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【 04 】04/17
バイデン政権下で激化する米中対立と日本の果たすべき役割
米中対立ニュース一覧
米中対立 新たな局面 そのとき日本は
国際ニュース解説 22/04/17
◆米欧との経済対決に負けない中露
◆米露の国際経済システム間の長い対決になる
中立が許されなくなる世界
まだまだ続くロシア敵視の妄想
2022/04/14
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検索語➡米中関係 日本 どうする バイデンの勝手な独走
米中関係 日本 どうする
586,000 件の検索結果時間指定なし
① グローバル Web アイコンコロナパンデミック禍における新たな米中関係と日本の役割 ...
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00669
一方、中国は19年12月から20年1月の時点で「初動」が遅れ、国内のみならず世界へのウイルス感染拡大を引き起こす原因となった。しかし、その後武漢でコロナ対策の病院建設を一週間で完成させるほどに急ピッチで対策を進め、3月にはほぼ沈静化に成功したと公言するまでになった。3月から4月にかけて米国が国内問題に …
「双循環」という新たな発展モデル世界からの厳しい目主導国なき世界覇権めぐる対立は長期化か日本の役割:新冷戦を拒否して「必要とされる国」に
さすがに中国指導部はこの問題に早い段階で気付いていたようだ。3月27日の党中央政治局会議で、習近平総書記は積極的な「内需の拡大」を繰り返し強調していた。このことは、これまでのような輸出拡大による経済成長推進という方針を修正しつつあると読める。内需の状況も、 …
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バイデン政権下で激化する米中対立と日本 ... www.nli-research.co.jp
米中対立のニュース一覧 | NHKニュース www3.nhk.or.jp
米中対立 新たな局面 そのとき日本は - NHK ... www.nhk.or.jp
田中均が分析する「米中対立はどのような ... webronza.asahi.com
「バイデン新政権と米中関係」(視点 ... www.nhk.or.jp
② 「米中対立激化~日本のとる道は」(時論公論) | …
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/430804.html
2020/06/11 · このように、日本としては自由や民主主義という価値観を共にするアメリカとの協調を重んじる中で、改善が進む中国との関係を悪化させて ...
出生率1 · アメリカ炎上 分断 試練 · 届かなかった 横田滋さんの願い」(時論公論)
③ コロナ禍で暴走する「米中新冷戦」、日本が果たすべき2つの ...
https://diamond.jp/articles/-/239145
2020/06/04 · 米中対立は「コロナ以前」よりも深刻さを増している。“新冷戦”ともいわれる米中関係は、今後どうなるのか。米中両国とビジネスを行う日本 ...
④ バイデン政権下で激化する米中対立と日本の果たす …
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=67462
2021/04/09 · バイデン政権下で激化する米中対立と日本の果たすべき役割の記事ならニッセイ基礎研究所。【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
米中関係が悪化する中で日本をなんとか取り込んでおきたいという戦略は当然あるわけで、そういった中で書かれた社説だと思うのです。 実は、日本自身もアメリカから少し距離をおきたいのではないか、という認識がここにあるわけです。 そういう意味でいえば、アメリカと同調するのではない日本、ここには「外交的独立」などと表現されていますが、そのために中国が働きかけをできるはずだということも明記されています。 ―― これはまた難しい話ですよね。 米中が対立をどんどん強めていく中で、もちろん中国としてはアメリカが同盟戦略を取ってくるならば、そこにくさびを打ちたい意図もあるでしょう。 この両国のはざまで日本としては何をすべきか、本当に難しい問題だと思います。
参照: 10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3667
⑤ グローバル Web アイコン米中のはざまで日本にできる役割とは何か | 小原雅博 | テン ...
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3667
2020/09/08 · 先鋭化する米中関係の下、秋波を送られる日本 小原 それでは最後に考えることとして、日本はどうするのか。 ―― はい。これは非常に大きな問題です。 小原 ここに、8月の「環球時報」の社説を抜き出しておきました。これを見れば
⑥ 米中の“架け橋になれない日本”が今こそ見つめるべき、米中 ...
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_61283f09e4b...
2021/09/13 · しかし中国は米中関係を変えようと思っていませんでした。なぜなら、良好な対米関係を保ったまま自分たちが成長するのが一番の利益だから ...
⑦ 米中対立の中で日本が持つべき外交構想力とは? 答える人 寺 …
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20210513-1887941
2021/05/13 · 米中対立の中で日本が持つべき外交構想力とは? 答える人 寺島 実郎・日本総合研究所会長 2021/05/13 18:00 いま日本の外交構想力が問われている 。 ...
⑧ 「激化する米中摩擦と日本の立ち位置」(時論公論) | 時論 ...
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/400056.html
2019/08/05 · 今夜はなぜこうなったのか、そして米中関係が一段と悪化する中での日本の立ち位置について考えていきたいと思います。. 解説のポイントは3つ ...
⑨ 「米中衝突」なら日本にも甚大な被害 「台湾有事に備えよ ...
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/04300615/?all=1
2021/04/30 · 米中衝突の舞台は台湾となる可能性が高い。. これは多くの専門家が指摘するところだ。. 一方で、こうした見方を陰謀論や行き過ぎた中国脅威論だと見る向きもある。. 中国の軍事的拡大は紛れもない事実であるが、「損得を考えた場合、アメリカとの武力 ...
⑩ 米中貿易戦争で世界は分裂、日本はどう対処すべきか | DOL ...
https://diamond.jp/articles/-/203618
2019/05/24 · 米中貿易戦争の激化は、中国が新興国の盟主として、独自の経済圏を形作っていく流れを後押しするかもしれない。日本はどう対処すべきか ...
※ 米中関係 日本 どうする に関連する検索
日本 米中関係 仲介
米中関係 日本 対策
米中対立 日本 対策
戦争 日本 これから
米中 日本 立場
米中関係 日本の対応
米中関係 日本への影響
米中対立 日本の立場
ニッセイ基礎研究所 2021-04-09
バイデン政権下で激化する米中対立と日本の果たすべき役割
経済研究部 上席研究員 三尾 幸吉郎
米中両国は 3 月 18~19 日、バイデン米政権がスタートを切って初となる外交トップによる直接会談を開催した。世界が注目する中で開かれたこの会談は、冒頭から双方が相手の発言に反論を繰り広げる異例の展開となり、トランプ政権時代に悪化した米中関係は、バイデン政権になったからといって改善することは無く、むしろ深刻化する恐れすらあるというメッセージを、世界に向けて発信することとなった。
トランプ政権時代の米中対立は、経済面(貿易不均衡、知財保護、技術移転の強要、産業補助金など)と安全保障面(サイバー攻撃、ファーウェイ問題など)に重点がおかれていた。世界第 1 位の経済大国である米国と、その地位を脅かし始めた中国による 1 対 1 の対立という対立構造だった。米国第一主義を掲げるトランプ政権は欧州とも経済面では対立することが多く、同盟国・友好国を巻き込んで中国を封じ込めるような行動は比較的少なかった。これを受けて中国も、米国だけを敵視することとなり、欧州や日本など米国以外の先進国に対しては関係改善に注力し、ロシアやイランなど反米勢力と協調して対抗するような姿勢は慎んでいた。したがって、世界が米国を盟主とする陣営と中国を盟主とする陣営に分断される恐れは殆んどなかった。
一方、バイデン政権は、自由や人権といった普遍的価値を共有する国々と協調して、中国に行動変容を迫ることになりそうだ。ブリンケン米国務長官は前述の外交トップ会談で、中国の行動に対する深い懸念として、トランプ政権時代にも問題となっていた「同盟国への経済的な強制行為」や「米国へのサイバー攻撃」など経済・安全保障面の問題を挙げただけでなく、トランプ政権時代には論争を避けてきた1「新彊ウイグル自治区、香港、台湾」の問題を取り上げ、これらは「単なる内政問題ではない」と主張した。それに対して中国の外交トップである楊潔篪共産党政治局員は前述の外交トップ会談で、「中国は自国の内政に米国が干渉することに断固として反対する」と述べるとともに、米国が直面する人権問題は根深いとして「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」運動に言及し、両国が抱えるさまざまな問題は「自身でうまく管理することが重要だ」と主張することとなった。
その後も人権を巡る米中論争は激しさを増しており、3 月下旬には双方が人権に関する報告書を公表している。中国国務院新聞弁公室は 3 月 24 日に「2020 年米国人権侵害報告2」を発表し、
①感染症制御不能で悲劇生む
②米国流民主主義が秩序失い政治混乱招く
③人種差別でマイノリティーの境遇悪化
④社会の持続的混乱が国民の安全脅かす
⑤貧富の格差拡大で社会の不公平激化
⑥国際ルールを踏みにじり人道災害招く
以上 6 つの問題を挙げて非難した。そして、中国はロシアやイランなどとともに内政不干渉の基本原則を掲げる「国連憲章を守る友好グループ 」の発足に動き出すなど、反米勢力を結集して対抗する姿勢を見せ始めた。
一方、米国務省も 3 月 30 日に「2020 年世界各国の人権状況に関する報告書」3を発表し、「中国では、政府当局がイスラム教徒が多数を占めるウイグル人をジェノサイド(大量虐殺)したほか、ウイグル人や他の宗教・少数民族に対する拘禁、拷問、強制断種、迫害などの人道に対する罪を犯した」と非難した。
そして、新彊ウイグル自治の人権侵害に対しては、欧州連合(EU)、英国、カナダも米国に同調し、対中制裁(国に対してではなく関与した個人・団体に対する制裁を含む)を発動し、米国は自由や人権といった普遍的価値を共有する国々と協調し、中国に行動変容を迫り始めている。
なお、米国には人権侵害を外交手段として使う悪い癖があり、「人権問題は中国とのあいだでは重要な問題だが、サウジアラビアとのあいだでは問題にされない4」 と指摘されるようにダブルスタンダードに陥る面がある。他方、米国が中国の人権問題に目くじらを立てる背景には、中国が報道の自由が厳しく制限しているため、米国としては中国における人権侵害の証拠を集めようとしてもそれが叶わず、証拠不十分のままやむなく“推定有罪”と判断している面があることも忘れてはならない。
以上のように、米国を盟主とする陣営と中国を盟主とする陣営に世界が分断される“米中新冷戦”の恐れは現実味を帯びてきているが、日本は今どう行動すべきなのだろうか。もし“米中新冷戦”に陥ることになれば、米国とは普遍的価値を共有し安全保障面でも同盟関係にある日本にとって、「中国を盟主とする陣営に属する」という選択はなく、「米国を盟主とする陣営に属する」という選択をすることになるだろう。 しかし、そうなれば中国との信頼関係は崩れ去り、中国経済と緊密に結び付く日本経済は大打撃を受けることになる。したがって、日本としては“米中新冷戦”になったらどうするかを考える前に、そうならないよう全力をあげて“橋渡し役”を果たすべきだろう。しかも、その重責を担える国は、世界第 3 位の経済大国であり、米中両国の良い点・悪い点を知り尽くした日本以外には見当たらない。現在は親密な関係にある日米両国だが、過去に日本は米国による“ジャパン・バッシング”に打ちのめされた苦い経験5を持つ。
また、現在は海洋進出や人権などで対立することの多い日中両国だが、歴史を振り返れば長らく一衣帯水の関係にあり、中国が改革開放(1978 年~)を始めた際にも日本は率先してこれに協力したという実績を持つ。
日本の外交に世界各国が期待している。
1 新彊ウイグル自治区におけるウイグル族への弾圧を「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定したのは、トランプ政権時代のポンペオ国務長官が退任間際の 2021 年 1 月 19 日のことであるため、トランプ前政権は問題を認識しつつも中国との論争はあえて避けたと言えるだろう。
2 国务院新闻办公室网站、2021-03-24、「2020 年美国侵犯人权报告」より抜粋
3 BUREAU OF DEMOCRACY, HUMAN RIGHTS, AND LABOR、MARCH 30, 2021「2020 Country Reports on Human Rights Practices」より抜粋
4 サミュエル・ハンチントン著、鈴木主税訳(1998 年)、『文明の衝突』集英社より
5 日本の急速な経済大国化を背景に,1985 年頃からアメリカを中心に高まった日本非難。1988 年にはスーパー 301 条の積極的発動を含む新通商政策を掲げた。1985 年 5 月には対日非難決議が上下両院で可決された。1987 年には東芝機械ココム違反事件によって不公正な日本という見方が定着し,ジャパン・バッシングはピークに達した(ブリタニカ国際大百科事典より抜粋)
「米中対立」ニュース一覧
米 超党派議員団 台湾 蔡総統と会談 米の関与深める必要性強調4月15日 17時17分
米政府 上海総領事館の職員などに退避命じる コロナで外出制限4月12日 18時00分
米英豪 極超音速兵器の共同開発を発表 中ロ対抗ねらいか4月6日 11時50分
米下院ペロシ議長 今週末に来日 岸田首相と会談する方向で調整4月6日 4時08分
安倍元首相「中国との衝突避けるためにも防衛費増額を」4月3日 19時01分
中国 人権問題めぐる米のビザ制限に対抗 米政府関係者に制限3月31日 21時56分
米バイデン政権 新年度の国防予算4%増 ロシアや中国に対抗3月29日 6時32分
ファーウェイ 売り上げ3割近く減 アメリカの半導体輸出規制で3月29日 5時31分
米が中国政府当局者にビザ発給を制限へ “少数民族抑圧”で3月22日 18時38分
ウクライナ情勢で米中首脳会談へ ロシアの軍事侵攻以降初めて3月18日 11時21分
海自艦艇 カンボジア南部の要衝寄港 中国けん制がねらいか3月15日 17時44分
「私は一度 “殺された”」 ウイグル族女性の証言11月16日 12時56分
“もう黙るのをやめた” 消息絶ったウイグル族知識人 娘の訴え6月30日 18時24分
2021年4月20日(火)
米中対立 新たな局面 そのとき日本は
中国との関係を「民主主義と専制主義の闘い」と位置づけるアメリカのバイデン政権。同盟国と連携して経済や安全保障、人権などの分野で対抗していく姿勢を鮮明にし、中国がこれに強く反発している。双方の思惑とは何か、世界のパワーバランスはどう変わろうとしているのか、そしてアメリカは今後、日本に何を求めるのか。日米首脳会談での議論も踏まえ、新たな局面に入った米中対立の今後と、日本の出方を深掘りする。
※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから
出演者
佐々江賢一郎さん (元駐米大使/日本国際問題研究所 理事長)
ボニー・グレイザーさん (ジャーマン・マーシャル財団・中国専門家)
閻学通さん (清華大学国際関係研究院・院長)
井上 裕貴 (アナウンサー) 、 保里 小百合 (アナウンサー)
<番組の内容>
▶米中対立の中 日米首脳会談 約半世紀ぶり台湾に言及 その深層
▶連携強化 アピールの理由は?
▶米中対立の中 日米首脳会談 "経済"と"人権"も焦点に 今後は?
▶もうひとつの焦点"人権"
▶米中対立 新たな局面 "中国包囲網"vs.外交攻勢
▶米中対立 新たな局面 日本に問われているのは
米中対立の中 日米首脳会談 約半世紀ぶり台湾に言及 その深層
今月、台湾のメディアが公開した写真と音声。台湾に接近する中国軍機に、台湾当局が警告した際のやりとりだとしています。
台湾側
「台湾南西空域5,700メートルの中国軍機、注意しなさい。あなたはすでにわれわれの空域に入り、フライトの安全に影響を及ぼしている。すぐに旋回して離れなさい」
中国側
「この一帯は中国空軍の場所だ」
先週の日米首脳会談の共同声明は、およそ半世紀ぶりに台湾に言及。台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、中国をけん制しました。なぜいま、台湾をめぐってここまで踏み込んだのか。日本政府の関係者への取材からは、アメリカの強い意思が浮かび上がってきました。
政府関係者
「安保の分野はかなり厳しい雰囲気だった。中国をめぐる表現でアメリカ側は、かなり強硬な姿勢できた」
就任以来、民主主義の重要性を掲げてきたバイデン大統領。中国が力で現状を変えようとしているとして、繰り返し危機感を表明してきました。
アメリカ バイデン大統領
「これは21世紀における民主主義と、専制主義の闘いだ。中国に法の順守を求めていく」
アメリカが中国を名指ししてけん制する背景には、国際社会の懸念にもかかわらず中国が強硬な姿勢を崩さないことがあります。香港では民主化を求める運動を抑えこみ、統制を強めてきました。
中国 李克強首相
「愛国者による香港の統治を堅持、一国二制度を完全なものにし安定的に維持する」
中国は、経済面でも台頭。イギリスの民間調査機関による予測では、GDPで7年後の2028年にアメリカを上回り、1位になると見られています。
こうした経済力などを背景に、国際的な影響力を強めようと積極的な外交を展開しています。その中国が「核心的利益」と位置づけ、統一を目指す台湾。いま、中国は、台湾が設定する防空識別圏に、連日、戦闘機を進入させるなど、動きを活発化させています。
これに対しアメリカは、台湾海峡に海軍の駆逐艦を派遣し、警戒を強めています。対中国の最前線に立つインド太平洋軍の司令官は、台湾をめぐり予想以上に事態が深刻になっていると指摘しました。
アメリカ インド太平洋軍 デービッドソン司令官
「台湾は明らかに中国の野望のひとつだ。その脅威は、今後6年以内に表面化するだろう」
バイデン政権は今月、非公式の代表団を台湾に派遣。外交関係がない中、蔡英文総統と会談し、台湾との関係を深めようとしています。
アメリカ アーミテージ元国務副長官
「バイデン大統領の唯一の目的は、台湾が築き上げた偉大な民主主義を支えることだ。それが唯一の望みで、だから私たちはここにやってきた」
バイデン政権の安全保障政策に詳しい、シーラ・スミス氏です。アメリカにとって台湾は今、国際秩序を維持していく上で重要性を増していると指摘します。
アメリカ外交問題評議会 シーラ・スミス上級研究員
「もし台湾が、香港のように中国に支配されるようになってしまったら、世界中の民主主義国家にとって大惨事です。貿易やサプライチェーンにも大打撃となります。台湾は、象徴的な意味で重要であると同時に、我々が安全保障や経済で、台頭する中国とどう向き合うかという、現実的な問題でもあるのです」
今回の日米首脳会談の共同声明はおよそ半世紀ぶりに台湾に言及。
「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに両岸問題の平和的解決を促す」
と明記しました。
アメリカ バイデン大統領
「とても生産的な議論を行った。中国からの挑戦に向き合うため努力していく」
菅首相
「台湾海峡の平和と安定の重要性については、日米間で一致しており今回改めてこのことを確認いたしました」
アメリカ側は、事前の協議の段階から、台湾についてより踏み込んで書き込むよう求めていたことが取材でわかりました。
政府関係者
「表現ぶりでいちばん大変だったのは、台湾だ。アメリカ側はもう少し盛り込みたかったみたいだ。けれど、共同声明に盛り込むだけでもすごいことなんだから。これ以上は無理だ」
台湾をめぐって、中国へのけん制を続けるアメリカ。アメリカ軍は今月、台湾の周辺海域で演習を行った中国の空母「遼寧(りょうねい)」を監視する写真を公開。これまでになく中国の軍事的な存在感が増しているとして、危機感を強めています。
アメリカ インド太平洋軍 デービッドソン司令官
「インド太平洋地域での軍事バランスは、アメリカとの同盟国にとって不利になってきている。このアンバランスによって中国が勢いづき、我々が有効な対応をとる前に現状変更を試みる可能性が高まっている」
今後アメリカはどう動くのか。スミス氏が注目するのは、アメリカのインド太平洋海軍が議会に提出した、予算要望書です。第一列島線上に、地上配備型の中距離ミサイルを用いた、精密なミサイル網を構築すべきだとしています。九州から沖縄、台湾、フィリピンへと続く第一列島線。スミス氏は、在日アメリカ軍や自衛隊の能力を将来的にいかに高めていくかが問われることになるといいます。
アメリカ外交問題評議会 シーラ・スミス上級研究員
「日米同盟の能力をどう行動に移すか、双方の防衛当局による議論が行われることになるでしょう。日米は5年後、10年後に何が必要になるかを理解していくことが必要です。そのためには、日本国内での議論が重要です。日本がこの問題についてどう進めるか、政策決定の行方をワシントンは注視しています」
政府内からは、今後、日本が果たす役割が、より大きくなるという見方も出ています。
政府関係者
「『アメリカに負担を求められる』という思考回路から、脱却しなければならない時期がきている。日本が負担するとか、そういうことを言う人は頭の中が古い。本来は、公平にやるのならば日本はもっと負担しなければいけない話だ」
政府関係者
「アメリカが日本を重視する。それはそれでいいのだけれど、向こうからしたら『これだけ重視しているからわかっているよね』ということだと思う。いずれにしても日本の覚悟が求められている」
連携を強化する日米に、中国は強く反発しています。
中国外務省 汪文斌報道官
「(日米は)口では『自由で開かれた』と唱えているが、実際には結託して小さなグループを作り対立をあおっており、これこそが地域の平和と安定に対する真の脅威だ」
中国を代表する国際政治学者の閻学通(えん がくつう)氏は、日本の対応次第では日中関係は急激に悪化するおそれがあると警鐘を鳴らしています。
清華大学国際関係研究院 閻学通院長
「中国は、日本には『1つの中国』という原則を維持し、中国と台湾の問題には介入しないという立場を望んでいます。もし日本がアメリカのミサイル配備に同意すれば、中国と日本の関係に必ずやマイナスの影響をもたらすだろう。もし実際にミサイルが配備されれば関係は悪化し、改善する可能性は低くなるでしょう」
連携強化 アピールの理由は?
保里:先週行われた日米首脳会談では、安全保障をめぐって台湾海峡の平和と安定の重要性について確認。菅総理大臣は日本の防衛力強化への決意を示し、バイデン大統領は尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象であることを改めて表明しました。
井上:今回の首脳会談で、日米両国が連携をアピールしたねらいは何なのか。アメリカで中国の外交や安全保障を研究する、ボニー・グレイザーさん。そして、元駐米大使の佐々江賢一郎さんに聞きました。
井上
「アメリカでは、中国に対する警戒心が急速に高まっているように感じます。中国の何を恐れているのでしょうか」
ジャーマン・マーシャル財団 ボニー・グレイザー氏
「バイデン政権は、国際秩序の中で、自由主義の規範を守らなければならないと強く感じている。そのため『国際秩序を変革する』という習近平国家主席の野心を感じ取っているのだろう。バイデン政権が目指しているのは、西側諸国は強じんで、民主主義は人々により良い統治をもたらし、中国の体制よりも優れていることを示すこと。それがゴールだ。同じ価値観をもつ国々と、それを示すことで中国の認識を変え、隣国を威圧したり自国の市民を抑圧することをやめさせたいのだ」
保里:オバマ政権とトランプ政権の時代に駐米大使を務めた、佐々江賢一郎さんです。
保里
「日本はこの台湾海峡をめぐる問題に、どこまでアメリカと歩調を合わせていくべきなのでしょうか」
元駐米大使 日本国際問題研究所 佐々江賢一郎理事長
「共同声明にも触れられたように、当然のことながら平和的な話し合いによって今の関係が維持されていくことが重要で、このことは同時に意味していることは、やはり一方的な中国の圧力によって台湾の統一を目指すようなことは、われわれは望んでいないんだということも同時に表しているというふうに思う。そういう意味においては、大枠については日米は一致していると思う」
保里
「日本はどのような対応を迫られることになるのでしょうか」
佐々江賢一郎理事長
「われわれは望まないことだが、いったん有事的な事態が起これば、日本の平和と安全に大きな影響を与えるというような状況は容易に想像される。日本が全然関係ない、ひと事であるということではなく、日本自身の問題としても深刻にとらえ、備えを十分にしていく。そういう時代が、今やってきたということだと思う。これは静かに日米両国、あるいは他の同志国と協議し議論し、そういうことにならないように、われわれが共通の抑止力をもっていく努力が必要」
井上:安全保障に加えて、今回の日米首脳会談で焦点となったのが"経済"と"人権"です。この問題をめぐっても、日本は難しい対応を迫られています。
米中対立の中 日米首脳会談 "経済"と"人権"も焦点に 今後は?
ハイテク分野でも台頭する中国。今、通信機器大手ファーウェイが進めているのが、「天才少年プロジェクト」です。年俸1500万円以上を提示し、世界各国から優秀な若手研究者を集めようというものです。
半導体の研究のために採用された、彭志輝さん。電子回路の基板作りからプログラミングまでをすべて1人で行い、超小型パソコンを作り上げ注目されました。
"天才少年" 彭志輝さん
「アメリカの企業からもオファーがありました。でも育ててくれた栄誉のために、働くことを選びました。AIや半導体などにおいて、ファーウェイが生き残る上で何も問題はありません」
これまで、半導体を欧米や台湾などに大きく依存してきた中国。今、ハイテク産業に巨額の投資を行い、自国で生産する能力を一気に高めようとしています。
中国 李克強首相
「国全体の研究開発費を年間7%以上増やし、科学技術を革新させる能力を向上させる」
中国の台頭に、アメリカは対抗する動きを強めています。半導体と共に安全保障に直結する戦略物資・レアアース。最新鋭のF35戦闘機やイージス艦にも欠かせませんが、輸入の8割を中国に依存してきました。
バイデン大統領は2月、サプライチェーン=供給網の見直し検討を命じる大統領令に署名。脱中国依存の姿勢を鮮明にしました。
アメリカ バイデン大統領
「国民を守るためには、価値観を共有しない国に依存すべきではない」
バイデン政権の方針を受け、レアアースを増産しようとする動きが加速しています。この企業は2年以内の事業化を目指して地層を分析するなど、急ピッチで準備を進めています。
メキシコとの国境付近のこの地域は、レアアースの埋蔵量がアメリカでも最大の規模と見られています。
USAレアアース ピニ・アルタウスCEO
「中国に限らず他の国からの輸入であっても、軍事・防衛装備品のサプライチェーンを一国に依存することは健全な政策とは言えません。私たちのプロジェクトは、防衛に必要な材料をすべてサポートします」
先週の日米首脳会談では、半導体を含む機微なサプライチェーンの構築についても日米で連携していくことで一致しました。ただ、政府与党内ではこの問題の難しさを指摘する声が上がっています。
政府関係者
「サプライチェーンで協力することは大事だが、すぐに日米で半導体を一緒に作るなんて、そんな簡単な話じゃないし、いきなりレアアースを日米で掘るというのも難しい」
政府関係者
「日米同盟を基軸としつつも、経済のこともあるから米中とバランス良く向き合うしかない」
もうひとつの焦点"人権"
米中対立のもう一つの焦点が、人権をめぐる問題です。バイデン政権が特に問題視しているのが、中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区の状況です。
アメリカ バイデン大統領
「アメリカ大統領として、ウイグルについて黙っているわけにはいかない」
中国西部にある新疆ウイグル自治区。ウイグル族が人口の半分を占め、固有の文化や言語を持っています。
「共産党がなければ新しい中国もない」
新彊ウイグル自治区にある施設で撮影したとされる映像。中国共産党をたたえる歌を歌う人たちには、手錠がかけられています。
バイデン政権は、自治区では100万人を超えるウイグル族などが収容所に拘束されていると指摘。民族などの集団に破壊する意図を持って危害を加える、「ジェノサイド」が行われていると強く非難しています。アメリカは、自治区で生産された綿製品などが、強制労働によって作られた疑いがあるとして輸入を停止しています。
アメリカ バイデン大統領
「私は習近平国家主席にこう伝えた。『アメリカは自由と人権を重視する。中国が露骨な人権侵害を続けるかぎり、私たちは断固として世界に訴え続ける』と」
アメリカやEUなどは、相次いで中国に制裁を発動。欧米の衣料品メーカーやスポーツブランドは、自治区からの綿花の調達をやめる方針を示しています。
しかし、中国は、新疆ウイグル自治区で人権問題は存在しないと主張し、反発を強めています。
中国 王毅外相
「うそに基づく制裁は受け入れられない」
いま、中国のネット上では、欧米のブランドに反発する内容の動画が拡散。各地で製品の不買運動も起きています。
不買運動に参加している大学生は、欧米からの人権問題があるという批判に憤っています。
不買運動に参加している大学生
「彼らのような大企業があんな方針を出したのは、とても軽率で独断的です。以前のようにブランドを買いたいということは、もう絶対ありえません」
中国では最近、新疆ウイグル自治区で生産された綿を使った衣服を買い求める人が増えているといいます。
店員
「これは最高品質の新疆綿花を使っていますよ。毎日何枚も売れます。8枚買って帰った人もいました。中国の新疆綿花を支持するって」
新疆ウイグル自治区の人権状況をめぐる、米中の対立。日本も対応を求められています。日本を代表するアパレルメーカーで、中国でも事業を展開するファーストリテイリングと良品計画。両社は、取引先に問題はなく、今後、法令違反などが確認されれば取り引きを停止する考えを示しています。日本政府は、人権問題を理由に制裁を科す根拠となる法律がないなどとして、G7の中で唯一、中国に制裁を行っていません。
保里
「日米首脳会談では、新疆ウイグル自治区の人権問題についても言及しました。今後日本は、どういう対応をとっていくべきでしょうか?」
元駐米大使 日本国際問題研究所 佐々江賢一郎理事長
「この問題はひどいと、あるいは真正面からもう少し外交上の比重を上げていくべきだと。これは当然中国は反発するわけですが、日本国民自身がどう思うか、日本国内の議論がまず重要です。アメリカが言ってきたから、ヨーロッパが言ってきたから(制裁を)するという姿勢ではなくてですね。日本も何をすべきかは、まず日本自身の中で議論すべきだというふうに思います」
米中対立 新たな局面 "中国包囲網"vs.外交攻勢
井上:激しさを増す、アメリカと中国の対立。この中でバイデン政権は中国に対抗するため、同盟国や友好国との連携を強めようとしています。G7にクアッドと呼ばれる日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国。そして、民主主義の理念や価値観を共有したり、主要な先端技術を保有したりする各国です。
保里:これに対して、中国も外交攻勢を強めています。先月下旬以降、王毅外相が電話を含めて会談した国の数は、きのう(19日)までで18に上り、中にはアメリカと近い日本や韓国、ヨーロッパや中東の国々も含まれています。
井上:そして20日、習近平国家主席は中国南部で開かれている経済フォーラムにビデオメッセージを寄せました。対立するアメリカを念頭に、次のように述べてけん制しました。
中国 習近平国家主席
「ひとつ、あるいは数か国が決めたルールを、他国に強制的に押しつけるべきではない。いかなる形の新冷戦や、イデオロギーの対立にも反対すべきだ。傲慢な態度で内政に干渉することには、人心が得られない」
米中対立 新たな局面 日本に問われているのは
井上:新たな局面に入った米中の対立。そのはざまに立つ日本は今後、どのような道を選んでいくべきなのか。アメリカ、中国、日本。それぞれの識者に聞きました。
井上
「日本は今後、どのような厳しい決断を迫られるのでしょうか」
ジャーマン・マーシャル財団 ボニー・グレイザー氏
「経済と貿易の利益を守りながら同時に安全保障を強化するという課題は、日本だけでなく他の国も同様に抱えている。日本が進むべき道は、日本がみずから決めるしかない。仮に日本が中国に対して防衛力を強化すれば、中国との緊張感は高まるだろう。それも日本がみずから決断することだ。アメリカは日本政府が自国の安全保障にとって、何が必要なのかを考えて下した決断を尊重するはずだ」
清華大学国際関係研究院 閻学通院長
「日本には2つ選択肢がある。1つはアメリカ側につき、自国の利益を守っていくこと。もう1つは、中国とアメリカの間で中立な立場をとること。中国とアメリカの二極化は避けられないと思う。それは国際政治に影響を与える、重要な要素になるだろう。日本がどの戦略をとるかは日本がどう世界を認識し、どうすれば日本の利益になると考えるかにかかっている」
元駐米大使 日本国際問題研究所 佐々江賢一郎理事長
「中国と全面的にことを構えて、広範な経済的な関係を閉じる必要もないし、これはどんどん発展させたらいいと思う。中国が政治的な目的で経済的な関係を使ってくることについては、日本は受け入れられない、協力できないということをはっきりさせていくし、他の同志国ともそういうメッセージを中国に言い続けていく必要がある。いわゆる対立・競争というものと協力は両立しないとは思わないこと。100か0ではない。もう少しニュアンスのある、まだらのある領域をうまく日本として把握しながら米中両国の関係を完全に悪化させない。健全な方向に維持すると同時に、日中も維持する、このスタンス」
井上:米中対立の中で、日本には難しいかじ取りが迫られています。
保里:21日は、こうした中で独自の戦略で存在感を高めるロシアについてです。
田中均が分析する「米中対立はどのような道筋をたどるのか」
今後30年の世界を左右する「牽制と抑止」「競争と排除」「相互依存と協力」の行方
田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官
2021年06月30日
バイデン政権|対中連携|米中対立|米中関係|習近平体制
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バイデン米国大統領がG7やNATO首脳会議などを舞台に外交を本格的に展開したが、その焦点は対中関係だった。一方、中国でも7月1日に共産党創設100周年を迎え、明年には5年に一度の共産党大会が予定されており、大きな節目の時期になる。米中対立はおそらく今後30年の世界を左右することになるのだろうし、日本はその帰趨から最も大きな影響を受ける国だ。米中対立の現状を分析し、今後どのような道筋をたどるのか見通しを持つことは、日本にとって大変重要となる。本稿で米中関係の行方を展望したうえで、次回以降のコラムで日本としてとるべき戦略について論じることとしたい。
拡大バイデン米大統領=2021年4月22日
拡大中国の習近平国家主席=2021年4月22日
米中関係は単純な対立にあらず、複雑で多面的な背景
中国の急速な経済成長により、米国は経済規模で2030年以前に中国に追い越されることが現実味を帯びつつある。米国のように唯一の超大国として世界に君臨してきた国が、中国に追い越される事態を甘受するわけはない。経済規模だけではなく、中国は軍事能力においても米国に近づいていくだろうし、対立は激化する。
米中関係は複数政党の下での民主主義体制と実質的な共産党一党独裁体制という体制の違いに起因する争いである。米国が掲げてきた民主主義体制はトランプ政権の下で大きく傷つき、専制的な体制の下での強権的措置が、いち早く新型コロナの感染抑制に効果を上げたことなどから、自由民主主義体制の道義的優越性も失われつつある。果たしてバイデン大統領は国際社会で指導力を取り戻せるだろうか。
米中対立は両国の国内政治情勢と密接に結びついている。米国は来年秋に中間選挙を迎えるが、両院の多数を維持できるか否かはバイデン政権にとって致命的な重要性を持つ。上院でも下院でも多数を失うことになれば法案の審議は圧倒的に困難となり、高齢のため一期で終わる可能性も高いバイデン政権の評価を左右する。コロナ対策、経済対策などで大きな失点を生んでいないバイデン政権にとって、中国に対する強硬策を緩めて、対中弱腰という非難を受けることは避けたいと考えるのだろう。
習近平総書記としても、明年秋の共産党大会を無難に乗り切り、総書記のポストを維持していきたいと考えるのだろう。対米関係は容易に共産党内の権力闘争に結びつく課題だ。
ただ、今日の米中対立はグローバリゼーションとデジタル革命という現代を形作る土俵の中で生じているだけに、従来の米ソ対立とは異なり、複雑な要素に支配されていることを認識しなければならない。グローバリゼーションによる諸国間の経済相互依存関係は諸国の経済成長に不可欠であり、米中もそこからは逃れられない。14億の巨大市場は米国のみならず多くの国々の経済成長を支えているわけだし、米国をはじめとする先進国は中国の安い製品に依存する。冷戦時代のように相互の経済的関係深化を否定することは自らの繁栄の展望を傷つけることになる。
他方、これからの経済成長の源となるデジタル革命はハイテク機器とビッグデータを軸としていくわけで、この分野の競争が経済的な米中対立の最も厳しい分野となることが容易に想像される。
拡大G7サミットで記念撮影をする各国首脳。前列左から2人目はバイデン米大統領、中央は議長のジョンソン英首相=2020年6月11日、英国・コーンウォール
「牽制と抑止」「競争と排除」「相互依存と協力」の三つの側面
そのような背景の中で米中対立を具体的に見ていけば、三つの側面を持つことがわかる。
まず、「牽制と抑止」だ。中国は東シナ海や南シナ海で拡張的行動をとっている。尖閣諸島への大量の漁船や中国公船の接近に対して「尖閣は日米安全保障条約の適用範囲」という累次の米国政権の表明は大きな抑止効果を持った。南シナ海の軍事化に対して米国が海軍艦艇を航行させる「航行の自由作戦」も一定の抑止効果を持つ。
台湾に対する中国の経済的・軍事的圧力の強化に対して、日米安保体制が牽制と抑止の役割を果たしている。更に、香港での民主派の排除の動きや新疆ウイグル自治区の人権抑圧に対して米国などはそれぞれの当局者に対して制裁措置を導入しているが、中国は対抗措置をとるため反外国制裁法を制定しこれに抗していこうという構えだ。
バイデン政権が重視している「インド太平洋」戦略やその中心的概念である「クアッド(日米豪印4者の枠組み)」は自由で開かれたインド太平洋という旗印の下で、中国の覇権的拡張主義を牽制し抑止しようという枠組みと考えられている。
そして「競争と排除」だ。米国は経済関係において国家資本主義に基づく中国と、特にハイテク分野での競争を強化し、経済安全保障の名の下、中国を市場から排除していくアプローチを強めている。米上院は6月8日「米国イノベーション競争法」を超党派で可決したが、これは中国の影響力に対抗することを念頭に科学技術分野で2千億ドル以上を投資することをうたっている。
さらに5G(第5世代)移動通信システムからのファーウェイの排除や米国の技術を使う半導体製造技術からの中国の排除、更には最近50を超える中国のテクノロジー・軍事関連企業に米国民の投資を禁止するなど貿易投資両面で規制を強めている。中国もサプライチェーンを見直し、半導体などハイテク素材の自国生産に拍車をかけている。
それでも「相互依存と協力」の側面が決定的な米中対立を回避する役割を果たすのではないかと考えられる。
米国から見れば中国は貿易総量でカナダやメキシコという隣国と並ぶ相手国であり、輸入に関してみれば最大の相手国だ。中国の税関当局の統計によれば2021年第一四半期(2021年1月―3月)に対米貿易額は前年同期から73.1%増となり群を抜いて最大の伸び率となっている。バイデン政権の強硬姿勢とは裏腹に、特に米国の中国からの輸入は米国のコロナからの経済的立ち直りとともに大きく増えている。更に米国は農産物の中国への輸出に大きく依存している。そして経済・貿易関係閣僚レベルの対話は維持されている。
また、地球温暖化対策や北朝鮮非核化、イラン核合意問題などの解決は米中双方の戦略的利益であり米中の協力をどうしても必要としている。当然このような協力を進めていく対話は今後とも頻繁に行われていく事になるだろうし、信頼の醸成に繋がっていくだろう。
拡大気候変動サミットで中国の習近平国家主席が映し出された画面(右)を見る米国のバイデン大統領(左)=2021年4月22日、米国務省ウェブサイトの中継動画から
22/04/17
国際ニュース解説
◆米欧との経済対決に負けない中露
【2022年4月17日】ロシアがウクライナで戦争を始めたことにより、世界は、ロシアを徹底的に敵視・制裁する米国側と、ロシアと付き合い続ける非米側に二分された。ロシアを敵視したくない国々は米覇権システムに頼れなくなって非米側に入る傾向だ。世界の79億人のうち、米国側は10億人ほどで、残りの70億人近くは非米側に入る。世界を一つの経済システムで統合していた米国覇権は、世界の8分の1だけを統括する小さな体制に成り下がった。
◆米露の国際経済システム間の長い対決になる
【2022年4月15日】ロシア政府はウクライナでの軍事作戦によって米国の覇権体制を終わらせるのが目標だと宣言している。これと正反対に米国政府はロシアを弱体化するのが米国の目標だと言っている。米国とロシアは直接軍事的に交戦しているわけでなく、ウクライナでの戦闘だけでは米国もロシアも潰れない。相互に相手を潰すと言っている果たし合いの主戦場は軍事でなく、経済制裁やドル利用回避、金資源本位制への移行の成功など、米国側とロシア・非米側、金融側と現物側が、経済政策を使って相互に相手方の国際経済システムを破壊しようとする経済対決である。この手の対決は簡単に終わらず、決着がつくまでには何年、長ければ何十年もかかる。
中立が許されなくなる世界 <クリックして詳細記事をコピーした記事>
2022年4月14日 田中 宇
米英豪のアングロサクソン3か国が昨秋突然結成した中国敵視同盟のAUKUSに、日本も参加しませんかと米英豪が非公式に打診してきたと報じられている。日本と米国の政府は「打診の事実はない」と否定したが、それは「公式に打診したという事実はない(非公式な打診についてはノーコメント)」というだけの話だ。非公式な打診は、多分されている。アジアでは、もう一つの中国敵視同盟である「インド太平洋(クワッド=米日豪印)」が日本で開く5月のサミットに、韓国の尹錫悦・新大統領が参加したがっているという話も出ている。これも日本政府は、韓国からの(公式な)打診はないと否定したが、韓国政府は以前からクワッドへの準加盟を検討している。世界的な状況を見ると、これまで中国敵視に消極的だった日本と韓国が、米国側から加圧・説得され、中国敵視同盟に参加する程度を強めさせられる流れが見えてきている。中国は日韓両方の話に反対を表明している。 (S.Korea should be wary of becoming another Quad chess piece) (Japan gets unofficial invite to join AUKUS - media)
なぜ今のタイミングで、日本や韓国が米国側から中国敵視の強化を強要されるのか。それは、2月末以来のウクライナ戦争で、ロシアを敵視する米国側と、ロシアが中国BRICSなどを巻き込んで米国覇権やドル決済を否定する非米側との対立が劇的になったからだ。ロシアを敵視しない中立的な諸国を、米国は「ロシアを敵視しない国は敵とみなす」と脅している。欧州ではこれまで、ロシアに隣接する北欧のフィンランドやスウェーデンがロシア敵視同盟であるNATOに参加せず、米露対立に対して中立な姿勢をとっていたが、ウクライナ戦争の開始とともに欧州で中立な立場が許されなくなり、フィンランドとスウェーデンはNATOに加盟させられることになった。 (まだまだ続くロシア敵視の妄想) (Finland & Sweden NATO Applications Could Be 'Imminent" After Stoltenberg Hints At Fast-Tracking) 欧州諸国のほとんどは、エネルギーなど資源類をロシアに依存しているので、ロシアと対立したくない。だがその一方で欧州は、安全保障を米国NATOに依存しているので、ロシアを敵視しない国は敵とみなす、と米国に脅されたら、わかりましたと言うしかない。米露の激しい対立は今後もずっと続き、中立的な態度は欧州からどんどん消されていく。 (ルーブル化で資源国をドル離れに誘導するプーチン) (Second Stage Of War In Ukraine Will Be More Bloody And Widespread - NATO)
ロシア敵視しない国を敵とみなす米国の姿勢は、日韓などアジアの同盟諸国にも適用されている。だが米国が日韓などアジア諸国に強く要求することは、ロシア敵視よりも中国敵視である。欧州はロシアからの天然ガス輸入を止められそうになっているが、日本はロシア・サハリンからの天然ガス輸入を止めなくても(今のところ)米国から黙認されている。韓国はロシアからの石油ガス資源類などの輸入を急増させているが、米国から黙認されている。米国側は日韓に、ロシアとの関係を切れと言う前に、中国敵視を強めろ、日本はAUKUSに入ったらどうか、韓国はクワッドのサミットに来なよ、と言っている。 (South Korea quietly makes other energy supply plans as Russia faces fresh sanctions)
本来ウクライナ戦争は米国の中国敵視に関係ないはずだが、米国はロシア敵視に連動して中国敵視も強めている。米国の目的は、ウクライナを平和にすることでなく、米国側(米国と同盟諸国)と非米側(中露BRICSイランサウジ中南米アフリカなど)との強烈な敵対構造を作ることにある感じだ。中国はロシア敵視を拒否し、米国側がこれまでロシア(や中国など非米諸国)をさんざん敵視制裁してきたことこそ国際法違反の不正だと言い返しており、米露対立に連動して米中対立も激化している。米国は、台湾を支援するそぶりを拡大して中国をますます怒らせ、ロシアと中国を敵として結束させて強化している。その上で米国は、米国側の同盟諸国に対し、極悪で手ごわい中露をやっつけるため、同盟諸国は徹底的に中露を敵視しなければならない、中立は許されないと強要している。 (Russia seeks to end US-dominated world order - Lavrov) (ドルを否定し、金・資源本位制になるロシア)
2月末のウクライナ開戦で米国側と非米側(中露)の対立が劇的に強まったが、それ以前の昨年秋から、米国はロシア敵視と中国敵視の両方を強める動きを始めていた。昨年9月ごろからウクライナをNATOに入れる話が喧伝されるようになった。そして同じ昨年9月に、米英豪の中国敵視同盟体としてAUKUSが突然創設された。また同じ昨年9月には、韓国をクワッドに準加盟させる話が出てきている。 (South Korea’s Formal Membership in the Quad Plus: A Bridge Too Far?) (豪州に原潜もたせ中国と敵対させる)
(AUKUSの最初の事業は米国が豪州に原子力潜水艦の建造技術を付与することだったが、それは豪州がフランスと契約していたディーゼルエンジン潜水艦建造の事業を破棄することであり、これから4月25日に起きるかもしれないフランスでの親露反米なルペン政権成立の可能性と絡めて考えると興味深い。ルペンは支持を増し、マクロンとの差を縮めている。英国のEU離脱の投票時みたいにびっくり仰天になるかもと言ってる米分析者がいる) (Forecasts for the 2022 French election) (With Le Pen Closing Gap In French Election Polls, Macron Smears Opponent As Russian Sympathizer)
ロシアがウクライナに侵攻して中露と米国側の対立が劇的に強まる半年前から、米国は中国とロシアの両方への敵対を強めていた。ウクライナ戦争と世界の大分裂を引き起こしたかったのはプーチンでなく米国の方だったことが見て取れる。プーチンは、この大分裂がロシアの長期発展になる良い話だったので乗っただけだ(国連によると、ロシアは今日まで7週間のウクライナ戦争で市民を2000人ぐらいしか死なせていない。米国はイラク戦争の最初の1か月で数万人の市民を殺し、最終的に200万人を死なせた。米国は、アフガニスタンとシリアとリビアでも数十万人ずつ殺したが、マスコミ権威筋からほとんど非難されていない。戦争犯罪として、米国はロシアよりはるかに悪質で罪が重い。ロシアのウクライナ戦争は効率的で、米国の諸戦争は超非効な大失敗だ。マスコミ権威筋と軽信者たちは、微罪のプーチンだけを極悪人呼ばわりしている)。 (America’s Astonishing War Crimes Hypocrisy) (American Hypocrisy is Fueling Putin’s War)
米国は、昨年9月に中露敵視を強める1か月前の昨年8月に、中露の地政学的な裏庭であるアフガニスタンから完全撤退しており、その後のアフガニスタンは中露イランという非米側に支援されて再建に入っている。米国は、事前に中露に地政学的な利得を与えてから、今に続く中露敵視の加速を開始している。米国は最初から自分たちの側を弱体化させて敵視構造を作っている。隠れ多極主義的だ。 (アフガニスタンを中露側に押しやる米国) (米欧アフガン撤退の失敗)
米国は同盟諸国を巻き込んで中国とロシアへの同時敵視を強めているが、中国敵視でのアジア諸国への強要のしかたと、ロシア敵視での欧州諸国への強要のしかたはかなり違っている。米国は、アジアに対してわりと柔軟で現実的なのと対照的に、欧州に対しては非妥協で非現実的・教条的な感じが強い。米国はアジアで昨秋以降、AUKUSとクワッドという2つの中国敵視同盟を持っている。AUKUSは、米英覇権の当事者であるアングロサクソン諸国が覇権維持のため本気で中国を敵視する「プロの戦争屋たちの同盟体」である。対照的にクワッドは、対米従属のためにやむを得ず中国敵視の演技をする諸国も含めた、トランプが安倍晋三に作らせた「なんちゃって中国包囲網」だ。安倍晋三自身、クワッドの主催者になった後、中国へのすり寄りを強めて日本を米中両属に導いている。 (米国の中国敵視に追随せず対中和解した安倍の日本) (中国と和解して日豪亜を進める安倍の日本)
クワッドはゆるい「なんちゃって」なので、対米従属な米軍駐留国だけど親中国な韓国でも入れる。インドは今回、米国が求めるロシア敵視を拒否して対露貿易をむしろ拡大して非米国に完全に入ってしまったが、それでも中国との国境紛争が残っているし、インド洋は大事な地域なので除名されない。やんわりなクワッドと対照的に、AUKUSはプロの戦争屋たちの世界だ。本気で中国と対立したくない日本政府(自民党本流+官僚隠然独裁機構)は、米英から招待されてもAUKUSに入りたくない。AUKUSに入ったら、自衛隊が中国との戦闘も辞さずという態度をとらねばならない。それは無理だ。うちは戦争放棄の敗戦国です。こういう時に戦後の国是が生きてくる。 (US Warns India Faces 'Significant Long-Term Costs' If It Aligns With Russia)
日本は、AUKUSに入らなければ日米同盟を本気で消滅させると米国に言われて追い詰められない限り、AUKUSには入らない。これまでの流れを見る限り、米国はアジアで現実的な策をとっており、たぶん日本を追い詰めない。米国は、習近平によるコロナの強烈な都市閉鎖を理由に上海の領事館から要員を撤退させ始めているが、日本は領事館の撤退を今のところ全く考えておらず、中国に対する日米の姿勢に、反中国な米国と親中国な日本という食い違いが出てきている(習近平は、自分の独裁体制を強化するとともに、中国から米国側への貿易を止めて米国側の経済を破壊するために、深センや上海でゼロコロナの強烈な都市閉鎖を続けている。中国自体は独裁が強化されているので、都市閉鎖で不況になっても共産党政権が揺るがない)。日本は親中国の姿勢を崩さない。 (US Pulls Consulate Staff From Shanghai As Beijing Eases Lockdown)
米国の同盟戦略は、アジアに対して現実的に寛容なのに、欧州に対しては非現実的に厳しい。日韓は中国敵視も対露制裁もなんちゃってですまされているが、ドイツはウクライナ開戦前に完成したばかりのノルドストリーム2の天然ガス海底パイプラインを破棄させられ、その後もエネルギー需要の多くを占めるロシアからのガスを止めろと強要されている。米国は、2014年から8年かけてロシア敵視をしだいに強めて今回の戦争に持ち込んだが、この間、米国がドイツなど欧州諸国に対して長期的な対露戦略を説明したことはなく、だからこそドイツはノルドストリーム2の建設を止めず、エネルギーの対露依存もやめなかった。米国が欧州を大事な同盟諸国だと思っていたのなら、ウクライナ戦争をプーチンに起こさせる前に、欧州がエネルギーの対露依存をやめる道筋を作るべきだったが、そのような動きはなかった。 (現物側が金融側を下克上する) (優勢なロシア、行き詰まる米欧、多極化する世界)
なぜ米国は、ドイツなど欧州にだけ意地悪して、アジアには寛容なのか。その理由は多分、英国がいるかいないかの違いだ。米国覇権の黒幕として機能している部分がある英国は、これからQE終了後の金融破綻などで米国覇権が自滅した場合に備えて、ロシアだけでなくドイツも経済的に潰しておきたい。ドイツは、欧州における英国の永遠のライバルだ。ロシアは、欧州における英国の永遠の敵だ。米国にとっては本来、欧州やユーラシア中露は自分らと別の大陸だから敵でなく、むしろ適当に安定していてほしい(ロックフェラーなど米国本来の隠れ多極主義者はそれを希求して国連P5体制を作った)。しかし米国の覇権運営を、隠れ多極主義者と暗闘しつつ牛耳ってきた英国は、ドイツとロシアの両方が弱体化してくれていた方が良い。 (田中宇史観:世界帝国から多極化へ)
20世紀の2度の大戦も、もともと(世界で最初に英国の植民地から独立した反英の)米国がドイツを応援して英国覇権を潰そうとしたのが、めぐりめぐって英国が米国を巻き込んで同盟関係になってドイツを潰して戦後の米英覇権体制を作り、返す刀で英国が戦後の冷戦を起こしてソ連と中国を米英の敵にしてロックフェラー謹製の国連P5体制を長い機能不全に陥らせた、という流れだ。今回始まった米国側と非米側の徹底的な対立は、冷戦や世界大戦の代替物であり、中露と米英の果たし合いになっている。それだけでなく英国は、ドイツなど欧州大陸諸国が中立の立場を保って漁夫の利を得ることも阻止し、ドイツがロシアからガスを止められて経済破綻していく流れを作った(だからプーチンは、ルーブルで払えと脅しつつも欧州へのガスを止めていない、とも言える)。 (米国が英国を無力化する必要性)
欧州と異なり、アジアでは英国の影響力が少なく、隠れ多極主義者ロックフェラーの番頭であるキッシンジャーが中共(トウ小平)に進言して中国の台頭を具現化してきた地域だ。だから日本は本格的な中露敵視をやらされず、なんちやってですんでいる。米国側と中露・非米側の対立構造の構築において、欧州では中立の否定が本格的だが、アジアでは中立の否定も建前的だ。 (米国の多極側に引っ張り上げられた中共の70年) (キッシンジャーが米中均衡を宣言)
今回はここで終わろうと思っていたのだが、どうも疑問が残る。ずっとこのままの「なんちやって」ですまされるのか。米英覇権の永続を狙う英国としては、ドイツが中立から非米側に流れてロシアと協力して経済力を持って米英覇権を倒しにかかるのも困るが、同様に、日本が非米側に流れて中国を経済的に強化するのも脅威なはずだ。英国としては、米英覇権を守るため、中露独日のすべてが経済破綻するのが良い。それなら、まず日本を強引にAUKUSに入れて日中を決定的に敵対させ、日本が中国とロシアの両方と関係を断絶して経済的に自滅していくように仕向けるのが英国の利益になる。日本はロシアとの関係を切ると経済が3割縮小する。中露両方との関係断絶は、日本経済の規模を半分以下にする。日本人は、とても貧しくなる。AUKUSは実のところ日本を標的にしているのかもしれない。 (英国をEU離脱で弱めて世界を多極化する) (世界のデザインをめぐる200年の暗闘)
2度の世界大戦も、もともと欧州だけの戦争だったが、欧州の自滅で日本が漁夫の利を得て台頭したのを潰すため、2回目は日本も巻き込んで惨敗させた。中国を経済大国にしたかった米国の多極主義の資本家たちは、日本が中国を植民地にするのを防ぎたかったこともある。 (600年ぶりの中国の世界覇権)
しかし昔と違って今は、すでに中国が、ニクソン訪中以来の米資本家たちのテコ入れによって隆々と発展して世界的な経済大国になっている。日本の方が、経済的に中国より劣った未来のない国になっている。現実的に見ると、これから日本が中国とどういう関係を持とうが中国の強さには関係ない。日本のあり方が米英覇権にとっての脅威になることはない。日本の当局は米英に脅威とみなされぬよう、1990年代に意図的に不動産金融のバブル崩壊を引き起こしたり、ゆとり教育と銘打って子供たちを意図的に無能な人に育てたりして、自国を弱体化する策を続けてきた。ドイツがロシアに協力すると米英覇権にとって脅威だが、日中の状況は全く違う。AUKUSに入ったら日本は自滅だが、日本はすでに対米従属の国として延命するために前から勝手に自滅しており、これから米英が日本をさらに自滅させる必要はないとも思える。 (日本経済を自滅にみちびく対米従属)
豪州だって、中国との経済関係を完全に断絶したら経済破綻だ。それを見越して中国は最近、豪州沖にあるソロモン諸島と安保協定を結び、中国軍が豪州沖に駐留できるようにした。中国は豪州をなめている。豪州は反撃できない。やはりAUKUSも張子の虎だ。となれば、日本はそんなものに入らない方が良い。日本がAUKUSに入ると、米国(黒幕の英国)が日本を困らせるために台湾へのテコ入れを強化し、中国の台湾侵攻を誘発する動きが強まる。日本のAUKUS加盟や台湾の緊張激化は、日本がせっかく保ってきた経済繁栄の維持を破壊する。台湾の密やかな経済繁栄も破壊され、何も良いことがない。 (Solomon Islands Rejects Backlash Over Planned Security Deal With China) (世界は台湾を助けない)
ロシアは、日本がAUKUSに入るかどうか注目している。日本がプロの戦争屋を気取ってAUKUSに入って中国敵視を強めたら、プーチンが中国に代わって日本を制裁するために、サハリンから日本に輸出している液化天然ガスもルーブルで払えと言い出すつもりかもしれない。プーチンや米英はプロの戦争屋だ。日本は違う。戦後の日本は、戦争屋になることを徹底的に否定し続けることでうまく繁栄を保ってきた。今後もできるだけこれを続けた方が良い。今後の国民生活を考えると、ロシアや中国への敵視も「ふりだけ」にするのが良い。 (Peskov brands AUKUS ‘narrow pact’ unable to serve as security platform in Asia-Pacific)
まだまだ続くロシア敵視の妄想 <クリックして詳細記事をコピーした記事>
2022年4月13日 田中 宇
欧州諸国のほとんどは、いまだに仇敵のロシアから石油ガス石炭を輸入し続けている。とくに、欧州のエネルギー需要の半分近くをまかなってきたロシアからの天然ガスは、プーチンが要求してきたルーブル化問題をしり目に、まだ欧州に輸出され続けている。欧州でロシアからの天然ガス輸入を完全に止めた(実際に止めた、もしくは停止を正式に決めた)のは、リトアニアなどバルト三国とポーランドだけだ。他の諸国は、ウクライナ戦争前からのロシアからの天然ガス輸入を大体そのまま続けている。 (Russian Oil Continues To Flow To India And China) (UAWire - Baltic countries halt all imports of Russian gas)
ロシアは4月1日から、欧州に輸出する天然ガス(気体状)の代金支払いをそれまでのユーロやドルでなくロシアのルーブル建てで支払うことを欧州側に義務づけた。ハンガリーやスロバキアなどはルーブルで払うことを認めたが、他の欧州諸国はルーブル払いを拒否したままだ。ロシア政府は当初、支払いがない場合はガスの送付を止めると言っていたが、2週間近くたった今も、ルーブルでの支払いがないまままガス送付が続いている(プーチンがすぐガスを止めると予測した私は外れた)。露政府は4月5日、ガス代のルーブル払いの導入はゆっくり時間をかけて段階的に進めていくと表明した。欧州諸国がルーブル建てで払わなくても、しばらくはガスを止めないという趣旨だ。欧州側は従来どおりユーロ建てで支払い、ロシア側はそれを受け取ってガスを送っている。 (Russia’s gas-for-rubles payment schedule explained) (ルーブル化で資源国をドル離れに誘導するプーチン)
マスコミ軽信・ロシア敵視妄想派の読者の中には「ロシアは軍資金が足りないので欧州が支払う資金が絶対必要だからガスを止めないんだ」と思う人がいるかもしれないが、それは間違いだ。ロシアは軍資金に困っていない。中国やインドなど、ロシア敵視を拒否する非米諸国が、ロシアの石油ガスを旺盛に買い増してくれている。インドは前年比2倍の量でロシアの石油を買っている(ロシアが1バレルあたり30ドル値引きして70ドルぐらいで売ってくれるのでインドが買っているという話もあるが、30ドル値引きしても昨年末の相場1バレル60ドルよりも10ドル高く売れる)。中国はウクライナ戦争前に、ロシアから石油ガス石炭を買い増す契約を結んでいる。中国はロシアの資源を担保に、いくらでも資金を貸してくれる。 (China Undercuts Sanctions On Russia: Where Are The "Consequences"?) (Russia-India: India buys cheap Russian oil; China could be next)
ルーブルの対ドル為替は上昇している(為替変動により、露中銀は固定価格で国内銀行から金地金を買う金本位制への準備態勢をやめて「時価」にしてしまったが)。露中銀は、開戦後に禁止していた、国内民間銀行のドル・ユーロ建ての預金から預金者がお金を引き出すことを認め始めた。露政府はカネに困っていない。ウクライナでの戦闘は終わりに向かっており、露軍はキエフなどからの撤兵も進み、軍資金自体がもうあまり要らない。ロシアがルーブル払いを拒否する欧州諸国へのガス送付を止めないのは、欧州(独仏)を加圧しつつも追い詰めず、ロシアとの交渉の座につかせて外交的な譲歩を引き出したり、強硬にロシア敵視したい米英ポーランドと、あまりロシア敵視したくない独仏の間の米国側の内部対立を広げたいからだろう。 (Russia adjusts gold buying strategy) (Bank Of Russia Eases More Capital Controls, Allowing Euro & USD Withdraws) (Ruble Surges To 5-Month Highs After Russia Unexpectedly Slashes Rates By 300bps)
欧州からは4月11日、親露的なオーストリアのネハンマー首相が欧州を代表するかたちで訪露してプーチンと会い、欧露間の話し合いを開始している。ネハンマーはプーチンとの会談が失敗だったかのように言っているが、これはたぶん米NATOなどロシア敵視妄想派に向けた演技である。表向きの過激な露敵視と裏腹に、世界的な資源高騰の中、ロシアのガスがないと経済が破綻する独仏側はロシアに譲歩したくなってきている。 ('Unfriendly Visit': Austrian Chancellor Is 1st EU Leader To Meet With Putin Since War Began) (JPMorgan Predicts That Global Commodities Prices May Rise By 40%... Or More)
EU議会は4月7日、ロシアからのエネルギー(石油ガス石炭ウラン燃料)の輸入を完全に止めることを決議した。同時にロシアの銀行界を完全にSWIFTから追放することも決議した。一見、いよいよ来たかという感じだが、よく見ると何も来ていない。この決議はEU加盟諸国に対する拘束力がなく「みんなでロシアからのエネルギー輸入を完全に止めるぞ。団結がんばろー」という「掛け声」の決議でしかない。EUのほとんどの国は、今後もロシアからエネルギーを輸入し続ける。 (EU explains why there will be no bloc-wide ban on Russian gas) (EU Parliament approves total Russian energy ban)
当初は拘束力がある決議も検討されたが、親露的なハンガリーが反対して拒否権を発動して葬り去った。ハンガリーでは4月3日の総選挙で親露派のオルバン首相が率いる与党連合が再び勝利し、国として親露的な態度をとり続けることの正統性が改めて民主的に確立された。欧州にも多いロシア敵視妄想派は「ハンガリーはけしからん」と言うが、そう言う勢力の中にも対米従属なので仕方なくロシア敵視を演じる人々も多く、彼らは内心ハンガリーの頑張りでロシアからのエネルギー輸入を止めずにすんだのでほっとしているはずだ。 (G7 member states pledge to tighten control over sanctions against Russia)
EUのボレル外相(外交安保上級代表)は「ウクライナ紛争は軍事的に解決するしかない」と表明している。それはロシアへの宣戦布告か?、核戦争する気か?、と驚くが、少し考えると違う意味だとわかる。ボレル発言は「対露経済制裁によってウクライナ紛争を解決することは不可能(露からのガスなど資源の輸入停止で欧州経済が破綻するだけ)なので、経済制裁は今のようなやるふりだけにして、兵器類をウクライナに送り込む(ふりをする)軍事解決策(の追加演技)をするしかない」という意味だ。ウクライナでの戦闘は露軍の勝ちでほぼ終わっており、欧米がウクライナに兵器を追加支援しても事態は変わらない。最近、欧米がウクライナに兵器を追加支援すると連日喧伝されているが、それは「経済制裁の代わりの演技」なのだ。 (EU Top Diplomat Calls for Military Resolution of Ukrainian Conflict)
4月3日にはセルビアでも大統領選挙などが行われ、親露派のブチッチ大統領が圧勝して再戦された。ハンガリーもセルビアももともと親露的な国だった。ウクライナ戦争が起きて米国側のマスコミ権威筋の全体が妄想的なロシア敵視の誇張を過激に開始しても、ハンガリーやセルビアの国民は乗せられなかったことになる。しかし、東欧のハンガリーやセルビアは欧州の辺境勢力だ。 (Pollsters Humiliated As 2 Pro-Putin Parties Win Avalanche Victories In European Elections)
4月10日にはフランス大統領選の一回戦目があり、現職でロシア敵視妄想に乗るマクロン(反エスタブを掲げて就任したもののエスタブ支配を踏襲)と、親露派・反NATOのルペンが4月24日の決選投票に臨むことになった。ルペンが勝つと欧州の中枢に親露派勢力ができることになる。しかし、一回戦目で第3位につけた左翼のメランションは今回ロシア敵視に乗っており、彼の支持者の多くは2回戦でルペンでなくマクロンを支持するだろうからマクロンの再選になり、ルペンは2017年に続いて負けそうだ(この予測が外れたらすごいことになる)。 (Melenchon aligns with NATO’s war against Russia in Ukraine) (The White House is freaked out that Putin's next big win could be in Paris)
欧州の内部からロシア敵視の妄想をやめていくことは多分ない。欧州のエスタブ勢力は、経済的に対露制裁に乗れない(本気で対露制裁すると欧州経済が自滅する)が、同時に安保的な対米従属やNATO依存もやめられないので、米NATOに強要されるロシア敵視の妄想に乗り続けねばならない。今回のウクライナ開戦により米NATOは、欧州における米露間の「中立国」の存在を完全に認めなくなった。冷戦時代には、ソ連に近い場所にあるフィンランドやスウェーデンが、ソ連を刺激したくないがゆえにソ連敵視の国際機関であるNATOに加盟せず、NATOを牛耳る米英もそれを認めてきた。しかし今回のウクライナ開戦後、米NATOは「ロシアを敵視しない国は敵とみなす。中立は認めない」という非リベラル(非寛容)で過激な敵味方二元論を言い出し、フィンランドとスウェーデンのマスコミ権威筋もロシア敵視を喧伝し、両国がNATO加盟していく流れになっている。 (Finland & Sweden NATO Applications Could Be 'Imminent" After Stoltenberg Hints At Fast-Tracking)
米露間で中立国や中立勢力が認められなくなっていく傾向はこれまでもあった。冷戦直後は米国がNATOの東方不拡大を約束したり、G7にロシアを入れてG8にしたりして米露が仲良くし、米露関係が良いので欧州もロシアと仲良くして、ガス輸入を依存したり、NATOがなくてもEU統合軍で欧州の安全を守れそうだという欧州の対米自立が進むかと思われていた。しかし、EUの盟主である戦後のドイツは結局のところ対米従属が心地よく、EU統合軍の結成に本腰を入れず口だけだった。EU(や日本)は、米国に余裕があってリベラルな間に対米自立すべきだったのに動かなかった(日本では2009年に鳩山小沢がやろうとして官僚マスコミ側に潰された)。 (多極化に対応し始めた日本)
同盟諸国の自発的な対米自立は無理と悟った米国は態度を替え、ロシア敵視を過激にやって対米従属の欧州を行き詰まらせて自立に追い込む隠れ多極主義的な策略に転換した。2008年にグルジアのサーカシビリ大統領を操ってロシアと無謀に戦争させて惨敗させ、欧州にグルジア支援を強要してロシア敵視を加速させようとした。さらに米国は、2014年にウクライナで親露政権を転覆してロシア敵視の極右政権とすげ替え、極右が国内東部のロシア系住民を殺してウクライナを内戦に陥らせる流れを作った。ウクライナ内だが元ロシア領のクリミアの重要な軍港を守るため、ロシアはクリミアを併合せざるを得なくなり、クリミア併合を理由に米国は欧州を引き連れてロシアへの敵視と経済制裁を強め、ロシアをG8から追放した。 (米に乗せられたグルジアの惨敗) (危うい米国のウクライナ地政学火遊び)
米国はロシア敵視を強めたが、独仏など欧州は石油ガスなど資源をロシアに頼っているのでロシアを敵視したがらず、中立姿勢を希求し続けた。独仏はウクライナ内戦を仲裁するミンスク合意の交渉体制を作り、プーチンのロシアは独仏が対米自立的にウクライナ内戦を仲裁して停戦させてウクライナのロシア系住民が安全な生活に戻れることを期待し、ミンスク合意に乗った。しかし実のところ、米傀儡のウクライナ極右勢力は停戦合意を無視してロシア系住民を殺す内戦を続け、独仏は米国に脅されてほとんど和平を実現できないまま、交渉継続の演技を続けるだけだった。メルケルは軍産傀儡だった(だから日本のマスコミで好評だった)。プーチンは独仏に失望していった。 (ロシアは正義のためにウクライナに侵攻するかも)
冷戦後のロシア政府はゴルバチョフからプーチンまで、米国がロシアに協調的・寛容な態度をとり、それに乗って欧州がロシアと仲良くし続ける国際体制に期待し続けてきた。ゴルバチョフはロシア国内をリベラルな政治体制にしようとして失敗してソ連を潰し、プーチンはその教訓から保守的な国内政治体制を構築して権力を維持してきたが、対欧米戦略としては、プーチンもゴルビーと同様、欧米の寛容でリベラルなロシア許容姿勢に期待していた。 (ロシア・ウクライナ関連記事集) (プーチンの新世界秩序)
しかし2008年や2014年以降、米国はロシア敵視をどんどん強め、欧州も対露協調が口だけになった。ロシアにとって、欧米への期待をすべて捨て、中国BRICSなど非米諸国を誘って米国の経済覇権を拒否する金資源本位制の新世界秩序を米国側から離反する形で作った方が良い状況になった(米諜報界の隠れ多極主義勢力がロシアをそっちに誘導した)。昨年末からバイデンの米国が覇権低下を加速しつつロシア敵視を強めたのを受け、プーチンは今回のウクライナ戦争を起こし、米国はロシアを米覇権体制から完全に排除し、ロシアは米国覇権を全面的に拒否して、世界が米国側と非米側に決定的に分裂する流れが始まった。 (バイデンがプーチンをウクライナ侵攻に導いた) (優勢なロシア、行き詰まる米欧、多極化する世界) (現物側が金融側を下克上する)
それでもプーチンはまだ欧州の対米自立(ロシア敵視を強要する米国からの自立・中立化)に期待しているところがある。欧州諸国がガス代のルーブル払いを拒否してもロシアがガスをすぐに止めないところに、その期待が表れている。しかし、米国がもっとリベラルな時でも対米自立しなかった欧州は、米国が覇権低下で余裕が失われて敵味方二元論になっている今の状況下で、対米自立などできない。プーチンはいずれ欧州に送るガスを止め、欧州経済を破壊する。 (ガスをルーブル建てにして米国側に報復するロシア)
プーチンが欧州の対米自立に期待するのに呼応して、フランスのマクロンも、彼なりに少しはロシア敵視を弱めようとはしている。EUで最もロシア敵視を扇動しているのはポーランドで、ポーランドはドイツなどがガスなど資源の対露依存を理由にロシア敵視をやりたがらないことを非難する「ちんぴらな噛みつき役」を演じている(ポーランドはかつて英国の傀儡としてナチスに噛み付いて第二次大戦を起こすちんぴら役をした)。マクロンはちんぴらなポーランドを嫌い、ポーランド首相の差別的な発言をとらえて「極右の反ユダヤ主義者」と非難してみせた。真正面から「ロシア敵視の妄想を振りまくな」と言えないところが中途半端でマクロンっぽい(そう言ったらマクロンはルペンの同類にされてしまう)。 (Poland blasts Germany over Russia) (Macron calls Polish PM ‘extreme right anti-Semite’)
プーチンのロシアは今後もずっと米国側から敵視され続ける。プーチンは、むしろそれを歓迎している。米NATOは、過激なロシア敵視を続けるほど、ロシア敵視をしたがらない中立諸国に対する脅しや敵視を続け、中立諸国は米国を嫌ってロシア側についていく。すでに世界の資源類の大半は、親露もしくは中立な諸国が持つ利権になっている。米NATOがロシア敵視を続けるほど、世界の資源がロシア側に属する傾向が加速する。米国側よりもロシア側(非米側)が豊かになる。これまで経済的な理由で米国側についていた諸国が資源を買うために、しだいにロシア側に寄っていく。以前は許された「中立」がもう許されず、どちらかを選べと詰問された諸国は資源のある側を選ぶ。ロシア側がますます強くなる。 (Russia Urges BRICS Nations To Create Own 'SWIFT' System, Warns 'Sanctions Are Destroying International Order') (ウクライナで妄想し負けていく米欧) (ロシアが負けそうだと勘違いして自滅する米欧)
ウクライナ戦争は、すでに戦闘がだいたい終わっている。ワルシャワの難民センターは4月8日に役目を終えて閉鎖された(難民が何百万人もいたらそんなに早くセンターを閉められない。やはり難民数は誇張だった感じだ)。露軍はキエフ周辺でウクライナ側の軍事力を破壊する作戦を3月末に終了し、東部に撤兵した(その後にブチャの虐殺事件が喧伝された)。東部でも戦闘はほぼ終わっており、露軍は東部のロシア系住民のためにしばらく(もしくはずっと)駐留する。 (Reception Centre in Warsaw to Close as Number of Ukrainian Refugees Falls) (ウクライナ難民危機の誇張) (市民虐殺の濡れ衣をかけられるロシア)
ゼレンスキーがドイツの新聞に語ったところによると、とあるEU加盟大国(ドイツ?)の指導者がウクライナ政府に対し、ブチャの市民虐殺がウクライナ側による演出・やらせでないかという疑いをかけ、演出がなかったことを示す証拠を出せと言ってきたという。一般市民より多くの情報を持っているEU諸国の上層部にも、ブチャ事件が露軍に濡れ衣を着せるためのウクライナ側の歪曲でないかと疑っている勢力がいるということだ。ウクライナ側は、ブチャ事件の現場に第三者の調査機関が入ることを許さないまま現場を片付けてしまった。ブチャ事件でウクライナ側とぐるになって歪曲記事を書く米欧日マスコミは「戦争犯罪組織」である。ある程度の真相はこれから見えてくる。マスコミはそれもフェイクと呼んで無視するだろうが、実はマスコミこそフェイクである。 (EU leader wanted proof Bucha wasn’t staged – Zelensky) (Putin Says Lukashenko Handed Him Documents That Expose Bucha Fake)
ウクライナでの戦闘は終わりつつあるが、米国側(隠れ多極主義者)とプーチンは、相互に強烈な敵対を続けて世界が二分され続けてロシア側(非米側)が資源の大半を持ったまま強くなるシナリオを具現化する必要がある。だから、実際の戦闘が終わっても、米国側のマスコミ権威筋が描いて人々に軽信させ続ける妄想の構図としては、激しい戦闘や残虐な市民殺害が延々と続くように演出がなされる(似た構図の誇張であるコロナ危機と同様に2年ぐらい続くとか)。今後もしばらくは、ウクライナのあちこちで、露軍による市民虐殺や化学兵器散布の濡れ衣が展開され続ける。 (ロシアを「コロナ方式」で稚拙に敵視して強化する米政府) (Pentagon Treats Azov Claims Of Russian Chemical Attack With Caution After UK Amplified Them)
衝撃的な動画に満ちたウクライナ激戦の妄想演出が続き、それを妄想だと指摘する人の方が「妄想屋・フェイクニュース・ロシア傀儡」扱いされる「裸の王様」を超えるトンデモな状況が米国側の全体で続く。露軍に市民虐殺の濡れ衣をかけるロシア敵視扇動の舞台づくりを担当するのは名優ゼレンスキー率いるウクライナ当局だが、その裏でゼレンスキーはロシア側と和平交渉を重ね、あと一歩で和平が実現するところで寸止めしている。ロシアとウクライナは3月29日のトルコでの交渉でかなり歩み寄ったが、その後ウクライナが「やっぱりクリミアはわたせない」と態度を変え、話を決裂させている。ゼレンスキーはロシア側と謀議して、ウクライナの戦闘が終わっているのに激しい戦争が続いているかのような演出を手伝っている。 (New Kiev-drafted agreement marks departure from provisions recorded in Istanbul - Lavrov) (プーチンの策に沿って米欧でロシア敵視を煽るゼレンスキー)
米国側では中立的な立場が禁止され、欧州全部がNATO加盟を強要されている。EUはNATOの言いなりになってロシア敵視をやらされている。NATOはロシアだけでなく中国敵視も担当し始め、日本などアジア諸国も「もっと中露を敵視しろ」とNATOから強要されている。米国がNATOを動かしているというより、米国とNATOが同じ方向で別々に動いている感じになっている。ここで気になるのが、もし米国で、今秋の中間選挙で共和党が連邦議会の上下院の多数派を握り(可能性大)、2024年の大統領選挙でNATO嫌いのトランプが返り咲いたらどうなるか、ということだ。 (EU now is just NATO’s ‘economic department’) (NATO To Engage In Asia-Pacifc To Counter China)
トランプは2017-21年の前政権時代、NATOを「軍事費を払わず米国にぶら下がっているだけの安保タダ乗り諸国の集まり」と毛嫌いし、米国がNATOから脱退するかのような姿勢をとり続けた。トランプに突き放されたNATOは機能不全に陥り、仏マクロンは2019年に「NATOは脳死状態になっている」と指摘した。トランプは米露関係の改善も模索したが、軍産側にロシアゲートなどを起こされて阻まれた。米国ではその後、軍産と民主党が2020年選挙で(不正をやって)うまいことトランプの再選を阻み、バイデンがプーチンをたきつけてウクライナ戦争をおこさせ、過激なロシア敵視に乗ってNATOが強化されている。 (NATOの脳死) (ずっと続く米国の選挙不正疑惑) (ロシアゲートとともに終わる軍産複合体)
しかし今後、トランプが大統領に返り咲き、中間選挙で米議会の与党となる共和党もトランプ主導の党だとすると、2025年以降の米国は、再びNATOを毛嫌いして脱退に向かい、それと同時にロシア敵視もやめてしまう展開になりかねない。今の米国は、同盟諸国をNATOに結集させて妄想的なロシア敵視をやらせている。だが今秋から2025年以降にかけてトランプが再台頭すると、米国がNATOを毛嫌いして離脱したがる姿勢に大転換し、NATOに結集した同盟諸国はトランプにはしごを外されかねない。 (Democrats Lose Another State As Florida Becomes Bright Red) (Election Watchdog Finds 137,500 Ballots Unlawfully Trafficked In Wisconsin)
対米従属の同盟諸国は、世界の資源の多くを持っているロシア側と敵対させられ、NATOの泥舟に全員乗せられた挙げ句、米国がトランプになってNATOの泥舟とともに沈没させられ、米国の軍事力の後ろ盾を失い、超インフレや米金融崩壊によってお金も失った状態で、「戦争犯罪者」のはずのプーチンに資源をくださいと媚びを売ることになりかねない。悪いのは全部プーチンだ(笑妄)。 (ドルを否定し、金・資源本位制になるロシア) (金融大崩壊か不正QTか)