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続折々の記 2023 ①
【心に浮かぶよしなしごと】
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【 04 】01/14~     【 05 】01/15~     【 06 】01/18~
【 07 】01/22~     【 08 】01/29~     【 09 】01/31~
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【 05 】01/15
  大脳活躍時代  懐かしい年齢
  ウクライナ全土攻撃  
  機密文書報道次々  バイデン
  バイデンと岸田総理の安保政策転換   
    田中宇の大事な解説  日本の対中国課題
 2023/01/15
大脳活躍時代    懐かしい年齢

人によって違うと思うけれど、諸事万端大脳記憶活躍時代がありそうです。 満50才までの記憶活動、記憶活動ばかりではなく思考活動と言ったらいいのか、人の人生観なり一応のまとまりはつけているように思う。 ことに明治維新にかかわった人々など40才未満の方々が主だったと思います。 若さが持つ実行力は頭脳活動ばかりでなく意気込みが違うのです。

 2023/01/16
ウクライナ全土攻撃 集合住宅、20人超死亡      

 ロシア軍は14日、首都キーウ(キエフ)を始めウクライナ全土にミサイル攻撃や空爆を加えた。中部ドニプロペトロウスク州では州都ドニプロにある9階建て集合住宅にミサイルが着弾。15歳の少女を含む少なくとも25人が死亡、約70人が負傷、40人以上が行方不明になった。

 キーウと北東部ハルキウ地域では、エネルギーのインフラ施設が攻撃を受け、電力供給などに大きな影響が出ている模様だ。

 ウクライナの主要都市を狙ったロシアの大規模なミサイル攻撃は、昨年12月31日から元日にかけてキーウや中西部ジトーミル州などにあって以来。英BBCは「この攻撃はここ数カ月で最悪規模の被害となる可能性が高い」と伝えた。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は14日夜のビデオ演説で、ロシア軍はこの日、ウクライナに30発以上のミサイルを発射したが、うち20発以上を撃ち落としたとした。ただ「残念ながらエネルギーインフラ施設も攻撃された。キーウとハルキウ地域は最も厳しい状況だ」と述べた。

 ロシアのミサイル攻撃に先立ち、英政府は14日、英国の主力戦車「チャレンジャー2」14台をウクライナに提供すると発表。大型の自走砲「AS90」約30台も送る予定で、実戦で使いこなせるようにするため、ウクライナ軍兵士を対象とした訓練の提供も近く始めるという。

 ロシア側は批判を強めている。

 在英ロシア大使館は同日、「戦車を紛争地帯に持ち込むことは、敵対行為を終わらせるどころか、戦闘作戦を強化するだけで、民間人を含め、より多くの死傷者を生み出す」などとするコメントを出した。(玉川透=ブリュッセル 金成隆一=ロンドン 丹内敦子)

 2023/01/16
機密文書、広がる波紋
報道次々、バイデン政権後手

公表まで2カ月超

写真・図版 【図版】バイデン大統領の機密文書問題をめぐる経緯

   バイデン米大統領の自宅や事務所から副大統領時代の機密文書が見つかった問題は、どこまで波紋を広げるのか。連日のように新たな機密文書の存在が発覚し、政権の釈明は後手に回る。ただちに刑事責任が問われる状況にはないが、野党・共和党からの追及は強まるばかりだ。(ワシントン=合田禄 高野遼)

 ホワイトハウスは14日、デラウェア州にあるバイデン氏の自宅で、新たに5ページの機密文書が見つかったと発表した。

 2日前にも、自宅で機密文書が見つかったと発表したばかり。バイデン氏の個人事務所からも機密文書が出てきており、機密文書の「発見」を公表するのは1週間で3度目となった。

 米CNNによると、見つかった機密文書には、オバマ政権下で副大統領として海外首脳との電話のために準備されたメモなどが含まれる。本来は、2017年の退任時に政府に返却する必要があった。

 問題が明るみに出たのは、報道がきっかけだった。米CBSが9日、ワシントンにあるシンクタンク「ペン・バイデン・センター」のバイデン氏が使用していた事務所で10点あまりの機密文書が見つかったと報道。ホワイトハウスも同日夜に事実を認めた。

 だが、直後にまた報道が出る。米NBCは11日、「二つ目の機密文書発見」と伝えた。自宅からも文書が見つかっていたと、ホワイトハウスは再び追認した。

 ホワイトハウスの説明によると、最初に機密文書が見つかったのは中間選挙前の昨年11月2日にさかのぼる。司法省には直後に報告したものの、公表には2カ月以上かかった。政権は何かごまかそうとしているのではないか。そんな疑惑が広がり、ホワイトハウスは釈明に追われている。13日の日米首脳会談冒頭でも、米メディアから多数の質問が浴びせられたが、バイデン氏は回答しなかった。

 ■「意図的保持」見えず

 ガーランド司法長官は12日、この問題を調べるために独立した特別検察官を任命した。以前から機密文書の取り扱いをめぐって捜査を受けているトランプ前大統領を含め、新旧大統領の2人が捜査対象となる異例の状況だ。

 しかし、二つの事件には異なる点も多い。

 まずは、見つかった機密文書の規模だ。トランプ氏は2021年1月の退任時、300点以上の機密文書を自宅に持ち帰った疑いがある。一方、バイデン氏の周辺から見つかった機密文書は今のところ、約20点だと報じられている。

 刑事責任を問うには、大統領本人の「意図」も重要だ。機密文書を意図的に保持していれば違法となる。

 トランプ氏の場合、政府から再三の要求にも応じず、1年以上も文書返却を拒んできた。文書は「自分のもの」と主張し、機密文書を意図的に保持していた疑いが強い。対するバイデン氏は、機密文書の発見を受けて「驚いた」と述べ、文書の内容も知らないと説明した。発覚後は速やかに文書を返却し、捜査にも協力的だ。意図的に機密文書を保持していた証拠は今のところ判明していない。

 ■勢いづく共和

 共和党は、バイデン政権への格好の攻撃材料を得て次々と「反撃」に出ている。バイデン氏は、トランプ氏の機密文書の取り扱いについて「無責任だ」と非難していただけに、今度はその批判が自らに向けられた格好だ。

 下院司法委員会は13日、この問題への調査に乗り出した。委員長は、親トランプ派として知られるジム・ジョーダン下院議員(共和)だ。「自宅を家宅捜索されるのはトランプ大統領だけ。彼は何も悪いことをしていないのに」とジョーダン氏は不満を漏らす。

 また下院の監視・説明責任委員会は、バイデン氏側に関連資料の提出などを要求。1月下旬の期限までに応じなければ、強制力のある召喚状を出すことも視野に入れる。

 共和党は11月の中間選挙を受け、今月から下院の過半数を握ったばかり。絶妙のタイミングでバイデン氏のスキャンダルが発覚して勢いづく状況だ。

 党内では強硬派を中心に、トランプ氏が弾劾(だんがい)訴追されたことへの報復として、バイデン氏の罷免(ひめん)を求める弾劾訴追を目指す意見も根強い。再選挙にもつれこんだ下院議長選を経て、党内ではキャスティングボートを握った強硬派が発言力を強めており、バイデン氏への追及は今後も激しさを増しそうだ。

 2023/01/15
日本の総理とバイデン
岸田総理の 安保政策転換「同盟を現代化」

これでも国民は平気か

 岸田文雄首相は米ワシントンで13日午前(日本時間14日未明)、バイデン大統領と会談した。首相は敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費の大幅増を決めたことを説明。バイデン氏は全面的な支持を表明した。共同声明では日本の取り組みについて「インド太平洋及び国際社会全体の安全保障を強化し、21世紀に向けて日米関係を現代化する」と評価した。▼2面=蜜月演出、7面=宇宙開発で協定、8面=社説

 首相がワシントンを訪問するのは2021年10月の就任以降初めて。会談はホワイトハウスで行われ、通訳のみを同席させた会合も含め、計2時間行われた。

 首相は22年5月、東京でバイデン氏と会談した際、「防衛力の抜本的な強化」と「防衛費の相当な増額」を約束した。昨年12月には国家安全保障戦略など安保関連3文書を改定。相手の領域内にあるミサイル発射拠点などを直接攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有や米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入を決めた。防衛費も23年度以降の5年間で、これまでの1・5倍の約43兆円と大幅に増額。戦後日本の安全保障政策を大転換させた。

 バイデン氏は会談の冒頭、「日本による防衛費の歴史的な増額や新たな国家安保戦略に基づき、我々は軍事同盟を現代化している」と評価。首相も「地域の平和や繁栄に貢献し自らの国の安全を守るため、新しい戦略を策定した。日米同盟の抑止力、対処力を強めることにつながる」と述べた。

 共同声明では、中国、北朝鮮、ロシアの行動について批判し、「我々は、あらゆる力または威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する」とした。

 日米同盟については、バイデン氏が「核を含むあらゆる能力を用いた、日米安保条約5条の下での、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメント(関与)」を改めて表明。5条が沖縄県・尖閣諸島に適用されることも確認した。「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性」も明記した。

 日本側の説明によると、5月に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)についても協議した。首相は「唯一の戦争被爆国である日本の総理大臣として、バイデン大統領を含むG7首脳と共に、核兵器の惨禍を人類が二度と起こさないとの誓いを広島から世界に向けて発信したい」と発言。両首脳は「核兵器のない世界」に向けて、日米で共に取り組んでいくことで一致した。ただ、バイデン氏がG7広島サミットで来日する際、長崎を訪問するかについて特段のやりとりはなかったという。

 経済分野では、巨額の貸し付けや天然資源をてこに他国に圧力をかける中国やロシアの「経済的威圧」を念頭に、「経済安全保障上の課題に対処」することで合意した。次世代半導体技術などの流出リスクについても議論。こうした「機微技術」の輸出管理の重要性で一致した。米国は、中国が米国の半導体技術を軍事兵器に転用しているとして、半導体の対中輸出管理を厳格化しており、日本にも協力を求めたとみられる。(ワシントン=田嶋慶彦 榊原謙)

 ■日米共同声明(骨子)

 ◆安全保障
 大統領は日本の防衛力の抜本的強化を称賛。両首脳は日本の反撃能力、その他の能力の開発、効果的な運用について協力を強化するよう閣僚に指示した。

 ◆経済
 半導体など重要・新興技術の保護を含む経済安全保障、新たな宇宙枠組み協定を含む宇宙、エネルギー安全保障に関し、日米の優位性を一層確保していく。

 ◆多国間連携
 日米豪印が国際保健、サイバーセキュリティー、気候、重要・新興技術、海洋状況把握で成果を出し、地域に具体的な利益をもたらすことを確かにする。安全保障などで日本、韓国、米国の3国間協力を強化する。

※ 2面・7面・8面とも開いて読んでほしい。

▼2面=蜜月演出
(時時刻刻)日米、演出された蜜月 共同会見なし、首相は「厚遇」強調
   <https://digital.asahi.com/articles/DA3S15527782.html?ref=pcviewer>
▼7面=宇宙開発で協定
日米、アルテミス計画推進 宇宙開発の枠組み協定署名「新たな時代突入」
   <https://digital.asahi.com/articles/DA3S15527806.html?ref=pcviewer>
▼8面=社説
(社説)日米首脳会談 国民への説明 後回しか
   <https://digital.asahi.com/articles/DA3S15527864.html?ref=pcviewer>


下平評
2023年になってから、田中宇の世界ニュースの解説は四回出ています。 日本がどう進んだらいいのか考えていると、日米関係の在り方について国会議員のみんながあまりにもアメリカの言いなりになっていて、日本の国家の将来について戦争という際限ない暴力の歴史が続くのを停止し、世界平和の願いが少しも感じられないことに対して、個人的には度を過ぎるほど悲憤の感情が高まっているのです。

日米関係についての将来の見通しを明治の改革当時の人たちのように、若さに満ちた議論をさかんんにおこし国家の進みたい方向を考えて希望をもって実践していってほしいのです。

私がそう考えるのは、田中宇のニュース解説や常日頃の世界の政治情報を見ていて、国家という集団を勝手につつきまわして、隣同士の親睦や絆を高める和やかな世界にしよういう意見や行動があまりにも見られないからなのです。

そうした意味で田中宇の解説が出ている <https://tanakanews.com/> を開いて読んでほしいのです。
きょうは、一番新しい【2023年1月15日】の解説を開きます。 必要だったらそのすべてを読むこともできるのです。

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中国の興隆でどうする日本  後に続いて解説がある
 【2023年1月15日】日本の権力を握る自民党は、米中両属の隠然体制を作った安倍晋三が米諜報界に殺された後も、米中両属の姿勢を保ち、米国や反中世論の圧力を受けてやむを得ず中国敵視するという領域を越えて主体的に中国と敵対するつもりはない。だが、今後もこの状態を続けられるか不明だ。中国敵視を強めた政治家の人気が増すプロパガンダ体制が構築されて久しい。加えて米国からの圧力が強まると、日本の権力中枢を本気の中国敵視勢力が席巻し、安倍晋三が作った両属体制が壊れ、日本は欧州みたいな自滅の道に入り込む。そのために米諜報界が安倍晋三を殺したと考えられる。

◆コロナ対策やめて世界経済の中心になる中国
 【2023年1月9日】中国は今年からゼロコロナ策を放棄して経済成長を再開し、消費市場もしだいに活況になるが、対照的に欧州など米国側の多くの地域はひどい不況とインフレ再燃・金利上昇による経済難が続く。中国は、世界で最も経済が再活性化していく地域になる。中国は世界の実体経済の中心になっていく。米国側の企業は、旺盛な消費を再開する中国に製品を売りたいと希望する。中国側は歓迎だ。しかし、一つだけ条件がある。それは「中国を敵視する国からは買いません」ということだ。

対米離反と対露接近を加速するイスラエル
 【2023年1月8日】ネタニヤフは1月4日、今後は国際社会からの圧力に従うことよりもイスラエルの国益を優先する外交政策をとる、と表明した。その意味するところは「パレスチナ問題で欧米から批判されても無視して、イスラエルの国益のためにパレスチナに対する弾圧を続ける」という話のほかに「欧米からロシアを敵視しろと加圧されても拒否し、イスラエルはロシアと仲良くする。ロシアは、イスラエルの安全にとって重要なシリアの制空権を握っているから」という話でもある。

◆多極化の決定打になる中国とサウジの結託
 【2023年1月6日】中露サウジが見ているのは短期やスポットの市場でない。世界の石油ガス貿易の多くは10-30年の長期契約だ。今後5-15年ぐらいで契約更新期に入る。欧米諸国が、以前と同じように契約更新できると思っていると、OPEC側から「石油ガスは人権侵害など歪曲的なレッテルを貼らない中国側に売ってしまいました。売り切れです」と言われる。米国側は石油ガスを買いにくくなっていく。25年後には、ドルの基軸性が大幅に低下している。ドル建てで売ってくれる産油国は減っていく。

中国の興隆でどうする日本  解説
2023年1月15日   田中 宇
この記事は「コロナ対策やめて世界経済の中心になる中国」(田中宇プラス)の続きです

中国で、人々の64%にあたる9億人がすでに新型コロナに感染したことがあると推計する調査を北京大学の研究者が発表した。インターネット上での検索数などからの推計で、甘粛省や雲南省など内陸部の感染率がとくに高く、80%を超えている。昨年末に中国政府がゼロコロナ策をやめてから感染が急増し、すでに感染拡大は山を越えているが、1月下旬からの旧正月の帰省ラッシュでさらに感染が拡大すると予想されている。 (Chinese Study Estimates 900M COVID Infections) (Faced with a new wave of Covid, China is opening its borders – was Beijing left with no other choice?)

日本のマスコミでも報道されたこの話をみて私が感じたのは「中共は、中国がコロナの集団免疫に達したことにしたいのでないか」ということだった。集団免疫に達すると感染が拡大しにくくなる道理があり、経済を自滅させるゼロコロナの超愚策を二度とやらなくて良いという話にできる。中共のゼロコロナ策は、習近平の独裁強化に反対する党内勢力を抑止するために行われ、昨秋の党大会で習近平の独裁が確立したのでゼロコロナも用済みになった。コロナ愚策を完全にやめ、14億人に旺盛な消費を再開させて、世界最大規模である中国の経済成長を全開に戻すため、中共は集団免疫を利用したいのでないか。 (都市閉鎖 vs 集団免疫) (永遠の都市閉鎖 vs 集団免疫)

習近平は昨秋に独裁を確立した後、12月のサウジ訪問でアラブ産油諸国と人民元で石油ガスを買い占める話を進めたり、プーチンと話して中露の結束を強めるなど、大急ぎで非米型の国際経済体制を構築し始めている。中国は、アラブイラン印度・一帯一路やBRICSなど非米側を連ね、ドルの代わりに人民元などBRICSの諸通貨を決済に使う、既存の米国中心の経済体制(米経済覇権)から全く独立した国際経済システムを作ろうとしている。世界経済は、米国側と非米側の二重グローバル化の状態になる。 (China Using ‘Petroyuan’ in Oil Imports May Lead to New World Energy Order) (China Signals Surge In Oil Demand With 20% Increase In Refiner Oil Import Quotas)

習近平は急いでいる。米国側がQTと連続利上げで金融大崩壊しそうだからだ。大崩壊の前に非米側の新世界秩序を構築しておけば、米国側が大崩壊しても世界全体が潰れることなく無秩序なしに推移できる。非米側の世界システムをある程度構築してから米国側が金融崩壊すると、米国側から非米側に移る国が急増し、非米システムを強化できる。非米側の準備が間に合わないと、ドル崩壊とともに決済通貨体制が無秩序化し、世界経済の混乱が長期化しかねない。習近平はサウジ訪問時、アラブ諸国に対し、3-5年間で石油ガスの人民元決済システムを確立すると提案した。非米システムの確立に3年以上かかることになる(サウジは通貨がまだドルに為替固定=ペッグしており、それを外すのにも時間がかかる)。 (Escobar: Why BRI Is Back With A Bang In 2023) (中国が非米諸国を代表して人民元でアラブの石油を買い占める)

中国が経済成長を再び全開にすると、石油は1バレル140ドルに高騰すると予測されており、米欧のインフレは今年も続くからQTをやめられない。米連銀の以前の経緯を見ると、QTの開始から18か月で金融崩壊(金利高騰)した。連銀は今回、昨年9月にQTを本格化した。18か月後は2024年3月だ。米金融が3年間(2025年12月まで)もつのか心もとない。だから習近平は急いでおり、集団免疫を口実に、経済を阻害するコロナの愚策を完全終結したいのだろう(中国が早く経済成長を再開するほど石油ガスが早く高騰し、米欧のインフレが悪化してドル崩壊が早まるという悪循環もあるが)。 (Oil Prices Could Exceed $140 If China's Economy Fully Reopens) (多極化の決定打になる中国とサウジの結託)

また、ウクライナ戦争が先行き不透明なことも、習近平が急いでいる理由だろう。中露は、ウクライナ戦争による対露制裁で米国側がロシアの石油ガス購入を全面停止し、その関連でアラブなど非米側の資源埋蔵諸国がこぞって非米・中露側についてくれている間に、それらを束ねてドル不使用の非米システムを新設・確立したい。米国はロシアが負けるまでウクライナ戦争を続けると言っており、ロシアは負けないので戦争がずっと続く見通しだが、欧州はすでに自滅的な対露制裁に疲弊し、対露和解したいと思っている。欧米間に温度差がある。欧州は、安保を米国に依存しているので対米従属でロシア敵視を続けているが、今後しだいにロシア敵視の継続がおぼつかなくなる。万が一、欧州が米国から離れて対露和解すると、鋭く分裂していた世界経済の二重構造が崩れ出し、中露が目指す非米側のグローバル体制作りが崩壊しかねない。習近平は、ウクライナ戦争が終わる前に、非米側の経済システムをある程度構築する必要がある。 (Why We Shouldn't Underestimate China's Petro-Yuan Ambitions) (米諜報界が中国のために作る世界政府)

集団免疫の達成が示唆され、中共がゼロコロナを再び発動する可能性が急低下した。少し前まで、中共が政治状況に応じてゼロコロナをやめたり再開したりを繰り返すシナリオも考えられたが、今の感じだとその可能性は減っている。中共が経済成長を全開に戻す方向性が強くなった。米欧がコロナとウクライナ戦争とインフレQTで経済が自滅したままなのと対照的に、中国だけ高度成長を再開する。世界中の企業が、全開に戻る世界最大の中国市場で儲けたいと思う状態になりそうだ。しかし、中国を敵視している国の企業は報復として中国から締め出され続ける。 ("To Maintain Control, Government Must Instill Fear While Delivering Economic Growth") (習近平独裁強化の背景)

習近平がゼロコロナを捨てて中国経済を高成長に戻す流れにタイミングを合わせるかのように、米政府は中国敵視を強め、同盟諸国に対する中国敵視の強要を加速している。米国側で、経済を中国に強く依存している国として日本があるが、米政府は今回のタイミングで岸田首相を訪米させた。バイデン政権はこれみよがしに「中国を敵視する日本への軍事協力を強める」という趣旨の表明を繰り返している。日本政府は(表向き)米国との防衛強化に大喜びし、それを見た中共は日本人へのビザ発給を止める制裁措置を(コロナ対策の名目で)行った。 (US, Japan Announce Steps to Strengthen Military Cooperation Against China)

米国市場に未来はない。米国は不況で、消費の減退だけでなく、米企業を守るための保護主義も強い。企業にとって、未来がある市場は米国でなく中国だ。経済的に見ると、米国が日本の安全を保障してくれるのはけっこうだが、日本人が中国で経済活動するのを米国は邪魔しないでほしい、という話になる。米国は、まさにそれを逆手にとって岸田を訪米させ、日米で中国をやっつけようぜとジャイアン的にぶち上げた。逆らえないのび太。いや、日本はスネ夫か?。とにかく、これは完全に嫌がらせなのだが、日本のマスコミ権威筋は米傀儡で浅薄な中国敵視プロパガンダ屋なので、正確な指摘を全くやらない。 (中国が好む多極・多重型覇権) (中国と戦争しますか?)

「中国と対立し続けると日本経済が自滅する」と指摘する経済人や親中派の政治家は売国奴扱いされる。中国と対立して経済が悪化して日本人の生活苦が増しても我慢して中国を敵視し続けるべきだと言うなら、そのように堂々と言えば良いのだが、マスコミも専門家も右翼も左翼もそういう現実的なことは言わず、中国はけしからんみたいな話しかしない。そして多くの人がその話を軽信している。間抜け。 (地政学の逆転と日本) (中露敵視を強要し同盟国を困らせる米国)

日本の権力を握る自民党は、米中両属の隠然体制を作った安倍晋三が(米諜報界に)殺された後も、米中両属の姿勢を保ち、米国やマスコミ軽信の反中世論からの圧力を受けてやむを得ず中国敵視するという領域を越えて自発的・主体的に中国と敵対するつもりはないようだ。だが、今後もずっとこの状態を続けられるかどうかわからない。中国敵視を強めた政治家の人気が増すというプロパガンダ体制が構築されて久しい。そこに加えて、米国からの加圧がさらに強まると、自民党の中でも本気で中国を敵視する勢力が増え、安倍晋三が作った両属体制が壊れるかもしれない。そうなると日本は欧州みたいな自滅の道に入り込む。そのために米諜報界が安倍晋三を殺したと考えられる。 (安倍元首相殺害の深層) (複合大戦で露中非米側が米国側に勝つ)

※ 各節の末尾にある( )書は、それぞれのニュース源です。 田中宇の<https://tanakanews.com/>を開いたとき、このニュース源はすべて開くことができます。 国外からのニュースも、今はほとんど日本語に翻訳されたています。 安倍元首相殺害の深層のニュースは真相があるのか?と思ってみたりです。 一例として参考にここへ掲示します。

安倍元首相殺害の深層 その2
2022年8月8日   田中 宇
この記事は「安倍元首相殺害の深層」の続きです。

7月8日に安倍晋三元首相が殺されてから1か月が過ぎた。この間に異常なことが2つ起きている。異常さの一つは、日本のマスコミが、安倍や自民党を敵視する傾向の報道を続けていることだ。実行犯の山上が安倍を殺した動機が、安倍など自民党と親しかった統一教会に対する私怨だったことから始まり「山上が、母の資産を奪った統一教会を憎むのは当然だ」「統一教会は極悪な組織だ」「統一教会と親しかった安倍など自民党も極悪だ」「極悪な安倍の葬儀を国葬にするのは良くない」といった理屈の連鎖で「殺した山上よりも、殺された安倍や自民党が悪い」という方向の主張をマスコミは続けている。マスコミは、安倍を殺した側の味方をしている。後述するように、実行犯山上を動かしていた黒幕がいそうなので、日本のマスコミはこの黒幕の傀儡・一味である。

統一教会と安倍ら自民党のつながりは大昔からのもので、日本のマスコミはこの20年以上、統一教会をほとんど批判せず、言及すらしなかった。ところが安倍が殺されるや、マスコミは統一教会と親しかったことを理由に、安倍や自民党を急に猛然と批判し始めた。マスコミのこの展開は、明らかに他意がある。私から見ると日本のマスコミは、これから書くもう一つの異常さである安倍殺害時の状況の不可解さから目をそらすための目くらましとして、統一教会と安倍の関係を喧伝している。

安倍殺害事件に関するもう一つの異常さは、安倍が撃たれた状況について、不可解な矛盾や不確定な曖昧さが解消されず、追加説明がないまま放置されていることだ。どのような銃弾が、どこから撃たれ、どの方向から安倍の体内に入り、どう致命傷になり、銃弾はどうなったか。たとえば警察庁は、撃ち込まれた銃弾が安倍の体内を貫通せず、銃撃時に体外に出ていないことを確認している。銃弾は安倍の体内にあり、延命措置や検死の際に取り出されたはずだが、取り出されたはずの銃弾は残っておらず、紛失した形になっている。日本の当局は、事件に関する最重要の証拠品である銃弾を紛失してしまった。これは過失というより、当局内の誰かかが故意に隠匿した可能性が高いと私には思える。 (【ぼくらの国会・第371回】ニュースの尻尾「消えた銃弾 安倍元総理暗殺」)

安倍に向かって何発の銃弾が撃たれたのか。マスコミは当初3発と報じていたのがその後2発に訂正されたが、実際は3発撃たれたのでないかと根強く言われている。確定でないが、安倍を撃った実行犯は山上の他にもいた可能性がある。山上が至近距離から2発撃ち、それと同時に近くの建物の上階など離れた場所から別の狙撃犯が1発撃ったとか。安倍がどのように撃たれたかについて、当局が明確な追加説明をしないため、こういうネットに出回る説を無根拠な妄想として退けられない。

安倍の体内から取り出された銃弾は、そのとき病院にいた警察によって隠匿されている。それは、警察の組織的な行為ではない。警察の組織としては「銃弾は貫通しておらず、安倍の体内から取り出されたはずだが(行方がわからない。事実確認中)」という、不可解さを認める姿勢になっている。警察の中に、他の組織とつながった筋・勢力があり、その勢力が警察の指揮系統を無視して動き、安倍の体内にあった銃弾を医師が取り出した際に受け取って隠匿したと考えられる。銃弾の隠匿が必要だということは、その銃弾が実行犯山上の手製の銃から発射されたものでなく、別の狙撃犯が撃ったものであると感じられる。山上を動かしていた黒幕がおらず、山上だけが安倍を撃った完全単独犯行だったのなら、警察の誰かが他の組織からの依頼で安倍の体内から取り出された銃弾を隠す必要などない。

この「他の組織」が、安倍殺害の黒幕であり、その黒幕が安倍の行動予定を把握した上で、山上ともう一人の狙撃犯を用意し、山上の発砲と同時に他の場所からも本格的な銃で安倍を撃って確実に安倍が死ぬように仕組み、その黒幕から頼まれた警察幹部が事件後の病院で安倍の体内から取り出された銃弾を医師から受け取って隠匿し、証拠隠滅を行ったと考えられる。警察の上層部は、誰が銃弾を隠匿したかわかっているはずだが、隠匿者を動かした他の勢力に配慮して真相究明せず、事態を不可解なまま放置している。警察に真相究明を遠慮させるほど大きな力を持った「他の組織」が、安倍殺害の黒幕としていたことはほぼ確実だ。

この「他の組織」とは誰なのか。自民党内の分裂など、日本国内に権力闘争があるのなら、その権力闘争で安倍の敵だった組織が安倍を殺した可能性があるが、最近の日本の上層部には権力闘争がほとんどない。安倍は自民党の最高権力者として党内をうまくまとめていた。中露とパイプを持って独自の隠然非米化・米中両属路線を進めていた安倍は、首相時代から、対米従属一本槍で米諜報界のスパイとして機能していた外務省を外して冷や飯を食わせていた。外務省は安倍を恨んでいたかもしれないが、外交官たちは高給取りの気取った役人たちであり、組織的に外されたからといって安倍を殺そうとは思わない。日本国内には、安倍を殺す動機と技能がある組織がない。 (従属先を軍産からトランプに替えた日本)

となると、日本国外の外国勢力だ。中国やロシアや北朝鮮は、日本の当局を動かせない。 安倍を殺した黒幕は、日本の敵の側でなく、味方の側、それも警察など日本の当局を内側から操れるほどの力を持った外国勢力だ。そんな外国勢力は一つしかない。米国だ。米諜報界は国防総省や国務省などを傘下に持ち、日本の官僚機構に横入りして日本国内の指揮系統に従わない筋を作って動かすことができる。日本の外交官たちは、自分たちの独力で安倍を殺そうとは思わないが、米諜報界が安倍を殺すなら、その後の日本で権力を取り戻せるかもしれないので喜んで機密情報の提供などの協力をする。米国の中国敵視に追随せず対中和解した安倍の日本
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米国の中国敵視に追随せず対中和解した安倍の日本
2018年10月29日   田中 宇
トランプ政権の米国は、10月4日にペンス副大統領が、米ソ冷戦開始時の「鉄のカーテン演説」を彷彿とさせる、中国をあらゆる分野で猛烈に非難する演説を発して以来、中国との「新たな冷戦」を開始している。軍事面だと米国は、南シナ海で米軍と中国軍の一触即発の接近を引き起こし、台湾に軍事物資(主に航空機部品)を追加で売ることを推めている。経済面では、中国から米国への輸出品の大半に10-25%の懲罰関税をかけ、米中の貿易関係を断絶している。米国は、自国だけでなく、同盟諸国が中国と貿易を推進することも禁じ始めている。米国は、カナダ、メキシコとの貿易協定(NAFTA)を改定し、新協定(USMCA)に、カナダやメキシコが中国と貿易協定を結ぶことを米国が阻止できる(結んだら米国はUSMCAを離脱する)条項を入れた。 (The Crisis in U.S.-China Relations) (Top Communist Party Official Threatens Military Intervention Over Pence's Support For Taiwan) (China ‘threatened with isolation’ by veto written into US-Mexico-Canada trade deal)

米国は、日本、EU、英国とも2者間の貿易協定の交渉を開始す方針を発表したが、それらの交渉でも米国は、日欧英が中国と貿易協定を結べないようにする条項を入れろと要求するはずだ。米国は事実上、同盟諸国に対し「米国との同盟関係を維持したければ、中国との貿易を減らしていけ。いやなら米国の同盟国であることをやめろ」と要求し始めている。また米政府は、米国のの諸大学に対し、研究分野で中国と連携するのをやめろ、中国人の研究者や留学生を受け入れるのをやめろ、とも言い出している。「世界最先端の研究をしている米国の大学に中国を入り込ませるな」という新冷戦戦略だが、実のところ、中国から米国の大学にきている研究者たちは一般に優秀で、優秀な人材を失う米国側の痛手の方が大きいと指摘されている。 (US considered ban on student visas for Chinese nationals) (Killing Chimerica)

このようにトランプが始めた対中新冷戦は、同盟諸国を巻き込んで多分野にわたる広範なものになっている。トランプは朝令暮改なので、始まったばかりのトランプの対中新冷戦の画期性がまだ世の中に認識されていないが、今後、来年1月に対中懲罰関税が実施された後、しだいにとんでもない事態が始まっていることがわかってくるだろう。米国は以前から、中露やイスラム世界に対して過激な敵視策をやると米政界主流派の誰も反対できなくなる特徴があり、トランプはそのメカニズムを使って誰も反対できない対中新冷戦を開始した。潜在的にトランプの敵であるエスタブ系のペンス副大統領に対中新冷戦の開始宣言をさせたのは象徴的だ。ここにきて大接戦が予測され始めた11月6日の中間選挙で民主党が議会の両院ともで多数派になったとしても、中国敵視は揺らがないだろう。 (NBC Admits "Blue Wave Turning Purple" As Republicans Outnumber Dems In Early Voting)

対中新冷戦は、少なくともトランプが大統領である限りずっと続く。11月4日から始まるイラン制裁強化や、以前からのロシア敵視(トランプは反対する傾向だが軍産エスタブが勝手に続けている)と合わせ、中露イランvs米国の冷戦構造になっている。しかもトランプは、米国の同盟諸国であり続けたい国々に対し「同盟国なら中国やイランと貿易するな」「中国やイランと仲良くするなら同盟国やめろ」と圧力をかけて「同盟諸国を振り落とす」ことを隠れた戦略(覇権放棄策)にしている。ドイツなどEUは、トランプのイラン制裁強化に反対し、ドルでなくユーロ建ててイランと取引する制裁迂回の新体制を作っている。EUは、中国とも親密で、米国の新冷戦に参加せず、米国との同盟関係が失われてもかまわない姿勢を強めている。 (Iran Sends Record Amount Of Oil To China) (Europe after keeping Iran bank connected to world: French MP)

▼米国との安保的つながりより中国との経済的つながりを重視した安倍の訪中

同盟諸国の中でも、日本は従来、対米従属の色彩が世界で最も強かった。米国はオバマ政権時代から「中国包囲網」の戦略をとっており、それに日本も参加していた。日米が中国を仮想敵とみなすことは、日本の対米従属の大黒柱である在日米軍の駐留を続けてもらうためにも必要だった。トランプによる米中新冷戦の開始は、日本政府が大喜びすべきことだった。日本の軍産・外務省傀儡系の評論家らは、トランプ政権の米中新冷戦の開始に驚喜していた。 (中国でなく同盟諸国を痛める米中新冷戦) (Mike Pompeo promises US will meet China’s strategies with ‘strong and vigorous response’)

だがその後の日本は、中国敵視を強めるどころか逆に、安倍首相が先週中国を訪問し、これまでの敵対関係を解いて協調に転換させ、日中間の貿易関係を強化する方向に動き出している。7年ぶりに中国を訪問した安倍は、日中対立を扇動する上で最も重要だった尖閣諸島・東シナ海問題を事実上棚上げし、東シナ海ガス田の共同開発についての日中交渉を再開することで中国側と合意した。 (China, Japan to forge closer ties at 'historic turning point') (The fine line Japan must walk between frenemy China and Donald Trump’s ‘America first’ agenda)

日本は2012年に、オバマ政権の米国が始めた中国包囲網戦に参加して対米従属を維持するため、尖閣諸島を国有化して中国を激怒させた。それ以来、日中関係は敵対的だったが、それ以前は、日中が尖閣諸島問題を棚上げすることで和平の関係を維持してきた。今回、安倍が2012年以来初めての中国訪問をして、尖閣問題を棚上げ状態に戻した。米国は今回、オバマ時代の中国包囲網を、トランプ型の米中新冷戦に「格上げ」し、過激な中国敵視を開始したが、対照的に日本は、安倍が7年ぶりに訪中し、6年間の中国包囲網時代の「尖閣での対立状態」を解消し、それ以前の「尖閣問題の棚上げによる日中友好」に日中関係を戻してしまった。安倍の日本は、米国に追随せず、米国と逆方向の対中和解への道を歩み始めている。 (中国の台頭を誘発する包囲網) (尖閣で中国と対立するのは愚策)

従来の(官僚独裁制の)日本にとって(官僚が米国を、国会を上回る絶対権力とみなせるので独裁を維持できる)対米従属が絶対の国是だったという政治の面で見ると、米国が中国敵視の新冷戦を始める時に日本が中国と和解してしまうのは、意外なことだ。米国が、追随してこれない日本から距離を置き、日米同盟が崩れたら「危険」だ、という見方もできる。だが、事態を詳細に見ていくと、今回の新事態は、意外でも危険でもない。 (The end of engagement)

中国を敵視する米国に追随せず、日本が中国と協調することは、政治面だと意外だが、経済面では意外でない。中国は、日本の最大の貿易相手だ。しかも中国は、トランプから懲罰関税をかけられるのを機に、中国経済の発展基盤を、これまでの対米輸出から、中国国内の消費や、一帯一路諸国(東南アジア、南アジア、中央アジア、中東、アフリカ)への輸出・投資へと切り替えていこうとしている。長期的に見て、中国国内市場や、一帯一路諸国への輸出・投資は、中国だけでなく、日本の企業にとっても、これからの儲けの大黒柱になりうる。対照的に米国の消費市場は今後、金融バブルの崩壊によって縮小していく。今回訪中した安倍が、日本企業の経営者500人を引き連れて中国側と合弁の話をまとめ、中国が主導する一帯一路の投資や融資に日本も協力することを決めたのは、今後の経済の趨勢を考えると自然な動きだ。 (China, Japan moving from competition to cooperation, leaders say) (世界資本家とコラボする習近平の中国)

中国は、多くの日本企業にとって重要な生産拠点だ。日本企業が米国に輸出している製品の中にも、中国の工場で加工組立している製品が多い。それらの製品は中国から米国への輸出品とみなされ、トランプの懲罰関税をかけられる。トランプの中国敵視は、中国だけでなく日本に対しても、対米輸出戦略の根本的な見直しを強いている。米国はトランプになって、世界から旺盛に輸入し続ける消費覇権国の役目を放棄している。しかもトランプは、これから交渉する日米自由貿易協定に、日本が中国と貿易協定を結ぶことを禁じる条項を入れる。 (US-China trade war: Trump gets his (USMCA) clause out in Asia)

これまで日本は経済的に、米国と中国の両方と付き合って儲けられたが、今後はどちらかとしか付き合えなくなる。そして、米国を選ぶと、日本経済は大幅縮小を余儀なくされる。経済面では、日本は中国を選ばざるを得ない。日本は、中国と付き合わないと経済的に立ち行かない。(これとは別の要因として、これから起きる金融バブル崩壊で日本経済は底が抜けるだろうが)。安倍訪中での日中大接近から見てとれるのは、日本が経済面で米国より中国を大事にしたことだ。そこから考えると、日本は今後の日米貿易協定の交渉で十分に譲歩せず、米国との2国間貿易協定は締結されず破談になる可能性が高い。 (How China plans to use infrastructure projects to build bridges with Japan)

日本がもし、トランプの言いつけに従って中国との経済関係をあきらめ、日米貿易協定を結んでも、それで得るものは多くない。トランプは、同盟諸国に無理難題を突きつけて振り落とす覇権放棄屋だ。振り落とすのが目的なので、無理難題を受け入れて譲歩しても、何か月かすると別の無理難題を突きつけてくる。 (トランプが捨てた国連を拾って乗っ取る中国)

安保面でも、日本の対米従属は今後、先があまり長くない。在日米軍が駐留する最大の必要性(=口実)だった「北朝鮮の脅威」は、トランプが金正恩と会って切り開いた朝鮮半島和平の流れによって、脅威が急速に縮小している。米国は、北が核廃絶するまで北との和解(朝鮮戦争の終結、在韓米軍の撤収)をしないと言っているが、韓国と北朝鮮は核廃絶より先に和解を進めることに合意し、南北境界線の地雷や軍事施設を南北同時にどんどん取り払っている。すでに韓国と北朝鮮は敵対していない。北の脅威がなくなると、在韓米軍と在日米軍が駐留する必要性が大幅に低下する。 (Koreas Agree to Scrap 22 Guard Posts by December) (韓国と北朝鮮が仲良く米国に和平を求める新事態)

トランプは今年6月の米朝会談後の記者会見で「いずれ在韓米軍を撤退したい」と宣言した。覇権放棄屋の本音が出た。トランプはその後、米上層部でまだ強い軍産複合体に配慮して「北が核廃絶するまで在韓米軍を撤収しない」という姿勢をとっているが、南北が勝手に和解し相互の武装解除を進めてしまうと、在韓米軍の不撤収にこだわる必要がなくなり、トランプが再び本音を言い出す可能性がある。トランプは来年初めに金正恩と再会談するつもりだという。そのあたりが次の転換点かもしれない。在韓米軍が要らなくなると、次は在日米軍の撤収話になる。 (Next summit for Trump, North Korea's Kim likely after first of year - senior U.S. official) (北朝鮮に甘くなったトランプ)

▼安倍晋三は田中角栄を超えられるかも

朝鮮半島の和平が今後どんなシナリオで進むのか見えにくいが、どのような道をたどるにせよ、おそらく来年中に在韓米軍撤収の話が出てくる。北の脅威がなくなって在韓米軍が撤収しても、在日米軍は中国の脅威を理由にして駐留し続けるというシナリオが以前あったが、今回の安倍訪中での日中和解によって、そのシナリオもなくなった。日本経済の存続のため、中国との和解が必須だったから、という説明もできるが、それ以上にありそうなのは、トランプが在韓米軍と一緒に在日米軍も撤収する気でいることを、安倍に伝えている可能性だ。 (従属先を軍産からトランプに替えた日本)

トランプは昨秋に訪日した時も「中国包囲網は安倍に任せた。安倍が作った4極(日米豪印)による中国包囲網のインド太平洋戦略を、米国の戦略にしたぞ」という姿勢をみせた。米国に頼らず、日本(と豪州)が中国敵視を主導せよというのがトランプの姿勢だった。安倍が中国を敵視したがらないので、トランプは、安倍が大昔に発案した「インド太平洋」の「4極ダイヤモンド戦略」も放棄し、代わりに今回の米中貿易戦争を主軸とした「米中新冷戦」に乗り換えた。安倍はもうこれに全く乗ってこない。今後、安倍が日米貿易協定の交渉での譲歩も拒否したら、トランプは安倍と日本を非難するようになる。 (安倍に中国包囲網を主導させ対米自立に導くトランプ)

トランプは、日本が譲歩しようがしまいが、日本(など世界中の米同盟国)に対米従属を許さなくなる方向だ。トランプは、対米従属に対して日本が払わねばならなくなる対価を吊り上げている。どうあがいても、日本は対米自立を強いられていく。安保面で米国に頼れなくなるのだから、日本は、中国やロシア、北朝鮮と和解して関係改善していかざるを得ない。安倍は昨年から、この路線に沿って動いている。昨年春から安倍は「日本主導のTPPと、中国主導の一帯一路をつなげよう」と中国に提案している。今回の訪中で安倍は、この提案を実現した。安倍は、以前からプーチンと親しいし、金正恩との会談もやりたがっている。北や中国が日本の敵でなくなると、日本の安全保障は、対米従属の時よりずっとやりやすくなる。今後の極東の情勢下において、日本の自衛隊は十分に強い(米国が自衛隊を弱体化させる方向の邪魔をしなければ、だが)。 (Is Trump Pushing China and Japan Together? Not Quite.)

安倍は、昨年春から中国への敵視をやめて協調姿勢に転換したが、同時に、日本政府としての外交を進める際に、対米従属(官僚独裁)を戦後ずっと主導してきた外務省を裏方として使うことを避けて外し、代わりに対米従属・官僚独裁の権力筋から外れていた経産省を起用して裏方をさせてきた。外務省は、何とか安倍政権に食い込もうと策士な外交官たちを官邸に入り込ませて謀略させたり、経産省がいかに謀略で安倍を動かして独裁しているかという筋書きでマスコミにリークして書かせたりしたが、いずれも奏功しなかった。 (日豪亜同盟としてのTPP11:対米従属より対中競争の安倍政権)

安倍は、昨年の早い段階で、トランプが覇権放棄や多極化、北の核廃絶(という名目での在韓米軍撤収)、同盟国の振り落としなどをやろうとしていることを、トランプとの対話を通じて知ったのでないか。それで、その後1年かけて中国に接近していき、米国抜きのTPP(日豪亜の原型)もなんとか実現し、今秋の総裁選であと3年間(もしくは五輪後の1年延長によって4年間)、独裁的な首相を続けられることが決まった後、いよいよ訪中して中国との和解協調路線を顕在化したのだろう。この間に米国では、トランプとの政争で勝てない軍産が弱体化していき、軍産の一部である日本外務省も、安倍を方針転換させられなくなった。 (中国と和解して日豪亜を進める安倍の日本)

戦後日本の国会議員の究極の任務は、官僚の隠然独裁体制と、その背後にある対米従属体制の打破である(増殖する官僚あがりの国会議員の目的は、それと正反対の「官僚独裁の恒久化」だろうが)。戦後の対米従属からの自立は、一度も成功していない。田中角栄がニクソンにそそのかされて日中友好・在日米軍撤収の了承をやりかけたがロッキード事件で潰され、その後09年の鳩山小沢政権が対米自立とアジア接近を試みたものの官僚やマスコミに潰された。 (多極化に対応し始めた日本) (日本の権力構造と在日米軍)

安倍も昨年まで、ずっと官僚の言いなりの指導者だった。だが、昨年来の動き、そして今回の訪中による対中和解の顕在化を見ると、田中角栄も小沢鳩山も道半ばで潰された日本の対米自立・官僚独裁からの離脱を、トランプに加勢してもらっている安倍晋三がやるかもしれないと(楽観的に)思えてくる。世界的に、昨今の対米自立は、左からより右からの方が成功できる。トルコのエルドアンや、イスラエルのネタニヤフと同様、安倍も、独裁的な長期の権力を手にした後、これまで困難だった自国の地政学的な方向転換を進めていける状況になっている。

官僚独裁に代わるものは自民党や安倍の「独裁」かもしれない。だが自民党は、定期的に選挙で民意の審判を受ける。今のところ安倍を支持する日本人が多いから、安倍政権が続いている。これは独裁でなく民主主義だ。ほとんどの人が気づかないまま戦後ずっと隠然と続いてきた官僚独裁より、自民党や安倍の「独裁」の方が、国民が選挙で倒せるので、長期的に見るとはるかにましだ。 (日本の官僚支配と沖縄米軍) (民主化するタイ、しない日本)

日本が対米自立しつつ中国と協調するなら、もっと早くやるべきだったのは確かだ。09年の鳩山小沢のころは、まだ中国より日本の方が優勢だった。今はすでに中国の方が優勢で、今後ますますその傾向になる。世界体制が米単独覇権が崩れて多極化が進む中で、対米従属一本槍だった日本は下落傾向、多極化の雄である中国は上昇傾向だ。多極化の傾向は2005年ごろからあったのに、それを早めに指摘した私は空想論者の扱いを受けた(軍産や官僚機構にとって迷惑な指摘なので、私を空想論者扱いして影響力を削ぐのは当然ともいえる。何とか生きていられるだけましだ)。日米のバブル崩壊は日米を弱めるが、中国のバブル崩壊は中国を強める。日本は、多極化への対応が遅すぎるので、今や中国に対して劣位の伴侶だ。しかし、対応がもっと遅くなるよりは良い。そもそも、安倍の中国接近戦略がうまくいって日本の対米自立につながるかどうかすら、まだわからない。 (中国の意図的なバブル崩壊)
下平評 この黒枠内の情報も、田中宇の情報を取り入れたものであり、安倍総理が日本の将来をどう考えていたのかを今となって理解してもどうしようもないのです。 けれども、私たちはどのようにしても真実を求め真実の姿を確認し、一人ひとりの世界観を持っていなければならない。 こうしてみていくと、国民みんなが真実を大事にしていくことが如何に大事であり、如何に大事な基本的態度であるか、考えざるを得ないのです。
以上
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日本の警察はテロ対策の名目で米諜報界の言いなりだし、日本の防衛省は米国防総省の言いなりだ。実行犯の山上は元自衛官だが、日本の警察や防衛省は、武器の使い方を知っている元自衛官たちの動向を把握している。米諜報界が安倍殺害を企画し、日本の官僚機構に横入りして準備を進めて実行し、事後に事件を曖昧化することは十分に可能だ。米諜報界は、日本外務省などを経由して日本のマスコミの論調を操作できる。安倍を殺した真犯人の黒幕は、米諜報界である可能性が高い。

▼日本は中露敵視を強めていない

米諜報界が安倍を殺したのなら、その目的として最もありそうなのは、日本にもっと中露敵視をやらせることだ。私は事件直後の記事で「安倍殺害犯を動かしていたのは米国の諜報界である可能性が高い。彼らは、安倍が敷いた日本の米中両属路線を潰すために安倍を殺し、同時に岸田を傀儡化して、安倍が続けてきた米中両属の路線を潰し、傀儡化した岸田に中国やロシアに対する敵視を猛然とやらせるつもりだろう」と書いた。だが、その後の現実は、私の予測とかなり違っている。岸田政権は安倍殺害後、ロシア敵視を強めておらず、逆に、実質的な敵対関係を弱める方向に、目立たない感じで動いている。 (日米欧の負けが込むロシア敵視)

その兆候の一つは、日本にLNGを送っているサハリン2の天然ガス田の開発事業に出資してきた日本の商社2社に対して、ロシアが事業を国有化した後も事業に参加・出資し続けるよう、岸田政権が7月中旬に要請したことだ。ロシア政府は6月末、サハリン2を国有化して日本の2社など外国勢を締め出そうと動き出していた。日本側は、ロシアと交渉してサハリン2への参加・出資を続けるか、ロシア敵視を続けてサハリン2から追い出されるかの二者択一を迫られた。岸田政権は、ロシア敵視を強化せず、ロシアと交渉して日本勢がサハリン2に参加・出資し続ける道を選んだ。 (Japanese firms told to stick with Russian LNG project)

サハリン2は日本のガス輸入の1割を占めており、閉め出されら日本のいくつかの都市がガス供給に困る事態になっていた。それを避けるため、日本側はサハリン2への参加・出資を続ける以外の道はなかったと考えることもできる。しかし、今は世界的に非常時だ。ドイツは、国内がガス不足に陥って国民生活が破綻して経済が自滅しても、ロシア敵視やめずにガスの輸入を止める道を選んでいる。米国は、対米従属のドイツに露敵視を強要して経済自滅への道を歩ませている。ドイツと同じ対米従属の日本も、日露間の政治的なパイプ役だった安倍晋三が7月8日に殺された後、米国から岸田への圧力が増し、国民生活を破綻させてもロシア敵視を優先してサハリン2のガスを止める可能性があった。だが、事態はその方向に進まなかった。 (ドイツの失敗)

また日本は英米カナダに比べて、自国企業をロシアから撤退させることをやっていない。ロシアには168社の日本企業が進出しており、ウクライナ開戦直後、そのうち4割がロシア撤退の意志を表明したが、実際に撤退したのは3%にあたる5社のみだった。日本企業の撤退の少なさと対照的に、ロシアに進出していた米国企業の27%、カナダ企業の33%、英国企業の46%がウクライナ開戦後に撤退している。撤退するかどうかは最終的に企業自身の判断だが、判断する際には自国政府の意向が大きく影響する。米英カナダは政府が企業にロシアから撤退すべきだと加圧している半面、日本は政府が企業に撤退しなくて大丈夫だろうと言っていることになる。 (Japanese Companies Appear To Be "In No Rush" To Exit Operations In Russia)

日本政府は表向きロシア敵視を続けており、安倍の国葬にプーチンが参加したいと言っても禁止するなどと言っている。しかしロシア政府は、もともとプーチンが安倍の国葬に参加する予定などないと言って、日本の表明は空論だと反論している。こうした表向きの敵対的な演技の下に、日本勢がサハリン2のガス田開発への参加を続け、実質面で日本がロシアと協調し続け、ロシアがそれを受け入れる体制が維持されている。私は安倍殺害直後の記事で「岸田は米ネオコン(隠れ多極派)の言いなりで(ロシア敵視を拡大して)日本を自滅に誘導する策をやり出している」と書いたが、それは外れている。 (Putin has no plans to visit Japan to attend Abe's funeral)

中国敵視の方はどうだろう。8月4日のカンボジアでのASEAN外相会談で、岸田の右腕である林芳正外相が中国の軍事演習を批判したところ、中国とロシアの外相が怒って退席し、中国は日中外相会談もドタキャンした、と騒ぎになっている。だがもしかするとこれは、林外相がもともと「親中派」で、中国敵視を強める日本国内や米欧のマスコミ権威筋で「林は親中派だ」と批判されることを弱めるため、林が強めに中国を批判し、中露は林の「中国敵視演技」をもり立てるために、中露外相がそろって怒って退席してみせたのでないか。日露は表向き敵対だが裏の現実は協調している。日中も同様だろうと私には感じられる。 (Infuriated China Cancels Bilateral Meeting With Japan Over G-7 Statement On Taiwan) (Japan's Hayashi Says 'Logic of Brute Force' Gaining Traction in Indo-Pacific)

米国のペロシ下院議長の台湾訪問に関連して、米国の言いなりで中露敵視を強めて間抜けに自滅しているドイツでは、ベアボック外相が「中国が台湾に侵攻したら、ドイツは台湾を助ける」宣言した。それと全く対照的に、建前は対米従属だが近年中国寄りの姿勢を強めている韓国の政府は、台湾を訪問した後のペロシが韓国を訪問したのに、大統領も外相も理由をつけてペロシに会わなかった(大統領は夏休み、外相はASEAN会合でカンボジア)。韓国政府は、中国を怒らせることをしたくない。韓国は、米同盟諸国の中で最もロシア敵視をやりたがらない国の一つでもある。 (Germany Vows "Will Help Taiwan" If China Attacks, While Russia Blasts "Purely Provocative" Pelosi Visit) (Pelosi Arrives In Seoul, But South Korea's President Won't Meet With Her)

自滅的に中露敵視なドイツと、現実的に中露協調し続ける韓国は、両国とも対米従属が国是なのに姿勢が正反対だ。今の日本は、ドイツと韓国の間に位置している。私は、日本をドイツの方向に引っ張り込むために、中露とのパイプ役だった安倍が殺害されたのだろうと事件直後に考えたが、そっちの方向には動かなかった。岸田は、親分だった安倍を殺された後も、ロシアや中国と実質的に協調する安倍の路線を踏襲し、米国に引っ張られて自滅路線に入り込むドイツのような道をたどることを拒否している。

▼日本を非米化するための事件

私が見るところ、今回の安倍殺害以降の流れ(銃弾の隠匿など)は黒幕なしに起きないものだ。黒幕になりうるのは米国(米諜報界)だけで、他の勢力が黒幕である可能性はかなり低い。米国が安倍を殺すなら、その目的は日本に中露敵視を強化させることぐらいしかないが、実際のその後の岸田の日本政府は、中露敵視を強化せず、むしろ隠然と中露と協調していた安倍の路線を意識的に踏襲している。岸田は次の内閣改造で、安倍の路線について最も詳しい前首相の菅義偉を副首相として迎え入れるかもしれないが、この人事構想は岸田が安倍の路線を積極的に踏襲したがっていることを示している。

菅の登用は、安倍を殺した米国に対する岸田の隠然とした「抗議」「反抗」を示していると私には見える。岸田や、その周りの自民党の人々は、安倍を殺した米諜報界を許さない。米国は、安倍を殺して岸田を傀儡にしようとしたが、見事に失敗している。岸田の自民党は、日本の非米化を隠然と加速していく。米諜報界の傀儡である日本のマスコミは、日本を非米化していく自民党を敵視する傾向を開始している。安倍殺害前、マスコミは自民党を批判しなかった。マスコミと自民党は、対米従属の同志だった。安倍の隠然親中親露路線も、ほとんど無視されていた。だが、状況は安倍殺害で劇的に変化した。米諜報界の傀儡のままのマスコミは、非米化を強める自民党を猛然と非難し始め、マスコミと自民党は敵どうしになっている。マスコミはこれまでも国民に嫌われる傾向だったが、安倍の死を愚弄中傷するマスコミはますます嫌われて自滅していく。

安倍を米国に殺された自民党やその系統の勢力は、日本の国是を対米従属から引き剥がし、隠然とした非米化から、顕然とした非米化・対米自立を模索していくようになるかもしれない。「日本が防衛を在日米軍に頼っている限り、それはない」と悲観的に考える人が多いかもしれない。だが私は、安倍殺害が日本をそっちの方向に動かしていく転機として用意されたのでないかと勘ぐっている。米諜報界は、隠れ多極派によって牛耳られている。彼らは、露中イランなど反米諸国を稚拙に過激に敵視することで結束・台頭させ、世界を多極化している。同時に彼らは、ドイツや豪州など同盟諸国に対して過激で稚拙な露中敵視をやらせて失敗に誘導し、同盟諸国が対米従属に行き詰まって非米化・米国離れに転換したくなるように仕向け、米覇権の自滅と多極化を進めている。米諜報界による安倍殺害は、こうした隠れ多極主義の策略として引き起こされたのでないかと私は考え始めている。

日本はこれから自滅の道に入るのか。それとも、両属体制を何とか隠然と維持しているうちに米国の覇権崩壊が進み、日本は自滅を免れるのか(米金融の崩壊に連動して日本も金融崩壊して破滅という道もあるが、長期的には金融が崩壊しても製造業を立て直していけるので何とかなる。金融バブルは崩壊した方が良い)。米国は、自分の覇権が崩壊寸前だから、日本の隠然離反を許さない傾向を強めているとも言える。 (US may lose control of world finance due to conflict in Ukraine)

隣の韓国は、日本に比べて中国からの影響が強いので、日本よりも顕在的に米中両属の姿勢をとっている。韓国は顕然両属、日本は隠然両属である。北朝鮮の問題を解決できるとしたら、それは北を破壊したがる米国でなく、北を存続させつつ南と和解させようとする中露であり、韓国がこれから中国敵視を強めて米国側に寄っていくことはなさそうだ。そこから類推すると、隠然両属の日本(自民党)も、中国敵視を強めろと叫ぶ(間抜け)勢力からの加圧をかわしつつ、きたるべき米崩壊まで両属性をこっそり保持するのでないかと思える。そうならず、韓国が親中国を保つ一方、日本が中国敵視を強めて米覇権とともに自滅していくと、世界の転換後、韓国は日本より強い国になり、日本と朝鮮半島は豊臣秀吉以前(というか、皇室が渡来してこられたころ)の力関係に戻る。 (War and Currency Statecraft - Zoltan Pozsar) (中露主導の朝鮮半島和平への道筋をつけるロシア)
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下平評

岸田総理が今年のG7の議長国だと意気まいてあっちこっち世界をとび回って画策し、対中国の強圧意見をかざすアメリカのお先棒のような気がして取り仕切るとしたら、とんでもない禍根を残すことになります。
外務大臣ともども、日本の将来がこんなことに巻き込まれないように、すべては腹を割っての話し合いの方向で問題解決の基本を強行すべきだと日本国民みんなそう考えるのではないだろうか。
そうなることを今から国の指導者の方々は議論しなくてはならないと願うのです。 私だけの憂(ウレ)いであれば、こんな心配は無用なのです。

以上