を受けてきました。
しかし、壊れても修理することができず、1万近い井戸のうちおよそ半分は使えないまま放置されてきました。 不衛生な水に頼らざるをえず、病気が広がって治療費がかさみ、さらに貧困が進むという悪循環に陥っていました。
【画像】6年前、あるNGOが手を差し伸べました。
単に井戸を作るという従来型の支援ではなく、女性や若者たちを修理工として育成することでさまざまな課題の解決につなげようという試みです。ラムラティさん、48歳です。
【画像】ラムラティさん
「水くみポンプが壊れたと聞きました。」 「そうなんだ。」
貧しさで学校にも通えなかったラムラティさん。
修理の技術を身につけたことで、平均的な男性と同じくらいの収入を稼げるようになりました。 NGOの支援は3年前に終わりましたが、修理工を育てる取り組みはラムラティさんたちが引き継いでいます。
【画像】ラムラティさん
「修理の仕事は気をつけないと部品が壊れるから注意して。」
修理工は130人にまで増えました。
ラムラティさん 「まっすぐ上げるのよ。」
【画像】 NGO担当者
「事業は彼女たちが稼いだお金で続いています。 私たちは助言するだけです。」
【画像】ラムラティさん
「以前は、村じゅうの人から『女に修理なんてできるのか』と言われました。でもあきらめませんでした。 地域のためによいことをしたい、それが私の社会的責任だと思っています。」
【画像】SDGsの項目の1つでもある水の問題が改善されたことで、さまざまな好循環が生まれました。 下痢や感染症などにかかる人が大幅に減少し、医療費の負担が減りました。
さらに、女性や子どもたちは1日5時間近い水運びなどの労働から解放されました。その結果、多くの女の子が学校に通えるようになりました。 社会に出て働きたいという女性も増加。 企業も、女性を雇用しようという動きが始まっています。 井戸の修理から始まった社会へのさまざまな好循環。 SDGsの1つのモデルになる可能性を秘めています。
NGO担当者
「地域社会や政府、NGOがこの取り組みに共感しインド全土に広がれば、いま以上によいサービスが提供でき、社会は持続可能なものになると思います。」
◆ 持続可能な社会へ 世界が今 すべきこと
●女性に活躍の場を与えることは、SDGsが目指す目標を達成するうえでどの程度重要?
【画像】まずは考え方を変えることが重要です。
慈善活動ではなく、人類の50%に当たる女性に対して投資をしているのです。そうしないと、女性の力を生かすことはできません。それは人類にとってもビジネスのうえでも損失です。チャンスを逃してはなりません。 女性から得られるものはとても大きいのです。 女性が経済や教育に積極的に関われば大きな成果を上げられます。 家族、社会、平和などさまざまな面で、女性の役割が重要であることが、もっと理解されるべきだと思います。
●SDGsは国だけでなくNGOや市民たちがオープンに議論して作り上げたもの この議論のプロセスを作り出したのは、各国をSDGsが目指す方向に動かしたいという強い思いがあったから?
今、SDGsには企業も参加し始めています。
そうした企業にはビジネスモデルを環境重視に変え、市民と協力しながらすばらしいビジネスを生み出してほしいと思います。 道のりは長いですが、できることはたくさんあります。 今回のSDGsの合意は法的な拘束力はありませんが、強制的でないからこそ人々は目標に向かってより強く結束できるのです。 SDGsの理念を実現するためには、これまでのやり方を変えなくてはなりません。 縦割りではなく、全員参加です。 負担を分かち合う必要があるのです。
●世界に目を向けると人も国も自分のことや国益のことばかりを考えている一方で、今回の目標は世界が一丸となって取り組むべきものとなっている 正反対では?
みんな、誤った方向に進んでいます。 閉鎖的になるほど問題は大きくなります。
だから、みんなの力を結集することが必要なんです。 持続可能性を追求することは人類の責務だと思います。
われわれは、よりよい方向に人類を導く責任があるのです。 私たちは急がなくてはいけません。 差し迫った課題なのだと伝われば、人々は動き始めます。 SDGsの目標を設定したときも、緊急だといえば、どう実現すればよいのか、すぐに多国間で話し合いが始まりました。 動かす方法はあるのです。
【画像】国連は、平和や希望を育むプラットフォームです。
世界の現実と理想に目を向けその差を埋めていくために存在します。 SDGsもそのためにあるのです。 国連は今年(2015年)設立70年を迎えました。 私たちは今、試されています。この危機をみんなで乗り切らなければならないのです。
シリーズ国連70年
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上記 GOOGLE 検索をみると、参考になるサイトを見ることができる。