05 02(土) 阿修羅とはなにか |
05 06(水) こどもの日「朝日の社説」 |
こどもの日に―世代間負担を見直そう お父さん、お母さん。おじいちゃん、おばあちゃん。今日は私たち、子どもの話を聞いてください。 最近の新聞では、すごく大きな額のお金をよく目にします。「経済危機対策のために予算規模が100兆円を超える」とか、「政府と自治体の債務残高が800兆円になる」とか。 これは、国が借金だらけになることだと聞きました。よくわからないけれど、このお金は将来、私たちや弟、妹たちが払うことになるの? 気になるのは、それだけじゃないんだ。今、おじいちゃんたちは年金というお金をもらっています。私たちがおじいちゃんぐらいの年になったら、同じようにもらえるのかな。 今とくらべて、もらえるお金が減るかも、って先生が言っていました。これ以上やりくりが大変になったら、今の仕組みが続けられなくなるかもしれない、とも聞きました。 私たちは一人っ子も少なくないから、みんなからお小遣いをもらえて、「ポケットがたくさんある」なんて言われる。でも同年代が少ないということは、税金なんかを1人でたくさん払わないといけないってことだよね。 大人になってからの仕事のことも気がかりなんだ。お父さん、お母さんの友だちには、同じ会社にずっと勤める人が少なくなっているんだって。 私たちのころにはどうなるんだろう。今までよりもたくさんお金を払わないといけないのに、ちゃんと仕事がなかったら、困ってしまう。 大きくなったらお年寄りを助けないと。それは、わかっているんだ。でも私たちの未来について、大人たちは真剣に考えてくれているのかな。 国の偉い人にも聞いてみたいけど、まだ選挙には行けないから……。 ◇ 子どもたちの目から財政と社会保障の現状や雇用情勢を見たら、どう見えるだろうか。大人たちに何と言うだろうか。その思いを代弁してみた。 子どもたちの心配は、決して誇張ではない。納税や社会保障などを通じた受益と負担の「損得格差」は、今の高齢者と未成年で生涯に1億円にもなるという試算がある。 また新生児は、生まれた時点ですでに1500万円以上の「生涯純負担」を背負っている。秋田大の島澤諭准教授が世代会計という手法を使って、そうはじき出している。「私たちは将来世代が払うクレジットカードを使っている」と島澤氏は例える。 経済も人口も、右肩上がりの時代ではない。世代間負担の仕組みを根本から見直さなければ、子どもたちの未来は削り取られる一方だ。 この国の将来を支える世代に、どう希望を残すのか。それを考えるのは、参政権をもつ私たち大人の責務だ。 |