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折々の記 2014 ⑦
【心に浮かぶよしなしごと】

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  08 26 (非情世界 信義なき情報戦争)軍事技術開発、米中探り合い  
      戦闘機発艦、米空母に新技術
      無人機攻撃、深い闇 テロ対策、CIA多用
      顔・声紋、照合しても誤爆
  08 26 (非情世界 信義なき情報戦争)中国軍の台頭、どう分析 米海軍大学の専門家、4人に聞く  
  08 26 武装襲撃、口閉ざす住民 中国・新疆、事件現場から  中国政権の崩れ現象・他の記事もあり
  08 27 経団連、献金呼びかけへ 5年ぶり再開、政策へ影響力  破廉恥な宰相

 08 26 (火) (非情世界 信義なき情報戦争)軍事技術開発、米中探り合い   

軍事技術開発、米中探り合い
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11315478.html

 7月15日ごろ、その船がハワイのオアフ島沖に姿を現した。中国東海艦隊所属、東調級情報収集艦「北極星」(満載排水量6千トン)。中国を出港した同艦は、南シナ海と太平洋を結ぶバシー海峡で給油。その後、各国が行方を追っていた。オアフ島沖では、中国も初参加した「環太平洋合同演習(リムパック)」が行われていたが、北極星はまったく別の行動をとっていた。

 北極星は艦艇や地上基地間の無線通信、レーダーなどの電波を収集、分析する。米軍関係者は警戒感を示し、日本政府も「リムパックの情報収集が目的」と結論づけた。

 ただ、演習のシナリオや無線通信は、中国軍艦艇4隻にも伝えられる。今月19日に南シナ海であった中国軍戦闘機による米軍哨戒機への異常接近と共に「国際ルールを知らない誤解を招く行為」(自衛隊関係者)との声もある。別の日本政府関係者は「国内引き締めのため、米国との対決姿勢を演出したのかもしれない」とも語る。中国はこの活動について沈黙している。

 一方の米国も、オバマ政権が太平洋重視の方針を示したこの4年余り、潜水艦や弾道ミサイル、ステルス戦闘機など、米国の脅威となりうる中国軍の戦力を見極めようとする動きを活発化させている。太平洋の覇権を巡る米中の争いは情報戦の世界にも広がる。日本も無関係ではいられないが、その全容は闇の中だ。

 4月7日。ヘーゲル国防長官が中国・青島を訪れ、旧ソ連軍空母を改修した中国初の空母「遼寧」を視察した。中国は軍備の「透明性」を強調したが、米政府関係者は「満足のいく視察ではなかった」と日本の関係者に不満を漏らした。

 日米は渤海湾などで行われる遼寧の訓練情報を集めている。映像分析では、遼寧から飛び立つ軍用機は予備燃料タンクや十分な爆弾などを積んでいないという。自衛隊関係者は「重い軍用機は発艦できない」と話す。

 遼寧が最大速度で航行するなか、艦載機は向かい風で揚力をつけて飛び立つ。「スキージャンプ方式」と呼ばれるが、遼寧のエンジン出力が足りず、十分な速度が出ない。日本政府関係者は「軍事的な脅威度は高くない」と語る。中国の場合、空母を中心とした攻撃部隊の構成に不可欠な早期警戒機や潜水艦などの能力も足りない。中国軍内部にすら、能力に加え巨額の維持費が必要な空母の戦略的な意味を疑う声があるとされる。

 それでも、日米の視線は上海市にある造船所から離れない。ドックの大きさを計算した結果、「間違いなく新たな空母を建造している」(日本政府関係者)と判断しているからだ。

 中国が2020年までの完成を目指す新空母は「太平洋進出の意思を明確に示したもの」(自衛隊関係者)とされる。新空母はスキージャンプ方式ではなく、米空母と同じ蒸気カタパルト(艦載機の射出装置)を導入するとみられるからだ。米シンクタンク・戦略予算評価センターのクラーク研究員によれば、中国海軍の呉勝利司令官は最近、蒸気カタパルトを導入する考えを米側に示唆した。蒸気カタパルトこそ、過去60年間、米軍がほぼ独占してきた極秘の技術だ。(ワシントン=機動特派員・牧野愛博)

 (2面に続く)

戦闘機発艦、米空母に新技術
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11315437.html

 (1面から続く)

 数年前、東シナ海で行われた日米合同演習。米空母キティホークに乗艦した海上自衛隊関係者は、F18戦闘攻撃機が白い蒸気をたなびかせて、次々と発艦する光景を目撃した。

 米軍が10の空母に装備する蒸気カタパルトは、艦載機を圧縮した蒸気で加速。複雑な運用術を駆使し、地上への攻撃が可能な重い軍用機も含め、90秒間に1機の割合で発艦させられる。

 中国軍の追い上げを受け、米軍は現在、蒸気カタパルトの上を行く新技術「電磁カタパルト」の開発を急ぐ。電磁力で艦載機を発射させる仕組みで、米海軍の航空システム部隊などによれば、2017年ごろまでの完成を目指す新空母ジェラルド・フォードに装備する。60秒間に1機の発艦が可能になる。

 米軍は空母に最大の脅威となる敵の潜水艦を探す能力の維持にも怠りがない。04年11月、海自のP3C哨戒機が中国軍とみられる潜水艦を発見した。自衛隊関係者によれば、米軍も同時に数百キロ離れた海域から潜水艦の位置を把握、日本に情報を提供した。関係者は「そんなに離れた場所から潜水艦を見つける技術は今も日本にはない」と語る。

 米軍には、潜水艦を探すソナーを駆使するうえで必要な膨大な秘密のデータが集約されている。音響に決定的な影響を与える海底地形や塩分濃度、潮流などの資料、世界の艦船の音源などだ。7月、ハワイ沖に出現した中国情報収集艦も、こうしたデータの収集を試みた可能性があるという。

 キティホークに乗艦した海自関係者が視察を拒まれた場所が二つあった。

 一つは世界中に散った核兵器を搭載する米戦略原潜の位置を示したスクリーン。もう一つは艦底付近のエンジンルーム近くのボイラー室だった。蒸気カタパルトの動力源にあたる場所だったからだ。

 米国戦略予算評価センターのクラーク研究員は蒸気カタパルトについて「60年前からある技術。中国も導入はできる。だが、90秒ごとの発艦は難しい。米国が長年培ったその技術を教えるわけがない」と語った。

◆ 電磁銃開発、日本に情報の壁

 昨年秋、防衛省・自衛隊の関係者が西日本の防衛産業を視察し、「ステンレスの塊のような大砲」(参加者)の写真を見た。この企業が研究していたのは、電力を使って弾を発射する電磁銃「レールガン」。企業側は「火縄銃から薬莢(やっきょう)式銃への変化に等しい技術革命だ」と説明した。

 防衛省技術研究本部(技本)によれば、火薬を使う銃弾の速度は秒速約2千メートルが限界だが、レールガンは同5千~7千メートルに達する。速度に比例して破壊力も増す。薬莢が不要なので、より多くの銃弾や砲弾を艦船などに積み込める。

 防衛省の視察と同じ頃、米国の研究機関が米中両海軍が対決する図上演習を行った。現有戦力では米軍にかなり損害が出た。レールガンを配備したと仮定した演習では、米側は圧倒的勝利を収めた。米専門家によれば、米軍のレールガン開発は16年ごろに洋上実験を始められる段階まで進む。実験から5年以内の実戦配備を予測する声もある。

 日本も1980年代に開発を開始。神奈川県相模原市にある技本の陸上装備研究所で実験が続く。ただ、大電力に耐えられる材質の開発や安定的な電力供給が難しく「基礎研究を超えられない段階」(関係者)にとどまっている。

 ここにもやはり、情報の壁がある。技本が実験で使う電力は1メガジュール。米国の使用電力の30~60分の1とされるが、実際の数字は知るすべがない。技本関係者は「米国が最も進んでいる。独仏中も開発しているだろう」と話すが、お互いの交流はほとんどない。

◆ レーダー、漏洩覚悟で稼働

 12年12月12日。北朝鮮が発射した長距離弾道ミサイルの航跡をいち早くつかんだのは台湾だった。北部、新竹県楽山で試験運用中だった「長距離早期警戒レーダー」。当時、台湾国防副部長だった楊念祖氏は「全航跡を把握した」と証言する。

 レーダーは、1995年から96年にかけての台湾海峡危機を契機に米国が提供を決めた。当時、中国が射程600キロの弾道ミサイル「東風15」などを海峡に撃ち込んだからだ。米国は中国の弾道ミサイルを、最大脅威の一つとみている。

 中国軍は日本や米本土を射程に収めるミサイルを保有。洋上を航行する米空母を直撃できる弾道ミサイルも開発しているとされる。追跡可能な距離が3千キロにも達するという楽山レーダーは米本土防衛の役割も果たすとみられる。

 ただ、陳文政・台湾淡江大学助教授によれば、13年2月の本格運用開始時、レーダーの可動範囲は、中国大陸に向けた60度に制限されていた。軍事関係筋は「台湾に必要以上の情報を与えれば、中国に漏れ伝わりかねない」と指摘する。

 12年2月には、台湾軍の情報将校が中国軍に情報を漏洩(ろうえい)していた事件が発覚。この事件の端緒をつかんだのは、米連邦捜査局(FBI)だった。陳助教授は原因について「金や女性の誘惑のほか、大陸への親近感も影響している」と語る。

 楊氏によれば、米国はその後、可動範囲を300度近くまで広げることに同意した。情報漏れの懸念はあるが、軍事関係筋は「中国の弾道ミサイルへの米国の危機感が強まっているからだ」と語る。可動範囲が広がった楽山レーダーは、自衛隊の艦船や航空機の動きも把握しているという。

 陳助教授は台湾国家安全会議諮問委員だった07年、台湾に代表部を置く某国の責任者に警告した。「貴国の要人の会談記録が中国にハッキングされていますよ」。なぜ、台湾が知っているのか。陳氏は答えた。「簡単です。中国の情報をハッキングしたからですよ」(牧野愛博、冨名腰隆、渡辺丘、台北=鵜飼啓)

◆ リニア、軍事転用の懸念も

 米中間の軍事技術のせめぎ合いは、日本企業にも無関係ではない。注目されているのがJR東海のリニア技術だ。東京―名古屋間を40分で結ぶ「夢の超特急」の駆動力を、空母のカタパルトや軍艦のレールガンに転用できないかというのだ。

 超伝導が生み出す強い磁力を生かしたリニアの最高時速は約500キロ。艦載機発艦に必要とされる約300キロを超え、原理的にはカタパルトへ転用が可能だ。しかし、コイルをマイナス269度に冷やす膨大なエネルギーの確保が難点だ。

 一方、遠距離に弾丸を撃ち出すレールガンには、リニアは「力不足」。JR東海幹部は「リニアは、あくまで鉄道を浮上させて走らせる目的で開発をしてきた」と、軍事転用の可能性を否定する。ただ、今後は有望な軍事技術になりうる。米国の軍事専門家は「リニアとレールガンの技術には共通点が多く、リニアを輸入する意味はある」と明かす。

 リニア技術が軍事転用される可能性はないか――。4月中旬、記者に問われた菅義偉官房長官は「技術的なことはよく分かりません」と述べるにとどめた。

 JR東海はいま、リニアの海外への売り込みを進める。第一の標的は米国。JR東海の葛西敬之名誉会長は「(米国が日本の)同盟国で、国益のベクトルが同じだから」と説明する。4月の日米首脳会談では、安倍晋三首相がオバマ大統領に技術を無償で提供する考えを伝えた。

 一方で中国への輸出は念頭にない。00年代半ば、川崎重工業などが新幹線技術を中国に供与したところ、その後中国側が「独自開発の国産新幹線」と宣伝した苦い記憶があるためという。

 ある政府関係者はこう解説する。「リニアは軍事転用の恐れもあるからこそ、絶対に信用できる米国とやりたい。リニアは『日米同盟の象徴』なのだ」(井上亮、大日向寛文)

     ◇

 世界の情報戦争を描いた非情世界は今回で終了します。今年末、このシリーズをまとめた書籍を朝日新聞出版から刊行します。

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2014年5月5日
無人機攻撃、深い闇 テロ対策、CIA多用
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11120145.html

 中東イエメンの首都サヌア郊外。のんびりと走る自動車が、突然、ミサイルで攻撃された。乗っていた8人は全員、即死だった。昨年1月23日のことだ。

 教育指導員ムハンマド・カウリさん(40)は、「ドローン」と総称される無人機によるこの攻撃で、小学校教師の弟(当時33)と大学生のいとこ(同22)を亡くした。弟らは市場で出会った武装した男6人に頼まれ、近くの村に送っていくところだったという。

 カウリさんは攻撃の理由をイエメン内務省に尋ねた。しばらくして、「亡くなった人々は国際テロ組織アルカイダとは無関係だと分かった。不幸な死だった」と記された書面が届いた。検察に捜査を求めたが「背後に米国がいる」と拒まれた。

 イエメンやパキスタンで、無人機の一つ「リーパー」などを操るのは米国の情報機関、中央情報局(CIA)。職員だったドナルド・グレッグ元駐韓米大使によれば、CIAはカーター政権で中止した暗殺などの軍事的な活動を、2001年の同時多発テロ以降に再開した。無人機攻撃はテロ組織を掃討するための代表的な手段の一つだ。

 米国の無人機は、全地球測位システム(GPS)によって地球の裏側からでも操縦できる。ブッシュ、オバマ両政権は「民間人の犠牲者や(米国側の)戦死者を出さず、安価に攻撃できる」(米政府幹部)として多用した。ワシントンの外交筋は「失業状態だったCIAの軍事部門の士気が大いに上がった」と語る。

 ところが、無人機攻撃の拡大につれ、誤爆や巻き添えの被害が次々に報告されている。米シンクタンクの推計では、無人機攻撃による死者数は、イエメンとパキスタンだけで約2900~4500人。このうち民間人は330~400人とみられている。

 しかし、実態は依然として闇の中だ。国連や人権団体の求めにもかかわらず、米政府は作戦の中身をほとんど公開していない。同盟国の日本も例外ではない。日本外務省関係者は「米国は、情報収集・分析の能力や武器の性能を知られるのを嫌っている」と語る。

 CIAは軍事部門を有する世界で数少ない情報機関だが、軍隊ではない。CIAによる無人機攻撃には、市民を戦闘対象から除くことを定めたジュネーブ条約違反の影もつきまとう。

 米国と同じ行動を中国や北朝鮮が取り始めたらどうなるのか。今年度から5年間で3機の無人偵察機を導入する自衛隊、日本も無関係ではいられない。 (サヌア=春日芳晃、村山祐介)

 (2面に続く)


2014年5月5日
顔・声紋、照合しても誤爆
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11120100.html?ref=reca

(1面から続く)

 昨年5月、パキスタン北西部の部族地域にある北ワジリスタン地区。反政府武装組織パキスタン・タリバーン運動(TTP)の幹部が無人機の攻撃で死んだ。幹部は家屋に潜んでいたとも、車で移動中だったともされた。

 外交筋によれば、幹部は部族間の仲裁を終えたばかりだった。謝礼として受け取った電子コーランに、無人機のミサイルを誘導する発信器が仕掛けられていた。同筋は「内通者が発信器を取り付けた」と語る。

 米軍事関係筋は「ドローン(無人機)攻撃には、インテリジェンス(情報収集・分析活動)が不可欠だ」と語る。

 日米などの政府関係者や専門家によれば、世界各地に米中央情報局(CIA)の軍事部門要員がいる。彼らは大使館ではなく、独自の施設に勤務。情報を提供する内通者を高額の報酬で募集して操る。

 内通者が送ってきた情報をCIAが管理する「標的リスト」と照合する。確認項目は名前や居住地など多岐にわたる。標的の写真を撮り、声を録音する。保存した写真や声紋と一致するかどうかを確認するためだ。

 条件が一致すれば、攻撃に移る。無人機のミサイルを標的まで誘導するため、発信器を仕掛けたり、地上からレーザーを当てたりする。こうした情報は米本土にある無人機を操作する基地に、刻々と送られる。

 操作の最小単位は3人。パイロット、レーダーやカメラなどを確認するスキャナーマン、状況判断する作戦コーディネーターだ。複数の人間が標的が情報と一致するかを確認したうえで、「エクスキュート(執行)」を命じる。(図〈6〉)

 それでも誤爆や民間人の巻き添えは絶えない。

 まず、「ストローの穴をのぞくような」(米専門家)無人機の画面を見ながら、操作する難しさがある。さらに、内通者の情報が不十分な場合もある。身の危険から標的について十分な確認ができないことも多い。日本政府関係者は「数少ない好機を逃せず、巻き添え被害が出ることを覚悟で攻撃する場合もあるのだろう」と語る。

 (ワシントン=機動特派員・牧野愛博)

◆ 内通者探し、テロ組織抗争

 地上からの標的情報が欠かせない無人機攻撃は、民間人の巻き添えのほかにも、様々な悲劇や混乱を招いている。

 パキスタンでは2004年以降、320回以上の無人機攻撃が行われた。国防省は昨年10月、攻撃が本格化した08年以降、武装勢力の2千人以上が殺害され、民間人の巻き添えは67人だったと発表した。民間人の死者は数百人に上るとの見方もある。

 標的は、隣国アフガニスタンでテロや攻撃を繰り返す反政府勢力タリバーンと、共闘関係にあるパキスタン・タリバーン運動(TTP)の幹部や戦闘員、さらにTTPがかくまうテロ組織アルカイダ系の外国兵だ。TTPは、誰かがメンバーの所在情報をCIAや、パキスタン軍情報機関に流していると疑い、スパイ探しに躍起だ。

 部族地域にあるTTPの根拠地、北ワジリスタン地区では11~12年ごろ、TTPが内通者と疑う人物を捕らえて拷問し、スパイ関与を自白させる様子を録画。町の広場で公開処刑した後、自白内容のビデオを住民に配る事件が相次いだ。多くはぬれぎぬだったとみられているが、住民には強い警告になった。

 疑心暗鬼はTTPの内部にも広がる。09年、当時の最高指導者ベイトゥラ・メスード司令官が第2夫人用の自宅に滞在中、無人機攻撃で殺害されると、TTPはスパイ関与を疑って、第2夫人の父親と叔父を拘束し、うち1人を殺害した。

 昨年11月には後継者のハキムラ・メスード司令官も無人機攻撃で死亡。その半年前には、ハキムラ司令官と後継の座を争ったワリウル・レフマン幹部も無人機で殺害された。双方のグループは断続的に抗争を繰り返し、4月だけで約40人が死亡した。互いに相手方が所在情報をCIA側に流したと疑っていることが、抗争の一因とされる。

 無人機攻撃を武装勢力をたたく有効な手段とみるパキスタンの歴代政権は、CIAの作戦を黙認してきた。現政権がTTPと和平交渉を始めた昨年末以降、爆撃はないものの、無人機は上空を飛び続けている。TTPのシャヒドゥラ・シャヒド報道担当は「パキスタンが相変わらず主権国家ではないことを物語っている」と主張した。 (イスラマバード=武石英史郎)

◆ 無人偵察機、日本も配備へ

 4月に起きた北朝鮮による核実験騒ぎ。日本政府関係者の一人は「領空外から偵察できる無人偵察機があれば随分違うのに」と語る。日本政府は4基の情報衛星を持つが、北朝鮮の同じ地点を24時間態勢では監視できない。上空に衛星がいない時に、核爆弾の運び込みや坑道の封鎖が行われると、危機がどこまで迫っているのか把握が難しい。

 日本政府は、今後5年間で無人偵察機3機を配備する。高高度偵察機「グローバルホーク」が有力だが、防衛省幹部は「国内議論がまとまらず、世界の流れに遅れた」と語る。昨年9月には、中国の無人機が尖閣諸島上空近くを初めて飛行した。政府内には「将来は無人攻撃機の導入も検討したい」という声もある。

 米軍の情報将校としてアフガニスタンなどで従軍したデレク・ハービー元米陸軍大佐は無人機について「敵を潰すために価値の高い標的を特定するうえで不可欠だ」と語る。

 だが、不安もつきまとう。無人機を巡る国際的な取り決めはまだない。米国が「テロとの戦争」を理由に、ジュネーブ条約が禁じる市民の殺害に関与している可能性は高い。国連でも昨年10月、専門家が米国に説明を求めたが、事態は進展を見せていない。

 専門家の中には「中国がチベットなどで『テロ容疑者』への無人機攻撃に踏み切っても、米国は文句を言えないだろう」という指摘まである。

 こうした懸念について、日本の立ち位置ははっきりしていない。外務省幹部の一人は「問われれば、判断する立場にない、と答えるだろう」と語る。「これほど、他国の主権を侵害するやり方はない。だが、同盟国である米国が様々な政治判断のうえで決めたことには口を出さない」 (牧野愛博)

◆ ミス積み重なり誤りも ジョン・ジャクソン米海軍大教授

 米無人機の実態について、米海軍大学で無人機のシステムや運用を教えるジョン・ジャクソン教授に聞いた。

     *

 CIAは、米同時多発テロが起きた2001年秋以降の早い時期に、アフガニスタンで使い始めた。02年にはイエメンで、その後にパキスタンでも使うようになった。

 無人機攻撃の運用は、非常に注意深く行われている。地上にいる人からの情報、電話や無線などの電波情報を総合し、攻撃する。攻撃命令は複数の人間が連携して行う。米国にある指揮所にはパイロットや(探知装置を扱う)センサーオペレーター(スキャナーマン)がいるが、その背後にも数人が控える。攻撃時、パイロットが目標を見つけ、センサーオペレーターが攻撃対象かどうかを確認。法的な問題も考慮し、最後に指揮官が攻撃を命じる。パイロット1人が攻撃を決める有人飛行機よりも良いプロセスだ。

 目標を識別する方法も複数ある。多くの場合、地上にいる人間が照準器で目標にレーザーを当て、ミサイルを誘導する。

 (標的にひそかに発信器をつけることは)実際にあったかどうか、答えられない。発信器を使えば、目標の発見や攻撃がより簡単になるのは事実だ。昔は一つの目標の攻撃に数百発の爆弾を使った。今は様々な技術を使って、一発の爆弾やミサイルで目標を簡単に攻撃できる。

 米国には日本と同じように自衛する権利がある。パキスタン政府は、タリバーンやアルカイダを掃討できない。こうしたテロ組織が米国を攻撃するまで待つことは、我々にはできない。

 (民間人の犠牲者がパキスタンなどで479人に上るとされることについて)全員が無人機の犠牲者なのかどうか、はっきりしない。どんな戦争でも市民の犠牲者は生まれる。無人機は、他の兵器に比べて市民の犠牲者を減らせると信じる。(誤爆は)機械故障の場合もあるし、人からの情報が誤っている場合もある。小さなミスの積み重ねが誤りにつながる。

 米国は、無実の市民を殺す敵と戦っている。今、我々が取り組むのは、従来はなかった戦争だ。敵の姿や行動を知るために、インテリジェンス(情報収集・分析活動)はこれまで以上に重要になっている。 (聞き手=牧野愛博)

 08 26 (火) (非情世界 信義なき情報戦争)中国軍の台頭、どう分析 米海軍大学の専門家、4人に聞く   

2014年8月26日
中国軍の台頭、どう分析 米海軍大学の専門家、4人に聞く
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11316765.html

 米国は、中国軍の海洋進出や軍改革の現状などをどう分析しているのか。米海軍大学(米ロードアイランド州ニューポート)の中国海事研究所(CMSI)で、中国研究の中核を担う専門家4人に話を聞いた。

 (ニューポート=機動特派員・牧野愛博)

◆ 南シナ海、目的は挑発 ピーター・ダットン所長

 南シナ海での中国の最近の行動の目的は、石油掘削ではなく、ベトナムへの挑発と、それに対する反発を引き出すことだ。中国の反応は極めて調整されている。単なる軍事行動ではなく、複数の政府部署が横断して関わっている。地域の司令官クラスが担当しているとは考えにくい。

 中国は2020年までに強国になり、50年までにグローバルパワーになると主張してきた。中国は海からの攻撃を避けるため、周辺海域を支配する力が必要だと信じている。過去、日本にも海から攻撃された。海からの攻撃に弱いことを自覚しているから、この戦略は重要なのだ。

 中国が将来、軍事挑発に踏み切るかどうかはわからないが、中国の大半の指導者は軍事挑発が極めて危険だということを認識している。費用が膨大になると知っているからだろう。それは中国経済に悪影響を与える。

 習近平(シーチンピン)国家主席の統制は効いている。中国軍が政府の許可を受けずに行動することはないと思う。

 米国の政策の一つは、東アジアで緊張を高めないよう中国の行動を抑制する幾つかのレッドラインを引くことだ。オバマ大統領が「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲」と述べたのは非常に重要で良いことだ。

 一方、主権の問題に中立という米国の政策は最も適切だ。主権を巡る日中双方の主張には長所と短所があるからだ。米国は軍事的解決を受け入れない。

◆ 日中不信、非常に危険 ライル・ゴールドステイン副教授

 中国とロシアの海上合同軍事演習には数年前から潜水艦も加わっており、すでに相当高いレベルにある。これは大きな進歩だ。5月の演習水域は東シナ海だった。少なくとも一部は東京に向けられたメッセージだと思う。

 ロシアの対潜水艦戦の経験は豊富だ。05年にロシア海軍大学を訪れた際、「中国の学生を大勢抱えている」と聞いた。

 興味深いことだが、中国は最近、ロシアへの潜水艦の注文をやめた。従来型の潜水艦は購入する必要のない水準に達したと思う。06年、中国潜水艦は米空母キティホークに接近した。

 水上艦の場合、空母でも戦艦でも見つかる。中国は、どんな防御も圧倒する多くのミサイルや砲弾を持っている。魚雷や対艦巡航ミサイル、機雷は中国から600~1千マイル離れた海域での水上作戦を不可能にする。私は、この海域での作戦は危険だと思う。航空基地もミサイルで攻撃される危険がある。

 米中関係は非常に難しい局面にあり、懸念している。ワシントンと北京の間には多くの疑念があり、小さな問題も紛争になりうる。尖閣諸島の問題は12年から起きている。南シナ海や朝鮮半島でも起きている。大国間の戦争になる確率は高い。

 中ロ関係の強化は、米国のリバランス政策への反応でもある。中国のナショナリズムは強烈だし、日中間では妥協に向けた動きが見られない。

 東シナ海で、日本は「中国は我々を支配しようというのか」と考える。中国は「日本は我々を尊敬しているのか」と疑う。水産資源やガスなどではなく、プライドやナショナリズムの問題であり、非常に危険だ。

 ワシントンは双方に極めて抑制的に接していると思う。米国は日中が交渉に入るよう圧力をかけたいし、それ以外の解決方法はない。日本は尖閣諸島には戦うだけの価値があるとみているかもしれないが、少なくない米国エリートはその考えを支持していない。

 日米同盟は非常に重要だが、立て直しが必要だ。日本はもっと独立した外交政策を持つべきだし、世界にもっと貢献すべきだ。

◆ 空母よりミサイル脅威 アンドリュー・エリクソン副教授

 中国は近海での制空、制海権を握るための能力開発を進めている。米国の大きな懸念は、中国が空母の弱点を狙う新型兵器を開発することだ。対艦弾道ミサイルがそうだ。

 中国の空母開発には幾つか未解決の問題がある。空軍力の弱い国々には脅威だが、ハイテクの防衛力を持った日米には同じような脅威にはならない。我々が最も懸念すべきことは、中国によるミサイル開発だろう。ただ、米国が空母の新たな開発をやめるべきだという意味ではない。

 米国と台湾の公式資料は、中国軍には少数の対艦弾道ミサイル「東風21」が配備されているとするが、私はそうは思わない。中国は強いメッセージを好んで送る。我々の一部は、中国がより強い能力を持っているのではないかと疑うようになる。これが中国のやり方だと思う。

 中国のステルス型戦闘機「殲(せん)20」は、以前の中国航空機に比べれば発見が容易ではないが、ステルス機とは言い難い。中国が高品質のエンジンを作ることは困難だと思う。大量の燃料で巨大な熱源を発生させれば容易に見つかってしまう。殲20が撃墜できるのは速度の遅い航空機だけだろう。

 我々は中国による07年の衛星攻撃兵器実験から、中国のミサイル産業がいかに発展しているかを知った。彼らは宇宙の非軍事空間化を唱えているが、対衛星兵器の制限については提起も賛同もしない。明らかに彼らはやっている。中国の技術書は彼らがレーザーなどを研究している事実を示しているし、様々なタイプの電磁兵器にも興味を示し、調査しているようだ。

 中国は核兵器の使用には慎重だが、米国の衛星に対する中国の先制攻撃は排除されないと思う。中国は対宇宙能力開発の制限には応じないだろう。

 米国と同盟国は優位な立場を維持する必要があり、現状の維持、地域の平和と安定を望んでいる。米国と同盟国は、中国の指導者が現状を壊す試みが良い考えだと思わないように、いかなる中国の軍事力も抑止できる能力を維持しなければならない。巡航、長距離、対艦などのミサイルの能力が必要だ。

◆ 陸軍主導、脱却の動き ナン・リー教授

 中国軍は共産党の軍であり、国内政治に強く関与してきた。中国軍の原型は陸軍で、海空軍は主役ではなかった。興味深いのは天安門事件から25年が経ち、中国軍が国内の政治や治安ではなく、対外的な作戦に動員されていることだ。第2砲兵は戦略ミサイル部隊。国内向けではなく、核抑止力のためのものだ。

 ただ海空軍、第2砲兵であっても、陸軍がほとんどの決定を支配している。陸軍には総司令部がなく、各軍区ごとに動いている。習近平国家主席は陸軍に総司令部を作り、海空軍などと同列の軍に変えたいと考えている。そうすれば、東シナ海などと向き合う南京軍区を様々な機能を持つ米太平洋軍司令部のように作り替えることができる。

 今、中国軍は約230万人だが、海軍は28万人、空軍は40万人、第2砲兵は15万人程度。全軍を同等に扱えば、陸軍を減らし、他に分配できるようになる。これが習主席が考える中国軍の再建策だと思う。

 習主席が中央軍事委員長に就任すると同時に、多くのメンバーが引退した。習主席は古いネットワークを取り除き、信頼を寄せる人物たちを起用し、非常に強い地位を得た。

 昨年1月、中国海軍フリゲート艦が海自護衛艦に火器管制レーダーを照射したとされる。私の理解では習主席は火器管制レーダーのような戦術的な問題には関与しないと思う。

 習主席の試みは、中国軍の中で多くの不満を生んでいる。例えば、軍楽団は報酬を得てきた外部活動ができなくなった。試みは成功するだろうが、改革には長い時間がかかるだろう。

 尖閣諸島問題で中国は主権があることを国民に示したい。この問題で紛争があるというのが中国の立場だからだ。中国は島を奪うための攻撃はしないと思う。

◆キーワード

 <米海軍大学中国海事研究所(CMSI)> 米海軍の教育機関とシンクタンクを兼ねる米海軍大学で2006年、海洋進出が著しい中国を研究するために設立された。軍事や海洋法、経済など様々な分野で調査を行う。20人弱の教授陣のうち、ダットン氏が所長を、リー教授ら3人がコアメンバーを務める。

 08 26 (火) 武装襲撃、口閉ざす住民 中国・新疆、事件現場から   

2014年8月26日
武装襲撃、口閉ざす住民 中国・新疆、事件現場から
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11316808.html

 7月下旬、武装グループによる大規模な襲撃事件が起きた中国・新疆ウイグル自治区カシュガル地区ヤルカンド県。規模や原因がいまだにはっきりしない事件の現場を、記者が訪ねた。住民らは当時の不穏な状況を証言。事件への関与を問われて拘束される人が後を絶たないという。当局は事件の情報が外部に漏れるのを厳しく統制している。

◆ 死者数、当局発表と相違も

 カシュガル地区は人口の約9割をウイグル族が占め、民族対立が深刻な地域だ。

 当局の発表によると、事件が起きたのは7月28日朝。おのや刃物を持った覆面姿の集団が地元政府庁舎や派出所を襲った後、路上で車両を破壊し、住民を殺害した。漢族35人とウイグル族2人が殺され、13人が負傷。警察は容疑者59人を射殺した。

 当局は事件をウイグル独立派組織「東トルキスタン・イスラム運動」が関与した「テロ」と断定。自治区政府当局者は朝日新聞に「射殺された容疑者は全員ウイグル族だ」と説明した。一方で、米政府系のラジオ・フリー・アジアによると、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」は、事件で少なくとも2千人のウイグル族が当局によって殺害されたと主張する。

 「おまえはウイグル族か? ウイグル族ならついてこい」。ウイグル族の男性トラック運転手(47)は事件当日の午前4時ごろ、覆面姿の男たちに車を止められた。子どもから50代ぐらいまでの100人近いウイグル族が興奮した様子で、一部は「イスラム教徒は一緒に行こう」「漢族は出て行け」と叫んでいた。

 運転手はすきで腕を切りつけられ、顔を殴られた。周囲には数百メートルにわたって破壊された車両が横たわっていたという。男たちに理由を尋ねると「おまえには関係ない。国に捕まえられたのはおれたちの息子で、おまえの息子じゃない」との答えが返ってきた。家族を当局に拘束されたことに怒りを抱いた人たちが今回の事件を起こした可能性を示唆する証言だ。

 別のウイグル族男性(22)は、モスク(イスラム礼拝所)でウイグル族の若者たちが、当局に不当に拘束されたことへの不満が事件の原因だと伝え聞いた。

 20代のウイグル族女性は事件当日、家の外に物を取りに行った際に乗用車が爆発するのに出くわし、家に戻った後に発砲音も聞いたと語る。60代の父親が今月4日に連行された。現場近くの監視カメラに写っていたのが原因らしい。約2週間後に戻った父親は、何があったかを一言も話さないという。

◆ 「今も毎日連れ去られる」

 当局は事件後、ウイグル族への取り締まりを一層強め、インターネットを遮断して報道を制限している。

 ウイグル族男性は「『テロリストを見つけたらすぐに通報するように。報奨金も出る。夜は危ないから外に出ないように』と当局に言われている。留置場は人でいっぱいだ」。現場近くに住むウイグル族女性(30)は「今も毎日、住民が当局に連れ去られている。当局は逃げた人間がいないか、民家を一軒一軒しらみつぶしに調べている」と語った。

 記者は今月18、19の両日にヤルカンド県に入った。事件直後に行こうとして阻まれた地元政府庁舎にはたどりついたが、現場に近づくにつれ、当局が住民に厳しい箝口令(かんこうれい)を敷いている様子がうかがえた。

 現場から35キロほど離れたヤルカンド県内で、ウイグル族の老人は「絶対に行かない方がいい」と言った。複数のタクシー運転手は現場に向かうのを拒んだ。「あそこはあまりにも敏感。住民と言葉を交わしただけで捕まるぞ」

 「事件翌日に住民が集められ、事件の話をしてはいけないと当局者に念押しされた」「事件についてむやみに話すなと、当局から言われた」。こうした住民の声が相次いだ。

 (ヤルカンド=金順姫)

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 08 27 (水) 経団連、献金呼びかけへ 5年ぶり再開、政策へ影響力   

2014年8月27日
経団連、献金呼びかけへ 5年ぶり再開、政策へ影響力
    http://digital.asahi.com/articles/DA3S11318645.html

 経団連は会員企業への政治献金の呼びかけを5年ぶりに再開する方向で検討に入った。安倍政権との「二人三脚」路線を加速して政策への影響力を強めるためで9月にも正式決定する。ただ、国民から「政策をカネで買う」との批判が強まる可能性がある。

 6月に就任した榊原定征会長が再開を検討する方針を表明。会員企業の間で議論を重ねており、9月上旬の会長・副会長会議などで共通認識として確認したうえで、正式に経団連としての考えを打ち出す。事実上、特定政党への献金を呼びかける方向だが、かつての自民党政権時に続けていたような具体的な献金額を企業や業界団体に割り振る「あっせん方式」はとらない方針だ。

 法人税減税や労働時間規制の緩和など安倍政権の成長戦略は、経済界の意向に合う内容が目立つ。献金への関与再開でさらに企業に有利な政策の実現を目指す。

 ただ、経団連の献金への関与には国民の批判が根強く、これまでも経団連の対応は二転三転してきた。非自民連立政権の誕生などを受け、「あっせん方式」は1993年で廃止。その後04年には自民、民主両党の政策を5段階で評価し、その結果をもとに企業に献金を促す方式で関与を復活させた。しかし、これも民主党政権の誕生で10年から中止した。政策評価は13年から再開しているが、「献金とは連動しない」と中立性を強調してきた。(稲田清英)

【下平】

“政官財の癒着”あからさまに始まった。 基本的には国民の代理者が国会議員諸君である。 国民の大多数が反対する財界と政治家の癒着があからさまに始まるのである。 こんなバカなことが日本で堂々と行われようとしている。 「死の商人」が始まっているのです。

お人よしと思われている国民は、またもそっぽを向いた無関心を装うのだろうか? 若者よ、目を覚ませ !!  正義感や平等感、不正を許さない毅然とした心を表わせ !!

われわれの東洋思想や仏教思想は、一体どうなっているのか !!  テレビのミーハー族に心まで染まってしまったのか !! 

  ‘後悔先に立たず’と伝えられてきた祖先の教えはプッツリ切れてしまったのか。 拝金主義に走る亡者に目覚めてもらおう !!  再び精神の自由も肉体の自由も、家族そろっての平安な暮らしも、いっさい政官財の亡者によって破られてしまう !!

人としてのバックボーンが奪われてもいいというのか。

“政官財の癒着”が歩む日本の未来は、総理の言う国民の安全と平和は‘絵に描いた餅’で極めて無責任な巧言そのものであり、国民を泥沼に突き落とすことになるのです。 “政官財の癒着”の責任は宰相にある。 論語を引き合いに出さずともいいのだが、総理は『巧言令色鮮いかな仁』の教えをどこへ吹き飛ばしてしまったのだろうか。 知と行の哲学はどこへ行ってしまったのでしょうか。

「人に喜んでもらうように生きる」それが人が守らなければならない人生哲学の根底ではなかったのか。 齢はとったがこころ穏やかではない。