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折々の記 2015 ⑧
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 07 】11/02

  11 02 日中韓首脳会談 その一   戦争時代を卒業するにはどうしていけばいいのか … それは政治家の第一義の目標です

 11 02 (月) 日中韓首脳会談       戦争時代を卒業するにはどうしていけばいいのか … それは政治家の第一義の目標です

「戦争時代を卒業する」この言葉はまだ使われていない。 あくなき殺戮連鎖を終結する高邁な風潮は生まれでないのか。

アメリカ一辺倒の世界の潮の流れは変化しはじめている。 世界の多くの民衆に共通する戦争拒否の流れが、国連の動きになってくればいい。

中国の国際舞台での働きは何をめざすのか。 中国を支配している有無を言わさない力の支配が世界の中で何を標榜しようとしているのか。 アメリカの代わりになりうる経済連携の大系はなになのか。

茫洋としている。 人権すら確立していないのにどうしようとするのだろうか。 注視していきたい。



朝日新聞 ニュース
日韓首脳会談

   ① FTA年内発効、中韓が方針確認 北朝鮮問題も連携 首脳会談  11月1日
   ② 中国優先、振り回された日本 日中韓首脳きょう会談  11月1日
   ③ 日中韓首脳会談、定例化へ FTA加速、確認 3年半ぶり開催  11月2日
   ④ (時時刻刻)歴史認識、なお温度差 日中韓首脳会談  11月2日
   ⑤ (社説)日中韓首脳 停滞抜けて再出発を  11月2日
   ⑥ 慰安婦問題、早期妥結探る 協議加速で一致 日韓首脳会談  11月3日
   ⑦ (時時刻刻)日韓、正常化へ歩み寄り 慰安婦問題協議 首脳会談  11月3日
   ⑧ <考論>日韓首脳会談 小針進氏、朴チョル熙氏  11月3日
   ⑨ 日韓首脳会談後の安倍首相の発言要旨  11月3日
   ⑩ 訪中の日本経済代表団、中国首相と会談へ  11月3日
   ⑪ (社説)日韓首脳会談 本来の関係を取り戻せ  11月3日


① FTA年内発効、中韓が方針確認 北朝鮮問題も連携 首脳会談
2015年11月1日05時00分
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12045860.html

【写真】ソウルの大統領府(青瓦台)で31日、中国の李克強首相(左)と握手する韓国の朴槿恵大統領=ロイター

 中国の李克強(リーコーチアン)首相は31日、日中韓首脳会談が1日に開かれるソウルを訪れ、朴槿恵(パククネ)大統領と会談した。中韓自由貿易協定(FTA)の年内発効を目指すことを確認し、北朝鮮問題で引き続き連携することでも一致。両政府は経済や環境などに関する計18件の覚書や合意書に署名した。▼国際面=振り回された日本

 会談の冒頭、朴大統領は「中国指導者の(韓国への)積極的な関心は、韓中関係発展に寄与し、韓(朝鮮)半島と北東アジアの平和と安定に大きく役立つ」と強調。李首相も「中韓関係の発展をさらに一歩進め、中韓日の協力を強化し、北東アジアの平和と安定をともに推進していきたい」と応じた。

 国営中国中央テレビによると、李首相は北朝鮮問題で「朝鮮半島の非核化目標を堅持する」と強調。「対話による解決を目指し、南北の関係改善と和解協力に向けた努力を支持する」と述べた。朴大統領も「朝鮮半島問題では中国の果たす役割を極めて重視しており、引き続き連携を強化していきたい」と応じた。

 韓国政府は、会談で安倍政権の歴史認識についての発言はなかったとした。

 今回の会談では、経済や貿易、金融分野でいっそうの協力強化を確認した。

 韓国にとって中国は最大の貿易相手国。貿易額は毎年増加傾向にあり、2014年は約2354億ドル(約28兆4千億円)に上る。

 また、中国の習近平(シーチンピン)指導部が打ち出した「一帯一路」経済圏構想はアジアから欧州に至る海と陸の「二つのシルクロード」を再現する戦略で、朴大統領が提唱するユーラシア大陸での物流やエネルギー、人的交流などを深める「ユーラシア・イニシアチブ」と重なり合う。今回の会談を契機に両政府は、この二つの構想でも連携を強める覚書に署名。共同研究などを通じて相乗効果を狙う考えとみられる。韓国側は今後、中国が主導して設立を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)を活用し、韓国企業の海外進出の促進も期待できるとしている。

 安倍晋三首相は1日にソウルに入り、日中韓首脳会談に臨むほか、李首相との個別会談も行う。2日には朴大統領と初めて二国間の首脳会談を行う予定だ。(ソウル=倉重奈苗、東岡徹)

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② 中国優先、振り回された日本 日中韓首脳きょう会談
2015年11月1日05時00分
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12045915.html

 1、2の両日に行う日中韓首脳会談と日韓首脳会談の日程をめぐり、外交戦が繰り広げられた。議長国の韓国が中国の要求に応じたため、日本は変更に振り回され、希望した昼食会も退けられる憂き目に遭った。▼3面参照

 複数の日韓関係筋によれば、韓国が9月に示した当初案は二国間の行事も含めて2日間で、「11月1日午前に日中韓首脳会談、10月31日午後と11月1日午後に二国間協議」だった。ところが、中国が「李克強(リーコーチアン)首相は公式訪問であり、31日はすべて中韓協議に割いてほしい」と要求。韓国が応じ、中韓首脳は31日夜に晩餐(ばんさん)会も行うことになった。首脳会談は日中韓が1日午後、日韓が2日午前に繰り延べになった。

 日本政府はこの案を受け入れる代わりに、2日昼に日韓首脳の昼食会を開くよう求めた。ぎくしゃくする両国関係に配慮し、専門家も加えた形を提案したが、韓国は10月25日、日韓首脳会談を行う最終決断を連絡する際、「時間の制約」で昼食会は不可能と伝えた。

 韓国側が昼食会を避けたのは、懸案の慰安婦問題などで進展が期待できないなか、国内向けに強硬姿勢を示す必要があったためとみられる。朴槿恵(パククネ)大統領が中国に急接近しており、外交当局が中国を重視せざるを得ない事情もあるようだ。(ソウル=牧野愛博)

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③ 日中韓首脳会談、定例化へ FTA加速、確認 3年半ぶり開催
2015年11月2日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12047250.html

【写真】首脳会談を前に握手する(左から)安倍晋三首相、韓国の朴槿恵大統領、中国の李克強首相=1日午後、ソウルの青瓦台、飯塚晋一撮影

 安倍晋三首相は1日、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領、中国の李克強(リーコーチアン)首相とソウルの青瓦台(大統領府)で日中韓首脳会談を開いた。3首脳は首脳会談を年1回の開催で再び定例化することで合意したほか、日中韓自由貿易協定(FTA)の交渉加速などを確認。また、歴史認識問題では「歴史を直視し、未来に向かう」との表現で一致し、これらを盛り込んだ共同宣言を取りまとめ、発表した。▼2面=なお温度差

 ■「歴史直視」にズレ

 日中韓首脳会談の開催は2012年5月以来で、約3年半ぶり。会談は3カ国外相らも同席して約1時間半行われた。安倍首相は終了後の共同記者会見で「3カ国による協力プロセスを正常化させたことは大きな成果だ」と訴えたが、歴史認識問題では日本と中韓のすれ違いもみられた。

 日本側の説明によると、会談では安倍首相から8月に閣議決定した戦後70年の安倍談話を取り上げた。首相は「歴代内閣の立場は揺るぎないものとした上で、戦後70年間の平和国家としての歩みを基礎に、国際社会の平和と繁栄に一層貢献することを約束した」と説明。その上で「特定の過去にばかり焦点を当てる姿勢は生産的でない。日中韓の協力の前向きな歴史をさらに紡ぎたい」などと訴えたという。

 これに対し、朴大統領と李首相から具体的な発言はなかった。また、慰安婦問題について3首脳はいずれも言及しなかったという。

 ただ、共同記者会見で、朴大統領は「歴史を直視し、未来に向かって進むという精神を土台として地域の平和と安全を実現するために努力していくことにした」と説明。李首相は「皆さまのご存じのような原因があり、3カ国の協力には色々な妨害が発生した」などと語り、歴史認識問題をめぐる日本側の対応を暗に批判した。

 共同宣言ではほかに、北朝鮮の核開発問題について「緊張を引き起こすいかなる行動にも反対」と指摘。11月末からパリで開かれる第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)での合意に向けた協力や、3カ国の人的交流の規模を2020年までに3千万人まで増やすことなどを盛り込んだ。次回、日本で予定される日中韓首脳会談に向け、「16年に日本が議長を引き継ぐことに期待」とも記した。(ソウル=鶴岡正寛)

 ■外相相互訪問で一致 日中首脳

 安倍晋三首相と中国の李克強首相は1日、ソウル市内で約1時間会談した。両首相は日中関係について「改善の方向にあり、この勢いをさらに進めていくことが必要」との認識で一致。外相の相互訪問や、東シナ海の資源開発協議の再開などでも一致した。

 両首相による会談は初めてで、日中首脳会談は安倍首相と習近平(シーチンピン)国家主席が会談した今年4月以来。

 両首相は関係改善の方向性として、互いに前向きな政策を取る▽過去の合意に基づき懸案に対処していく▽「協力のパートナーとして互いに脅威にならない」とした2008年合意を具体的な政策に移す▽経済など各分野の交流と協力を強化する、の4点を確認した。

 中国国営新華社通信によると、李首相は安倍首相に「歴史問題は中日関係の政治的基礎であるとともに、中国13億人の感情の問題」と強調。「この敏感さを日本にはもっと認識してほしい」と理解を求めた。(ソウル=冨名腰隆、倉重奈苗)

 ■共同宣言骨子

 ◆歴史を直視し、未来に向かうとの精神の下、関連する諸課題に適切に対処する

 ◆日中韓サミットの定期的な開催を再確認

 ◆日中韓自由貿易協定(FTA)交渉の加速に向け、一層努力

 ◆人的交流の規模を2020年までに3千万人に増大させるよう努力

 ◆国連気候変動会議(COP21)で、全ての締約国に適用される合意に向けて協力

 ◆朝鮮半島における核兵器開発に関連する国連安保理決議などが忠実に実施されるべきとの認識を共有

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④ (時時刻刻)歴史認識、なお温度差 日中韓首脳会談
2015年11月2日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12047201.html

 3年半ぶりに開かれた日中韓首脳会談で、3カ国の首脳はこの枠組みの「正常化」を宣言したが、日本と中韓両国の間に横たわる歴史認識の問題も改めて浮き彫りになった。不協和音が消えない日中韓の枠組みは、強い発信力を持てずにいる。日中、日韓二国間の課題の解決も見通せないままだ。▼1面参照

 1日午後の韓国大統領府(青瓦台)。3年半ぶりに日中韓首脳会談が始まると、李克強(リーコーチアン)中国首相が「一部の国の間でいまだに深い理解が成り立っていない」と突っ込んだ。

 朴槿恵(パククネ)韓国大統領も3カ国の協力を進める方法に触れ、「まず、歴史を直視し未来を志向する精神です」と述べた。

 これに対し、安倍晋三首相は「特定の過去にばかり焦点を当てる姿勢は生産的でない」と強調した。日本政府関係者は「(戦前の)日本での事象にフォーカスをあてた批判が度々繰り返されてきたことを踏まえての発言だ」と説明した。

 会談後に発表した「北東アジアの平和と協力のための共同宣言」は経済や環境、教育など56項目の具体策を掲げたが、既存の政策の踏襲や構想段階のものばかり。3カ国の現状を「経済的相互依存と政治安保上の葛藤が併存している」と認めざるを得なかった。

 日中韓の枠組みはもともと、3カ国の関係が悪い時でも毎年、首脳が集まって協力を話し合える場として始まった。ところが、歴史認識問題がこじれ、領土問題で対立が激しくなると機能を停止。今回、開催にこぎ着けたものの、曲折の連続だった。

 今回、韓国が日中韓首脳会談の開催を発表したのは9月2日。だが、それ以降、李首相の訪韓をアピールしたい中国、慰安婦問題を巡る対立から日韓首脳会談の同時開催への踏ん切りがつかない韓国など様々な思惑が交錯し、事前協議はほとんど進まなかった。安倍首相の周辺も「会談を開くこと自体が成果だ」と説明せざるをえなかった。

 3カ国が政治分野の成果として期待をかけていたのが、核開発反対で一致する北朝鮮問題だった。韓国政府は、2008年12月以降開かれていない、北朝鮮核問題を巡る6者協議の早期再開を目指している。

 ただ、共同宣言では「意味のある6者協議の早期再開」という表現に落ち着いた。「対話のためには、北朝鮮による具体的な非核化措置が必要」とする米国に配慮したとみられる。  米韓関係筋によれば、韓国政府は10月の米韓首脳会談で「6者が無理なら、北朝鮮を除く5者協議を開きたい」と提案した。北朝鮮に近い中ロの参加を嫌った米国が、逆に日米韓協議を主張。今度は、歴史認識問題で日本と対立する韓国が「日中韓、日米韓、米中韓の枠組みで推進する」と中国を加えるよう主張し、結論が二転三転した。

 共同宣言は「北朝鮮」ではなく「朝鮮半島の核兵器開発に断固反対する」という表現を使った。北朝鮮の反発を恐れる中国に配慮したとみられる。(ソウル=牧野愛博、鶴岡正寛)

 ■日中首脳 経済優先、懸案表に出さず

 「中日首相は、今日になってようやく初めての正式会合を実現することができた。なぜそのような状況が生じたかは、日本側がその原因をよく分かっているだろう」

 日中韓首脳会談の後に開かれた日中首脳会談でも、李首相は代表取材が入る冒頭のやり取りで安倍首相を強く牽制(けんせい)した。歴史問題では譲らぬ姿勢をカメラの前で改めて強調したのは、国内世論への対応でもある。

 日本側にはやや違和感もあったようだ。安倍首相は昨年11月と今年4月に習近平(シーチンピン)国家主席と会談。長らく冷え込んでいた日中関係は改善の兆しを見せていたからだ。今回の会談を、安倍首相と習主席による3回目の首脳会談につなげたいとの姿勢は中国側からも示されており、「日中韓、日韓に比べると今回の日中首脳会談のハードルは低い」(政府高官)というのが日本側の事前の見方だった。

 一方で李首相は、ハイレベル経済対話の早期開催など、経済分野を中心に歩み寄りも見せた。高度成長を続けてきた国内経済が曲がり角に入った中国は、日本との経済協力が不可欠で、いつまでも冷たい関係を続けられない事情がある。

 10月13日に訪日した楊潔チ(ヤンチエチー)国務委員(副首相級)は、中国国内での予定をキャンセルして南アフリカから日本に入り、谷内正太郎国家安全保障局長や安倍首相と立て続けに会談した。訪日4日前に申し入れたという異例の会談は、進展しない対日政策に「習主席がしびれを切らし、強く促したものだ」と外交筋は指摘する。

 中国には環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を受け、中国抜きに世界で新たな貿易秩序がつくられることへの焦りもある。李首相が日中韓FTAの早期発効を呼びかけたのも、そんな思いからだ。

 日本側にも事情はある。安全保障関連法を成立させ、参院選まで経済最優先で突き進む安倍政権にとって、中国が軍事拠点化を進めている南シナ海問題や尖閣諸島をめぐる東シナ海の権益の問題などで脅威論をあおるのは得策ではない。安倍首相に対し、政財界から日中関係の改善を求める声が高まっている。自民党の二階俊博総務会長は先月31日、訪問先の北京で「政府は一生懸命やっているんだろうが、目に見えてこない。もっと一生懸命やってもらいたい」と注文をつけた。

 核心的問題の解決策はいまだ見いだせないが、対立もあおり過ぎない――。今回の会談の一致点はその辺りにある。会談後の説明で、萩生田光一官房副長官は一通り成果を強調した後、こう続けた。「懸案の諸問題については、『内容についてはお互いに公表しない』ということで会議を閉じた。具体的な説明は控えたい」(ソウル=倉重奈苗、冨名腰隆)

 ■日韓首脳きょう 両外相、最後まで調整

 安倍晋三首相と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領による初めての首脳会談を翌日に控え、岸田文雄外相は1日にソウルで韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相と会談した。日本側の説明によると、両外相は首脳会談を通じて関係改善につなげるべきだとの考えで一致した。

 会談後の対応は異例だった。岸田氏と尹氏の会談は9回目。これまでは終了後に議論の概要について外交当局がそれぞれ説明していたが、この日の日本側の説明は「諸懸案を議論した」にとどまった。今回は首脳会談の準備で、途中経過は明らかにできないという理由だ。韓国側が外相会談で必ず取り上げてきた慰安婦問題についても、韓国政府当局者は「具体的なやりとりはなかった」とかわした。

 慰安婦問題をめぐっては、朴大統領は朝日新聞の書面インタビューで年内の妥結を求め、初めて期限を区切った。首脳会談で安倍首相が慰安婦問題についてどう語るかに関心が集まる。安倍首相は1日、羽田空港で「有意義な会談にしたい」と語ったものの、日本政府関係者は「韓国側の期待には応えられないだろう」と言う。進展は見込めないとの観測が高まっている。

 日韓間には、産経新聞前ソウル支局長が記事で朴大統領の名誉を傷つけたとして在宅起訴された問題など、懸案は多い。こうした問題をどう扱うかも含め、ギリギリまで調整が続くとみられる。(ソウル=東岡徹)

 ◆キーワード

 <日中韓首脳会談> 1999年、当時の小渕恵三首相が働きかけ、東南アジア諸国連合と日中韓(ASEAN+3)首脳会議に合わせる形で始まった。2008年からはASEANとは別に3カ国持ち回りで毎年開催。北朝鮮情勢を議論したり、経済や防災などで協力を深めたりしてきた。だが、日中、日韓関係の悪化が影響し、12年5月に北京で開かれて以来、3年以上開かれていなかった。

 ■日中韓共同宣言の要旨

 1日に発表された「北東アジアの平和と協力のための共同宣言」の要旨は次の通り。

 【前文】

 歴史を直視し、未来に向かうとの精神の下、諸課題に適切に対処する▽二国間関係を改善し、3カ国協力を強化するために協力する

 【本文】

 (1)北東アジアにおける平和と協力の実現

 日中韓サミットの3カ国における定期的な開催を再確認。約20の閣僚級メカニズムを含む50以上の政府間協議などをより積極的に推進▽日中韓協力基金の創設は、3カ国協力プロジェクトの進展のために有用

 (2)共同の繁栄のための経済的・社会的協力の拡大

 第10回日中韓経済貿易大臣会合の成果を支持▽日中韓自由貿易協定(FTA)交渉の加速に向け一層努力▽第2回日中韓農業大臣会合を歓迎

 (3)持続可能な開発の促進

 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の正式採択を歓迎▽第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)において、法的拘束力があり野心的な、全ての締約国に適用される合意に向けて協力

 (4)市民間の信頼と理解の向上

 18年の平昌冬季五輪、20年の東京夏季五輪、22年の北京冬季五輪などを念頭にスポーツ交流を促進▽3カ国の人的交流の規模を20年までに3千万人に増大させるように努力

 (5)地域・国際の平和と繁栄に対する貢献

 朝鮮半島における核兵器の開発に関連する国連安保理決議や6者会合共同声明が忠実に実施されるべきとの認識を共有▽15年のASEAN共同体創設、東アジア包括的経済連携協定(RCEP)交渉妥結を含む東アジアの経済統合に向けて取り組む

 【末尾】

 16年に日本が議長を引き継ぐことに期待

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⑤ (社説)日中韓首脳 停滞抜けて再出発を
2015年11月2日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12047139.html

 じつに3年半ぶりの首脳会談である。日本、中国、韓国の政治の歯車がかみ合わない不毛な現実から、今こそ抜け出さなければならない。

 安倍晋三首相と中国の李克強(リーコーチアン)首相、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領がきのう、ソウルの大統領府で一堂に会した。3カ国の首脳会談は08年から毎年開かれていたが、日中、日韓関係の悪化に伴い、12年を最後に中断していた。

 安倍首相は会談後の共同会見で「日中韓の協力プロセスを正常化させたことは大きな成果だ」と語った。だが現実には、成果をうたうのは尚早だ。3カ国の真の協力関係づくりは、やっと再出発したに過ぎない。

 ビジネスや観光などでかつてない規模で人が行き交う時代に、政治トップの往来が止まり、それによって経済や民間の交流が妨げられてきた。まさに政治の怠慢と言うべき惨状であり、ようやく軌道に戻りつつあるのが実情だろう。

 近隣外交は、日本の針路に決定的な意味を持つ。

 たしかに日中韓の間には歴史認識や領土の問題が横たわり、波風が立ちやすい。だとしてもたびたび首脳会談が止まり、政府間でも民間でも交流を滞らせるようでは、いつまでも関係を成熟させることが出来ない。

 日中韓の指導者は、歴史や領土の問題をあおり、ナショナリズムを国内向けに利用する振る舞いを慎むべきだ。日本としては、歴史を直視する姿勢を揺るぎなく継続し、わだかまりなく日中韓が協力できる環境を整えておくことが重要だろう。

 中韓首脳も、日本との歴史を政治カードにするような行動は控え、理性的に互恵関係をめざす指導力を示すべきである。

 その意味で3首脳が「歴史を直視し、未来に向かう」とし、会談の定例化を再確認したことには意味がある。

 日本を含む環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意に、中韓の関心は強い。今回の共同宣言は、滞っている日中韓自由貿易協定(FTA)交渉の加速を盛り込んだ。その言葉通り、着実に対話を進め、地域経済の成長力を高めたい。

 北東アジアは今や世界で有数の経済力をもつ地域になりながら、政府間の連携だけが立ち遅れている。エネルギー、災害、環境、テロ対策など、協働を深めるべき課題は広範にある。

 来年は日本が議長国であり、中韓両首脳が来日する予定だ。再開した3カ国首脳対話の灯を絶やさぬよう、日本は地域の信頼醸成の努力を率先し、責任を果たすべきだ。

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⑥ 慰安婦問題、早期妥結探る 協議加速で一致 日韓首脳会談
11月3日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12048684.html

 安倍晋三首相は2日、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領とソウルの青瓦台(大統領府)で会談し、慰安婦問題の早期妥結をめざすことで一致した。日本政府は、慰安婦問題は法的に解決済みとする従来の立場を堅持する構え。外交当局の局長協議などを加速させ、韓国政府に対してはこうした日本政府の主張を踏まえた妥結策を求める方針だ。▼2面=歩み寄り、4面=考論、16面=社説

 日本政府関係者によると、日韓首脳会談について韓国側は当初、会談時間を約30分と説明していたが、慰安婦問題をめぐる協議が長引き、全体で約1時間45分に延長された。朴大統領は慰安婦問題の妥結時期について「年内」を強く求めたが、安倍首相は譲らず、両者が「早期妥結」との表現で落ち着いたという。

 韓国大統領府によると、朴大統領は会談で「慰安婦問題が関係改善の最も大きな足かせになっている。被害者が受け入れることができ、韓国の国民が納得できるような水準で速やかに解決されなければならない」と求めた。

 一方、日本側は、1965年の日韓請求権協定により請求権に関する問題は解決済みとの従来の立場を強調した。菅義偉官房長官は2日の記者会見で「財産請求権の問題は、日韓請求権協定で解決済みとの立場に変わりはない」と述べ、2日の首脳会談後も対応に変わりはないとの姿勢を示した。安倍首相も2日夜、BSフジの報道番組で同じ認識を示した。

 ただ、首相は同番組で「どのような知恵があるか、お互いの国民が完全に納得することは非常に難しいが、交渉を続けていく中で一致点を見いだすこともできる」と指摘。自民党内では、2007年に解散した「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)のフォローアップ事業を拡充する案などが取り沙汰されており、日本政府はこれらも念頭に韓国側との調整を進めるものとみられる。

 首相はさらに「大切なことは合意すればその後、この問題を再び提起しないことだ。妥結とはそういうことだ」とも指摘。慰安婦問題で妥結する場合は、韓国側が再び政治問題化させないと確約することが条件になるとの考えを示した。

 日韓両政府は今後、これまで続けていた慰安婦問題をめぐる外交当局の局長協議などを加速する。今後の協議の見通しについて、日本政府内には「来年の1月か2月には妥結するのではないか」との見方もある。(ソウル=鶴岡正寛、東岡徹)


⑦ (時時刻刻)日韓、正常化へ歩み寄り 慰安婦問題協議 首脳会談
11月3日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12048665.html

 3年半ぶりとなる日韓首脳会談で、両国首脳は最大の懸案である慰安婦問題の妥結に向けて動き出すことで一致した。国交正常化50年の節目に「未来志向」を再確認し、長年の歴史問題に終止符を打ちたい考えだ。ただ、立場の違いは残るうえ、日韓の間にはほかにも懸案があり、妥結への道のりに影響しそうな不安定要素も残る。▼1面参照

 ■首相「状況大きく変化」

 日本政府関係者は、今回の日中韓による一連の首脳外交の感触をこう語った。「日中はいいと思っていたが、日韓は厳しいと思っていた。しかし日韓が想像しないぐらいよかった」

 日程を終えて帰国したその夜、安倍晋三首相はBSフジの番組で「(慰安婦問題の)障害を乗り越えなければ何も始まらないという、今までの状況は大きく変わった」と語った。

 日韓の外交当局は首脳会談当日の2日未明まで、会談への対応を協議。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は「年内妥結」を訴えていた。日韓の当局者は最終的に安倍首相が今年の国交正常化50周年と「問題の早期妥結」を並べて強調することで合意した。

 日本政府関係者によれば、首相は期限を区切る表現を認めなかったが、「早期の妥結」と踏み込んだのは首相自身の判断という。

 首相周辺は「首相は朴大統領と会談し、少し好印象を持ったようだ。ちゃんと的確に物事を見ている人だと評価していた」と語る。

 韓国政府高官は2日、「関係正常化の軌道に乗ったと見てよい。まだ注視が必要だが、両国の相互理解の幅は広がった」と語った。

 ■基金増額案で一時調整

 日本政府は慰安婦問題について、現在に至るまで「解決済み」との立場を崩していない。一方、1993年には軍の関与を認め、おわびを表明した河野談話を発表。「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)を設立し、国民の寄付を原資に元慰安婦の女性に「償い金」を渡す事業に取り組んだ。韓国の元慰安婦の多くが、日本が法的責任を認めていないなどとして受け入れを拒んだ。

 日本側は同時に、日韓関係の発展に影響を与えていることも認め、歩み寄りの検討を続けてきた。

 日韓両政府は慰安婦問題の対話の場として外務省局長協議を設け、2014年4月に始めた。韓国政府関係者によると、日本の国家安全保障局や韓国大統領秘書室なども関わったという。韓国政府高官は「実はほとんど、最終合意を待つ段階まで行っていた」と語る。今年6月に韓国政府が東京で催した国交正常化50周年の記念式典に安倍首相が急きょ出席したのもそうした動きの一環だという。

 交渉の内情を知るある関係者は、今年6月ごろまでに、07年3月に解散したアジア女性基金の残額8千万円余を増額し、47人が存命している元慰安婦らの福祉事業に充てることで一致したと言う。さらに、安倍首相が手紙などを通じて元慰安婦たちに伝える言葉について、過去に使った「首相として心から同情し、申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」という表現を基礎に、「責任を感じる」といった表現を使うことを調整していたという。

 だが、この話は結局、7月にユネスコ(国連教育科学文化機関)世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」を巡って日韓が激しく対立した結果、日本側が態度を硬化させて振り出しに戻ったという。

 世界遺産問題では、朝鮮半島から動員された労働者についてどう説明するか意見が割れた。韓国外交省が一時、6月の日韓外相会談での合意を破るかのような動きを見せ、日韓の外交当局間で感情的な対立にまで発展した。

 韓国政府が動きを強めたのは、9月初めに日中韓首脳会談開催を発表してからだ。日本側に慰安婦問題の解決を繰り返し求め、応じないとみるや、米国に仲介を依頼。朴大統領は日韓首脳会談の場では解決できない見通しのまま、安倍首相との会談を決断した。

 韓国政府関係者によれば、朴大統領は世界遺産を巡る対立で韓国外交省に落ち度があったと認識していた。韓国側は会談直前、こうした認識を日本に非公式に伝え、理解を求めた。

 一方、日本政府は1日の日韓外相会談で、世界遺産問題のほか、米韓両国の各地に設置された慰安婦像の問題などを持ち出した。懸案をすべてぶつけ、再び対話に移る契機にした。

 ■国内説得に不安要素

 今後、日韓の外交当局は従来の調整案も考慮し、妥結を目指す。韓国では元慰安婦や支援団体の対日批判姿勢が強硬なため、説得に不安を感じる韓国政府が容易に合意に応じない可能性も残る。日本側も、歴史認識問題で韓国への妥協を認めない安倍首相の支持層の理解を得る必要がある。

 また、日韓関係全体を見れば、慰安婦問題の妥結に向けた不安定要素は残る。

 韓国の大法院(最高裁)では、日本統治時代の元徴用工らの損害賠償請求を巡る審理が続いている。請求権が認められれば、日韓関係の火種になるのは必至だ。

 日本政府がたびたび懸念を伝えてきた産経新聞前ソウル支局長の在宅起訴問題は、今月26日に判決が予定される。安倍首相は2日の首脳会談後、「懸案については、申し上げることはしっかりと申し上げた」と語った。判決の内容次第では、首相の支持層から慰安婦問題で譲歩しないよう迫る声が高まる可能性がある。

 韓国も、関係強化を進める中国の反応は無視できない。慰安婦問題での譲歩は、中国が求める歴史認識問題での共闘に影響が出る可能性があるからだ。

 2日の米韓定例安保協議後の共同記者会見で、韓民求(ハンミング)国防相は南シナ海問題について従来通り、米中双方に気を配る発言を繰り返した。同席したカーター米国防長官は「解決に向けて両国が引き続き模索することを望む」と語った。(ソウル=牧野愛博、冨名腰隆)


⑧ <考論>日韓首脳会談 小針進氏、朴チョル熙氏
11月3日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12048624.html

 3年半ぶりの日韓首脳会談に臨んだ安倍晋三首相と朴槿恵(パククネ)大統領。会談は両国の世論にどんな影響を与えるのか。両国の識者に聞いた。▼1面参照

 ■関係すぐ好転、望めない 小針進・静岡県立大教授(韓国社会論)

 日韓関係が国交正常化後最悪と言われる中で開かれた首脳会談は、実質的な成果とは別に、両首脳の立ち振る舞いが両国の世論を一層険悪にする可能性があった。両首脳はそれを強く意識し、表情や言葉を周到に「管理」していた印象だ。その努力は、成功したのではないか。

 朴大統領が慰安婦問題の進展を会談の事実上の前提条件にしていたことを踏まえると、「条件なしで」とした安倍首相が主張を押し通した格好だ。だが、両首脳が「早期妥結を目指す」で一致したことは、「解決済み」と繰り返していた日本側からのゼロ回答を避けられたわけで、朴大統領にプラスと言える。朴大統領は直前に「年内妥結」というボールを投げており、その応答を引き出したとして国内的にも説明できる。

 ただ、慰安婦問題は両国の世論とも絡む複雑な問題で、解決は容易ではないだろう。そもそも両国関係の悪化は、中国に対する戦略が全く異なるように、日韓関係の構造変化が根本にある。関係がすぐに好転することは望めない。両国の政治家が刺激的な発言を慎むなど、日韓の懸案を対立に発展させない「管理」を続ける努力が求められる。(聞き手・武田肇)

 ■慰安婦問題、解決へ糸口 朴チョル熙(パクチョルヒ)・ソウル大日本研究所長

 今回の首脳会談は、3年半ぶりの開催だったが、基本的に評価する。最大の懸案だった慰安婦問題で対立せず、解決への糸口をつかんだからだ。

 韓国政府は首脳会談の前に、世論の期待値を下げた。会談結果について韓国世論で厳しい批判は起きないだろう。

 両国関係の改善は簡単ではないが、朴大統領と安倍首相は今回、「必要であれば対話をする」という信頼関係を築く基礎を作ったと思う。

 両首脳が、韓日国交正常化50年の今年を念頭に、慰安婦問題の早期解決を訴えたことに注目している。実際、来年4月には韓国で総選挙があり、夏には日本で参院選がある。来年上半期は、合意を導くうえで困難が伴うだろう。

 現時点から来年1月くらいの間の時期が最も重要だ。韓日両国の外交当局に与えられた交渉時間は短く、政治の力量が試されることになる。

 慰安婦問題の解決に向け、両国民が期待する水準に合わせていくことが重要だ。両政府には、お互いに正確な意思疎通を図り、少しずつメディアに解決策を予告しながら、合意に導いていく努力が求められる。(聞き手・牧野愛博)


⑨ 日韓首脳会談後の安倍首相の発言要旨
11月3日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12048631.html

 安倍晋三首相が2日の日韓首脳会談後、記者団に語った要旨は次の通り。

 【日韓首脳会談】

 率直な意見交換を行うことができた。慰安婦問題についても議論した。慰安婦問題は、未来志向の協力関係を構築していくうえで、将来世代に障害を残すことがあってはならない。国交正常化50年の年であることを念頭に、できるだけ早期の妥結をめざして交渉を加速させることで一致した。様々な懸案について、日本が主張すべき点を申し上げ、韓国側の早期の対応を促した。日韓関係を改善していくうえにおいても、首脳レベルで胸襟を開いて話し合っていく。これがスタートではないか。

 【日中韓首脳会談】

 3年半ぶりに日韓中のサミットが開催できたことは、3カ国にとっても、地域にとっても画期的なことだ。日韓中プロセスが正常化し、定例開催に回帰したことを確認できたことは大きな成果だ。来年の日本でのサミットにつなげたい。

 【日中首脳会談】

 日中首脳会談は、戦略的互恵関係に基づく関係改善の流れを強化することができた。諸懸案について率直な意見交換をした。主張すべき点は当然、主張した。述べるべきことを述べ合っていくことが、日中関係においても大切だ。具体的に何を議論したかは、中国側との関係があるので、いま申し上げることはできない。


⑩ 訪中の日本経済代表団、中国首相と会談へ
11月3日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12048660.html

 中国・北京を訪れている日中経済協会と経団連、日本商工会議所の合同代表団が、4日に李克強(リーコーチアン)首相と会談する方向であることがわかった。代表団が中国首脳と会談するのは2009年以来6年ぶり。日本側は日中関係の改善の表れと受け止めている。

 今回の訪中団には経団連の榊原定征会長や日中経協の宗岡正二会長ら、約200人が参加。日中経協主催の訪中では尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件が起きた10年9月以降、中国の国家主席や首相といった首脳との会談は実現していない。中国側には経済成長が失速する中、今回の会談をきっかけに、日本企業の投資を呼び込む狙いがあるとみられる。(北京=小林豪)


⑪ (社説)日韓首脳会談 本来の関係を取り戻せ
11月3日
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12048533.html

 安倍首相と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領による初の首脳会談がきのう、ソウルで実現した。

 2人がそれぞれ、国を率いる政治トップに決まったのは3年も前のことだ。この間、一度も公式の会談はなかった。

 隣国でありながら異常な事態が続いたのは、戦時下に過酷な性労働を強いられた元慰安婦たちの問題をめぐる駆け引きのためだ。

 問題の進展を確保した会談を望む朴氏に対し、安倍氏は「前提条件なし」を主張し続けた。ようやくその平行線を破って会談してみると、「早期妥結をめざして交渉を加速させていく」ことで一致した。

 こんなごく当たり前の意思確認がなぜ、いまに至るまでできなかったのか。互いの内向きなメンツや、狭量なナショナリズムにこだわっていたのだとしたら、残念である。

 2人には、この3年間で失われた隣国関係発展の機会を取り戻すべく、約束通り、積極的な協議を指示してもらいたい。

 その際、双方が忘れてはならないことがある。慰安婦協議は国の威信をぶつけ合うのではなく、被害者らの気持ちをいかに癒やせるのかを最優先に考える必要があるということだ。

 慰安婦の実態は、これまでの日韓での研究でかなりのことが明らかになってきた。それは、女性としての尊厳を傷つけた普遍的人権の問題である。

 日本政府は、50年前の日韓協定により、法的には解決済みだと主張する。これに対して韓国側には、日本の法的責任の認定と国家賠償を求める声がある。

 実際には、日韓両政府はこれまでの水面下での協議で、かなり踏み込んだ協議を続けてきた。

 それらを踏まえて双方がいま認識しているのは、どちらか一方の主張をすべて貫くことはできず、双方が一定の妥協をして「第3の道」を探る以外にないという現状である。

 今回の首脳会談は米国の後押しで実現したが、首脳同士が会ったからといって、万事上向くほど現在の両国関係は簡単ではない。一方で日韓ともに「このままではいけない」という意識が強いことも事実だろう。

 首脳会談では、北朝鮮政策を含む安全保障問題や、韓国が環太平洋経済連携協定(TPP)に加わった場合の日本の協力なども話し合われた。

 日韓は慰安婦問題の交渉を急ぎつつ、両国民がともに利益を高めるために協力していくという、隣国としての本来の姿を早く取り戻さねばならない。


NHK NEWSweb 11月02日
日韓首脳会談

① 首相 きょう韓国パク大統領と初の首脳会談
     11月2日 4時55分
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151102/k10010291331000.html

【動画】関係改善に向けた機運 高められるかどうかが焦点

韓国を訪れている安倍総理大臣は2日、韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領と、初めての日韓首脳会談に臨みます。安倍総理大臣は、パク大統領が解決を求める、いわゆる従軍慰安婦の問題で打開策を見いだすための協議を加速していくことで、理解を得たい考えで、今回の会談を通じて、関係改善に向けた機運を高めることができるかどうかが焦点です。

韓国のソウルを訪れている安倍総理大臣は1日、中国の李克強首相、韓国のパク・クネ大統領との日中韓3か国の首脳会議を行い、首脳会議の定例化と、来年、日本で会議を開催することで一致するとともに、「歴史を直視し、未来に向かうとの精神の下、諸課題に適切に対処して2国間関係を改善し、3か国協力を強化するために協力する」などとする共同宣言を発表しました。また、安倍総理大臣は1日夜、中国の李首相と会談し、両国の外相の相互訪問などを再開させるほか、東シナ海のガス田の共同開発に向けた協議の再開を目指すことで一致しました。
安倍総理大臣は2日午前、ソウルでの最後の日程として、韓国大統領府で、パク大統領との日韓首脳会談に臨むことにしています。日韓首脳会談が行われるのは2012年5月以来、およそ3年半ぶりで、安倍総理大臣、パク大統領とも就任以来、初めての正式な首脳会談となります。
今回の首脳会談で、安倍総理大臣は日韓両国の間には、さまざまな懸案があるからこそ対話を積極的に行っていく必要があるとして、首脳レベルを含めた対話を積み重ねていくことを確認したい考えです。また、北朝鮮や緊張が高まる南シナ海の情勢などについても取り上げ、日本と韓国が、同盟国アメリカとともに、緊密に連携していく必要があるとして、前向きな対応を引き出したい考えです。
一方、パク大統領が解決を求めるいわゆる従軍慰安婦問題を巡って、安倍総理大臣は、両国の外交当局の局長級などの協議が続けられていることを踏まえて、打開策を見いだすための協議を加速していくことで理解を得たい考えで、今回の会談を通じて、関係改善に向けた機運を高めることができるかどうかが焦点です。

パク大統領の思惑は

今回の会談で、パク大統領は、就任以来、みずからが強いこだわりを持っている、いわゆる従軍慰安婦の問題を議題として取り上げる見通しです。この問題についてパク大統領はこれまで、「高齢の元慰安婦の女性たちが健在であるうちに傷を癒やさなければならない」と繰り返し、主張しており、日本側が譲歩して解決に向けた具体策を示すよう求めるとみられます。
一方で、韓国は日本との関係改善を望む国内世論や同盟国アメリカを意識しており、2日の会談を通じて、日韓関係の修復に取り組む姿勢を内外に印象づけたい思惑があります。このため、パク大統領としては、歴史認識の問題と切り離すかたちで、北朝鮮に対して核開発の放棄を一致して求めることや、経済交流を促進すること、それに防災や環境の分野で協力していくことなどを確認し、日本との連携に前向きな姿勢を示すことも予想されます。

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② 日韓首脳会談 始まる
     11月2日 10時13分
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151102/k10010291521000.html

【動画】対話継続を提案か

韓国を訪れている安倍総理大臣は、2日午前10時すぎからパク・クネ(朴槿恵)大統領との初めての首脳会談に臨んでおり、いわゆる従軍慰安婦の問題をはじめ、さまざまな懸案があるからこそ対話を続ける必要があるとして、首脳レベルを含めた対話を重ねていくことを提案しているものとみられます。

1日に韓国のソウルで行われた日本と中国、韓国の3か国の首脳会議に出席した安倍総理大臣は、2日午前10時すぎから韓国大統領府でパク・クネ大統領との日韓首脳会談に臨んでいます。日韓首脳会談が行われるのは2012年5月以来、およそ3年半ぶりで、安倍総理大臣、パク大統領とも就任以来初めての正式な首脳会談となります。
会談で、安倍総理大臣は、パク大統領が解決を求める、いわゆる従軍慰安婦の問題をはじめ、両国の間にはさまざまな懸案があるからこそ対話を積極的に行っていく必要があるとして、今後も首脳レベルを含めた対話を積み重ねていくことを提案しているものとみられます。また、安倍総理大臣は、北朝鮮の核やミサイルの開発や、緊張が高まる南シナ海の情勢なども取り上げ、安全保障分野の面で、日本と韓国、それに双方の同盟国のアメリカが緊密に連携していくことを確認したい考えです。

一部の市民団体が抗議活動

3年半ぶりとなる日本と韓国の首脳会談が開かれた韓国大統領府の周辺では、2日午前、一部の市民団体が抗議活動を行いました。
このうち、大統領府に近いクァンファムン(光化門)の広場では、多くの警察官が警戒に当たるなか、市民団体のメンバーおよそ30人が、安倍総理大臣の似顔絵とともに「植民地支配を否定する安倍は帰れ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議集会を開き、首脳会談の中止などを求めました。
また、ソウルにある日本大使館の前でも、別の市民団体のメンバー5人が抗議活動を行いましたが、大きな混乱はありませんでした。

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③ 首相 日韓首脳会談で対話継続を提案か
     11月2日 12時49分
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151102/k10010291641000.html

【動画】日韓首脳会談 終わる

韓国を訪れている安倍総理大臣は、2日午前10時すぎから、パク・クネ(朴槿恵)大統領との初めての首脳会談に臨み、いわゆる従軍慰安婦の問題をはじめ、さまざまな懸案があるからこそ対話を行っていく必要があるとして、首脳レベルを含めた対話の継続を提案したものとみられます。

1日に韓国のソウルで行われた、日本と中国、韓国の3か国の首脳会議に出席した安倍総理大臣は、きょう午前10時すぎから韓国大統領府でパク・クネ大統領との日韓首脳会談に臨み、正午前に終わりました。
日韓首脳会談が行われるのは2012年5月以来、およそ3年半ぶりで、安倍総理大臣、パク大統領とも就任以来初めての正式な首脳会談となりました。
会談で、パク大統領は「これまで私は、50周年であることし、両国が過去の歴史を乗り越え、未来に共に向かうための転換点とすべきだと強調してきました。日本にも、日韓関係は信頼と真実をもとにすべきという、精神の交わりを述べた人がいると存じています。私は外交において信頼を最も重視しています」と述べました。そのうえで、パク大統領は「本日の会談で辛い歴史を癒やし、大局的に真実に基づいた会談にすることで、両国関係のさらなる発展を見いだしていくことができればと思います」と述べました。
このあと、安倍総理大臣は「私は、かねてから日韓関係を改善させたいと考えて参りました。そのためには首脳レベルにおいても率直な意見交換を行うことが必要であり、私は対話のドアはオープンであると繰り返し述べてきたわけでありますが、本日、大統領との間でこのような形で首脳会談が実現しました。この機会を持ったことは両国国民にとって大変意義深いことであります」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「本年は日韓国交正常化50周年であります。1965年に国交が正常化されて以来50年間、さまざまな困難にも直面をいたしましたが、友好協力の道を歩み、ともに発展して参りました。私はこれまでの50年間の日韓関係の発展を歩みを高く評価をいたします。そしてそれを、未来志向の日韓関係の新たな時代を築くべく、パク・クネ大統領とともに努力をして参りたいと思います」と述べました。
会談の内容はまだ明らかになっていませんが、安倍総理大臣は、パク大統領が解決を求める、いわゆる従軍慰安婦の問題をはじめ、両国の間にはさまざまな懸案があるからこそ対話を積極的に行っていく必要があるとして、首脳レベルを含めた対話の継続を提案したものとみられます。
また、安倍総理大臣は、北朝鮮の核やミサイルの開発、緊張が高まる南シナ海の情勢などを踏まえ、安全保障分野で、日本と韓国、さらには双方の同盟国アメリカとの緊密な連携が必要だとして協力を呼びかけたものとみられます。

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④ 日韓 従軍慰安婦問題の協議加速で一致
     11月2日 15時02分
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151102/k10010291721000.html

【動画】従軍慰安婦問題 協議加速を確認

安倍総理大臣は韓国のソウルでパク・クネ(朴槿恵)大統領との初めての首脳会談に臨み、いわゆる従軍慰安婦の問題について、外交当局間の局長級の協議などを加速し、早期解決を目指すことを確認しました。また、両首脳は、今後も国際会議の場などを利用して、首脳間で意思の疎通を図っていくことで一致しました。

韓国のソウルを訪れていた安倍総理大臣は、2日午前10時すぎから1時間40分余りにわたって、韓国大統領府でパク・クネ大統領との初めての日韓首脳会談を行いました。
日韓首脳会談が行われるのは2012年5月以来、およそ3年半ぶりで、安倍総理大臣、パク大統領とも就任以来初めての正式な首脳会談となりました。
会談で、パク大統領は「私は外交において信頼を最も重視している。きょうの会談を、辛い歴史を癒やし、大局的に真実に基づいたものにすることで、両国関係のさらなる発展を見いだしていきたい」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「ことしは日韓国交正常化50周年だ。この50年間、日韓関係はさまざまな困難にも直面したが、友好協力の道を歩み、ともに発展してきた。未来志向の日韓関係の新たな時代を築くべく、ともに努力していきたい」と述べました。
そして、両首脳は、パク大統領が首脳会談の事実上の前提条件として解決を求めてきた、いわゆる従軍慰安婦の問題について、両国が未来志向の関係を築いていくため、将来の世代の障害にならないようにすることが重要だという認識で一致しました。そして、ことしが日韓国交正常化50周年の節目の年であることを念頭に、現在も続いている外交当局間の局長級の協議などを加速させ、できるだけ早期に解決を目指すことを確認しました。
また、安倍総理大臣は「国際会議などの機会を通じて、今回のような話し合いを続けていきたい」と提案し、両首脳は、今後も国際会議の場などを利用して、首脳間で意思の疎通を図っていくことで一致しました。
さらに、両首脳は、北朝鮮の非核化に向けた行動を引き出すため同盟国のアメリカも含めた日米韓3か国が安全保障分野で緊密に連携していくことや、拉致問題をはじめとする人道上の問題でも協力していくこと、それに、日中韓3か国のFTA=自由貿易協定やRCEP=東アジア地域包括的経済連携などの早期妥結を目指し、引き続き精力的に交渉を進めていくことを確認しました。
また、安倍総理大臣が、緊張が増す南シナ海の情勢について、「南シナ海の現状は国際社会の共通の懸念事項となっている。開かれた自由で平和な海を守るため、さまざまな機会で韓国やアメリカと連携したい」と述べたのに対し、パク大統領は「問題意識は共有する」と応じました。
会談のあと、同席した政府高官は、首脳会談の様子について、「両首脳とも、きたんのない意見交換を踏み込んで行い、非常に建設的なやり取りだった。特別、感情的になる場面もひとつもなく、中身のある有意義な会談だった」と述べました。



(社説)
⑤ 日中韓首脳 停滞抜けて再出発を
     11月2日
     http://digital.asahi.com/articles/DA3S12047139.html

 じつに3年半ぶりの首脳会談である。日本、中国、韓国の政治の歯車がかみ合わない不毛な現実から、今こそ抜け出さなければならない。

 安倍晋三首相と中国の李克強(リーコーチアン)首相、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領がきのう、ソウルの大統領府で一堂に会した。3カ国の首脳会談は08年から毎年開かれていたが、日中、日韓関係の悪化に伴い、12年を最後に中断していた。

 安倍首相は会談後の共同会見で「日中韓の協力プロセスを正常化させたことは大きな成果だ」と語った。だが現実には、成果をうたうのは尚早だ。3カ国の真の協力関係づくりは、やっと再出発したに過ぎない。

 ビジネスや観光などでかつてない規模で人が行き交う時代に、政治トップの往来が止まり、それによって経済や民間の交流が妨げられてきた。まさに政治の怠慢と言うべき惨状であり、ようやく軌道に戻りつつあるのが実情だろう。

 近隣外交は、日本の針路に決定的な意味を持つ。

 たしかに日中韓の間には歴史認識や領土の問題が横たわり、波風が立ちやすい。だとしてもたびたび首脳会談が止まり、政府間でも民間でも交流を滞らせるようでは、いつまでも関係を成熟させることが出来ない。

 日中韓の指導者は、歴史や領土の問題をあおり、ナショナリズムを国内向けに利用する振る舞いを慎むべきだ。日本としては、歴史を直視する姿勢を揺るぎなく継続し、わだかまりなく日中韓が協力できる環境を整えておくことが重要だろう。

 中韓首脳も、日本との歴史を政治カードにするような行動は控え、理性的に互恵関係をめざす指導力を示すべきである。

 その意味で3首脳が「歴史を直視し、未来に向かう」とし、会談の定例化を再確認したことには意味がある。

 日本を含む環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意に、中韓の関心は強い。今回の共同宣言は、滞っている日中韓自由貿易協定(FTA)交渉の加速を盛り込んだ。その言葉通り、着実に対話を進め、地域経済の成長力を高めたい。

 北東アジアは今や世界で有数の経済力をもつ地域になりながら、政府間の連携だけが立ち遅れている。エネルギー、災害、環境、テロ対策など、協働を深めるべき課題は広範にある。

 来年は日本が議長国であり、中韓両首脳が来日する予定だ。再開した3カ国首脳対話の灯を絶やさぬよう、日本は地域の信頼醸成の努力を率先し、責任を果たすべきだ。


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