【目次へ】
  続折々の記へ
続折々の記 2022 ⑩
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】09/08~     【 02 】09/13~     【 03 】09/16~
【 04 】09/16~     【 05 】09/16~     【 06 】09/23~
【 07 】09/30~     【 08 】10/02~     【 09 】10/06~
――――――――――――――――――――――――――――――
【 07】09/30
     田中宇の国際ニュース解説  年会費継続
     ロシア、4州強制併合 プーチン大統領が宣言
      「住民らは永遠に国民」 ウクライナ、NATO加盟申請表明
       今後どう変わるか不明
        誤算ロシア、併合急ぐ 苦しい戦況、動員令で国内動揺
        奪われた故郷、きっと戻る
          「永遠にロシアにならない」4州強制併合

 2022/09/30
田中宇の国際ニュース解説   年会費継続

【2022年8月4日】から【2022年9月21日】までのタイトルだけを掲示しました。
タイトル解説すべてを読むためには <https://tanakanews.com/> を開けばすべて可能です。 ただし、◆の解説は購読登録してない人には概要しか読めません。

 ◆特殊作戦から戦争に移行するロシア 【2022年9月21日】
  世界を多極化したがる米国 【2022年9月19日】
  ロシア敵視で進む多極化 【2022年9月16日】
 ◆米英の金相場抑止とロシア 【2022年9月12日】
 ◆意外と正しい日銀の円安放置 【2022年9月8日】
  ユーラシアの逆転と日韓米軍の撤退 【2022年8月29日】
 ◆中露主導の朝鮮半島和平への道筋をつけるロシア 【2022年8月27日】
  潰されていくドイツ 【2022年8月23日】
 ◆イラン核協定で多極化 【2022年8月20日】
 ◆短信集・日本の隠然非米化、など 【2022年8月19日】
  悪いのは米国とウクライナ政府 【2022年8月17日】
 ◆中国に非米化を加速させ米覇権衰退を早めたペロシ訪台 【2022年8月11日】
  安倍元首相殺害の深層 その2 【2022年8月8日】
 ◆非米化で再調整が続く中東 【2022年8月5日】
  米諜報界の世界戦略としての新型コロナ 【2022年8月4日】


このニュース解説者のスタッフがどりくらいの規模なのか判らないけれど、世界の空間を飛び交う電信をキャッチしながら比較類推して総合的判断をするに違いない。 そのニュースは私にとって信頼度は大きいのです。 世界の政治上の動きが主となっていますが、それを長く読んでくるとその国のトップは何をもくろんでいるのか、それに対してどう反応しているのか、世界の様子が浮かび上がってきます。

田中宇の作品をアマゾンで調べてみると、Kindle版 単行本 文庫 に区分され、Kindle版を見ると、

 金融世界大戦 2015/03/06 ¥1,620
 タリバン 2001/10/25 ¥671 光文社
   光文社☛Kindle Unlimitedは、980円の月額料金を払えば本が読み放題
   になるサブスクリプション制のサービスです。
 ハーバードで語られる世界戦略 2001/11/25 ¥693 光文社
 アメリカ以後~取り残される日本~ 2004/02/20 ¥693 光文社
 アメリカ「超帝国主義」の正体 2003/06/01 ¥561
 イラクとパレスチナ アメリカの戦略 2003/01/20 ¥693 光文社
 米中逆転 ――なぜ世界は多極化するのか? 2012/06/10 ¥713
 イラク 2003/03/20 ¥693  光文社
 米中論~何も知らない日本~ 2002/06/20 ¥693 光文社

単行本の今までのもので、手に入れたもの
 ※トランプ革命の始動 覇権の再編 2017/04/20 ¥1,400
 ※金融世界大戦 第三次大戦はすでに始まっている 2015/03/06 ¥3,088
 ※メディアが出さない世界経済ほんとうの話 2009/01/16 ¥1,500
 ※日本が「対米従属」を脱する日 2009/12/10 ¥1,760
 ※世界がドルを棄てた日 2009/01/23 ¥2,480
 ※メディアが出さないほんとうの話 2009/01/16 ¥1,500
 ? 単行本の出版は今から5年前の 2017/04/20 ピタッとやめられている。
   歯に衣(キヌ)着せない執筆が、不用心だと警戒したことが今年になって
   書かれていた。 もしかするとそうかもしれない。


【2022年9月21日】を読んでいると、今日の新聞記事1面の「ロシア、4州強制併合 プーチン大統領が宣言」を考えていたことが推察できます。

バイデン父子がウクライナでやったとんでもない勝手気ままの振る舞いを隠し、ロシア制裁のもくろみは NATO への勧誘画策と共に NATO(北大西洋条約機構)に基づいた軍事演習の実施、それと共に大統領変更の画策とバイデン仕込み軍によるロシア人への攻撃など、一連の画策として進められてきていた。

こうした動きをジャーナリストが指摘したら、すぐ活動できないようにもみ消していた、 このバイデンの緻密な策略は、プーチンが的確に見ていたに違いない。 兵法の極意に、相手を知りそれに対応すれば負けることはないと言います。 相手の動きに敏感になることは、プーチンでなくとも当然の感情なのです。 だからこそロシアがウクライナへ侵攻することを「今にロシアはウクライナへ侵攻するぞ」とバイデンは計算していたのです。

バイデンは天に向かって唾を吹きかけたと同じように、世界中に戦争拒否の感情を巻き起こし更に世界の民衆に嫌悪され、しかも物価高に自ら苦しみ、ドル支配の崩壊を早めることになったとみてもいいのです。

対北朝鮮に対しても原子力航空母艦まで引っ張り出して、対ロシアと同じ手法を飽きずにとっている。 クアッド(日本、アメリカ、オーストラリア、インド)では、対中国の協定にインド首相は拒否を示している。 それでもバイデン政権の方向は進めています。 相手を誹謗する姿勢は全く変わらないのです。
日本はバイデンとのお付き合いを辞めればいいのに。

「幸福の哲学と言えば何か」という検索をすると
偉大なる哲学者の1人であるソクラテスにとって、幸福とは報酬や賞賛から得るものではなく、個人が自分自身に与える内部的な成功から得られるものだった。 いいかい? 幸せの秘訣はさらに多くを求めるのではなく、より少なきを楽しめる能力を磨くことにあるのだよ。 孔子の幸福に対する考えは今でも人類に大きな影響を及ぼす。 最近の認知行動療法の研究にも、孔子の思想の影響が見られる。
検索の当初に上記の文が載っています。 続いて

   2016年6月9日(木)19:00~21:00
   荻野 弘之(おぎの ひろゆき) / 上智大学文学部哲学科教授

現代人にとって「幸福」とは何か? ―哲学と諸科学からの考察― (クリックして、読んでほしい)
いろいろと解説されています。 参考になります。

私自身は、基本として誰でも 黄金律(Golden Rule) を持つことだと思っています。
黄金律(おうごんりつ、英: Golden Rule)は、多くの宗教、道徳や哲学で見出される「他人から自分にしてもらいたいと思うような行為を人に対してせよ」という内容の倫理学的言明である。現代の欧米において「黄金律」と呼ばれるものは、イエス・キリストの「為せ」という言葉を引用していることが多い。

また、黄金律の派生として、白銀律(Silver Rule。「自分がされたくないことを人にしてはいけない」)や白金律(Platinum Rule。「人があなたからしてもらいたいと思っていることを人にしなさい」。気配り、気遣い、忖度)といったものがある。黄金律以外の派生系の方は、マゾヒストや自爆犯、人による感覚の違いなどを想定して、黄金律が行き詰まる場合の先手を打って考えられたものである。

イエス・キリスト
人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい(『マタイによる福音書』7章12節,『ルカによる福音書』6章31節)
孔子
己の欲せざるところ、他に施すことなかれ(『論語』巻第八衛霊公第十五 二十四)
ユダヤ教
あなたにとって好ましくないことをあなたの隣人に対してするな。(ダビデの末裔を称したファリサイ派のラビ、ヒルレルの言葉)、自分が嫌なことは、ほかのだれにもしてはならない(『トビト記』4章15節)
ヒンドゥー教
人が他人からしてもらいたくないと思ういかなることも他人にしてはいけない(『マハーバーラタ』5:15:17)
イスラム教
自分が人から危害を受けたくなければ、誰にも危害を加えないことである。(ムハンマドの遺言)


 2022/10/01
ロシア、4州強制併合 プーチン大統領が宣言
「住民らは永遠に国民」 ウクライナ、NATO加盟申請表明

今後どう変わるか不明

 ロシアのプーチン大統領は30日、軍事侵攻で占領したウクライナ東部、南部の4州を自国に併合すると一方的に宣言した。占領地域で「行政」を担う親ロシア派が強行した、「ロシアへの編入」を求める「住民投票」が成立したと強調。併合文書に調印した。ロシアは今後ウクライナ軍が領土奪還を試みれば「ロシア本土への攻撃」と主張する考えだ。戦況が混迷を深めるのは避けられない。▼2面=誤算、11面=苦渋の避難

 プーチン氏はモスクワの大統領府での演説で「ロシアへの編入を決めるのは住民の権利だ」とし、占領地の住民らは「永遠にロシアの国民だ」と述べた。「我々はすべての手段で我々の土地を守る」とも話した。演説後、占領地の親ロ派幹部と合意文書に署名した。

 ロシアがウクライナの領土を一方的に併合するのは2014年のクリミア半島併合以来だ。

 国連のグテーレス事務総長は併合を控えた29日、「国家が武力による威嚇、または武力行使により他国の領土を併合することは、国連憲章の原則および国際法違反だ」と厳しく批判した。

 G7(主要7カ国)は1日未明、外相声明で併合を非難し、ロシアや、ロシアを支援するロシア内外の個人や団体に「さらなる経済的コストを科す」とした。

 ウクライナのゼレンスキー大統領も声明を出し、対抗措置として北大西洋条約機構(NATO)に早期加盟を申請すると明らかにした。ゼレンスキー氏は「ウクライナは常にロシアに共存のための合意を提案してきた」とする一方、「この大統領とは不可能だ」と述べ、プーチン氏を交渉相手としない考えを示した。

 プーチン氏が併合を宣言したのは、ウクライナ東部のルハンスク、ドネツク両州、中南部ザポリージャ州、南部ヘルソン州の4州。未支配地域も含むとみられ、ロシアはクリミア半島も含め、ウクライナ全領土の約20%を「自国領土」とみなすことになる。

 4州の占領地では、親ロ派が23~27日、「住民投票」を強行。「99~87%の賛成で成立した」として、それぞれの代表が28日、プーチン氏に併合を求める書簡を送っていた。

 ドネツク、ザポリージャ両州は依然3~4割がウクライナの統治下にある。ロシア軍は今後、これらの地域で全州制圧を狙う。ロシアはウクライナ軍の攻勢は欧米からの武器供給があるためとみる。併合強行の背景には、占領地への攻撃には核兵器での反撃もありえるとして欧米に支援を思いとどまらせる思惑がある。

 米国や欧州連合(EU)は、併合宣言を受けて新たな対ロシア制裁に乗り出す方針だ。侵攻後ロシア寄りの立場を示す中国やインドも、一方的な領土併合とは距離を置くとみられる。

 ロシア軍に多数の死傷者が出て兵員不足に陥るなど、追い込まれたプーチン氏が苦境を打開するため、併合という極端な手段に走らざるを得なくなったとみられる。

▼2面=(時時刻刻)誤算
誤算ロシア、併合急ぐ 苦しい戦況、動員令で国内動揺

写真・図版 【図版】侵攻前のウクライナ4州の人口

 ロシアのプーチン大統領が、占領したウクライナ領土の一方的併合に踏み切った。だが、国民に高揚感はない。戦況が行き詰まり、立て直しを迫られた末の強硬策で、侵略戦争の行方はますます見えなくなった。欧米はウクライナ支援の継続を表明している。▼1面参照

 「ドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、ヘルソン。人々の選択は行われた。ロシアは裏切らない」

 モスクワ・クレムリン。プーチン氏が4州をロシア語名で呼ぶと、上下両院議員や各界要人らから大喝采が起きた。2014年3月、プーチン氏がクレムリンの別の間でウクライナ南部クリミア半島の併合を宣言したときと同じだ。外の赤の広場でも8年前と同じく、併合を祝う大集会に人々が集まり始めていた。

 ただ、今回の併合は当時と環境が大きく異なる。

 プーチン政権はもともと、ロシアへの編入を問う住民投票は棚上げする方針だった。戦況で苦戦する中、住民投票を実施して併合に踏み切っても、占領地の安定を保てないと判断していたためとみられる。

 実施を強く求めていたのは、プーチン政権ではなく、占領地で「行政」を担う親ロシア派だ。

 ロシア軍は9月上旬、北東部ハルキウ州で反転攻勢を受け、同州内の大半で撤退した。地元出身者が多い親ロ派は、プーチン政権が占領地を見捨てないことの証しを求めた。

 一方、政権は戦場の兵力不足を補う必要に迫られ、いかにスムーズに国民の動員を図るかが最大の課題だった。侵攻について、限定的な「特別軍事作戦」と国内で説明してきたからだ。

 政権が投票の実施と併合へと急にかじを切ったのは、苦境の裏返しだ。占領地の親ロ派の動揺を抑えた上で、国民の愛国心をかき立て、動員体制への口実を作る必要に駆られた。

 だが、併合宣言に踏み切っても、国民は熱気からはほど遠い。

 プーチン氏が住民投票支持と同時に打ち出した「部分的動員」は混乱を引き起こした。

 ノルマ達成を焦った地方機関が高齢者など、本来対象外の国民まで招集。手当たり次第に招集令状を渡す例まで報告された。プーチン氏自身も29日、「誤りはたださなければならない」と軌道修正に追われた。

 独立系世論調査機関「レバダセンター」が29日公開した調査によると、「部分的動員令」についての質問に回答者の83%が「恐怖」「ショック」「怒り」を感じたと答え、「ロシアへの誇り」としたのは23%にとどまった。侵攻開始前から急上昇したプーチン氏の支持率は3月以来初めて80%を割った。プーチン氏の計算が狂い始めている。

 ■戦争の目的、大きく変容

 ロシアの戦争目的は併合宣言で大きく変わった。

 侵攻を始めた2月、プーチン氏は東部ドネツク、ルハンスク両州の住民を「集団殺害(ジェノサイド)から守る」などとし、「我々の計画にウクライナの占領は含まれない」と断言。親ロ派支配地の「独立」を承認して東部支配を固め、さらに首都キーウ(キエフ)に傀儡(かいらい)政権を樹立してウクライナを欧米との緩衝地帯とする狙いだったとされる。

 しかし、ウクライナ軍の抵抗で3月末にキーウ近郊から撤退。軍はルハンスク、ドネツク両州の支配拡大に集中することを明らかにしたが、7月にルハンスク州制圧を宣言したあと戦闘は膠着(こうちゃく)状態になった。

 プーチン氏はロシアが帝政時代に併合したウクライナの東部や南部が「歴史的領土」である、との領土欲をむき出しにした。苦戦が明らかになる中、国民の支持をつなぎとめる「戦果」の演出が、今回の併合宣言だ。「占領はしない」といった当初の建前は捨てざるを得なかった。

 支配地でロシアは、住民にロシア国籍を与え、自国通貨ルーブルの導入を図る。「ロシア並みの年金」などを訴え、「ロシア化」に必死だ。キリエンコ大統領府第1副長官は28日、「新領土」の住民支援にまず33億ルーブル(83億円)を投入すると語った。しかし、占領地は安定とはほど遠い。

 米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)は28日、ルハンスク州に近いロシア側重要拠点のドネツク州リマンにこの数日ウクライナ軍が迫っているにもかかわらず、ロシア軍はほとんど対処できていないとの分析を明らかにした。

 14年のクリミア併合ではウクライナ軍が撤退。ロシアは実効支配した上で、インフラ整備を始めた。今回は反転攻勢を受けているさなかで、実効支配そのものが困難となりそうだ。

 ロシア軍は4州全土で支配できているわけではなく、当面は4州の完全制圧が侵攻の目的となる。

 プーチン氏は30日の演説で「4州は交渉の対象としない」と断言。ウクライナ側は停戦条件としてロシア軍の全面撤退をあげており、停戦交渉は不可能だ。

 ロシアは核兵器による反撃をちらつかせる「瀬戸際戦術」でウクライナ軍の攻撃を遅らせ、欧米の「支援疲れ」が広がるのを待つ考えとみられる。

 ■米が非難、追加制裁 中国は賛否を明言せず

 「ロシアは国際法に違反し、国連憲章を踏みにじり、世界中の平和な国々を侮辱している」

 米国のバイデン大統領は30日に出した声明でロシアを強く非難。各国に「違法な併合の試みの拒否」を呼びかけ、ウクライナへの軍事支援継続を強調した。米財務省はロシアの軍需産業関係者や連邦議員らを対象にする追加制裁を発表した。

 ただ米国内では「併合」地域にウクライナが攻撃した場合、ロシアが核兵器による報復の脅しの口実とする懸念が指摘されている。国務省のプライス報道官は28日、「ウクライナの領土に変わりはない」と語り、「併合」地域での戦闘に米国が提供した武器の使用を認めることを示唆した。

 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は28日、追加制裁案を発表。輸出入規制を強化し、ロシア産石油の取引価格に上限を設ける措置も検討する。

 一方、中国外務省の毛寧副報道局長は30日の会見で「併合宣言」について「各国の主権と領土保全は尊重され、国連憲章の趣旨と原則は守られ、各国の正当な安全保障上の懸念は重視されるべきだ」と語った。ウクライナ情勢に対する従来の「中立的」立場を強調。平和的解決を求める一方、併合への賛否は明言しなかった。中国は対米姿勢ではロシアと一致するが、台湾や新疆ウイグル自治区など複雑な地域問題を抱え、住民投票に基づく独立や併合は本来受け入れがたい。

 ■首相「強く非難」 ゼレンスキー氏と協議

 岸田文雄首相は30日夜、ウクライナのゼレンスキー大統領と約30分、電話で協議した。「いわゆる住民投票と称する行為、ウクライナの一部地域の編入に向けた動きは、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害するものであり、国際法違反だ。決して認めてはならず、強く非難する」と伝えた。

▼11面=苦渋の避難
奪われた故郷、きっと戻る
「永遠にロシアにならない」4州強制併合

 ロシアのプーチン大統領が30日、ウクライナ東部と南部の州で親ロシア派が強行した「住民投票」を受けて演説し、4州をロシア領に併合する文書に署名した。一方的で強引なやり方に、故郷を奪われる人々は怒りと悲しみにくれている。▼1面参照

 「私のふるさとは、永遠にロシアにはならない」

 併合対象となった南部ヘルソン州の州都ヘルソン出身のセルゲイ・スタルコフさん(28)は、こう吐き捨てた。

 陽光のまぶしい、明るい街だった。友人とヨットに乗ったり、夜に中心街へと繰り出したりした時間をいまも思い出す。

 「1778年」。右足のふくらはぎに、街が設立された年の入れ墨をしたほど、大好きな場所だ。

 だが、2月24日のロシア軍の侵攻から約1週間後、ヘルソンは陥落した。

 ロシアは、独自の「知事」や「市長」を一方的に任命。ロシアの通貨ルーブルが流通し、テレビにはロシアの放送局しか映らなくなるなど、「ロシア化」が進んでいった。

 スタルコフさんは3度、ロシア兵に拘束された。「人生これで終わりか」。そう覚悟したのは、目の前に銃の赤い照準レーザーを当てられたときだった。

 4月19日、ヘルソンを脱出。19カ所の検問所では携帯電話を調べられた。いまは首都キーウの友人宅に身を寄せる。

 トラウマになっている音がある。ヘルソンで、ロシア兵が部屋のドアを順番に破壊していく音だ。隠れている人間を捜すためで、音がしだいに自分の部屋に近づいてきたときの恐怖がなお残る。

 「言いたいことは山ほどある。でも言えない」。ヘルソンに残る友人からは、チャットで悲痛な声が伝わる。その友人も、メッセージを送信した2秒後に削除した。自由などなく、みな盗聴や監視を恐れている。

 併合されれば、友人たちはロシア軍に徴兵され、ウクライナと戦わされるのか。そう考えると気がおかしくなりそうで、気を紛らわそうと、毎日のようにキーウ近郊の村などへ出かけ、ボランティアとして戦闘に巻き込まれて破壊された家やアパートの修理に明け暮れる。

 「違法でしかない」

 同じく併合対象となった東部ドネツクに住む元新聞記者のレオニドさん(72)は憤る。自身は投票に行かなかったし、家族や友人にも投票した人はいない。ドネツク州の投票率は97・5%だと報じられているが、レオニドさんは「(投票率は)最大でも30%だろう。フェイクだ」と訴える。ただ、決してあきらめてはいない。「私はウクライナがこの地域を取り返すのを待っている」

 14年に親ロシア路線の政権が崩壊し、レオニドさんが暮らす東部で紛争が起こるきっかけとなった「マイダン革命」。その舞台となったキーウ中心部の独立広場でも、プーチン氏に対する憤りが聞かれた。

 「最後はウクライナが勝つ」。青と黄色のウクライナ国旗を手にしていたエリザベス・ゴモネさん(17)はキーウで暮らす。「プーチンのように頭のおかしな人に何を言われても気にしない」と声を張った。

 激戦が続く東部ドネツク州のバフムートから避難したバシリさん(62)は、「自分の家がロシアになるなんて、意味がわからない」と苦笑した。自宅中庭にブドウやチェリーの木があり、温室でトマトやキュウリを育てる穏やかな生活を送っていた。バシリさんは言う。 「ウクライナの自分の家に、帰りたい」(キーウ=多鹿ちなみ、高野裕介)

 ■<考論>併合は違法で無効 国学院大・宮内靖彦教授

 ロシアによるウクライナ4州の併合が合法か否かは、事がロシアの武力行使に端を発しているので、武力行使そのものが合法かどうかにかかっている。

 ロシアの武力行使は、国連憲章で定められた武力の行使を禁止する原則に正面から抵触している。国連総会の「侵略の定義に関する決議」では、違法な武力行使の結果として併合した場合は侵略であると確認されている。ロシアの行動は違法な武力行使であり、その結果の併合も違法で無効ということになる。

 国連総会は、併合を承認しないよう求める決議を採択できる。国連が動かなくても国際法上、武力不行使の原則は強行規範(国際法において決して違反してはならないルール)であり、どの国も違反の結果生じた状態を承認してはならないと求められている。

 ウクライナとしては、侵略を受け続けているので自衛権を行使して取り返すということになる。ウクライナの反撃行為が自衛権行使である限り、米国などが武器を供与して支援しても合法だ。

 ロシアは国連安全保障理事会の常任理事国であるにもかかわらず、拒否権行使によって国連の集団安全保障体制を機能麻痺(まひ)にさせているだけでなく、自国の国益のために国連体制の根幹である武力不行使の原則を自らが否定している。国連体制そのものへの挑戦だと言える。

 ロシアの武力行使による結果を認めないことを前提に、ウクライナ戦争後、武力行使を禁止するルールを遵守(じゅんしゅ)させるために、国際社会の力をいかに結集するかを考えなければならない。人類の知恵を結集した工夫が必要だ。 (聞き手・丹内敦子)

 ■プーチン大統領の演説骨子

 ・ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ザポロジエ(ザポリージャ)、ヘルソン両州の人々は住民投票で明らかな選択をした。今日、編入条約に署名する

 ・(ロシアへの編入を求めたのは)人々の不可分の権利だ。国連憲章の第1条に、人民の同権と自決の原則がはっきりと書かれている

 ・ロシアは自らの土地を防衛するためにあらゆる手段を尽くす

 ・ウクライナに、全ての戦闘行為をやめて停戦協議の席に戻るよう呼びかける。我々はその用意がある

 ・我々は(ソ連の復活を)目指していないが、文化や信仰によって自らをロシアの一部と見なす何百万人もの人々の決意ほど強いものはない

 ・西側は常にロシアの弱体化と壊滅を図ってきた

 ・ウクライナとその本当の主人である西側に聞いてほしい。(2共和国と2州の)住民は永遠にロシアの国民になるのだ

 ・米国は核兵器を2度使用した唯一の国で、広島と長崎を壊滅させた。米国が前例を作った。米国は今でもドイツや日本、韓国などの国々を実質的に占領している