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折々の記 2015 ②
【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】03/07~     【 02 】03/08~     【 03 】03/09~
【 04 】03/11~     【 05 】03/18~     【 06 】03/22~
【 07 】03/28~     【 08 】03/31~     【 09 】04/03~

【 05 】03/18

  03 18 自衛隊の海外活動拡大、世論調査   反対52%賛成33%
  03 18 中国、69年地図に「尖閣」日本名 外務省HPで公表   日本の外務省は何故いま公表なのか
  03 18 米軍に弾薬提供可能に 地理的制約なくす   日米防衛指針
  03 20 田中宇の国際ニュース解説②   怪しい雲行
  03 21 安保法制の基本方針   与党正式合意 法案具体化へ

 03 18 (水) 自衛隊の海外活動拡大、世論調査    

2015年3月17日 http://digital.asahi.com/articles/DA3S11653770.html
自衛隊の海外活動拡大、反対52%賛成33% 朝日新聞社世論調査   この事実を大事に

自衛隊の海外派遣の制限を緩めたり
他国の軍への後方支援をしやすくし
たりして活動を拡大することに

その他答えないは省略

平均  賛成 33%  反対 52%
男性  賛成 44%  反対 46%
女性  賛成 22%  反対 57%

 朝日新聞社は14、15の両日、全国世論調査(電話)を実施した。自衛隊の海外派遣の制限を緩めたり、米軍など他国の軍隊への後方支援をしやすくしたりして、自衛隊の活動を拡大することについて聞いたところ、「反対」は52%で、「賛成」の33%を上回った。▼4面=内閣支持率、質問と回答

 ◆18歳選挙権、賛成48%

 政府は、集団的自衛権の行使容認などを盛り込んだ昨年7月の閣議決定をもとにした新たな安全保障関連法案を今国会に提出する予定で、自衛隊の海外活動の拡大は、その柱の一つだ。今回の調査では「反対」が多数だったが、男女差が大きく、男性は「賛成」44%、「反対」46%と拮抗(きっこう)したのに対し、女性は「賛成」22%、「反対」57%だった。

 支持政党別に見ると、自民支持層は「賛成」49%、「反対」39%で、公明支持層も「賛成」がやや多めだった。しかし、民主支持層は14%対79%と「反対」が多数で、維新支持層も「反対」が5割を超えた。

 集団的自衛権を行使できるようにする法案への賛否も聞いたところ、「賛成」は32%で、「反対」の44%の方が多かった。女性は「賛成」19%、「反対」48%だったが、男性は「賛成」46%、「反対」39%と賛否が逆転している。自民、公明、民主の各支持層の賛否は、自衛隊の海外活動拡大への賛否と同様の傾向を示したが、維新支持層は異なり、「賛成」が5割に達し、「反対」を上回った。

 一方、選挙権の年齢を20歳から18歳に引き下げることについては、「賛成」は48%で、「反対」の39%より多かった。

【▼4面】

「18歳成人」賛否並ぶ 反対半数割れ 朝日新聞社世論調査
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11653758.html

 朝日新聞社の全国世論調査(電話)で、選挙権を18歳に引き下げることの賛否を聞いたところ、「賛成」の48%が「反対」の39%を上回ったが、民法の成人年齢を18歳にすることについては、43%対44%で賛否がほぼ並んだ。少年法の対象年齢は「18歳未満に引き下げた方がよい」が81%で、「20歳未満のままでよい」の11%を引き離した。▼1面参照

 2008年12月にも、同じ質問をした。18歳選挙権については、「賛成」が38%で、「反対」の57%の方が多かった。しかし、昨年4月には44%対46%と賛否が接近。今年1月には45%対41%と「賛成」が「反対」を上回り、今回は、その差が少し開いた。20~40代の「賛成」がやや多めで、それぞれ5割以上だった。

 成人年齢の引き下げは、08年12月に聞いた時は「賛成」が37%で、「反対」の56%の方が多かった。今回は差が縮まったが、20代は「反対」がやや多めで、5割を超えた。

 少年法の対象年齢については、08年12月と傾向は変わらなかった。今回、20代の「20歳未満のままでよい」がやや多めで、2割だった。

 ◆内閣支持46%に微減

 安倍内閣の支持率は46%(前回2月調査50%)で、やや下がった。不支持率は33%(同31%)だった。

 国の補助金を受けることが決まった企業からの政治献金問題をめぐる安倍内閣の対応を見て、安倍内閣のイメージがどうなったかを尋ねると、「変わらない」が50%と最多で、「悪くなった」は41%、「よくなった」は1%だった。「悪くなった」と答えた人では、内閣支持率は34%で、不支持率は49%だった。

 企業・団体献金を「すべて禁止するべきだ」は39%で、「その必要はない」は41%だった。自民支持層は29%対53%で、「その必要はない」が多数派だったが、民主支持層は62%対26%で「すべて禁止するべきだ」が多かった。企業・団体献金の全面禁止法案を提出している維新の支持層も6割が「すべて禁止するべきだ」と答え、公明支持層も全面禁止派の方が多かった。

 ◆世論調査 質問と回答

 (数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。◆は全員への質問。◇は枝分かれ質問で該当する回答者の中での比率。〈 〉内の数字は全体に対する比率。丸カッコ内の数字は2月14、15日の調査結果)

 ◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。

 支持する46(50)
 支持しない33(31)

 ◇それはどうしてですか。(選択肢から一つ選ぶ=択一。左は「支持する」46%、右は「支持しない」33%の理由)

 首相が安倍さん  14 〈6〉  9 〈3〉
 自民党中心の内閣 23〈11〉 24 〈8〉
 政策の面     44〈20〉 54〈18〉
 なんとなく    17 〈8〉  9 〈3〉

 ◇(「支持する」と答えた46%の人に)これからも安倍内閣への支持を続けると思いますか。安倍内閣への支持を続けるとは限らないと思いますか。

 これからも安倍内閣への支持を続ける  49〈22〉
 安倍内閣への支持を続けるとは限らない 47〈21〉

 ◇(「支持しない」と答えた33%の人に)これからも安倍内閣を支持しないと思いますか。安倍内閣を支持するかもしれないと思いますか。

 これからも安倍内閣を支持しない 61〈20〉
 安倍内閣を支持するかもしれない 31〈10〉

 ◆今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。

 自民38(40)▽民主8(7)▽維新2(2)▽公明3(4)▽共産3(4)▽社民1(1)▽生活0(0)▽次世代0(0)▽太陽0(0)▽元気0(0)▽改革0(0)▽その他の政党0(0)▽支持政党なし37(35)▽答えない・分からない8(7)

 ◆国の補助金を受けることが決まった企業からの政治献金についてうかがいます。こうした政治献金をめぐる安倍内閣の対応を見て、安倍内閣のイメージはよくなりましたか。悪くなりましたか。変わりませんか。

 よくなった  1
 悪くなった 41
 変わらない 50

 ◆企業や団体の政治献金を、すべて禁止するべきだと思いますか。その必要はないと思いますか。

 すべて禁止するべきだ 39
 その必要はない    41

 ◆今の国会に提出される予定の安全保障関連法案についてうかがいます。集団的自衛権を使えるようにする法案に賛成ですか。反対ですか。

 賛成 32 反対 44

 ◆自衛隊の海外派遣の制限を緩めたり、アメリカ軍など他の国の軍隊への後方支援をしやすくしたりして、自衛隊の活動を拡大することに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 33 反対 52

 ◆国会議員などを選ぶ選挙権の年齢を20歳から18歳に引き下げることに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 48 反対 39

 ◇(「賛成」と答えた48%の人に)それはどうしてですか。(択一)

 判断力が十分にあるから           18 〈9〉
 若者の意見を政治に反映できるから      60〈29〉
 多くの国で18歳から選挙権を認めているから 18 〈9〉

 ◇(「反対」と答えた39%の人に)それはどうしてですか。(択一)

 判断力が十分でないから          70〈27〉
 投票に行く若者が少ないから        13 〈5〉
 「選挙権は20歳から」が定着しているから 13 〈5〉

 ◆民法では、成人の年齢は20歳と定められており、20歳未満の未成年者は、結婚や契約の際、親の同意が必要となります。民法の成人の年齢を18歳に引き下げることに賛成ですか。反対ですか。

 賛成 43 反対 44

 ◆少年法では、20歳未満を「少年」と定め、罪を犯した場合、原則として刑務所ではなく少年院で教育するなど、成人とは違った扱いになります。少年法の対象年齢は、20歳未満のままでよいと思いますか。18歳未満に引き下げた方がよいと思いますか。

 20歳未満のままでよい     11
 18歳未満に引き下げた方がよい 81

 ◆4月にある統一地方選挙について、どの程度関心がありますか。(択一)

 大いに関心がある  16
 ある程度関心がある 46
 あまり関心はない  32
 まったく関心はない  5

 ◆お住まいの市区町村の議会が、住民の声をどの程度反映していると思いますか。(択一)

 大いに反映している   2
 ある程度反映している 40
 あまり反映していない 46
 まったく反映していない 7

 ◆お住まいの市区町村の行政や政治に、どの程度満足していますか。(択一)

 大いに満足している   2
 ある程度満足している 52
 あまり満足していない 35
 まったく満足していない 7

 〈調査方法〉 14、15の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の有権者を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は3978件、有効回答は1921人。回答率48%。

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 03 18 (水) 中国、69年地図に「尖閣」日本名 外務省HPで公表   

2015年3月17日
中国、69年地図に「尖閣」日本名 外務省HPで公表
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11653763.html

 外務省は16日、沖縄県の尖閣諸島について、中国政府が1960年代末に発行した地図など、かつて中国が尖閣諸島を日本の領土と認識していたことを示す資料を同省ホームページで公表した=写真。中国が領土をめぐる対外発信を強化するなか、日本の主張の正当性を示す狙いがある。

 資料のうち、今回同省が初公開したのは、69年に中国の「国家測絵総局」(当時)が作製した地図。尖閣諸島が「尖閣群島」と日本の名称で記されている。ほかに、60年の同総局直属出版社作製の地図では「尖閣群島」とされていたのに、72年にはこの表記が消えて中国呼称の「釣魚島」と記載されるなど、中国が71年を境に変更したことがわかる。

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【下平記】何故今になっての公表なのか? 


北京=倉重奈苗 2015年3月18日00時36分
尖閣と日本名明記の地図「見たことない」 中国外務省
   http://digital.asahi.com/articles/ASH3K5RXGH3KUHBI01Q.html?iref=com_rnavi_arank_nr01

 外務省がホームページで、尖閣諸島を日本領土と認識していた中国政府発行の地図を公表したことについて、中国外務省の洪磊副報道局長が17日の定例会見で反論した。

尖閣と日本名表記、中国政府発行の地図に 外務省が公表
http://digital.asahi.com/articles/ASH3J6GVGH3JUTFK00M.html
尖閣と日本名表記、中国政府発行の地図に 外務省が公表
2015年3月16日21時03分

 外務省は16日、沖縄県の尖閣諸島について、中国政府が1960年代末に発行した地図など、かつて中国が尖閣諸島を日本の領土と認識していたことを示す資料を同省のホームページで公表した。中国が領土をめぐる対外発信を強化するなか、日本の主張の正当性を示す狙いがある。

 資料のうち、今回同省が初公開したのは、69年に中国の「国家測絵総局」(当時)が作製した地図。尖閣諸島が「尖閣群島」と日本の名称で記されている。資料ではほかに、60年の同総局直属出版社作製の地図では「尖閣群島」とされていたのに、72年にはこの表記が消えて中国呼称の「釣魚島」と記載されるなど、中国が71年を境に地図を変更したことがわかる。

 69年の地図は、2月の衆院予算委員会で自民党の原田義昭衆院議員が資料として示し、岸田文雄外相が戦略的な対外発信の重要性を指摘していた。尖閣諸島については、中国が昨年末に領有権を主張する中国語のサイトを立ち上げ、今月には日本語と英語版も開設するなどアピールを強めている。今月4日、菅義偉官房長官は記者会見で、これらのサイト立ち上げについて中国外務省に抗議したことを明らかにし、サイトの削除も求めた。

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 洪副報道局長は「その地図を見たことがない」としたうえで、「釣魚島(尖閣の中国名)が中国固有の領土であることは否定できない事実であり、歴史的、法的根拠がある。1枚や2枚の地図を見つけたからといって覆せない」と主張した。

 さらに洪副報道局長は「必要なら、100枚でも1000枚でも中国に属すると明示した地図を見つけ出すことができる」と述べた。(北京=倉重奈苗)

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 03 18 (水) 米軍に弾薬提供可能に 地理的制約なくす   日米防衛指針

2015年3月18日05時00分
米軍に弾薬提供可能に 地理的制約なくす 日米防衛指針
   http://digital.asahi.com/articles/photo/AS20150318000322.html

 日米両政府は自衛隊と米軍の役割分担を決める「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の改定で、米軍への後方支援を大幅に拡大する方針を固めた。米軍への弾薬提供や離陸直前の米戦闘機への給油を可能にする。日本周辺に限定していた地理的な制約もなくす。改定は、日米の軍事協力を地球的規模に広げ、軍事力を強める中国に対抗する狙いがある。▼3面=進む一体運用

 ■4月にも改定合意見通し

 日米両政府は4月下旬にも外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を開き、改定に合意する見通しだ。

 自民、公明両党は現在、集団的自衛権の行使を認めた昨年7月の閣議決定に基づいて、安全保障法制や日米協力のあり方などを議論している。両党は20日にも基本方針を決める。政府は、関連法案作りを進めるのと同時に、日米の新ガイドラインにこの方針を反映させる。

 現在のガイドラインは、自衛隊が米軍を後方から支える地域を、日本周辺であり、かつ戦場から離れた「後方地域」(非戦闘地域)に限定している。新ガイドラインでは、こうした地域の限定を取り払い、自衛隊が世界中で米軍に協力できる枠組みに作り替える。

 活動内容も拡大する。これまでは活動内容を給水・給油やけが人への医療提供などにとどめている。新たなガイドラインでは、戦闘が行われている現場でなければ、自衛隊による米軍への弾薬提供や、発進準備中の米軍の戦闘機など航空機への給油をできるようにする。

 日米の連絡体制も強める。防衛省の地下にある中央指揮所に米軍幹部が常駐する方向で調整中だ。中央指揮所は事実上の自衛隊の最高司令部にあたる。有事から災害時まで連携を強める狙いだ。

 一方、日米両政府は後方支援とは別に、武力行使の分野でも協力を深める考えだ。

 安倍政権は昨年の閣議決定で、他国への攻撃だが、そのまま放っておけば日本にも危険が及ぶ場合に限って、集団的自衛権を使うことができる「武力行使の新3要件」を決めた。ガイドラインには新3要件を明記する。(今野忍)

 ◆キーワード

 <日米防衛協力のための指針(ガイドライン)> 日本が他国に攻撃されたときや、周辺国での有事(戦争)で自衛隊と米軍の具体的な役割分担を定めた文書。冷戦下の1978年、旧ソ連の日本侵攻に備えて、初めて作られた。東西冷戦終結後の97年の改定では、北朝鮮の核開発疑惑やミサイル発射実験を受け、朝鮮半島有事を想定。今回改定されれば18年ぶりとなる。

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 03 20 (金) 田中宇の国際ニュース解説② 4回分   怪しい雲行

日本の政治は、ますます『怪しい雲行』になってきた。

政治家の論議はますます国民感情とかけはなれ、さらに急速の度を速めている。 ひとりよがりの積極的平和主義という言葉は、心の世界の仕組みをよく理解していない幼い子どものような言葉遊びに似ている。

衣川の合戦問答にたとえてもいい。 指導者によってその支配下の者たちは、カインの末裔<http://bewithgods.com/hope/doc14/14-3.html>の運命をたどる以外の道がなくなるのです。

日本の舳先に立つ人たちが個人の立場に立たず、寄らば大樹の自己放棄をしてしまっています。 烏合の衆となって陽気まかせ風まかせになっています。

『広く会議を起こし万機公論に決すべし』 自由と平等が担保され、それが確保されているのでしょうか。 自由も平等も、字句と意味の解釈にとどまり、具体的行動の理解・解釈の深さにはいたっていないと思います。

日本の政治は、ますます『怪しい雲行』なのです。


2015/03/20
田中宇の国際ニュース解説② 4回分<3/8, 3/11, 3/14, 3/17>
   田中宇の国際ニュース解説① 5回分<2/22, 2/25, 3/1, 3/3, 3/5>
      <http://park6.wakwak.com/~y_shimo/momo.534.html>

◆茶番な好戦策で欧露を結束させる米国
 【2015年3月17日】 米国は、ロシアと戦争する気がないのに、今にも対露開戦しそうな雰囲気を醸し出している。なぜなのか。冷戦状態(米国が欧州を傘下に入れてロシア敵視を恒久化する策)を再現したいのか。それならドイツを怒らせるのは大間違いだ。ドイツだけでなくフランスやイタリアも米国への信頼を失い、親露的になっている。米国の茶番な好戦策は、冷戦機関であるNATOを強化するどころか、逆に解体している。

金本位制の基軸通貨をめざす中国   【後載】①
 【2015年3月14日】 中国勢が今回、ロンドン金市場に参入した理由は、30余年にわたる中国の金地金備蓄が一段落したので、ロンドンやNYの金市場で長らく行われてきた、金相場を下落させる不正操作をやめさせる動きを開始するためと考えられる。中国政府は、多極型の複数基軸通貨による世界体制を将来の前提として、金本位制を意識しつつ、人民元を基軸通貨の一つに育てようとしている。米英がドルや債券といった紙切れ資産の価格を守るために、紙資産のライバルである金地金の相場を先物を使って引き下げている現状が続く限り、金本位制が機能しない。だから中国は、国有銀行群をロンドン金市場に参入させ、金相場の下方歪曲をやめさせようとしている。

QEの限界で再出するドル崩壊予測   【後載】②
 【2015年3月11日】 ドルの発行者である米連銀は、日欧の中央銀行を巻き込んでQEを続け、ドルと米国債の価値を維持しようとしている。「ドル高は米経済の強さを表している。ドルや米経済が崩壊するはずがない」という見方は、ドル高がQEという持続困難な策によって不健全に維持されていることを忘れている。QEをやらなければ、すでにドルや米国債は世界経済を巻き込んで崩壊していた可能性が高い。QEは、長くて数年程度の延命策でしかなく、QEが効かなくなった後の金融崩壊はQE前よりひどいものになる。リーマン危機直後の初めてのG20サミットで語られた「ブレトンウッズ体制の終わり」が、また議題になるだろう。

露呈するISISのインチキさ
 【2015年3月8日】 中東のISIS(イスラム国)は、米国やNATOが全力で倒そうとしているはずの仇敵だ。日米欧では、そう報じられている。ところが最近、米軍やイラク軍がISISと戦っているイラクの現場で、米国や英国の飛行機やヘリコプターが、ISISに武器や食料を空輸して投下しているのが多数目撃され、イラクの政府軍や民兵が、こうした利敵行為をする米英の飛行機やヘリを撃墜する事件が相次いでいる・・・



【後載】①
金本位制の基軸通貨をめざす中国

 【2015年3月14日】3月20日、英国ロンドンの金地金市場で改革が実施される。ロンドンは、世界中の金価格を決定する最重要な金市場だ。従来の値決め方法は、バークレイズ、HSBC、ソシエテなど4つの大手銀行が毎日午前と午後、自行を経由する売り買いの価格を突き合わせ、相場動向を話し合って金価格を決定してきた。この値決め方法(Gold Fix)は、大英帝国(英国覇権)の時代だった1919年から続いてきたが、3月19日で終わる。 (ICE to replace London Gold "fix" from March 20 - LBMA) (London Gold fix is on the outs)

 20日からは、価格決定に参加する銀行が11行に増えるとともに、参加行を経由する金取引が単一のシステム内で電子化され、30秒ごとに成立した売買を集計した価格が出る(新システムは未発表の部分が多く、11行という数字も確定でない)。価格形成が銀行間の談合でなく実際の取引で決まるので、相場の透明化につながる。従来の制度は、銀行界の利害(金相場を下げるほど、債券や株など「紙切れ金融商品」が上がりやすい)を反映した不正な価格操作が行われていたと指摘されてきただけに、需給を直接に反映した新制度は改善だと評価されている。 (操作される金相場)

(ロンドン金相場での銀行界による恣意的な値決めは、米国が1971年のニクソンショックの金ドル交換停止に踏み切る前、ドルが金本位制だった1960年代、米政府がドルを過剰発行する中で、何とか金相場を下げないで1オンス=35ドルの公定価格を維持するための策として「ロンドン金プール」として公然と行われていた。この官制「不正」相場操作がニクソンショックで破綻した後、表向き不正操作はなくなったが、毎日の相場を見ると値決めの時間帯の直前に金相場が変動するので、市場関係者の間では、銀行界による不正操作がずっと行われているというのが常識だった) (China's Great Leap Forward Towards Gold Market Dominance)

 当局黙認の金融界による金相場の不正操作の手口は、ロンドンでの値決め談合だけでない。現在の世界の主要な金市場は、ロンドンもニューヨークも先物市場であり、現物のやりとりなしの差額決済だけの「紙切れ」市場なので、商いが少ない時間帯に大量の売り注文を出して相場を急落させられる。ロンドン市場を透明化しても、NYで先物売りして相場を操作できる。 (金地金の復権) (操作される金相場(2))

 ロンドン金市場の今回の大改革で最重要な点は、市場の透明化でない。最重要の点は「中国の参入」である。3月20日以降、ロンドン金市場を構成する11行の中に、中国の4大銀行のうち2-3行が入ると予測されている。中国は昨年、ロンドン金市場が4大銀行の従来体制だった間に、4行のうち1行の参加権を中国の国有銀行が買い取って参入する構想を持っていたが、英国側が、市場の改革と同時にやることを決めたため、今年まで参入がずれ込んだ。中国勢の参入が重要なのは、中国が世界最大の金地金保有国であり、中国政府が30年前からの長期政策として政府や民間の富を金地金で蓄財し、世界の金価格を従来の米英による先物主導型から、中国が得をする現物主導型に切り替えていくことを国家戦略にしているからだ。 (金地金不正操作めぐるドイツの復讐)

 最近まで、中国の金地金保有量はそれほど多くないと考えられてきた。公式発表だと、中国の中央銀行である人民銀行の地金保有は約千トンだ。世界第7位だが、米国の8千トン、ドイツの3千トンに比べてかなり少ない。しかし中国は、07年から14年までの7年間で9千トン近くの地金を輸入しており、国内での金産出量も同時期に2千トン以上あった。輸入や採掘のうち何割が政府の保有になったのかわからないが、人民銀行は金保有を少なめに発表しており、実際の金保有は少なくとも2千-3千トン以上と推測されている。中国政府は2002年以来、自国民に金地金による蓄財を奨励しており、政府と民間の合計の金保有は2万5千トンと概算されている。 (How The World Is Being Fooled About Chinese Gold Demand)

 金融分析者(Alasdair Macleod)によると、中国政府は、改革開放の高度経済成長戦略を始めて間もない1983年に、高度成長によって増える政府と民間の財産の価値の目減りを防ぐため、金地金の保有を積極的に増やす長期戦略を決定した。地金の輸入を自由化する一方、輸出を厳しく統制し、すべての地金の売買が中央銀行(人民銀行)を経由する制度にした。この戦略から、中国政府が当初から通貨(人民元)と金地金の価値を結びつけ、金本位制を意識したことがうかがえる。2002年までの19年間は、中央銀行のみが金地金を貯め込み、国民(人民)に自由な金保有を許さなかったが、02年に国民の地金保有と売買を自由化し、上海に中国初の金地金市場(上海黄金交易所)を創設し、急速に豊かになる中国人が地金で蓄財することを奨励した。 (The New London Gold Fix And China)

 90年代から00年代にかけて、米英の債券金融システム(紙切れ資産、金融覇権)の急拡大を受け(紙切れが敵視する)金地金の価格が安い時代が続いた。この間に、中国政府は国民が安く地金を買えるようにして、政府と民間の両方に大量の金地金を貯め込ませ、中国の富が金地金に裏付けられている状況を作った。驚くべきは、中国政府がこの長期戦略を、ほとんど世界に知られず(注目されず)に続けてきたことだ。この30年の中国の金地金備蓄は、第二次大戦後のブレトンウッズ体制(ドル覇権)の基盤になった大戦前後の米国の金地金の蓄財に匹敵する歴史的な規模だ。米国の金備蓄がドル覇権を可能にしたように、中国の金備蓄は今後の人民元覇権を可能にしうる。 (Marc Faber: Prepare for a Gold-Backed Chinese Currency)

 中国の国有銀行群が今回、ロンドン金市場に参入した理由は、30余年にわたる金地金備蓄が一段落したので、ロンドンやNYの現物の受け渡しをしない「紙切れ」系の金市場で長らく行われてきた、金相場を下落させる不正操作をやめさせる動きを開始するためと考えられる。中国政府は、多極型の複数基軸通貨による世界体制を将来の前提として、金本位制を意識しつつ、人民元を基軸通貨の一つに育てようとしている。しかし、米英がドルや債券といった紙切れ資産の価格を守るために、紙資産のライバルである金地金の相場を先物を使って引き下げている現状が続く限り、金本位制がきちんと機能しない。だから中国は、国有銀行群をロンドン金市場に参入させ、金相場の下方歪曲をやめさせようとしている。 (Will the Shangai Fix fix the Gold Market?) (通貨戦争としての金の暴落)

 上海金取引所は昨年9月、外国人に同市場での金地金の取引を許可し、人民元建てで金地金の現物取引を行う国際金市場としての体裁を整え始めた。この動きは、中国政府が進める人民元の国際化の動きと連動している。人民元建ての世界の貿易総額はすでに円やユーロを抜き、元はドルに次ぐ世界第2の通貨になったが、まだ国際化の途上にある。上海の金地金市場は元建てで、ほとんどが中国国内の取引だが、ロンドンやNYといった「紙」の市場と違って、現物の受け渡しがさかんに行われる「本物」の市場で、上海は本物の地金市場として世界最大級だ。 (Shanghai Gold Exchange Delivers 38 Tons of Gold in Last Week of February)

 今後、人民元の国際化が進むほど、上海金市場の金相場が、世界的な地金の現物価格として認知されうる。そうなると、米英金融界がロンドンやNYの金相場を先物売りで下落させても、現物取引の上海の相場は動かず、米英の金価格が現物不在の「紙」の力で形成されたことが人々にわかってしまう。この状況下で、ロンドンの金市場の会員になっている中国の国有銀行群が、紙(先物)の力による相場の歪曲を是正する圧力をかけるだろう。長く続いてきた米英での先物よる金相場の歪曲は、しだいにやりにくくなる。 (Chinese Gold Fixing to Have `Decisive Influence' on Global Prices)

 世界の金の価格が米英の市場で決定される従来の体制が続き、米英の金市場の相場が先物で下方歪曲されている限り、資産の備蓄を金地金で行うのは、金融システムが混乱している途上諸国の人々か、一部の「金おたく」だけだ。しかし、最近のように米日欧の中央銀行がドルと債券を守るために自滅的な通貨の大増刷(QE)を続けていると、いずれ円やドルに対する信用が失墜し、対照的に、金地金が持つ原始的な富の備蓄機能が見直される。そうした中で、中国の人民元が金本位制を意識した基軸通貨の一つとして台頭するとともに、中国がロンドンで金相場の下方歪曲をやめさせると、金相場の上昇が引き起こされる。 (日銀QE破綻への道) (QEやめたらバブル大崩壊)

 ドルや債券に対する信用が低下し、対照的に金相場が上昇すると、金地金をETFや預り証、消費寄託??といった「紙切れ」でなく、現物として保有しようとする人が増える。しかし、ロンドンやNYの金市場には金地金がなく、金地金を保有しているつもりの人々の大半が、実は紙切れを保有しているにすぎないことに気づき、世界的な「金の取り付け騒ぎ」になる。 (金地金の売り切れ)

 地金の受け渡しを前提とする上海金市場の地位が上がり、ロンドンやNYの市場の地位が下がる。こうした流れの中で、債券(紙切れ)金融システムに支えられた米英の金融覇権が崩れ、対照的に、30年間ひそかに国内に金地金を貯め込み、金本位制を意識した人民元の国際化を進める中国の台頭が加速する。中国政府のシナリオはこのようなものだろう。 (◆金地金の反撃)

 グリーンスパン米連銀元議長が昨年末、ドルを「紙切れ」と同義である「幽霊通貨」と呼び捨て、5年以内の金地金の高騰を予測したが、彼は今回の中国の金本位戦略の本格化を知っていたのかもしれない。 (◆金融危機を予測するざわめき) (◆陰謀論者になったグリーンスパン)

 今の世界において、有力な市場は、放っておくとどんどん「紙」化する。その市場の価格形成力を流用し、金融界が新たな金融商品(デリバティブ)をどんどん作って売るからだ。紙の資産は、発行者に信用力(または詐欺力)がある限り無限に発行でき、現物の地金よりはるかに強い(信用が失われた状態では、地金の方がずっと強いが)。中国政府は、自国の市場と連動した市場が外国に作られることを阻止している。米国の金融市場システム会社であるICEが最近、中国の綿と砂糖の商品先物市場(ZCE)をそっくり真似た市場をシンガポールで開設しようとしたところ、中国側から提訴を含む阻止行動が起こされ、開設計画が頓挫している。従来の米英金融覇権下では、他国の市場に連動した市場を作ることが自由だったが、今後中国が台頭して覇権が多極型になると、そのようなことができなくなる。 (China legal threat dents ICE's Singapore plans)

 米英はもともと「自由市場」の推進役だった。その米英が、自分たちの覇権を守るために金相場を不正に下方歪曲していることは皮肉だが、その歪曲行為をやめさせて世界の金相場を自由市場に戻そうとしているのが、自由市場から最も遠い印象の「共産主義」を信奉する中国であるのはもっと皮肉だ。 (習近平の覇権戦略)

 中国の覇権戦略が有望であるのは、英国が近年、中国の台頭に積極的に協力しているからでもある。第一次大戦までの覇権国だった英国は、第二次大戦中に米国に覇権を譲渡し、戦後は多極型の覇権体制(ポツダム体制)を作ろうとした米国を隠然と阻止するため米ソ対立を煽って冷戦体制を作ったり、ニクソンの金ドル交換停止後に債券金融システムによる米英金融覇権体制を準備したりして、覇権の黒幕として機能してきた。その覇権の黒幕である英国が、リーマン危機後、米国の覇権に見切りをつけ、中国にすり寄っている。 (中国主導になる世界の原子力産業)

 中国は、米国覇権体制の一部であるIMFや世界銀行、アジア開発銀行などにおいて、主導国の一つになることを希望したが、米国がこれらの国際金融機関における中国の議決権の拡大を認めないため、それらに取って代わる国際金融機関を、BRICSなどと協力し、相次いで設立している。アジア開発銀行に対抗して中国が作ろうとしているのが、アジアインフラ投資銀行(AIIB)であるが、英国は最近、このAIIBに設立時からのメンバーとして参加することを決めた。 (UK and US in sharp row on how to deal with rising China)

 中国は、アジア太平洋地域のすべての国々にAIIBへの参加を要請したが、米国がAIIBを敵視したため、米国の同盟国である日本、韓国、豪州は参加を見送っている。それなのに、米国の最大の同盟国だったはずの英国は、中国にすり寄ってAIIBに加盟することを、米国にも相談せずに決めた。G7諸国でAIIBへの参加を決めたのは英国だけだ。米政府高官は「英国は(最近)ずっと中国にすり寄っている」と強い非難を放った。覇権黒幕技能が高い英国が、米国と離反しても中国に接近しているのは、米国の単独覇権体制が崩れ、中国を筆頭とするBRICSが米欧と対等になる多極型の覇権体制に移行しつつある現状を象徴している。 (US attacks UK's `constant accommodation' with China)

 英国が中国にすり寄り始めたのは2013年からだ。12年にキャメロン英首相はチベットのダライラマと公開の場で会い、中国を激怒させている(オバマも同時期にダライラマに会ったが、中国に配慮して非公開だった)。その後、キャメロン政権は一転して中国との経済関係の緊密化に力を入れ、最初は中国に冷たくされたが、めげずにすり寄り続けている。英国は香港の旧宗主国なのに、香港での反中国市民運動にも冷たい。 (How David Cameron lost, and then won, China) (金融システムの地政学的転換) (民主化運動で勝てない香港)

 3月20日からのロンドン金市場の改革で中国の発言権が急拡大することも、中国に対する英国のすり寄り策の一環だろう。ロンドン金相場の下方歪曲策が中国の圧力で終わりになると、紙切れにやられっ放しだった地金が盛り返し、米国(米英)の金融覇権(債券金融システム)が危険になる。1980年代の債券金融による米国の覇権戦略の立て直しは、英米が協力して行われた。米覇権の金融化は、英国の覇権の黒幕技能の発露だった。その金融覇権体制を崩すことにつながりそうな、ロンドン金市場の歪曲策の抑止や、IMF世銀体制崩し(AIIB設立)などを中国がやることに、英国が手を貸している。

 英国の中国すり寄り策から垣間見えるのは、かつて英国自身が発案した現在の米金融覇権体制(債券金融システム)の崩壊が不可避で間近であることだ。ドルや米国債が蘇生できる可能性がまだ残っているなら、英国が中国による米覇権崩しに協力するはずがない。英国は、中国が崩そうが崩すまいが、QEなど不健全な自滅策によって米国の金融システム(ドルや米国債、円)の崩壊が不可避であり、それならむしろ米国と離反して次の覇権国である中国にすり寄り、覇権の黒幕国としての英国自身の延命をはかった方が良いと考えているようだ。英中銀はQEを少ししかやっていない。 (「世界通貨」で復権狙うイギリス)

 覇権を論じる人の多くが「諸大国間の奪い合いの結果、覇権国が決まる」と述べてきたが、今の中国のやり方を見ると、覇権は奪い合うものでなく、こっそり準備するものであることがわかる。中国は、人民元を金本位制の国際基軸通貨の一つに仕立てる長期計画を、時間をかけて目立たないようにやっている。中国は、米国金融覇権の象徴である米国債を巨額保有しており、保有量を減らしているものの、急いで売り放ったりしない。ロンドン金市場への中国の参入も、英国に招待されて行ったものだ。中国は、ロンドンの金相場の決定権を得ても、すぐに金相場をつり上げないだろう。しばらく金相場が安い方が、中国の官民による地金の貯め込みが続けられ、むしろ好都合だ。 (経済覇権としての中国)

 しかし、今のように米同盟諸国(米欧日)の中央銀行が不健全なQEの永続化を余儀なくされ、世界経済を混乱させる事態が続く中で、中国はそろそろ人民元の基軸通貨化などの覇権戦略を顕在化した方が良いと考えているようだ。地政学的に中国の大事な同盟国であるロシアに対し、米国がウクライナ危機で濡れ衣的な経済制裁を続け、プーチンが中国に助けを求めていることも、中国が重い腰を上げるきっかけとなっている。プーチンは見返りに、ロシアの最新の軍事技術を中国に譲渡している。 (プーチンに押しかけられて多極化に動く中国) (China and Russia set to finalise gas deal) (How Putin Blocked the U.S. Pivot to Asia)

 米国(の資本家)自身、大昔から中国の経済台頭を望んできた。中国(など新興諸国)の地域覇権が拡大し、米国や欧州の覇権を割譲して多極型の世界体制にするのが、国連安保理常任理事国の体制(ヤルタ体制)を作ろうとした当時の米国の長期戦略だった。キッシンジャーやロックフェラー系のCFR(外交問題研究会)は、軍産英イスラエルなど米覇権ぶら下がり勢力に邪魔されつつ、多極化戦略の流れをこっそり今も受け継いでいる。オバマもCFRの申し子だ。中国(やロシア)にこっそり覇権を譲渡しようとしているのは米国自身ともいえる。 (多極化の本質を考える) (アメリカが中国を覇権国に仕立てる)

 中国政府は最近、IMFと交渉し、人民元を今年SDR(主要諸通貨を加重平均した単位。特別引き出し権)の対象に加えてもらうべく動いていることを明らかにした。SDRは、リーマン危機直後のG20サミットで、ドルに代わる基軸通貨体制の基盤になるシステムとして検討された。当時、米覇権の蘇生を信じた人々は「SDRなんかが基軸通貨として機能するはずがない。ドルで十分だ」と豪語していた。しかし再び今、ドルの危機(の裏返しとしてのQEの危険な永続化)、金地金の復権、そしてSDRについての言及が復活している。 (China-IMF talks underway to endorse yuan as global reserve currency) (Global Currency Soon? China "Actively Communicating with IMF to Include Yuan in SDR Basket Currency") (QEの限界で再出するドル崩壊予測) (ドルは崩壊過程に入った)

 今後、何カ月かでなく、何年かかかるかもしれないが、ドルや債券金融の再崩壊、基軸通貨制度の転換、米覇権の失墜と多極化、QEを率先して続けている日本の経済破綻、人民元の金本位制転換と基軸通貨化などが具現化するだろう。中国が紙切れ崩壊と金本位制転換に向けて地金を貯め込んでいるのと対照的に、日本は日銀のQEで紙切れ(円)を大増刷し、身を挺してドルを支えている。英国の動きを見れば、中国が勝ち組で日本が負け組だとわかる。「お上」(米国、軍産)に対する絶対の忠誠は、さすが日本人だが、対米開戦直前の日本帝国と同様、世界の状況把握をあまりに欠いており、すでに「無条件降伏」への道が透けて見える。 (中国が世界経済の中心になる?)

 中国が勝って日本が負けるという予測を述べると非国民扱いされる馬鹿げた事態も、戦時中と全く変わっていない。当時の日本は覇権的に自立していたが、今の日本は重症の対米従属依存で、その点で今の日本人は、戦前よりさらに退化した(無能になった)といえる。



【後載】②
QEの限界で再出するドル崩壊予測

 【2015年3月11日】2006-08年に起きた、米国中心の国際債券金融システムのバブル崩壊(リーマン危機)以来、世界の金融システムは長い延命期が続いている。米政府は当初、バブルを生みやすい金融システムの改革(透明度の向上)を掲げ、米議会はドット・フランク条項を10年に立法したが、同法は、運営の詳細を決定する際、金融界によって骨抜きにされた。金融システムは、当局からの資金注入(QE)で何とか延命している状態で、本気で改革したら再崩壊や世界経済のさらなる悪化をもたらす。改革できる状況でない。 (Global Bankers' Coup: Bail-In and the Shadowy Financial Stability Board) (Republican assault on Dodd-Frank act intensifies)

 債券を中心とする国際金融システムは、改革どころか、延命策を維持するのも難しくなっている。延命策の主体はQE(量的緩和策)で、中央銀行が通貨を大増刷して債券を買い支え、債券需要の減退を形だけ防いで金利上昇を食い止める策だ。買い手がいない債券を中央銀行が通貨発行して買うQEは、市場原理から見て不健全だ。短期間なら「中央銀行が買い支えているのだから安心だ」と考える投資家がつられて債券を買うが、中央銀行がQEをやめたら債券の暴落が必至なので、投資家はしだいに債券を買わなくなり、QEの効果が落ちる。需要のない債券を抱え込む中央銀行に対する信用も落ちる。QEは長く続けられない。 (QEやめたらバブル大崩壊) (QEするほどデフレと不況になる)

 米国の中央銀行である米連銀(FRB)は08年からQEを断続的に行ったが、不良債券をこれ以上抱えられなくなり、昨年10月にいったんやめた。同時期に米国から頼まれてQEを急拡大したのが日本銀行で、日銀のQEは、日本の株や債券を押し上げるだけでなく、為替市場を通じてドルに転換された資金が米国の債券や株の相場をつり上げた。しかし今年1月末から、日銀がQEをやっても日米の債券(国債)の価格が下がる(金利が上がる)現象がみられ、日銀のQEは早くも効果が薄れてきたのでないかと懸念されている。昨年から、日銀のQEは米連銀のQEより効果が薄いと指摘されていた。 (日銀QE破綻への道)

 すべての債券の原点と考えられている10年もの米国債の金利が3%を上回る状態が続くと危険だとされている。国債金利の高騰が続くと政府は財政破綻する。社債の金利上昇は、発行企業の信用喪失を示す。10年もの米国債の金利は、昨年初めに3%超まで上がったが、その後米日のQE続行で1・6%台まで下がった。しかし2月から反騰して2・2%台まで上がっている。マスコミは米国債の金利上昇を、米国の景気回復を示すものと「解説」しているが、景気が米国より悪い日本や英国でも、米国と同様の国債金利の動きになっている。金利上昇の原因は、景気よりもQEの効力低下だろう。 (10年もの米国債利回り)

 そもそも米国の景気回復は粉飾的だ。失業率が6%台から5・5%に下がってきたことが景気回復の根拠として示されているが、失業率の低下は統計上「失業者」の枠から外れる長期失業者が増えた結果でしかない。実際の米国の雇用市場は、原油安で採掘をやめる石油ガス田が増えたエネルギー業界で大量解雇が進み、小売店の閉店も相次いで、むしろ雇用減の傾向にある。米国で週30時間以上働ける仕事があるのは全成人の44%しかいない。 (Hallelujah! - Unemployment Plunges Due to 354,000 Americans Leaving the Workforce) (Only 44% Of U.S. Adults Are Employed For 30-Or-More Hours Per Week) (米雇用統計の粉飾) (揺らぐ経済指標の信頼性)

 米国では、納税している企業の総数が毎年6万社ずつ減り、40年ぶりの少なさの160万社になった。企業総数は1986年から100万社減った。毎年の企業数の減少(赤字転落・廃業)数は、リーマン危機を境に、4万社から6万社に加速した。米経済は回復しておらず、長期の凋落傾向にある。リーマン危機前は、金融界の儲けが他の経済分野に波及していたが、危機後はそれもなくなった。金融界すら、リテール(庶民対応)を縮小してQEに依存して儲ける傾向なので、人員削減を続けている。 (Number of Corporations in U.S. Hit Lowest Level Seen in 40 Years) (Is Washington Fabricating the Economic Data?) (Whatever Became of Economists (and the American Economy)?) (Gallup CEO Says He Might "Suddenly Disappear" After Calling Unemployment Stats A Lie)

 金融界は米国の今年の経済成長率を3%と予測してきたが、最近、米連銀内から、現在の成長率は年率1・2%しかないとする分析が発表された。 (GDP Shocker: Atlanta Fed Calculates Q1 Growth Of Only 1.2%)

 2月からの金利上昇を危険な兆候ととらえ、金融危機の再燃や、ドルの基軸性の喪失、米国覇権の崩壊、中国の台頭(人民元の国際化)など多極化を予測する指摘が最近増えた。予測は、有名な権威筋ほど示唆的な曖昧な言い方で、在野・無名の人ほど過激で露骨な言い方をするのが通常だ。有名筋どころでは、英国の投資家ロスチャイルド卿が、通貨の不安定、世界的な低成長に加えて、地政学的な危険さ(米露関係など)が第二次大戦以来の高さになっており、QEで株価が天井に達して資産価値の維持が難しくなっていると指摘している。 (Geopolitics most dangerous since WWII, Lord Rothschild warns investors) (Lord Rothschild Warns Investors: "Geopolitical Situation Most Dangerous Since WWII") (As Long As This Debt Based Fiat Currency System Continues With QE, Etc Interest Rates Will NEVER Rise Again Until Everything Blows Up And Collapses)

 ドルの発行者である米連銀は、日欧の中央銀行を巻き込んでQEを続け、ドルと米国債の価値を維持しようとしている。「ドル高は米経済の強さを表している。ドルや米経済が崩壊するはずがない」という、よくある見方は、ドル高がQEという持続困難な策によって不健全に維持されていることを忘れている。QEをやらなければ、すでにドルや米国債は世界経済を巻き込んで崩壊していた可能性が高い。QEは、長くて数年程度の延命策でしかなく、QEが効かなくなった後の金融崩壊はQE前よりひどいものになる。リーマン危機直後の初めてのG20サミットで語られた「ブレトンウッズ体制の終わり」が、また議題になるだろう。 (The Threat To The dollar As The World's Primary Reserve Currency) ("Monetary System, World Order We've Had Since 1940s Is Collapsing" Warns Richard Maybury) (Markets Are Now Beyond The Control Of The Fed) (「ブレトンウッズ2」の新世界秩序)

 権威筋なのに、過激で露骨な言い方を最近繰り返しているのは、米国のグリーンスパン元連銀議長だ。彼は昨年末、ドルを「幽霊通貨」と呼んでQEを批判し、金地金相場の上昇を予測した。最近では、米国の景気が粉飾されていることを示唆して「株価は明らかに高すぎる」と述べ、金利が上がり出すとバブル崩壊の可能性が高くなると言って、債券金融バブルの大きな崩壊と超インフレが近いと予測している。すでに述べたように、米英日の国債金利は1カ月前から上昇傾向にある。グリーンスパンの言うとおりなら、いつバブル崩壊が起きても不思議でない。 (陰謀論者になったグリーンスパン) (Alan Greenspan Warns of Explosive Inflation: "Tinderbox Looking For a Spark") (Greenspan's Insulting Admission Of Fed Culpability)

 今週からEUの中央銀行(ECB)がQEを開始(拡大)した。とたんにドルと米欧の株価が高くなり、金相場が急落するという、QEの典型的な反応が出た。日銀のQEの効果が下がるのにあわせてECBがQEに参戦したことにより、QEは全体的に再び効果のある政策として蘇生した感じだ。QEが効いている以上、ドルや債券システムの崩壊は先延ばしされている。グリーンスパンやロスチャイルド卿(両者は昔から親しい)の予測は「外れ」だと考えることもできる。 (ユーロもQEで自滅への道?)

 しかし、日銀のQEの効果が薄れた1月末以降、国債金利が上昇して危機感が強まり、その後EUがQEを始めたら相場の危機感が低下するというこの間の動きは、金融システムの安定がQEに依存しており、QEがなければバブル崩壊が起きることを示している。米国の圧力を受けていやいやながら開始されたEUのQEは、日銀のQEより効果が薄いだろうから、今年中にまた金融システムが不安定になりそうだ。米日欧という世界の3大経済圏のすべてがQEをやってしまっており、これ以上新たなQEの広がりはない。次回のシステム不安定化は、前回より大きいものになる。バブル崩壊が近づいているというグリーンスパンの見方は正しい。 (金融危機を予測するざわめき)

 ドルと米国債を頂点とする既存の国際金融システムが崩壊した場合、その後も機能しうる国際決済システムの一つは「金地金」「金本位制」だ。ドルから金地金へのきたるべき転換を見越してか、欧州やBRICS(中露印伯南ア)の諸国の中央銀行は最近、金地金を買いあさっている。ドル基軸制が崩壊した後でも機能しうる、もう一つの通貨システムは、中国やロシアが拡充している、ドルに頼らず相互の通貨を使うBRICSの新たな決済システムだ。BRICSは、IMFや世界銀行というドル基軸制(ブレトンウッズ体制)のための国際機関に代わりうるライバル組織として、BRICS開発銀行などをすでに設立している。 (習近平の覇権戦略) (覇権体制になるBRICS) (金地金の反撃)

 ここ数年、米国が中露を敵視するほど、中露はBRICSを率いてドル依存を低下し、ドルが崩壊しても使い続けられる国際決済機構を構築してきた。従来、銀行間の資金決済に不可欠な世界的なシステムとして、欧州に本部があるSWIFT(どの口座にいくら送金するか銀行間で情報を送受信するシステム)があり、米国はSWIFTをロシアに使わせない制裁を科そうとしている。これに対抗してロシアは中国に接近し、中露の国内の銀行間決済システムをつなげて国際化する計画を進めている。中国は、人民元の国際化政策と連動し、早ければ今年9月から、元の銀行間決済システムの国際化を行う。これらの動きは、中露やBRICSがドル決済やSWIFTに依存する度合いを減らし、きたるべきドル崩壊への対策になっている。 (The De- dollarization Axis: China Completes SWIFT Alternative, May Launch As Soon As September) (ロシアは孤立していない)

 従来のドル基軸制を守る組織であるIMFや世銀にとって、中露などBRICSが独自の体制を作ってドル離れを画策していることは敵視すべき脅威なはずだ。しかし実のところ、IMFはむしろBRICSのドル離れを「良いこと」と評価している。米国CNBCの報道によると、IMFのシノハラ副専務理事(日本の財務省出身の篠原尚之)は「ドルに依存しすぎると世界の経済システムが不安定になるので、アジアの新興諸国がドル以外による決済を増やすことは、むしろ奨励すべきだ」と述べ、中国やBRICSのドル離れを歓迎している。 (Is the dollar losing its clout among EMs?) (Currency Wars Continue As IMF Concedes End To dollar Hegemony)

 IMFは、ドル崩壊が垣間見えたリーマン危機の後、ドルの代わりにIMFの資金決済単位であるSDR(主要な通貨を加重平均した価値の単位)を使うことや、基軸通貨体制の多極化など、国際決済の非ドル化を模索していた。米連銀がQEによってドルの延命を模索した最近の数年間、IMFはSDRや通貨多極化の話をしなくなっているが、今後QEの限界が露呈するほど、再びSDRや通貨多極化、金本位制復活などの話が復活し、ドル崩壊後の世界体制の模索が再開されそうだ。 (ドル崩壊とBRIC) (きたるべきドル崩壊とG20) (しだいに多極化する世界)

QE(quantitative easing)とは

中央銀行が、市場に供給する資金量を目標として金融緩和を行うこと。非伝統的金融政策の一つ。中央銀行は通常、短期金利を誘導目標として金融市場調節を行うが、すでに超低金利政策を実施し、政策金利を引き下げる余地がない状況の中で市場への資金供給を増やす必要がある場合に導入される。量的金融緩和政策。QE(quantitative easing)。

[補説]日本銀行はデフレ克服を目的として、平成13年(2001)3月から平成18年(2006)3月まで量的緩和政策を実施。民間金融機関の日銀当座預金残高目標を引き上げ、長期国債や資産担保証券、銀行保有株式の買い入れを行った。市場に潤沢な資金が供給されたことから、短期金利は0.001パーセントまで低下し、実質的なゼロ金利政策となった。また、量的緩和の導入に際して、日銀が、消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比上昇率が安定的に0パーセント以上になるまで緩和策を継続すると約束したことから、時間軸効果が一定の効果を上げたとされる。

 03 21 (土) 安保法制の基本方針   与党正式合意 法案具体化へ

   http://digital.asahi.com/articles/ASH3N5GW5H3NUTFK00V.html

自衛隊の活動 安保法制でこうなる
  
 集団的自衛権米国を攻撃してきた第三国に反撃する
ペルシャ湾などシーレーンで機雷を掃海する
 他国軍の後方支援日本周辺だけでなく、世界のどこでも米軍や
  他国軍に給油・輸送など後方支援ができる
 国際的な平和協力活動PKO以外の人道復興支援、
  治安維持活動に参加する
任務遂行のために武器を使う
 グレーゾーン事態
  (武力攻撃に至らない事態)
練習中の米軍や他国軍を防護する
 その他武器を使って邦人を救出する
どこでも船舶検査ができる

 自民、公明両党は20日、自衛隊や国連平和維持活動(PKO)に関わる新たな安全保障法制の基本方針について正式合意した。政府はこの方針に沿って、安保関連法案の具体的な作成作業に入る。「専守防衛」を掲げながらも徐々に広げてきた自衛隊の海外での活動は、範囲・内容とも一段と拡大することになる。

 安倍内閣は昨年7月、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認めるとともに、他国軍への後方支援を拡大する閣議決定をした。憲法9条の下では、従来個別的自衛権の行使しか認められてこなかった。今回の正式合意で、自公が憲法解釈変更に基づく法律の枠組みを容認したことになる。

 与党は2月中旬から安保法制のあり方を協議。座長の高村正彦・自民党副総裁と座長代理の北側一雄・公明党副代表がまとめた基本方針の共同文書を20日、正式に決めた。

 現在、自衛隊が武力行使できるのは、日本が直接攻撃を受けた場合のみ。海外での活動は、朝鮮半島など日本周辺の有事の際、周辺事態法に基づき、補給や人員輸送など米軍への後方支援をすることや、PKOに限られる。PKOには「参加5原則」があり、武器使用は自己防衛のためだけに認められる。それ以外の国際貢献活動では、その都度、時限的な特別措置法を作ってきた。

 新たな法制では、他国への攻撃でも、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される「明白な危険」があると政権が判断すれば、集団的自衛権による武力行使ができる。周辺事態法も改正し、日本周辺に限らず、遠く離れた場所へも派遣が可能になる。

 また、自衛隊が戦争中の他国軍にいつでも後方支援できるように恒久法(一般法)を制定する。物資補給や人員輸送のほか弾薬の提供も可能になる。支援対象も米軍だけでなくオーストラリア軍などにも広げ、戦闘参加者の捜索や救助も可能とする。

 PKO協力法の改正では、米国中心の有志連合など国連が主導しない人道復興支援や治安維持活動にも参加可能にする。武器使用基準を緩め、任務遂行のための武器使用も認めるようにする。

 政府は今後法案の要綱や条文を作成し、自公はこれをもとに4月中旬以降に与党協議を再開。政府は5月中旬にも関連法案を国会に提出する。(小野甲太郎)