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続折々の記へ
続折々の記 2022 ①
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】02/12~
【 02 】02/14~
【 03 】02/15~
【 04 】02/21~
【 05 】02/22~
【 06 】02/24~
【 07 】03/06~
【 08 】03/06~
【 09 】03/07~
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【 09 】03/07
プーチンのアフガン侵攻問題
振り回される中国、苦境 行動の可能性、事前に把握
20万人避難見通せず
ロシアの戦争 報道弾圧を中止せよ
社説 中国全人代 侵略反対なぜ示さぬか
天声人語 暗黒統制
田中宇の国際ニュース解説 02/14~03/06(10編)
ロシアは正義のためにウクライナに侵攻するかも(2022/01/24)
2022/03/07
田中宇の「世界ニュースの解説」を長いことみていた。 そして、今度のプーチンのアフガニスタン侵攻は、プーチンに理が通っているとみていた。
ところが、今になって因果の原則「政治の動きの根源は“儲けたのは誰か”」を見ていたら、もうけたのはUSAの政治家であり大統領を動かしていた者たちであると気づいたのです。
どうしてそんな風に考えるのか、トランプならこうはならなかったに違いない。 覇権の多極化とはいえ、それはUSAの自分勝手のカモフラージに過ぎないことが明らかになってきたからです。 言葉としては民主主義という言い方があるが、それは政治家の見かけの衣に過ぎなくて、歴史の動きは言葉の表現のどおりではなくカモフラージであり実態そのものではないことが多いからです。
今度のアフガン問題のことの起こりも、ソ連の崩壊の結果によってアフガン人とロシア人がまじりあったままでの自立だったことに端を発している。 これは双方または第三者を交えた納得の上のよい方法が望ましかったのです。 だが、アメリカはアフガンにチョッカイを出して、仲介どころではない羽目までに進んでしまったとみるべきだと思います。
バイデンは意図的にし自国の思うままにしようとしていたとすれば、思うつぼだったに相違ない。 そしてほくそ笑(エ)んでいるのです。 これがアメリカの覇権維持の姿なのです。 対等覇権の位置にあるロシアと中国に対して狡猾な手段をとるのです。 今度のアフガンに対するロシアを一人ぼっちにしようとして経済の孤立手段をとっているのです。 簡単に言えばガキ大将になっての子供のいじめと同じことです。 とんでもないガキです。 今度こそ、世界中の識者はアメリカの手前勝手な振る舞いに反抗すべきときだろうと思います。 世界中が経済の不安定に落とし込まれています。
この見方は違うでしょうか?
日本の政治家もじっくり考えなおさなければならないのです。 日本中で考え直さなければならないのです。
関連データを取り上げてみます。 まずはロシアの動き。
03/08 ロシア、「停戦条件」譲らず ウクライナと3回目協議開始
03/07 ロシア、核研究施設攻撃か 人道回廊、2日連続停止
03/06 ロシア、報道統制を強化 「偽情報の拡散」に刑罰
03/05 ロシア軍、原発を砲撃 一時火災、施設占拠 ウクライナ
03/04 ロシア非難、141カ国賛成 即時撤退求める 国連総会決議
03/03 複数都市で攻撃激化 ウクライナ、一部で包囲網
03/02 キエフ中心部、攻撃へ ロシア国防省、住民退避求める テレビ塔、煙上がる
03/01 停戦協議、始まる 主張に隔たり、見通し不明 ロシア・ウクライナ代表団
02/28 国際決済、ロシア排除 米やEU、制裁強化 日本同調、1億ドル支援も SWIFT
02/27 首都キエフ、市街戦 退避10万人、死者198人に 「停戦協議」実現せず ウクライナ
02/26 ロシア軍、首都に迫る 政権転覆狙いか 交戦、空港を制圧 ウクライナ
02/25 ロシア、ウクライナ侵攻 主要都市、軍施設を空爆 市民犠牲、キエフでは銃撃戦 米欧は非難、制裁強化へ
02/24 米大統領「侵攻の始まり」 ロシア制裁、欧日と 外相・首脳協議、中止に ウクライナ
02/23 親ロ派地域に進駐へ ロシア、独立を一方的承認 米、本格侵攻を警戒 ウクライナ
02/22 米ロ首脳協議へ原則合意 「ウクライナに侵攻せず」米が条件
上記の記事は朝日新聞の一面トップの記事です。
次は 03/07 の記事です。
ロシア、核研究施設攻撃か 人道回廊、2日連続停止
ロシア軍によるウクライナ攻撃は、6日も各地で続いた。ウクライナ治安当局は、核物質を扱う同国北東部ハリコフの研究施設の敷地内にロケット弾が着弾したと発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領は5日に、ロシア軍が欧州最大のザポリージャ原子力発電所に続いて「南ウクライナ原発」の占拠も試みているとの見方を示している。▼2面=中国苦境、3面=20万人避難は、6面=社説
ウクライナ治安当局は、研究施設に着弾したロケット弾はロシア軍が発射したものだとしている。被害の詳細は不明。施設には研究用の核燃料があり、「核施設と貯蔵庫の破壊は大規模な環境被害につながりうる」という。治安当局は犯罪事案として捜査を開始した。
AP通信によると、ゼレンスキー氏は5日、オンラインで米上下院の300人以上の議員と会談。南ウクライナ原発に向けて、ロシア軍が進軍していると語ったという。ロシアは、電力供給の重要施設のさらなる掌握をめざしているとみられる。
ゼレンスキー氏は米議員に、戦闘機を含む追加の軍事支援のほか、ウクライナの上空に「飛行禁止区域」を設け、ロシア軍機の活動を制限することも求めた。
だが、米国を含む北大西洋条約機構(NATO)はウクライナ上空にNATO加盟国の戦闘機を送れば、ロシアとの全面戦争になりかねないため、否定的だ。
一方、ロシアのプーチン大統領は5日、大手航空会社アエロフロートの職員らと会談。タス通信などによると「ウクライナが核兵器を持つことは放置できない」と主張したほか、ウクライナに飛行禁止区域を設置した国は「武力紛争に加わったとみなす」と語ったという。(高野遼=ワシントン、松尾一郎)
◇
ロシア軍のウクライナ侵攻をめぐって両国が合意した、交戦を止めて民間人を避難させる「人道回廊」が5、6日、連続して停止に追い込まれた。ウクライナ側はロシア側が合意に反して攻撃を続けたと批判。3回目の停戦協議が7日にも開かれる可能性があるが、成果は見通せない。
人道回廊は3日の2回目の協議で合意し、当初は5日、ウクライナ南東部マリウポリとボルノバーハで計画された。しかし、東部ドネツク州などによると、退避は5日午前(日本時間午後)に始まったものの砲撃が激しく断念した。
6日も、赤十字国際委員会が「マリウポリから推定20万人を退避させる試みは停止にいたった」と発表した。一時停戦の合意が守られていないとしている。
3回目の協議についてウクライナの交渉担当者は5日、フェイスブックに「月曜に行われる」と記した。(ベルリン=野島淳)
▼2面=中国苦境
(ウクライナ侵攻)振り回される中国、苦境 「ロシア軍事行動の可能性、事前に把握」その後
中国のロシアやウクライナ危機をめぐる発言
「我々は、プーチン大統領が軍事行動に出る可能性を事前につかんでいた」――。ロシアのウクライナ侵攻を巡り、中国当局者は朝日新聞の取材に証言した。だが、現在の中国は核攻撃まで示唆したプーチン氏に振り回され、苦しい立場に立たされている。中国はこの間、どう動いたのか。今後、和平交渉の仲介に乗り出す可能性はあるのか。(北京=冨名腰隆)▼1面参照
2月4日午後3時10分、北京に到着したばかりのプーチン氏が釣魚台国賓館芳華苑に入った。笑顔で迎えたのは中国の習近平(シーチンピン)国家主席。習氏は新型コロナの影響で対面による首脳外交を約2年間控えてきたが、その再開相手として、38回目の会談となるプーチン氏を選んだ。
「ロシアと中国は最も重要な戦略パートナーであり、志を同じくする友人だ」。プーチン氏の言葉に、うなずく習氏。さらにプーチン氏は「協力を一層緊密にして、主権と領土保全を守ることを支持し合いたい」と呼びかけると、習氏も「中国とロシアは志を変えず背中合わせの戦略協力を深める」と応じた。
首脳会談の議題は、前日の王毅(ワンイー)国務委員兼外相とラブロフ外相の会談で事前に調整され、王氏はすでに北大西洋条約機構(NATO)拡大を容認できないロシアの立場に「理解と支持」を表明していた。習氏の発言も、その線に沿って進められたという。
会談後、習氏は午後8時から始まる北京冬季五輪の開会式を前に、少し早めの晩餐(ばんさん)会でプーチン氏をもてなした。会談の内容を知る中国外交筋によると、プーチン氏はこの場でウクライナ問題に対する考えを具体的に述べたという。
外交筋は朝日新聞の取材に「プーチン氏の発言はつまびらかにできない」としたが、「少なくとも中国側はこの場で、ウクライナへの武力行使も辞さないプーチン氏の覚悟を把握した」と明かす。
ウクライナとも友好関係を維持してきた中国は、NATO拡大への反対でロシアと足並みをそろえる一方、ロシアとウクライナの対立には中立的な立場を貫いてきた。プーチン氏の意向に対しても、習氏は反応を示さなかったという。
この瞬間、習氏が懸念したのは北京冬季五輪への影響だったようだ。
この点について、米ニューヨーク・タイムズは「中国側は2月上旬、五輪閉会前に侵攻しないようロシア側に求めた」と報じ、中国外務省は「まったくの虚偽情報」と否定している。
中国外交筋は「習氏はそのような要求はしていない」としつつ、「中国として『最も重視するのは五輪の成功だ』という立場を、プーチン氏に伝えている」と語った。結果的にプーチン氏がロシア軍派遣を決めたのは、五輪が閉会した翌日の21日だった。外交筋は「我々はプーチン氏の配慮があったと受け止めている」とする。
プーチン氏が侵攻の可能性を習氏に伝えた真意は不明だ。ただし、いかなる展開になってもロシアが国際社会から孤立しないよう、中国の支持・支援に期待したことは想像がつく。
習指導部は明らかにその期待に応えようと動いた。
侵攻が始まった直後の24日。中国外務省の定例会見で、華春瑩外務次官補は「ロシア国防省は『(ウクライナの)都市部にミサイルや大砲で攻撃することはない』としている」と擁護し、「緊張を高め、戦争をあおったのは米国だ」と批判した。さらに「ロシアの行動を『侵攻』と認めるか」との質問が13回続くと、「なぜ中国に非難を求めるのか」とし、「中国への先入観と偏見に満ちた不愉快な質問だ」と反論。中国側は今も「侵攻」と認めていない。
■戦線拡大に焦り/仲介姿勢示さず
中国の姿勢に変化が見えたのは、2月25日だ。ロシアの地上部隊が首都キエフなどへも迫り、全面的な侵攻は否定しがたい状況になっていた。プーチン氏が軍事行動に出る可能性を事前に把握し備えていたはずの中国だが、その後の動きを見ると全面侵攻の意図があるとまでは伝えられていなかった模様だ。
プーチン氏がウクライナ東部への「平和維持」目的の派兵を命じた21日時点で、中国はまだ事態を静観していた。だが、戦線が各都市に拡大すると、慌てて対応を始めた。駐ウクライナ中国大使館は25日になって、ようやく退避希望者を募り始めた。
習氏は25日、プーチン氏との電話協議に臨んだ。駐中国ロシア大使館の発表によると、習氏は「ロシアの指導者が現在の危機状況下で取った行動を尊重する」と、軍事行動に理解を示すかのような発言をした。
ところが中国側の発表にその文言はなく、「ロシアがウクライナと交渉を通じて問題解決することを支持する」とあるのみだった。
以降、中国は対ロ制裁の動きには反対を示しつつ、「ウクライナ問題への立場は『理非曲直(道理にかなうかどうか)』で決める」というあいまいな説明に終始している。「安全保障理事会常任理事国としての責任を果たす」と大国のプライドをのぞかせてきた国連でも、対ロ非難決議への対応は「棄権」だった。
米中対立の長期化を見越してロシアとの蜜月関係を築いてきた中国にとって、中ロ関係の戦略的価値は変わらない。だが、国際社会でロシアとプーチン氏への非難がこれほど強まる状況では、過度なロシア寄りの姿勢は習指導部のリスクにつながりかねない。
ウクライナとも友好関係にある中国には、「仲介役」としての期待もある。実際、今月1日に王氏と電話で協議したウクライナのクレバ外相は「停戦実現に向けた仲介に期待する」と伝えた。
だが現状、中国にその意思は見られない。王氏は5日、ブリンケン米国務長官との電話協議で「ロシアとウクライナの直接交渉を奨励する」と述べたが、「国際社会が交渉に協力し、支持しなければならない」と積極的に仲介役を果たす姿勢は示さなかった。
中ロ関係と国際社会における「大国の責任」をてんびんにかけ、中国は揺れている。7日午後、全国人民代表大会の会見に臨む王氏の言葉に、注目が集まる。
▼3面=20万人避難は
20万人避難見通せず マリウポリ、人道回廊また中止 ウクライナ侵攻
ウクライナとロシアが停戦協議で開設に合意したはずの「人道回廊」が5、6日と相次いで失敗に終わった。ウクライナ側はロシアが合意を守らず、回廊として予定された経路に攻撃を浴びせたと激しく非難している。ロシア軍に包囲され、水や食料の供給、通信が断たれた都市からの住民の避難は急務だが、今後、安全に避難できるのか、予断を許さない。▼1面参照
戦地での人道回廊は、民間人を避難させたり、紛争地に人道物資を運び込んだりするため双方の合意で攻撃を停止させ、その経路を確保する手段だ。
今回は、3日に開かれた両国の停戦協議で開設に合意。ウクライナ東部ドネツク州の港湾都市マリウポリと、その北約50キロのボルノバーハで行うことが5日当日の朝に明らかにされた。
ロシア軍は2月24日にウクライナに侵攻し、数日でマリウポリを包囲した。ボイチェンコ市長によると、3月4日までに5日連続で全域の住宅施設が砲弾やミサイルで攻撃され、水道や電気が止まり、外部との通信も難しくなった。300人が病院に収容され、死者数は把握できていないという。
一方、ドネツク州のキリレンコ知事によると、ボルノバーハでも砲撃で住宅が破壊され、2月26日には15人の住民が死亡した。
3月5日は午前9時~午後4時を攻撃停止の時間とし、赤十字国際委員会の関与で午前11時にはマリウポリから2万人、ボルノバーハから1万5千人の住民の退避が始まるはずだった。
マリウポリ市は市内3カ所に集まるよう住民に呼びかけ、そこからバスを運行。「回廊」を通って西に200キロ以上離れたザポリージャに運ぶ予定だった。自家用車で退避する住民も、バスとともに車列を作るよう指示された。
しかし市は午後0時半すぎには、避難の延期を発表した。ウクライナメディアによると、ロシア軍は最初の約2時間は攻撃を停止したが、市民が集合場所に行列を作ると間もなく近くに砲弾を撃ち込み、攻撃を再開したという。ボイチェンコ市長はテレビで「出発しようとすると攻撃が始まった。犠牲者が出なかったのは奇跡だ」と語った。
また、ボルノバーハについてはキリレンコ知事が5日午後、SNSで「出発から間もなくロシア軍が市内への攻撃を再開し、車列を止めざるを得なくなった」と明かした。この日、400人が同市と周辺から退避したが「回廊」とは別の自力での脱出だったという。
翌6日にはマリウポリで正午から実施すると発表されたが、2時間もたたないうちに中止が発表された。ゲラシチェンコ内務相顧問は再び回廊に対する攻撃があったとし、「ロシアの心は病んでいる」とSNSに投稿した。
一方、タス通信によると、ロシア国防省幹部は5日夕、「ウクライナの民族主義者が住民や外国人が居住地を離れるのを許さなかった」とし、同日夕で攻撃停止措置は終わったと語った。またプーチン大統領は5日、「我々が攻撃を停止したのに誰も出てこなかった。彼らは人間の盾で身を隠そうとしている」などと主張した。
マリウポリからは計20万人の避難が必要という。7日には3回目の停戦協議が行われる予定だが、非難の応酬も予想され、住民の退避や将来的な停戦の見通しは不透明だ。
▼6面=社説
ロシアの戦争 報道弾圧を中止せよ
新聞やテレビが国家の広報機関に成り下がっていたソ連時代に時計の針を戻すつもりか。
ロシアで情報統制を強める法律が成立した。軍事をめぐる報道や発信の内容を当局が虚偽と判断すれば、記者らに最大15年の禁錮刑を科すという。
戦争批判を封じる言論弾圧であり、断じて容認できない。プーチン政権は即刻統制をやめ、内外の記者の安全と自由を保障するよう厳重に求める。
そもそも侵略をめぐって事実を曲げてきたのは、プーチン政権だ。国内メディアに「攻撃」「侵攻」などの表現を禁じ、国連では「原発に放火したのは、ウクライナの工作員だ」と強弁し、批判を浴びている。
今後は、こうした公式見解に疑義を呈する報道は「フェイクニュース」(偽情報)だとして犯罪にされる恐れがある。
政権に批判的なメディアは相次いで閉鎖し、これまでに報じた記事も削除された。外国人記者も対象となる可能性があるため、朝日新聞を含む多くの国外メディアが、ロシアからの報道を中断している。かつてなかった異常事態だ。
自由な言論は民主主義の根幹であり、国民の権力監視には独立した報道が不可欠だ。政権が人々に目隠しをし、都合の良い話だけをささやくような社会は暗黒以外の何物でもない。
かつてソ連時代、ゴルバチョフ氏による情報公開で、国内の民族問題やアフガニスタン侵攻などをめぐる隠された真実が暴露され、体制が揺れた。
当時を経験し、ソ連崩壊を悲劇と呼ぶプーチン氏は事実の力を恐れているのだろう。この国では近年、政権を批判する報道関係者の暗殺が続いてきた。
今回の開戦後も、ロシア軍はウクライナ国内で英テレビ局の取材班を襲った。首都キエフにあるテレビ塔を破壊したのも、情報の伝播(でんぱ)を断つ狙いだろう。正当化できない戦争を自覚している証左でもある。
世界では、フェイクを規制する法律をつくる国が増えている。デマを防ぐ目的に乗じて、政権が都合の悪い事実を隠そうとする例もあとを絶たない。米国では前大統領がコロナの脅威を軽んじる言説を流し、多くの犠牲者を生んだ。
内外の市民に甚大な被害を及ぼす失政を隠し、独りよがりの歴史観を垂れ流して自国のナショナリズムをあおる。そんな独裁的な政治の蔓延(まんえん)を国際社会は食い止めねばならない。
日本でも先の大戦時、朝日新聞を含む各報道機関が大本営発表を流し続け、破滅的な敗戦を招いた。ロシアの現状を同時代の教訓とし、公正な事実を伝える使命の遂行を誓う。
▼(社説)2022年3月8日
中国全人代 侵略反対なぜ示さぬか
北京の人民大会堂で5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)=2022年3月5日、高田正幸撮影
あいまいな姿勢では国際社会の信頼は得られない。中国はロシアの暴挙に明確な反対を表明し、戦争を止めるための具体的な行動をとるべきだ。
中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が北京で開幕した。注目点の一つは、目下のロシアのウクライナ侵攻について中国指導部がいかなる態度を示すかである。
ところが、そうした関心は肩すかしにあいつつある。
王毅(ワンイー)外相はきのうの記者会見で、国際社会と共に仲裁に動く可能性に触れつつ、「国際情勢がいかに悪化しても中ロ関係を前に進める」と語った。ウクライナに配慮する一方で、ロシアに理解を示す。何ともはっきりしない対応である。
米国批判だけは歯切れがいいが、それでロシアの侵略が正当化されるわけではあるまい。
そもそも「国連を中心とした国際システムを守る」(習近平〈シーチンピン〉国家主席)との主張が真意ならば、侵略の容認は理屈が立たない。国連憲章を公然と踏みにじったロシアに明確な「ノー」を突きつけるのが筋だ。
そうしないのは、米中対立が深刻化するなか、ロシアとの緊密な関係を壊したくないからだろう。中ロは、人権をないがしろにする互いの強権政治を支持しあう仲だけに、結束を維持したいということか。
しかし、中国の発展と繁栄が「法の支配」を礎とした既存の国際秩序のなかで築かれた事実を忘れてもらっては困る。その秩序をロシアが破壊しつつあるとき、傍観は許されない。
中国もロシアと同じように力による現状変更を狙っているのではないか――。もしもこのままロシアの蛮行を黙認するのならば、国際社会がそう不信を深めるのは当然だろう。
問われているのは大国としての責任ある態度であり、その世界観である。いったいどんな国際秩序を求めるのか。中国は明確に答えるべきである。
全人代で公表された国防予算案も、同様の疑念を一層かき立てるものだった。
前年比7・1%増の1兆4505億元(約26兆3千億円)は日本の防衛予算の5倍弱にのぼる。経済成長目標が前年を下回るなか、国防予算の伸び率は2年連続で拡大した。
ウクライナの国連大使が安保理の会合で引用したアインシュタインの言葉を、中国指導部はかみしめて欲しい。
「世界は邪悪な者に滅ぼされるのではない。何もせずに見ているだけの者に滅ぼされる」
必要なのは実際の行動だ。平和のための責務を果たす気があるならば、いまこそ中国はそれを世界に示すべきである。
▼天声人語
暗黒統制
ナチスが政権をつかんだ1933年、ドイツの首都ベルリンに駐在していたある米紙記者が国外へ追放された。ユダヤ人に対する迫害が増えていると熱心に報じてきた人物だった
▼ナチスは外国人記者らを監視し、彼が会長を務める特派員協会の解散を迫る。「もはや身の安全を保証できない」と米紙本社に脅しをかけ、国外へ追いやることに成功する
▼いつの時代も独裁者にとって外国から来た記者たちは疎ましいものらしい。ロシア政府が軍の活動について「偽情報」を報じた記者らに対して最大15年の禁錮刑を科すと決めた。偽情報かどうかはロシア当局が判断するという
▼英BBCなど海外メディアは相次ぎ取材停止を余儀なくされた。この事態を受け、国際NGO「国境なき記者団」が発表した声明は悲痛である。「我々はなすすべなく自由な報道が殺されるのを目撃しようとしている」。近年これほど苛烈(かれつ)な報道規制があっただろうか
▼思い出すのは、「単一国国策新聞」1紙しか発行されない統制国家を描いたザミャーチンのディストピア小説『われら』。レーニンによる独裁を念頭に、権力者を「恩人」と呼ばせ、「守護者」たる警察が国民を見張る社会の息苦しさを告発した
▼政府を批判する国内の報道機関やSNSを沈黙に追い込み、外国プレスは新法で一気に締め出す。「単一国国策メディア」のみが報道を担う異様な社会。まさに独裁者にとって理想の中の理想であり、市民にとっては暗黒の中の暗黒であろう。
次にずっと長いこと見てきた「田中宇の国際ニュース解説」の 02/14 ~ 03/06 までの記事(寸評)をとりあげる。…… タイトルをクリックすれば全記事を読めます ……
◆ドルはプーチンに潰されたことになる
【2022年3月6日】これから起きる米欧経済の破綻とドル崩壊は、QE中止と、流通網など供給側起因のインフレが原因なのだが、多分マスコミではそう報じられない。米欧の経済破綻はプーチンのせいだ、と言われるようになる。QEをやめてもインフレはおさまらないのだから、米連銀はQEをやめる必要などない。QEをやめなければ、いくらインフレになっても金融バブルは維持されて崩壊しない。QEは悪政だが、やめたら金融崩壊するのだから無意味にやめるのは大馬鹿だ。コロナ以降、マスコミは正気を失い、諜報界に操作されるまま、過激で稚拙な「ぜんぶプーチンが悪い」の絶叫を続けている。QE停止によるこれからの米国側の金融崩壊も、目くらまし的にプーチンのせいにされ、本質が隠される。
ロシアは意外と負けてない(2)
【2022年3月4日】多極化によるロシアの台頭と米国の衰退によって、東欧におけるロシアとEUの影響圏の境目が西の方に移動していく。EUは、早く対米自立してロシアとの話し合って新たな影響圏の境界を確定せねばならないのだが、それが全くできていない。EUが動かない分、米国がロシアを挑発し、ロシアが力づくで境界線を変更する挙に出たのが今回の戦争だ。米国の衰退と覇権の多極化は止められないので、ウクライナがロシアの影響圏に戻ることも止められない。
◆ロシアは意外と負けてない
【2022年3月2日】ロシアは米欧から排除されても孤立しない。むしろロシアは、多極化に先鞭をつける重要な役割を果たしていく。ロシア(と中国)は近年、サウジ主導のOPECと組み、世界の石油ガスの利権を米国側から奪うためのOPEC+を形成している。OPECは米国の傀儡だったが、OPEC+は非米組織へと転向した。ロシアは孤立するどころか逆に、サウジやイランや中国などと組み、米欧が買う石油ガスの価格をつり上げてインフレを加速させ、ドル崩壊や米欧の経済窮乏、政権転覆・トランプ再登板などを引き起こしていく。
ウクライナがアフガン化するかも
【2022年2月27日】ウクライナは、極右に乗っ取られたままだと「アフガン化」しかねない。ドイツやオランダは、ウクライナにスティンガーなど携帯用の非正規戦争用の兵器を大量に送り込む。今後のウクライナで露軍と戦うのは政府軍でなく、非正規軍である極右の民兵団だ。彼らは市街地に立てこもり、住民を「人間の盾」として使いつつ、アパートのバルコニーなどから、ロシア軍の飛行機や戦車を狙ってスティンガーを撃つ。自衛のために露軍が反撃すると、アパートが破壊され、大勢の市民が死傷する。キエフなどウクライナの美しい街が、カブールやベイルートやアレッポみたいな廃墟になる。
◆敵にガスを送るプーチン
【2022年2月26日】ロシアが、欧州へのガス送付を妨害していた反露政権のウクライナを占領し、ロシアが欧州に送るガスの量が再増加した。ロシアがウクライナを占領しガスルートを再開したので、ドイツはノルドストリーム2が不要になった。ただしこれには決定的な条件がある。それは「ドイツやEUが、ロシアのウクライナ支配を容認し、ロシア敵視をやめること」だ。ガスプロムは欧州に「ウクライナがロシアの傀儡国に戻ることを認めるなら、ガスの送付量をもっと増やせますよ」と言っている。日本の戦国時代の「敵に塩を送る」の策略的な故事と同様、プーチンは「敵にガスを送る」策略をやっている。
バイデンがプーチンをウクライナ侵攻に導いた
【2022年2月25日】米国がロシアの侵攻予定を察知したら、それを公表して当たったことを自慢するのでなく、機密扱いしつつ対応策をとって侵攻を思いとどまらせるべきだった。バイデンは全く逆のことをした。バイデンの未必の故意的な超愚策なウクライナ弱体化策の展開を見て、もしかするとそれまでウクライナ侵攻する気などなかったプーチンが、これなら電撃的に侵攻できそうだと思ってしまった可能性が十分にある。バイデンがプーチンをウクライナ侵攻に導いたことになる。
ロシアを制裁できない欧米
【2022年2月24日。露軍侵攻前に完成し、侵攻発生でボツにした記事】米国がノルドストリーム2の稼働を阻止するなら、代わりに米国から欧州への天然ガスの輸出を恒久に増やすなどの大対策が必須だったが、米国は何もやらなかった。米国はエネルギー面で欧州の安全を保障しなかった。そして今、米NATOに敵視されたロシアが2州の独立を承認して政治的な反撃を開始し、欧米NATOが対露制裁を発動しようとしたら、欧州は、自分たちがエネルギー面ですでにロシアに完敗してとても危険なガス不足・電力不足の状態に陥っているいることを発見し、驚愕している。エネルギー面で欧州をロシアの脅威から守ってやらなかったNATOは、決定的な信用失墜に直面している。
◆ロシアを「コロナ方式」で稚拙に敵視して強化する米政府
【2022年2月18日】米当局が対象物の脅威を極端に誇張し、その妄想に疑問を持つ者たちに危険人物のレッテルを貼って潰し、潰されたくないマスコミ権威筋の大多数が当局の妄想を事実のように報道し始め、当局の妄想を人々が事実として軽信する状況が定着する・・・。この構図はコロナ危機で史上初めて作られた。米当局は今回、コロナ危機の誇張戦略と同じことを、ロシアに対してやり始めている。米政府は「コロナ方式」でロシア敵視の誇張を急拡大し、妄想を事実として定着させようとしている。
ウクライナをロシア側に戻す?
【2022年2月16日】米政府が、ロシア軍がキエフを占領しそうだという妄想に基づいてウクライナから政府要員を総撤退し、カラー革命以来ウクライナで構築した政治諜報の資産を自滅させている。その空白を埋める形で、ロシアがウクライナを再支配していく新たな「逆カラー革命」の流れを作っている。バイデン政権は、米国を自滅させてロシアを台頭させる隠れ多極主義策をやっている。米英勢がいない状態が1年も続けば、ウクライナ政界の多数派はロシア側に戻る。そうなったら米英による奪還は不可能だ。
ロシアがウクライナ東部2州を併合しそう
【2022年2月14日】米国が発する2月16日侵攻説は根拠がある。それは、ウクライナ東部のドネツク、ルガンスクの2州が2014年のウクライナ内戦開始時からずっと宣言し、ロシアに承認を求めてきた「東部2州のウクライナからの分離独立とロシアへの併合」について、ロシア議会が2月14日に審議し、プーチン大統領が東部2州のロシア併合を認めてくれるよう請願する決議を可決する可能性があることだ。
【下平】アメリカの覇権多極化を誰もそう問題視してはいなかった。 だがそうは理解しながら、アメリカのやり方を見ていると覇権にこだわり続けているのはそのアメリカであることがよく判ってきた。 自分の友好国として日本をはじめイギリス・ドイツ・フランス・など自分の思いどうりに操りながら、たえず世界での優位性を保持してきています。
本来の民主主義とは相手を自分と同じように大事にして友好を保つものなのに、手前勝手な考えを貫いてきておりました。 「多極化とは何か」(2022/03/01)を開いて一読してほしい。
更に 2022年1月24 の「田中宇の国際ニュース解説」を一読してほしいのです。 アメリカが如何に巧妙に覇権を維持していくのか理解できるのです。 日本はいつまでたってもアメリカの言いなりになっているではありませんか。 戦争という「死の商人」が平然と活躍している世界を、戦争のないお互いに仲良くして安心して暮らせる国にするためにどうすべきなのかを、早急に考え実現していくことが誰にとっても大事なことだと世界中の普通の人は感じているではありませんか!
ではアメリカにやり口を理解するのに適切なデータを、次に掲載します。
ロシアは正義のためにウクライナに侵攻するかも クリック
2022年1月24日 田中 宇
米英の諜報界(軍産複合体)が、ロシアを挑発してウクライナ東部に侵攻させようとしている。ウクライナは、ウクライナ語を母語とするウクライナ系住民が多い西部地域と、ロシア語を母語とするロシア系住民が多い東部地域(ドンバス)から成り立ち、2014年までは、おおむね両者をバランスする指導者が政権をとっていた。だが米英諜報界は、2014年にウクライナ系の右派勢力を扇動して反政府運動(マイダン革命)を起こして支援し、政権転覆してロシア敵視の右派政権とすげ替えた。米英諜報界に操られて成立したウクライナ右派政権は、東部地域の自治を剥奪したので政府軍と東部の民兵団の間で内戦になり、現在まで内戦が続いている。 (The Three Types of US-Led Regime Change) (ウクライナ軍の敗北)
この地域のロシア系住民は、ウクライナとロシアにまたがって住んでいるが、ウクライナもロシアも1991年のソ連崩壊までソ連の一部であり、ウクライナ側のロシア系住民も、ロシア側のロシア人と同じ民族で、同胞だった。ウクライナ側も、国内に2民族がいても何の問題もなかった。ソ連が崩壊しウクライナが独立してウクライナ系のナショナリズムが強まった後も、ウクライナ政府は東部のロシア系住民に自治を認めて融和していた。だが米英諜報界は、2014年から意図的にこの融和を破壊し、ウクライナ系のナショナリズムに取り憑かれた右派政権の政府軍と民兵団に武器支援して、彼らが東部のロシア系住民を攻撃するよう仕向け、ウクライナを内戦に陥れている。ロシアの政府や人々は、自分たちの同胞であるウクライナのロシア系住民が米英の扇動で殺されていくのを見て、当然ながら激怒した。(米英諜報界は昔から、ロシア封じ込め策の一環としてウクライナのナショナリズムを扇動してきた) (US Must Take Russia’s Security Concerns Seriously) (False Flags Suddenly No Longer A Crazy Conspiracy Theory)
ソ連崩壊などの歴史的な経緯からウクライナ側のドンバスに住んでいる同胞を助けることは、ロシアの政府や人々にとって完全な「正義」である。ウクライナ政府が米英諜報界の傀儡になり下がり、ウクライナ政府軍がロシアの同胞であるロシア系住民を殺している。ロシアの人々や政治家は正義の感情として、ロシア政府軍をドンバスに差し向けて同胞を助け、ウクライナ政府軍を壊滅させるべきだと考えた。 (The United States Needs a New Approach to Russia) (プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動)
だが、2014年のロシアはまだ今より弱く、欧米との政治経済の関係を重視せざるを得なかった。もしロシア軍がウクライナ東部に進軍したら、米英諜報界はここぞとばかりにロシア敵視を扇動する。欧米諸国はロシアに極悪のレッテルを貼って経済制裁を強化する。欧米の政界やマスコミには米英諜報界の傀儡が多く、ほとんど誰もロシアの事情を理解しようとしない。少し考えれば、ロシアにとってウクライナ東部の同胞を助けることが大きな正義・義務であることがわかるのに、それは無視され「無実のウクライナに露軍が侵攻する極悪・人道犯罪が行われた」と歪曲的な話が喧伝され、欧米日の間抜けな人々がそれを軽信してロシアが悪いんだと思い込む。(日本でまともなのは一水会ぐらいだ) (Expansion: Blinken and Stoltenberg Lie Intentionally and the Media Applauds) (敵視と譲歩を繰り返しロシアを優勢にする米国)
ロシアはウクライナに軍を侵攻させず、代わりに露軍の要員が私服でウクライナ東部に入ってロシア系住民の民兵団を強化する戦略立案を行い、東部民兵団がウクライナ軍と互角に戦えるところまで持っていった。ロシアはウクライナ東部に武器を支援した可能性もあるが、露ウクライナ国境を監視していた欧州のOSCEは大規模な武器の越境を確認していない。ロシアはウクライナ東部のうち、ロシア軍の最重要な基地があるクリミア半島だけは、地元のロシア系の自治政府による分離独立宣言を支持し、クリミアをロシアに併合した(クリミアは、ウクライナ系だったフルシチョフによって1954年にウクライナに編入されるまでロシア領だった)。ロシアは欧米に配慮し、その他のウクライナ東部をウクライナ側に残したまま、東部の同胞を目立たないように支援してきた。しかし、米英主導のロシア敵視はひどくなるばかりで、ロシアに対する米欧の経済制裁は強化される一方だ。 (茶番な好戦策で欧露を結束させる米国) (NATO Seeks to 'Contain' Russia, There's 'No Room for Common Positive Agenda,' Top Diplomat Says)
米国は昨年、バイデン政権が外交や経済や国内行政やコロナ対策で失敗を続け、覇権の低下が加速した。昨年8月の米軍アフガン撤退などを機に、ロシア以南の中央アジアや中東で米国の覇権崩壊が起こり、先日は中央アジアのカザフスタンでクーデター的な暴動によってロシアの影響力が強化され、米英トルコの影響力が排除された。中東では米国の覇権低下と反比例して、イランやシリア、サウジアラビアUAE、エジプトなどがロシアの影響を強く受けるようになった。最近は、イランの大統領が訪露し、ロシアが米国を譲歩させてイラン核協定を再稼働する流れだ。露イランの影響圏になったシリアは、アラブ諸国と和解している。イランと仲良くしたいので米国からいじめられているUAEは、主力の戦闘機を米国のF35から、ロシアのSu75に替えることにした。米国の覇権が自滅し、ロシアの覇権が拡大している。 (Blinken: Iran nuclear talks reach 'decisive moment') (Booster Shot For Russia! Will UAE Co-Develop SU-75 Checkmate With Moscow After Suspending US F-35 Fighter Deal? ) (カザフスタン暴動の深層)
近年のロシアにとって最大の強みは、中国との経済関係がどんどん強化されていることだ。昨年の中露の貿易総額は前年比35%の増加だった。ロシアは以前、石油ガスを欧州に売って国富としてきたが、近年は中国がロシアの石油ガスを全量買いたがるようになり、中国との関係だけで露経済を回していけるようになっている。今のロシアはウクライナ内戦が始まった2014年ごろと異なり、中国との関係があるので欧米に経済制裁されてもかまわない状態になった。ロシアにとって欧米は、中国一辺倒だと中露関係においてロシアが不利になるので欧米との経済関係も維持したい、といった程度の存在になっている。このように最近のロシアは、安保と経済の両面で、とても余裕ができている。 (Trade turnover between Russia and China gained 35.8% in 2021) (Even Without War, Russia Has Defeated Europe Already)
そんなロシアの変化を全く無視して、米英諜報界はロシア敵視をガンガン続けている。米政界ではウクライナをNATOに入れる構想が出され続け、NATOに入ったウクライナの右派政権がロシアに戦争を仕掛け、NATOの5条に沿って米国をロシアと(核)戦争させる流れが作られている。米英は武器を大量にウクライナに輸出し、ウクライナ政府による東部のロシア系住民の殺傷を煽っている。欧米に対する自国の優位を感じているロシアの議会では、ウクライナ東部のロシア系住民の自治政府が住民投票などによってウクライナからの分離独立を宣言したら、ロシアがそれを支持する決議案が検討され始めている。クリミアのロシア併合時と同様、分離独立したウクライナ東部(ドンバス)の政府がロシアへの併合を望み、ロシアがそれを受け入れることでロシアがドンバスを併合する展開が今後あり得る。 ("War May Be Necessary": Russian Lawmakers Push For Donbass Independence Recognition) (米欧がロシア敵視をやめない理由)
そうなった場合ウクライナ政府は、自国の東部がロシアにもぎ取られることを強く拒否し、ウクライナ軍が全力で東部の民兵団(ドンバス軍)を攻撃する。ロシアから見るとドンバスは自国領になっているので、ロシア軍をドンバスに進軍させて攻めてきたウクライナ軍を攻撃し壊滅させることは合法、というか正義・義務だ。しかし、欧米はドンバスのロシア併合を認めず、ウクライナ領であるドンバスに露軍が侵攻したという話になる。欧米日の軽信者たちはこの見方を洗脳され、ロシアによる極悪のウクライナ侵攻だと思い込む。もしロシアがドンバスをウクライナから分離独立させて併合するなら、ウクライナがNATOに入る前にやった方が良い。ウクライナがNATOに入ってしまうと、露軍のドンバス進出・侵攻時に5条が発動されて米露核戦争になりかねない。 (Diplomat blasts West’s ‘Russian invasion of Ukraine’ rumors as cover-up for its own gambit) (Russian Soldiers Need a Map)
米英諜報界はウクライナへの軍事支援を加速するともに、間もなくNATOがウクライナ加盟を決めるかのような流れを作り、ロシアをドンバス併合、露軍侵攻へといざなっている。露軍が侵攻して、欧米からさらに強い経済制裁を受けても、ロシアには中国がいるのでかまわない。困るのはロシアから石油ガスを買えなくなるドイツなど欧州の方だ。米諜報界は最近、バイデン大統領に「ロシアがちょっとウクライナ東部に侵攻するぐらいなら、米軍を動かさずに見逃してやる」といった趣旨のことを言わせてすぐ撤回させ、隠然とプーチンに対し「ウクライナがNATO加盟前ならドンバスに侵攻しても大丈夫だよ。早くやっちゃいなよ」とけしかけている。NATO加盟前のウクライナから東部を分離・ロシア併合して露軍が侵攻しても、おそらく米軍は出ていかず、その後のウクライナがNATO加盟するのは欧米にとって危険すぎるので、NATO加盟の道も閉ざされる。 (Biden Clarifies Ukraine Stance After ‘Minor Incursion’ Comment Sparks Backlash) (Russia, at an Impasse With the West, Warns It Is Ready to Abandon Diplomacy)
このように見ていくと、ロシアがウクライナ東部を分離・併合し、露軍が侵攻してウクライナ軍を敗走させる展開がありうると感じられる。米英諜報界はマスコミに「露軍がウクライナ侵攻しそうだ」とプロパガンタ的に報じさせ、マスコミのプロパガンダに敏感なオルトメディアは「露軍がウクライナ侵攻しそうだという話はマスコミのプロパガンダだ」と言っている。たしかに、その手のマスコミの報道はプロパガンダ臭がぷんぷんする。しかし私には、このプロパガンダ臭を含めて米諜報界の策略でないかと感じる。ロシアによるドンバスの併合と、露軍のウクライナ侵攻の可能性は十分にある。 (Godot Likely To Arrive Before Russia Invades Ukraine) (Six Things the Media Won’t Tell You About Ukraine)
ロシア政府は以前から「(ドンバスに自治を再付与してウクライナ内戦を終わりにする)ミンスク合意を、ウクライナや欧米が履行しないなら、ロシアは、現実の状況として合意が履行された状態を実現する」と言っている。これが意味するところは、ドンバスを分離・ロシア併合し、露軍が侵攻してウクライナ軍を蹴散らすことで、ミンスク合意が履行された状態(ドンバスの人々がロシア同胞として生活できる状態)を実現する」ということだ。それを挙行するかどうかはプーチンが決める。挙行するかどうか、まだわからない。 (Whatever Russia Does in Ukraine, China Will Be Watching) ("Drumbeat Of War Sounding Loud" US Says After Russia Declares Talks At "Dead End")
これは、ドイツに対する試練でもある。米英は露軍にウクライナ侵攻させて欧米とロシアを(欧米側が負ける形で)決定的に対立させたいが、ドイツは欧州を引き連れてロシアと和解したいと考えている部分がある。ドイツは最近、米英などがウクライナに武器を送り込んで戦争を扇動しているのを阻止すると言い出している。これまでのドイツは対米従属で、米英のロシア敵視体制に不満を表明しつつ従っていた。しかし、このままロシアのドンバス併合と露軍の侵攻で欧米とロシアの仲が決定的に悪くなると、ロシアからドイツなどへの石油ガスの流れも止まり、ドイツは窮乏するばかりだ。ドイツが米英に「もうやめろ。我が国はEUを引き連れてロシアと和解する」と宣言するように仕向ける(ドイツを対米自立させて多極化を進める)ために、米英諜報界はウクライナ危機を扇動しているのかもしれない。 (Germany Blocks NATO Partners From Supplying Its Weapons To Ukraine) (German navy chief forced to resign after drawing criticism for saying Russia's Putin deserves respect) (Germany Blocks NATO Partners From Supplying Its Weapons To Ukraine)
【下平評】
(The Three Types of US-Led Regime Change)
(ウクライナ軍の敗北)
(US Must Take Russia’s Security Concerns Seriously)
(False Flags Suddenly No Longer A Crazy Conspiracy Theory)
(The United States Needs a New Approach to Russia)
(プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動)
(日本でまともなのは一水会ぐらいだ)
(Expansion: Blinken and Stoltenberg Lie Intentionally and the Media Applauds)
(敵視と譲歩を繰り返しロシアを優勢にする米国)
(茶番な好戦策で欧露を結束させる米国)
(NATO Seeks to 'Contain' Russia, There's 'No Room for Common Positive Agenda,' Top Diplomat Says)
(Blinken: Iran nuclear talks reach 'decisive moment')
(Booster Shot For Russia! Will UAE Co-Develop SU-75 Checkmate With Moscow After Suspending US F-35 Fighter Deal? )
(カザフスタン暴動の深層)
(Trade turnover between Russia and China gained 35.8% in 2021)
(Even Without War, Russia Has Defeated Europe Already)
("War May Be Necessary": Russian Lawmakers Push For Donbass Independence Recognition)
(米欧がロシア敵視をやめない理由)
(Diplomat blasts West’s ‘Russian invasion of Ukraine’ rumors as cover-up for its own gambit)
(Russian Soldiers Need a Map)
(Biden Clarifies Ukraine Stance After ‘Minor Incursion’ Comment Sparks Backlash)
(Russia, at an Impasse With the West, Warns It Is Ready to Abandon Diplomacy)
(Godot Likely To Arrive Before Russia Invades Ukraine)
(Six Things the Media Won’t Tell You About Ukraine)
(Whatever Russia Does in Ukraine, China Will Be Watching)
("Drumbeat Of War Sounding Loud" US Says After Russia Declares Talks At "Dead End")
(Germany Blocks NATO Partners From Supplying Its Weapons To Ukraine)
(German navy chief forced to resign after drawing criticism for saying Russia's Putin deserves respect)
(Germany Blocks NATO Partners From Supplying Its Weapons To Ukraine)
ざっと29のデータを源(モト)としての記事でニュース解説をしています。 自分で解説した資料や外国のニュース資料を源にして解説していることが分かります。 こうしてみていくと、どれほどのスタッフが彼のもとで活躍しているのか、活気に満ちた光景が頭に浮かびます。
それだけに、適当な想像力だけで記事をまとめたとは思われないのです。そうすれば信頼性も高いと言えます。
上記の文字の装飾などは私が勝手にしたものですからそのつもりで読んでほしいと思います。