折々の記へ
折々の記 2013 ⑦
【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】11/28~     【 02 】12/04~     【 03 】12/06~
【 04 】12/11~     【 05 】12/24~     【 06 】12/27~
【 07 】12/28~     【 08 】12/30~     【 09 】12/31~

【 03 】12/06

  12 06 2013.12.06 の新聞記事  日本の歴史の曲がり角にならねばいいが ……
  12 07 秘密保護法成立  日本の歴史の曲がり角にならねばいいが ……
  12 08 きょうの朝日新聞の記事  日本の歴史の曲がり角にならねばいいが ……
  12 10 きょうの朝日新聞の記事  日本の歴史の曲がり角にならねばいいが ……

 12 06 (金) 2013.12.06 の新聞記事  日本の歴史の曲がり角にならねばいいが ……

土砂降りの雨の神宮外苑、学徒出陣として学生たちは戦争に駆り出されました。 今でも網膜に焼きついています。 そして学生隊の若者たちは戦争末期となって無惨な最後を迎えることになりました。

国と国とのけんかは戦争であり、死んでいった人たちは国のためという意識でありましたが、戦争に追い込んだ人たちはその責任を果たしていません。 それは政治をわがものとした政治家や金の亡者に取りつかれた資産家の人たちでした。

世界の戦争の歴史を尋ねてみると、先立つ者の私利私欲とか思い上がった我儘しか残らないのです。 そして多くの人たちが野に屍をさらし、母や子供はやるせない万斛の涙を流してきたのです。

それが戦争の実態でした。

第一次世界大戦の悲惨な結末の見た人たちは、パリで不戦条約を結び世界各国はそれに加盟しました。 その希望も政治家や金儲けの亡者によって崩れ去りました。

第二次大戦後も人類の平和を願ってユネスコの旗を押し立てました。 日本では憲法に戦争放棄を高らかに謳いあげました。 でも、シャボン玉の命のように骨抜きにされてしまいました。

それは、誰によって行われたのでしょうか?

それは、時の政治家や大企業を牛耳る金の亡者によって崩れ去ったのです。

時の政治家を選んだのはわたしたち一人一人ですから、わたしたち一人一人に無限の責任があるのです。

どっかで、歯車が間違って、そのためどこかで狂ってしまっているのです。

安倍総理は一人よがりの考えで、国中の人の命を危険な方向へ無理やり導いています。 人としてみんなで反対しなければなりません。

音を立てて平和が崩れているのです。




2013.12.06 の新聞記事
   http://www.asahi.com/shimen/20131206/index_tokyo_list.html


(1面)

  秘密保護法案、また強行 自公、参院委で可決 本会議採決きょう以降〈写真〉
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050658.html?iref=comkiji_redirect

  (異議あり 特定秘密保護法案)情報統制、被害者は子ども 大田堯さん〈写真〉
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050636.html?iref=comkiji_redirect

  武器禁輸原則、撤廃へ 「安全保障に資すれば」 政府原案
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050614.html?iref=comkiji_redirect

  (天声人語)強行採決への不信感
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050629.html?iref=comkiji_redirect

(2面)

  暴走、1強国会 首相不在、雑な審議 秘密保護法案
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050482.html?iref=comkiji_redirect

(3面)

  (秘密保護法案 条文解説ここが問題)規制の鎖、あなたにも
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050500.html?iref=comkiji_redirect

(4面)

  (秘密保護法案)公約に法案の文字なし 修正合意4党、今夏の参院選
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050661.html?iref=comkiji_redirect

  歯止め利かぬ恐れ 武器輸出緩和
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050559.html?iref=comkiji_redirect

  (秘密保護法案)石破氏はデモとテロ同一視/一般のデモ活動該当せず 国会論戦5日
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050747.html?iref=comkiji_redirect

  秘密保護法案、第三者機関に関する4党合意(要旨)
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050748.html?iref=comkiji_redirect

  「秘密保護法で拉致問題隠蔽なら逆効果」 失踪者調査会の荒木氏
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050628.html?iref=comkiji_redirect

  「防空圏『撤回せよ』とは言わず」 谷内内閣官房参与
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050631.html?iref=comkiji_redirect

(10面)

  (秘密保護法案)秘密保護、法整備は理解 経済界、範囲拡大には懸念
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050538.html?iref=comkiji_redirect

(13面)

  中国、米の懸念に反発 防空圏「国際法にかなう」
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050589.html?iref=comkiji_redirect

  ベトナム政府が中国に「憂慮」 防空識別圏
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050618.html?iref=comkiji_redirect

  秘密保護法案、国際人権団体が相次ぎ批判の声
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050616.html?iref=comkiji_redirect

(18面)

  (社説)特定秘密保護法案 民主主義に禍根を残すな
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050466.html?iref=comkiji_redirect

  (声)石破テロ発言、権力の本質露呈
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050479.html?iref=comkiji_redirect

  (声)中国防空識別圏への対応に危惧
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050478.html?iref=comkiji_redirect

  (声)次の国家安全保障基本法で完結
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050463.html?iref=comkiji_redirect

  (声)労組 反対の姿、明確に見えず
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050465.html?iref=comkiji_redirect

(39面)

  (秘密保護法案)私たちの声聞いて 1
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050604.html?iref=comkiji_redirect

  (秘密保護法案)私たちの声聞いて 2
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050591.html?iref=comkiji_redirect

  (秘密保護法案)国会前、抗議の波
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050632.html?iref=comkiji_redirect




(1面)
秘密保護法案、また強行 自公参院委で可決 本会議採決きょう以降
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050658.html?iref=comkiji_redirect

 自民、公明両与党は5日、参院国家安全保障特別委員会で特定秘密保護法案の採決を強行し、賛成多数で可決した。与党は5日夜の参院本会議で同法案を緊急上程し、採決も模索したが、野党の反発が強いため5日の採決を見送った。今国会会期末の6日に可決、成立させる構えだが、野党の抵抗に備えて会期延長も検討している。日本維新の会とみんなの党は5日、本会議採決を棄権することを決めた。

 5日の参院特別委では、自民党の石井浩郎議員が質疑を打ち切って採決を求める動議を提出。野党議員が激しく抗議するなか、中川雅治委員長が採決を強行し、自公の賛成多数で可決した。自公両党と修正合意していた維新とみんなは審議が尽くされていないとして退席した。

 焦点の一つだった特定秘密の指定の妥当性などを検証する「第三者機関」をめぐっては、政府側が「保全監視委員会」(仮称)を内閣官房に設置するとしたが、維新は内閣官房下の組織では独立性が担保されないと反発。このため菅義偉官房長官は5日の参院特別委で新たに「情報保全監察室」(仮称)を内閣府に20人規模で法施行前に設け、各行政機関の秘密指定を検証・監察し、不適切なものは是正を求めるとした。

 しかし、情報保全監察室も政府内に置かれる組織で、どのような職員で構成するかも不明。採決前の土壇場で新たな組織を持ち出したことで、保全監視委員会などとの関係も一層はっきりしなくなった。

 政府側が設置するチェック機関はいずれも政府内に設置され、「身内」の官僚による組織となる。官僚の恣意(しい)的な判断に従い、行政機関の長が秘密指定する余地が残るという根本的な問題は残ったままだ。

 自公と維新、みんな4党の実務者は第三者機関に関する合意文書に署名したが、維新とみんなは、特定秘密保護法案の5日の緊急上程に反発しており、本会議採決を棄権する。

 与党内では、会期を小幅延長し、閣僚の問責決議案提出などによる野党側の抵抗で会期切れに追い込まれることを避ける案も出ている。民主党は5日、参院特別委の中川委員長の問責決議案を提出。6日の本会議採決を阻むため、衆院での安倍内閣不信任決議案提出のほか、参院でも閣僚に対する問責決議案を出す方針だ。




(異議あり 特定秘密保護法案)情報統制、被害者は子ども 大田堯さん
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050636.html?iref=comkiji_redirect

■教育研究者・大田堯(たかし)さん

 私は95歳。戦前の治安維持法の時代を生きてきました。

 社会が戦争に徐々に引きずり込まれていき、情報がなくなり、ものを考えることを無意識に停止させられていった。いま、そんな時代に近づいているのではと恐れます。

 この法案の根本問題は、知る権利が奪われることです。その事態がとっくに現実になっているのが学校です。

 1950年代、教科書検定が厳しくなり、歴史学者の家永三郎さんが教科書に広島や本土空襲の写真を載せようとして「暗いからダメ」「無謀な戦争という評価は一方的」と不合格にされ、裁判を起こした。私も原告側の証言者として30年余り戦いましたが、検定はなくせませんでした。

 文部科学相は検定で「教育基本法の目標などに照らし、重大な欠陥がある」と判断されれば、教科書を不合格にすると言いだしている。そこにこの法律ができると情報が一層統制され、教師は萎縮。被害を受けるのは子どもです。

 与党は「知る権利は守られる」と言うが、口約束はあてになりません。国旗・国歌法で政府は「強制しない」と答弁したが、教師が立って歌わなければ処分されています。

 知る権利は人間が自分の頭で考える権利です。食事や呼吸と同様に生きるために欠かせません。その権利を危うくする法案を、与党は強行採決してまで通そうとしています。私たちの社会の民主主義の質が試されています。




武器禁輸原則、撤廃へ 「安全保障に資すれば」 政府原案
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050614.html?iref=comkiji_redirect

 安倍政権は5日、武器輸出を原則として禁ずる武器輸出三原則に代わり、新たな武器輸出管理原則を作ることを決め、原案を与党に示した。原則として、武器輸出を禁止してきた従来の方針を撤廃する内容だ。政府は年内の決定を目指すが、新原則は政府方針の大転換になる。▼4面=歯止め利かぬ恐れ

 武器輸出三原則は1967年、佐藤内閣が(1)共産圏(2)国連安保理決議により武器輸出が禁止されている国(3)国際紛争の当事国またはそのおそれのある国――のケースで武器輸出を禁止。三木内閣が76年、三原則以外の国にも原則、輸出禁止を決めた。ただ、米国への武器技術供与などは個別に官房長官談話を出して「例外」を設けてきた。

 政権が示した原案では「我が国の安全保障に資する場合」は輸出できるなど、幅広く解釈できる文言を新しく設ける。ただ、(2)と(3)の禁止条項は維持する。輸出の審査・管理基準も設けるが、三木内閣の原則禁止の方針は撤廃の方向だ。武器輸出の品目や地域が大幅に広がる可能性がある。

 新原則が決まれば、輸出の可否は外交・安保政策の「司令塔」となる国家安全保障会議(日本版NSC)などでの協議を経て判断される。




(天声人語)強行採決への不信感
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050629.html?iref=comkiji_redirect

 ユーモアの奥底に真実がひそむことがある。終戦から間もないころ、吉田茂首相は国内の食糧不足量を多く見積もりすぎてマッカーサー元帥に文句を言われたそうだ。すかさず「日本の統計が正確だったら、戦争に負けていませんよ」と切り返して言い逃れたというから、この人らしい▼「正確なら負ける戦争など仕掛けなかった」といった意味合いだったろう。記憶の底でホコリをかぶっていた逸話が、きのうの本紙オピニオン面を読むうちに浮かび上がってきた▼東大教授の岡崎哲二さんによれば、金属・機械・化学各工業の統計が日米開戦の2年前から「秘」扱いになった。つまり国力の基本的な情報を一般国民には秘したまま、開戦は決断されたのだという▼工業統計だけでなく、様々に目隠しをされたまま国策が決まった時代。どこへ連れて行かれるのか分からない人々の不安は想像できる。結局、相手の物量に対抗するためにおびただしい人命を注ぎ込んで、戦争は終わった▼国民は自分たちのレベルに見合った政府しか持ちえないという。英国の歴史家カーライルは「この国民にして、この政府」と警句を残したそうだ。ごり押しと混乱の永田町を眺めつつ思う。私たちはこのレベルか。もう少しましな政治が持てそうなものだが▼秘密法案の強行成立を、与党は譲らない。「決められない政治」に懲りて自民党に衆参で多数を与えた。その結果がこれでは、一票を悔やむ人は多いだろう。不信感の統計は膨大に違いない。




(2面)
暴走、1強国会 首相不在、雑な審議 秘密保護法案
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050482.html?iref=comkiji_redirect

 安倍政権は多くの問題を抱える特定秘密保護法案を概要の発表からわずか3カ月で成立させようとしている。審議を重ねるほど法案の問題点が浮き彫りになったにもかかわらず、安倍晋三首相はほとんど答弁に立たず、強行採決で押し通した。政権は自民党「1強」の数の力を頼りに、国民の懸念にこたえる説明責任を放棄した。

 国会が大荒れとなった5日夜、安倍首相は東京・四谷の焼き肉店へ秘書官と食事に出かけた。着任したばかりの女性秘書官の歓迎会だった。

 法案審議を通じ、首相の姿は見えなかった。特別委員会審議への出席は衆参1回ずつ、わずか4時間余り。4日の党首討論で説明不足を追及した民主党の海江田万里代表には「私は今日、午前中の委員会に出席して質問に答えた」と胸を張るちぐはぐぶりだった。

 アベノミクスで高支持率を維持してきた首相は、今国会を「成長戦略実行国会」にする狙いだった。だが、同法案への反発が予想を超えたほか、強引な国会運営で与野党攻防を激化させ、自ら変質させた。

 それでも、首相に法案を廃案や継続審議にする選択肢はなく、法案の会期内成立にこだわった。国会戦術を仕切った菅義偉官房長官は、自民党の佐藤勉国会対策委員長らと強気の国会運営を続けた。

 背景には、審議を長引かせても法案への反対は強まる一方で、内閣支持率や政権の求心力低下につながりかねないとの判断がある。事実、朝日新聞が11月30日~12月1日に行った世論調査で内閣支持率は49%と、内閣発足以来、初めて5割を割った。年末には環太平洋経済連携協定(TPP)交渉や新年度予算案編成も控え、「長く審議してもメリットはない」(政府関係者)。政権内には、成立さえすれば、いずれ国民は忘れるだろう――との読みもある。

 「与党の暴挙だ」「野党の声は要らないというのと同じだ」――。5日午後4時過ぎ、参院特別委で自民党の石井浩郎氏が突然、質疑打ち切り動議を提出。野党委員が猛抗議する中、法案は可決された。与党と修正合意した日本維新の会、みんなの党の委員は退席。共産党の志位和夫委員長は「横暴、傲慢(ごうまん)、おごり、無法」と表現した。

 同法案に対する政権の手続きや国会運営は、一貫して拙速で手荒だった。

 政権が法案の概要を明らかにしたのは9月3日。一般の意見公募(パブリックコメント)は約2週間で済ませたが、約9万件の意見のうち77%が反対だった。

 公明党の要求に応じ、法案への「知る権利」の明記は容認したが、情報公開制度の充実などは受け入れず、「官僚による、官僚のための、官僚の情報隠しの法案」(海江田氏)という本質を維持したまま、10月25日に国会に提出した。

 与党側は衆院で約45時間の審議で採決を強行。厳罰化規定や秘密指定のあいまいさといった骨格の修正を求める民主党の要求にも応じなかった。参院審議はさらに粗雑で、審議時間は約22時間。野党委員長を2人同時に解任するなど、強行につぐ強行を繰り返した。

 語らぬ首相と、数を頼りに突き進んだ与党。多くの懸念や問題点を置き去りにしたまま、法案を成立させようとしている。

■維新・みんなも戸惑い

 法案や与党の暴走に世論の批判が高まるにつれ、政権にすり寄る姿勢を見せていた日本維新の会やみんなの党は混乱した。

 「なぜ、こんなに急ぐのか」。維新の松野頼久・国会議員団幹事長は参院特別委で与党が強行採決した後、驚きを隠さなかった。

 維新は衆院採決時、賛成だったが、与党の強引な議会運営に抗議して棄権。審議が参院に移った後は与党の強硬姿勢に参院側の反発が強まり、今度は法案への反対理由を探すのに苦心するありさまだった。

 首相が4日に表明したチェック機関「保全監視委員会」(仮称)についても、維新幹部は首相直属の内閣官房に置かれるとの情報を入手。松野氏や小沢鋭仁国対委員長は「反対」に傾き始めたが、菅官房長官は5日の参院特別委で内閣府に「情報保全監察室」(仮称)を設置すると約束。維新は揺れ続けた。

 もともと維新は政権との距離が近い。「補完勢力」との批判をかわそうと修正協議に持ち込んだが、世論の強い反発を無視できなくなった。維新幹部は「賛成も反対もできないが、棄権もわかりにくい」と頭を抱える。

 衆院採決で賛成し、いち早く政権に寄ったみんなも、この日の特別委の強行採決で棄権するちぐはぐぶりだった。

 渡辺喜美代表は11月14日の首相との会食で事実上、修正合意を取り付けたが、「すり寄りだ」などの批判が噴出。衆院採決では江田憲司前幹事長ら3人の造反を出した。参院では、同党参院議員18人のうち3分の1近くが法案への慎重姿勢を示しており、渡辺氏も「退席はある。決断は私に任せていただきたい」と方針転換するしかなかった。

■見えぬ第三者機関

 法案への疑問は最後まで拭えなかった。

 4日の参院特別委で首相はチェック機関の保全監視委員会(仮称)など3組織の概要を発表した。だが、保全監視委は政府内に設置する「身内」の組織。維新では「独立性の高い組織とはほど遠い」と反対が強まり、修正協議で与党側に「職員の体制がしっかりした『局』でなければダメだ」と注文した。

 このため5日の特別委で、菅義偉官房長官が維新の室井邦彦氏に答えて情報保全監察室(仮称)という四つ目の組織設置を新たに表明。「政令または立法で、できる限り『局』へ格上げする」と約束した。

 菅氏は「独立性の高い第三者機関」と胸を張ったが、情報保全監察室も官僚がチェックする政府内の組織に過ぎない。菅氏が四つ目の組織を持ち出したことで、首相が「重層的なチェック」と自賛した三つの組織の不十分さも露呈した。

■幻に終わった「王道」政治 担当記者はこう見た

 安倍晋三首相には危うさを感じながら期待もしていた。強い政権基盤を持ち、焦る必要がないからこそ、反対者を丁寧に説得して賛同者を増やし、国民の理解が深まったところで決断する――。そんな民主主義の「王道」といえる政権運営を望んでいた。

 だが、特定秘密保護法案を可決した5日の参院特別委員会を見てがっかりした。与党が野党の不意を突いて審議を打ち切ったのは、ひきょうですらある。

 確かに、首相は4日の特別委で「どこかの段階では審理は終局を迎え、結論を得なければならない」と語っていた。だが、今がその段階なのか。朝日新聞が11月30日、12月1日両日に行った世論調査で法案への反対は50%。「反対が半分もいる」と言いたいのではない。3週間前の同じ調査で42%だった反対が増えていることが問題なのだ。国会審議を通じて法案の欠陥が浮き彫りになり、国民も「ちょっと、待てよ」と考え始めた矢先だ。

 安倍内閣を支持する層でも今国会での成立を望むのは22%にとどまる一方、「継続審議にする」が56%と多数を占めた。国民の議論は「終局」していない。(蔵前勝久)




(3面)
(秘密保護法案 条文解説ここが問題)規制の鎖、あなたにも
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050500.html?iref=comkiji_redirect

 5日の参院特別委で可決された特定秘密保護法案。影響が及ぶのは、特定秘密を扱う国家公務員だけではない。

■懲役10年、民間人でも厳罰

 特定秘密を漏らした民間人や公務員への罰則

 23条1項 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、10年以下の懲役

 〈想定されるケース〉

 A子さんとB男さんは大学の同窓会で再会した。A子さんから「今何しているの」と尋ねられ、B男さんは「防衛産業で……」と近況報告を始めた。

 「もっと聞かせて」とA子さんに促され、酔ったB男さんは「ミサイルを研究していてね。実はあまり知られていない話だけれど」と続けた。数年前、北朝鮮から発射されたミサイルが途中で失速して海に落ちたが、「もし失速しなかったらこの辺に落ちていたかもよ」と披露。A子さんは驚いた。

 翌日、A子さんはブログに「同窓会で再会したB男さんがビックリする話をしてくれた」と書き込んだ。ある防衛マニアがブログに気づき、ミサイルの飛ぶコースを推測して描き、ネットで拡散させた。

 翌月、捜査機関がA子さんとB男さんを訪ねてきた。B男さんはブログでイニシャルで紹介されていたのに、同窓会名簿から割り出された。B男さんは業務で知った秘密を漏らした疑い、A子さんは漏洩(ろうえい)をそそのかした疑いだった。

 〈解説〉

 こうしたケースで罰が科されそうなのは、安倍晋三首相の参院特別委での答弁からうかがえる。「ミサイルの軌道計算を民間にやってもらうことはある。そこには守秘義務がかかる」

 厳罰化は法案の柱だ。公務員だけでなく、省庁と契約している民間業者も特定秘密を漏らしたら、最長懲役10年。漏らすようそそのかした「教唆」などの場合も最長で懲役5年だ。

 首相は「ミサイルの軌道計算」以外にも、「外国の工作機関が日本人の拉致を行う活動」を特定秘密の例として挙げた。いずれの答弁も北朝鮮を念頭に置いているとみられる。首相が自ら例示しただけに、漏洩(ろうえい)には厳罰が科される可能性がある。

 民間人まで厳罰を科すことには、参院特別委で法案に賛意を示した与党推薦の参考人すら「民間の企業に携わっている者までが処罰の対象になり得るのは、どうかと疑問に思う。懲役何年と設ける必要はないのでは」と懸念を表明した。

■適性評価で病歴まで探る

 行政機関の長による適性評価の実施

 12条4項 行政機関の長は公務所もしくは公私の団体に照会して、必要な事項の報告を求めることができる

 〈想定されるケース〉

 某月某日。東京都内の病院にX省の職員が訪ねてきた。「特定秘密保護法に基づき、病歴を調べたい人物がいる」と言い、過去に精神科に通院していた公務員Aさん(40)のカルテのコピーを求めてきた。

 医師が「守秘義務がある」と拒むと、職員は「法律に『公務所もしくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる』と書いてあります」と強調。カバンから書類を取り出してみせた。「これはAさんが秘密を扱うための適性評価を受けることに同意した書類です。応じても問題はありませんよ」

 医師は「職場はストレスが多くて」とこぼしていたAさんを思い出した。重い症状ではなく、通院していたのも10年前。過去のデータを出すことが彼の人生にプラスに働くのか――。

 「我々にも守るべき秘密はある」。医師は結局、コピーを渡さなかった。同じような問い合わせは今後増えていくかと思うと、心配になる。

 〈解説〉

 「照会を受けた団体には回答する『義務』がある」。内閣情報調査室の鈴木良之内閣審議官は2日の参院特別委で言い切った。

 「行政機関の長」は特定秘密を扱う可能性がある職員の適性評価をする際、必要に応じて病院や金融機関などに情報提供を求める。本人の申告が本当か裏付けるためだ。政府関係者は「『個人情報』を盾に拒まれていた情報を入手しやすくなる」と話す。

 だが、医療側には戸惑いも。神奈川県保険医協会は「患者のプライバシーの提供を強要されかねない」と法案反対の理事会声明を発表。ある医療団体幹部は「秘密を明かすのが義務とは矛盾を感じる」と話す。

 関東地方の病院に勤める医師はしばしば、保険会社から「本人の同意がある」と患者の病歴照会を受けるが、応じるのは本人が目の前にいる場合だけだ。

 照会に応じなくても罰則はなく、政府関係者は「守秘義務がある相手に『情報を出せ』と強制できない。『義務と思ってもらいたい』ということ」と話す。




(4面)
(秘密保護法案)公約に法案の文字なし 修正合意4党、今夏の参院選
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050661.html?iref=comkiji_redirect

 今国会最大の焦点となった特定秘密保護法案について、各党は今夏の参院選でどう訴えていたのか。修正合意した自民、公明両党と日本維新の会は選挙公約でほとんど触れておらず、みんなの党も法制化の時期などは明示していなかった。有権者に争点を示さず、駆け足で成立を急いだとの批判は避けられそうにない。▼1面参照

 安倍晋三首相は臨時国会の審議で、同法案の必要性を何度も訴えた。4日の党首討論でも、民主党の海江田万里代表に対し「この法律は極めて必要性は高い。それを作らなければNSC(国家安全保障会議)は機能しない」と強調した。

 だが、自民党が6月に発表した参院選公約に「特定秘密保護法案」の文字はない。日本版NSCの設置は掲げてはいるが、「日本の平和と地域の安定を守る法整備」と記しただけ。公約と同時に発表した総合政策集にも「情報保全・公開に関する法整備」とのみ記し、具体的な記述はない。首相は国会冒頭の所信表明演説でも、同法案に言及しなかった。

 公明党は与党間の修正協議で「知る権利」への配慮を法案に盛り込むよう要求するこだわりも見せたが、公約には同法案どころか、NSC設置の記述さえなかった。維新も公約に「情報収集・分析能力、広報力などを高め、国家戦略の構築や危機管理に活用」と記しただけだった。

 一方、みんなの党は参院選で示したアジェンダ(政策課題)で「安全保障会議の事務局機能を強化」を掲げ、NSC設立を明記。さらに「政府全体の情報収集能力、情報漏洩(ろうえい)防止策を強化」と同法案に近い内容を盛り込んでいた。だが、法案提出について具体的な言及はなく、渡辺喜美代表は10月の会見で「秘密保護に関する法制をなんらかの形で整備することは必要だと考えている」と述べるにとどめていた。




歯止め利かぬ恐れ 武器輸出緩和
     http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050559.html?iref=comkiji_redirect

 安倍政権が示した武器輸出三原則の見直しは、戦後の安全保障政策の大きな転換を目指すものだ。原則禁止だった武器輸出を原則可能とした上で新たなルールを設ける仕組みだが、輸出の歯止めが利かなくなる恐れもある。▼1面参照

 1967年に佐藤内閣が定めた三原則は、(1)共産圏(2)国連決議で禁じられた国(3)国際紛争の当事国など――への武器輸出を禁止。今回、安倍政権が示した新原則は、(1)は冷戦崩壊を理由に撤廃する一方、(2)と(3)は受け継いでいる。

 三木内閣は76年に三原則以外の国に対しても事実上の武器輸出禁止を決定。その後の内閣は、他国との武器の共同開発など必要に応じて「例外」を設けてきた。これに対し安倍政権は原則禁止の方針を撤廃し、「我が国の安全保障に資する」と判断すれば、「審査」を経て輸出を認める方向だ。

 輸出の可否を審査する機関としては、外交・安保政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)が想定されている。審査の基準や手順を新設して「歯止め」とする考えだが、公明党幹部は「基準作りはこれからだ」と明かす。

 新原則が決まれば、これまでは例外でも認められなかった国際共同開発以外での武器輸出に道を開くことになる。輸出品目や対象地域が大幅に広がる可能性がある。「我が国の安全保障に資する」との表現はあいまいで、特定秘密保護法案のように政権側に恣意(しい)的に運用される恐れもある。

 また、政府はこれまで例外的に輸出を認める個別事例について、官房長官談話の形で発表してきた。しかし新原則では個別の発表がなくなり、輸出の実態が見えなくなる可能性もある。



 12 07 (土) 秘密保護法成立  日本の歴史の曲がり角にならねばいいが ……

NHKニュース 12月7日 4時22分
  秘密保護法成立 どう決まったか
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131207/t10013651081000.html

特に秘匿が必要な安全保障に関する情報を「特定秘密」に指定し、漏えいした公務員らに最高で10年の懲役刑を科すなどとした、特定秘密保護法は、6日夜の参議院本会議で、自民・公明両党の賛成多数で可決され、成立しました。

国会は、焦点となっていた特定秘密保護法案を巡って、民主党が「国民の知る権利を侵害するおそれがあり、成立を阻止したい」として、衆議院に提出した安倍内閣に対する不信任決議案は、6日夜の衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会などの反対多数で否決されました。

内閣不信任決議案は記名投票で採決されるケースがほとんどですが、今回は民主党が単独で提出したため、記名投票の実施に必要な議員の数を確保できず、昭和57年8月以来31年ぶりの起立採決となりました。

参議院本会議は6日午後9時から再開され、まず、特定秘密保護法案を審議してきた参議院の特別委員長に対する問責決議案が、与党側の反対多数で否決されました。

その後、特定秘密保護法案の議事に入り、自民党の島尻安伊子参議院議員は、「日々深刻さを増す、わが国の安全保障環境に鑑み、国益を保持するために必要な法案だ。恣意的(しいてき)に秘密指定を拡大させ、一般の人がむやみに逮捕されてしまうような法案ではない」と述べました。

これに対し、共産党の仁比聡平参議院議員は、「覆い隠すことができない重大な問題点があらわになるため、与党は暴力的に審議を打ち切り、採決を強行した。多数を頼んで強行しても、廃止を求める国民の戦いは燃え盛ることになる」と反論しました。

一方、民主党は、委員会での審議の経過が報告される直前に本会議場を退席しましたが、反対の意思を示すべきだとして、方針を転換し、議場に戻りました。 そして採決が行われた結果、特定秘密保護法は、自民・公明両党の賛成多数で可決され、成立しました。

みんなの党と維新の会は採決を退席しましたが、みんなの党の3人の議員は党の方針に反して採決に加わり、反対しました。



 12 08 (日) きょうの朝日新聞の記事  日本の歴史の曲がり角にならねばいいが ……

国会論議「不十分」76% 秘密保護法「運用に不安」73% 朝日新聞社世論調査 2013年12月8日05時00分
(どうする 特定秘密保護法)重大な責任、まさにこれから 冨田勲さん〈写真〉 2013年12月8日05時00分
(天声人語)12・6を忘れない 2013年12月8日05時00分
政権、強行重ねたツケ 民意軽視、支持率に影 改憲枠組みも振り出し 秘密保護法成立 2013年12月8日05時00分
秘密法、欠陥変わらず 知る権利は 秘密の範囲は 2013年12月8日05時00分
「沖縄の目」に映った傲慢 秘密保護法、担当記者はこう見た 2013年12月8日05時00分
民主は分裂を恐れるな 秘密保護法、担当記者はこう見た 2013年12月8日05時00分
(政治断簡)松陰先生の説いた寛大さはあるのか 編集委員・前田直人 2013年12月8日05時00分
朝日新聞社世論調査 質問と回答 2013年12月8日05時00分
特定秘密保護法(全文) 2013年12月8日05時00分
(社説)秘密保護国会 異様な光景の果てに 2013年12月8日05時00分
(声)戦争特集 朝、目覚めたら戦争だった紙面にプラス 2013年12月8日05時00分
(声)戦争特集 飢えに苛まれたニューギニア紙面にプラス  以下同じ
(声)戦争特集 平和の功労者やはり憲法9条  以下同じ
(声)戦争特集 親しい人に災いもたらす戦争  以下同じ
(声)戦争特集 広島に学び「真の死者」減らす  以下同じ
(声)戦争特集 親を思う特攻隊員の遺書に涙   以下同じ
(秘密保護法)捨てろ、あれは「ない書類」だ 海自幹部、直訴黙殺 いじめ自殺 2013年12月8日05時00分
「早く廃止を」「戦前ほうふつ」宗教者・学者も抗議 秘密保護法成立 2013年12月8日05時00分


 12 10 (火) きょうの朝日新聞の記事  日本の歴史の曲がり角にならねばいいが ……

首相会見、根拠示さず 秘密法「説明不足、反省」 2013年12月10日05時00分
  3面=首相熱弁、言葉だけ 秘密法の必要性前面 「反省」国民の批判意識 2013年12月10日05時00分
  4面=安倍首相の会見要旨 2013年12月10日05時00分
  39面=(どうする 秘密法)時代錯誤の「富国強兵」 浜矩子さん 2013年12月10日05時00分
      防衛産業にも身上調査 防衛省、飲酒や交友関係 2013年12月10日05時00分
防衛産業従業員を身上調査 防衛省、秘密法を「先取り」 2013年12月10日01時04分
(どうする?秘密法)時代錯誤の富国強兵 浜矩子さん 2013年12月10日02時39分
  この記事に関するニュース
   「通常の生活脅かされない」 安倍首相会見の詳細(12/10)
    安倍首相「丁寧に説明すべきだった」 特定秘密法で会見(12/9)
   (秘密保護法)情報隠し、デマ発生に加担 冨田勲さん(12/7)
   (秘密保護法)欠陥だらけ、運用の監視必要 杉田敦さん(12/7)
   (秘密保護法案)被害を受けるのは子ども 大田堯さん(12/5)
世論、読み違えていないか 担当記者はこう見た 秘密法、首相会見 2013年12月10日05時00分

(WEBRONZA)
トップ 政治・国際 テーマ 政治・国際防空識別圏、中国の狙いは?

  中国が設定した防空識別圏と日本の防空識別圏 2013年12月5日
  中国が東シナ海の上空に防空識別圏を設定した。これに対して安倍政権は強く反発し、
  アメリカ政府とともに警戒監視活動を続けていくという。
  しかし、韓国も自国の防空識別圏を拡大する方針で、このままでは東アジアの緊張が
  さらに高まることになりかねない。中国がなぜいま、こうした行動に出たのかを探っ
  てみると、けっして唐突なものではないことがわかる。今後、政府や自衛隊はどう対応すべきだろうか。
  このテーマに対する記事
   金恵京 防空識別圏問題の解決は政治家の度量次第――日中韓は対話の機会を作れるか?(2013/12/06)
    11月23日、中国は突然、日本が領域を主張する尖閣諸島を含む防空識別圏を敷くと宣言した。
    もともと、防空識別圏の設定は国際法的に明文化された規定がある訳ではない。 しかしながら、
    防空識別圏は他国から"・・・・・続きを読む
   谷田邦一 沖縄近海で見せた米軍の闘志――中国の防空識別圏とチキンゲーム(2013/12/05)
    尖閣諸島の領有権をめぐり、中国が力で秩序変更を迫る新たな挑発に出てきた。中国が突然発表
    した防空識別圏は、東シナ海の公海上の空域に対し、自国の行政管理権を主張する常識外れな内
    容だった。  日中は、周"・・・・・続きを読む
   藤原秀人 陸から海へ――「予想内」だった防空識別圏の設定(2013/12/05)
    中国が11月23日、尖閣諸島上空を含む空域に防空識別圏を設定したことに対して、日本や米国
    などから強い非難が相次いでいる。安"・・・・・続きを読む
   小笠原誠治の「経済ニュースゼミ」 中国がバイデン副大統領に伝える内容を予想する米国の公共放送(2013/12/04)
    バイデン副大統領が来日しています。何が今、一番の日米共通の関心事なのでしょうか? 多分、
    それは多くの国民が考えていることと同じでしょう。つまり、中国の防空識別圏設定とTPP交渉に
    ついてです。 た"・・・・・ 続きを読む 関連情報
   特集:
     中国の防空識別圏問題 (ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)
     防空識別圏をめぐる米中交渉は「握手と蹴り合い」(ハフィントン・ポスト日本版)
     アメリカ、なぜブレる? 民間機には中国の防空識別圏を守らせた事情とは(ニュースフィア)
     中国はなぜ今、防空識別圏を設定したのか(ウェッジ)
     中国「防空識別圏」設定はアメリカのリスク(ニューズウィーク日本版)

WEB新書 マイWEB新書
http://astand.asahi.com/webshinsho/myweb/index.html