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続折々の記 ③
【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】03/17~     【 02 】03/19~     【 03 】03/21~
【※森友学園】     【 05 】03/26~     【 06 】03/27~
【 07 】03/27~     【 08 】03/28~     【 09 】03/29~

【 05 】03/26

  03/24 森友学園   24日のニュース
        (1) 安倍首相「悪意に満ちたもの」   昭恵氏メールの証言巡り
        (2) 稲田氏、夫の同席認める    籠池夫妻と国側との話し合いに
        (3) 麻生財務相「逐一上がってこない」   昭恵氏付職員の照会
        (4) 元理財局長「報告受けたことない」   森友問題関与を否定
        (5) 籠池氏、率直に語っていると感じた   元検事の見方
        (6) 昭恵氏付職員の関与、菅長官認める   森友学園の土地問題
        (7) 籠池氏は堂々 政権に焦り   想定外の攻防にじむ危機感
        (8) 顧問ではないが、依頼あった…   稲田氏コメント全文
        (9) 昭恵氏34通、籠池氏妻49通   頻繁にメールやりとり
        (10) 国粋主義学校に寄付の疑い   報道に 海外記者が関心
        (11) 職員が…維新が… 政権、逃げの「3手」   森友問題
        (12) 手続き瑕疵なし 府私学審会長   森友学園問題
        (13) 大阪府議会、森友問題の百条委を否決   維新・公明が反対
        (14) 蓮舫氏「森友という嵐、誰がウソをついているのか」    ウソは泥棒の始まり(古俚)
        (15) 昭恵氏「ここに来られてよかった」    講演で涙ぐむ

             ・特集:森友学園・籠池氏の証人喚問  【 06 】へ記載   
             ・特集:森友学園問題  【 06 】へ記載   

 03 26 (日) 25日午前中のデジタル版に出たニュース     

デジタル版のニュースだから、25日のニュースは紙上では26日付のニュースとして出されますから、重複するかもしれません。


2017年3月24日10時12分
(1) 安倍首相「悪意に満ちたもの」 昭恵氏メールの証言巡り

 安倍晋三首相は24日午前の参院予算委員会で、学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長が23日の証人喚問で、「昭恵(首相)夫人と私と2人きりの状態で、『安倍晋三からです』とおっしゃって封筒に入った100万円をくださった」と証言したことについて、「密室でのやりとりなど反証できない事柄を並べ立て、事実と反することが述べられたことは誠に遺憾だ」と反論した。その上で改めて「今まさに議論となっている国有地売却や学校認可について私も妻もまた事務所も全く関与していないことは明確に申し上げておきたい」と述べた。

   特集:森友学園・籠池氏の証人喚問

 首相は籠池氏の証人喚問について「国有地売却の問題や学校認可の問題に関して具体的な政治家の関与がなかったことは明らかになった。他方で疑惑の深まっている(小学校の建築費をめぐる)3通の契約書については、刑事訴追を理由とした証言拒否が繰り返され、真相が解明されず、大変残念」と述べた。

 証人喚問で籠池氏が、昭恵氏から籠池氏の妻に対して「口止めとも取れるメールが届いた」と証言したことについて、首相は「メールの一部を使って、『メールで口止めをした』と籠池氏が言っていることは極めて遺憾だ。その中で例えば、『勘ぐりをされる』『まっとうな人間がまっとうなことをしているのを阻止される』などという籠池夫人からのメールに対して、(昭恵氏のメールは)李下に冠を正さずという趣旨で返信したものであるということは明らかで、(籠池氏の証言は)悪意に満ちたものであるということは申し上げておきたい」と述べた。

 自民党の西田昌司氏の質問に答えた。


2017年3月24日11時13分
(2) 稲田氏、夫の同席認める 籠池夫妻と国側との話し合いに

 稲田朋美防衛相は24日、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で証人喚問された学園の籠池泰典氏が2016年1月に稲田氏の夫である弁護士の事務所で、弁護士立ち会いのもと、近畿財務局と大阪航空局の職員と会ったと証言したことについて、コメントを発表した。稲田氏の夫が籠池夫妻と国側との話し合いに同席したことを認めたが、「(その場で)ほとんど発言していない」と釈明した。

   「顧問ではないが、依頼あった…」 稲田氏コメント全文 (8)の通り
   特集:森友学園・籠池氏の証人喚問

 稲田氏は過去の国会審議で「夫からは本件土地売却には全く関与していないことをぜひ説明してほしいと言われている」と述べており、稲田氏の夫をまじえ、国側との間で国有地を定期借地していた際の土地改良費をめぐる話し合いをしたとの籠池氏の証言との整合性が焦点になっていた。稲田氏は、話し合いは「(国有地)売却の話ではなく、借地の土壌汚染対応の立て替え費用の返還の話」だったと説明した。

 コメントによると、稲田氏の夫は顧問契約終了後の16年1月、学園が開設を予定していた小学校の用地に関し、「土壌汚染対応の立て替え費用を国が返してくれない」と籠池夫妻から連絡を受け、国側との話し合いに立ち会うように求められた。同月、夫の事務所で籠池夫妻と国側の話し合いに立ち会った。話の冒頭、籠池氏の代理人でも顧問でもないが、要請があったので話し合いに同席だけすることになったとの趣旨を述べ、その後はほとんど発言しなかったという。


2017年3月24日10時57分
(3) 麻生財務相「逐一上がってこない」 昭恵氏付職員の照会

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題をめぐって、安倍晋三首相の妻昭恵氏付の政府職員から財務省に問い合わせがあったことについて、麻生太郎財務相は24日の閣議後会見で、「報告を受けていない」と話した。

   特集:森友学園・籠池氏の証人喚問

 野党は首相夫人付の職員が財務省に照会していたことを問題視しており、「忖度(そんたく)をしても仕方ない状況がある」(民進党の福山哲郎氏)と追及する構えだが、会見で麻生氏は「この件も国有財産に関する制度についての問い合わせであり、大臣まで逐一上がってくることはない」と否定した。

 23日の衆参両院の予算委員会で、証人喚問された学園理事長、籠池(かごいけ)泰典氏(64)は、昭恵氏に国有地の借り受けについて相談し、財務省への問い合わせ結果を首相夫人付の職員からファクスで受け取ったと明かしている。


2017年3月24日10時27分
(4) 元理財局長「報告受けたことない」 森友問題関与を否定

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、交渉当時に財務省理財局長だった迫田英典・国税庁長官は24日の参院予算委員会に参考人として出席し、「局長当時、本件について報告を受けたことはなかった」と自らの関与を否定した。

   特集:森友学園・籠池氏の証人喚問

 迫田氏は「全国で売り払い等の処分がされる国有地は年間4千件を超えており、本省の理財局長まで報告・相談がなされる案件は私の(在任した)1年間を振り返っても極めて限定的だ」と説明。さらに「本件に関して政治家やその秘書の方からの問い合わせは一切ない」と強調した。


2017年3月24日05時44分
(5) 「籠池氏、率直に語っていると感じた」 元検事の見方は

 〈元東京地検検事、落合洋司弁護士の話〉 籠池氏が率直に語っていると感じた。うそをつくと、言いよどんだり、質問と答えがかみ合わなかったりで違和感を覚えることがある。今回はあまりそうした印象を持たなかった。100万円を授受した場面の描写は具体的で、迫真性もあった。

   特集:森友学園・籠池氏の証人喚問

 与党側の質問は非常に稚拙だった。籠池氏の言動の変遷や矛盾を丹念についてほころびを引き出さなければならないのに、「ウソをついているだろう」と議論をふっかけても水掛け論になるだけだ。

 昭恵氏付の政府職員が籠池氏に送ったファクスが出てきたのは、証人喚問の成果だ。内容は驚きで、昭恵氏が関与していないと言い切るのは厳しくなったのではないか。職員が勝手に動くとは考えにくいし、役所に問い合わせをするという行為こそが政治そのものだからだ。

     ◇

 〈放送プロデューサー、デーブ・スペクターさんの話〉 まるでバラエティー番組を見ているようだった。テレビ局はゴールデンタイムに放送したかったでしょうね。関西弁であの強烈なキャラクター。誤解を恐れずに言えば、裏表のない正直者で憎めなかった。本音を言わない他の政治家の方がよっぽど不誠実。

 「忖度(そんたく)」は、便利なようでずるい日本語。「よろしくお願いします」って、色んな意味を含み過ぎて英訳できない。その悪い部分が前面に出たのが、森友学園の問題なんだと分かった。当人たちはその自覚もなさそうで、なおさら怖い。

 はしごを外された籠池さんは、沈むタイタニック号から脱出して救命ボートに乗っている感じ。余裕があった。質問者のレベルは高かったが、肝心なところで明言を避けられてしまい、証人喚問の限界が見えた気がした。


2017年3月24日00時18分
(6) 昭恵氏付職員の関与、菅長官認める 森友学園の土地問題

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で23日、衆参両院の予算委員会に証人喚問された学園理事長、籠池(かごいけ)泰典氏(64)が安倍晋三首相の妻昭恵氏に国有地の借り受けについて相談し、財務省への問い合わせ結果を首相夫人付の政府職員からファクスで受け取っていたと明かした。菅義偉官房長官も職員が籠池氏側の依頼で照会に動いたことを認めたが、昭恵氏の関与は否定した。野党は昭恵氏の証人喚問を求めるなど攻勢を強めている。

   籠池氏「昭恵夫人からFAX」 証人喚問、ざわめく衆院 下記の通り
   特集:森友学園・籠池氏の証人喚問

2017年3月23日18時09分 笹川翔平
籠池氏、昭恵氏側からのFAX読み上げ ざわめく衆院

 衆院予算委員会で23日午後に行われた森友学園の籠池泰典氏への証人喚問。午前の参院予算委に引き続き、国会内の会場は籠池氏の発言や尋問者の質問のたびにどよめき、ヤジが飛んだ。

籠池氏の証人喚問、きょうの動き

     ◇

 証人喚問が始まる約1時間前の午後1時52分、国会内の衆院第1委員室の扉が開いた。あっという間に記者席が埋まる。午後2時45分、衛視から記者席の記者らに向かって「今から携帯電話は使用しないでください。しまってください」とアナウンス。いよいよ証人喚問だ。

 午後2時49分、籠池氏が入室。カメラのフラッシュが一斉にたかれた。籠池氏は予算委の浜田靖一委員長に一礼、左右にさらに一礼ずつして、着席した。同50分、証人喚問が始まった。

 籠池氏の宣誓、署名、押印。その間、フラッシュがたかれ続ける。まず最初の尋問者である葉梨康弘氏(自民)が質問に立った。

 葉梨氏とのやりとりの中で、安倍晋三首相の昭恵夫人側から送られたというファクスに話題が進むと、籠池氏が「これをご覧になっていただいたら」と述べ、封筒からFAXの写しを出そうとした。止められたものの、室内が一気にざわついた。

 昭恵夫人や夫人付の政府職員らとの関係について証言する籠池氏。葉梨氏が「私たちの方でも夫人付の2人に確認させていただく」と述べると、野党議員が「参考人招致すればいいだろ」とつぶやいた。

 午後3時半ごろ、野党議員らとの会合を経て籠池氏が国会での証言に前向きになった経緯などについて葉梨氏が追及すると、籠池氏は「あうんの呼吸でということでしょうか」。会場内がざわつき、議員らから苦笑が漏れた。

 直後、葉梨氏は「疑惑は深まった」と述べ、尋問を終了。野党議員からは「何を立証したかったんだ?」という声も上がった。

 続く富田茂之氏(公明)とのやりとりでは、籠池氏が安倍首相や政権に対する不信感を吐露した。「保守の政党、このままでいくと憲法改正もできないし、いろいろな施策もできない、国民がだまされているのではないかと思い至った」。籠池氏がそう語ると、野党側から「おー」という声が出た。

 午後4時前、枝野幸男氏(民進)が登場。籠池氏は、昭恵夫人側から送られたとするファクスを読み上げる。「引き続き見守っていきたい。夫人にも報告していますとのことです」などと文面を紹介すると、野党議員らは「おー」「すごいな」。この日一番のどよめきが起きた。

 さらに、昭恵夫人との関係について掘り下げていく枝野氏。昭恵夫人から渡されたという100万円について、「黙っていてほしい」と昭恵夫人から言われたと主張する籠池氏が「講演会が終わり、車で帰られた。5分か6分して電話いただいた」。会場内からは「おー」との声。籠池氏が「事実は小説より奇なり、です」と言い切ると笑い声が漏れ、与党議員らはこわばった表情も見せた。

 最後の尋問は、下地幹郎氏(維新)。籠池氏の一連の発言を厳しく批判したうえで、下地氏が締めくくりに「今日の発言があなたの人生にとってどれだけ重いか」と発言すると、会場内からは「そんなこと言うか」「ひどいよー」という声が上がった。

 午後5時前、証人喚問は終了した。籠池氏は何度か頭を下げた後、国会を後にした。(笹川翔平)

 籠池氏は午前の参院予算委での冒頭証言で、問題の国有地の借り受けをめぐり、昭恵氏に働きかけを依頼していたことを自ら明かした。

 証言によると、国有地の購入前、この土地の10年間の定期借地契約の期間延長を探るため、昭恵氏の携帯電話に連絡。留守番電話だったため、メッセージを残した。2015年11月になり、首相夫人付の政府職員から、ファクスと電話で財務省としての回答があったという。籠池氏は「お骨折りに感謝していたところだ。しかし、財務省の中でこの間、どのようなことが起きていたのか詳しく知らない」とも述べた。

 ファクスは、菅官房長官が午後の記者会見で公表した。財務省に問い合わせ、国有財産審理室長から回答を得たことを明記したうえで、「国側の事情もあり、ご希望に沿うことはできないようだ」との内容で、「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいている」とも付記されていた。

 首相夫人付職員は谷査恵子氏。現在、出向元の経済産業省に戻り、課長補佐を務めている。菅氏は谷氏が籠池氏側から谷氏あての封書で依頼を受け、財務省に照会したと説明。昭恵氏の関与について、「(谷氏は)要望をきっぱり断っていてゼロ回答だった。昭恵氏も中身には全く関与していない」と話し、問題視しない考えを示した。

 ファクスは国有地の値引きなど異例ずくめの売買手続きに直結する内容ではないが、野党側は夫人付職員の関与を追及する構えを見せる。首相がこれまでの国会審議で「私や妻が(国有地売却や学校認可に)関係していたことになれば首相も国会議員も辞める」と明言しているからだ。民進党の福山哲郎氏は参院予算委で、「夫人付(職員)が動いたことは非常に大きなこと。(財務省などで)忖度(そんたく)が働いても仕方がない状況がある」と指摘した。

 証人喚問で、籠池氏は学園の幼稚園の園長室で、昭恵氏から直接100万円の寄付金を受け取ったとも明言した。「昭恵夫人と私と2人きりの状態で、『安倍晋三からです』とおっしゃって封筒に入った100万円を下さった」と説明。さらに一連の問題発覚以降、昭恵氏と籠池氏の妻が「2月に22回ほど、3月に15、16回」メールのやりとりをしたと述べ、「『主人にとっても大変なことに巻き込まれたということも理解いただきたいと思います』とか、『私がかかわったということは、裏で何かがあるのではと疑われないように』と口止めとも取れるメールが届いた」とも証言した。

■籠池氏、交渉の詳細は語らず

 一連の問題では、首相夫妻と学園との関係のほか、国有地の売却価格が周辺の約1割に減額されるなど異例の契約に至った経緯や政治家の関与の有無、学園が新設予定だった小学校の建築費をめぐって金額が異なる3通りの契約書を作成していた理由が焦点だった。

 売却価格の減額について、籠池氏は「想定外の大幅な値下げでびっくりした」と語ったが、格安になった経緯については「弁護士に土地取引に関する一切の交渉をお願いしていて、詳細を承知していない」と述べるにとどめた。

 一方、小学校の設立認可申請や国有地買い受けで「政治的な関与があったのではないか」とも言及。協力を依頼したり、間接的に働きかけようとしたりしたとして、松井一郎大阪府知事(日本維新の会代表)や大阪選出の自民、維新の参院議員、故人となった府議会議長らの実名を次々と挙げた。

 ただ、役所側への働きかけが具体的にどのようになされたかについては、「お願いした先でどのような対応がなされたかは本当にわからない」と説明。自らの文書偽造疑惑に直結しかねない、小学校の建築費をめぐる3通りの契約書については「刑事訴追の恐れがあり、答弁を控える」と繰り返し、口をつぐんだ。


2017年3月24日00時20分 岩尾真宏、二階堂勇
(7) 「籠池氏は堂々」政権に焦り 想定外の攻防にじむ危機感

 学校法人「森友学園」(大阪市)をめぐる籠池(かごいけ)泰典氏に対する国会の証人喚問は、「籠池劇場」さながらの様相になった。籠池氏は国有地売却問題の追及は受け流す一方で、安倍晋三首相の妻・昭恵氏との関わりを詳細に証言。政権与党は想定外の防戦に追われ、焦燥感を強めている。

   特集:森友学園・籠池氏の証人喚問

 安倍政権の幹部は、籠池氏が昭恵氏とのつながりを詳細に語った直後から、一斉に火消しに走り出した。

 「事実関係は籠池氏の国会証言とは異なる」。菅義偉官房長官は23日午後の記者会見でこう強調した。菅氏はその直前の証人喚問でつまびらかにされた、昭恵氏付職員が籠池氏に送ったファクスのコピーなどを記者団に配布。「夫人は中身には関わっていない」と語り、あくまで職員と籠池氏側のやりとりであると繰り返した。

 菅氏が記者会見で、国会で議論された資料を記者団に配って説明するのは異例で、昭恵氏が渦中に引き込まれていることへの危機感の表れとも言える。別の官邸幹部は23日夕、昭恵氏と籠池氏の妻とのメールのやりとりを印刷した紙を記者団に見せ、「昭恵夫人は、籠池氏の妻の長文のメールに何回かに一回、短く返信しているだけだ」と、昭恵氏の関わりは薄いとの主張を展開した。

 政権与党は、この日の証人喚問で問題の幕引きを狙っていた。籠池氏の発言や学園の経営状況などに焦点を当てて信頼性に欠けることを印象づけ、昭恵氏や政権側の主張の正当性を示す作戦だった。

 午前の証人喚問で質問に立った自民党の西田昌司参院議員は、新設予定だった小学校の建築費をめぐり、金額が違う契約書を国などに提出した問題を追及した。だが、籠池氏は「刑事訴追を受ける可能性がある」「議員の言っていることは的外れ」とかわした。同党の葉梨康弘衆院議員は、籠池氏が証言した昭恵氏による100万円の寄付について「間違いないか」と何度もただした。籠池氏は「たたみかけるようで非常に失礼だ」と声を荒らげ、昭恵氏とのやりとりについて重ねて証言した。公明党の富田茂之衆院議員は質問後、記者団に「籠池氏は、もう失うものはないという思いをぶつけようとして、首相や昭恵夫人を巻き込んでいる」と語った。

 証人喚問の時間帯、官邸にいた首相への訪問者はなかった。首相は同日夕、証人喚問の結果について記者団に「私がもうすでに説明している通りだ」と述べ、平静さを強調した。だが、政権内からは「籠池氏は堂々とした印象だった。これで一件落着とはいかなくなった」(自民党幹部)と焦りの声が漏れる。政権が収拾を狙ったシナリオは崩れ、野党からは昭恵氏の証人喚問を求める声が強まる。首相周辺は語る。「政権への打撃がどうなるか。全く分からなくなった」(岩尾真宏、二階堂勇)


2017年3月24日12時57分
(8) 「顧問ではないが、依頼あった…」 稲田氏コメント全文

 稲田朋美防衛相は24日、学校法人「森友学園」への国有地売却問題で証人喚問された学園の籠池泰典氏が2016年1月に稲田氏の夫である弁護士の事務所で、弁護士立ち会いのもと近畿財務局と大阪航空局の職員と会ったと証言したことについて、コメントを発表した。コメントの全文は以下の通り。

   稲田氏、夫の同席認める 籠池夫妻と国側との話し合いに
   特集:籠池理事長の証人喚問

     ◇

 私はこれまで、夫の稲田龍示弁護士からは、「自分(稲田龍示)は土地売却には一切関係していない、君(稲田大臣)は森友学園の顧問になったことはない」との説明を受けておりました。昨日(3月23日)の証人喚問における籠池氏の証言をおききして、急遽(きゅうきょ)、稲田龍示弁護士に確認しましたが、今の説明に間違いはございません。

 福山議員の質問に対して籠池氏は、平成28年1月に稲田龍示弁護士に相談に行き、今回の土地の事柄について相談したと証言しましたが、稲田龍示弁護士によれば、本件土地の売却について相談を受けたことはなく、以下のとおりとのことです。

 「籠池夫妻が平成28年の1月年明け早々に弁護士法人光明会に平成21年8月ごろの顧問契約終了以来いきなり連絡してきて、すぐに相談を聞いてほしいということでした。

 まず、1月8日に、籠池夫妻が光明会事務所に来られました。詳細は不明ですが、小学校を作るということ、そのために土地を借りているが土壌汚染対応の立て替え費用を国が返してくれないというような内容でした。

 この日はそのような話で終わり、その後、籠池氏から再度連絡があって、立て替え費用について財務局や航空局の方と話がしたいから、その場に立ち会ってほしいという依頼がありました。

 光明会としては、前提事実や経緯の詳細も知らないことから、代理人として話を聞くことはできないし、本件について発言することもないが、それでよければ構わないという話になり、27日に事務所の会議室で話をしてもらうことにしました。

 同月27日に、財務局や航空局のどなたが何名来られるかもわからなかったところ、大勢で来られたので、急遽椅子をたくさん入れて対応しました。光明会としては、稲田龍示弁護士他2名が立ち会いました。

 話の冒頭、私(稲田龍示弁護士)たちは、籠池氏の代理人でも顧問でもないが、立ち会ってほしいという要請があったので話し合いに同席だけすることとなったといった趣旨のことを述べ、その後はほとんど発言しておりません。

 その後の話の詳細については、記憶も曖昧(あいまい)であって詳細は不明ですが、小学校建設のために借りている土地の土壌汚染対応の立て替え費用をいつになったら返還してくれるのかという話の繰り返しだったように記憶しています。

 籠池夫人が立て替え費用が払われないことなどに激しい怒りをぶちまけていたことが印象に残っています。要は、同じ豊中の土地に関することですが、売却の話ではなく、借地の土壌汚染対応の立て替え費用の返還の話でした。

 なお、この件について費用は受け取っておらず、これ以降、先方からは何の連絡もありません。」

 とのことでした。

 また、枝野議員の質問に対して籠池氏は、私(稲田大臣)を顧問弁護士として認識している、かつて法律事務所において夫の稲田龍示弁護士と私に会ったことがある旨、証言するとともに、私が抵当権抹消訴訟以外の案件にも関わっていると示唆する証言もなされておりました。

 籠池氏との顧問契約については、「西梅田法律事務所 弁護士稲田龍示」個人が締結しており、森友学園の顧問弁護士であったのはあくまでも夫であって、私が顧問弁護士であったわけではありません。また、当該顧問契約は、平成21年8月ごろに終了しております。

 また、狭い事務所でもありますので、籠池氏が夫に会いに事務所に来た際に、私もお目にかかったことがあるかもしれませんが、いずれにしても、10年以上前、私は籠池氏と疎遠になる前の話であろうと思います。

 さらに、国会でも答弁したとおり、私が弁護士として関わった籠池氏に関する事案は、森友学園を原告とする抵当権抹消訴訟の一件のみです。この件については、私が訴訟の準備書面に途中まで名を連ねていたこと及び第一回口頭弁論に出廷していたことは事実ですが、本件訴訟の担当弁護士は夫であったこと、また、夫の代わりに出廷した第一回口頭弁論では実質的な議論が行われなかったこと、平成18年2月からは名前も除かれ、和解調書に名前も記載されていないことから、私には籠池氏から法律相談を受けたとの認識はありません。なお、枝野議員が言及されたポートタウン福祉会事件には、私も稲田龍示弁護士も関与しておりません。

 以上が、昨日(3月23日)の籠池氏の証人喚問における、私に関わる部分についてのコメントです。


2017年3月24日12時34分
(9) 昭恵氏34通、籠池氏妻49通 頻繁にメールやりとり

 自民党の西田昌司氏は24日、安倍昭恵氏と籠池泰典氏の妻とのショートメールのやりとりを公開した。西田氏が昭恵氏から入手した記録を基に作成した内容で、16年6月4日~今年3月16日に昭恵氏34通、籠池氏の妻49通のメッセージがある。やりとりの多くは問題が発覚した今年2月以降のもので、主な内容は以下の通り(表記は公開された原文のまま)。

   昭恵氏メール、首相「正直に公開」 やましさないと強調 次の記載の通り
   特集:森友学園・籠池氏の証人喚問
   特集:森友学園問題

     ◇ 【平成29年2月18日】
 (昭恵夫人) この度のことはどうなっているのか、ご説明もなく、マスコミから追いかけられて戸惑っております。

【平成29年2月19日】
 (籠池夫人) 自分の報告を昭恵さんの留守電にいれさせて下さい

【平成29年2月21日】
 (昭恵夫人) 留守番電話聞かせて頂きました。 籠池園長の教育に対する熱意は理解しているつもりです。
 (昭恵夫人) なぜ売却価格を非公開にしてしまったのですか。やはり怪しまれるようなことはしない方がよかったのかなあとは思います。

【平成29年2月25日】
 (昭恵夫人) このようなことになり残念です。どうぞお身体壊されませんように。
 (籠池夫人) 私の主人は一人でここまでしてまいりました誰も助けていただいたことなどありません
 (昭恵夫人) 全ては必然であると思います。どんな意味があるのか私も考えています。
 (昭恵夫人) 信じたいと思っています。 しかし園長の説明を聞いても私は人に納得してもらえるように話すことはできません。
 (籠池夫人) 幼稚園に国会議員が来て自民党を守るため昭恵さんの写真を外してほしいといわれました 要は私達わからないものが政治に首を突っ込むといけないんだと勉強いたしました
 (昭恵夫人) 私もよくわかりませんが、色々気を付けなくてはいけないことがあります。 私が関わったということは、裏で何かがあるのではと疑われないように、細心の注意を払わなくてはならないということだったのでしょう。 まず非公開だっただったことが疑われることになりました。 そしてあまりにも熱い思いで突き進まれたために、色々なところに歪みもあったのではないかと考えます。 ご夫妻が今、大変なことは想像がつきますが、主人にとっても大変なことに巻き込まれたということもご理解頂きたいと思います。 しかし、園長の熱い思いは本物であると思いたいと思っています。

【平成29年2月28日】
 (昭恵夫人) 私は講演の謝礼を頂いた記憶がなく、いただいていたのなら教えて頂けますでしょうか。
 (籠池夫人) あまりにひどい なぜその情報はどなたからですか 絶対おかしい!
 (昭恵夫人) 報道をされたようなので、確認です。
 (籠池夫人) えーひどい ひどすぎます
 (昭恵夫人) 私も籠池園長の熱意は信じています。 本当に記憶から飛んでしまって、他の講演等は全て振込みか、銀行に入れて税理士事務所に管理してもらっているのですみません。

【平成29年3月1日】
 (籠池夫人) 昨夜マスコミから逃れるために警察に被害届を出したあとホテルで身を隠しています
 (昭恵夫人) 今はじっと我慢の時です。私もまだまだ追い詰められるのかもしれませんが、お互い頑張りましょう。
 (籠池夫人) 絶対に国の不利になるようなことはいってません

【平成29年3月2日】
 (昭恵夫人) 頑張りましょう!
 (籠池夫人) 何をですか 誰も信じません

【平成29年3月9日】
 (籠池夫人) 色々と長い間お世話になりました 小学校は 支払いができず 鴻池さんの妨害で閉めます 主人も私も失業します感謝します
 (昭恵夫人) 何でこんなことになってしまったのか、神様は何を望んでいるでしょう。

【平成29年3月10日】
 (籠池夫人) 国会改革の起爆剤になります 政治家の怖さをみたきがしました
 (昭恵夫人) 少し落ち着いたら、高校生や大学生たちとこの問題を考えたいと思っています。
 (籠池夫人) 考えてこたえがでるのですか おやすみなさい

【平成29年3月16日分】
 (籠池夫人) 安倍首相はどうして園長を地検にいわれたんですか  国は自分等に大事な民衆をきりすてるのは許せない国会にでます
 (昭恵夫人) それは噓です。 私には祈ることしかできません。
 (籠池夫人) 尊敬していたのに小学校をやめ 幼稚園は 破産 建築や社長は破産 お父さんは詐欺罪 あんまりにも 権力を使うなら死にます
 (昭恵夫人) 私もどうしていいかわかりません。 権力など使っていません。 自分達の保身ではありません。 日本の将来のためです。
 (籠池夫人) 噓の情報
 (昭恵夫人) 100万円の記憶がないのですが。

2017年3月24日12時08分
昭恵氏メール、首相「正直に公開」 やましさないと強調

 森友学園(大阪市)の籠池泰典氏の証人喚問から一夜明けた24日、安倍晋三首相が参院予算委員会で答弁に立った。証人喚問での証言について「政治家の関与がなかったことが明らかになった」と断言。安倍首相の妻、昭恵氏と籠池氏の妻との間で交わされたメールの内容にやましさはないと強調した。

   特集:森友学園・籠池氏の証人喚問
   特集:森友学園問題
 23日の証人喚問では、昭恵氏と籠池氏の妻との間で交わされたメールの内容に注目が集まった。国有地取得の経緯などが問題化した後、「(昭恵氏から)口止めともとれるメールが届いた」と籠池氏が主張していた。

 24日の参院予算委で質問に立った西田昌司議員(自民)が、昭恵氏から入手したとする内容を報道陣に公開。籠池氏の幼稚園にあった昭恵氏の写真を撤去するよう自民党から求められたという籠池氏の妻のメールに対し、昭恵氏が「私もよくわかりませんが、色々気を付けなくてはいけないことがあります。裏で何かがあるのではと疑われないように、細心の注意をはらわなくてはならないということだったのでしょう」と返信していた。

 答弁に立った安倍首相は「籠池氏の奥さんとうちの妻とのメールのやりとりは、すべて正直に公開させて頂いております」と自信をのぞかせた。ヤジで騒然とするなか、籠池氏の主張について「極めて、もう一度申し上げますが極めて遺憾」「悪意に満ちたものであると申し上げたい」と強調した。

 「きのうからこの『森友問題』は段階が変わった」

 福山哲郎議員(民進)は昭恵氏付の政府職員が籠池氏に送ったファクスを菅義偉官房長官が入手し、公表した経緯をただした。福山氏の「ファクスはいつ入手したのか」という質問に対し、菅官房長官が「1週間くらい前」と答えた際には、場内から「えー!」と驚きの声が上がった。ファクスについて、菅官房長官は「行政文書にあたらない」との見解も示した。

 福山氏が「総理夫人付が各省庁に確認することを関与、口利きというんですよ」と迫ると、場内が騒然とした。安倍首相は自席で首をかしげながら笑みを浮かべた。答弁に立った安倍首相は「私も妻もかかわっていない。問い合わせで忖度(そんたく)が働いたかというと全くない」と述べた。

2017年3月24日11時52分 山本晋、軽部理人、岩本哲生、坂本進
(10) 「国粋主義学校に寄付の疑い」報道も 海外記者が関心

写真・図版 【米CNNが23日に配信した電子版の記事】

 大阪府豊中市の国有地売却問題で、23日にあった学校法人「森友学園」の籠池泰典氏(64)の証人喚問の様子は、海外メディアでも相次いで報じられた。証人喚問後には日本外国特派員協会で籠池氏の記者会見があり、外国人ジャーナリストが多数駆けつけた。

   特集:籠池理事長の証人喚問
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 「安倍晋三夫妻、ウルトラ・ナショナリスト(国粋主義)学校に寄付の疑い」――。英紙ガーディアン電子版は23日、こう見出しを付けて報じた。米CNNも、日の丸を背景に籠池氏と安倍夫妻、稲田朋美防衛相を組み合わせた写真を使い、「名誉校長」「防衛相との関わり」などの項目を立てて詳報した。

 日本外国特派員協会で23日夜にあった籠池氏の記者会見。用意された約200席は国内外の約70社の記者ですぐ満席になり、約1時間半、質問の手が挙がり続けた。

 質問が相次いだのは学園の教育について。イタリアのニュース専門局「SkyTG24」の極東特派員ピオ・デミリア氏は「世界各国で愛国主義が悪い形で広がっている」と指摘し、籠池氏の教育方針について尋ねた。籠池氏は「我が国は愛国心が他国より低い。愛国心教育は必要だ」と答えた。デミリア氏は会見後、「日本の国粋主義はかつて悪いことをした。森友のような教育システムが行われるのはちょっと心配だ」と語った。

 香港フェニックステレビの李淼(リミャオ)東京支局長は、2月中旬から一連の問題を取材しているという。学園が運営する幼稚園の運動会で園児らが「中国、韓国が心改め、歴史でうそを教えないようお願いいたします」と宣誓したことを質問した。会見後、李さんは「人種差別的、ヘイト的な発言が適切なのかどうか、関心を持っている」と話した。

 一方、米ニューヨーク・タイムズ紙の記者は、国有地の8億円の減額に安倍首相が関わったと思うか、籠池氏の認識を繰り返し質問。英タイムズ紙の記者は、籠池氏の「神風が吹いた」という発言の真意を尋ねた。

 インターネットや米国のテレビ局向けに日本の情報を英語で発信している新月通信社のマイケル・ペン社長(46)は「外国メディアにとって最大で唯一の関心は、安倍首相が生き残るかどうかだ」。これまで森友学園の問題について、外国メディアはほとんど注目していなかったという。「首相の退陣につながるとすると重要な国際ニュースになる。それだけ国会での証人喚問は劇的だった」

 フリーランスのダニエル・ハースト記者(29)は、英紙ガーディアンに記事を配信した。安倍首相の支持率にどう影響するか注目する。「彼は長いこと首相を務めているため、世界中で知られた存在。彼のリーダーシップや支持率に響くようならば、それは世界の関心事でしょう」(山本晋、軽部理人、岩本哲生、坂本進)


2017年3月25日05時04分
(11) 職員が…維新が… 政権、逃げの「3手」 森友問題

写真・図版 【野党批判からの逃げの「3手」】

政権与党が学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題から、安倍晋三首相や昭恵夫人を遠ざけようと躍起だ。学園の籠池(かごいけ)泰典理事長による証人喚問での証言を否定するための資料を次々と公表し、火種を第三者に転嫁。昭恵氏らの証人喚問に応じる様子はない。

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 「籠池氏の証人喚問で昭恵夫人とのメールのやりとりが出た。これについて説明したい」。24日の参院予算委員会の質問で、自民党の西田昌司氏はそう切り出した。手には、籠池氏が前日の証人喚問で取り上げた昭恵氏と籠池氏の妻がかわしたメールの文面を印刷した紙の束があった。

 西田氏は「メールには『昭恵氏がした』と(籠池氏が)いう口止めを思わせる内容がない。全く夫人の関与がないことが明らかだ」と主張。西田氏は質問後に記者団にメールの記録を配布した。

 前日の籠池氏の証人喚問で出た昭恵氏との関わりを示す数々の問題点。政権与党はこれを真っ向から否定し、逃げを打っている。

 その一つが昭恵氏付の政府職員が籠池氏側に送ったファクス。この日の予算委では、前日の記者会見でファクスのコピーを配った菅義偉官房長官が「(ファクスの文面は)夫人付(職員)の個人が作成し、個人で所有していた」と改めて主張。やりとりをしたのはあくまで「職員」であることを強調した。

 ファクスの文面には「希望には添えないが、引き続き当方としても見守ってまいりたい」と書かれていた。菅氏は、この「当方」が誰を指すかについて、職員の個人名を挙げ「それは当然、谷(査恵子)さんだと思う」と断言。共産党の小池晃氏は「典型的な『秘書が』『秘書が』という責任転嫁だ」と批判した。

 火種の転嫁は、憲法改正で連携してきた日本維新の会にも及んだ。森友学園の小学校の設立認可申請をめぐり、民進党など野党が追及を強めている政治家の関与の有無について、自民党の西田氏は予算委で「この問題は大阪の審議会に始まった問題だ」と主張。証人喚問で籠池氏が「はしごを外された」と矛先を向けた維新代表の松井一郎府知事の責任を問う考えを示した。自民党中堅は「これから矢面に立つのは維新だ」と話し、首相や昭恵氏から焦点をずらしたい考えだ。

 籠池氏が証人喚問で「新事実」を次々と証言したことで拡大した疑問に対しては、むしろ問題を矮小(わいしょう)化するよう図っている。

 昭恵氏付職員のファクスに記されていた、籠池氏側の問い合わせに基づく職員による財務省への照会時期は、国有地の売買交渉より前の段階だった。首相はこのことを念頭に予算委で「土地の売買には全く関わりがない」と強調。自民党の高村正彦副総裁は24日の党役員連絡会で「この問題は(国有地の)埋設物の撤去費用が適正だったかどうかに特化していくことが必要だ」と述べ、論点を8億円のごみ撤去費の積算根拠に絞るべきだと訴えた。

 あの手この手で学園と昭恵氏を引き離そうとするのは、昭恵氏の国有地売却問題への関与が疑われれば、「私や妻が関係していたことになれば首相も国会議員も辞める」と公言してきた首相の責任問題に直結するからだ。その首相自身、問題の解明には後ろ向きだ。共産党の小池氏から昭恵氏の証人喚問を迫られると「(証人喚問で)名前を出された人は、私の妻以外にもたくさんいる。そうした人たちを全員証人喚問するのか」と突っぱねた。

■自民、党内からの批判なし 危機管理には懸念も

 自民党の竹下亘国会対策委員長は24日、野党側が要求する昭恵氏らの証人喚問を拒否した。「何も出てこなかったというのが今日の(国会審議の)印象。野党がさらに追及するなら、どんどんやって頂ければいいだけ」と記者団に語った。

 証人喚問で首相側を直撃する証言が続いたにもかかわらず、党内から首相に批判が向かう空気はない。

 石破茂・前地方創生相は24日のTBS番組収録で「(昭恵氏が)隠しているんじゃないのと思われることはかえって良くない。政府与党としてお答えしなきゃいかん」と述べたものの、「我々が選んだ総裁だから、安倍さんに対する信頼を確立することが我々に与えられた責任だ」と首相擁護に徹した。中堅議員は「安倍政権にとって最大の危機なのは間違いないが、決定的な証拠がない今の段階で、政権を批判しても品がない」と様子見だ。

 ただ、政権がこれまで得意と自任してきた「危機管理」が揺らぐ事態に党内にも焦燥感があるのは事実だ。幹部の一人は「官邸が籠池氏に対しカーッとなって喚問に踏み切ったことが、今の危機的状況を招いている」と指摘した。

■首相は全容解明の意思を

 閣僚の不祥事や失言での「ダメージコントロール」が得意とされてきた安倍政権が、学校法人「森友学園」の問題をめぐる対応で、後手に回っている。

 学園の籠池泰典氏の参考人招致は拒みながら、籠池氏から「安倍晋三首相側からの100万円の寄付」発言が出れば、「首相への侮辱」といって一転、証人喚問に踏み切る。「口止めとも取れるメールが届いた」との証言が出たとたん、首相の妻昭恵氏と籠池氏の妻とのメールを公表。疑惑が晴れたとまでは言いがたい文面で、野党からは焦りを指摘される始末だ。

 第2次安倍政権は、政治資金問題などで追及を受けた閣僚を同時辞任させるなど「危機管理能力」を発揮してきた。だが、今回は勝手が違うようだ。いつもは閣僚の「救援」に立つ首相自身が、批判の中心にいるからだ。国会で疑問に答えずとも高支持率を背景に乗り切れるという「1強国会」のおごりも見える。多くの疑問が生まれた証人喚問を経ても、与党幹部がこぞって「一区切り」を強調する姿はその証左だ。

 24日の審議では、野党が役所側にさらなる情報公開を指示するよう求めたが、首相は明確には答えなかった。全容解明へ向け、政権全体を引っ張る意思を示すことが、国民の納得を得る第一歩ではないか。(与党担当キャップ=河口健太郎)

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蟻の一穴」広がる疑念、財務省が守るのは…籠池氏喚問

2017年3月23日20時12分 吉村治彦
(蟻の一穴) 「蟻の一穴」広がる疑念、財務省が守るのは…籠池氏喚問

【映像】参院予算委での証人喚問を終え、委員長席に向かって頭を下げる森友学園の籠池泰典氏=23日午後0時20分、国会内、岩下毅撮影

■籠池氏証人喚問、記者の視点

 この日、証人喚問に臨んだ森友学園の籠池泰典理事長は、私が2月9日付で国有地の売却問題を報じる直前に取材に応じた時と同じく、冗舌に見えた。しかし、真実を述べなければ偽証罪に問われる土俵には1人。主張の真偽はすぐには検証できず、謎は深まっただけだった。

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 籠池氏は、2015年9月に安倍晋三首相夫人の昭恵氏から100万円の寄付を受け取ったと改めて証言。開設予定だった小学校の名誉校長に就いた昭恵氏との間で電話やメールのやりとりがあったとする内容も語った。しかし、異例づくしの用地取得の枠組みを誰が整えたのか。ごみ撤去費約8億円の根拠とともに、問題の根幹は未解明のままだ。

 約1カ月にわたる国会審議を経ても解明が進まない最大の要因は、当時の担当者から聞き取りもせず、面会記録も廃棄したとして情報開示に消極的な財務省の姿勢にある。財務省は何を守ろうとしているのか。

 そもそも取材を始めたきっかけは、近畿財務局が原則公表の売却価格を非公表にしたことだった。

 財務局のホームページにある売却された国有地一覧で、1件だけ価格が空欄になっていた。財務局は取材に「学園側の強い要望」を理由に答えず、情報公開請求にも不開示とした。周辺取材を重ね、籠池氏に取材すると「(非公表を)強く求めていない」と話した上で、価格は1億3400万円と明かした。近隣国有地の価格や別の学校法人が示した価格より大幅に安いこともわかり、合わせて報じた。地元市議も別に情報公開請求し、不開示を不当として提訴した。

 参院予算委員会はこの日、当時の財務省理財局長だった迫田英典・国税庁長官と近畿財務局長だった武内良樹・財務省国際局長を、24日に参考人招致することを決めた。

 価格を非公表とした「蟻(あり)の一穴」から噴出し広がる疑念。政権が財務省に国民への説明責任を果たさせ、迫田氏や昭恵氏らが籠池氏と同じ土俵で語ることが真相解明への一歩だ。(吉村治彦)

2017年3月24日05時00分
(12) 「手続き瑕疵なし」 府私学審会長 森友学園問題

 森友学園が目指した小学校の設置認可申請をめぐり、大阪府議会は23日、条件付きで「認可適当」と府に答申した府私学審議会会長の梶田叡一・奈良学園大学学長(75)を参考人招致した。府議らの質問に対し、梶田氏は「規制緩和の時代で、国からも土地に関して(契約の)確約があった」と説明。「異例だったが、手続き的に瑕疵(かし)はなかった」と述べた。

 2014年12月の私学審では、学園の財務面の不透明さなどから結論が出ず、翌月の臨時の私学審で寄付金の状況などの追加報告を条件に「認可適当」の答申を出した。

 梶田氏は「議論の経過を見ながら、ひとまずゴーということでどうでしょうか、と私がお諮りした」と答えた。政治家からの接触は明確に否定した。


2017年3月25日00時07分
(13) 大阪府議会、森友問題の百条委を否決 維新・公明が反対

 学校法人「森友学園」(大阪市)の小学校の設置認可の手続きなどをめぐり、大阪府議会は24日、偽証した場合に刑事罰があるなど強い調査権限を持つ特別委員会(百条委員会)の設置について、大阪維新の会と公明党の反対多数で否決した。自民党が設置を提案していた。今後、関係者を府議会教育常任委員会に参考人招致して調査を続ける方向で検討するという。

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 自民は、学校の認可をめぐる府私学審議会の審議や、財務省近畿財務局と府の間にどのような交渉があったかを調査すべきだと主張。松井一郎知事も同日、記者団に「国の方々にも来ていただく形でやればいい」と賛意を示していた。

 しかし、維新と公明はまず参考人招致を行うべきだとし、「最高の公権力の発動は、慎重にあらねばならない」と百条委設置に応じなかった。自民の杉本太平幹事長は記者団に「残念だ。なぜ真相究明しないのか」と語った。


2017年3月24日23時43分
(14) 蓮舫氏「森友という嵐、誰がウソをついているのか」

■蓮舫・民進党代表

 東京では、上野公園で、桜がほころび、開花宣言されました。まもなく春。ところが国会はどうでしょうか。嵐が吹き荒れています。森友という名前です。この問題は、(籠池泰典氏だけでなく、安倍首相の妻昭恵氏など他の関係者にも)双方向で確認をさせていただきたい。お一人の証言が怪しいとか、ウソだとか、本当らしいとか、信頼できるとか、感情でいうものではない。いったいどこに本当のものがあって、誰がウソをついているのか。しっかりと、明らかにしていかないといけないと、私たちは思っています。(横浜市でのパーティーのあいさつで)


2017年3月24日21時42分
(15) 昭恵氏「ここに来られてよかった」 講演で涙ぐむ

 安倍晋三首相の妻、昭恵氏は24日、北九州市小倉北区で講演した。報道陣には非公開だったが、出席者によると、冒頭に「具体的なことはお話しできませんが、お騒がせしています。今日ここに来ることができて良かった」などと語り、涙ぐんだという。

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 講演は財界人らでつくる九州賢人会議所(福岡市)の主催。昭恵氏は自身の生い立ちや首相の妻としての活動について約1時間話し、森友学園をめぐる問題についての具体的な発言はなかったという。出席者は写真撮影や録音をしないよう求められたという。