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折々の記 2015 ②
【心に浮かぶよしなしごと】

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【 09 】04/03

  04 03 ケニア 大学で銃乱射 学生147人死亡   殺人行為の拡大
  04 03 増税1年、消費回復限定的   増税の恩恵と強い節約志向
  04 03 憲法と国会 「緊急事態」論の危うさ   社説
  04 06 辺野古移設「絶対できない」 翁長知事、菅氏と平行線   沖縄県知事、県民の声を貫け

 04 03 (金) ケニア 大学で銃乱射 学生147人死亡    武器の製造・販売・殺人行為の拡大いつまでも

金曜日のニュース、人社会の不信感の脅威から殺戮の応酬社会へとかわっていく恐ろしさ。 地球上の一人の感覚判断での正当性を複数に流布することは許すべきでない。

ひとつの国家社会の判断は地球上すべてに流布される。

個人間の銃による殺人行為も、地球上のすべての人々の殺人行為へと流布されている。

武器の製造・販売・購入を拒否する。 それが人としてのあるべき判断です。

ニュースは次のように報じている。

NHKニューストップページ国際ニュース一覧 2015年(平成27年)4月3日[金曜日]4時50分
ケニア 大学で銃乱射 学生147人死亡
   http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150403/k10010037101000.html

東アフリカのケニアで、武装グループが、大学のキャンパスに押し入って銃を乱射し、これまでに147人の学生が死亡しました。ケニアの治安当局は、武装グループの4人を射殺し、隣国ソマリアに拠点を置くイスラム過激派組織の犯行とみて調べています。

ケニア東部のガリッサにある大学のキャンパスで、現地時間の2日午前5時半ごろ、押し入った武装グループが銃を乱射し、その後、学生寮の中に侵入して、一時、立てこもりました。
現地からの報道によりますと、この大学には800人余りの学生が在籍しているということで、ケニアの治安当局は声明を発表し、この銃撃で、これまでに学生147人が死亡し、79人がけがをしたことを明らかにしました。
現場では、治安部隊が突入作戦を行い、武装グループの4人を射殺して、制圧したとしています。
銃撃を受けてけがをした男子学生の1人は、地元メディアの取材に対し、「朝の礼拝をしていたときに、突然、部屋に数人が入ってきて銃撃を始めた。窓から逃げ出そうとしたとき、足を撃たれた」と当時の状況を語りました。
この銃撃について、隣国ソマリアに拠点を置くイスラム過激派組織「アッシャバーブ」は、2日、メディアを通じて犯行声明を出し、イスラム教徒の学生は解放し、キリスト教徒だけを殺害したとしています。
ケニアの治安当局は、大学を襲撃した武装グループが「アッシャバーブ」のメンバーとみて詳しく調べています。

 04 03 (金) 増税1年、消費回復限定的    増税の恩恵と強い節約志向

2015年4月2日朝日新聞デジタル(時時刻刻)
増税1年、消費回復限定的
百貨店は株高の恩恵 外食、強い節約志向

   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11683261.html

     消費増税の影響は長引いている
       昨年4月消費税8% 以降の折れ線グラフ
       家計消費支出(実質)
の折れ線
       新車台数の折れ線
       新設住宅着工戸数の折れ線  <新聞のグラフを見るほかない>
     消費増税の影響は長引いている/3月の日銀短観のポイント
       景気状況感覚の判断は横ばい
       景気状況判断指数(DI)は大企業・製造業がプラス12で
       横ばい。非製造業は大企業、中小企業ともに改善
       原油安、価格に影響
       仕入れ価格DIが原油安の影響などで下がり、利益を
       上げやすくなった
       設備投資は製造業で堅調
       大企業製造業の設備投資計画額(15年度)は過
       去の平均を上回ったが、非製造業は慎重
       強まる人手不足感
       人員の過不足を判断するDIは製造業、非製造業と
       もにすべての規模で不足感が強まる

 消費税率8%への増税の影響は政府の想定以上に長引いた。1日発表の日銀短観で景気回復の動きはみられたものの、消費を引っ張るのは主にお金持ちや外国人だ。政府は2年後、消費税率を10%に再増税する予定だが、庶民の財布のヒモは固いままだ▼1面参照

 東京・新宿の伊勢丹では10万円を超える紳士靴がよく売れている。2月以降の売り上げは、消費増税前の駆け込みがあった昨年の同じ時期と並ぶ。医師や弁護士、企業の役員など従来の顧客に加え、最近は株高でもうけた人の購入も目立つという。担当する中村良枝さん(43)は「最高級品に消費増税の影響は、さほどありません」と話す。

 全国の百貨店の2月の既存店売上高は前年同月を1・1%上回った。消費税率が8%に上がった昨年4月から10カ月続けて前年割れだったが、増税後初めてプラスに転じた。富裕層のほかに、円安で増えた外国人観光客の買い物も販売を押し上げた。

 名古屋駅前のJTBの店も、旅行の予約をする客でにぎわう。

 年金暮らしの名古屋市の男性(70)は、6月に友人と新潟の佐渡島へ行く。2泊3日の旅費は、1人あたり10万円近い。「株のもうけで遊ぼうと思い立った。人生は楽しまないと」

 中部経済を支えるトヨタ自動車は、円安を追い風に2015年3月期に過去最高の2・7兆円の営業利益を稼ぐ見通し。今春闘では前年を1300円上回る月4千円のベースアップを回答した。「トヨタをはじめとする大企業の賃上げで今後も好調が続くのではないか」。JTB中部は、そう期待している。

 しかし、消費の回復傾向が国内に広く行き渡っているとは言いがたい。

 総務省の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出額は、物価の影響を除く実質で今年2月は前年同月比2・9%減と、増税後11カ月連続で前年水準を下回ったままだ。支出の内訳をみても、全10項目のうち「食料」「住居」など8項目の実質支出額が前年を下回り、消費者の節約志向が根強いことを示している。

 日本チェーンストア協会加盟の総合スーパーなど60社の2月の既存店売上高も11カ月続けて前年割れ。小売り大手イオンの岡田元也社長は「円安や原料高で値上げします、と言ってもお客様は納得しない」。価格に対する消費者の視線は、いまだに厳しいとみる。

 居酒屋チェーンの「和民」は9日、ほとんどのメニューを10年ぶりに値下げする。昨春の消費増税にあわせて値上げしたが、売り上げが落ち込み、値下げに転じざるを得なくなった。経営するワタミの清水邦晃社長は「やや高い価格帯を狙ったが、割高だと思われた」と肩を落とす。

 中華料理チェーン「餃子の王将」も、昨年10月に値上げしてから、前年同月に比べた既存店の客足の落ち込みが5%ほどから10%前後に広がった。担当者は「消費者の節約志向は続いており、10円や20円の値上げにも敏感」と話す。

 消費回復の動きがなかなか広がらないのは、増税や円安を背景にした物価の上昇に、賃金の伸びが追いついていないからだ。大企業で活発になってきた賃上げが、中小企業の社員やパートら非正社員にどこまで波及するかも、今後の消費を左右しそうだ。

 ◆政権、てこ入れに懸命

 「日本経済の再生は順調だが、消費税率3%引き上げの影響は極めて大きかった」。菅義偉官房長官は1日の会見で、増税ショックが大きかったことを認め、今年10月に予定していた消費税率10%への再増税を2017年4月に延期した政権の判断を「間違っていなかった」と強調した。

 8%への消費増税は、財政再建には貢献した。14年度の国の消費税収は15・3兆円と前年度よりも4・5兆円増える。全体の税収も4・7兆円増の51・7兆円と、17年ぶりの高水準になる見通しだ。

 だが、増税で負担増となった家計の買い控えは政府の想定以上に広がった。その結果、国内総生産(GDP)は、14年4~6月期、7~9月期と2四半期続けてマイナス成長となり、安倍晋三首相による再増税の延期と、衆院解散・総選挙の判断につながった。

 10%への再増税に安倍政権は「不退転」の姿勢で臨む構えだ。3月31日には、増税延期を正式に決める改正消費増税法が成立した。改正前は、景気しだいで消費増税を延期できる「景気条項」を設けていたが、今回の改正ではあえて削除した。安倍首相は国会で「市場や国際社会からの国の信認を確保するため、再び延期することはない」と繰り返す。

 ただ、景気回復の足取りがおぼつかないまま10%への再増税に踏み切れば、「2度目の増税ショック」が日本経済を腰折れさせるリスクが高まる。そこで安倍政権は、本格回復へなりふり構わないてこ入れ策を打ち出している。

 日本銀行に大胆な金融緩和を促して円安を定着させたことで大手輸出企業を中心に業績が上向き、上場企業の純利益は2年続けて過去最高を更新する見通しだ。株式市場でも、公的年金の積立金の株での運用比率を高めるなどして株高を「演出」。さらに、企業に政権が賃上げを求める異例の「官製春闘」が2年続いた。

 それでも、今のところは景気回復が広がりを欠く状況からは脱していない。再増税の「再延期」となれば、日本の財政に対する国際的な信認が失われかねず、安倍政権にとっては「2年以内の景気の本格回復」という結果が求められることになる。

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 04 03 (金) 憲法と国会 「緊急事態」論の危うさ    (社説)

2015年4月3日朝日新聞デジタル(社説)
憲法と国会 「緊急事態」論の危うさ
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11685248.html

 衆院の憲法審査会がきのう、いまの国会で初めて開かれた。

 衆参両院の憲法審査会は、憲法に関する様々な議論の舞台となる。自民党はここで憲法改正に向けた議論を進め、来夏から遅くとも再来年の前半までに改正案を発議し、国民投票を実施したい考えだ。

 改正内容としては、緊急事態条項」「環境権」「財政規律条項を新たに加えることを念頭に置いている。

 この三つは、いずれも国会や有権者の多数の賛成を得やすいと自民党が踏んでいるものだ。まずはこれで改憲を経験した後に、本来の狙いである9条などの改正に進んでいきたいと自民党幹部らは公言している。

 本番前の「肩ならし」とでもいうのか。これでは物事の順序が逆さまである。とても受け入れられるものではない。

 国民の人権を守り、生活を豊かにするうえで憲法に不具合が生じたならば、その実態に応じて改正を議論すればよい。だが、憲法で縛られる側の権力者にとって都合のいい内容になるのを防ぐため、憲法改正には高いハードルがある。

 自民党がやろうとしていることは、このハードルを越えるための方便ではないか。

 自民党が最も「有力視」している緊急事態条項は、外国からの武力攻撃や大規模な自然災害に対処するため、首相や内閣に一時的に権限を集中させ、国民の権利を制限することなどを明文化するものだ。

 想定される次の大地震に備えるためにも必要というのが自民党の主張であり、多くの党もその趣旨には賛同している。

 ただ、憲法を改正しなくとも、緊急時の対応はすでに災害対策基本法や国民保護法などに定められている。災害対応で大切なのは憲法ではなく、入念な被害想定や準備であると閣僚経験者や専門家は指摘する。

 緊急事態条項は、憲法に基づく法秩序を一時的にせよ停止するものだ。戦前のドイツでワイマール憲法のもと大統領緊急令が乱発され、ヒトラー独裁に道を開いた苦い歴史もある

 自民党は、ほとんどの国の憲法に盛り込まれているのに日本にはないのは不備であるという。歴史的な経緯を無視した、あまりに単純な主張だ。

 緊急事態条項の新設は、災害に備えるために「あれば安心」といったレベルの問題では決してない。憲法に縛られる側がその縛りを解くよう求めることの意味は、よくよく考えてみる必要がある。安易な議論は、きわめて危うい。

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…………………………………………………………………………………………………………

昨夜 07:30 クローズアップ現代「最後の同期会 沖縄戦・“ひめゆり”たちの70年」を視聴しました。 ひめゆり平和祈念資料館館長…島袋淑子さんの「いまこそ戦争してはならないという声をみんなで届けなくてはならない」と涙を流して話しました。

10万人の住民が犠牲になったとも言われる沖縄戦。その象徴と言われてきた「ひめゆり学徒隊」の同期会が行われる。今、85歳を超えた「ひめゆり」たちは何を思うのか。

国谷裕子さんが司会をしました。

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いくらHPで烽火(ノロシ)をあげて政治の右傾化阻止をいいつづけても、なんの解決にもちかづけない。

わかりきったことに違いない。

姨捨山の爺の遺言となればそれでいいと考えるしかない。




遺言というとおかしいことだが、「戦後70年」というと、土浦の予科練入隊のときにあたる。 うら若きころ(16歳)には戦争が何たるものか、何も考えなかった。 みんなのために志願したとしか理由はない。

70年たって遺言といったところで、長い長い歴史の流れに一本の掉をさしたところで歴史の流れから見れば何の抵抗にもならない。

ところが、ここに一冊の本がある。

「一万年の旅路」

どの国にも大事な歴史を残しておこうとした語り部がいたことは紛れもない事実だった。

古事記や日本書紀、聖書にしても文字にしても、後世に残そうとした人の遺産だった。 人間の文化遺産でした。

「ノアの箱舟」も「因幡の白兎」も「三保の羽衣」も事実を語り残した遺産そのものでした。 今ではそれが実証できるのです。

たとえ微々たることとはいえ、遺言はまさに人の遺産と考えてもいい。


「一万年の旅路」はこうした意味での遺産のひとつですが、人間の知能開発の実証をよみとれる記載があるのです。 老生のHPの名前に取り上げた「0歳教育」の実証そのものが“献辞”、“はしがき”、“はじめに”に書かれているのです。


 04 06 (月) 辺野古移設「絶対できない」 翁長知事、菅氏と平行線    沖縄県知事、県民の声を貫け

2015年4月6日 朝日新聞デジタル
辺野古移設「絶対できない」 翁長知事、菅氏と平行線
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11690697.html

 菅義偉官房長官と沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は5日、那覇市内で初めて会談した。菅氏は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を引き続き進める考えを伝達。翁長氏は「辺野古の新基地は絶対に建設することができないという確信を持っている」と譲らず、会談は平行線のまま終わった。▼2面=攻めた翁長氏、8面=社説、33面=「沖縄の怒り増幅」

 ◆菅氏「唯一の解決策」

 会談の中で、菅氏は「最重要なのは普天間飛行場の危険除去。まさに市街地の中心部に位置し、周辺を住宅や学校に囲まれている」と、普天間飛行場の移設の必要性を強調。「日米同盟の抑止力の維持、そして危険除去を考えたときに辺野古移設は唯一の解決策と考えている」と訴えた。

 一方、翁長氏は「どんなにお忙しかったか分からないが、こういった形で話させていただいて、その中から物事を一つひとつ進めるということがあれば、県民の理解はもう少し深くなった」と語り、知事就任から面会まで約4カ月かかったことを批判した。

 また、全国の面積の0・6%に過ぎない沖縄県に、米軍が日本に持つ専用施設の74%が集中している現状を訴え「沖縄県が自ら基地を提供したことはない。私たちの思いとは全く別にすべて強制接収された」と指摘。「『お前たち、代替案を持っているのか』と。『日本の安全保障をどう考えているんだ』と。こういった話がされること自体が日本の国の政治の堕落だ」と非難した。

 さらに、辺野古の移設工事をめぐり菅氏が記者会見や国会審議で繰り返し使った「粛々と工事を進める」との言葉を取りあげ、「上から目線の『粛々』という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れて、怒りは増幅していくのではないか」と強く訴えた。

 翁長氏は「安倍(晋三)首相にもこのような形でお話しする機会があれば、大変ありがたい」と述べ、首相との会談も求めた。しかし、官邸幹部は朝日新聞の取材に対し、「(事態進展に)ある程度のめどが出てこないと会っても意味がない」と話し、当面は首相との会談には応じない考えを示している。

 会談後、菅氏は記者団に「国と沖縄県が話し合いを進めていく第一歩になった」と指摘。「基地負担軽減対策とか振興策というのは、県と連携していく必要がある」との考えを示した。一方の翁長氏も「平行線ではあったが、会話は続けるということだ」と語った。(星野典久、山岸一生)


2面=(時時刻刻)攻めた翁長氏
「沖縄が負担しろと。政治の堕落ではないか」
   攻めた翁長氏 菅氏と初会談

   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11690666.html

 ようやく実現した菅義偉官房長官と沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事による5日の会談は、厳しい空気に包まれた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設への理解を求める菅氏に、翁長氏は口を極めて反論。辺野古移設をめぐる対立は収まりそうにない。▼1面参照

 「30分で、何か言い尽くしたような感じがしました」。会談後、翁長氏は満足そうに報道陣に語った。

 2人きりの会談は1時間。冒頭から10分間程度を報道陣に公開する予定だったが、菅氏、翁長氏の順に約15分ずつ持論を述べ、30分余りが公開された。

 翁長氏は辺野古移設を「唯一の解決策」とする菅氏に徹底的に反論した。

 菅氏が辺野古移設の根拠とした「普天間の危険性の除去」については、「普天間も含めて基地は全て強制接収された。普天間は危険だから、危険除去のために沖縄が(辺野古で)負担しろと。こういう話がされること自体が、日本の政治の堕落ではないか」。70年前の沖縄戦で奪われた土地を返してもらうために、なぜ沖縄が基地を提供するのか、と問いかけた。

 強い姿勢で臨んだ翁長氏の胸の内を、周辺は「知事は菅氏の向こうに本土の国民を見ている」と解説する。翁長氏は沖縄と本土の温度差を嘆いてきた。最近、周囲にこう語った。「本土に何を言ってもすぐ忘れる。ならば石を投げた方がましかも知れない。痛みは忘れないから。ウチナーンチュ(沖縄の人)は、ずっとその痛みに耐えてきた

 翁長氏は今回の会談に、挑発的とも取れる発言で政権に「石を投げる」思惑を込めた。会談用の原稿には「政府が埋め立てを強行するなら、県は今後いかなる行政手続きにも応じられない、と申し上げる」という一文すらあった。

 ただ、ここにはペンで大きく「×」。翁長氏が冒頭発言で行政手続きに触れることはなく、政治的な議論に持ち込む策をとった。背景には、移設阻止に向けた戦略の変化がある。これまでの行政手続きによる対抗策が「やや無理筋になっている」(県幹部)という認識があるからだ。

 翁長氏は辺野古の海底ボーリング調査の「停止指示」など、行政手続きを駆使して作業を止める道を探ってきた。だが国に指示の効力をいったん止められた。県の最大権限である辺野古の埋め立て承認の取り消しや撤回に踏み切るかの判断は早くても7月となるため、移設阻止へ向けた成果をすぐには出しにくい状況にある。

 そうした中、菅氏は1日に沖縄訪問を宣言。翁長氏側もすぐに会談に応じる意向を表明した。4日には翁長氏側近の安慶田光男副知事が菅氏と非公式に協議。翁長氏によると、会談の段取りを調整したという。

 「行政手続き面で手詰まり感のある翁長氏にとって、会談はちょうどいいタイミングだった」。県関係国会議員の一人は翁長氏の胸中をこう読む。

 会談後、翁長氏は報道陣にこう語った。「(移設問題の)原点をお話ししたから、これから沖縄の主張は話しやすくなった」(山岸一生)

 ◆菅氏「話し合い、第一歩」

 局面を打開しようと沖縄に自ら乗り込んだ菅氏だったが、待っていたのは翁長氏の「上から目線」という激しい言葉だった。

 菅氏は米軍の新型輸送機オスプレイの訓練の本土受け入れや嘉手納以南の米軍基地返還への取り組みのほか、3千億円台の沖縄振興予算を確保していることを訴え、辺野古への基地移設について理解を求めたが、翁長氏は「絶対に建設することができない」と譲らなかった。想定を超える翁長氏の強硬さに、官邸幹部は「日本と米国の約束は、辺野古への移転と引き換えの普天間返還だ。辺野古移設ができなければ、米国が普天間を返すわけがない」と不快感を隠さなかった。

 唐突な方針転換にも見えた菅氏の沖縄入りだったが、菅氏は3月上旬から、水面下で訪問に向けた準備を進めていた。

 翁長氏は昨年12月に沖縄県知事に就任して以来、たびたび菅氏との会談を求めた。だが、菅氏は選挙後の内閣改造や国会審議などを理由に一貫して拒否。記者会見では、「粛々と工事を進める」「この期に及んで」という言葉を繰り返した。官邸の強硬姿勢には、野党だけでなく自民党内からも「『この期に及んで』と問答無用な感じで発言するのは非常に心配だ」(山本幸三衆院議員)などと懸念する声が上がり始めた。

 こうした世論を感じ取った菅氏は沖縄行きを決意。3月中に数度、沖縄と関係の深い衆院議員と面会し、沖縄訪問の意思を伝えた。選んだのは4月4日の西普天間住宅地区返還式典。米軍が接収していた土地の返還式ならば、埋め立て工事で注目されがちな辺野古から、菅氏が「問題の原点」とする普天間の現状に世間の関心を移すことができると計算した。

 菅氏は、普天間の危険性除去と基地負担の軽減、沖縄の経済振興を「政府の最重要課題」に掲げる。目に見える形で世論に訴えることができる返還式典に出席し、翁長知事との会談に臨むという日程は「最高のタイミング」(官邸幹部)のはずだった。

 しかし、安倍政権は予想を超える翁長氏の国に対する強い不信感を目の当たりにすることになった。菅氏は今回の会談について「話し合いを進めていく第一歩になった」と評したが、安倍晋三首相と翁長氏の会談の見通しは立たないままだ。沖縄県選出の野党議員の1人はこう突き放す。「首相訪米をにらんだパフォーマンスに過ぎないと県民は分かっている」(星野典久)

 ◆国と県の攻防、今後は…

 普天間飛行場の移設計画をめぐる国と県の攻防は、今後も続く。

 翁長氏が設けた、仲井真前知事による埋め立て承認の経緯を検証する第三者委員会は7月に結果をまとめる予定だ。翁長氏はこれを受け、承認の取り消しや撤回が可能かどうか判断する。夏ごろをめどに訪米し、米政府に直接、移設阻止を訴えることも検討している。

 一方の国は、現在進めている辺野古の海底ボーリング調査関連の作業を6月までに終え、夏にも埋め立て工事を始めたい意向。6月23日の沖縄「慰霊の日」の式典には例年、首相が参加しており、翁長氏はこの頃までには安倍首相との会談を実現したい考えだ。


8面=社説 菅・翁長会談
(社説)「粛々と」ではすまない
   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11690596.html

 積もり積もったものをはき出さずにはいられない。これまでの政府の対応を「政治の堕落」とまで言い切った翁長雄志沖縄県知事には、そんな強い思いがあったのだろう。

 菅義偉官房長官との初の会談に臨んだ翁長氏の言葉を、国民全体で受け止めたい。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐる両者の主張の隔たりは大きい。会談で菅氏は「今工事を粛々と進めている」と言い、翁長氏は「辺野古の新基地は絶対に建設できません」と、平行線のままだった。歩み寄りの難しさを改めて浮かび上がらせた。

 菅氏は「日米同盟の抑止力維持、(普天間の)危険除去を考えたときに辺野古移設は唯一の解決策」「辺野古移設を断念することは、普天間の固定化につながる」と繰り返した。

 翁長氏は米軍の「銃剣とブルドーザー」による強制的な基地建設の歴史を振り返り、「県民に対して大変な苦しみを今日まで与えて、普天間の危険性除去のために沖縄が負担しろと。それは日本の国の政治の堕落ではないか」と追及した。

 戦後70年間、沖縄の米軍基地撤去のために、政府がどれほどの努力をしてきたのか。日本の安全保障政策は常に基地負担にあえぐ沖縄の犠牲の上で成り立ってきた現実を、今こそ国民に見つめてほしい。翁長氏の指摘は、そんな重い問いかけだととらえるべきだ

 会談は、菅氏が米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)の西普天間住宅地区の返還式典に出席するタイミングで設定された。政権には基地負担軽減に取り組む姿勢をアピールする狙いがあった。自民党内からも丁寧な対応を求める批判が出始め、統一地方選を前に政権のイメージ悪化を食い止めたいという思惑も働いたのだろう。

 だが沖縄県内では「安倍首相の訪米を控え、沖縄側の意見は聞いたというアリバイにしようとしているのでは」と、今回の会談自体に懐疑的な声が出ている。信頼関係が壊れているなかで、県民の意思に誠実に向き合えたのだろうか。

 菅氏は「これから国と沖縄県が話し合いを進めていく第一歩になった」と語った。翁長氏も応じる意向だ。これまで「聞く耳持たぬ」という対応を続けてきた政府は、沖縄からの苦言にとことん耳を傾けるところからやり直すべきだろう。

 そのためにまず、辺野古で進める作業を中止すること。それが話し合いに臨む最低限のルールではないか。もはや「粛々と」ではすまない。


33面=「沖縄の怒り増幅」
「粛々、沖縄の怒り増幅」「上から目線の言葉」
   翁長知事 菅官房長官と初会談

   http://digital.asahi.com/articles/DA3S11690722.html

 米軍基地の移設問題をめぐって対立する安倍政権と沖縄県のキーパーソン同士の初会談は、平行線のまま終わった。翁長雄志知事は菅義偉官房長官に、語気強く沖縄の民意を訴えたが、埋まらぬ本土との溝に、県民の不満は膨らむ。▼1面参照

 「上から目線」「政治の堕落」「国民を洗脳」――。翁長知事が菅官房長官に投げかけた言葉には、社交辞令のかけらもなかった。

 5日午前9時半、那覇市のホテル。会議室に、100人近い報道陣や国、県の職員が詰めかけ、廊下にまで人があふれた。

 翁長氏が先に部屋に入り、菅氏を迎えた。2人は「どうも」と短く言葉を交わすと、テーブルを挟んで向かい合って座った。

 まず菅氏が約15分、手元の原稿をベースに考えを述べた。基地負担軽減を強調し、「辺野古が唯一の解決策」などと国の主張を語っていく。翁長氏はあまり視線を合わさず、メモに書き込みをしていた。

 そして翁長氏の発言する番。約15分にわたり、激しい口調で反論を展開した。

 「国民や県民を洗脳するかのように『唯一』とおっしゃるが、辺野古ができなければ、本当に普天間は固定化されるのか」。菅氏が普天間を「世界一危険」と評したことを受け、固定化を許すのかとただした

 菅氏が辺野古での作業を「粛々と進める」と繰り返してきたことに対しては、「問答無用という姿勢が感じられる。上から目線の『粛々』という言葉を使えば使うほど、県民の怒りは増幅していくと思う」。在沖米軍の抑止力についても、中国を念頭に「ミサイルが発達している」とし、「米軍はもうちょっと遠いところに行きたがっているのでは。日本がかえって止めている」と批判した

 菅氏が政府の立場を淡々と述べたのと対照的に、翁長氏は日ごろあまり見せない身ぶり手ぶりを交えて熱弁。菅氏は表情を変えずにテーブルの上で両手を組み、小声で「うん、うん」と何度もうなずいていた。(山岸一生)

 ◆県民「来訪、常に押しつけ」

 翁長氏と菅官房長官の会談場所となったホテル周辺には、米軍普天間飛行場の県内移設計画に反対する人たち約400人が集まり、「官房長官は民意を聞け」と声を上げた。

 普天間返還が浮上して19年。政府首脳が沖縄に来て理解を求める光景は、幾度となく繰り返されてきた。

 5日の抗議行動に駆けつけた沖縄県名護市の田仲康宏さん(76)は、2013年2月に安倍晋三首相が来県した時も抗議の声を上げた。国は直後に同市辺野古の埋め立てを県に申請。「沖縄の理解を得ると言いながら、いつもやることは逆。首相や閣僚が沖縄に来る時は、いつも押しつけだ」

 この日の会談で、菅氏は「知事と名護市長に同意をいただいた経緯がある」と述べた。1999年末には、当時の岸本建男市長が受け入れを表明している。その直前、新旧官房長官の青木幹雄、野中広務両氏が沖縄を回った。

 岸本氏は06年に62歳で死去。妻の能子(たかこ)さん(67)の脳裏には、移設問題で悩む夫の姿が焼き付いている。

 能子さんによると、野中氏は昨年、岸本家を訪れた。線香を手向け、「早くに亡くなったのは、つらい選択をさせた我々のせいだ」と涙を流したという。「基地受け入れを求めた側の葛藤を感じた」と能子さんは話す

 岸本氏は受け入れの際、15年の使用期限など7条件を付けた。「今の移設計画にこの条件は反映されていない。今日の会談を墓前に報告したいが、(菅氏から)『同意した』と言われることには、夫も忸怩(じくじ)たる思いでしょう」(奥村智司、泗水康信)

 ◆基地と向き合った元知事は

 翁長知事と菅官房長官が初めて会談した意義について、普天間問題と向き合った経験を持つ沖縄の元知事2人に聞いた。(聞き手・泗水康信)

     *

 ◇政府の歩み寄り、これからもない 大田昌秀氏

 これまで拒んでいたのに急に沖縄まで来て知事と会うというのは、沖縄との溝がこれ以上拡大すれば、日米関係に悪影響が出ると判断したからだろう。だが、政府が歩み寄ることはまずない。「どこに基地を置くかは国が決める」という姿勢は、明治政府が琉球王国を解体した「琉球処分」の時と何も変わっていない

 私が知事や参院議員だった頃、米国の議員や大学教授を沖縄に招いた。この小さな島に陸海空、海兵隊の基地があることに多くの人が驚き、沖縄から米軍は撤退すべきだと応援してくれる人も出てきた。翁長知事もぜひ米国に効果的に働きかけをしてほしい

 最近、長野や愛知の市村議会が辺野古移設を進める政府に対し「地方自治を侵害しかねない」とする請願や陳情を採択した。うれしかった。政府と地方自治体は対等なはずだ。こうした理解が全国的に広がれば、政府も強引なやり方はできなくなると思う

     *

 ◇長い年月見れば大きな一歩かも 稲嶺恵一氏

 この会談で何かが急に変わることはないが、長い年月で見れば大きな一歩になるかもしれない。

 政府と県の対立が続くことはそれぞれにマイナス。県にとっては、返還された西普天間住宅地区の跡地利用や那覇空港の滑走路増設など、重要な事業で国の支援が得にくくなる恐れがある。政府にとっても、移設への反発が強まれば米国から「自国のコントロールもできないのか」と見られかねない。

 辺野古移設はかつて、県や名護市が容認した時も進まなかった。今は、より難しい状況だ。そんな中で安倍政権は移設を進めようとしている。日中関係が悪化し、国民全体が「沖縄には米軍基地が必要だ」と感じるようになっていることも関係しているのだろう。

 私が知事の時は、基地がある県外の自治体を回って基地問題を訴えた。翁長知事には、日米両政府だけでなく国民全体に理解を促す発信も必要になってくる。

 ◆菅義偉官房長官と翁長雄志沖縄県知事の会談の冒頭発言(要旨)は次の通り。



 【菅氏】

 ◇基地負担

 県民に大きな負担をお願いしていることは重く受け止める。負担軽減のためにやれることはすべてやる。一つ一つ具体的な形で物事が実現するように取り組む。

 ◇普天間問題

 最重要なのは普天間の危険除去。まさに市街地の中心部に位置し、周辺を住宅や学校に囲まれている。世界で一番危険な飛行場と言われる。固定化はあってはならない。

 ◇辺野古移設

 辺野古移設は唯一の解決策だ。辺野古移設を断念することは、普天間の固定化にもつながるという中で、政府としては今工事を粛々と進めている。

 ◇沖縄振興策

 USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の沖縄誘致は、なんとしても沖縄、という思いで取り組んでいる。

 【翁長氏】

 ◇普天間問題

 菅氏は国民や県民を洗脳するかのように、普天間の危険性除去のために辺野古が唯一だと言うが、辺野古ができなければ本当に普天間は固定化されるのか。菅氏も「世界一危険」だと言っているのに。

 沖縄が自ら基地を提供したことはない。普天間も含め、全て強制接収された。危険性除去のために沖縄が負担しろ、お前たち代替案を持っているのか、こういった話がされること自体が、日本の政治の堕落ではないかと思う。

 ◇辺野古移設

 辺野古の新基地は、絶対に建設することができないという確信を持っている。「粛々」と進めたら、絶対に建設は不可能になる。建設途中で頓挫することで起きうる事態は、全て政府の責任だ。上から目線の「粛々」という言葉を使えば使うほど、県民の怒りは増幅していくのではないか。

 ◇民意

 (昨年の)県知事選の争点はただ一つ、前知事の埋め立て承認への審判だ。10万票差で私が当選し、県民の辺野古基地反対の圧倒的な考えが示された。