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続折々の記 ⑤
【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】05/03~     【 02 】05/03~     【 03 】05/16~
【 04 】05/21~     【 05 】06/05~     【 06 】06/07~
【 07 】06/08~     【 08 】07/03~     【 09 】健康長寿


【 06 】06/07

  06/07 マスコミ頑張れ   一強独裁化した自民党員は自己主張ができない

 06 07 (水) マスコミ頑張れ     一強独裁化した自民党員は自己主張ができない

一強独裁化した自民党は自己主張ができない !!  いよいよ、こんな体たらくな政治になってしまった !!

議員は人々の信託によって、地域や国民の心や意見を発言しなければならないはずである。 一強とか独裁とか専制とか、それらの由来や経過やその結末から、言いかえれば歴史の事実を学んだならば新たな道を歩むことができる。 これが王道であり、一人一人の安心を見据えていく方向であろう !!

少なくとも基本的な程度の歴史を学び、人の本来の成長の在り方を学んだ者にとって、温故知新についての原則をわきまえていなければならないはずです。 国家の代表者として活躍しようとする者にとっては、トインビーの「歴史の研究」ぐらいは一読していてほしいのです。

わたくしたち日本の人々は、近隣の困った人の手助けに懸命に努力したり、日本の伝統文化の伝承に精魂を傾けていたり、幼い子供の養育のために貧しい生活であるにせよ非正規労働であるにせよ夫婦共稼ぎをしているというのに、政治家は一向にこうした生活を見向きもしないのです。

それなのに、安倍晋三総理大臣は人の道を外れてしまった。 ウソをおし通し、言葉で相手をごまかし、日本国民の安心感を崖っぷちに導いてしまいました。 安倍自民党に所属する与党代議士たちはそのことが分かりながら、意見を出せない輩(ヤカラ)となり果ててしまいました。

こんな国民でいいのか? みんなでこの国を平和な国家にしようではないか。 自分だけの利益集団は烏合の衆団である。 こんな手前勝手な帰属集団になってはならないのです。

人の道を求めて生きたお釈迦さまにしても、良寛さまにしても、野尻湖畔の一茶のおじさんにしても、人の道を求めて生きた人たちだったと思います。 一人の人間としての品性を欠いたものが、国政を預かる国家は衰退の一路しかありません。 壊滅といってもいいかもしれません。

自分の欲望を満たすために、人様まで巻き込むようなことをしないでほしい。 それが最低の願いです。 もう戦争や人殺しはいやです。

今朝の朝日新聞を見てよう頑張ってくれると感謝しています。 国民のみんなが崖っぷちに連れて行かれたくはないのです。




朝日新聞 トップ記事 2017年6月7日05時00分
文科省対応「おかしい」
  現役職員、加計文書「共有」証言
    菅氏「再調査不要」

      http://digital.asahi.com/articles/DA3S12975824.html

写真・図版 【】文部科学省内の十数人の職員で共有されたというメール】

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)による獣医学部新設をめぐり、文部科学省が内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」などと言われたと記録された文書について、文科省の現役職員が朝日新聞の取材に対し、文書が省内の複数の部署で「共有されていた」と証言した。文科省は文書は確認できなかったと結論づけたが、これについて現役職員は「おかしいと思っている」と語った。

  ▼14面=社説 ➡
  ▼31面=なお強弁 ➡

 文書については、民進党が文科省内でやりとりされたメールに添付されていた可能性を指摘。朝日新聞も入手している。取材に応じた現役職員は「自分が見た文書、メールと同じで共有されていたものだ」と認めた。

 文科省の調査結果には「自分は(文書の存在を)知っていたから、大丈夫なのだろうかと思った」と疑問を呈し、「安倍政権の方針に反対ではないが、今回の政府の対応はおかしいと思っている」とも述べた。

 文書は「藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」。昨年9月26日の日付や、出席した内閣府の藤原豊審議官(地方創生推進室次長)と参事官、文科省専門教育課長、同課長補佐の4人の名前が書かれている。

 現役職員によると、翌日の27日に、専門教育課の職員から関係部署の十数人に「打合せ概要」が添付されたメールが送られた。文書には「平成30(2018)年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを」「官邸の最高レベル」などと記され、内閣府が文科省に獣医学部新設への対応を急がせたことがうかがえる。

 この文書や、民進党が文科省に調査を求めた8枚の文書について、文科省は専門教育課の共有フォルダーだけを調べ、関係の職員7人に聞き取りをしたが、松野博一文科相は5月19日、「文書の存在を確認できなかった」との調査結果を発表したが、現役職員は「(獣医学部新設をめぐる)議論や手続きが尽くされていないから政府は文書を確認できないと言っているのではないか」と語った。

 菅義偉官房長官は6日の記者会見で、文書をめぐる証言について「文科省で検討した結果、文書の存否や内容の確認の調査を行う必要はないと判断している」と述べた。


▼14面=社説

2017年6月7日05時00分
(社説)加計学園問題 説明責任は首相にある
      http://digital.asahi.com/articles/DA3S12975696.html

 加計(かけ)学園の獣医学部新設の舞台になっている国家戦略特区は、首相官邸のサイトで「総理・内閣主導の枠組み」と説明されている。一方、安倍首相は国会で、特区の仕組みについて「私の意向というのは入りようがない」と答弁した。

 普通は両立しない主張だ。

 仕組みを確認する。

 この制度を使って、どの地域でどんな規制改革をするか。その計画は、首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議で議論し、それを受けて首相が認定する。首相は、国際会議で「国家戦略特区では、岩盤規制といえども、私の『ドリル』から無傷ではいられません」といった発言もしている。

 「私のドリル」だが、「私の意向」ではない。あえて解釈すれば、前者は規制緩和の大枠、後者は具体的な事業者選定について、と言いたいのだろうか。

 今回の獣医学部新設では、候補を事実上、加計学園だけに絞り込む条件がついた。道筋を付けたのは、昨年11月9日の諮問会議での決定だ。

 首相は国会で「(諮問会議の)民間議員の皆さんは大変怒っている。正々堂々たる一点の曇りもない議論をしてきたのに、総理の意向で決めたかのごとく言われるのは憤懣(ふんまん)やるかたない、と」とも述べた。

 民間議員の支持もあっただろう。だが事実上、他の候補を退ける「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」との条件は、首相や官房長官、内閣府の担当閣僚らも加わった諮問会議名での提案だった。

 議事要旨によると、特区の山本担当相は「重点課題について、直ちに実現に向けた措置を行うよう総理からご指示をいただいた」「関係各省と合意が得られたものをとりまとめた」などと背景を説明している。

 こうした合意形成が政府内でどう行われたのか。その舞台裏をうかがわせるのが、文部科学省が内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」と言われたと記録された文書だ。文科省の前次官に続き現役職員も「文書は省内で共有されていた」と朝日新聞に証言した。

 事業者の具体的な絞り込みについて、首相や官邸側の意向が実際に働いたかどうかは、現時点では不明だ。実態を明らかにするために、官邸と各省での決定過程の徹底検証が不可欠だ。

 首相主導の特区の事業者に、首相の「腹心の友」が理事長である加計学園が決まった。それだけに、公平性や透明性について、首相は一段と重い説明責任を負っている。


▼31面=なお強弁

2017年6月7日05時00分
データ次々、政府なお強弁
  怪文書・確認できない・文科省の判断
 加計学園問題
      http://digital.asahi.com/articles/DA3S12975875.html

写真・図版 【加計学園をめぐる文書についての政府発言】

 「怪文書」「確認できない」。加計(かけ)学園の獣医学部新設問題で、「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書の存在を認めない政府。文部科学省の現役職員の証言など新たなデータが次々に明らかになり、立場は苦しくなっている。説明責任を問われた菅義偉官房長官は6日、「文科省の判断」と繰り返した。▼1面参照

 6日に開かれた民進党の加計学園疑惑調査チームの会合。文書の再調査を求める同党に対し、文科省幹部は「真偽は言及しないが、内容を見ると、政策調整過程のもので不開示が妥当」と繰り返した。

 再調査を拒む理由について、文科省が「不開示対象」を持ち出すようになったのはごく最近のことだ。政府はこれまで、新たな証言や物証が明らかになるとその説明を変えてきた。

 朝日新聞が「総理のご意向」と記された文書の存在を報じたのは5月17日。同日の国会で民進党が同様の文書を示すと、菅官房長官は記者会見で「全く怪文書みたいな文書」と文書の信用性を否定した。翌日、日時や出席者が特定された別の文書の存在を朝日新聞が報道すると、菅氏は「信憑性(しんぴょうせい)が定かでないことに変わりない」と述べた。

 だが、文科省の調査結果が公表された19日から菅氏は「該当文書は確認できなかった」とする同省の立場を繰り返し、文書の真偽について言及しなくなっていく。前川喜平・前文科事務次官が25日、文書の存在を認めると、野党から再調査を求める声が強まったが、「出所や入手経路が不明」を理由に拒み続ける。

 6月2日、民進党が文科省内で送られたとみられるメールの写しを公表。5日にNHKが「共有フォルダーに一時、文書が保存されていたと現役職員が証言」、6日には朝日新聞も現役職員が「省内の複数の部署で共有されていた」と報じると、菅氏は「存在するかも含めて答えられない」という「文科省の判断」を繰り返すようになった。

 文科省が新たに主張する「不開示対象」の根拠は、「協議に関する情報」は不開示にできるという同省の情報公開に関する基準だ。同省幹部は6日の民進党の会合で「率直な意見の交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるもの」などがこれにあたるとも説明した。

 だがこれも説得力に欠けている。出席した議員は、公文書管理法の「意思決定に至る過程を検証するため、文書を作成しなければならない」との文言を持ち出し、「過程の文書を公開できないというのはおかしい」と批判。行政の公正性、公平性を疑う世論が強まっているとして、「きちんと判断して出すべき時期に来ている」と求めた。

 安倍晋三首相や菅官房長官らに、官邸主導で再調査に乗り出す様子はみられない。官邸幹部は「首相は直接、新設を指示していない。現状なら首相まで責任は及ばない」と話す。学校法人「森友学園」の問題同様、政権は「全く問題ない」との強弁で押し通し、批判が過ぎ去るのを待つ戦略だ。

 ■今治市の職員、官邸を訪問か 学部新設提案の直前

 「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、新設予定地である愛媛県今治市の職員が2015年4月、首相官邸を訪問した可能性を示す文書が6日、明らかになった。同市が国家戦略特区での学部新設を提案する直前の時期にあたり、野党は「事前の調整があったのではないか」と指摘している。

 自由党の森ゆうこ氏が、情報公開請求で明らかになった市の行政文書として、参院農水委員会に示した。

 文書は、出張日程や旅費の変更を申請した稟議(りんぎ)書で、作成日は15年4月1日。同2日に内閣府などの訪問を予定していた市の企画課長らの出張日程が急きょ変更となり、2日午後3時~4時半に首相官邸の訪問が入ったことが書かれている。目的は「獣医師養成系大学の設置に関する協議」とあるが、黒塗りの部分もあり、面会相手などは分からない。

 今治市は15年6月上旬に特区での獣医学部新設を提案。同6月末には安倍政権が「獣医学部新設を検討する」と表明したが、その時点で対象地域や事業者は絞り込まれておらず、今治市に正式に決まったのは17年1月だった。朝日新聞は今治市に事実関係の確認を求めたが、6日夕時点で回答はない。

 ■「最高レベル」発言会合、「確認できず」 政府が答弁書

 政府は6日、文部科学省が内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」などと言われたとされる昨年9月26日の打ち合わせについて、「協議が行われた事実は確認できない」とする答弁書を閣議決定した。

 民進党の宮崎岳志衆院議員の質問主意書に答えた。

 答弁書は、文科省が内閣府に対し、2018年4月の開学が難しく翌19年4月開学をめざすよう伝えたかどうかについて、「伝えた事実は確認できない」と説明。文科省が昨年秋に和泉洋人首相補佐官から獣医学部新設について意見や質問を受けたかどうかについても、「確認できない」としている。


▼(こんな記事も)

2017年4月21日07時29分
石破氏「物言えば厚遇されぬ」
  自民内、異論封じる空気

      http://digital.asahi.com/articles/ASK4F3K7GK4FUTFK006.html?iref=recob

写真・図版 【沈黙する自民党】

■(1強・第2部)パノプティコンの住人:3

 「みなさん、もっと発言して下さい」

  首相「維新は利用できるからいい」 側近に明かした本音 ➡
  森友質疑、首相からの電話 「国会の爆弾男」も質問封印 ➡
  連載:「1強」 ➡

 1月30日、天皇陛下の退位をめぐる自民党の懇談会。座長の高村正彦副総裁が促した。「静かな環境」で議論するためメンバーを党役員中心の14人に絞ったが、想定以上に「静か」だったからだ。

 そこで野田毅・元自治相が口を開いた。「女性天皇の是非も話し合うべきだ」。党内最多の当選15回という大ベテランで、党役員ではない唯一の懇談会メンバー。ところが、発言を促したばかりの高村氏は「この場ではやらない。収拾がつかなくなる」と制した。

 女性・女系天皇の議論は皇室典範改正につながる。安倍晋三首相の意に沿わないことが明らかな意見は封じる――。野田氏を巡っては、消費税率を10%へ引き上げる際の軽減税率導入にも慎重姿勢を続けて公明党と対立し、2015年10月に党税制調査会長を更迭された過去もある。石破茂・前地方創生相は「物を言った人間は決して厚遇されない。『重鎮』と言われる人が官邸の意向一つで代われば、党内は震え上がる」と指摘する。

 石破氏は最近、旧中曽根派の先輩議員だった島村宜伸元農林水産相とパーティーで再会した際、「あの時言った通りになったろ」と言われた。あの時とは、衆院に小選挙区制を導入するかをめぐる党内対立が激しかった1990年代。島村氏は反対派の急先鋒(きゅうせんぽう)で、「党に権力が集中して、みんな言うことを聞くやつばかりになるぞ。物言わぬ政党になり、つまらない議員が増える」と予言していた。

 当時、小選挙区制導入の旗を振った石破氏は今、自民党が島村氏の予言通りになったと感じている。「誠に申し訳ございません。こうなるとは思いませんでした」と島村氏に頭を下げるほかなかった。

 島村氏は小泉内閣で郵政解散の署名を拒否して農水相を罷免(ひめん)された。かつての自民党には、島村氏のほかにも梶山静六、粕谷茂、亀井静香、河野洋平の4氏が橋本政権の総務会で執行部批判を繰り広げ、そのイニシャルから、スキージャンプの「K点越え」と呼ばれるなど一言居士がそろっていた。

 今の総務会で異論を唱えるのは、石破氏のほかに村上誠一郎・元行革相や木村義雄参院議員が目立つ程度。集団的自衛権を議論していた14年夏ごろまでは「おっしゃる通りだ」と村上氏の事務所をこっそり訪ねる議員もいたが、いまはいないという。村上氏は「後ろを向いたら誰もついてきていない」と嘆く。

 むしろ政権復帰した12年の衆院選以降に初当選した若手は「沈黙する自民党」しか知らない。15年秋の党総裁選に意欲を示した野田聖子氏の推薦人になろうとした議員が切り崩され、首相の「無投票再選」に終わったことも記憶に新しい。衆院当選2回の若手は「先輩が黙るなら、私たちはなおさら。何か言ったら自分がおしまい」と語る。

 沈黙は、野党転落の教訓や党内対立で自滅した民主党を反面教師にした政権維持の「手段」だったが、1強のもとで「目的」に変わった。自民はいま「パノプティコンの住人」の集団と化している。この党内状況に危機感を募らせる小泉進次郎衆院議員は、初当選後に野党になった経験から、こう警鐘を鳴らす。「上が決めたことを何も考えずに受け入れる空気が漂っている。なし崩し的に物事が進むことに不感症になったら、党はぶっ壊れる」(二階堂勇、二階堂友紀)


首相「維新は利用できるからいい」 側近に明かした本音 ➡

■(1強・第2部)パノプティコンの住人:2

 「総理がめちゃくちゃ公明党に怒っている。とにかく総理の頭にあるのは憲法。だから維新の皆さん、よろしく頼みますよ」

  森友質疑、首相からの電話 「国会の爆弾男」も質問封印
  連載:「1強」

 4日夜。長谷川栄一首相補佐官は、日本維新の会の足立康史衆院議員との酒席でこう伝えた。2人とも経済産業省出身。長谷川氏が14年先輩にあたる。

 互いが仕える上司同士も親密だ。安倍晋三首相や菅義偉官房長官は、維新代表の松井一郎・大阪府知事や橋下徹・前大阪市長と定期的に会食している。

 足立氏は国会審議で、たびたび民進党の議員席の側に体を向け、民進批判を繰り返してきた。この日は「民進はもう相手にする価値もない。これから攻めるのは共産党だ」と2人で意気投合したという。

 翌5日午前、長谷川氏から足立氏にメールが届いた。「次の委員会では、東京都の豊洲問題を質問してほしい」

 都議選を3カ月後に控え、自民と対決色を強める小池百合子都知事を追い込む質問を求める内容だ。

 足立氏は自らが「ご下命」と呼ぶ官邸からの意向に沿い、6日の衆院農林水産委員会で質問した。

 「移転が先延ばしになる間、豊洲の維持費が相当かかっている」「(移転をやめて)築地再整備となった場合、豊洲市場に投じられた208億円の補助金は返還が必要ではないか」。農水省は答弁で「一般論では、補助金の相当額を国庫納付する」と返還の必要性を示唆。豊洲への早期移転を主張する自民とぴったり歩調があう質疑になった。

 維新は「責任野党」を標榜(ひょうぼう)する。その原点は「政策の実現を目指す責任野党とは、柔軟かつ真摯(しんし)に政策協議を行う」と表明した2014年1月の安倍首相の施政方針演説にある。今では自民との間で幹事長、国会対策委員長が法案審議の段取りについて意見交換する場を持つ関係になった。

 しかし、首相の本音は別のところにもある。首相公邸で13日夜、1次政権退陣後も支えてくれた議員と会食した席で、「維新の彼らは利用できるからいいんだよ」と語ったという。連立を組む公明が官邸の意に沿わない場合は、維新と連携して牽制(けんせい)材料にする。野党間の分断役も担わせる――。これも首相の思い描く「責任野党」の実像だ。

 責任野党という言葉を日本政治で最初に掲げたのは旧社会党から1960年に分裂した旧民社党。歴代自民党政権に対して是々非々の立場を強調していたが、自民の補完勢力と受け止められる局面が多かった。

 旧民社の流れをくむ民進党も、野党分断を図る首相の言葉に過剰反応し、自らパノプティコンにはまっている。昨年9月に代表に就任した蓮舫氏が掲げた「提案路線」がその典型例だ。

 現実には提案よりも、政権を追及する仕事に徹せざるを得ないのが野党だ。そうなると首相からは「批判に明け暮れていれば、中身のある議論が行えない」と言われ、ネットでも「提案路線はどうなったのか」と指摘される。まさに隘路(あいろ)に迷い込んでいるのだ。

 奥野総一郎衆院議員は昨年の衆院予算委で、高市早苗総務相の電波停止発言が、メディアへの強権的姿勢という政権の本質をはらむ問題と考えて質問した。だが世論の反応は鈍く、手応えは芳しくなかった。

 「対案を出しても実現しない。批判しても世論を味方に付けられない。政治家としてつらい。野党の存在意義って何だろう。なんとなく、八方ふさがり」(中崎太郎、藤原慎一)


森友質疑、首相からの電話 「国会の爆弾男」も質問封印 ➡

写真・図版 【「パノプティコン」とは】

■(1強・第2部)パノプティコンの住人:1

 3月2日。電話口の安倍晋三首相は少し、いら立っているようだった。「西田さんは大阪問題でやりたいだろうけど、それを頼んだのが安倍だと言われたら、なんにもならないからさ」

  連載:「1強」
  特集:森友学園問題

 電話を受けたのは、自民党の西田昌司参院議員。4日後の参院予算委員会で学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地売却問題について質問に立つことが決まった矢先。首相から質問内容に注文がついたのは初めてで、「総理が直接電話してくるのは異常やねん」と西田氏は明かす。趣旨は、土地が約8億円値引きされたことの「正当性」を、質疑を通してうまく説明してほしいというものだった。

 西田氏は京都府選出。日本維新の会に一貫して批判的な立場で、「森友問題は大阪府の小学校設置認可をめぐる規制緩和に端を発した大阪問題」として質問するつもりだった。首相は電話で維新に触れなかったが、西田氏は直感した。「憲法改正を含め、政権に協力的な維新をかばう気持ちが首相にはあるんやな」と。

 質問当日。西田氏は首相の言う通り、値引きの正当性を主張する官僚答弁を引き出し、「疑惑だ、という森友事件の報道は、フェイクニュースだ」と訴えた。

 与党議員が政権に都合のよい質問をするのは珍しくない。だが、西田氏は「国会の爆弾男」の異名をとり、身内といえども歯にきぬ着せぬ批判を浴びせる言動でならしてきた。そんな西田氏でさえも、この日は大阪府に関する質問を封印せざるを得なかった。

 10日後の3月16日。学園の籠池泰典氏の100万円寄付発言が飛び出すと、竹下亘・自民党国会対策委員長は「首相への侮辱だ」と言って証人喚問に踏み切った。問題が首相を直撃しても、与党はひたすら「1強」に付き従っている。

■政権の敵、容赦なく攻撃

 「そもそも寄付はしておりませんが、寄付していたとしても、感謝されこそすれ、犯罪ではありません」

 17日の衆院決算行政監視委員会で、安倍晋三首相は森友学園に対する妻・昭恵氏の寄付の有無に関して、こう答えた。

 最近の首相には余裕がうかがえる。12日の衆院厚生労働委では、民進の柚木道義氏は森友問題でNHKの世論調査を取り上げた。

 「政府の説明に納得できないが8割。昭恵夫人に公の場で説明頂けるよう話して頂けないか」

 首相は笑みを浮かべながら、答弁した。「その調査では内閣支持率は53%。自民、民進の支持率はご承知の通りでございます」

 自民支持率は38%、民進は7%。首相は「何回も説明してきた通り」と、昭恵氏の国会招致を拒否した。

 政権の座に返り咲いてからの4年余。国会質疑で質問を受ける首相が、民進議員をやり込めようとする場面が目立つ。民進を攻めることで自らへの批判をかわす。それが得意のパターンであり、現実に森友問題が首相を直撃しても内閣支持率や自民支持率への影響は限定的だ――。首相の答弁は、何があろうと「安倍1強」は揺るぎないと宣言するかのようだった。

 政権の危機管理を担ってきた菅義偉官房長官は、毎日2回の定例会見で「その指摘は全く当たらない」「そのような懸念は当たらない」などと全面否定の言葉を繰り返すことで、批判をはねつけてきた。

 映画監督の想田和弘氏はそんな菅氏の応答に目を付け、ツイッター上で「#菅官房長官語で答える」というハッシュタグを作った。#記号付きの投稿が検索できるようにする文字列で、「菅語」で応答した実験では、寄せられた追及を次々とかわせたという。

 想田氏はフェイスブックでこう分析している。「木で鼻を括(くく)ったような定型句を繰り出す。するとコミュニケーションが遮断され、議論にならない。彼らが無敵に見えるのは、議論の土俵に乗らないからだ」

 その菅氏が森友問題で動いた。学園の籠池泰典氏に対する3月の証人喚問当日。国有地借り受けに関する相談で昭恵氏に留守電を残し、夫人付の政府職員からファクスがきたとする籠池氏の証言に対し、菅氏は会見冒頭でファクスのコピーを記者団に配布した。

 後に行政文書ではないと閣議決定された「私文書」を公の会見で出し、やがて籠池氏告発にも言及。敵と見定めた相手は、容赦なく攻めて追い詰める。そんな姿勢が見て取れる。

■跳ね返り恐れ批判及び腰

 「1強」による攻撃的な姿勢を前に、野党や自民党内の非主流派は、孤独な戦いを強いられている。

 「運動会の宣誓は、間違いないものでしょうか。失礼ながら、ガセだとか言われると困るので」

 2月末、森友問題を取材するノンフィクション作家の菅野完(たもつ)氏のもとに、ツイッターのダイレクトメッセージが届いた。相手は一面識もない民進党の大西健介衆院議員。学園の園児が「安倍首相頑張れ!」と声を上げる映像を発掘した菅野氏に対し、信頼性を問う内容だった。

 「政権にスキャンダリズムで対峙(たいじ)するなら、泥まみれになる必要がある。ツイッターでの問い合わせなんて覚悟を感じられない。なぜ、こんなに中途半端なのか」と菅野氏はいう。

 民進党には2006年の「偽メール事件」の後遺症が残る。当時民主党の若手議員が元週刊誌記者から提供を受けたメールを元に小泉政権を追及。のちに偽メールと判明し、前原誠司代表の辞任に発展した。

 根拠が薄いままへたに質問すれば批判が跳ね返り、事件の二の舞いになりかねない――。党内のそんな空気を感じている福島伸享衆院議員は「偽メール事件を引きずっていると思われる国会対応を今時やっているのは恥ずべき事」と語る。

 その福島氏が森友問題を追及する中、思わぬ出来事があった。地元・水戸市の事務所に、自分が申し込んだ覚えのない生命保険の加入書類が7通届いた。誰かが福島氏の名をかたり、生保会社に請求したものとみられるという。福島氏は「『命に気をつけろ』という暗示だと思った」と語る。

 政権批判をする政治家への攻撃。矛先は、野党だけではないようだ。自民党で「ポスト安倍」をうかがう石破茂・前地方創生相が3月のテレビ番組で「(昭恵氏が)隠しているんじゃないのと思われることはかえって良くない。政府与党としてお答えしなきゃいかん」と述べた時も、事務所に批判のメールや電話が相次いだ。「お前は後ろから鉄砲を撃つのか」「お前なんかに総理の資格はない」

 首相を擁護した側の西田昌司参院議員の事務所にも「なぜ、首相を守るのか」という批判の電話は来たという。だが、同じ批判や攻撃も、「1強」首相をバックにした議員と、そうでない議員とでは、心理的負担の差は明らかだ。(二階堂友紀、中崎太郎)

■パノプティコンとは

 パノプティコン。もともとは監視者がいてもいなくても囚人が監視を意識する監獄施設のこと。転じて20世紀にフランスの哲学者フーコーが、権力による社会の管理・統制システムの概念として用いた。

 独房で権力のまなざしを常に意識する。パノプティコンの監獄に閉じ込められた囚人のありようは、権力に分断され、従属し忖度(そんたく)する「1強」の政治状況で起きている現象に似ている。

 自民党、野党、官僚、メディア。それぞれが「1強」のもとで、「パノプティコンの住人」のように支配されていないだろうか。連載第2部で探っていく。

     ◇

 パノプティコンについて、フーコーの専門家である石田英敬・東大教授(メディア論)は「権力が支配される側を『自己規制させる技術』のことだ」と述べ、現代の権力による統治手法にも通じると指摘します。

 そのうえで「権力がどんな手法で、支配しようとしているのか。それを認識することが、パノプティコンの構造から解放される第一歩だ」と言います。


  連載:「1強」 ➡

■第2部・パノプティコンの住人

「パノプティコン」とは
森友質疑、首相からの電話 「国会の爆弾男」も質問封印(04/18)
■(1強・第2部)パノプティコンの住人:1 3月2日。電……

「1強」下における与野党の相関図
首相「維新は利用できるからいい」 側近に明かした本音(04/19)
■(1強・第2部)パノプティコンの住人:2 「総理がめち……

沈黙する自民党
石破氏「物言えば厚遇されぬ」 自民内、異論封じる空気(04/21)
■(1強・第2部)パノプティコンの住人:3 「みなさん、……

国家安全保障局(NSS)が入るビル(右)は、首相官邸(左)の裏側にある=東京都千代田区永田町
菅長官激怒、すくむ経産省 報道対応、自ら突然の規制(04/22)
■(1強・第2部)パノプティコンの住人:4 首相官邸の裏……

1強下でのメディア。週刊文春の新谷学編集長は「私たちは安倍政権の敵対メディアでもないが、応援団でもない」と語る。「編集長が雑誌の前に出すぎるのは、その雑誌にとって弊害」と顔をさらさないようにしている
報道機関はファクトで武装し戦え 新谷・週刊文春編集長(04/24)
■(1強・第2部)パノプティコンの住人:5 安倍晋三首相……

「安倍1強」の構図 世論調査から

■第1部・平成の楼閣

データで見る安倍1強
安倍首相、1強の余裕 支える菅氏、霞が関の人事掌握(02/27)
■(1強・第1部)平成の楼閣 官庁街に囲まれた東京・日比……

経済産業省出身の主な官邸スタッフ
霞が関の盟主、財務省から経産省へ 首相側近に出身者(02/28)
■(1強・第1部)平成の楼閣 「江田さん、よく大蔵省の名……

吹き抜け構造で竹が植えられた首相官邸の中庭=岩下毅撮影
民主党政権後に加速した官邸主導 省庁の発信「消えた」(03/01)
■(1強・第1部)平成の楼閣 首相官邸には中庭がある。広……

最高裁裁判官15人の構成
最高裁人事、崩れた「慣例」 その意味するところは(03/02)
■(1強・第1部)平成の楼閣 第2次安倍政権発足後、しば……

特定秘密保護法を成立させた国会に抗議を込めた「葬式」(2014年2月、高知市、日本一新の会提供)
国会強硬路線でも内閣支持率は維持 野党に冷たい反応も(03/02)
■(1強・第1部)平成の楼閣 2014年2月、高知市で「……

2大政党の衆院獲得議席
膨張自民、労組にも接近 民進は退潮 2大政党制どこへ(03/04)
■(1強・第1部)平成の楼閣 民進党が12日の党大会で決……

平成の自民党政権の首相
自民結党以来の二つの潮流、どちらも支持基盤にした首相(03/04)
■(1強・第1部)平成の楼閣 自民党の二階俊博幹事長が、……