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続折々の記 2022 ⑩
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【 09】10/06
     ノアの洪水(集英社)  海洋地質学者、ライアン&ピットマン
     世相の断面  アメリカ二大政党
            価値観むき出し「文化戦争」
        「排他的」互いにレッテル
     クリミア橋で爆発 ウクライナ関与報道
     新たな集団墓地「200の民間人の墓」ロシアから奪還

 2022/10/03
ノアの洪水(集英社)    海洋地質学者、ライアン&ピットマン

本書は2003/08/31 第一刷発行 定価税込3800円 となっている。 2022/10/06 アマゾンより配本。 第一章の伝説の解読によると、1835年にペルシャのザグロス山脈ベヒストーン山の険しい崖で「ベヒストーンの岩」と言われる高さ3m・幅5.5mの巨石壁面に古代文字の碑文と巨大な彫刻画を発見したとあります。 これが、ノアの洪水を実証することとなったのです。

本書の第二部 「本物の洪水の発見」はさらに二人の海洋地質学者らによって、地中海海底地質調査が進められ、とうとうジブラルタル海峡から地中海と呼ばれている低地乾燥帯への海水流入の洪水、が調査研究された来たことが記述してあるのです。

本書が327頁に及ぶのは、ノアの洪水で解説されるにしては長すぎると思いましたが、それはジブラルタル海峡からの大洪水を含んでいることを知り、驚いたのです。 私が昔、ノアの方舟物語はジブラルタル海峡から今の地中海への海水流入の話と間違えたのは、この第二部の海峡東西断面図を長野図書館で見たのかもしれない。 きょうのところ、おおざっぱな読み取りだから以上で終わりとします。


シュリーマンについても、自伝が出版されていたのでアマゾンから新潮文庫が届いたのでチョットだけ書き留めておきたい。 2~3日前目覚め寸前に「ナンダモンデ?」とか「コレナーニ?」とか、幼少児から少年期にいだく疑問へのかかわりは、その人にとって探求心をつくり上げるうえでとても大事なことだと思ったのです。 文明についてもそれは大事なことだと思っていた時、ギリシャ文明について、確か少年の時トロイ戦争の絵本を見て、それが生涯を貫く道に通じたと思いついたのです。 シュリーマンという名前もいきなり頭に出てきたのです。

このシュリーマンの自伝の本の12頁に、
「私がこの本を書くにあたって私自身の身の上話から始めるのは――ハインリッヒ・シュリーマンはその著『イ―リオス』のまえがきで述べている――なにも虚栄心ではなく、一つの願いがそうさせたのである。つまり、私の後半生の活動はすべて、私がまだほんの子どもだった頃にうけたいくつかの感銘によって規定されたのだということ、いや、それぞころか、それらの感銘から生ずる必然的な結果だったということをはっきりさせたいからにほかならない。言ってみれば、のちにトロイアとミュケーナイの王墓を発掘するつるはしとシャベルは、すでに、私が幼少時代の最初の八年間を過ごしたドイツの小さな村で造られ、磨かれていたということなのだ。そんなわけで、私がどうやって財産をたくわえていったかを物語るのも、むろんよけいなこととは思われない。この財産を使って、私は、晩年になってから、貧しい小さな子どものときにたてた大きな計画を実行することができたのだから。」
このように書かれていました。 夢に出てきたシュリーマンの話の思い出は、間違いなかったのです。 何とも不思議にも思いました。 トロイ遺跡の発掘という言葉を調べてみると、ちゃんと出てきています。 シュリーマンの自伝に書かれている「ミュケーナイ」を検索して見るとミケーネとして説明しており、ミケーネ文明を見ると
イギリスの考古学者、マイケル・ヴェントリスによって解読された線文字Bが使われていた。イギリスの考古学者アーサー・エヴァンズは、自身の考察から、1900年にクレタ島のクノッソスを発掘し、そこで発見した線文字Bをミノア文明(クレタ文明)発祥のものと考えたが、1939年にピュロス王宮で線文字Bの刻まれた粘土版が発見され、実際にはこれはミケーネ文明で用いられたものと判明した。1952年にはミケーネ王宮、1971年にはティリンスでも、線文字Bを記した粘土版が発掘されている。ミケーネやチリンスの遺跡などは1876年以降からシュリーマンによって発掘された。
と解説し、上記のように解説してあります。

クレタ島クノッソスの発掘はクノッソスとして解説されています。
先日書いた ‘「楔形文字と『ギルガメシュ叙事詩』’ クレタ島クノッソスの発掘は記憶違いで、この話は‘迷宮の発掘’としてこれも記憶していました。

   さらに、クレタ島を調べてみると、その歴史の項にはミノア文明という項がある。 この項を見ると、興味を引く内容がたくさんあって、よくこうした歴史を調べられたのか驚きます。 クノッソスもコピーしたくなるほどの画像と解説が出ています。
長くなりましたが、シュリーマンの関係を終わります。

以上で、海洋地質学者、ライアン&ピットマン著『ノアの洪水=NOAH'S FLOOD』を終わりますが、創世記に出ている「ノアの方舟」の地質学者の実証的取り組みの調査と記述方法には、ことに感心しています。楽しみにして終りまで読みます。


 2022/10/09
世相の断面    アメリカ二大政党

(アメリカ中間選挙2022)投票まで1カ月
価値観むき出し「文化戦争」

 米国の統治機構の中心で、時として大統領の力も大きく制約する連邦議会。その新たな構成を決める11月8日の中間選挙まで1カ月となった。バイデン大統領の民主党にとって厳しい戦いが見込まれ、影響は外交や経済政策全般に及ぶ。

 選挙戦で改めて浮き彫りになっているのは、米国を二つの国に分かつかのような「世界観」の衝突だ。人種や性、宗教、教育などをめぐって個人の信条や価値観がむき出しでぶつかり、妥協の余地のない「文化戦争(カルチャー・ウォー)」と呼ばれる。

 ■私立学校を作った親たち 民主党主導の性教育「娘が洗脳される」

 シカゴ郊外に住む3児の母、シャノン・アドコックさん(42)は昨年、7歳の娘を私立学校に転校させることを決めた。

 「過激な性教育が導入されたことが決め手でした。うちの子をそんな学校には行かせられない」

 「過激な性教育」とは、バイデン大統領も属する民主党が主導し、今年からイリノイ州で法制化されたカリキュラムのことだ。

 小学5年生からだった性教育は幼稚園から始まる。性的少数者(LGBTなど)をめぐる社会的課題について積極的に教え、性別の認識は必ずしも出生時の性別とは一致しないとする「性自認」の考え方についても段階的に学ばせていく。

 「教室にまで左派の政治イデオロギーが侵入してきた。娘が学校に洗脳されてしまうと感じたのです」

 アドコックさんは続ける。「幼い娘が先生から『本当の性別は? もしかしたら男の子かもしれないね』と言われ続けたらどうなると思います? 学校も教育委員会も『ウォーク(woke)』な左派ばかりになってしまった」

 ウォークとは、「目覚めた」の意味で使われる俗語で、日本語で「意識高い系」と揶揄(やゆ)するニュアンスに近い。社会不正や人種・性差別などへの意識が高いことを意味し、民主党系の著名人やメディアへの反発を示す言葉として頻繁に用いられる。

 「LGBTの権利を守るのは立派だし、否定もしない。そこは勘違いしないで。でも、読み書きもできない子どもたちに教えたら混乱しかねないと言いたいんです」とアドコックさんは言う。

 新しい価値観が生まれるのは良いけれど、保守的な自分たちにまで強要しないでほしいというわけだ。「昔のリベラルは、こんなに押しつけがましくはなかったのに。いまの民主党はやり過ぎです」

 14歳と11歳の息子たちはいまも公立学校に通うが、まだ幼い娘には影響が大きすぎると判断し、公立学校を辞めさせると決めた。同じ不安を抱える親たちと新たに私立学校を設け、そこに娘を転校させることにした。

 4人の教師と30人ほどの生徒で今年から始めた学校は、キリスト教を教育理念の柱にすえる。その上で、学校長のベスナ・ザバラさん(45)は「イリノイ州は他の州に比べて学力が低いから、イデオロギーより学力が優先です」と言う。(米イリノイ州ネイパービル=高野遼)
 (2面に続く)

▼2面=(アメリカ中間選挙2022)投票まで1カ月
「排他的」互いにレッテル

写真・図版 写真・図版  (1面から続く)
 「極左勢力による教育を完全に打ち破る時が来た」

 9月、ペンシルベニア州での集会で、トランプ前大統領は1万を超す支持者にそう訴え、喝采を浴びた。

 11月の中間選挙に向け、共和党は民主党を「ラジカル・レフト(極左、過激な左派)」と呼んで批判を展開してきた。トランプ氏が多用する、政敵の「悪魔化」の手法だ。自らの中核支持層の危機感をあおり、結束を固めることを狙う。

 「子どもたちは錯乱したマルクス主義の教育者たちによって捕らわれの身となっている」とトランプ氏。「彼らは不適切な性的、人種的、政治的な教材を押し付けている。洗脳から脱却し、子どもを好きな学校に通わせることができるようにならなければならない」

 トランプ氏の主張は極端で一面的だと批判を受けてきた。だが、支持者からは一定の共感を呼んでいることも事実だ。

 ペンシルベニア州でのトランプ集会では、開場の数時間前から長蛇の列ができていた。ほとんどが白人で、トランプ氏のグッズを手に並んでいる。その中に「LGBT」と書かれたTシャツ姿の男性がいた。

 冷蔵庫の修理工をしているというリチャード・ココスキーさん(53)は「いいTシャツだろ。写真を撮ってくれよ」と上機嫌で取材に応じてくれた。シャツにはLGBTの頭文字をとって「自由(Liberty)、銃(Guns)、聖書(Bible)、トランプ(Trump)」と書かれている。

 「俺はLGBTを差別しているわけじゃない。周りの誰かがゲイでもトランスジェンダーでも、俺にとっては問題ない」。そうリチャードさんは話し始めた。「だけど、それを8歳の子どもに押しつけるなって話なんだ。学校は国語や算数、歴史や科学を教えるところだろ?」

 元小学校教師だという息子のマイクさん(29)も会話に加わってきた。「俺は自分はリベラルだと思ってる。でも左派には嫌気が差しているんだ」

 「どうだい、俺らがみんな差別主義者にみえるかい?」とマイクさんは問う。「俺にはゲイの友達だっている。でも左派に言わせれば、白人のキリスト教徒だってだけで全員が差別主義者扱いになっちまう」

 そう言うと、マイクさんは首を横に振った。「彼らは善かれと思ってやってるんだろう。でもあまりに行き過ぎだ。伝統的な生き方の邪魔をしないでほしい」

 米国ではリベラル派は「インクルーシブ(包摂的)」であることを重視する。だがトランプ集会で出会った人々は、民主党は「全く包摂的ではない」と口々に違和感を訴えた。保守的な考えを持つ白人層が迫害されている、という被害感情がそこにはある。

 彼らはトランプ氏を積極的に支持する理由より、「なぜ民主党が嫌いか」を力説した。「押しつけがましい」「偉そうだ」――。「ウォーク」な価値観が正義とされ、トランプ支持者であるだけで悪いレッテルを貼られる風潮への息苦しさを訴える声が目立つ。

 トランプ支持者は、伝統的な価値観に固執する排他的な人々として描かれることも多い。だが彼らの目線からは、リベラルを標榜(ひょうぼう)する民主党こそが、異質な価値観を許さない排他的集団に見えるというのが言い分だった。

 ■中絶、銃規制、同性愛…二極化

 米国で激化する「文化戦争」とは何か。

 妊娠中絶、銃規制や新型コロナ対策、同性愛や学校教育に至るまでテーマは幅広い。人種や性などをめぐる社会課題を重視する人々と、伝統的な価値観を大切にしたい人々との間で溝は深い。この対立は都市と農村との地域差や、大学を卒業しているか否かという学歴差とも結びついている。

 政治的には前者を民主党、後者を共和党が代表し、激しい党派対立を増幅させてきた。中間選挙の一大争点ともなっている。

 性教育を例にとっても、両党の政策は正反対だ。

 民主党が強い州では、「He」や「She」といった代名詞に代えて、性別を問わない「Ze」などの呼び方を導入したり、トランスジェンダーの生徒に自らが望む性別のトイレや更衣室の利用を認めたりといった動きが広がる。

 逆に共和党の知事がいるフロリダ州では今年、「ゲイと言ってはいけない」法が成立し、小学3年生までは教室で性的指向と性自認を教えることが禁じられた。性的少数者の主人公が登場する本などを学校で禁止する州も相次ぐ。

 「文化戦争」の著書があるバージニア大のジェームズ・ハンター教授(社会学)は「文化という妥協できないテーマが政治問題になった結果、米政治は二極化した。保守派だけでなく、進歩派の過激化も進んでいる」と指摘する。

 トランプ氏には批判的で、世界の自由主義の論壇を先導してきた英誌エコノミストも昨秋、急進化する「イリベラル・レフト(反自由主義の左派)」の問題を巻頭で扱った。人種や性的指向による差別を許さないことは当然の前提だと指摘。しかし、左派の一部が排他的になり、「自分が正しいと考える結果を押しつけることこそが正義だと信じている」と批判した。

 米国で広がる文化戦争は地域や学歴、社会階層によって隔てられた「二つの米国」の断絶をより深めている。学校での性教育のあり方はその一例にすぎない。(ペンシルベニア州ウィルクスバリ=高野遼)

 ■下院は共和優勢、上院は伯仲

 米中間選挙は4年ごとの大統領選挙の中間の年に開く選挙で、連邦議会上院(任期6年)の3分の1と、下院(任期2年)の全ての議員を改選する。

 民主党のバイデン大統領に対する信任投票として位置づけられる一方、共和党からトランプ前大統領の意をくむ候補者が多く出馬する。親トランプ派がどこまで勢力を伸ばすのか。2年後の大統領選での復権をうかがうトランプ氏の求心力を占う上でも重要となる。

 中間選挙では現状への不満から、現職大統領のいる政党が逆風を受けるケースが多い。今回も異例のインフレへの不満などを受け、与党の民主党が議席を失う公算が大きい。

 ただ、民主党も巻き返しをみせる。6月に人工妊娠中絶の禁止を容認する最高裁判決が出た影響は大きく、判決に反対する民主党支持層の間で投票意欲が高まっているためだ。

 焦点は上下院で民主党が多数派を維持できるかだ。下院では民主党が8議席差で多数を占めるが、今回の選挙で共和党に逆転を許す可能性が高いとみられている。一方、上院は伯仲しており、接戦4州の結果次第で明暗が分かれることになりそうだ。

 ◇「この国土は一つの国であり、人びとはみなアメリカ人である。……アメリカの『多様の統一』(E Pluribus Unum)というモットーは事実である。不思議な、信じられないようなことだが真実だ」

 米国の文豪スタインベックはこう記した(『アメリカとアメリカ人』)。いま、その「真実」は揺らぐ。米国のありようを大きく規定する中間選挙の日まで、記者が各地を歩き、ルポで掘り下げていく。


▼1面=一部崩落 ロシア本土、唯一結ぶ
クリミア橋で爆発 ウクライナ関与報道

 2014年にロシアが一方的に併合し、実効支配を続けるウクライナ南部クリミア半島とロシアを結ぶ「クリミア橋」で8日早朝、大きな爆発が起きた。橋は閉鎖され、プーチン大統領が原因について調査委員会の設立を命令した。複数のウクライナ・メディアは、ウクライナの治安機関が工作を仕掛け、爆発させたと伝えている。▼7面=新たな集団墓地

 ロシア国営ノーボスチ通信によると、同国の連邦捜査委員会は同日、爆発で3人が死亡したと発表した。

 クリミア半島はロシアが併合後、軍備を増強。2月からのウクライナ侵攻ではウクライナ南部を占領したロシア軍に兵員、兵器を補給する重要拠点になってきた。クリミア橋はロシア本土と結ぶ唯一の橋だ。

 ロシア軍は南部でウクライナ軍の反転攻勢にさらされている。ウクライナ軍が自軍陣地から離れた同橋を攻撃する能力を持つことが示されればロシア軍はさらに不利な状況に置かれる。

 捜査委員会の発表では、橋を通行中のトラックが突然爆発。併設された鉄道で、貨物列車が運搬中の七つの燃料タンクに爆発の炎が燃え移ったという。橋の道路は一部崩れ落ちたが、同日夕、残った部分を使って交通を再開させた。ニュースメディア「ウクライナ・プラウダ」は「爆発はウクライナ保安局の特別作戦だ」と伝えた。

 ウクライナ大統領府のポドリャク長官顧問は爆発への言及は避けながら「クリミア、橋、始まり。すべての違法なものは破壊されるべきだ」とSNSに投稿した。

 クリミア橋は、欧米からの批判をよそにロシアが併合後に建設を開始。プーチン氏が通算4選を果たした18年の大統領選にあわせ道路橋を完成させた。

 ロシア国内では、ウクライナ軍の反転攻勢を受けて撤退を繰り返す軍に強硬派の不満が高まっており、クリミア橋の爆発でも、ウクライナ軍の攻撃とみる議会議員らから「強硬な措置」を求める声が上がった。

▼7面=新たな集団墓地
新たな集団墓地「200の民間人の墓」
ロシアから奪還、東部の要衝 ウクライナ

上記新たな集団墓地を開いて記事を読むこと。

▼1面の「クリミア橋で爆発 ウクライナ関与報道」は7面ではこれに関するニュースを取り上げてはいないため、7面は希望者のみ読めばよい。 以上