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続折々の記 ④
【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】04/01~     外務省SDGs     肝臓のケア
森友の終末     【 05 】04/08~     【 06 】04/22~
【 07 】04/24~     【 08 】04/26~     【 09 】04/27~

【 04 】04/02

    04/02 森友紛糾の終末
         安倍政権の国民ダマシの暗黒
         巧言令色、鮮矣仁  許してはならない政治家のウソ



04/01 森友学園問題  01
04/01 敵基地攻撃能力「検討」(変わる安全保障) 01
04 02 世界の幸せな国ランキング 日本53位  01
04 01 持続可能な開発のための2030アジェンダ  02
04/05 科学研究費の削減 : 肝臓ケア  03
04 18 森友紛糾の終末 安倍政権の国民ダマシの暗黒  04
04/08 砂上の楼閣・世界の金融システム その罪は重い  05
04/06 トランプ大統領 海のものか山のものか  05
04/22 国民を鉛の兵隊にしたのは誰だ その罪は重い  06
04/23 田中宇の国際ニュース解説 世界はどう動いているか
 【01】中国に北朝鮮核を抑止させるトランプの好戦策  06
 【02】トランプの見事な米中協調の北朝鮮抑止策  06
 【03】トランプの東アジア新秩序と日本  06
 【04】混乱と転換が激しくなる世界  06
04/24 田中宇の国際ニュース解説 世界はどう動いているか
 【01】見えてきた日本の新たな姿  07
 【02】フィリピンの対米自立  07
 【03】台湾に接近し日豪亜同盟を指向する日本  07
 【04】潜水艦とともに消えた日豪亜同盟  07
 【05】日豪は太平洋の第3極になるか  07
 【06】No ceremony for Japan office in Taipei renaming  07
 【07】米国債利払い停止危機再び  07
 【08】米大統領選挙の異様さ  07
 【09】英国より国際金融システムが危機  07
 【10】欧州極右の本質  07
 【11】米大統領選と濡れ衣戦争  07
 【12】英国が火をつけた「欧米の春」  07
 【13】テロと難民でEUを困らせるトルコ  07
 【14】欧州の自立と分裂  07
 【15】欧米からロシアに寝返るトルコ  07
 【16】トランプの見事な米中協調の北朝鮮抑止策  07
 【17】トランプの東アジア新秩序と日本  07
04/26 キッシンジャー どんな人か
 【検索結果】  08
 【01】ヘンリー・キッシンジャー - Wikipedia  08
 【02】93歳の「キッシンジャー」がトランプ政権の黒幕なの?  08
 【03】「外交指南役」はキッシンジャー氏:トランプ氏の「親ロシア」への転換を実現  08
04/27 キッシンジャー どんな人か
 【04】キッシンジャー - 世界史の窓  09
 【05】ヘンリー・キッシンジャーは一体何をたくらんでいるのか?  09
 【06】悪魔を育てたキッシンジャー博士:中韓を知りすぎた男  09
 【07】世界交友録 ヘンリー・A・キッシンジャー氏|池田名誉会長の足跡  09
 【08】Amazon.co.jp: ヘンリー・キッシンジャー: 本  09
 【09】93歳のキッシンジャー氏、再び米中間の橋渡し-北京で中国要人と会談  09
 【10】米国「親中派」キッシンジャーの習近平への助言|雨のち晴れの記  09


 04 02 (日) 赤旗日曜版の記事     自民党議員が今も支える総理の最低の人格外

毅然とした政治家を失った日本の将来、平和に逆行し口先だけの政治がまだ続いている。

国家最悪の “人殺しと破壊活動” への舵を切った政治家安倍晋三 !!

私たちの自由権を最大に蜂起すべき時が来ている !!



(1面)
2017/04/02
【その一】
森友紛糾事件 昭恵氏が関与
  安倍夫人付に籠池氏の要望取り次ぐ

※ 国有地をめぐる昭恵氏側と森友学園・籠池氏とのやりとり


 籠池泰典氏  
【2015年9~10月頃】
「お願い」の電話。つながらず留守電を残す
        
 安倍昭恵首相夫人
        伝達
        
 内閣総理大臣夫人付 谷査恵子氏  
【2015年10月頃】
「昭恵さんにお電話いただいた件ですが」「こちらに文書を送ってください」と電話
        
 籠池泰典氏  
【2015年10月26日】 手紙を送付 (手紙の内容…筆跡の部分コピー)
 安倍総理が掲げている政策を促進するために
 ※ 国有財産(土地)の賃貸料を50%に引き下げて運用の活性化を図るということです。
 ※ 学校の用地が半額で借りられたらありがたいことです。
        
 内閣総理大臣夫人付 谷査恵子氏  
【2015年11月17日】 回答をFAX
 「当方としても見守ってまいりたい」
        
       半年後
        
   【2015年11月17日】
    格安で売却

学校法人「森友学園」(大阪市)への格安国有地売却―。  「首相夫人付」がだした一通のファックスが安倍晋三首相夫妻を直撃しています。 昭恵夫人の関与を示す “証拠” として国会の証人喚問で飛び出しました。 政府は昭恵氏の関与を必死に否定しますが、それを覆す、新証言や資料を編集部は得ました。

喚問いよいよ必要

問題のファクスを示したのは、森友学園の籠池康典氏。 首相夫人付の政府職員・谷査恵子氏が2015年11月17日、籠池氏に送ったものです。 国有地に関する籠池氏の要望を、財務省本省に問い合わせた回答。「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」などと記されています。 この問題で安倍首相は「私や妻が関わっていたのであれば総理大臣も国会議員もやめる」(2月17日、衆院予算委員会)と発言。 そのため政府は、籠池氏からの手紙に首相夫人付が「個人的」に回答したと弁明。 昭恵氏の関与を強く否定しています。

しかし、籠池氏をよく知る関係者は証言します。

「籠池氏は15年9月~10月ごろ、昭恵氏の携帯電話に連絡した。 出なかったので留守番電話に、国有地についての要望を吹き込んだ。 後日、首相夫人付から “昭恵さんにお電話いただいた件ですが” “急ぎのようなので、こちらに文書を送ってください” という感じで籠池氏に電話がかかってきたそうです」

昭恵氏の関与を裏付ける新証言。 いよいよ昭恵氏の証人喚問がもとめられます。
6面に続く



6面
【その二】
森友問題 崩れる政府里弁明
  「ゼロ」どころか満額回答安倍夫人付に籠池氏の要望取り次ぐ

※一 編集部が独自に入手した籠池氏の手紙の基となったノート(筆跡そのまま)

小学校敷地の件について(H27/10/26)


小学校用地として豊中市野田1501を売買予約附定期借地として契約。(国土交通省航空局の土地)交渉先は近畿財務局

とうほうとしても買収したかったが資金調達都合が立ったので10年以内に購入希望としたところ、10年定借という当方にとっては切迫感のある契約となった。事業用定借というのは長期間借りることにより経営が安定するのだが(挿入… 長期間使用する必要がある)学校という扱いが財務省側はしていないので非常に不安である。

学校が事業用地で定借10年は短かすぎ(10年以内に買い取りし、それができなければ建物を取り壊して原状に復する)、10年で買い取るつもりではあるが、事業環境が変わったりするのでやはり50年定借として早い時期に買い取るという形に契約変更したいのです。でないと安心して教育に専念できない。

買い取り価格もべらぼうに高い。のでびっくりしている。

(A1)さらに現在借地契約のあと、土壌汚染や埋蔵物(ガラなど)を撤去しており、本来国が契約前に撤去するか撤去している間は賃借料(250万円/月)が発生しないのが民民契約だが国との契約だから従ってもらわねばならぬということで現在に至る。建物建築時から借料が発生するのが本来であるのにおかしいと思う。

安倍総理が掲げている政策を促進するために(*)国有財産(土地)の賃借料を50%に引き下げて運用の活性化を図るということです。

(*)学校の用地が半値で借りられたらありがたいことです。

(A1)A1の関係ですが、平成27年2月契約事前の段階で、財務と航空の調整の中でが縁側が工事費を立て替え払いして平成27年度予算で返金する約束でしたが、平成27年度予算化されていないことが9月末発覚し、平成28年度当初に返金されるという考えられないことも生じています。11月中に○○工事が終わりますのに4ヶ月間のギャップはどう考えているのか航空局の人間の感覚が変です。4ヶ月間の利息は? ふりまわされています。

新聞記事と当方の契約書を同封いたしますのでよろしくお願いします。

                                       籠池拝


※二 首相夫人付職員経由 「ゼロ回答」 どころか 「すべて満額」

内   容
籠池氏の要求
15/10/25日付手紙
-
財務省側の回答
15/11/17日付FAX
-
結   果
定期借地契約
10年は短すぎる。50年契約にして早い時期に買い取れないか
10年は短くない。50年契約は難しい
2016年6月、早期買取が実現
賃   料
賃料が高い。250万円(実際は227万円)の賃料を半額にしてほしい
ゴミ撤去の費用は買受の際に考慮される
16年6月の売買契約締結で8.2億円の値引きの上に10年分割払いに。支払額は月額にすると100万円程度
工事費の立て替え払い(約1億3千万円)の予算化
15年度予算で返金すると言っていたのに予算化されていない
16年度で予算措置する方向で調整中
16年4月6日に支払われる



首相夫人付職員の谷査恵子氏が、森友学園の籠池泰典氏に送ったファクス文書。政府は「首相夫人付が個人的にやったこと」「ゼロ回答で、関与したことにならない」と弁明に必死です。

そもそも籠池氏の要望とは何だったのか。

籠池氏は、国有地をめぐる自らの要望をノートの見開きに書き留めました。編集部が入手したノートの写しに書かれたタイトルは「小学校敷地の件について(H27・10・26)」。①売買予約付きの10年定期借地契約を50年として早い時期に買い取る形に契約変更したい。買取価格もべらぼうに高いのでビックリしている②土地汚染等を理由に賃貸料月250万円(実際は227万円)を、「安倍総理が掲げている政策を促進するために」50%引き下げてほしい―などと要望しています。

籠池氏は、これを複写して契約書などと一緒に送るよう妻に指示。こうして送られた手紙に回答したのが問題となっているファクスです。

日本共産党の大門実紀史参院議員は決算委員会(3月28日)で、籠池氏側が手紙で要望していた主なことが、時間がかかっても最終的に実現していることを指摘(表参照)。「セロ回答ではなくて満額回答じゃないか」と追及しました。

昭恵氏の関与があったからこそ「満額回答」になったと見るのが自然です。

期待持たせる

元経済産業省部長の古賀茂明さんは言います。

「官僚の世界では、本当に『ゼロ回答』なら、『大変申し訳ない』と丁寧に言いつつ、『なにとぞご理解ください』などとこれで打ち切ることを明記するものです。なのに、『見守ってまいりたい』『何かあればご教示ください』などと書いている。ファクスを受け取った側は"何かあったら協力してくれるんだな"とすごく期待をもつ」

同時に、このやりとりで「回答した財務省側は、この用地処分が『首相夫人案件』だということがしっかり伝わったのでしょう。結果として、森友学園側の要望実現を支援する形になった」という政府の言い分を、マスメディアに登場する官僚出身者たちはこぞって否定。古賀氏も「絶対あり得ない」と指摘します。

NHK日曜討論(同26日)で日本共産党の小池晃書記局長が「官僚は上司の指示なしには絶対に動かない。それを個人の責任に押しつけるのはあまりに冷酷だ」と批判。自民党下村博文幹事長代行は「職務を行った」と言わざるを得なくなりました。

森友学園疑惑の核心である国有地の8億円値引きに至る直前の段階で、国と籠池氏とのやりとりに、昭恵氏が関与していた疑いが濃厚になりつつあります。

「(私や妻が国有地払い下げに)もしかかわっていたのであれば、私は総理大臣をやめる」と述べた安倍首相。元東京地検検事の落合洋司弁護士は次のように語ります。

「籠池氏の証人喚問や国会の審議を通して、首相による『私も妻もまったく関係ない』という説明はだいぶ崩れてきたように思う。こうなったら昭恵氏本人が証人として説明すべきでしょう」

昭恵氏の関与についての編集部の取材に、内閣総務官室は「私的な行為なので答える立場でない」と回答しました。

※三 総理大臣夫人付


「内閣総理大臣夫人付」とは、安倍首相の妻の自身の「秘書」だったと称する内閣官房の職員です。こうしたポストは第1次阿部内閣が初めて昭恵氏のために臨時職員1名を「首相公邸連絡調整官」として設置。第2次阿部内閣では、計5人の「夫人付」にふくれあがりました。

「夫人付」は経済産業省から2人、外務省から3人。経産省の2人は昭恵氏と日常的に行動を共にします。

今回、籠池氏にファクスを送った谷査恵子氏は、15年9月に昭恵氏が森友学園の運営する塚本幼稚園で講演した際も同行しました。

内閣府は「夫人付」の職務について、「昭恵氏による首相の公務補助を支援する」ことに限られると説明しますが、実際は首相の公務と関係ない昭恵氏の活動まで手伝っていました。

元東京地検検事の落合洋司弁護士は、「『公人』でないとされる昭恵氏が何人もの公務員をかしずかせ、陳情の窓口みたいになっている。夫人の私的なことまで手伝わせている。非常に不明朗な存在で、今回のような事態を招いた首相には、重大な政治的道義的責任がある」と話します。




「個人」でなく職務だ
   
財務省OB怒る

一連の経緯について複数の近畿財務局OBは、政府の「ファクスは政府職員が『個人的に』照会し、安倍昭恵氏がファクスなどのやり取りに関与していない」とする説明について「説明になっていない」と口をそろえます。

近畿財務局OBは「『首相夫人付』の肩書で問い合わせる以上、絶対に『個人的に』ではない」と語ります。

さらに「職員は必ず昭恵氏に『自分が動いていいか』と確認をとるはずだ。公務員は自分の行動が正当だということの担保を残そうとする。一人で判断して動くなどあり得ない」と証言します。

そのうえで「『トカゲの尻尾切り』に遭った昭恵氏付の職員はものすごく気の毒だ」と憤ります。

国有財産の売買を担当する鑑定官OBは財務省の対応について、「国家公務員が『首相夫人付』職員から問い合わせを受けたらドキッとする。上司にも必ず報告する」と指摘。「ファクスは予算措置まで言及している。理財局だけでなく主計局など予算担当部署ともすり合わせないと書けない内容だ。省として回答しているとみられる」と話します。


7面
【その三】
籠池氏喚問・これが疑惑の数々

衆参予算委員会で行われた学校法人「森友学園」の籠池泰典氏の証人喚問(3月23日)や国会質問で浮かび上がった疑惑の焦点は……。

一 食い違う言い分 昭恵氏100万円

焦点の一つは、籠池氏が受け取ったと証言する安倍晋三首相の妻・昭恵氏の100万円の寄付金。籠池氏によると、2015年9月5日に昭恵氏が塚本幼稚園で講演した際、「園長室」で昭恵氏と「二人っきりの状態」で受け取りました。そのさい、昭恵氏は「どうぞ安倍晋三からです」と述べ、その後電話で「黙ってて」と伝えてきたといいます。「大変名誉な話なので、鮮明に覚えております」(籠池氏)。また籠池氏は同日、昭恵氏に「10万円の講演料」を渡したとも言明しました。

一方、昭恵氏は自身のフェイスブックでこれらの証言を否定するコメントを発表しました。

昭恵氏が就任した「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長(現在は辞任)。安倍首相は国会で「困りますよということで最終的に引き受けた」と答弁していましたが、籠池氏は「1秒ほど戸惑っていましたが、すぐ即断していただきました」と証言。

両者の言い分はまるで食い違っています。

二 認可すすめた大阪府の責任

小学校の設置認可に関して日本維新の会・松井一郎代表(大阪府知事)の名前をあげました。元大阪府議の畠成章氏(故人)に「松井知事や大阪府に力添えいただけるようお願いした。そのおかげで特別な取り計らいをいただいた」と述べました。府は借入金による学校開設を認める規制緩和をしています。籠池氏は、維新の東徹参院議員とも「じっこん」(籠池氏)で、小学校の設置基準緩和に関して協力を頼んだことも証言。「九分九厘まで出来上がって、はしご段を外された思いだ」と松井知事を何度も名指しし、"恨み節"を述べました。

また、大阪府議会の参考人質疑(3月23日)では、府私学審議会の梶田叡一会長が「土地はいずれ(森友学園が)所有し、認可適当を出せば国も土地を渡すという確約があるということだった」と証言。佐川宣寿財務省理財局長は、そうした確約を否定しており、食い違います。

三 メールで口止め? 頻繁なやりとり

籠池氏は、妻に対し昭恵氏から「私が関わったということは裏で何かがあるのではという、口止めともとれるメールが届きました」とも証言。疑惑発覚して以降も妻と昭恵氏との間で2月に「22回ほど」、3月に「15,16回」のメールのやりとりをしたと述べました。頻繁に連絡を取り合える緊密な間柄を示しています。

四 金額の違う三つの契約書

「刑事訴追を受ける可能性がありますので、答弁を控えさせていただきます」……。籠池氏は、小学校建設費をめぐって日付が同じで金額が違う三つの契約書が存在する件に関しては、証言拒否を連発。森友学園が国からの補助金を多くもらおうとしていたなどの疑惑がもたれています。

五 稲田防衛相も関係問われる

証人喚問では、籠池氏と稲田朋美防衛相との関係も問われました。稲田氏は国会で「ここ10年ほど籠池氏とは全く疎遠だ」と答弁してきました。ところが、籠池氏は、稲田防衛相の夫・稲田龍示弁護士の事務所に「平成28年(16年)の1月に相談に行った」と証言。賃借中の国有地の土地改良・埋設物処理費1.9億円の立て替え金の返還をめぐってのことだといいます。稲田氏はその後、夫が近畿財務局や大阪航空局の職員と籠池氏側との「話し合いに同席することとなった」(3月24日)と認めました。

※ 根拠なかった8億円値引き

「学園」に国有地を売却したさい、 "深さ9.9㍍までゴミが埋まっている" として8.2億円の「ゴミ」撤去費を値引きした問題。共産党の辰巳孝太郎参院議員は独自に国立研究開発法人「産業技術総合研究所」に地質分析を依頼。その結果、「赤さ3㍍までは人工的に埋め立てた埋没度からなり、それより深い部分が天然の堆積物と思われる」と判定されました。24日の予算委員会で辰巳氏は「専門家によると9.9㍍あたりの深さでゴミがでないのは『常識的な話』だ。国の計算には客観的根拠がない」と指摘しました。

 04 18 (火) 森友学園の最後     専制総理の終末

(1面)
2017/04/18 (1強)第2部 
【パノプティコンの住人:1 】
首相から電話、質問を封印

 3月2日。電話口の安倍晋三首相は少し、いら立っているようだった。「西田さんは大阪問題でやりたいだろうけど、それを頼んだのが安倍だと言われたら、なんにもならないからさ」

 電話を受けたのは、自民党の西田昌司参院議員。4日後の参院予算委員会で学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地売却問題について質問に立つことが決まった矢先。首相から質問内容に注文がついたのは初めてで、「総理が直接電話してくるのは異常やねん」と西田氏は明かす。趣旨は、土地が約8億円値引きされたことの「正当性」を、質疑を通してうまく説明してほしいというものだった。

 西田氏は京都府選出。日本維新の会に一貫して批判的な立場で、「森友問題は大阪府の小学校設置認可をめぐる規制緩和に端を発した大阪問題」として質問するつもりだった。首相は電話で維新に触れなかったが、西田氏は直感した。「憲法改正を含め、政権に協力的な維新をかばう気持ちが首相にはあるんやな」と。

 質問当日。西田氏は首相の言う通り、値引きの正当性を主張する官僚答弁を引き出し、「疑惑だ、という森友事件の報道は、フェイクニュースだ」と訴えた。

 与党議員が政権に都合のよい質問をするのは珍しくない。だが、西田氏は「国会の爆弾男」の異名をとり、身内といえども歯にきぬ着せぬ批判を浴びせる言動でならしてきた。そんな西田氏でさえも、この日は大阪府に関する質問を封印せざるを得なかった。

 10日後の3月16日。学園の籠池泰典氏の100万円寄付発言が飛び出すと、竹下亘・自民党国会対策委員長は「首相への侮辱」と言って証人喚問に踏み切った。問題が首相を直撃しても、与党はひたすら「1強」に付き従っている。(二階堂友紀)

 ◆パノプティコン 権力による社会の管理・統制システム

 パノプティコン。もともとは監視者がいてもいなくても囚人が監視を意識する監獄施設のこと。転じて20世紀にフランスの哲学者フーコーが、権力による社会の管理・統制システムの概念として用いた。

 独房で権力のまなざしを常に意識する。パノプティコンの監獄に閉じ込められた囚人のありようは、権力に分断され、従属し忖度(そんたく)する「1強」の政治状況で起きている現象に似ている。

 自民党、野党、官僚、メディア。それぞれが「1強」のもとで、「パノプティコンの住人」のように支配されていないだろうか。連載第2部で探っていく。

 (3面に続く)

(3面)
政権の「敵」、容赦なく攻撃

写真・図版 【パノプティコン(一望監視施設)」とは】

 「そもそも寄付はしておりませんが、寄付していたとしても、感謝されこそすれ、犯罪ではありません」

 17日の衆院決算行政監視委員会で、安倍晋三首相は森友学園に対する妻・昭恵氏の寄付の有無に関して、こう答えた。

 最近の首相には余裕がうかがえる。12日の衆院厚生労働委では、民進の柚木道義氏は森友問題でNHKの世論調査を取り上げた。

 「政府の説明に納得できないが8割。昭恵夫人に公の場で説明頂けるよう話して頂けないか」

 首相は笑みを浮かべながら、答弁した。「その調査では内閣支持率は53%。自民、民進の支持率はご承知の通りでございます」

 自民支持率は38%、民進は7%。首相は「何回も説明してきた通り」と、昭恵氏の国会招致を拒否した。

 政権の座に返り咲いてからの4年余。民進を攻めることで自らへの批判をかわす。それが得意のパターンであり、現実に森友問題が首相を直撃しても内閣支持率や自民支持率への影響は限定的だ――。首相の答弁は、何があろうと「安倍1強」は揺るぎないと宣言するかのようだった。

 政権の危機管理を担ってきた菅義偉官房長官は、毎日2回の定例会見で「その指摘は全く当たらない」などと全面否定の言葉を繰り返すことで、批判をはねつけてきた。

 その菅氏が森友問題で動いた。学園の籠池泰典氏に対する3月の証人喚問当日。国有地借り受けに関する相談で昭恵氏に留守電を残し、夫人付の政府職員からファクスがきたとする籠池氏の証言に対し、菅氏は会見冒頭でファクスのコピーを記者団に配布した。

 後に行政文書ではないと閣議決定された「私文書」を公の会見で出し、やがて籠池氏告発にも言及。敵と見定めた相手は、容赦なく攻めて追い詰める。そんな姿勢が見て取れる。

 ■跳ね返り恐れ、批判及び腰

 「1強」による攻撃的な姿勢を前に、野党や自民党内の非主流派は、孤独な戦いを強いられている。

 「運動会の宣誓は、間違いないものでしょうか。失礼ながら、ガセだとか言われると困るので」

 2月末、森友問題を取材するノンフィクション作家の菅野完(たもつ)氏のもとに、ツイッターのダイレクトメッセージが届いた。相手は一面識もない民進党の大西健介衆院議員。学園の園児が「安倍首相頑張れ!」と声を上げる映像を発掘した菅野氏に対し、信頼性を問う内容だった。

 「政権にスキャンダリズムで対峙(たいじ)するなら、泥まみれになる必要がある。ツイッターでの問い合わせなんて覚悟を感じられない」と菅野氏はいう。

 民進党には2006年の「偽メール事件」の後遺症が残る。当時民主党の若手議員が元週刊誌記者から提供を受けたメールを元に小泉政権を追及。のちに偽メールと判明し、前原誠司代表の辞任に発展した。

 根拠が薄いままへたに質問すれば批判が跳ね返り、事件の二の舞いになりかねない――。党内のそんな空気を感じている福島伸享衆院議員は「偽メール事件を引きずっていると思われる国会対応を今時やっているのは恥ずべき事」と語る。

 その福島氏が森友問題を追及する中、地元・水戸市の事務所に、自分が申し込んだ覚えのない生命保険の加入書類が7通届いた。誰かが福島氏の名をかたり、生保会社に請求したものとみられるという。福島氏は「『命に気をつけろ』という暗示だと思った」と語る。

 政権批判をする政治家への攻撃。矛先は、野党だけではないようだ。自民党で「ポスト安倍」をうかがう石破茂・前地方創生相が3月のテレビ番組で「(昭恵氏が)隠しているんじゃないのと思われることはかえって良くない。政府与党としてお答えしなきゃいかん」と述べた時も、事務所に批判のメールや電話が相次いだ。「お前は後ろから鉄砲を撃つのか」「お前なんかに総理の資格はない」

 首相を擁護した側の西田昌司参院議員の事務所にも「なぜ、首相を守るのか」という批判の電話は来たという。だが、同じ批判や攻撃も、「1強」首相をバックにした議員と、そうでない議員とでは、心理的負担の差は明らかだ。(二階堂友紀、中崎太郎)

    ◇

 パノプティコンについて、フーコーの専門家である石田英敬・東大教授(メディア論)は「権力が支配される側を『自己規制させる技術』のことだ」と述べ、現代の権力による統治手法にも通じると指摘します。

 そのうえで「権力がどんな手法で、支配しようとしているのか。それを認識することが、パノプティコンの構造から解放される第一歩だ」と言います。

 第2部は支配される側の視点から「1強」の政治状況を考えます。次回は野党に焦点を絞り、総合4面に掲載します。

※ 森友問題の説明、「不十分」が75% 昭恵氏招致「必要」53% 朝日新聞社世論調査

写真・図版 【森友学園への国有地売却問題】

 朝日新聞社による15、16日の全国世論調査で、森友学園への国有地売却の問題について、政府の説明が十分かを尋ねると、「不十分だ」が75%で、「十分だ」は12%。内閣支持層でも67%が「不十分」と答え、「十分」は20%にとどまった。内閣不支持層では93%が「不十分」と答えた。▼1面参照

 また、この問題で、森友学園側から相談を受けていた安倍晋三首相夫人の昭恵さんが、国会で説明する必要があるかを聞くと、「必要がある」は53%。「その必要はない」の39%を上回った。「必要がある」は、自民支持層でも40%。無党派層では58%だった。

 今回の調査では、北朝鮮についても尋ねた。ミサイル発射や核開発に脅威をどの程度感じるかは、「強く」(56%)と「ある程度」(34%)を合わせて90%が「感じる」と答えた。北朝鮮に対し、米トランプ政権が、空母を派遣するなど、軍事的な圧力をかけていることには59%が「支持する」。「支持しない」の25%を上回った。

 一方、米国は、シリアのアサド政権軍にミサイル攻撃をした。これに、安倍首相が「化学兵器の使用は許さないとの決意を支持する」と述べたことには、「評価する」が49%、「評価しない」は34%だった。

 配達員の長時間労働が問題になっている宅配便についても聞いた。配達員の労働環境を改善するためとして、サービス縮小の動きがあることに、「賛成」は71%で、「反対」の18%を大きく上回った。