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            田中宇のニュース解説関係①  今年になってからのこと
             ① 軍産複合体の実態  
             ② 死の商人  
             ③ 軍需産業  
            
【 01 】08/02~

 08 02 (金) 田中宇のニュース解説関係  今年になってからのこと

今年になってからの田中宇の国際ニュース解説のタイトルのアウトラインを見ていても、同著者の 「金融世界大戦」を見ていても、自分の理解不十分の言葉があちこちに出てきます。 すべてではないのだが、いくつか調べてみた。

ニュース解説の概要は分かったにしても、さて説明するとなると著者でない限り妥当な答えにはならない。

調べていくうちに、トランプ大統領の一見不可解な言動や辻褄の合わないことなど目について、世界の安定をどう考えているのか理解に苦しんできた。

ところが、“敵を欺くにはまず味方から欺け”こんな言葉は適切かわかりませんが、“敵は本能寺にあり”という明智光秀が的を得ていると思います。

大統領の邪魔になっていたのは、自国の軍統帥と大企業の企画、それに引きずられる政治家だったことがはっきりしてきた。

軍人にしても資本家にしてもまた政治家にしても、守銭奴のドロドロした凡欲が心の奥底にあって企画運営の路線を進めていたこと、……争いの最高峰、儲けの最高峰……すなわち戦争路線を突っ走ってきた。 彼はそれをなくすことが自国の繁栄と平和招来に続くことだと決心し、そのための対策が覇権の放棄であり、ドルの崩壊であると確信したのであろう。

ことは単純ではない。 この私の言い方が粗削りでもあろう。 だが、軍需産業のデータだけ見ても、USA大企業がいかに不当な利益追求によってマンモス化したのか、誰が見ても難しい結論の出し方ではないはずだ。

第二次大戦後は工業生産の肥大化が格差社会を急伸させてきた。 その結末はどうなったか。 フランス人のピケティはそれを証明した。

また、マスコミは一方ではプロパガンダの片棒を担ぐが、他の一方では言論の自由という支えもあって、タックスヘイブン【tax=税金: haven=避難所】狩りから“パナマ文書”や“パラダイス文書”による機密情報を暴露した。

第三次世界大戦はいずれの国にとっても悲劇以外得るものがないことを100も承知告知している。 ミサイル攻撃に対してはS400の迎撃、さらには人工衛星まで魔の手が伸びようとしている。

貪欲な欲望のために地上の生物のみならず、地球環境の異常まで引き起こしているのが、わしたちの知性といえるのだろうか?

ちょっと脱線してきたけれど、なんとか将来を見据えた知性の目覚めが望まれている。
このページの内容

① 軍産複合体 - Wikipedia (アイゼンハワーが起源:軍産議会複合体<1961/1/17>)
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E7%94%A3%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93

② 死の商人
 ↓
いろいろの記事を紹介している
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E3%81%AE%E5%95%86%E4%BA%BA

③ 軍需産業
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E9%9C%80%E7%94%A3%E6%A5%AD




① 軍産複合体
   出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E7%94%A3%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93

軍産複合体(ぐんさんふくごうたい、Military-industrial complex, MIC)とは、軍需産業を中心とした私企業と軍隊、および政府機関が形成する政治的・経済的・軍事的な勢力の連合体を指す概念である。

この概念は特にアメリカ合衆国に言及する際に用いられ、1961年1月、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領が退任演説において、軍産複合体の存在を指摘し、それが国家・社会に過剰な影響力を行使する可能性、議会・政府の政治的・経済的・軍事的な決定に影響を与える可能性を告発したことにより、一般的に認識されるようになった。アメリカでの軍産複合体は、軍需産業と国防総省、議会が形成する経済的・軍事的・政治的な連合体である

 1 概念の起源
 2 歴史 
    2.1 19世紀
    2.2 第二次世界大戦まで
    2.3 米ソ冷戦時代
    2.4 ポスト冷戦時代
 3 米国の軍産複合体
    3.1 協力体制
    3.2 イスラエル・ロビー
    3.3 中東問題での立場
 4 脚註・出典
 5 関連項目
 6 関連文献
 7 参考文献

 1  概念の起源 

軍産複合体という概念を初めて公式に用いたのは、1914年8月5日のイギリスのチャールズ・トレヴェルヤンらが結成した民主的統制連合だった。彼らの平和主義の4つのマニフェストの第4項では「国家の軍隊は共同による合意により制限され、また軍備企業の国営化と兵器貿易の管理によって軍産複合体の圧力は調整されるべきである」と記された。

軍産複合体の概念を広く知らしめたアイゼンハワーの退任演説は1961年1月17日に行われた。なお、演説の最終から2番目の草案では、アイゼンハワーは最初に「Military–industrial-congressional complex(MICC)、軍産議会複合体」という概念を用いて、アメリカ合衆国議会が軍需産業の普及で演じる重要な役割を指摘していたが、アイゼンハワーは議会という語を連邦政府の立法府のメンバーを宥めるために削除した、とされている。議会を含めた概念の実際の作者は、アイゼンハワーの演説作家のラルフ・ウィリアムズとマルコム・ムースだった。

ベトナム戦争期の活動家セイモア・メルマンはこの概念に度々言及した。1990年代にジェームズ・カースは「1980年代中頃までに、この概念は一般の議論の対象になった...冷戦の間の武器入手に関する軍産複合体の影響に対する議論の力がどうであれ、彼らは現在の時代にはそれほど関連しない」と主張した。

現在では軍と産業に加え大学などの研究機関が加わり、軍産学複合体と呼ぶように変化してきている。この背景には軍から大学の研究費が出されるようになり、研究資金の出資元として軍が大きな割合を占めるようになってきているためである。

 2  歴史

昔から武器や兵器は製造業の主要な生産物であった。新石器時代の道具は有史以前の武器となり、青銅器時代、鉄器時代には武器の手工業生産のために複雑な産業が生まれた。これらの産業は平和時の生産のためにも用いられたが、工業化が進んだ19世紀、20世紀になると、戦争目的だけに開発製造する組織が必要とされるほど兵器は複雑化した。中世の剣などとは異なり、火器、大砲、蒸気船、飛行機、核兵器などの新兵器には数年がかりで開発製造に従事する必要が生まれた。

巨大兵器などでは計画・設計に時間がかかり、平和時にも体制を構築しておかなければならない。この軍事活動に向けた産業の繋がりは、軍と産業の「協力」を生み出した

 2.1  19世紀

歴史家のウィリアム・ハーディー・マクニールによれば、近代における第二次の軍産複合体が1880年代および1890年代にイギリスとフランスで形成された。2つの勢力による海軍軍拡競争は軍産複合体をそれぞれ形成し、両国間の緊張にも繋がった。初期においては、ジョン・アーバスノット・フィッシャーなどの将校が、装備の技術的更新に影響を与えた。同様の軍産複合体はドイツ、日本、アメリカでもすぐに形成された。

この頃の代表的人物はアルフレート・クルップ、サミュエル・コルト、ウィリアム・アームストロング、ジョセフ・ホイットワース、ホーレス・スミスと“ダン”ダニエル・ウェッソン(スミス&ウェッソン)、第一次大戦の父と言われたバジル・ザハロフなどである。

19世紀後半から20世紀初期のアメリカでは、アンドリュー・カーネギーやヘンリー・フォードといった産業界の指導者の多くは「反軍備」「反戦争」の立場であり、軍需産業の規模は小さかった。

 2.2  第二次世界大戦まで 

1914年に始まった第一次世界大戦により、世界中で軍需産業が勃興した。特にアメリカでは国内労働力の25%が軍需関連産業に従事するようになり、一時的な経済的活況を呈した1918年の戦争終結によってアメリカの国内経済は一転して不況となり、1929年のアメリカ発の世界恐慌の遠因となった。世界恐慌がもたらしたアメリカの不況はフランクリン・ルーズベルト大統領によるニューディール政策によっても本質的には解消されず、第二次世界大戦へ参戦することで第一次世界大戦の時と同様の戦争特需での景気回復が得られた。この2度の戦争の過程で、「雇用確保」「価格の安定」「民間企業の参加」という軍需産業の利点が関係者に理解されていった。

 2.3  米ソ冷戦時代 

第二次世界大戦後の1950年、ハリー・S・トルーマン政権下でソビエト連邦の拡張主義に対抗する必要性を説く現在の危機委員会(The Committee on the Present Danger, CPD)が設立された。設立メンバーのディーン・アチソン国務長官や国務省政策立案担当高官のポール・ニッツェ(Paul Nitze)のほかにも、金融家で大統領の経済顧問を2度努めたバーナード・バルーチ、ジョン・ロックフェラー2世(1世の息子)、ニューヨーク・タイムズのジュリウス・オクス・アドラー、GMのアルフレッド・スローンなどが所属した。この組織の働きかけで、アメリカのGDPに占める軍事費の割合は、1947年の4%から1950年代には8%から10%へと増え続けた。

軍産複合体に対する政治的支持を維持することは、政治的エリートにとって課題となった。ベトナム戦争とウォーターゲート事件の後の1977年、ジミー・カーター大統領は歴史家のマイケル・シェリーが呼ぶところの「アメリカの軍国主義化された過去を壊す決意」を持って職に臨んだがうまくいかず、再選にも失敗した。いわゆる 「レーガン革命」は軍産複合体の優位性を建て直した。ジョージ・メイソン大学のヒュー・ヘクロのいわゆる「防衛官僚により聖別されたアメリカの展望」でロナルド・レーガンは、1980年代から共和党の合い言葉になり民主党の大半も同様だったやり方で、国家と国家の安全の状態をプロテスタントの契約神学の覆いの下に隠した

アメリカと軍拡競争を行ったソ連でも軍産複合体は国営企業によって形成されており、ソ連で軍産複合体を代表したドミトリー・ヤゾフ国防相やオレグ・バクラーノフ国防会議第一副議長、アレクサンドル・チジャコフ国営企業・産業施設連合会会長らはアメリカに融和的で冷戦の終結を掲げてペレストロイカにおける経済改革の一環として軍民転換(コンヴェルシア)政策を推し進めて既得権益を脅かすミハイル・ゴルバチョフに反発を強め、ソ連8月クーデターを起こすきっかけとなった。

 2.4  ポスト冷戦時代

第41代および第43代大統領を生み出したブッシュ家は、軍産複合体を生業としてきた。第43代大統領の曽祖父サミュエル・ブッシュはオハイオ州で兵器を製造していたバッキー・スティール・キャスティング社を経営していて、1917年からはワシントンD.C.の連邦軍需産業委員会の小火器・弾薬・兵站部門の委員となった。祖父のプレスコット・ブッシュは東京大空襲で大量に使用された焼夷弾である集束焼夷弾E46の製造を行なっていたドレッサー・インダストリーズ社に関与し、戦後は上院議員もつとめている。第41代米大統領はこのド社の石油部門で働いていた。その後、第41代大統領はCIA長官、副大統領、大統領時代において、海外との兵器貿易を押し進めており、副大統領時代にはイラン・コントラ事件が起きている。

冷戦終了後の1990年代にはアメリカの兵器メーカーによる議会工作の方法が高度化した。まず、軍需産業によるタカ派シンクタンクへの献金によって仮想敵国の軍事的脅威が強調された報告書が作成され、高額な報酬を受け取るロビイストによって国防関係の議員達にさまざまな働きかけが成される。1997年だけでもロビー活動費として5,000万ドルが費やされ、870万ドルが1998年にかけての選挙資金として提供されたと見積られている。地元での防衛産業に関わる有権者の票と共に、こういった業界からの資金提供が議員達の政治判断に影響するようになっていった。レーガン政権時代には、実現性が無いとする多くの反対を押し切って、「スターウォーズ計画」とも呼ばれた「SDI計画」が550億ドルの巨費を投じて進められ、15年間の計画は終了した。この計画が失敗であったかどうかの意見は分かれるが、先進的な軍事技術を生み出しながらも具体的な兵器は一切完成しなかった。

1990年代にホワイトハウスが「ならずもの国家」と名指ししていた「イラン」「イラク」「北朝鮮」の3カ国の他に、「スーダン」「シリア」「キューバ」といった反米国家のすべての軍事費を合計してもアメリカ1国だけで19倍程度の軍事費を毎年費やしてきた。さらに、2001年の9・11同時多発テロによって、イスラム過激派に対する対テロ戦争と言う名目はアメリカの軍事費を前年に比べ326億ドル増額させることに成功し、国防総省の総予算は3,750億ドルにまでなった。しかし、これらは主に駐留経費の増額であり、艦船や航空機などの大口の受注はむしろ減額されているという指摘もある。

「対テロ戦争」における実際の軍事行動は、敵対勢力への積極的な海外派兵によって行なわれ、兵器の使用に伴って大きな軍需物資の需要が生み出されている。特にアフガニスタンとイラクでは、主戦闘以外のあらゆる侵攻作戦上の業務を米国の民間会社へと委託する方式(民間軍事会社)を生み出すことで、従来のように遠く離れた母国から武器などの物の販売によって利益を得るのではなく、戦争や紛争が起きている現場での労働力の提供による利益を追求するといった、戦争そのものが新たな産業として確立しつつある

「対テロ戦争」とは直接関係が無い、弾道ミサイル防衛に関しても対テロによって減額されることなく、レイセオン社のような企業によって開発と配備が進められており、アメリカやカナダだけでなく、ヨーロッパと日本への配備も進展しつつある。同様に、F-22「ラプター」戦闘機や「ジョージ・H・W・ブッシュ」、「ジェラルド・R・フォード」原子力空母といった通常戦争用の新型兵器の開発と配備の計画も進展している。

21世紀になると、軍産複合体という概念は世界でも突出して大きな軍需産業を持つアメリカに関して言及されることが多くなった。アメリカ経済の軍事費及び軍需産業への依存度を推定することは難しい。それは明らかに莫大であり、彼らの地区に影響を及ぼす防衛費の削減に議員は激しく抵抗するワシントン州ではある経済学者は2002年に西部ワシントンで直接、間接に防御産業を除いた軍事施設単独で166,000人の仕事或は約15%の労働人口が依存していると見積もった。ワシントン州で2001会計年度で防衛予算から総額約70億6,000万ドルの給与、年金、調達費が支払われた。この額はワシントン州が全米で7位である。米国の防衛研究費だけでもGDPの1.2%に上る。また、アメリカに次いで軍事費を増やして米中冷戦状態にあるとも評されている中華人民共和国では国有企業の独占した軍需産業を民間に開放してアメリカの軍産複合体をモデルに「中央軍民融合発展委員会」を設置したとされ、歴代大統領と比較して海外派兵に消極的と評されるドナルド・トランプ政権でもパトリック・シャナハンやマーク・エスパーのような軍需産業出身者がアメリカ合衆国国防長官に指名され続けるなど軍需産業は強い影響力を持っている

 3  米国の軍産複合体

 3.1  協力体制

地元労働者の支持
ロッキード社、ボーイング社、レイセオン社といった巨大兵器メーカーはアメリカ国内にて多数の工場を持ち、また、陸海空軍及び海兵隊の四軍の基地はそれぞれの基地所在地域にとって他に代わりのない有力な就職先となるなど、地元の雇用とアメリカ議会議員選挙時の支持票とが密接に結びついているため工場や基地の閉鎖・移設は、たとえそれが合理的な理由によって本当に必要と考えられても議員にとっては最大限に避けるべき要素となり得る

献金
巨大軍需企業は、自社の製品やサービスが国防予算内に有利な条件で組み込まれることを望むため、シンクタンクやロビイストを通じてアメリカ議会議員にさまざまな働きかけを行っている。また同時に、これらの企業から合法や違法を問わず献金が議員に対して行われ、政治活動資金として使用される

輸出産業
アメリカ製兵器は、映画や一部のコンピュータ関連製品、航空機、農産物と並んで、有力な輸出商品である。このため、アメリカ国民の強い武器に対する愛着と誇りも手伝って、輸出を前提とする産業構造に何らの疑問も抱かれないのが大勢である

 3.2  イスラエル・ロビー

イスラエルは国家成立のときから、いわゆる中東戦争で周辺イスラム諸国と戦争を続け、欧米に居住するユダヤ系市民の支援だけでなく、アメリカの多大な軍事援助を受けてきた。2009年時点でアメリカはほぼ唯一の軍事援助国であり、かつアメリカの軍事援助国ではイスラエルが最大のものとなった(イラク・アフガニスタンを除く)。イスラエル自体も国家経済において軍需産業が主要経済となり、アメリカと同様に軍産複合体の様相を呈している。このような条件下にあって、イスラエルはパレスチナ問題での自身の立場の擁護だけでなく、アメリカの巨額な軍事援助の継続を維持するために、ユダヤ系市民が有力なアメリカ言論界の支援とともに、活発な対議会工作(ロビー活動)を行っている。

国家安全保障問題ユダヤ研究所Jewish Institute for National Security AffairsJINSA)は、アメリカとイスラエルの間での戦略的・軍事的な協力関係を促進することを目的に1976年に設立され、シンクタンクを核として、ロビー活動や多数の米イの軍関係者の間の交流会、広報誌の発行を行なうなど、現在も積極的に活動している。2004年には2万人以上のメンバーがいると見積もられている。

アメリカ・イスラエル公共問題委員会AIPAC)が、イスラエルにとって有利な政策をとるようにアメリカ政府や議会に働きかけることを中心に活動しているのに対して、JINSAは米イの軍事関係者と軍需産業関係者の間での関係強化を目的として活動している。

JINSAはアメリカ軍の退役軍人がイスラエルを訪問しやすいように毎年研究渡航の費用を提供したり、アメリカ国防総省の官僚と在米イスラエル指導者層との交流会を企画したりしている。地中海・中東地域でのイスラエルの存在がアメリカにとっての民主主義的な価値観に沿ったものとなっている事を、アメリカ国民にアピールしており、イスラエルの中東地域でのプレゼンスが米国の国防上も有益であると宣伝している。こういった長年の努力の結果、米国は全対外援助の6分の1をイスラエルの軍需産業に経済援助している。

JINSAはアメリカ国内でイラク戦争を最も強く推進した団体である。JINSAの顧問でネオコンのリチャード・パールは開戦時の国防政策委員会のメンバーであったし、ディック・チェイニー副大統領やジョン・ボルトン国連大使、ダグラス・ファイス国防次官もJINSAの顧問である。

 3.3  中東問題での立場

21世紀初頭でのアメリカの軍需産業にとって、中東地域に関しては大きく2つの点で、基本的に反イスラムの立場をとることが自己の経済的利益に結びつく構図となっている。1つは、冷戦崩壊後の国際社会の平和安定化が進展することを防ぎ、軍需産業にとっては適度に不安定化することで「イスラムへの脅威論」が現実味を持つことである。テロや軍事的な脅威が現実となるほど、軍需産業は国内国外への販売増加が見込める。もう1つは、反イスラムの立場であればユダヤ教の国であるイスラエルやキリスト教が多いEU諸国への販売がさらに容易になることである。イスラム教徒が政治に発言力を持つインドネシアや一部の中東の国々はそれほど大きな経済力を備えておらず、市場としては優先できない規模である。一方、同じイスラム教国であるサウジアラビア、バーレーン、オマーン、ヨルダン、UAEのような経済的に豊かな親米国家には、アメリカ製の兵器の販売が行なわれている。

また経済的な視点とは別に、JINSA、ネオコン、キリスト教右派、先進戦略政治研究所(IASPS)、安全保障政策センター(Center for Security Policy, CSP)、アメリカシオニスト機構(Zionist Organization of America, ZOA)といった勢力からのイデオロギー的な強い働きかけもアメリカ軍需産業の行動に影響していると見られる。

 4  脚註・出典

1.^ アイゼンハワー退任演説 英語原文、ビデオ、日本語訳
2.^ DeGroot, Gerard J. Blighty: British Society in the Era of the Great War, 144, London & New York: Longman, 1996, ISBN 0-582-06138-5
3.^ Griffin, Charles "New Light on Eisenhower's Farewell Address," in Presidential Studies Quarterly 22 (Summer 1992): 469-479
4.^ a b c d e 宮田律著 『軍産複合体のアメリカ』 2006年12月15日第1刷発行 ISBN 4862280099
5.^ In the Shadow of War: The United States since the 1930s, New Haven & London: Yale University Press, 1995, p.342
6.^ ビル・クリントン政権のマデレーン・オルブライト国務長官は上記に「リビア」を加えて22倍であると認めたことがある。
7.^ “中国、富国強兵へ秘策? 「軍民融合委員会」設立 目指すは米の軍産複合体 軍国主義化の懸念も”. 産経ニュース (2017年2月9日). 2019年1月26日閲覧。
8.^ “米大統領が国防長官にシャナハン代行指名へ、防衛業界出身は初めて”. ロイター. (2019年5月10日) 2019年7月5日閲覧。
9.^ “米、国防長官にエスパー氏指名 陸軍長官”. 東京新聞. (2019年6月22日) 2019年7月5日閲覧。

 5  関連項目

 軍事ケインズ主義
 国家総力戦
 財閥
 コングロマリット(複合企業)
 武器商人
 鉄のトライアングル
 軍事 - 軍隊 - 軍事力 - 軍縮 - 兵器 - 武器輸出三原則
 産業 - 産業連関表 - 第二次産業 - 多国籍企業
 1990年以後の企業の買収・合併の実績 - 各種の産業の性質・影響力・経営状況
 アメリカ合衆国の政治 - アメリカ合衆国の経済 - アメリカ合衆国の歴史
 アメリカ軍 - アメリカの徴兵制の歴史
 アメリカの戦争と外交政策 - アメリカの軍需経済と軍事政策 - アメリカの経済と経済政策
 イスラエル・ロビー

 6  関連文献

 セイモア・メルマン『ペンタゴン・キャピタリズム―軍産複合から国家経営体へ』(朝日新聞社、1972年)
 バークレー・ライス『これが!!産軍複合体だ―裸にされたC5Aスキャンダル』(時事通信社、1972年)
 小原敬士編『アメリカ軍産複合体の研究』(日本国際問題研究所、1971年)
 石川博友『巨大システム産業―アメリカの産軍複合体企業』(中公新書、1970年)
 産軍複合体研究会『アメリカの核軍拡と産軍複合体』(新日本出版社、1988年)ISBN 440601599X
 畑野勇『近代日本の軍産学複合体―海軍・重工業界・大学』(創文社、2005年)ISBN 4423710633
 宮田律『軍産複合体のアメリカ―戦争をやめられない理由』(青灯社、2006年) ISBN 4862280099

 参考文献

 防衛大学校・防衛学研究会『軍事学入門』かや書房
 松井茂『世界軍事学講座』新潮社
 アーサー・シュレジンガー『アメリカ大統領の戦争』岩波書店。
 ウィリアム・ハートゥング『ブッシュの戦争株式会社』阪急コミュニケーションズ。
 デイナ・プリースト『終わりなきアメリカ帝国の戦争―戦争と平和を操る米軍の世界戦略』アスペクト。
 ジョージ・フリードマン『新・世界戦争論―アメリカは、なぜ戦うのか』日本経済新聞社。
 ダグラス・ラミス『なぜアメリカはこんなに戦争をするのか』晶文社。
 ジョエル・アンドレアス『戦争中毒―アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由』合同出版。
 高木徹『ドキュメント戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争』講談社
 P・W・シンガー『戦争請負会社』NHK出版
 菅原出『外注される戦争』草思社
 広瀬隆『アメリカの経済支配者たち』集英社。
 広瀬隆『アメリカの巨大軍需産業』集英社。
 広瀬隆『世界石油戦争―燃えあがる歴史のパイプライン』NHK出版。
 広瀬隆『世界金融戦争―謀略うずまくウォール街』NHK出版。
 広瀬隆『一本の鎖―地球の運命を握る者たち』ダイヤモンド社。
 道下徳成、長尾雄一郎、石津朋之、加藤朗『現代戦略論―戦争は政治の手段か』勁草書房
 道下徳成、吉崎知典・長尾雄一郎、加藤朗『『戦争―その展開と抑制』勁草書房
 加藤朗『テロ―現代暴力論』中央公論新社
 石津朋之編『戦争の本質と軍事力の諸相』彩流社
 ディフェンスリサーチセンター『軍事データで読む日本と世界の安全保障』草思社
 ゴードン・クレイグ、アレキサンダ
ー・ジョージ『軍事力と現代外交―歴史と理論で学ぶ平和の条件』有斐閣
 佐瀬昌盛『集団的自衛権―論争のために』PHP研究所
 森本敏『安全保障論―21世紀世界の危機管理』PHP研究所
 納家政嗣『国際紛争と予防外交』有斐閣
 森本敏、横田洋三『予防外交』国際書院
 ヨハン・ガルトゥング『ガルトゥング平和学入門』法律文化社
 ヨハン・ガルトゥング『平和を創る発想術 紛争から和解へ』岩波書店
 ジェイムズ・ダニガン、ウィリアム・マーテル『戦争回避のテクノロジー』河北書房新社
 猪口邦子『戦争と平和』東京大学出版会
 山田満『平和構築とは何か―紛争地域の再生のために』平凡社



続いて「死の商人」

② 死の商人
   出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E3%81%AE%E5%95%86%E4%BA%BA

この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2012年4月)

死の商人(しのしょうにん、英語: merchant of death)とは、友敵を問わず、兵器を販売して巨利を得る人物や組織への蔑称、または営利目的で兵器を販売し富を築いた人物や組織への蔑称。通常の商売を行っていたものと区別して記事の解説を行う。

 1 概要  2 英語  3 戦争と武器商人が販売した兵器の解説
 4 「死の商人」と呼ばれた人々、会社、国
 5 作品  5.1 文学 5.2 漫画 5.3 アニメ 5.4 特撮 5.5 映画
       5.6 ドキュメンタリー
 6 脚注  7 関連項目

1 概要

いくつかの辞書においては、中世欧州において敵対する勢力の両方に武器を売り、利潤のみを求めた武器商人の姿勢からこのような蔑称が生まれたとされている。

19世紀から冷戦時代にかけては、武器の生産や販売元はアメリカ合衆国やソ連、フランス等の国が中心で、冷戦時代においてもこれらの国の政府や企業が直接当事者・当事国に販売するケースが多かった。しかし、冷戦後は、これらの国や企業が様々な理由から当事者・当事国に直接武器を売ることが出来ないことがあり、その場合、武器商人(=「死の商人」)を経由して間接的に売る事が多いといわれる。これらの理由から、近年では豊富な資金源を持つ個人が武器商人の中心になってきている。

合法か違法か、友国か敵国かを問わず、紛争当事国やテロリスト、第三諸国(アフリカ、中東諸国)に武器を売っており、それが少年兵や犯罪者に手軽に銃が渡ってしまうので非常に問題ではあるが、死の商人たちは各国の政府首脳や諜報機関と深い関係を持っている為に、これらの武器売買の行為を暴くことは、自国の暗部の行為を暴くことになってしまうのであまり摘発されない。また、近年は武器生産、販売国として中華人民共和国や北朝鮮、パキスタンなどの新興工業国が急速に勢力を伸ばして来ているといわれている。

当然の事ながら、この類の職業は戦争が起きれば利益が増える。

2 英語

「merchants of death」という語は、1934年に発表されたH. C. EngelbrechtとF. C. Hanighenの調査報道書のタイトル『Merchants of Death』による。1930年代の米国で、第一次世界大戦で巨利を得た軍需産業と銀行を蔑む為に使われた。この語は反戦活動家の間で盛んに使われ、1936年の上院公聴会でナイ委員会によって広く使われることとなった[1]。この「Merchants of Death」は、たばこ産業や製薬会社への軽侮にも使われることがある[2]。

3 戦争と武器商人が販売した兵器の解説

第一次世界大戦
過去最大規模の戦死者を生み出した第一次世界大戦では、それまでの戦病死が戦没の多くを占めていた戦争と様相が異なり、戦闘時の戦死者が約2⁄3に達した。産業革命がもたらした鉄道による大量動員と機関銃の大量生産が塹壕を強固な砦に変え、ハーバー・ボッシュ法等の発明が、火薬の工業的な量産と運用を可能にした。また、この戦争から毒ガス、空襲、戦車が使われるようになった[3]。
第二次世界大戦
戦車や航空機などの積極運用がなされるようになった。イラン・イラク戦争
世界各国が、友敵を問わずに武器を売った。

4  「死の商人」と呼ばれた人々、会社、国   省略

5  作品    省略

6  脚注

 1.^ Safire, William (2008). Safire's Political Dictionary. Oxford University Press. pp. 424–425. ISBN 9780195343342.
 2.^ MERCHANTS OF DEATH – 10 THINGS TO KNOW ABOUT TOBACCO
 3.^ 戦史叢書52陸軍航空の軍備と運用(1)昭和十三年初期まで58頁
 4.^ a b ロード・オブ・ウォー公式ブログ
 5.^ “ロシアの武器商人に禁錮25年の判決”. wsj.com (ウォール・ストリート・ジャーナル). (2012年4月5日) 2012年4月6日閲覧。
 6.^ 死の商人(岡倉古志郎,1999)
 7.^ アメリカの保守本流(広瀬隆,2003)
 8.^ 『神々の軍隊』- 浜田政彦(2000年,ISBN 9784883202119)
 9.^ アルフレッド・ノーベル伝(Kenne Fant,1996)
 10.^ いくつかのサイトでIdiotie Quotidienne(日刊おバカの意)とされているが、フランス国立図書館に収蔵されておらず。身内の死亡時期に不審点があるため、創作である可能性が指摘されている。Alfred Nobel: «Vous dites que je suis une énigme»より
 11.^ 丁稚から財閥を築いた男、大倉喜八郎
 12.^ 核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実 ゴードン コレーラ ISBN 4828414029
 13.^ 『神々の軍隊』- 浜田政彦(2000年,ISBN 9784883202119)
 14.^ 『世界の起業家50人』- 大東文化大学起業家研究会(2004年,ISBN 9784762013041)
 15.^ 『死の商人[改訂版]』- 岡倉古志郎(1962年 岩波新書)

7  関連項目

※軍需産業、特需景気、軍国主義、戦争成金、組織犯罪、闇市
密輸、全米ライフル協会、軍備管理、傭兵、酒保商人




前の②死の商人 7 関連項目の ※軍需産業を検索して見ると、
  驚くほどのデータが出ています。


  1 概説
    1.1 主な産品
    1.2 取り巻く環境
    1.3 兵器産業としての特徴
  2 世界の軍需産業収益ランキング
    2.1 上位100社
  3 市場規模・収益規模
  4 産業としての傾向
    4.1 旧航空機メーカーのシステムインテグレーター化
    4.2 民間軍事会社の台頭
    4.3 軍需企業一覧
  5 各国の防衛予算
  6 兵器貿易における主要輸出国ランキング
  7 兵器貿易における主要輸入国ランキング

それで、この内容を記載します。



③ 軍需産業
   出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E9%9C%80%E7%94%A3%E6%A5%AD

1 概説

軍需産業とは軍隊で需要があるものを、製造したり軍隊に対して販売したりすることで、利潤を得ている企業群の総称である。 軍需産業が生み出す製品は多岐に及んでおり、軍隊が戦闘時に用いたり戦闘に備えて配備する兵器・銃器類(ミサイル、軍用機、艦船、戦車、大砲、ロケット砲、機関銃)やそれらで使う弾薬や軍用電子機器、また地雷、手榴弾など、また軍服や兵士が用いる様々な装備など、他にも軍隊が日常業務で使う資材、毛布、燃料、食料などの、多様な製品を生産・販売する産業部門のことである。

また、政府との契約にもとづき民間従業員を派遣して、正規軍が行なう積極的な戦闘行動以外の補給や保守などの主に兵站業務を代行する民間軍事会社も軍需産業に含めることがある。

特に兵器の開発・製造などに特化している場合は「兵器産業」と細分化して呼び分けることもあり、個々の企業や組織に関して、兵器・銃器の売買・流通に特化している場合は武器商人などと呼び分けることがあり、またもっぱら兵器・銃器の売買をする組織・人は、その行為の性質も考慮して、「死の商人」と呼ばれることもある。

 1.1 主な産品主な産品  画像があるが省略する

    軍艦 戦闘機 ミサイル 戦車 機関銃
    弾薬 地雷 手榴弾 軍服 軍用食

 1.2 取り巻く環境

資本主義国家では多くが民間企業で構成されているが、それ以外の体制下では国家機関が軍需産業を構成している場合がある。軍需産業は国家防衛という国家が行なう軍隊の活動を生産面でサポートする産業であるため、完全に自由な民需産業とはなり得ず、政府の恣意的な保護政策や時に強制的な政策が行使され、軍事機密の保護のために個人の移動制限や輸出の制限が加えられる。こういった環境にある産業であるため、新規参入は結果として強く制限される反面、最新の情報通信技術のような「新兵器」が生み出せる技術を持った企業が急成長する産業でもある。

発注者が国家そのものという事で契約履行がほぼ安定しており、受注が得られれば民間企業としては経営が安定できる。現在の世界の多くの財閥や巨大企業がその繁栄期には戦争特需で急成長した時期があったように、戦争によって繁栄しうる。しかし、現代戦は国家財政を大きく消耗させてしまうため長期的な需要とはなりづらい。逆に戦争終結で投資が無駄になることも多い。「軍需産業にとって好都合なのは冷戦のような軍備拡張競争である」などと言われる。現在は冷戦終結後の軍縮で兵器市場が縮小し、軍需産業の統合が進んでいる。

全世界の軍事費合計はソ連崩壊前の1985年には1兆2535億ドルあったが、ソ連崩壊後の1995年には9,162億ドル、2000年には8,115億ドルと激減しており[1]、予定されていた装備の調達が大幅に削減されることが多くなった。こうした状況下、冷戦期に拡大した軍需産業界は危機を迎え、1994年にノースロップがグラマンを、1997年にはボーイングがマクドネル・ダグラスを買収するなど、1990年代には多くの企業・部門が統廃合に追い込まれた。2006年現在存在するボーイング、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、レイセオン、EADSといった巨大な軍需企業は1985年には少なくとも20以上の個別の企業あるいは軍需部門であった。

こういった軍需に関わる企業では、軍事機密などを口実として情報開示を行わず、透明な環境での監視や競争原理が働かないまま、国家から多額のお金を得ている。このため、政治家・民間会社・軍官僚の間での癒着(賄賂など)や不法行為の温床となることがある。(詳細は軍産複合体及び天下りを参照)

2006年度は地球全体で9,000億ドル以上が軍需産業に使用され、世界のあらゆる工業国では国内の軍需産業界が発達している。アムネスティ・インターナショナルによって設立されたコントロール・アームズによると、98以上の異なった国に拠点を置く1,135以上の会社がそれらの様々なコンポーネントと弾薬と同様に小火器を製造している。

技術革新が進み、武器が高価になるにつれ、武器の開発や生産は国際共同が主流となりつつあり[2]、1つの国で軍需産業を維持、発展させることは困難となりつつある。

 1.3 兵器産業としての特徴

軍需産業の中でも製品としての兵器を開発し生産する産業では、他の産業に比べて以下の点で特徴がある。

顧客は独占需要家:軍需産業は政府以外に顧客を持たず、外国政府への販売であっても政府が仲介を行なう。

寡占市場:特定の兵器を生産できるのは1社か又はごく少数の数社のみである。

性能・機能優先:兵器の取得価格は2次的な要素であり、性能・機能が優先される。

競争は初期のみ:政府から兵器開発の委託契約を受けるまでが、他社との本当の競争であり、一度、兵器開発プロジェクト契約を勝ち取れば、それ以降の継続的な開発契約や実証テスト契約、少量生産契約、量産契約、保守と保守部品供給、設計変更などの長期に渡る受注が期待出来ることが多く、少なくとも他社との競争では圧倒的に優位に立てる。

少数の計画:兵器は細かな用途別で多様な兵器が個別開発される傾向が少なくなり、同一の用途は1種類の兵器で賄われ用途別の兵器もできるだけファミリー化によって新たな兵器の開発を減らし、出来るだけ一元化されるようになっている。これは兵器の開発と生産を行なう企業にとっては、ある分野での兵器市場を10年以上に渡って100%独占できるか、0%になるかといった両極端な状況を生み、開発と生産の為の企業資産を長期に渡って平均的・安定的に保有することを難しくしている。

保護:企業倒産による兵器技術の国外散逸や不法組織への流出を避けるために、政府は経営の思わしくない兵器企業に各種の経済的な支援を行なう。

政府規制:政府の規制が多い。

遅延と追加予算:開発契約は遅延され、その上、追加予算が求められることが多いが、政府はこれを受容することが多い。

2 世界の軍需産業収益ランキング

2007年の世界軍需産業収益順位を2006年の数値と共に以下に示す
2007年 2006年
順位 企業名 軍需部門収益
(億USドル)
総収益
(億USドル)
軍需比率
(%)
軍需部門収益
(億USドル)
総収益
(億USドル)
軍需比率
(%)
1 ロッキード・マーティン(Lockheed Martin) アメリカ合衆国の旗アメリカ 385.13 418.62 92.0 342.25 396.20 91.0
2 ボーイング(The Boeing Company) アメリカ合衆国の旗アメリカ 320.80 663.87 48.0 292.00 615.30 50.0
3 BAEシステムズ(BAE Systems) イギリスの旗イギリス 298.00 314.00 95.0 250.70 269.676 93.0
4 ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman Corporation) アメリカ合衆国の旗アメリカ 245.97 320.18 77.0 236.49 301.48 78.4
5 ジェネラル・ダイナミクス(General Dynamics Corporation) アメリカ合衆国の旗アメリカ 215.20 272.40 79.0 187.69 240.63 78.0
6 レイセオン(Raytheon Company) アメリカ合衆国の旗アメリカ 198.00 213.00 93.0 195.00 200.63 96.1
7 EADS オランダの旗オランダ 122.392 576.00 21.3 132.02 5201.86 25.4
8 L-3 コミュニケーションズ アメリカ合衆国の旗アメリカ 112.397 139.605 81.0 99.896 124.769 80.1
9 フィンメッカニカ(Finmeccanica) イタリアの旗イタリア 106.016 197.789 53.6 90.571 164.664 55.0
10 ユナイテッド・テクノロジーズ(United Technologies Corporation) アメリカ合衆国の旗アメリカ 87.614 547.59 16.0 76.526 478.29 16.0
11 タレス・グループ フランスの旗フランス 72.464 181.161 40.0 69.974 135.988 51.5
12 サイエンス・アプリケーションズ・インターナショナル(Science Applications International Corporation SAIC) アメリカ合衆国の旗アメリカ 65.11 89.35 72.9 58.00 83.00 69.9
13 ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(Kellogg, Brown & Root KBR) アメリカ合衆国の旗アメリカ 59.67 87.45 68.2 64.00 96.00 66.7
14 ハネウェル(Honeywell) アメリカ合衆国の旗アメリカ 50.00 346.00 14.5 44.00 316.00 13.9
15 ゼネラル・エレクトリック(General Electric) アメリカ合衆国の旗アメリカ 45.00 168.00 26.8 46.00 154.00 29.9
16 ロールス・ロイス・ホールディングス(Rolls-Royce) イギリスの旗イギリス 43.926 148.40 29.6 40.62 140.078 29.0
17 ITT アメリカ合衆国の旗アメリカ 42.00 90.00 46.7 36.593 78.079 46.9
18 DCNS フランスの旗フランス 41.549 41.549 100.0 35.647 35.647 100.0
19 コンピューター・サイエンシズ(Computer Scienses Corporation) アメリカ合衆国の旗アメリカ 36.00 148.55 24.2 35.30 146.156 24.2
20 Saab スウェーデンの旗スウェーデン 32.347 35.941 90.0 24.619 - -

2.1 軍事研究 2009~2007

2009年のランク 2008年のランク 2007年のランク 企業 (国) 2009年の武器の売り上げ (US$ m.) 2008年の武器の売り上げ (US$ m.) 2007年の武器の売り上げ (US$ m.) 会社全体の売り上げに占める割合 (%),
2 1 2 イギリスの旗 BAEシステムズ 33 250 32 420 29 860 95
1 2 3 アメリカ合衆国の旗 ロッキード・マーティン 33 430 29 880 29 400 70
3 3 1 アメリカ合衆国の旗 ボーイング 32 300 29 200 30 480 48
4 4 4 アメリカ合衆国の旗 ノースロップ・グラマン 27 000 26 090 24 600 77
5 5 5 アメリカ合衆国の旗 ジェネラル・ダイナミクス 25 590 22 780 21 520 78
6 6 6 アメリカ合衆国の旗 レイセオン 21 030 23 080 19 540 91
7 7 7 欧州連合の旗 EADS 17 900 15 930 13 100 28
8 8 9 イタリアの旗 フィンメッカニカ 13 280 13 020 9 850 52
9 9 8 アメリカ合衆国の旗 L-3 コミュニケーションズ 13 010 12 160 11 240 82
11 10 10 フランスの旗 タレス・グループ 10 200 10 760 9 350 58
10 11 11 アメリカ合衆国の旗 ユナイテッド・テクノロジーズ 11 110 9 980 8 760 17
12 12 12 アメリカ合衆国の旗 SAIC 8 030 7 350 6 250 73
15 13 16 アメリカ合衆国の旗 KBR 4 990 5 730 5 000 50
13 14 13 アメリカ合衆国の旗 CSC 6 050 5 710 5 420 34
14 15 15 アメリカ合衆国の旗 ハネウェル 5 380 5 310 5 020 15
17 16 19 アメリカ合衆国の旗 ITT Corp. 4 730 5 170 3 850 44
19 17 17 イギリスの旗 ロールス・ロイス・ホールディングス 4 140 4 720 4 580 28
18 22 N アメリカ合衆国の旗 ゼネラル・エレクトリック 4 700 3 650 -- 3
20 19 25 アメリカ合衆国の旗 AMゼネラル 3 720 4 040 2 670 . .
16 25 N フランスの旗 サフラングループ 4 740 3 020 -- 26

出典: http://www.sipri.org/research/armaments/production/Top100 "武器の売り上げはSIPRIの軍需品とサービスを軍の顧客への売り上げで、国内と輸出両方の売り上げを含む。軍需品は軍用に専用に設計されたものである。"

2.2 上位100社

ストックホルム国際平和研究所集計による2008年の上位100社
順位 社名 分野
1 BAEシステムズ イギリス イギリスの旗A Ac El MV Mi SA/A Sh
2 ロッキード・マーティン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ac El Mi Sp
3 ボーイング アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ac El Mi Sp
4 ノースロップ・グラマン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ac El Mi Ser Sh Sp
5 ジェネラル・ダイナミクス アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 A El MV SA/A Sh
6 レイセオン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 El Mi
S BAEシステムズ (BAEシステムズ, UK) アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 A El MV SA/A
7 EADS 欧州連合 Ac El Mi Sp
8 フィンメッカニカ イタリア イタリアの旗 A Ac El MV Mi SA/A
9 L-3 コミュニケーションズ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 El Ser
10 タレス・グループ フランス フランスの旗 A El MV Mi SA/A Sh
11 ユナイテッド・テクノロジーズ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ac El Eng
12 SAIC アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser Comp(MV)
13 KBR アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
14 CSC アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
15 ハネウェル アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 El
16 ITT Corp. アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 El
17 ロールス・ロイス・ホールディングス イギリス イギリスの旗 Eng
18 アルマズ・アンティ ロシア ロシアの旗 Mi
19 AMゼネラル アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 MV
S MBDA (BAE システムズ, UK/EADS, 欧州/フィンメッカニカ, イタリア) 欧州連合 欧州連合の旗 Mi
20 ナビスター アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 MV
S DRS テクノロジーズ (フィンメッカニカ, イタリア) アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗[注 1] El
21 DCNS フランス フランスの旗 Sh
22 ゼネラルエレクトリック アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Eng El
S ユーロコプター (EADS, 欧州) フランス フランスの旗 Ac
S プラット・アンド・ホイットニー (ユナイテッド・テクノロジーズ) アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Eng
23 テキストロン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ac El Eng MV
S シコルスキー (ユナイテッド・テクノロジーズ) アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ac
24 三菱重工業 日本 日本の旗 Ac MV Mi Sh
25 サフラングループ フランス フランスの旗 El
26 サーブ スウェーデン スウェーデンの旗 Ac El Mi
27 URS Corp. アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 El
28 アライアント・テクシステムズ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 SA/A
29 ラインメタル ドイツ ドイツの旗 A El MV SA/A
30 ヒューレットパッカード アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
31 エルビット・システムズ イスラエル イスラエルの旗 El
S CASA (EADS, 欧州) スペイン スペインの旗 Ac
32 ロックウェル・コリンズ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 El
33 イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ イスラエル イスラエルの旗 Ac El Mi
S EADSアストリアム (EADS, 欧州)フランス フランスの旗 Sp
34 QinetiQ イギリス イギリスの旗 Ser
S MBDAフランス (MBDA, 欧州) フランス フランスの旗 Mi
35 ダッソー フランス フランスの旗 Ac
36 オシュコシュ・コーポレーション アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 MV
37 スホーイ (UAC) ロシア ロシアの旗 Ac
38 BIG(英バブコック) イギリス イギリスの旗 Ser
39 CEA フランス フランスの旗 Oth
40 ハリス アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 El
41 セルコ イギリス イギリスの旗 Ser
42 クラウス=マッファイ・ヴェクマン ドイツ ドイツの旗 MV
43 コブハム イギリス イギリスの旗 Comp(Ac El)
44 ヒンドスタン航空機 インド インドの旗 Ac Mi
45 ナバンティア スペイン スペインの旗 Sh
46 ダインコープ・インターナショナル アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
S アレーニア・アエロナウティカ (フィンメッカニカ) イタリア イタリアの旗 Ac
47 CACI アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
48 グッドリッチ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Comp(Ac)
49 ティッセンクルップ ドイツ ドイツの旗 Sh
50 マンテック アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
51 ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ イスラエル イスラエルの旗 Ac Mi SA/A Oth
52 三菱電機 日本 日本の旗 El Mi
53 川崎重工業 日本 日本の旗 Ac Eng Mi Sh
54 インド造兵工廠 インド インドの旗 A SA/A
55 フォース・プロテクション アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 MV
56 STエンジニアリング (テマセク) シンガポール シンガポールの旗 Ac El MV SA/A Sh
57 VTグループ イギリス イギリスの旗 Ser Sh
S Thales Air Defence (タレス, フランス) イギリス イギリスの旗 Mi
58 TRV Corp. ロシア ロシアの旗 Mi
59 イルクート (UAC) ロシア ロシアの旗 Ac
S BAE システムズ オーストラリア (BAE システムズ, UK) オーストラリア オーストラリアの旗 El SA/A Sh
60 GKN イギリス イギリスの旗 Comp(Ac)
61 サムスン 大韓民国 大韓民国の旗 A El MV Sh
62 インドラ スペイン スペインの旗 El
63 NEC 日本 日本の旗 El
64 ディール ドイツ ドイツの旗 Mi SA/A
S アグスタウェストランド (フィンメッカニカ) イタリア イタリアの旗 Ac
S セレックス (フィンメッカニカ) イタリア イタリアの旗 Comp(El Oth)
65 バーラト・エレクトロニクス インド インドの旗 El
66 プレジション・キャストパーツ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Comp(Ac)
67 ネクステル フランス フランスの旗 A MV SA/A
68 ヴァートレティ・ロッシー (OPKオボロンプロム) ロシア ロシアの旗 Ac
69 メジット イギリス イギリスの旗 Comp(Ac)
70 VSE Corp. アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
71 SIAé フランス フランスの旗 Comp(Ac)
72 シャー・グループ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
73 LIGネクスワン 大韓民国 大韓民国の旗 El
S タレス・ネーデルランド (タレス, フランス) オランダ オランダの旗 El
74 RUAG スイス スイスの旗 A Ac Eng SA/A
75 SRAインターナショナル アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 El
S ハンファテックウィン (サムスン)大韓民国 大韓民国の旗 A El Eng MV
76 コングスバーググループ ノルウェー ノルウェーの旗 El Mi SA/A
77 エアロスペース・コープ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
S ガリレオ・アビオニカ(現セレックスガリレオ) (フィンメッカニカ) イタリア イタリアの旗 El
78 ウルトラ・エレクトロニクス イギリス イギリスの旗 El
79 MTUエアロ・エンジンズ ドイツ ドイツの旗 Eng
80 ムーグ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Comp(El Mi)
81 ARINC (カーライル・グループ) アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
82 テレダイン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 El
83 CAE カナダ カナダの旗 El
84 フィアット イタリア イタリアの旗 Eng MV
S イヴェコ (フィアット) イタリア イタリアの旗 MV
85 ジェイコブス・エンジニアリング アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
86 パトリア フィンランド フィンランドの旗 Ac MV SA/A
87 フィンカンティエリ イタリア イタリアの旗 Sh
S BAEシステムズ・ハッグルンズ (BAEシステムズ, UK)スウェーデン スウェーデンの旗 MV
88 カーチス・ライト アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Comp(Ac Sh)
89 MITRE アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
S サンタバーバラ・システムズ (ジェネラル・ダイナミクス, アメリカ) スペイン スペインの旗 A MV SA/A
90 ウラルヴァゴンザヴォド ロシア ロシアの旗 MV
91 アリオンS&T アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
S タレス・オーストラリア (タレス,フランス) オーストラリア オーストラリアの旗 A El MV Mi SA/A Sh
92 アヴィオ (シンヴェン, UK) イタリア イタリアの旗 Eng
93 ケムリンググループ イギリス イギリスの旗 SA/A
94 イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ イスラエル イスラエルの旗 A MV SA/A
95 キュービック アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
96 KBP ロシア ロシアの旗 SA/A
97 ヴォート・エアクラフト・インダストリーズ (カーライル・グループ) アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ac
98 エスターライン・テクノロジーズ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Comp(Ac SA/A)
99 チュガッチ・アラスカ アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 Ser
100 デイ&ジマーマン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国の旗 SA/A Oth
S: 子会社、括弧内は親会社の国籍や社名が異なる場合
主要分野:
A = 銃砲; Ac = 航空機; El = 電子機器; Eng = エンジン; Mi = ミサイル; MV = 軍用車両;
SA/A = 小火器/弾薬; Ser = サービス; Sh = 艦船; Sp = 宇宙; Oth = その他; Comp( ) = 部材

3 市場規模・収益規模

そもそも多くの国で、軍備に割く額はGDPの数%程度であり、またその中でも金額の大半を占めるのは兵士・職員の人件費である。そのため、市場規模としてはそれほど大きくない

軍需産業として収益売上高)規模が世界一の米ロッキード・マーティン社の2006年の売り上げは、世界規模の民間企業で比較すると56位でしかない。同様に軍需で世界2位の米ボーイング社は民間企業としては29位になる。軍需で2位の米ボーイング社と軍需で1位の米ロッキード・マーチン社が総収益額では順位が29位と56位と逆転するのは、それだけ米ボーイング社が軍需以外の部門の売り上げが大きいからである。

軍需3位の米ノースロップ・グラマン社はフォーチュン誌の世界企業売り上げランキングで100位に存在する。軍需4位の米ノースロップ・グラマン社と5位のレイセオンは216位と306位であり、防衛産業の巨人達も、世界企業としてはウォルマート社やゼネラルモーターズ社、トヨタ自動車社に比べれば、大人と子供程の違いが生まれる。

ただし軍需産業は軍需部門がほぼ全て国家相手の売り上げであることから、ほぼ全ての売り上げが民間相手の企業とは全く異質な存在であり、軍需産業の特殊性や問題点は別に考慮する必要がある。たとえば商売相手が国であるため、支払いがスムーズ、需要が安定しているなどの独自のメリットがある。

兵器産業だけで見ても、2000年の防衛企業上位100社の全体の兵器売上高は、1,570億米ドルしかなく、この6割はアメリカの43社のものである。1980年代半ばの冷戦末期には世界全体の兵器への支出総額は、2,900億-3,000億米ドルで、2000年代の約2倍であったので、兵器市場は急激に小さくなったといえる。また例えば米国一国の他の産業と比べても、2001年のデータでは医薬品市場で2,280億ドル、自動車市場で6,000億ドル、雑貨で5,420億ドル、生命保険売上で8,000億ドル強、証券で3,400億ドルであったので、世界の兵器市場はそれほど大きくはない。

4 産業としての傾向

冷戦体制の終結に伴って軍事産業の「需要」が減少したが、アメリカ同時多発テロ事件以降の「非対称戦争」時代の対応のための変化が、20世紀末から現在へ続く軍需産業に業界再編を含む大きな動きを作り出している。

4.1 旧航空機メーカーのシステムインテグレーター化

システムインテグレーター(英: Systems Integrator)は、個別のサブシステムを集めて1つにまとめ上げ、それぞれの機能が正しく働くように完成させるシステムインテグレーション事業を行なう企業のことである<下平調>

冷戦終結の以前から、陸上と海上の最新兵器は航空兵器のようなハイテク技術を多く取り入れるようになり、2000年以降はこの傾向が明確になった。この傾向が生まれる以前は、たとえば陸上兵器代表の戦車でも、海上兵器の代表の巡洋艦駆逐艦でも、それぞれの専業兵器メーカーが政府からの契約に基づいて設計と製造を行なっていた。しかし、2007年の現在では、それぞれの兵器の中枢部分に高機能電子機器によるネットワーク機能が組み込まれており、単体の兵器としての運用だけでなく、有機的に結ばれたネットワークの一部としての兵器運用が求められるようになっている。この変化によって、米ボーイング社や米ロッキード・マーティン社のように、単体の兵器に含まれる機能のみならず、ネットワーク全体の機能を理解したうえで、システムインテグレーターとしての役割を担える軍事企業のみが、政府からの主契約を受ける会社(Primary contractor)となれるようになった。

このシステムインテグレーターの役割の中には、将来の拡張や敵味方の兵器技術の方向性を理解・展望し、兵器の全体像を概略設計し、必要な要素技術を開発し、政府の要求に合わせた試作機を完成させ、個別機器や部品をそれを設計・製造するのが得意な企業に振り分けて発注し、最終的な量産までの組み立て・統合作業を監督する、投資・経費・価格を管理する、などのさまざまな能力が含まれる。このため、2007年の現在では、例えばアメリカ海軍沿海戦闘艦LCS計画では、艦艇の製造契約までがロッキード社やジェネラル・ダイナミクス社という20世紀には航空機を製作していた企業によって執られるようになっている。この流れはアメリカだけでなく、イギリス海軍次期空母CVF計画は英BAEシステムズ社と仏タレス社によって共同で主契約が政府と結ばれた。こういったシステムインテグレーターも実際の製造作業のほとんどは従来の造船メーカーに委託することで互いの専門能力を最大限に発揮するようになる。また、こういった動きの一環として、ノースロップ・グラマン社が2000年にインガルス造船所とアボンデール造船所、2001年にはノースロップ・グラマン・ニューポート・ニューズを合併したようなケースや、ジェネラル・ダイナミクス社が2003年にゼネラルモーターズ社からM1エイブラムス戦車などを作っていたGMディフェンス社を合併したケースのように、積極的に自社内に取り込んでいくという戦略を執るシステムインテグレーターもある。なお、ジェネラル・ダイナミクス社は1899年の設立時には潜水艦を建造していた後、1953年のコンベア社との合併以後に航空機も作るようになった会社である。

4.2 民間軍事会社の台頭

米ハリバートン社の子会社である米KBR社や、退役軍人によって創設されたブラックウォーター・ワールドワイドのような民間軍事会社(プライベート・ミリタリー・カンパニー/PMC)が軍需産業界内で大きな役割を持つようになってきている。これは米政府の「軍事の民営化」政策という「傭兵制度」以後の大きな歴史上の変化によって生じたと考えられる。米国軍産複合体の新しい形態となって定着するか、将来イラク戦争終結後に解消される需要であるのか今後が注目される。

4.3 軍需企業一覧

軍需企業の一覧を参照

ここを開いてみると、15ページもの日本と世界の企業一覧が出ています。 部品の下請け孫請けなど関連企業を考えると、日本でも軍需関係企業にたずさわっているのがこうも多いのかと驚きます。

5 各国の防衛予算

順位 予算($ 10億ドル.) 世界全体に占める割合 (%) 2010年の時点でGDPに占める割合 (%)
世界全体 1630 100
1 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 698.0 42.8 4.8
2 中華人民共和国の旗 中国 119.0a 7.3a 2.1
3 イギリスの旗 イギリス 59.6 3.7 2.7
4 フランスの旗 フランス 59.3 3.6 2.3
5 ロシアの旗 ロシア 58.7a 3.6a 4.0
6 日本の旗 日本 54.5 3.3 1.0
7 ドイツの旗 ドイツ 45.2 2.8 1.3
8 サウジアラビアの旗 サウジアラビア 45.2 2.8 10.4
9 インドの旗 インド 41.3 2.5 2.7
10 イタリアの旗 イタリア 37.0 1.8 2.7

6 兵器貿易における主要輸出国ランキング

2001年10月の順位 供給国 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
1 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 5908 5229 5698 6866 6700 7453 8003 6288 6658 8641
2 ロシアの旗 ロシア 5896 5705 5236 6178 5134 5095 5426 5953 5575 6039
3 ドイツの旗 ドイツ 850 916 1713 1105 2080 2567 3194 2500 2432 2340
4 フランスの旗 フランス 1297 1368 1345 2219 1724 1643 2432 1994 1865 834
5 イギリスの旗 イギリス 1368 1068 741 1316 1039 855 1018 982 1022 1054
6 中華人民共和国の旗 中国 499 509 665 292 303 597 430 586 1000 1423
7 オランダの旗 オランダ 203 239 342 209 583 1187 1326 530 545 503
8  スウェーデン 880 191 526 314 538 432 366 454 383 806
9 イタリアの旗 イタリア 216 426 341 212 774 502 684 417 514 627
10 イスラエルの旗 イスラエル 407 436 368 628 368 299 438 281 807 472
11  ウクライナ 700 311 442 200 290 553 728 330 320 201
12 スペインの旗 スペイン 7 120 150 56 108 843 590 610 998 513
13 スイスの旗 スイス 193 157 181 243 246 285 301 482 255 137
14 カナダの旗 カナダ 129 170 263 265 226 226 334 227 169 258
15 大韓民国の旗 韓国 165 N/A 100 29 48 94 220 80 163 95

7 兵器貿易における主要輸入国ランキング

現在の順位 輸入国 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
1 インドの旗 インド 911 1242 1872 2802 2227 1036 1257 2179 1810 2116 3337
2 シンガポールの旗 シンガポール 622 220 235 88 384 543 52 368 1123 1729 1078
3 マレーシアの旗 マレーシア 30 26 131 135 48 51 410 546 541 1494 411
4 ギリシャの旗 ギリシャ 710 725 491 2241 1528 389 598 1796 563 1269 703
5 大韓民国の旗 韓国 1262 623 461 680 986 686 1650 1758 1821 1172 1131
6  パキスタン 158 397 533 592 385 332 262 613 939 1146 493
7 アルジェリアの旗 アルジェリア 418 553 237 197 272 156 308 471 1518 942 791
8 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 301 449 453 533 512 501 581 731 808 831 893
9 オーストラリアの旗 オーストラリア 364 1191 647 798 505 470 682 629 380 757 1677
10 トルコの旗 トルコ 1170 553 1009 438 187 1005 422 585 578 675 468
11 サウジアラビアの旗 サウジアラビア 80 59 555 159 1161 148 185 64 115 626 787
12 アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 243 186 213 695 1246 2198 2026 938 748 604 493
13 中華人民共和国の旗 中華人民共和国 2015 3366 2819 2207 3080 3511 3831 1474 1481 595 559
14  ノルウェー 263 148 92 4 6 14 469 494 536 576 205
15  インドネシア 171 27 63 398 82 31 58 577 241 452 198

以上で ③ 軍需産業 を終わります。



【下平・註】

世界の国旗が出てきますが、判別できない。 調べてみると、
   世界地図 世界の国旗
   https://www.abysse.co.jp/world/flag/
が一番はっきりして都合がいい。 URLで見てほしい。

この記事をデータ化するには、ちょっと大変な苦労をしました。 参考のために書き留めておきます。
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知識の集積には「真似」が一番大事な源泉ですから、パソコン記事も真似て然るべき性質のものなのです。 不法としてある本意はそれによって儲けようとするのを防ぐためです。 金儲けでない限り真似は知識集積の源泉なのです。(私の言い訳)