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続折々の記 ③
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【 08 】03/28

  03/28 森友学園問題最新ニュース   
        (1) 新年度予算成立、97.4兆円 「共謀罪」後半国会の焦点   
        (2) 森友・日報問題、かわす与党 世論の批判「限定的」と判断   野党、なお追及姿勢
        (3) 「二つの学園」論戦の的 森友・加計、首相は反論   参院委
        (4) 教育無償化で改憲、妥当か 支持得やすい「有力論点」、首相が旗振り   (憲法を考える)
        (5) SDGsと企業 社会の課題、ビジネスで応える   (波聞風問)
        (6) 森友と財務省 納税者を甘く見るな   (社説)
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 03 28 (火) 森友学園問題最新ニュース     




(1) 2017年3月28日05時00分
新年度予算成立、97.4兆円
   「共謀罪」後半国会の焦点


 2017年度政府予算が27日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。国会は、安倍政権が最重要課題に掲げる「共謀罪」新設法案の審議に焦点が移るが、学校法人「森友学園」への国有地売却問題や南スーダン国連平和維持活動(PKO)の「日報隠し」といった火種もくすぶっている。▼3面=かわす与党、4面=「二つの学園」論戦の的

 新年度予算の一般会計総額は97兆4547億円。社会保障費などの膨らみで5年連続過去最大となり、国の借金である国債の発行は歳入の3分の1を占めた。安倍晋三首相は予算成立後、記者団に「後半国会も重要法案の成立に向け、緊張感を持って丁寧な説明を心がけたい」と述べた。

 政権は、学園の籠池(かごいけ)泰典氏の証人喚問で国有地売却問題の幕引きを狙ったが、逆に首相の妻昭恵氏の国有地売却への関与が疑われる事態に。野党から昭恵氏らの証人喚問を要求された。日報問題で野党から辞任要求された稲田朋美防衛相は、弁護士の夫と学園の関係について、答弁と籠池氏の証言との整合性が問われ、釈明に追われている。

 政権は4月中旬に「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案を審議入りさせる考えだ。ただ、共謀罪法案は今国会最大の対決法案で、担当する金田勝年法相はすでに答弁の混乱などを理由に野党から辞任を求められている。東京都議選を控え、6月18日までの会期の大幅延長も難しい。民進党の野田佳彦幹事長は記者会見で「内心の自由にかかわることなので、厳しく反対の立場で議論していかなければいけない」と述べた。(三輪さち子)


(2) 2017年3月28日05時00分
森友・日報問題、かわす与党 世論の批判「限定的」と判断
    野党、なお追及姿勢


写真・図版 【今後の主な政治日程/課題】

 2017年度予算が27日に可決・成立し、通常国会は後半戦に移る。政府・与党は、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題や南スーダン国連平和維持活動(PKO)の「日報隠し」に対する世論の批判は限定的と判断。野党の追及を正面から受け止めず、問題を「先送り」する戦略で逃げ切りを図る。▼1面参照

 ログイン前の続き「予算の早期成立こそが最大の景気対策であると申し上げてきた。ご尽力をいただいたすべての皆さまに感謝申し上げたい」。安倍晋三首相は27日夜、記者団にこう語った。ただ、予算に関する受け止めだけ述べると、森友問題を問いかける記者団の質問には応じず、その場を去った。

 衆院に続き参院予算委員会でも野党の追及が続く中で、政権は世論の反応が読み切れなかった。しかし、23日にあった学園の籠池(かごいけ)泰典氏の証人喚問後、週末の報道数社の世論調査で内閣支持率は微減か、ほぼ横ばい。一方で野党の支持率が上がる気配もなく、首相周辺は「国民は政権の受け皿になる野党があるとはみていない」と意を強くしている。

 森友問題では参院予算委が要請した会計検査院による検査は数カ月間かかる見通しだ。このため、政権は「当面は国会審議などに淡々と応じ、騒ぎが収まるのを待つ」(官邸幹部)という方針でいる。野党が求める首相の妻昭恵氏らの証人喚問に応じる考えもない。

 南スーダンに派遣された陸上自衛隊部隊による日報問題への対応も、似たような構えでいる。稲田朋美防衛相が指示した特別防衛監察が進行中であることを理由に、当面は「現在、防衛省で特別監察中」との答弁で乗り切る方針だ。

 一方、政府・与党は後半国会で二つの課題を先送りしつつ、重要法案の成立を図る考えでいる。

 最大の焦点は与野党対決法案となる「共謀罪」法案の行方だ。与党は4月中旬にも衆院法務委員会で審議入りさせ、大型連休後にも衆院通過、6月18日までの会期内成立を狙う。野党は、不安定な答弁を繰り返す金田勝年法相に照準を据える。

 今月28日に衆院で審議入りすることが固まっている介護保険法改正案も、与野党が正面からぶつかる。高齢の高所得者のサービス利用料自己負担割合を2割から3割に引き上げることなどを盛り込んでおり、民進党などは「負担増につながる」と反発している。

 このほか、衆院小選挙区の「0増6減」を定める公職選挙法改正案や、天皇陛下の退位を可能とする特例法案などの審議も予定される。今国会は直後に各党が重視する東京都議選の告示・投開票があり、会期延長は難しいとされ、審議時間はかなり限られそうだ。

 野党は「独自調査を隠れ蓑(みの)にして国民に説明をしない安倍政権の隠蔽(いんぺい)体質」(民進・大串博志政調会長)を問う構えで、特別防衛監察などの結果次第では政府・与党の先送り戦略が行き詰まる可能性がある。(岩尾真宏、田嶋慶彦)


(3) 2017年3月28日05時00分
「二つの学園」論戦の的 森友・加計、首相は反論

 安倍晋三首相は27日の国会審議で、学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地売却問題で野党が要求する妻昭恵氏の証人喚問を「必要はない」と拒否した。民進党は、首相の知人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設が認められた経緯も質問。「二つの学園」が論戦の的になった。▼1面参照

 「(学園の)籠池(かごいけ)泰典理事長は偽証罪が問われる証人喚問で証言した。(昭恵氏は)自民党議員ばかりに説明せず、堂々と証人喚問に応じるべきだ」

 この日の参院予算委員会で、自由党の森ゆうこ氏に迫られた首相は即座に「必要ない」と断言した。立法府が決める証人喚問の必要性を行政府の長である首相が否定する異例の答弁になった。

 首相はその後の参院財政金融委員会でも「日本の行政はまじめにやっている。全く忖度(そんたく)は働いていなかった」と昭恵氏の行動が国有地売却や学校認可に影響を与えなかったと強調。民進の風間直樹氏から「一連の首相夫人の行動に軽率な点があったのではないか」と問われても、「これは籠池氏の責任だ」と自身や妻の責任を認めなかった。

 民進の桜井充氏は参院予算委で加計学園の獣医学部の新設をめぐり、政府が事業者を「1校限り」とした公募の経緯や、首相と学園との関係を問いただした。

 首相は「福田内閣の時に構造改革特区の提案があり、自民党政権下では『対応不可』とされていたが、民主党政権下で『速やかに検討』と前向きに格上げした。それを受けて、我々が特区で検討した」と述べ、きっかけを作ったのは現在の民進党だと反論した。

 「国家戦略特区(諮問会議)の議長を務める首相が(学園理事長と)何度も食事をし、ゴルフをしていると利害関係があると疑われる」との指摘にも、「私と付き合いがあるかどうかは全く考慮されない」と反論。逆に「私と付き合いがあったら特区に指定されないのか。これはおかしな話だ」と主張した。(南彰)


(4) (憲法を考える)2017年3月28日05時00分
教育無償化で改憲、妥当か 支持得やすい「有力論点」、首相が旗振り

写真・図版 【教育にかかるお金は?】

 ■憲法を考える 視点・論点・注目点

 憲法を改正して幼児から大学までの教育を無償化する。こんな案が、緊急事態条項の新設と並ぶ有力な改憲項目として自民党内で浮上している。多くの家庭が子どもの教育費の重い負担にあえぐ中、野党や国民の理解を得やすいだろうというのがその理由だ。だが、これは妥当な議論なのだろうか。

     *

 <維新は改正案> 「どんなに貧しい家庭に育っても進学できる。そういう日本をともにつくっていこうではありませんか」

 安倍晋三首相は5日の自民党大会で、憲法改正に向けた議論をリードすることが党の「歴史的使命だ」と述べた後に、こう力を込めた。憲法改正と無償化とを直接に結びつけてはいないが、それを念頭に置いていることは明らかだ。

 改憲による無償化を正面から主張しているのは日本維新の会だ。義務教育の無償を定めた26条を改正し、「幼児期の教育から高等教育」まで無償とする原案も発表。国会でも「憲法に規定し安定した制度として実現を」と訴え、安倍首相も「傾聴に値する」と応じている。

 衆参両院での3分の2以上の賛成で改憲案の発議をしても、国民投票で承認されなければ実現しない。そのため自民党憲法改正推進本部の幹部は、いかに多くの国民の支持を得られる改憲案を打ち出すかに腐心している。党幹部の一人は「教育無償化は急浮上中の有力論点」と認める。

 背景には、保護者の所得や地域などで大学進学率の格差が拡大している現実がある。改憲で無償化が実現すれば、経済的理由により進学を断念するケースは減り、多くの国民が歓迎するという計算が見える。

     *

 <家計負担は限界> 格差は、なぜ拡大してきたのか。

 教育費の問題に詳しい小林雅之・東京大教授(教育社会学)によると、大きな原因のひとつとして、日本では高等教育費の家計による負担割合が、極めて大きいことが挙げられる。

 欧州連合(EU)では平均して8割ほどが公的な負担でまかなわれているのに対し、日本では5割以上が家計の負担だ。欧州では教育費負担にも福祉国家的発想がある一方、東アジアでは「学費は親が工面する」という社会的風潮が強いからだという。

 加えて日本の国立大学の授業料は、高額な私立大との差を受益者負担で埋めようと1970年代から急激な高騰を続けてきた。経済成長率が高いうちは家計でやりくりできても、バブル経済の崩壊後は多くの家庭が負担に耐えきれなくなってきた。このため90年代後半から有利子奨学金の利用が爆発的に増えたが、最近はその返済の重さが問題化している。

 こうした状況を改めようと、返済しなくてよい給付型奨学金が新年度から段階的に導入される。一歩前進ではあるが、給付額が月額2万~4万円とあまりに少ないのが実情だ。

 ■法律作り制度化が筋 改憲後、財源なければ違憲に

 給付型奨学金や授業料の減免制度を拡充し、意欲ある若者に高等教育の門戸を広げる。いまは各党ともこうした政策を進めることでは足並みがそろう。

 2012年には当時の民主党政権が、国際人権規約の批准から30年以上も留保してきた高等教育無償化の「漸進的導入」の条項を受け入れた。国際条約上も、無償化に向けた政策の推進が求められているのだ。

     *

 <「現憲法で可能」> では、こうした政策と憲法改正を結びつけることをどう考えるべきか。

 西原博史・早稲田大教授(憲法)は、改正する必要はないと話す。憲法は、無償化を禁じていないからだ。

 「憲法26条はすべての国民に、能力に応じてひとしく教育を受ける権利を認めている。その権利を支援すべく、つけられるところから予算をつけていけばいい。その政策は憲法上、当然に正当化される」

 中川律・埼玉大准教授(憲法)も「無償化という政策目的の実現と憲法改正には合理的な関連はない。本当の目的は、無償化ではなく改憲にあるのではないか」と見る。

 西原氏はまた、無償化には経済力のある家庭を助けるという「逆進性」の弊害が大きいとも指摘する。

 16年度の現役生の大学・短大進学率は54・8%。西原氏は、進学しない人も払う税金で同世代の6割弱の大学生の学費をまかなうことへの納得を得るのは難しいとしたうえで、「小学生の時から塾に通わなくても進学できる学力がつくよう、義務教育の立て直しに予算をつぎ込むべきだ」と話す。

     *

 <4兆円が必要> そもそも、教育無償化は実現可能なのか。最大のハードルは、幼児から高等教育まですべてを無償にするならば4兆円を超えるという財源の捻出だ。

 自民党内では「教育国債」の発行も検討されているが、麻生太郎財務相は「その実質は子どもに借金を回すということで、赤字国債と変わらない」と慎重だ。

 財源がなく実現の見通しが立たないままでは、憲法を改正したとたんに憲法違反となりかねない。

 財源を確保できたとしても、財政難の中で巨額の予算の使い道を憲法で縛ることが適当なのかという問題も生じる。将来、その財源を保育やその他の子育て支援、社会保障にどうしても振り向ける必要が出てきたら、再び憲法を改正しなければならない。

 「どんなに貧しい家庭に育っても、進学できる日本」。安倍首相のこの言葉には共感する国民は多いだろう。

 各党がこの理念を共有するならば、必要な法案をつくり、制度化を急ぐのが政治の役割だ。

 そうはせずに、政策目的をまずは憲法に書き込もうというのなら、筋違いと言わざるを得ない。(編集委員・国分高史)

 ■(国会審査会 3月の議論から)衆院 災害時の任期延長で論戦

 16日と23日の2回の審議では、緊急事態条項を憲法に盛り込むべきかをめぐり、議論になった。

 緊急事態とは一般に外部からの武力攻撃や内乱、大規模自然災害などを想定する。このうち、国政選挙の直前に大規模災害などが発生して選挙ができなくなった場合に備え、国会議員の任期延長を可能とする憲法改正が必要かどうかが最大の争点になった。

 「必要」との意見を16日に表明した自民の上川陽子氏は、「参議院の緊急集会は、衆議院の解散から特別会が召集されるまでの70日間を想定した制度」とし、「東日本大震災の被災地では最大8カ月、選挙を執行できず、選挙の延期や議員任期の延長をしないと被災地出身議員が不在となる」と理由を述べた。

 ドイツ憲法(基本法)の緊急事態条項などに詳しい参考人の松浦一夫・防衛大教授は23日、「大地震が周期的に発生する我が国では諸外国にはない災害緊急事態条項の必要性が認められる」とし、「大災害で選挙が半年以上延期され、衆議院が機能しない事態を想定すれば、参議院の緊急集会では十分対応できるとは考えにくい」と発言した。

 一方、共産の大平喜信氏は16日、「国会議員の任期延長は国民の選挙権を停止するもの」とし、「大規模自然災害には参議院の緊急集会で十分対応できる」と述べた。

 災害復興支援に取り組んできた参考人の永井幸寿弁護士は23日、参院の緊急集会や繰り延べ投票(天災で選挙ができなくなった場合、期日を改めて投票する公職選挙法で定められた制度)で対応できると指摘。「災害後にどのように権力を集中しても対処はできない。平時から災害対策を行っておくことが肝心で、災害をだしに憲法を変えてはならない」と発言した。

 両者の中間のような意見も出た。民進の枝野幸男氏は16日、「任期延長は検討に値する」としつつ、「参議院の緊急集会で一定の対応は可能」「検討すべき事項が複雑かつ広範で単純に結論は出せない」と慎重姿勢を見せた。

 ■解散権「乱用」に歯止めは

 内閣の解散権や、参院の合区解消をめぐる一票の格差、衆院と参院の役割をどう考えるかなども議論された。

 憲法7条3号は、天皇が内閣の助言と承認により衆議院を解散すると定めており、解散の決定権は内閣にあるというのが政府見解だ。これに対し、「解散権の乱用」の歯止めが必要ではないかという問題提起があった。

 「時代に合わせた憲法をというなら、この問題が議論の中心になるべきだ」。民進の枝野氏が16日、行政府による議会の解散権を制約しているドイツや英国の例を挙げ、こう発言した。23日、参考人の木村草太・首都大学東京教授(憲法)も「党利党略での解散を抑制するために解散権に何らかの制限をかけていくのが合理的」と述べ、憲法改正の検討だけではなく、法律による解散手続きの整備を検討することを審査会に求めた。

 また、16日の審査会で自民の中谷元氏は、「地理的条件の考慮を憲法上の要請として明記することを含めた抜本的対策が必要」と合区解消を訴えた。自民の根本匠氏も「参議院を都道府県代表と位置づけることを検討すべきだ」。

 これに対し、公明の北側一雄氏は「参議院を地域代表とするのであれば、(国会議員は全国民の代表と定めた)43条の改正にとどまらず、憲法上の衆参の役割を大幅に見直さなければならない」と発言し、参議院での議論の行方を見守る考えを示した。(編集委員・豊秀一)

 ■(情報インデックス)日本会議国会議員懇が運動方針

 憲法改正運動を進める運動団体「日本会議」の国会議員懇談会(平沼赳夫会長、約290人)は15日の総会で、2017年度の運動方針を決定した。改憲の優先課題として、緊急事態条項の創設と、自衛隊の存在を明記する9条改正に取り組む方針を確認した。

 運動方針では「憲法の最高法規としての“法の不備”を改める」として、「立憲主義を確保」するための改憲だと主張。(1)大規模災害時の国会議員の任期延長などの課題を整理し、現行法が定める緊急措置などを盛り込む(2)自衛隊の存在を、国際法に基づく自衛権を行使する組織として位置づける――を優先課題とした。その他の主要改正テーマとして、「前文」「家族」「改正手続き」「統治機構」も記した。

 また、憲法改正の早期実現を求める国会議員署名とあわせて、「憲法改正原案の国会提出を求める国会議員署名」も推進していく方針を決めた。

 ■予告 4月は休載します。5月の憲法記念日にあわせて、別途「憲法施行70年」特集を掲載する予定です。


(5) (波聞風問)2017年3月28日05時00分
SDGsと企業 社会の課題、ビジネスで応える

 企業も社会が抱える課題の解決に尽くすことはできないだろうか。それも継続できるような方法で……。

 年に一度、主に関西発祥の企業経営者約600人が京都に集まり、政策や企業経営のあり方を議論する会合がある。今年2月、この関西財界セミナーで、これまでとは趣の異なるテーマが挙がった。

 「分配と成長」。経済成長あっての分配ではなく、分配から先に考えるべきではないか、という問題提起だ。副題は「子どもの貧困」である。

 これを放置すれば、大きな社会損失になるという意識を共有して、提案が相次いだ。最低賃金の引き上げ、高校の無償化という政策のほかに、企業に何ができるかという議論に及んだ。そのなかで、りそなホールディングスの東和浩社長の話に興味をもった。

 「私たちは年金の運用をお任せされている。社会的な課題解決に取り組む企業に投資するのは世界的な流れ。国連のSDGsが基準になっている」。なるほど、そういう企業の評価方法もありえる。

 SDGs( Sustainable Development Goals )とは、「持続可能な開発目標」と訳す。一昨年の国連総会で採択された国際社会の共通課題のことだ。目標の17分野には、貧困の解消、ジェンダー平等の実現、気候変動対策、働きがいと経済成長などがある。

 英国NPOの調査では、機関投資家の75%がSDGsに配慮した投資が自らの評価を高めると考え、62%がSDGs重視の運用でより大きなリターンを期待できると答えた。投資家が社会的な課題に取り組む企業姿勢を評価するようになった理由はなにか。

 日本総研の村上芽さんは「環境に配慮した不動産は高い賃料が期待できるように、投資リターンと環境、社会問題、企業統治の関連が見えてきた。SDGsは分かりやすい目安」と言う。リーマン・ショックへの反省から、より長期的な視点が求められるようにもなったという。

 こうした環境、社会、企業統治を重視した投資は全運用資産のうち、欧州では6割、日本でも2割弱を占める。りそなの資産運用部門の株式運用は9割を超す。

 では、こうした投資家は、企業のどのような活動に着目しているのだろうか。

 例えば、水不足を克服するために、空気から水をつくる技術があれば、飲料水のほか、農業、工業にも生かせる。よく知られるのは、住友化学がマラリア予防のために開発した防虫剤を塗り込んだ蚊帳だ。80カ国で年間6千万張りが供給され、多くの命を救っている。

 社会が求める課題に、企業がビジネスとして応える。それは市民生活を豊かにするイノベーションに他ならない。多様化する消費者ニーズを見いだすことは難しい。だが、目線を変え、社会のニーズを企業の視点から探ってはどうか。その役割は、政府だけが負うものでもないだろう。 (多賀谷克彦 編集委員)

【下平・註】

やたらに横文字を使うようになって、国民はみな不便を感じています。 できればこれから、

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ちょっと値が張るが、終活でいろいろな本の廃棄にも役立ちます。

SDGs
持続可能な開発目標(SDGs = Sustainable Development Goals)とは
開発アジェンダ (2030) の節目の年、2015年の9月25日-27日、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(英語[別窓]・日本語(外務省仮訳)[PDF])が採択されました。

ジェンダー
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - ジェンダーの用語解説 - フェミニズムの中では,生物学的性差をセックスと呼ぶのに対して,性別に基づいて社会的に要求される役割などの社会的性差をさすことばとして用いられる。

ジェンダ
アジェンダ(agenda)は、「予定表」を意味する英語から来ています。日本語でこの語が用いられる場合の多くは、国際的に取り組むべき「検討課題」や、政府や官公庁などで公式に実施すべき「行動計画」などをさしています。

NPO
民間の、営利を目的とせず社会的活動を行う団体。▷ nonprofit(=(形容詞)非営利の;(社会が)資本主義によらない) organization(=(1)組織,(2)編成,構成 (3)団体,組合)

リターン
ここでは returns の意味で(利益)

リーマン・ショック
リーマン・ショックは、2008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻(Bankruptcy of Lehman Brothers)したことに端を発して、続発的に世界的金融危機が発生した事象を総括的によぶ。

アメリカでサブプライムローンという、低収入というかいわゆる貧乏な人向けのローンがあったんです。
それは一般の人向けのローンよりも利子は高くつきます。
サブプライムローンの大元はリーマンブラザーズっていうアメリカの証券会社です。

簡略するとリーマンブラザーズが貧乏人向け住宅ローンをやってたと思ってください それで間違ってはいません。

で、そのサブプライムローンが流行ってたころ、アメリカの地価が上昇してたので、貧乏な人たちはそのローンでお金を借りて土地が高くなったら売って儲けて借金とかを返そうとしてたんです。大まかな話。

ですが、不景気がおきて予想とは裏腹に地価が下がってしまいました。
ここで問題だったのはアメリカの住宅ローンのシステムです。
日本の住宅ローンはローンが残ってる限り家を手放しても払わなくてはいけませんがアメリカの場合家を手放せば残りのローンは払わなくて良いのですよ。
早い話がローン全部返済してなくても家を売り払っちゃえば借金チャラです。
なので、払えなくなった人たち(払えなくなった原因は不景気と思っといてください。後このまま家を持っていても地価が上がりそうに無いから損すると考えたんだと思います。)が次々家を手放しました。

まあそんな紆余曲折があってリーマンブラザーズが貸したお金を返してもらえなかったりして経営が悪化して倒産したんです。 リーマンブラザーズって言うのは大手の証券会社だったので、他にも社債とか発行してたので、それを持ってた他の銀行とかの経営も悪化してしまい、アメリカが更なる不況に追い込まれてそれが日本とか他の国々にも影響したわけです。

簡単に言うと。 お金を借りてた人たちが返済できなくなったこと=サブプライムローン問題
それによって貸していた会社(リーマンブラザーズ)が経営悪化、後に倒産。それによるアメリカ経済、世界経済への(悪い)影響、要するに世界的な不況=リーマンショックをもたらしたのです。

ビジネス
ビジネス【business】1 仕事。職業。また、事業。商売。 2 個人的な感情を交えずに利益の追求のみを目的として進める仕事。「―

イノベーション
1 【innovation】 新機軸。革新。
2 新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念。シュンペーターの用語。また、狭義には技術革新の意に用いる。

ニーズ
【needs】必要。要求。需要。


(6) (社説)2017年3月28日05時00分
森友と財務省 納税者を甘く見るな

 森友学園(大阪市)を巡る様々な問題について国会で激しい論戦が続くなか、国の新年度予算が成立した。与党からは「次のステージに向かう時だ」との声があがり、幕引きを急ごうとする動きが見られる。

 とんでもない。学園の籠池(かごいけ)泰典氏の証人喚問を経ても疑惑は晴れない。安倍首相夫人の昭恵氏や昭恵氏付の政府職員の行動が、学園への異例づくしの国有地売却などに影響したのか、事実関係の徹底解明が不可欠だ。

 見過ごせないのは、取引の経緯を詳しく説明しようとしない財務省の姿勢である。

 国有地の売却ではその金額を原則公表してきたのに、森友側との取引では伏せた。財務省近畿財務局によるこの異例の対応が一連の疑惑の発端になった。

 遊休国有地の取引は売買が主流なのに、定期借地契約を認めた。その後売買に切り替えたが、ゴミ撤去費用を巡る不明朗な見積もりを経て、周辺の地価と比べて9割安という破格の条件になった。

 財務省は「適正に処理した」と繰り返す。交渉記録は廃棄したから残っていない。法令違反はない。関係者への聞き取り調査はしていない――。

 最近になって一部の調査結果を公表したが、自分たちが正しいから信じろと言わんばかりだ。国会では当時の理財局長と近畿財務局長の参考人招致が実現したが、「報告がなかった」「政治的配慮はしていない」との発言にとどまった。

 財務省の仕事は、国有財産の管理と不要な資産の処分にとどまらない。税制を考え、それに基づいて税金を徴収し、予算案として配分を練るという政府の仕事の中核を担っている。

 そうした役割は納税者・国民の理解と納得に支えられている。財務省を含む政府の説明が明らかに足りないと考える人が多数を占める現状に、危機感はないのだろうか。

 ただちに関係者から話を聞き、誰がどう動いたかを再現して、国会で説明するべきだ。自ら調べる意思がないのなら、第三者に任せるしかない。

 土地の売却契約の成立から1年もたたずに記録を廃棄したとしているのも適切でない。内規に基づく措置だというが、内規自体が情報公開を充実させる基本に反していることを自覚し、猛省しなければならない。

 かたくなな財務省は何を心配しているのだろう。自らの組織の防衛か、森友問題で浮上した政治家への配慮なのか。

 納税者の目は厳しい。甘く見れば必ずしっぺ返しがある。