【目次へ】
  続折々の記へ
続折々の記 2022 ⑪
【心に浮かぶよしなしごと】
【 01 】10/10~     【 02 】10/12~     【 03 】10/13~
【 04 】10/13~     【 05 】10/15~     【 06 】10/17~
【 07 】10/19~     【 08 】10/23~     【 09 】10/25~
――――――――――――――――――――――――――――――
【 04】10/13
     (続)なぜ戦争をするのか?  戦争否定を導入したマックアーサーは正しかった
        トランプ氏もロシア楽観主義に陥った 米国に必要なのはプーチン思考
     英国から始まった金融危機   田中宇の国際ニュース解説
 2022/10/13
(続)なぜ戦争をするのか?
戦争否定を導入したマックアーサーは正しかった

2回にわたる世界大戦をへて、いままさに世界の人はみんな戦争による閉塞感に満ちています。 少なくとも多くの人たちがそうだと感じているのです。 日本だけではなくアジアもヨーロッパもアメリカも、いやなことにつながったのは戦争が原因だと感ずいているのです。

人が人を殺すことは、国内法がどの国でも禁じています。

戦争は集団同士の殺し合いなのです。 国内法では禁じられているのに、国際間では戦争は殺人、破壊がまかり通るのです。

    個人と仲間(集団)

  一人一人は幸せを願っています
  家族も幸せを願って生活しています

  隣近所も仲良しを願っています
  集団でもそれを大事にしています

  物々交換なしでは、生活がなりたちません
  国と国の間でも物々交換なしでは、生活がなりたちません

  隣近所も集団でも、そのために
  仲良くしなければなりません

  個人と個人が仲が悪くなると
  物々交換しなくなります

  国と国とが仲が悪くなると
  物々交換しなくなります

  子どもどうしが仲が悪くなると
  昔は、個人間で喧嘩をしました

  今の子どもは、仲間を作ってイジメをします
  今の国では、仲間を作ってイジメをします

  昔の子供は、こんなとき
  餓鬼のくせに、講釈言うなといいました

  餓鬼の親分を餓鬼大将といいました
  餓鬼のことばは、未成熟の意味でした

  今の国では、仲間をつくって戦争します
  1対1の戦争ではないのです

  世界中を二つに分けた戦争が
  私たちの閉塞感の原因なのです

昔は、餓鬼大将にしても気品がありました。 気骨があって正邪をきちんと分別していた。 今の国家間での餓鬼大将にはこの分別が見えません。

全責任をもたない評論家は、所属している国に寄り添った分別をしやすいし、それが保身だとも感じられます。

政治家すべてが過去の国策を参考として、自国の保全の責任は軍隊による国防だと意識しています。 これでは戦争ゴッコだとしか、目に映らないのです。 平和のためというが、相手を誹謗する政治家がほとんどです。 これでは私たちの閉塞感はなくならないのです。

新しく「戦争をしてはならない国際法」を至急みんなで考えないといけないのです。 戦争放棄を導入し日本国憲法を立案したマックアーサーの判断は正しかったのです。

今のアメリカ流の他国に対する流行語は、「資本主義」と「民主主義」です。 資本主義による貧富の差は拡大の一方であるし、民主主義の実践は自分たち政治家の隠れ簑(ミノ)だということが自覚されておりません。  国民大多数の思いを無視した民主主義なのです。 政治家のあやつりの言葉を鵜吞みにしている人が多いのです。 その意味では、国民の意識と自覚が足りないと言われても仕方がありません。

どうぞ目覚めてほしいのです。 日本は自分たちの思いを世界に向かって堂々と主張してもいいのです。 心の中で大事にしたいことは、人間性を高めるということなのです。 人が本来いのちの願いとしている子孫の繁栄は、一人一人の人間らしい性質を豊かにすることにあるのです。
 以上


バイデン政権の全体性格がうきぼりにわかるのには、次の記事を見ていけばいいと思います。
トランプ氏もロシア楽観主義に陥った
米国に必要なのはプーチン思考
   朝日新聞デジタル連載
   なぜプーチンを止められなかったのか 
   アメリカ 対ロシア外交の20年記事 第4回
   トランプ氏もロシア楽観主義に陥った 米国に必要なのはプーチン思考
   ワシントン=高野遼2022年8月24日 10時00分

 「トランプ前大統領は、私にこんな質問をしたんです」

 2019年まで大統領補佐官としてトランプ政権の外交安全保障政策を担ったジョン・ボルトン氏を取材に訪ねると、そう言って当時の記憶を明かしてくれた。

【連載】なぜプーチンを止められなかったのか アメリカ、対ロシア外交の20年

 「あれは18年にトランプ氏とプーチン大統領の会談場所を選んでいたときのことでした。ロシア側はウィーンを希望していたのですが、私はフィンランドの首都ヘルシンキにしたかったのです」

 どちらの都市を選ぶべきかと相談すると、トランプ氏は「ロシアの好きなようにさせればいい。フィンランドはロシアの衛星国のようなものじゃないのか?」と言ったという。

 「移動の飛行機の中でも、首脳会談に向けて私が説明をしているのに、彼はテレビでサッカーのワールドカップを見ていましたから」

「トランプ氏はプーチン氏が好きだった。なぜなら…」  ロシアによるクリミア併合から約3年。17年にトランプ政権が誕生すると、米国のロシアへの姿勢は大きく揺らいでいった。ボルトン氏の証言からは、そんな経緯が浮かび上がる。

 トランプ氏は、ウクライナがロシアの脅威にさらされていることを「認識していなかったし、気にもしていなかった」とボルトン氏は振り返る。ロシアへの制裁強化を進言するボルトン氏に対し、トランプ氏は同意を渋ったという。

 「彼はプーチン氏のことが好きだった。権威主義的な人物が好きで、個人的な関係を築きたがっていた」とボルトン氏はみる。

 トランプ氏がロシアに厳しい態度をとらなかった理由は、ほかにもあった。

 当時、トランプ氏が当選した16年大統領選にロシアが介入した疑惑が、米国内では大きな波紋を呼んでいたためだ。「ロシアによる介入疑惑をトランプ氏は決して認めませんでした。(トランプ氏が大統領選でロシアと)共謀していた疑いが強まることを恐れたのです」

 逆にトランプ氏の矛先は、北大西洋条約機構(NATO)に向かっていた。米国ばかりが国防費を負担するのは不公平だ、というのがトランプ氏の強いこだわりだった。トランプ氏は同盟国への不満を繰り返し公言し、かじ取り役を失ったNATOは「脳死状態」(マクロン仏大統領)と言われるまでに崩壊した。

 国内外での分断が進み、混乱が深まったことは、ロシアにとって思惑通りの展開ともいえる状況だった。

「ゼレンスキー政権との関係構築、不可能に」

 トランプ政権下では、ウクライナとの関係も大きく揺らいだ。

 ウクライナの民主化を後押ししてきた歴代政権から一転、トランプ氏はウクライナを「腐敗した国」だと考えていた。さらに決定的だったのが、大統領の座を争うバイデン氏をめぐる疑惑に執着したことだった。

 疑惑の概要はこうだ。バイデン氏の次男ハンター氏がウクライナのガス会社で高額の役員報酬を受け取っていた。同社はウクライナ検察による捜査を受けていたが、そこに副大統領だったバイデン氏が圧力をかけた――。トランプ氏はそう疑った。

 19年7月、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、トランプ氏がバイデン親子をめぐる疑惑の調査を依頼していたことが発覚した。野党の民主党は、2.5億ドルの軍事支援と引き換えにトランプ氏がウクライナに調査を迫ったとして、「職権乱用」だと猛批判。事件はトランプ氏に対する弾劾(だんがい)訴追という異例の事態へと発展した。

 ロシアを抑止するはずだったウクライナへの軍事支援は、完全に米国の権力争いに巻き込まれていった。「あの事件で、トランプ氏はゼレンスキー政権との関係構築を不可能にしてしまった」とボルトン氏は振り返った。

 21年にバイデン政権が誕生したときには、ロシアによるウクライナ侵攻は間近に迫っていた。同年春には、ロシア軍がウクライナ国境に集結を始めた。のちに侵攻計画を察知した米国は数々の警告を発したが、ロシアは全面侵攻へと突き進んでいった。

「戦略的ナルシシズム」という失敗

 米国は「プーチンの戦争」を止めることはできなかったのか。数カ月間をかけて、私は米ワシントンを拠点に十数人の元政府高官たちに取材を重ねてきた。

 結果論で批判をしても仕方がないが、何か教訓めいたものが得られたらというのが一連の取材の狙いだった。

 トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたハーバート・マクマスター氏は、米国の問題点を「戦略的ナルシシズム」に陥っていたことだと指摘する。

 戦略的ナルシシズムとは「直面する課題を自国との関係においてのみ定義するアメリカの独り善がりな傾向を指す」という。「希望的観測」とも言い換えられる。

 ブッシュ政権(子)は00年代、プーチン氏が権威主義化しているのに気づきつつも、ロシアを民主化するという希望を捨てきれずに対応が後手に回った。

 オバマ政権もしかりだった。すでにジョージア侵攻など危険なサインはあったが、ロシアとの協力路線に希望を見いだし、やはり失敗に終わった。

 個人的なつながりを築けばプーチン氏の戦略と行動を変えられると信じた点においては、トランプ政権も同じ流れをくんでいたとマクマスター氏は指摘する。

「プーチン氏は西側をどう見てる?」理解が必要

 米国が「楽観主義」に陥ってしまった背景には、相手の目線に立ってプーチン氏の論理や感情を理解する姿勢が足りていなかったことが挙げられる。

 プーチン分析の決定版とも言われる「プーチンの世界」を著したフィオナ・ヒル氏は同書で、「プーチンは西側の人間たちのことをどうとらえているのか? それを理解しようとして初めて、彼の行動の論理、彼自身が従う論理がみえてくる」と説く。

 プーチン氏の論理の柱は「ロシアが脅威にさらされている」という認識だ。とりわけ、民主主義や自由市場を奨励する米国の振る舞いは、プーチン氏にとっては「悪意のある陰謀」に映っていた。

 「彼の考え方は脳の奥深く根付いたものだ。(中略)プーチンの思考の現実をしかと受け止めなくてはならない」というヒル氏の警告は重い。

 米国はプーチン氏の思考回路を変えようと努力し、西側に悪意がないことを主張してきたが、それが通じることは最後までなかった。今回のウクライナ侵攻を受け、不合理とも思える戦争に突き進むほど、プーチン氏の歴史観や被害者意識は強固なものだったのだと改めて思い知ることになった。

多極化進む世界 米に突きつけられた課題

 米国が対テロ戦争や中国との競争に目を向けるなか、プーチン氏は大国の威信を取り戻す機会を虎視眈々(こしたんたん)とうかがっていたはずだ。

 ジョージア侵攻にもクリミア併合にも、米国が強く介入することはなかった。シリアでアサド政権が化学兵器を使った疑惑が浮上した際にも、米国は動かなかった。そして米軍はアフガニスタンからも撤退した――。

 「世界の警察官」から身を引いた米国の姿は、ロシアにとって好機に映ったとみられる。

 バイデン氏は昨年6月、プーチン氏との首脳会談で「安定して予見可能な関係」を呼びかけた。ロシアにはおとなしくしてもらい、対中政策に集中したい――。そんな本音も見透かされていただろう。

 結局、なにが問題だったのか? ある現役の政府高官は米国が「希望的観測(Wishful Thinking)」から抜け出せないことだと語った。

 米国の一極集中時代は終わり、世界は多極化へと向かっている。軍事的優位性も薄れ、思い通りにいかない場面は一層増えてくるだろう。異なる論理を持つ相手とどう向き合っていくか。それが今後の米国に突きつけられた課題なのかもしれない。(ワシントン=高野遼)

【年表】米国とロシアの20年 良好な関係が悪化し、対立するまでに何が(要・クリック)
       2022年8月21日 10時00分
    クリックした場合、読んだりコピーするなりした後、←から元へ戻すこと。

遠藤乾(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
2022年9月19日23時8分 投稿
【視点】 この特集を読み直すと、いろいろ気づかされる――とくにアメリカ側の論理について。しかし、まだわからないことが多い。とりわけプーチン側の思考・態度・政策(の変化)だ。
 記事にも「プーチン氏の歴史観や被害者意識は強固なものだったのだ」と繰り返し思い知らされるというアメリカ側の悔いが出てくる。これは、2022年2月24日以降、多くが思いいたったことだ。しかし、本当に一貫していたのだろうか。
 もしプーチン氏の思考・態度が一貫していたとすると、2001年に911が起きるとアメリカとコラボし、ブッシュJr.大統領の招きに応じてテキサスのコテージに行き、02年にNATOロシア理事会の設置に合意し、あるいは05年にはモスクワでの戦勝パレードにブッシュ氏を(小泉首相とともに)招待しているのも事実だ。これに独仏との協力・協商を付け加えてもよい。つまり、ポスト911(あるいはそれ以前から)のロシア=西側協調の時代をどう説明するのかという問題が出てくる。
 08年のブカレストNATO首脳会議前後で欧米がロシアを追い込んだとする議論は、なぜ07年にプーチン氏がすでにミュンヘンで爆発しているのか答える必要がある。同時に、プーチン氏が一貫しているとする議論は、なぜ21世紀初頭に彼が西側とのエンゲージメントを模索していたのか、答える必要がある。
 もう少し調べて考えてみたい。

朝日新聞デジタル連載(全4回)の内容
第1回
  「プーチン氏ぶち切れた」見過ごしたブッシュ政権 進言相次いだのに
  2022年8月21日10時00分
第2回
  米ロ関係「リセット」なぜ失敗? プーチン氏の自宅でゾッとした瞬間
  2022年8月22日10時00分
第3回
  プーチン氏への制裁は甘かった? オバマ政権の責任者、後悔する理由
  2022年8月23日10時00分
第4回(今読んでいる記事)
トランプ氏もロシア楽観主義に陥った 米国に必要なのはプーチン思考
2022年8月24日10時00分

 2022/10/14
英国から始まった金融危機    田中宇の国際ニュース解説

◆英国から始まった金融危機
 【2022年10月12日】英政府としては、英国の国家と経済を自滅させる利上げやQTを続けたくないだろうが、米国の最上層部からの厳命なのでやらないわけにいかない。この「米国の最上層部」はおそらく、ウクライナ戦争で欧米に過激な対露経済制裁をやらせ、欧米を自滅的な資源不足とインフレの経済破綻に陥れている「多極派が牛耳る米諜報界」と同じものだ。彼らの目的はドルと米覇権の破壊であり、米英の金融システムが完全に壊れるまで中銀群に利上げやQTを続けさせたい。中銀群が方向転換して利下げやQT再開を開始するとしたら、それは遅すぎる事態になってからだ。

中央銀行の介入によっていったんおさまっていた9月末からの英国の国債危機(長期金利の危険な上昇)が再発している。今回の英国債危機は、9月初めに就任したトラス首相の英国新政権が、石油ガス高騰への対策としての公金による補助金支出と、景気対策としての減税(政府歳入の減少)を同時にやる政策を発表し、国債発行が急増して国債が売れなくなるとの懸念から、9月下旬に英国債の長期金利が上昇し、危険水域である4%を越えたことて危機になった。英中銀は9月28日、国債を無限に買い支えると発表する債券市場介入を行い、いったん危機は去った。 (破綻が進む英米金融)

だが、英中銀の国債買い支えは、以前のQEの時とやり方が異なっていた。以前のQEは、英中銀が事前に決めた総額まで、金利(国債価格)を勘案せずにどんどん買っていくやり方で、中銀が介入するほど国債価格が上がる(金利が下がる)ので、金融界は大喜びで中銀に国債を売った。国債金利の引き下げ(政府の国債利払い額を減らすこと。国債価格のつり上げ)がQEの目的の一つだった。 (米連銀がQTをやれない理由)

対照的に今回の買い支えでは、英中銀が、市場の国債価格(金利水準)とほぼ同じ条件で「無限の買い取り」を宣言している。これまでの金融相場の悪化により、市場の国債価格はすでにかなり低く、銀行や機関投資家は今の国債価格で売ると損が出るので売りたがらない。先行きが不透明な(多分もっと下がる)ので買い手もおらず、市場が凍結したまま危機が深まっている。そんな中、英中銀が市場価格とほぼ価格で「無制限に買い取るよ」と声高に叫んでも、誰も売りにこない。英中銀が「無制限に債券を買い支える」と発表した直後は、「それはすごい。これで相場は安定する」と皆が考え、一時的に国債価格が反発し、金利が下がった。だが、買い支えの条件(価格、金利)が悪く、誰も売りたがらないとわかると、この策のインチキさが露呈して金融危機がぶり返し、金利が再上昇した。9月28日から10月10日の間に起きたのは、そういう話だった。10月10日、10年もの英国債の金利が再び上昇して危険水域の4%を越え、危機がぶり返した。 (Bank Of England To Global Markets: 'You Have 3 Days To Sell All The Things') (BoE's New Support Plan Fails As UK Gilt Yields Explode Higher)

10月11日、英中銀は国債買い取りの総額枠を倍増すると発表した。英国の長期金利は少し下がった。しかし、買い取りの条件は変えなかったので、依然として誰も売りにこなかった。英中銀の国債買い取り策は10月14日までの期限つきだ。英中銀のベイリー総裁は10月11日に「国債を売るならあと3日間しかないよ」と述べた。早く売ってください、という意味なのだろうが、条件が悪いので売れないままだ。ベイリーの表明はむしろ「英中銀が国債買い取りをやめた後の10月17日からの来週に、金利が再上昇して金融危機がぶり返す。その前に国債を売った方が良いよ」という示唆に見える。ベイリーは、英国の金融システムがとても不安定になっていることを認めた。来週、英国で債券危機がぶり返し、株安やポンド安が再演される可能性が高い。 (BoE's Bailey Sparks Market Chaos With Pension Fund Threat) (BOE Expands Bond Buying Program Amid Historic Bond Rout To End "Fire Sale" And Halt Market "Dysfunction")

債券危機は英国だけでなく、米国でも起きている。最近、米国での社債発行を予定していた優良企業3社が発行を延期した。債券危機が起きそうな中で新たな社債を発行すると、売れ残って金利高騰(債券危機)の引き金になりかねないので、債券発行が難しくなっている。すでに事態は金融危機に入っている。 (Credit Market Cracks Start To Appear As Three Companies Sideline Investment Grade Bond Sales) (もっとひどくなる金融危機)

10月7日には、英中銀の副総裁(Dave Ramsden)が「インフレ抑止が最重要の課題であり、インフレを止めるために今後も金利を引き上げ続けねばならない」と表明した。利上げを続けるほど、債券金利も上がり(債券価格が下がり)、債券危機がひどくなる。危機がひどくなるほど、金融機関が破綻し、政府の国債利払い額が増えて財政破綻に近づき、高金利が企業の経済活動を圧迫して不況が拡大し、失業が増える。住宅ローン金利の上昇が人々を苦しめる。しかも、以前から書いているように、欧米のインフレの主因は中銀群による過剰造幣やQEでなく、実体経済の流通網の詰まりと、ウクライナ戦争の対露制裁による資源類の高騰が主因であり、中銀群が利上げやQTを続けてもインフレは抑止できない。 (Interest rate rises only way to tame UK inflation, warns Bank of England deputy governor) (No Pivot? BOE Says Rate Hikes Will Continue – Inflation Must Be Stopped)

それなのに英米の中銀群は勘違いし続け、インフレ対策だと言って利上げとQTを続け、金融システムと実体経済を自滅させている。英米でも金融界や産業界は、利上げとQTが経済を自滅させる超愚策だと知っており、中銀群が近いうちに超愚策をやめて利下げやQE再開へと転換するのでないかと期待している。だが、市場が期待する転換はなかなか起こらない。米国の最上層部が、米英の中銀群に対し、インフレ対策としての利上げとQTを厳命し、中銀内や金融界、産業界、政界などから反対論がいくら出ても方針を曲げず、米英中銀に利上げとQTを続行させている。 (Top US bank issues grim prediction – CNN)

英政府としては、英国の国家と経済を自滅させる利上げやQTを続けたくないだろうが、米国の最上層部からの厳命なのでやらないわけにいかない。この「米国の最上層部」はおそらく、ウクライナ戦争で欧米に過激な対露経済制裁をやらせ、欧米を自滅的な資源不足とインフレの経済破綻に陥れている「多極派が牛耳る米諜報界」と同じものだ。一昨年から左翼の労組などを動かしてストライキなどで米欧の流通網を詰まらせ、インフレを悪化させてきたのも米諜報界だ。彼らの目的はドルと米覇権の破壊であり、米英の金融システムが完全に壊れるまで中銀群に利上げやQTを続けさせたい。中銀群が方向転換して利下げやQT再開を開始するとしたら、それは遅すぎる事態になってからだ。 (米英覇権を潰す闘いに入ったロシア) (世界を多極化したがる米国)

欧州と日本の中銀群は、利上げやQTが金融と経済の自滅につながると知っているのでやらず、ゼロ金利やQE継続に固執している。欧州中銀は少し利上げをやらされ、対露制裁で自滅させられてもいるが、日本はいまだにゼロ金利で、対露制裁もなんちゃってのやるふりだけだ。日本は米覇権の中枢から遠く、多極化した際に中国の属国になって中国の発展を助けそうなので、米諜報界の多極派からお目こぼしされている。欧州もそれに近い。米英は、まだまだ利上げとQTを続けさせられる。このままいくと10月から11月にかけて金融危機が悪化していき、ドル崩壊の兆候が増す。 (来年までにドル崩壊) (意外と正しい日銀の円安放置)

10月11日には、米連銀のバーナンキ元総裁らにノーベル経済学賞が与えられることも決まった。バーナンキは、いま米覇権とドルを自滅させつつある元凶のQEを、連銀総裁だったリーマン危機後に急拡大した「悪の張本人」だ(バーナンキ自身の発案でなく、米上層部の隠れ多極派がバーナンキにやらせたのだろうが)。バーナンキが急拡大したQEの尻拭いに失敗して米国が自滅しつつある時に、バーナンキにノーベル経済学賞の栄誉が与えられる。金融界で現状の本質を知る人々はあきれている。だが、マスコミは本質を何も報じない。この大馬鹿な展開はおそらく、ノーベル賞や経済学やマスコミの権威を失墜させるために意図的に行われている。コロナ対策や地球温暖化対策の超愚策が、医学や科学の専門家の権威を失墜させるために行われてきたのと同じ流れだ。金融やドルだけでなく、各種の権威の面でも、米覇権を自滅させる大がかりな策略が展開している。 (Ben Bernanke And Two Others Win Nobel Prize In Economics For Crisis Research)