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続折々の記 2018⑦
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わ 産経新聞 3/24 | ん 公文書改ざん問題 新聞 3/25 |
A 冬季オリンピック若者の活躍 | B 公文書改ざん問題 新聞 3/26 |
C 公文書改ざん問題 新聞 3/28 | D 公文書改ざん問題 新聞 3/27 |
E 金正恩氏訪中 対話生かす国際連携を | F ◆米覇権の転覆策を加速するトランプ |
G ◆トランプのバブル膨張策 | H 「核なき世界」日本異論 03/31 |
I 安倍内閣ガタガタ 04/05 | J 国会混迷 04/06 |
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今朝は五時に起きた。 用便をすますと自己流の筋膜体操を10分前後かけて健康長寿に備える。 もう薄明となっている。 日増しに早くなっていくことを感ずる。 草木の花芽も遅れじと春を謳歌している最中です。
床上げを済ませると、居間のカーテンを開けつづいて玄関の施錠をはずす。
一連の動きのあと、下駄箱の上の小さなお地蔵様にむかって合掌します。 植木の花たちにも色紙額やルノアールの少女、細君の叔父が書いてくれた洋画や長男がネパールから持ち帰ったヒマラヤ連邦の写真、父が別家して建てた家の柱や畳にむかっても感謝の合掌をするのです。
こんなことを書いて恥ずかしい気持ちがするんですが、事実を残すことも一つの務めと感じているからです。
感謝とはいったい何を意味するのだろうか。 ありがとうございます、という何気なく口にするこの言葉はいったい何を意味するのだろうか。
最近の生命科学の進歩によって、自分とは何なのか、思い知らされることになってきました。 ダーウィンの進化論もルイセンコ学説ものり越えた細胞自体のミトコンドリアがもっている摩訶不思議な能力に相互意思疎通によって生体が維持されているというのだ。
俺は俺ではない、病気と健康、異常と正常、それは本質的に決まるのではなく遺伝と環境によって築かれたものだという思いすら生ずるのです。 このことは先ず間違いない流れだろうと考えられるのです。
命の目指すものは何だろうか。 人間だけでなく細胞レベルの世界から見れば、なんと考えればよいのだろうか。 答は 『よりよくなろう』 の一語かもしれない。 或いは 『悦』 の一語かもしれない。 なんだもんでそう考えるのか。 存在そのものを見ていくと帰納的にそこにまとめられていくと思うからです。
では、日常化の中の人間としてみればどういうことになるのか。 まずは第一に存在そのものに感謝したいの願うのです。 それは人によっていろいろの答えがあってもいいことだろうと思います。
死にたくないということは、細胞本来の、ミトコンドリア本来の本能的なものだろうと思います。 戦争に与する一切の考え方を拒否しなければ存在そのものを自分から否定することになるのだと思います。
社会生活の上ではウソを言わない、ということが第一の約束ごとでしょう。 真実に生きるという言葉も、簡単にはウソを言わないということでしょう。
今朝もパソコンの部屋へ行く前に、郵便箱から新聞を取り出しました。 開いてビックリ。 第一面に横書きの大きい文字で 『国会混迷』 とあったのです。 まだ読んでない。
これからそのデータを記録します。
ア 国会混迷 陸自日報/財務省改ざん/厚労省「是正勧告」問題
イ 答弁、矛盾次々 野党、集中審議要求へ 陸自日報、「ない」から一転
ウ (ファクトチェック 2018通常国会)籠池氏の証言、首相は批判
エ 公開まで1年、防衛相「遺憾」経緯調査「厳粛に対応する」イラク日報、与野党から批判
オ 社説 イラク日報隠蔽疑惑 安保政策の土台が崩れる
カ 森友問題一色の国会 重要政策論の不在、残念
キ 米朝会談で北の核廃棄と在韓米軍撤退に向かう
▼1面
ア 国会混迷 陸自日報/財務省改ざん/厚労省「是正勧告」問題
2018年4月6日05時00分
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438707.html?ref=pcviewer
防衛省が存在しないとしていた陸上自衛隊のイラク派遣時の活動報告(日報)が見つかった問題をめぐり、立憲民主党など野党6党は5日の衆院本会議を欠席した。与野党は6日朝に国会対策委員長会談を行い、今後の国会運営について協議。野党は日報問題で衆院予算委員会での集中審議などを求める方針だ。▼2面=答弁の矛盾次々、4面=焦点採録、14・15面=社説など
財務省が決裁文書を改ざんした問題や、厚生労働省による裁量労働制に関する不適切なデータ問題などに加え、陸自の日報問題も浮上したことで、野党の追及は一斉に強まっている。
参院では5日、外交防衛委員会で日報問題が取り上げられたほか、財政金融委員会で改ざん問題、厚生労働委員会で東京労働局長による「是正勧告」発言をめぐって議論。政府答弁が覆ったことに対する批判が噴き出した。働き方改革関連法案は6日にも閣議決定される見通しだが、審議への影響は避けられない。
野党は新たに浮上した日報問題を受け、今後の国会運営を話し合うために与野党の国対委員長会談を要求。与党側が拒否したことから5日の衆院本会議を欠席し、衆院の審議に応じない構えも示していた。
自民党の森山裕国対委員長と立憲民主党の辻元清美国対委員長は5日夜にかけて断続的に協議し、6日朝の与野党国対委員長会談の開催で合意した。辻元氏は5日夜、記者団に「この国会が非常に危機的な状況であるという認識を共有する」と指摘。会談結果を踏まえ6日の委員会に出席するかどうか判断するという。
野党の中には、日報が発見されたのに報告されなかった当時の稲田朋美防衛相らの参考人招致を求める意見も出ている。与党は難色を示しており、協議は難航する可能性もある。
5日の参院外交防衛委では、昨年3月に陸自内で日報の存在を把握していたのに防衛相に報告されなかったことについて小野寺五典防衛相が「大変大きな問題」と述べ、徹底的に調査する考えを示した。(笹川翔平、別宮潤一)
▼2面 (時時刻刻)
イ 答弁、矛盾次々 野党、集中審議要求へ 陸自日報、「ない」から一転
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438640.html?ref=pcviewer
【解説】政府の答弁とその後
元防衛相が「ない」と言っていた日報が見つかり、厚生労働相は官僚の発言との矛盾があらわになった。森友学園との国有地取引をめぐる答弁でも食い違いが相次ぐ。野党の追及を強弁ではねのけ続けた安倍政権が、対応を迫られている。▼1面参照
5日の参院外交防衛委員会。陸上自衛隊のイラク派遣時の日報問題への対応に批判が相次いだ。
口火を切った民進党の牧山弘恵氏は「シビリアンコントロール(文民統制)が不全な状況にある」と指摘。「陸自の根深い隠蔽(いんぺい)体質が、現政権の情報公開を重視しない姿勢と共通性を感じる」と切って捨てた。
昨年2月の衆院予算委では、イラク派遣時の日報の存在を聞いた野党議員に対し、当時の稲田朋美防衛相が「見つけることはできなかった」と答弁。それから1年以上もたってから、この答弁が覆された。
小野寺五典防衛相は今月2日、日報の存在を公表。4日には、稲田氏の答弁の1カ月後に見つかっていたことも明らかになった。
5日の委員会では、立憲民主党の福山哲郎幹事長が「真相を明らかにしないといけない」として稲田氏の参考人招致を要求。民進党の小西洋之氏は小野寺氏の辞任を求めた。
こうした野党の追及に対し、小野寺氏は「おわび」こそ言葉にしたが、自らの辞任には触れず、「厳正に対応していきたい」として徹底調査する考えを強調。さらに「シビリアンコントロールが機能していなければ、まだ公表されていなかった可能性もある」と述べ、文民統制が利いた結果だと主張した。
ただ、防衛相への報告まで1年間も放置され、国会答弁の正当性も問われる事態に危機感もにじむ。防衛省関係者によると、小野寺氏は今週末に長崎県で開かれる自衛隊の行事に出席する予定だったが、取りやめを決定。日報問題の対応に取り組むこととした。
野党6党の国会対策委員長は5日、日報問題に関する集中審議の開催を求めることで一致。今後も国会での追及を強める構えだ。(二階堂勇)
■厚労相、なお「公表」否定 「是正勧告した」労働局長は発言
加藤勝信厚労相は、東京労働局が会見で野村不動産に是正勧告したとは公表していない、との認識を答弁などで強調してきた。ところが、厚労省自らが4日に国会に提出した記者会見録で、勝田(かつだ)智明局長の「是正勧告を行っています」といった発言が確認された。
それでも厚労省は、5日の野党ヒアリングで発言は「一般論」と弁明。加藤氏も参院厚労委で「東京労働局としては個々の是正勧告の有無について回答しない」とし、是正勧告の公表はなかったと言い張った。
公表を認めないのは、認めてしまうと野村不動産への調査の端緒となった過労自殺についても説明を求められ、安倍政権が今国会の目玉とする働き方改革関連法案の国会審議が滞ることを懸念しているためではないか、と野党はみている。
東京労働局は昨年12月、裁量労働制を違法適用していた野村不動産の社長に是正を図るよう特別指導し、会見で公表した。加藤氏は2月の国会で、法案に盛り込む予定だった裁量労働制の拡大が過労死を招くと野党議員から質問されると、違法適用を取り締まった例としてこの特別指導に触れ「しっかり監督指導を行っている」と答弁した。
ところが、特別指導のきっかけが男性社員の過労自殺だったことが3月の朝日新聞の報道で発覚。野党は「特別指導だけ公表し、都合の悪い過労自殺は隠している」と反発し、経緯の説明を厚労省に求めてきた。
だが、厚労省は先月28日、加藤氏が特別指導について事前報告を受けた際の資料をほぼ黒塗りにして国会に提出した。「公表した是正勧告の部分は開示すべきだ」と迫る野党に、厚労省が持ち出したのが「公表していない」との主張だった。
安倍政権は働き方改革関連法案を6日に閣議決定し、国会に提出する予定。立憲民主党の長妻昭代表代行は「全面対決モードになる」と断言した。(千葉卓朗)
■「適正価格」説明、また疑義 「財務省、森友にうその説明要求」報道
森友学園との国有地取引をめぐる強気の答弁も、ことごとく覆りつつある。
5日の参院財政金融委員会では、財務省が「適正だった」と強調してきた学園側への8億円超の値引きに関わる新たな疑惑が取り上げられた。
発端は4日のNHKの報道だ。値引きの根拠とされたごみの撤去をめぐり、財務省理財局の職員が昨年2月20日、学園側に電話し、「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などとうその説明を求めたとされる。当時の国会では、ごみの見積もりが過大だとして野党が追及を強めていた。報道通りなら「適正」との説明に疑問を持たれかねないが、麻生太郎財務相は「事実関係を確認させて頂きたい」と述べ、明確に否定できなかった。
昨年の国会で佐川宣寿・前理財局長は、交渉記録を「廃棄した」としたが、財務省が改ざんする前の決裁文書には、学園側とのやりとりが詳細に記されていた。
民進党の大塚耕平代表は5日の記者会見で、森友問題や日報問題に触れ、「ここまで来るとウソつき内閣と言わざるを得ない。内閣総辞職に値する状況だ」と批判した。(栗林史子)
■「官邸1強」、官僚忖度
細川護熙首相の政務秘書官を務めた成田憲彦・駿河台大学名誉教授の話 日本の行政組織はもともと記録を残す意識が希薄だが、一連の問題は単なる官僚の不手際だとは言いがたい。首相官邸の「1強」が続くなか、官僚が政治家を忖度(そんたく)し、情報を隠すようになったようだ。官僚が自らのリスクをとって政治家を守る姿は、これまであまり見たことがない。断定口調で問題を否定した人たちは、しっぽをつかまれないと確信していたのだろう。行政への疑心暗鬼が国民の間に広がっている。行政の情報を明らかにさせるために、国会は与野党の立場を超えて対応しなければならない。
■日報問題、三つの論点 組織的隠蔽か/文民統制機能/国会への対応
陸上自衛隊の日報問題では、与野党から厳しい指摘が相次いでいる。組織的な隠蔽(いんぺい)はなかったのか。文民統制は機能しているのか。国会対応に問題はなかったのか。指摘からは三つの論点が浮かぶ。
隠蔽については、野党6党の5日の合同ヒアリングでも問いただす声が出た。
「なぜ昨年3月27日に確認したのに出さなかったのか。誰が判断したのか」
希望の党の柚木道義氏は、日報の存在が故意に隠されたとみて、責任者を明らかにするよう迫った。防衛省の鈴木敦夫統合幕僚監部総括官は「速やかに確認でき次第、説明したい」と答えるばかり。隠蔽の有無は明らかにならなかった。
「ない」としていた日報の「発見」を防衛省が発表したタイミングが新年度予算の成立直後だったことも、「国会の新しい『火種』にならないように組織ぐるみでやったのではないか」(立憲の本多平直氏)と、組織的な隠蔽を疑う結果になっている。
文民の政治指導者が軍事組織を適切に従わせる文民統制をめぐる疑問の声は、与党からも上がった。
稲田朋美防衛相(当時)が昨年2月に日報の探索を省内に指示し、陸自は約1カ月後に見つけたのに稲田氏に報告しなかった。
政治を軽視するかのような陸自の対応に、自民党の中谷元・元防衛相は5日、「軍事は政治の統制を受けなければならない。その意識があるのか」と苦言を呈した。
これに対し、自衛隊制服組トップの河野克俊・統合幕僚長は記者会見で、「文民統制に疑義が出ていることは、真摯(しんし)に受け止めなければならない」と述べた。
防衛省の国会対応の問題では、稲田氏が昨年2月に「(イラク日報を)確認したが見つけることはできなかった」「(日報自体は)事象の有無を確認した後は不要となるため文書として保管していない」と答弁したことについて、立憲民主党の福山哲郎氏が「明確に事実と違う」と指摘。野党側は「虚偽答弁」(共産党の志位和夫委員長)との見方を強めている。
*
(1)組織的な隠蔽はなかったか
「(イラクで)陸自部隊が群衆に取り囲まれて投石を受けるという事態もあった。こういう事態の報告を隠すためではないか」(共産党 井上哲士参院幹事長)
「予算委が終わるまでは防衛省の中で隠蔽しておけという指示があったのではないか」(民進党 小西洋之参院議員)
(2)文民統制は機能しているのか
「軍事は政治の統制を受けなければならない。果たしてその意識があるのか。大臣や国会に報告することに信憑(しんぴょう)性がなかったことは非常に大きな問題だ」(自民党 中谷元・元防衛相)
(3)稲田元防衛相らの国会対応に問題は
「稲田大臣は『日報は事象の有無を確認した後は不要となるため、文書として保管はしていない』と明確に言っている。明確に事実関係とは違うことを答弁した」(立憲民主党 福山哲郎幹事長)
▼2面
ウ (ファクトチェック 2018通常国会)籠池氏の証言、首相は批判
■安倍晋三首相
証人喚問のやりとりにコメントしないのが政府の一貫した立場です(3月28日、参院予算委員会で)
■〈×〉間違い
財務省が森友学園との国有地取引に関する決裁文書を改ざんした問題で、同省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長に対する証人喚問が行われた翌日の参院予算委員会。民進党の川合孝典議員の「証言についてどう感じたか」という質問に答えた。
首相は佐川氏の証言について「コメントしない」と繰り返し、論評を避け続けた。さらに「政府は論評をずっと控えている」とも強調。論評しないことが政府としての「慣例」であるかのような発言もあった。
しかし、コメントしないのが政府の一貫した立場というのは間違い。安倍首相自身、証人喚問の内容について論評したことがある。
森友学園の籠池泰典理事長(当時)の証人喚問があった翌日の昨年3月24日の参院予算委員会でのことだ。首相は「刑事訴追のおそれを理由とした証言拒否が繰り返され、真相が解明されず、大変残念だった」と指摘。籠池氏の証言内容についても「悪意に満ちたものだ」と批判した。
また、麻生太郎財務相は佐川氏の証人喚問の後の今年3月28日、「彼は自分の刑事訴追に関係ない分については、はっきり言っていたと思う」と記者団に語った。ただ、「証人喚問に関してコメントは政府はしないとずっと一貫されてきていると思う。(自分は)少々しゃべりすぎたと反省している」とも付け加えた。
歴代の首相はどうか。1988年にリクルート事件をめぐる証人喚問では、当時の竹下登首相は衆院本会議で「論評は差し控えるべきだ」と答弁した。一方、証人喚問での証言内容を否定した首相もいる。
2007年に行われた証人喚問で、元防衛事務次官が軍需専門商社から受けた接待の場に政治家がいたと明かしたのに対し、福田康夫氏は「『接待を受けたことはない』という報告があった」と記者団に語った。
02年の「政治とカネ」をめぐる鈴木宗男・元衆院議員に対する証人喚問については、小泉純一郎氏が後日、参院予算委で「いろいろ証言をされていたが、個人の問題というだけでなく、建設的に政治改革に生かしたい」と発言。証言そのものへの評価を避けながら、自らの改革姿勢のアピールに努めた。(斉藤太郎)
▼4面 焦点採録5日
エ 公開まで1年、防衛相「遺憾」経緯調査「厳粛に対応する」 イラク日報、与野党から批判
参院外交防衛委員会では5日、陸上自衛隊のイラク派遣時の活動報告(日報)をめぐる問題で論戦が交わされた。過去の国会答弁でないとされた日報が、約1年前に陸自内で見つかっていながら隠蔽(いんぺい)されていた疑いが浮上した。主なやり取りは次の通り。▼1面参照
■焦点採録 参院外交防衛委 5日
民進・牧山弘恵氏 陸自が日報の存在を把握してから、小野寺五典防衛相に報告が上がって公表されるまでに、約1年かかっている。公表まで1年というのは適切な期間か。
小野寺防衛相 昨日、日報の確認時期が昨年3月27日だったと説明があった。私としては、大きな問題であり、大変遺憾だ。当時の防衛相などに報告がなされなかった件については、大野敬太郎防衛政務官に調査チームを立ち上げさせ、早急に調査を行わせる。
牧山氏 シビリアンコントロール(文民統制)は機能していると思っているのか。
防衛相 もし、シビリアンコントロールが機能していなければ、まだ公表されていなかった可能性もある。私がおかしいと思って調査させ、その結果、上がってきたことが今回判明した内容だ。
民進・小西洋之氏 日報の存在を防衛省、自衛隊の事務方は知っていたにもかかわらず、防衛相に報告していなかった。馬鹿にされていると思わないか。シビリアンコントロールはまったく機能していない。即刻、辞任するという考えはないか。
防衛相 私に知らせるのは当然だと思っており、私も大変遺憾だと思っている。どういう経緯だったのかを調べ、厳正に対応していきたい。
共産・井上哲士氏 (昨年2月の国会答弁で当時の稲田朋美防衛相が)「イラク日報は残っていないことを確認した」と断言した。虚偽答弁ではないか。
防衛相 その時、防衛省にいたわけではないのでつまびらかには分からないが、少なくとも事務方は大臣に対し、正確な情報を上げていなければいけない。
維新・浅田均氏 (調査期間は)1週間もあれば十分だと思う。お尻(期限)を切るということに関してどう考えるか。
防衛相 私どもも真実を早く知りたい。厳粛に対応したいと思っている。そういう意味では急がせる必要があると思うが、それぞれ当事者から聞いて確認をする必要がある。
立憲・福山哲郎氏 財務省は「文書はありません」と国会答弁して文書を改ざんし、会計検査院にも改ざん文書を出した。今回の防衛省も事実と異なる答弁をし、日報を国会に出さなかった。構造的に同じだ。内部の調査で何がわかるというのか。
防衛相 やはり、政治がリーダーシップをとって調べていくことが大切だ。政治の立場で問題をしっかり調べる。
公明・杉久武氏 大臣への報告が遅れたということは、シビリアンコントロールの観点からあってはならないことだ。まだ何か隠しているのではないかという、ぬぐいがたい疑念をさらに深め、防衛省、自衛隊の信頼を損ねる事態に陥っている。
防衛相 国民の皆さま、国会に大変ご迷惑をおかけしていることを改めておわび申し上げる。再発防止に向けてしっかり対応していくことで、信頼の回復に努力してまいりたい。
▼14面 (社説)
オ イラク日報隠蔽疑惑 安保政策の土台が崩れる
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438570.html?ref=pcviewer
「ない」と言っていた公文書が見つかっただけではなく、その存在に1年前から気づいていたのに、大臣にも報告せず、ずっと伏せていたというのだから、驚き、あきれるほかない。
陸上自衛隊のイラク派遣時の日報のことである。
国会や国民を欺く重大な背信行為であり、シビリアンコントロール(文民統制)の不全は目を覆うばかりだ。防衛省は徹底的に事実関係を調査し、すべてを公表するよう強く求める。
■真相に迫れるのか
安倍政権の下では、南スーダンPKOの日報問題や、森友学園をめぐる財務省の文書改ざんが明らかになっている。
年来指摘されてきた防衛省・自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質に加え、公文書管理や情報公開、国会答弁を軽視する政権の体質が、今回の問題の根っこにあるのは間違いない。
「見つけることは出来ませんでした」「日報は残っていないことを確認している」
昨年2月20日の衆院予算委員会で、イラク日報の存否を問われた当時の稲田防衛相はこう明言した。
しかし、事務方に探索を指示したのは、答弁の2日後。当時の陸自研究本部はいったん「保管していない」と回答したが、3月27日になって「発見」。数人が存在を確認したが、大臣、政務三役、内部部局、統合幕僚監部には報告しなかったという。
「現地は非戦闘地域」という政府の説明と矛盾する記述を明るみに出したくないという動機はなかったのか。「日報はない」という大臣の国会答弁と食い違うことを避けようとしたのであれば、局長答弁に合わせて文書を改ざんした森友問題にも通じる。
日報の存在はどの範囲まで把握されていたのか。なぜ報告しなかったのか。組織的な隠蔽ではないのか。独立性が高いとされた特別防衛監察ですら、PKO日報問題で稲田防衛相の関わりについて、あいまいな認定しかできなかったことを考えると、防衛政務官をトップとする調査チームがどこまで真相に迫れるか心もとない。強力な権限を持たせた第三者機関に調査させることも検討すべきだ。
■最高指揮官の責任
自民党内からは、防衛省・自衛隊を厳しく批判する声が聞こえてくる。
稲田氏は「上がってきた報告を信じて答弁してきたが、こんなでたらめなことがあってよいのか」とコメントした。まるで他人事(たにんごと)のような発言は無責任ではないか。
再発防止を誓って就任した後任の小野寺防衛相の下でも隠蔽体質は引き継がれ、混迷は続いている。
責任が極めて重いのは、組織を掌握しきれない防衛相だけでなく、自衛隊の最高指揮官である安倍首相である。
首相は今のところ、この問題について公には発言していない。あくまで防衛省の問題として、小野寺氏に対応を任せ、火の粉が降りかかってくるのを避けているように見える。
公文書は政策決定過程を検証し、今後に生かす重要な資料であり、国民共有の資産である。国民の目の届かない自衛隊の海外活動を検証するためには、とりわけ日報は欠かせない。
政府として国民や歴史にどう向き合うかという基本姿勢に関わる。陸自や防衛省だけの問題に矮小(わいしょう)化してはならない。
■改憲を論じる前に
国民の「知る権利」に反して、政府が不都合な情報を隠す恐れが指摘される特定秘密保護法の制定。歴代政権が一貫して認めてこなかった集団的自衛権の行使に道を開いた安全保障関連法の整備。そして今、安倍首相は憲法9条に自衛隊の存在を明記する憲法改正に強い意欲を示している。
文民統制が機能しているのか、多くの国民に疑念を抱かせた今回の問題は、自衛隊の活動の舞台を拡大してきた安倍政権の安全保障政策の土台を崩すものでもある。
安保法の国会審議で、首相は国会や国民への丁寧な説明を「約束」したはずだ。しかし、この間の公文書のずさんな管理や、説明責任に対する後ろ向きな姿勢を見るにつけ、その言葉がおよそ信頼に足るものでないことは明らかだ。
国民の生命にかかわり、国の将来を左右する安保政策は、丁寧な説明と幅広いコンセンサス、何よりも政権への一定の信頼がなければ成り立たない。ましてや、戦争への深い反省に立って、戦後の日本が築いてきた路線を大きく変えようというのであれば、なおさらである。
政権・与党は9条論議の前になすべきことがある。自衛隊の隠蔽体質を一掃し、文民統制を機能させることだ。その立脚点なしに、国民の幅広い理解を必要とする9条論議などできないということを、首相は肝に銘じるべきだ。
▼15面 (異論のススメ)
カ 森友問題一色の国会 重要政策論の不在、残念
佐伯啓思
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438567.html?ref=pcviewer
昨年の今頃、米国のトランプ大統領が空母を日本海方面へ派遣し、米朝戦争が勃発しかけていた。ところが日本の国会はといえば、戦争の危機などほとんど話題にもならず、ひたすら森友学園問題一色であった。
それから1年、国会の予算委員会(参院)では、また森友学園で大騒ぎである。この1年、国会で論じられた最大のテーマは何かと世論調査でもすれば、たぶん、森友・加計学園問題だということになるであろう。両者は、今日の日本を揺るがすそれほどの大問題だったのか、と私など皮肉まじりにつぶやきたくなる。
本紙がスクープした財務省の文書改ざん問題は、森友学園問題というよりは、まずは財務省の問題であり、官僚行政の不法行為に関わる問題である。私は、この問題の重要性を否定するつもりは毛頭ない。しかし、当然ながら野党は朝日のスクープを安倍政権打倒の格好の材料とみなし、その後、大新聞もテレビの報道番組もワイドショーも、連日のように、「真相究明」を訴え、このひと月、日本の政治は財務省、森友一色になり、安倍政権の支持率は一気に下降した。
財務省の文書改ざん問題と、昨年来の森友学園問題(国有地払い下げにおける安倍晋三首相の関与云々〈うんぬん〉)は今のところ別問題である。しかし、野党や多くのメディアもまた大方の「識者」も、官僚行政が政治によって(特に首相の私的事情によって)歪(ゆが)められた(であろう)ことは民主主義の破壊だ、と言っている。だが、私には、現時点でいえば、この構造そのものが大衆化した民主政治そのものの姿にみえる。
*
今、この問題はおおよそ次のように論じられている。「財務省のなかで、森友学園に対する国有地払い下げ問題についての決裁文書が書き換えられた。日本を代表するエリート集団であり、慎重にも慎重を期すはずの財務官僚がこのようなことをするとは考えられない。とすれば、強力な政治的圧力がかかったのであろう。それだけの政治的圧力をかけるのは官邸か財務大臣であろう。にもかかわらず、佐川宣寿前理財局長にすべての責任を負わせて幕引きをはかろうとしている」
おおよそこれが、野党の主張であり、テレビのワイドショーや報道番組も含めた大方のメディアの報道姿勢であり、まさしくその方向で世論が醸成されている。
しかし、現時点で確かなことは、ただ財務省内部での改ざんの事実であり、官邸の関与はなかったと佐川氏が発言したことであり、森友学園問題は現在、検察が捜査中、ということだけである。官邸が関与したという事実は何もでていない。財務省内部で「忖度(そんたく)」があろうがなかろうが、首相夫人が安易なリップサービスをしようがしまいが、それは官邸の関与を示す証拠にはならない。
もしも、官邸が森友学園に関与したり、文書の書き換えを指示したりしたという有力な証拠や証言がでれば、その時には強く追及されなければならない。しかし、現時点では証拠はない。だが証拠がないから、野党は、財務省も官邸も「真相」を隠そうとしている、と主張する。多くのメディアがそれに同調し、連日のテレビや新聞報道を通してそれが世論になる。ひとたび世論となれば、国民は「真相解明」を求めている、ということになる。こうして、あたかも官邸や財務大臣が財務省に圧力をかけ、「事実」を隠蔽(いんぺい)しようとしているかのようなイメージが作られる。だがそれが事実かどうかは現時点ではまったくわからないのだ。
とすれば、連日、国会の予算委員会からテレビや新聞、週刊誌にいたる森友学園騒ぎと、安倍内閣の支持率を一気に下降させた政治的エネルギーはといえば、事実も想像力も、また様々な政治的思惑も推測もごちゃまぜになったマス・センティメント(大衆的情緒)であり、この大衆的情緒をめぐる駆け引きであるといわざるをえない。だがそれこそが大衆民主政治というものなのであろう。その時その時の不安定なイメージや情緒によって政治が右に左に揺れ動くのが大衆民主政治というものだからだ。
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私がもっとも残念に思うのは、今日、国会で論じるべき重要テーマはいくらでもあるのに、そのことからわれわれの目がそらされてしまうことなのである。トランプ氏の保護主義への対応、アベノミクスの成果(黒田東彦日銀総裁による超金融緩和の継続、財政拡張路線など)、朝鮮半島をめぐる問題、米朝首脳会談と日本の立場、TPP等々。
私は安倍首相の政策を必ずしも支持しないが、それでもこうした問題について安倍首相は、ひとつの方向を打ち出しており、そこには論じるべき重要な論点がある。問題は、野党が、まったく対案を打ち出せない点にこそある。だから結果として「安倍一強」になっているのだ。
日本社会は(そしておそらくは世界も)今日、大きな岐路にたたされていると私は思う。麻生太郎財務大臣が「森友学園問題はTPP問題より大事なのか」といって物議をかもしたが、当事者の発言としては不適切だとしても、当事者でないメディアが述べるのは問題ないであろう。財務省の文書改ざんの「真相解明」はそれでよいとしても、それ一色になって、重要な政策論が見えなくなるのは残念である。安倍首相の打ち出す方向に対する代替的なビジョンを示して政策論を戦わせるのもまた、いやその方が大新聞やメディアに課された役割であろう。
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さえきけいし 1949年生まれ。京都大学名誉教授。保守の立場から様々な事象を論じる。著書に「反・幸福論」など
▼国際ニュース解説
キ 米朝会談で北の核廃棄と在韓米軍撤退に向かう
http://tanakanews.com/
『要約』 【2018年4月4日】 米国は、米朝首脳会談後の和解過程が進んでも、北朝鮮を国家承認しないかもしれないが、米朝会談が成功すると、米国の北敵視が大幅に減少する。① 韓国は北と相互に国家承認し、連邦制などによる南北の統合が話し合われていくだろう。② 南北間のプロセスが進むほど、韓国は対米従属から離脱し、在韓米軍を引き戻す状況から遠ざかる。③ 日本も、米国が北を承認しなくても、北を国家承認すると考えられる。
『解説』http://tanakanews.com/180404korea.htm
2018年4月4日 田中 宇
3月27-28日に、北朝鮮の金正恩が中国を初めて訪問し、習近平と会談した。中国は昨年後半、トランプの米国から頼まれ、北朝鮮に核の廃棄を求め続けたが、北はそれをずっと拒否し、核実験やミサイルの試射を続けた。中朝関係は史上最悪の状態になった。それが今回、一転して、習近平が金正恩を北京に招待し、中国側は会談終了後、2人が仲良く談笑している映像を多数流した。金正恩は、習近平が求めていた核廃棄を了承した。そのため習近平は満足し、中朝関係の改善を世界に喧伝した。金正恩は、韓国や米国に対しても、核廃棄の意思を伝えている。 (Trump predicts Kim 'will do what is right' but keeps sanctions in place ahead of meeting)
昨年中、中国からの核廃棄の要求を拒否し続けていた金正恩が、今回、一転して核廃棄を自分の方から宣言したのはなぜか。理由は明確だ。昨年の中国主導のシナリオでは、北が核廃棄を実行しても、北の最大の要求である在韓米軍の撤退や米国からの敵視の解消(米朝和解)が確実に実現することが見込めなかった。米国が中国経由で約束しても、北にとっては信用できない。だから北は中国の要求を拒否した。だが今回、5月に金正恩とトランプが米朝会談することが決まり、北が核を廃棄し、その見返りに米国が在韓米軍を撤退し北と和解するシナリオについて交渉することになった。北は、核廃棄の見返りに、昨年まで得られなかった米国との和解や在韓米軍の撤退を得られるかもしれない事態を得た。 (Xi Jinping And Kim Jong-Un: Make Korea United Again!)
トランプは、在韓米軍(や在日米軍)を重視していない。トランプは16年の選挙戦で「韓国や日本が駐留米軍費をもっと負担しないなら、日韓に核武装を許す代わりに米軍を撤退する」と発言した。最近は「韓国が米国との自由貿易協定の改定を認めないなら、在韓米軍を撤退する」と発言している。このようなトランプの姿勢から考えて、金正恩が核を廃棄すると言えば、トランプは在韓米軍の撤退や米朝和解に賛成する可能性が高い。米朝会談は成功するだろう。 (Trump Is The Great Disruptor : Justin Raimondo) (Trump Suggests Withdrawing Troops From South Korea Over Trade Issues)
金正恩は、3月初めに韓国代表団を通じてトランプに会談を申し入れて承諾されたことにより、核廃棄の見返りに、在韓米軍の撤退や米国からの敵視解消を得られることになった。昨年の中国の要求に従っていたら、この見返りは得られなかった。金正恩は、中国主導のシナリオに乗らず、米国に直接交渉を申し入れて受諾されたことで、祖父にも父にもやれなかった、米国との和解を実現できる状況を得た。その上で金正恩は訪中し、習近平に「おおせのとおりに核廃棄します。トランプと会って在韓米軍の撤退を要求するので支持してください」と言ったのだろう。メンツが立った習近平は喜んで了承し、昨年来の中国主導のシナリオと、金正恩がトランプに提案した米朝会談のシナリオが統合された。 (米朝会談の謎解き) (Why Xi Jinping Wants to Broker the Trump-Kim Deal)
米国や日本のマスコミや、軍産傀儡の大手ブログなどでは、米朝会談が成功しない・開かれないとの予測が目立つ。北朝鮮が核廃棄に応じるはずがないとか、ボルトンやポンぺオといった好戦派を新たな側近に据えたトランプが北に厳しい態度をとるはずだといった筋書きの予測だ。だが、これらの見方はいずれもお門違いだ。 (Peace and the Intellectuals: Trump’s Korea Initiative vs. 'The Blob' : Justin Raimondo)
911以降の米国で強い力を持っていた軍産は以前から、北朝鮮(やイラン、イラク)を核廃棄させる際、IAEAによるひと通りの査察がすんだ後も「まだどこかに核を隠し持っているはずだ。あそこが怪しい。こっちも怪しい」と無限に査察を要求するCVID(完全で検証可能、不可逆的な兵器の廃棄)を条件にしてきた。イラクは、これをやられて軍事的に丸裸にされた挙句に侵攻された。CVIDが条件である限り、米国(とその同盟諸国)は北朝鮮(やイラン)が核廃棄したと認めず、このシナリオに乗ると馬鹿をみる。 (Editorial: Mr. Kim Goes to Beijing)
しかし、米国がCVIDを核廃棄の前提条件にしていたのは、すでに過去のことだ。軍産支配を潰す目的でトランプが大統領になった時点で、CVIDは、トランプ敵視のマスコミや、議会や民主党の軍産傀儡派が野党的に叫んでいるだけの事象になった。トランプは昨春、中国に北核問題の解決を任せたが、中国はCVIDを米英による政権転覆の道具とみなして反対している。 (North Korea’s Kim, Long a Pariah, Takes Tentative Step Onto World Stage)
今後、北の核廃棄に際しては、CVIDでなく、1か月とか期限を区切り、あらかじめ指定した施設群をIAEAが査察して何も見つからなければそれで査察は終わる。それに加え、北の政府が自発的に出してきた核兵器を解体して核廃棄とする算段になりそうだ。北はおそらく、たくさん作った核弾頭のうちの一部を隠し持ち続ける。中国やロシアは、それを黙認せざるを得ないと現実的に考えている。外国に対して閉鎖されている北の国内のどこかに隠した兵器を外国勢が探すのは不可能だ。北が他国に対して「核攻撃するぞ」と言わない限り、中露は、北が核を隠し持ち続けることを黙認する(そもそも北に核開発の材料や情報を入手させたのは米国系の諜報機関だから、北の核武装は米国の責任だと中露は考えている)。北自身や韓国も、中露の考え方に賛成している。米国が北核問題の解決を宣言すると、日本も何も言わなくなる。 (On Iran and North Korea: Don’t trust, and verify, verify, verify)
▼トルーマンが議会に諮らず始めた朝鮮戦争を、トランプが議会に諮らず終わらせる
米議会には、共和党にも民主党にも軍産傀儡の議員がまだ多い。トランプが大統領権限で北核問題の解決を進めても、議会の承認が必要な事項で妨害される可能性がある。だが、議会承認がないと進められないことは、北朝鮮との国交関係の樹立ぐらいだ。1950年に始まった朝鮮戦争を終戦させる米朝敵対の終了は、議会承認が必要かと思ったが、調べてみると、朝鮮戦争は米議会が開戦を可決して始まった戦争でない。当時のトルーマン政権が「戦争」でなく「(国家でない共産ゲリラを退治する)警察行為」と見なし、議会の承認を経ず、大統領権限で始めた戦争だ。朝鮮戦争は、大統領権限で開始されたものなので、トランプが大統領権限で終わらせられる。議会は関係ない。 (Truman orders U.S. forces to Korea - Jun 27, 1950) (The Korean War gave the president the power to take us into battle. It’s been that way ever since.)
(合衆国憲法は開戦権限は議会下院にあると明記しているが、米国は、第2次大戦より後のすべての戦争を、議会に諮らず大統領権限で始めている。議会も、ごく最近まで文句を言わなかった。最近、サウジアラビアにやらせたイエメン戦争の加担への批判を機に様子が変わり、サウジに対する嫌がらせの意味もあり、開戦権限を大統領から取り戻すべきだという意見が、まだ過半数未満であるが、議会内で増えている。今後の進展が要注目だ) (Congress moving to end US involvement in Yemen) (44 Senators Made History by Voting to End Illegal US War in Yemen)
在韓米軍の撤退はこれまで、米国が「有事の軍事指揮権の韓国軍への移譲」というかたちで進めようとしてきたが、韓国側に対米従属の傾向が強く、韓国軍の準備ができていないという口実で、何度も延期されてきた(日本政府も70年代以来、同じことをやってきた)。文在寅大統領は、対米自立派の左翼なので、就任以来、できるだけ早く有事指揮権の韓国への移譲を進めようとしてきた。米朝会談や、その前の4月27日に行われる南北会談で、米韓と北との和解が進むと、有事指揮権の移譲が格段にやりやすくなり、在韓米軍の撤退に道が開ける。米議会の新たな決議も必要なさそうだ。 (北朝鮮の核保有を許容する南北対話)
ボルトンやポンペオといった好戦派の起用を見て、米朝会談のキャンセルや失敗を予測する向きがあるが、それらはトランプ流の目くらましに気づいてない。ボルトンやポンペオは、トランプの言うことを全部聞く人々で、それまでのマクマスターやティラーソンといった軍産系の前任者たちからの邪魔立てを排除するためにトランプが起用した。2人の起用後トランプは、軍産が嫌悪する覇権放棄的な反米勢力を強化する戦略を、むしろ加速している。トランプがプーチンに対し、ホワイトハウスで会談しようと言って訪米を招待していたことを、最近になって米政府も認めた。トランプは最近、シリアから米軍を撤退させる計画も何度も表明している。これらはいずれも米朝会談と同様、軍産が無視したい事象であるらしく、米マスコミできちんと報じられない傾向だ。 (Trump's Trick for Successful North Korea Negotiations) (好戦策のふりした覇権放棄戦略)
4月27日に板門店で行われる南北首脳会談は、北朝鮮と韓国の経済協力や文化政治交流の再開が主題だろう。北の核ミサイル開発を理由に16年から南北間で断絶している開城工業団地などの再開があり得る。北は、核問題を米国としか交渉したがらないので、核が南北会談の主題にならない。その後、米朝首脳会談で、北の核廃棄と、米朝和解や在韓米軍の撤退が話し合われる。米朝首脳会談は、おそらく南北首脳会談と同じ板門店で開かれる。北は、米国の出方に応じて核廃棄を進めるだけで、しかも保有核の一部をずっと隠し持つつもりだろうから、最終的に米国が約束不履行になっても失うものが少ない。 (North and South Korea Set Summit, but Nuclear Omission Casts a Shadow) (Trump, Kim Summit Likely to Be Held in DMZ Village)
北が核兵器の一部を隠し持つと予測できるのと同様に、米国もいったん撤退を約束した在韓米軍を韓国が拒否しない限りいつでも韓国に戻せる。「だから米朝和解はぜったい実現しないよ」とうそぶく「権威ある(=軍産系)専門家」たちがいる。だが、私が見るところトランプの目標は、米国の覇権を牛耳ってきた軍産を無力化しつつ米国の覇権を放棄して世界の体制を多極型に転換することであり、北朝鮮との敵対の解消、在韓米軍の撤収、韓国を対米自立に追いやること、朝鮮半島を米国の傘下から引き抜いて中国の傘下に入れることは、トランプの目標の一部だ。そのような理由から、私は、5月の米朝首脳会談が成功し、北の核廃棄と在韓米軍撤退へのプロセスが開始されると予測している。 (Beware of Kim Jong Un's Diplomatic Tricks) (米覇権の転覆策を加速するトランプ)
すでに書いたように、米議会で軍産が強いままだと、米国が北朝鮮を国家承認しないかもしれないが、米朝会談が成功すると、米国の北敵視が大幅に減少する。韓国は北と相互に国家承認し、連邦制などによる南北の統合が話し合われていくだろう。南北間のプロセスが進むほど、韓国は対米従属から離脱し、在韓米軍を引き戻す状況から遠ざかる。日本も、米国が北を承認しなくても、北を国家承認すると考えられる。安倍首相は平壌を訪問したかったようだし(北から相手にされなかったが)、韓国や中国と親密な関係を作ろうと昨年から画策し続けている(日本はしだいに重視されなくなっている)。 (Japan Mulls Seeking Its Own Summit With North Korea’s Kim) (中国のアジア覇権と日豪の未来)
北朝鮮の脅威が大幅減になると、在日米軍の存在意義も大幅に低下する。だが今のところ、北朝鮮問題の解決後に在日米軍がどうなるかという話は、私が見ている範囲だと、まだ誰もしていない。トランプは就任以後、在韓米軍を撤退するぞとは言うが、在日米軍については撤退するぞと言っていない。むしろ日米軍事同盟を強調しつつ、安倍に米国の中国敵視策を丸投げして担当させた上で、はしごを外していく策略をとっている。 (安倍に中国包囲網を主導させ対米自立に導くトランプ) (TPP11:トランプに押されて非米化する日本)
トランプは同様に、イラン敵視や中東の運営策をイスラエルとサウジアラビアに丸投げした上ではしごを外す策略をとっている。トランプのやり口からして、朝鮮半島が一段落した後、中国敵視の強化などを利用して、日本に対するはしご外しの策略を加速するのでないかと予測できる。日本外務省におもねって権威を得た外交専門家たちは「日米同盟の団結による中国敵視!」の構図に小躍りしてトランプの策にはめられるのだろう。日米同盟万歳(笑) (安倍とネタニヤフの傀儡を演じたトランプの覇権放棄策)