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こども学 小林登文庫
植物 進化 未来
【 02 】08/06~
08 06 (火) こども学 小林登
このサイトとどうして出会ったのか、年のせいなのか分からなくなった。 いずれにしても小林文庫を開いてい見ていくと、私の子育ての主題から興味をひかれたのである。
それを見ていくとものすごいデータに驚くし、私の考えの路線とは違った立場のデータも少なからず多かった。 直ぐにまとめようとすると、まとまりがつかない予感がした。 それでこの際はデータ内容の一覧にとどめておくことにした。
必要な時にこのホームデータを探すことにした。
https://www.blog.crn.or.jp/report/
小林登文庫 論文・レポート
CRN名誉所長小林登の著書、小論、各地での講演録を公開しています。
連載「脳と教育」シリーズでは、名誉所長がMind, Brain and Education誌(国際的に著名な学者によって設立された学会誌)の中の選りすぐりの論文を、私見を交えて紹介しています。
名誉所長ブログでは、所長の活動や所感を掲載しています。
カテゴリー別
名誉所長ブログ
脳と教育
CRNからのおすすめ
子ども学―Child Science―
子ども学―Child Science―
https://www.blog.crn.or.jp/report/cs.html
世界の子どもを取り巻く諸問題を解決するためには、従来の学問分野を越えて学際的な研究体制が必要ではないか―このような問題意識から、小林登名誉所長は「子ども学(Child Science)」の考え方を提唱しました。
ここでは、子ども学に関する過去の論文へのリンクを掲載しています。
No.1 「子ども学」事始め(1997~1998)
https://www.crn.or.jp/LIBRARY/KOBY/HAJIME/index.html
1998/09/04 子どもの権利を考える
1998/08/28 「日の丸」「君が代」問題を考える
1998/08/21 ムカつきキレる子どもたち
1998/08/14 チャイルド・エコロジーの立場から
1998/08/07 チャイルド・エコロジーとは
1998/07/31 登校拒否と不登校
1998/07/17 「いじめ」の構造
1998/07/03 臨床教育学①-いじめ
1998/06/12 臨床教育学と教育学的小児科学
1998/05/22 発育は相互作用で支配
1998/05/08 発育現象に臨界期
1998/04/10 「発育の原則」その2
1998/03/13 5つある「発育の原則」
1998/02/20 子どもの育つすがたを表す言葉
1998/01/30 人間の体内時計
1998/01/09 「子どもの行動問題と生活リズム」
1997/12/19 プリクラの流行
1997/12/05 いじめ発生の基盤
1997/11/21 友達づくりの発達
1997/11/07 母子相互作用と言葉の発達
1997/10/24 アイ・トゥー・アイ・コンタクト
1997/10/09 母子相互作用と母乳哺育
1997/09/26 スキンシップの意義
1997/09/12 母子相互作用
1997/08/29 脳を揺さぶる優しさ
1997/08/15 優しさの効力
1997/08/01 感性情報の役割
1997/07/25 子どもの生活リズムと行動問題
1997/07/18 母と子のチークダンス
1997/07/04 生活環境から情報
1997/06/20 心にもプログラム
1997/05/09 生きる力はプログラム
1997/04/04 インフォメーション・シーカー
1997/03/18 人類進化の流れと子ども達
1997/02/26 多様性の生物学的基盤
1997/02/13 子どもへのまなざし
1997/02/05 何故子ども学か
No.2 新・こどもは未来である(1998~2001)
https://www.crn.or.jp/LIBRARY/KOBY/MIRAI/index.html
2001/03/16 国際児童年におもう-2
2001/03/02 国際児童年におもう-1
2001/02/16 おしおきの病理学-2
2001/02/02 おしおきの病理学-1
2001/01/19 母と子の人間関係が乱れる-2
2001/01/05 母と子の人間関係が乱れる-1
2000/12/22 父親の出番-2
2000/12/08 父親の出番-1
2000/11/24 わが子も他人-2
2000/11/10 わが子も他人-1
2000/10/27 母親からもらったフローラ-2
2000/10/13 母親からもらったフローラ-1
2000/09/29 わが子を守る母親の免疫抗体-2
2000/09/14 わが子を守る母親の免疫抗体-1
2000/09/01 コミュニケーションは、こうして-2
2000/08/18 コミュニケーションは、こうして-1
2000/08/04 言葉は引っぱり出される-2
2000/07/21 言葉は引っぱり出される-1
2000/07/07 言葉も育つ-2
2000/06/23 言葉も育つ-1
2000/06/09 こどもとあそび-2
2000/05/26 こどもとあそび-1
2000/05/12 赤ちゃんも「考える人」-2
2000/04/21 赤ちゃんも「考える人」-1
2000/04/07 生きていることをたしかめる指しゃぶり-2
2000/03/24 生きていることをたしかめる指しゃぶり-1
2000/03/10 ねる子は育つ-2
2000/02/25 ねる子は育つ-1
2000/02/10 赤ちゃんは笑って行動する-2
2000/01/28 赤ちゃんは笑って行動する-1
2000/01/14 よく泣く子と泣かない子-2
1999/12/24 よく泣く子と泣かない子-1
1999/12/10 人生ではじめての社会行動はうぶ声-2
1999/11/26 人生ではじめての社会行動はうぶ声-1
1999/11/12 愛情も栄養となる-2
1999/10/29 愛情も栄養となる-1
1999/10/15 母親の心音をきいて、やすらかに-2
1999/10/01 母親の心音をきいて、やすらかに-1
1999/09/10 においも母と子のきずなを強くする-2
1999/08/27 においも母と子のきずなを強くする-1
1999/08/13 目と目でたしかめる母と子の愛-2
1999/07/30 目と目でたしかめる母と子の愛-1
1999/07/16 肌からはじまる母と子のきずな-2
1999/07/02 肌からはじまる母と子のきずな-1
1999/06/18 わが子をだくこと、母親になること-2
1999/06/04 わが子をだくこと、母親になること-1
1999/04/02 母乳にかわるもの、ミルク-2
2001/12/12 母乳にかわるもの、ミルク-1
1999/03/05 育児のために自然はあらゆることをする-2
1999/02/19 育児のために自然はあらゆることをする-1
1999/02/05 母親にもマザーリングを-2
1999/01/22 母親にもマザーリングを-1
1999/01/08 母乳は赤ちゃんのフルコース-2
1998/12/11 母乳は赤ちゃんのフルコース-1
1998/11/27 母乳の成分に人間の文化がある-2
1998/11/13 母乳の成分に人間の文化がある-1
1998/10/30 人生の4分の1をかけておとなに-2
1998/10/15 人生の4分の1をかけておとなに-1
1998/10/02 こどもは未来のはじまり、愛は偶然を決める-2
1998/09/18 こどもは未来のはじまり、愛は偶然を決める-1
③ ―新しいミレニアムのために―
④ ―21世紀は子どもの世紀にしよう―
⑤ ―NICHD乳幼児保育研究から学ぶ―
⑥ ―21世紀の新しい『学び』『育ち』とは?―
⑦ -育つ育てるふれあいの子育て-2004/11/12 ← 2001/03/30
https://www.crn.or.jp/LIBRARY/KOBY/KOSODATE/index.html
2004/11/12 エピローグ「子どもは21世紀の未来をひらく-2」
2004/09/10 エピローグ「子どもは21世紀の未来をひらく-1」
2004/07/09 第7章「父親の役割―まず父子相互作用で子育てにのめり込ませよう-2」
2004/05/14 第7章「父親の役割―まず父子相互作用で子育てにのめり込ませよう-1」
2004/03/12 第6章「母乳哺育のすすめ・・お母さんのオッパイは自然のおくりもの-6」
2004/02/13 第6章「母乳哺育のすすめ・・お母さんのオッパイは自然のおくりもの-5」
2003/12/19 第6章「母乳哺育のすすめ・・お母さんのオッパイは自然のおくりもの-4」
2003/12/05 第6章「母乳哺育のすすめ・・お母さんのオッパイは自然のおくりもの-3」
2003/11/14 第6章「母乳哺育のすすめ・・お母さんのオッパイは自然のおくりもの-2」
2003/10/03 第6章「母乳哺育のすすめ・・お母さんのオッパイは自然のおくりもの-1」
2003/09/05 第5章「人生の出発点における優しさの体験-6」
2003/08/01 第5章「人生の出発点における優しさの体験-5」
2003/07/04 第5章「人生の出発点における優しさの体験-4」
2003/06/06 第5章「人生の出発点における優しさの体験-3」
2003/05/09 第5章「人生の出発点における優しさの体験-2」
2003/04/04 第5章「人生の出発点における優しさの体験-1」
2003/03/14 第4章「母と子のきずな―母子相互作用-4」
2003/01/17 第4章「母と子のきずな―母子相互作用-3」
2002/12/13 第4章「母と子のきずな―母子相互作用-2」
2002/11/08 第4章「母と子のきずな―母子相互作用-1」
2002/10/11 第3章「赤ちゃんのすばらしい能力-そのプログラムは体の成長、心の発達の原点-9」
2002/09/13 第3章「赤ちゃんのすばらしい能力-そのプログラムは体の成長、心の発達の原点-8」
2002/08/09 第3章「赤ちゃんのすばらしい能力―そのプログラムは体の成長、心の発達の原点-7」
2002/07/19 第3章「赤ちゃんのすばらしい能力―そのプログラムは体の成長、心の発達の原点-6」
2002/06/14 第3章「赤ちゃんのすばらしい能力-そのプログラムは体の成長、心の発達の原点 - 5」
2002/05/24 第3章「赤ちゃんのすばらしい能力-そのプログラムは体の成長、心の発達の原点 - 4」
2002/05/10 第3章「赤ちゃんのすばらしい能力-そのプログラムは体の成長、心の発達の原点 - 3」
2002/04/19 第3章「赤ちゃんのすばらしい能力-そのプログラムは体の成長、心の発達の原点 - 2」
2002/04/05 第3章「赤ちゃんのすばらしい能力-そのプログラムは体の成長、心の発達の原点-1」
2002/03/29 第2章「胎児期からの子育て-生まれた赤ちゃんはすでに1歳-4」
2002/02/22 第2章「胎児期からの子育て-生まれた赤ちゃんはすでに1歳-3」
2002/01/18 第2章「胎児期からの子育て-生まれた赤ちゃんはすでに1歳-2」
2001/12/21 第2章「胎児期からの子育て-生まれた赤ちゃんはすでに1歳-1」
2001/11/22 第1章「胎児はなんでも知っている-5」
2001/10/26 第1章「胎児はなんでも知っている-4」
2001/09/21 第1章「胎児はなんでも知っている-3」
2001/08/24 第1章「胎児はなんでも知っている-2」
2001/07/27 第1章「胎児はなんでも知っている-1」
2001/06/22 プロローグ「愛と心のプログラム-4」
2001/05/25 プロローグ「愛と心のプログラム-3」
2001/04/27 プロローグ「愛と心のプログラム-2」
2001/03/30 プロローグ「愛と心のプログラム-1」
⑧ 「年頭にあたり『生命感動学』を体系づけよう」
⑨ 『教育と脳-システム情報論の立場から』
⑩ 「CRNを国内外で発展させよう」
植物 進化 未来
↓
移動できない植物がなぜ生き残ってこれたのか』
それは植物が人類などより遥かに進化した生物だから 枠組記載
『移動できない植物がなぜ生き残ってこれたのか』
それは植物が人類などより遥かに進化した生物だから
2017-08-17 00:32:37 テーマ:本の話
https://ameblo.jp/kamipapa279/entry-12300041229.html
2か月かけても3分の2も読み進めなかった「シンメトリーの地図帳」。しばらく寝かせて置いて、時期がきたら読み直そうと言う決断をしました。
何故なら自分にはかなりハードルの高い本だったからです。それでもシンメトリーとは何かの基礎的な事は多少なりとも理解できたのは収穫でした。
気持ちを切り替え、千葉大学 大学院 薬学研究院 斉藤和季教授の書いた「植物なぜ薬を作るのか」を読んでみた。
この本も学術的な要素が強い本でしたが、植物や医学の知識がなくてもなんとか読み切る事ができました。
本の事を書く前に、地球上の生物の歴史をほんの少し振り返ってみる事にします。
138億年前 ビックバンが起き宇宙誕生
46億年前 地球誕生
40億年前 最初の生物が海の中で誕生
核を持たない原核生物誕生
(単細胞生物)
30億年前 原始的な植物 藻の誕生
15億年前 核を持った真核生物誕生
10億年前 多細胞生物誕生
5億年前 抗酸素藻による陸上へ生物初進出
人類の誕生は、チンパンジーと別れた瞬間とすれば600万年前で、二足歩行が最初とすれば450万年となります。
1万年前 人類農耕牧畜開始〜現在に至る
何億年前とか簡単に言いますが1万年の1万倍が1億年です。地球誕生から陸上生物(植物)誕生までに41億年かかったと言う事は、植物はとてつもない時間を生き抜いたきたのだなと改めて思います。
そして現代でも存在している植物がどのように生き残ってきたのか、どのようにして人類にとって重要な薬を植物体内で作るようになったのかがこの本のテーマです。
まず最初に、動物、植物を問わず生命体に共通して備わっている二つの性質や特徴を理解しておく必要があります。自ら移動できない選択をした植物がどのようにしてそれらを克服してきたのでしょう。
一つ目は自らの生存と成長のために物質代謝、エネルギー代謝ができること
動けない植物は空気中の二酸化炭素と、土壌から吸い上げた窒素やリンなどに光エネルギーを与えることでアミノ酸や糖などを作り出す方法を勝ち取りました。
光合成と言う高度なエネルギー変換方式を獲得したテクノロジーは驚きです。さらに驚くことは植物が行う化学反応が地球を全く汚すことがないと言う事実です。この事は授業で習っているはずなんだけれど、改めて知らされると植物の偉大ささが見えてきます。
それに比べ人類が獲得した知恵などまだまだ植物の足元にも及ばないと言うことがわかります。
著者は植物のことを、
“自然を汚さない精密化学工場”と呼んでいます。
植物がとうの昔に生み出した光合成などのエネルギー変換方式に対し、人類は植物がいたおかげで地球上に存在しているエネルギーをずっと利用してきた。石油も石炭も遠い昔の植物の産物なのだから。進化の凄さは比較になりません。
二つ目は自己を複製して次世代に受け継ぐこと
植物は動物のように逃げ出すことができませんから、捕食者、病原菌、他の競合する植物の攻撃を避けながら子孫を増やさなければなりません。
捕食者などに対しては、食べられないように苦味や渋み、あるいは神経を麻痺させるような有毒な化学成分を作るように進化しました。その上自らが作る毒には耐えられるように進化しているのも驚きです。
病原菌に対しては、その増殖を抑える耐候性のある化学成分を作り、病原菌に打ち勝つように進化しました。
つまり植物はなぜ薬を作るのではなく、植物が作る防御物質と薬が持つべき性質とが共通していると言うことに人類がようやく気がついたと言うことです。
紀元前4000年〜3000年頃のメソポタミアの粘土板に病気や医薬の記載が見つかっているし、古代のエジプト、中国、インドでも同様に薬に関する記述が見つかっていると言います。
また光合成に必要な日光を他の植物との闘いに勝つために、他の植物の成長を抑え込む化学成分を作り出すことにも成功しました。
しかしこれだけでは存続はできても繁殖できません。そこで植物がとった繁殖戦略は、
後代を残す生殖活動として、花粉を飛ばして他の花に運ぶか、昆虫を引き寄せて花粉を他の花に運んで受粉を助けてもらうと言う方法を習得します。
花粉を無作為に飛ばすのは大量に飛ばす必要がありコストパフォーマンスが悪いです。なるべく効率よく虫に花粉を運んでもらえるように、色や匂いを虫の好みに合わせて進化しました。
また木ノ実を鳥や動物の好みに合わせて進化し、より広範囲に種を運んでもらうようにも進化しました。
しかし41億年もかけて進化してきた植物に対し、チンパンジーと別れてからたかだか600万年しか進化してきていない人類が最近植物に襲いかかろうとしています。
植物の作り出す化学反応を利用し、人類の薬を作り出す技術は加速していくでしょう。そしてそれは薬にとどまりません。
少し前までは遺伝子組換え植物の危険性の論議が話題になりましたが、今家庭に並ぶ野菜などの食物のほとんどが遺伝子組換え植物になってしまっています。知らぬ間にです。本当に何も問題ないのでしょうか。
全く同じ種でも植える環境の違いで、育ち方も味も変わりますが、遺伝子組換えの有無の違いの方が大きい事もわかっているのですから。
自然界にはない“青いバラ”の完成が話題にもなりました。
本を読み進むにしたがい、人類の欲深さばかりが気になり始めました。まるで地球は人類のためだけにあるがのごとく。
現在地球環境をも人類の行ないで変わり始めています。地球温暖化です。その原因である二酸化炭素削減するために、より多くの二酸化炭素を取り込む植物を作り出す研究もしていると言います。
なんて愚かなことを。
人類が行った過ちを植物に頼ろうとしています。このままではいずれ植物をも人類は絶滅させかねません。
しかし・・・・
多分そうはならないだろう。41億年生き残ってきた植物だ。植物にとって人類の行いなどは既に織込み済みかもしれない。
植物がたかだか600万年の人類には負けないだろう。41億年生き抜いた植物だ。なぜならその時はきっと人類の方が先絶滅するだろうから。
HOME>生命の扉<https://mugen3.com/seimei4.html>
08 06 (火) 花に追われた恐竜 - 第4話 -
はじめに
私達の想像を越えた大きさ、そして強さを誇った恐竜達。バロサウルスは今からおよそ1億5千万年前のジュラ紀に繁栄した大型の草食動物です。この時代、地上には高さ100Mもの巨木が聳え立ち深い森が広がっていました。バロサウルス達は、その森で茂った大量の葉を食べて暮らしていました。恐竜はもちろん、全ての動物達は植物に支えられて生きています。そして植物の世界が変わる時、動物の世界もまた大きく変わるのです。恐竜の繁栄と絶滅、そこにも植物達の進化が深く関わっていたのです。第4話では植物の進化が、なぜ恐竜を絶滅に追いやったのか?その進化の謎に迫ってみたいと思います プロローグ
恐竜は地球の生命の歴史の中で、最大最強の陸上動物でした。まるで怪獣映画のような世界が実に1億6千万年もの間、続いたのです。私達人間の歴史が、まだ20万年しかないことを考えると大変な長さです。最初に恐竜が生まれたのは三畳紀と呼ばれる時代です。私達のイメージとは違って、ずいぶん小さな恐竜達の時代でした。そしてジュラ紀に入ると、あの長い首を持った20Mを超える大きな恐竜が登場してきます。最後の白亜紀にはサイにちょっと似ていますが、大きさは9M位の恐竜が繁栄する時代でした。しかし長い間、様々に形を変えながら繁栄した恐竜は、今から6千5百万年前、突然その姿を消してしまいます。彼らは、なぜ絶滅してしまったのでしょうか? 実はその理由は、まだ良くわかっていません。巨大な隕石が衝突したという説が有力ですが、60以上もある絶滅説は、いづれも決定的な証拠が無いのです。そんな中で全く新しい視点から、絶滅の謎に迫ろうという研究が始まっています。それは、恐竜が食べていた植物との関係です。時代によって恐竜の大きさや形が変わりました。それと共に、実は恐竜の食料源だった植物の世界も大きく変わっていたのです。彼らは、一体どんな植物を食べていたのでしょうか?そして植物は恐竜の繁栄と絶滅の歴史にどう関わっていったのでしょうか? 植物の上陸作戦!水辺から乾燥地帯への進出
地球の生命の歴史の中で植物は、常に動物の一歩先を歩んできました。今からおよそ4億年前、陸上の世界には、まだ動き回る動物の気配さえなかった時代です。植物が初めて姿を現しました。やがて植物は水辺の世界を覆い尽くし、高さ30Mにも達する森林を作り上げていきました。 3億5千万年前、森を目指して昆虫やクモの仲間、そして恐竜や私たちの祖先である両生類が陸に上がっていきました。上陸からわずか5千万年、植物は巨木の森を作り上げ、動物の為の豊かな環境をお膳立てしてくれたのです。 しかし、高さ30Mの巨木も水辺の世界から離れる事は出来ませんでした。巨木の森を作り上げていたのは、シダ植物でした。胞子で増えるシダ植物の植生には水が必要です。シダの巨木は、水の無い場所では子孫を増やす事はできなかったのです。よって、陸地の奥深くには、植物の姿はまだ有りませんでした。そして動物達が暮らす場所も、水辺の森に限られていたのです。 アメリカ・アリゾナ州、ここに乾燥地帯を目指した植物の化石が残っていました。幹の太さは2M、長さ20M近い巨木の化石が太古の忘れ物のように横たわっていたのです。この巨木はシダ植物とは違って、胞子の代わりに種を持っていたのです。3億2千万年前の植物の化石から、丸い種がハッキリとわかります。種は胞子と違って、乾燥した大地でも半永久的に生き続ける事ができます。そして、雨を待って芽を出すのです。植物は今の杉やイチョウにつながる全く新しい植物、裸子植物へと進化していったのです。裸子植物は生殖方法を変えていました。花粉を風に飛ばして受精する方法、いわゆる風媒を開発したのです。花粉は水の中ではなく、空気中を風に乗って飛び、メシベにたどり着く事ができるのです。つまり、植物は水を中立ちしなくても、子孫を残す事ができるようになったのです。 さらに2億3千万年前の三畳紀に、大規模な大陸活動が始まりました。超大陸、パンゲアと呼ばれる一つの塊の巨大大陸が、分裂をはじめたのです。活発な火山活動の結果、大気中の二酸化炭素は今の4倍から8倍にも達していました。二酸化炭素を使って光合成をする植物にとって、理想的な地球環境、そして乾燥に強い植物の誕生、水辺にとどまっていた巨木の森は、こうして大陸全体に広がる事が出来たのです。 最初の草食恐竜はチビだった?巨木が恐竜を巨大化した
アメリカ・カルフォルニア州、レッドウッドの森、100Mを越える針葉樹が一体を埋め尽くしています。裸子植物が誕生した後の北米大陸は、こんな風景だったと考えられています。森の最上部には、太陽の光を体一杯に浴びようと大量の葉が茂っています。直射日光にさらされていた地表は、優しい木陰で覆われました。 地中深くに張った巨木の根は、水を蓄えシダ植物やコケも湿った地表に広がっていました。このような豊かな森の中で、様々な草食動物が登場してきました。トカゲやワニなどの祖先である大型の爬虫類、哺乳類のような毛を持った爬虫類、そしてその中で、最初の恐竜が誕生したのです。 今から2億2千5百万年前の三畳紀に生まれた恐竜の仲間の化石が、発見されました。肉食動物特有の鋭い歯を持っていないことから、最初に植物を食べ始めた恐竜の一つだと考えられています。しかし私達がイメージする恐竜とは違って、体長およそ80センチ、高さも40センチ足らずしか有りませんでした。まだ小さかった恐竜は、地表近くのシダやコケしか食べられなかったはずです。恐竜の遥か頭上には、巨木が付けた大量の葉が茂っていました。誰も手を手を付けていない大量のエサ場が広がっていたのです。小さかった恐竜達は、巨木に追いつこうとするかのように巨大化を始めました。そして、およそ5千万年の時間をかけて恐竜は、最大の陸上動物へと進化していったのです。 大地を覆い尽くした巨木の中で、巨大恐竜達の繁栄が始まりました。全長27M、高さ15Mもある私達の想像を超えた大きさの恐竜、バロサウルスは、その巨体をさらに伸ばして2本の足で立つ事が出来たと考えられています。このころの裸子植物は、今の針葉樹などとは違い遥かに柔らかい葉を付けていました。バロザウルス達は、首を長くすることによって、他の動物には手の届かない高い場所のエサを独占する事ができたのです。 恐竜の首はなぜ長くなったのか?巨大化の秘密!
バロザウルス達の体には、長い首を支える為の独特の工夫がありました。巨大恐竜の構造は、大変貧弱でした。細長い歯がクシのように並んでいるだけで、私達の奥歯のように食べ物をスリ潰せるような歯では有りませんでした。また、頭の骨格も貧弱でした。巨体に見合わない小さな頭は、今の犬程度しか有りませんでした。噛み砕く力は、ほとんど無かったと考えられています。巨大化の秘密は、まさにその弱々しい歯と小さな頭、そして胃の中にあったのです。 ジュラ紀の巨大恐竜達は、石を頻繁に飲み込んで食べ物を消化するのに役立てていました。彼らは、頭を重くしたくなかったのです!もし、頑丈なアゴと歯でものを噛み砕こうとすると、その為に頭が重くなってしまうのです。なぜなら、頑丈な歯は重いのです。そうすると長い首では、その重い頭を支えきれなくなってバランスも悪くなってしまいます。ですから、彼らは歯で噛み砕く代わりに、胃の中の石を使って食べ物をすり潰し消化を助ける工夫をしたのです。噛み砕いて消化するのは胃の中の石で、バロサウルス達のアゴは、千切って丸呑みするだけの役目しか有りませんでした。頭の負担を軽くすることで、初めて首を長くする事が出来たのです。 森林の破壊者 恐竜!報われることの無い植物達
巨大恐竜は、どの位の量を食べていたのでしょうか?様々な説がありますが、大ガメ爬虫類のゾウガメをもとにした計算によれば、一日一頭当たり600キロから1トンもの植物を食べていたとも言われています。彼らは移動しながら森を次々に食べ尽くしていく破壊的な食欲の持ち主でした。そして、その旺盛な食欲を陸地全体を覆い尽くす巨木の森が満たしていたのです。ジュラ紀後半の北米大陸には、体長50Mのセウスノサウルスを筆頭にアルファトサウルス、ブラキオサウルスなど10種類を超える巨大恐竜がいました。そして、草食恐竜をエサにする肉食恐竜も多様に進化していきました。巨大な森林は、草食恐竜だけでなくジュラ紀の恐竜全てを支えていたのです。 植物をエサにしていたのは、恐竜だけでは有りませんでした。小さな昆虫達も森の破壊者の一員だったのです。昆虫は葉に穴をあけて汁を吸ったり、植物の生殖に関わる大事な花粉を食べたりしていました。エサとして奪われ続けた植物達、巨木の森は、こうして報われること無くジュラ紀の生態系全てを支えていたのです。 はじめに
植物界の革命、花の誕生 巨大恐竜達の繁栄が続く中で、植物達はさらに次の進化を踏み出しました。アメリカ・ユタ州のウエストウォーター、ここからは巨木の森とは全く違う新しい植物の化石が大量に発見されています。シダ植物とも裸子植物とも違う楕円形の葉を持ったこれらの新しい化石の植物は、実は植物界の革命とも言われる大きな進化を成し遂げてたのです。植物界に起きた革命的な出来事とは一体何か?シカゴの自然史博物館の植物学者、ピーター・クレイン博士は今、1億3千年前の化石からその痕跡を読み取ろうとしています。その石から、花の化石が発見されたのです。植物が新たに成し遂げた進化、それは花の誕生だったのです! はじめに
花(被子植物)の誕生秘話、植物達の新たな戦略が始まる 日本の春3月、桜よりも一足先にコブシの花を咲かせます。最初に誕生した花は、このコブシの祖先ではないかと考えられています。そして、花びらの中を見ると、サナギからかえったばかりの小さなコガネムシが集まってきています。花の誕生には、このコガネムシの祖先が関わっていたのではないかとクレイン博士は考えています。 雪のように森林を舞う大量の花粉、子孫を残す為の大事な花粉は、コガネムシの大好物でした。ところがある日、食事を終えたコガネムシの足に偶然、花粉が付きました。そして、コガネムシの足に付いた花粉は、次のエサ場でメシベに届けられたのです。コガネムシのおかげで出来た種、それは一方的に食べられるだけだった植物にとって、初めての経験でした。植物の新たな戦略がこの瞬間から始まったのです。花粉を湿らせて虫達の体にたくさん花粉が付くように工夫しました。 昆虫に生殖を手伝ってもらう事は、風まかせに大量の花粉を飛ばすよりも、はるかに確実な生殖方法だったのです。虫達にたくさんの花粉を運んでもらえた植物は、さらに花粉を囲む葉に目立つ色を付けて、昆虫を招き寄せるサインを作り出しました。花をつける植物、被子植物はこうして生まれたのです。これまで動物に食べられるだけだった植物は、花を付ける事によって動物と共に生き始めたのです。昆虫との共同作業で誕生した花は、それまでの植物とは違った強みを握っていました。花は美しいだけでなく、実はとても成功した植物なのです。その理由は、もちろん昆虫との関係を結んだことにありますが、さらに重要な事は、花はとても早く世代交代するということです。 花をつけた植物、つまり被子植物は、裸子植物に比べて遥かに早く生殖でき、そして成長する事ができるのです。杉や松などの裸子植物は、種を作り風媒という方法をとる事によって、乾燥地帯への進出に成功しました。しかし、花粉がメシベに届いてから受精が完了するまで半年から1年という気が遠くなるような時間がかかるのです。その点新しく誕生した花は、その弱点を飛躍的に改善させたのです。受粉してから生殖が完了するまで僅か3分、遅いものでも24時間程度しかかからないのです。 はじめに
花と昆虫達の共存!それがお互いの進化に 恐竜が暮らす巨木の森の片隅で花と昆虫はお互いに助け合いながら進化していきました。花はやがて花粉よりも魅力的なご褒美、ミツを作るようになりました。その結果、ハチや蝶などミツを吸う昆虫が生まれたのです。生姜の花の仲間・その花に関しては、コシブトハナバチと呼ばれるハチだけは、長い舌を巧みに使って花びらを開ける事ができるのです。中に入る時に頭に花粉が付き、それが他の花に届けられるのです。その代わり、コシブトハナバチは、この花のミツを独占できるのです。他の種類のハチは、この花に入る事はできません。こうして花と昆虫は、不思議な一対一の関係を築いていったのです。昆虫は花の誕生をきっかけに、爆発的にその種類を増やしていきました。そして花も昆虫の為に、様々な姿を変えながら種類を増やしていったのです。 はじめに
花の繁栄が巨木の森を衰退へ導いた? 白亜紀の北米大陸、花は赤道周辺の低緯度地帯で生まれました。そして、繁殖のスピードの速い花は、急速に勢力を拡大し裸子植物を北へ追いやっていったのです。巨大恐竜達は、裸子植物が作る巨大な森林の恵みに支えられて繁栄してきました。しかし花をつけた植物が増え始めると、巨大な森林は次第に減っていったのです。巨大恐竜達は、裸子植物の代わりに花をつけた植物を食べた事が出来たのでしょうか? はじめに
植物の進化が動物の進化を変える 植物の進化は、植物をエサにする動物の繁栄と絶滅にどう関わっているのでしょうか?アメリカ・コーネル大学の植物学者、カール・ニクラス博士は、植物と動物の関係をテーマに研究を続けてきました。博士がこれまで世界中で集めてきた植物の化石は、上陸の時代から恐竜時代の末期まで1万8千個にのぼります。上陸、巨大化、乾燥地帯への進出、数々の化石は、植物の進化が起こると、その後を追うように動物達にも進化が起こることを物語っています。そして二クラス博士は、植物の大きな変化が動物の生存さえも左右するのだと考えています。 はじめに
花の繁栄が巨大恐竜を絶滅させた理由 裸子植物は成長が遅く繁殖にも長い時間がかかりますが、その代わり広大な森を作り一様に安定した環境を作っていました。巨大恐竜は、その環境に適応した動物です。植物を大量に食べる巨大恐竜にとって巨木の森は、とても暮らしやすい場所だったと思います。しかし、繁殖の早い花、被子植物の登場によって巨大な森は、次第に駆逐されていきました。恐竜の食料を支えてきた巨木の森が消えていったのです。裸子植物から被子植物の変化は、巨大恐竜の衰退に間違いなく関わっていると思います。 二クラス博士は、巨木で生まれ裸子植物に適応して進化した巨大恐竜は、花を付ける新しい植物を食べる事が出来なかったのではないか?と考えています。そして巨大な森林が減っていった事で、大量のエサを必要とした巨大恐竜が、食料不足に見舞われたのではないか?あるいは、針葉樹が葉を硬くしていった事で、彼らの華奢なアゴでは食い千切る事が難しくなっていったのではないか?という可能性を指摘しています。 いづれにせよ、巨大な森林が減少していった時期と重なるように、巨大恐竜が衰退していったのです。繁栄を誇ったあのバロサウルスは、およそ1億3千年前、北米大陸から姿を消してしまったのです。花が一気に勢力を増していった白亜紀、北米大陸のジュラ紀に、少なくてても10種類以上いた巨大恐竜達は、僅か1種類を除いて絶滅してしまったのです。巨大恐竜達の楽園は、終わったのです。 はじめに
上記のまとめ 植物はいつもパイオニアの役目を果たしてきました。バロサウルス達は、先に巨大化した植物の後を追いかけて大きくなっていったように見えます。そして、その旺盛な食欲は、まさに巨木の森があったからこそ満たされていたのです。しかし、バロザウルス達の楽園は、長くは続きませんでした。植物界の革命といわれる大きな変化が起こってしまったのです!花の誕生です。緑一色だった地球に、黄色や白、赤といった色彩が、初めて台地に広がっていったのです。 私達の目を楽しませてくれる美しい花、この花を持つ植物は、恐竜の時代のまさに真中の時期に、始めて登場したのです。花の誕生によって植物と動物達は、新しい関係を築くことになりました。一方的に食べられるだけだった植物は、動物達と共に生きるという新たな戦略をとり始めたのです。そして、この美しい花たちが、恐竜達の運命を変えていくのです。 恐竜達の最後の棲家はアラスカ?なぜアラスカで暮らす羽目になったのか? アメリカ大陸最北の地、アラスカ州・ノーススロープ。北極圏に位置するこのノーススロープは、一年の内10ヶ月は雪に包まれる酷寒の地です。ここには、花が登場した後の時代の地層が広がっています。当時のノーススロープは、年間平均気温が7度前後、今ほどでは有りませんが、冬は闇に包まれ、気温も0度近くまで下がる気候でした。この寒い場所で、恐竜の化石が大量に発見されたのです。それは、恐竜が暖かい所に住んでいたという常識を覆すものでした。なぜ、このような寒い所で暮らしていたのでしょうか? アラスカで発見されたのは、エドモントサウルスと呼ばれる草食恐竜です。花が誕生する前後、白亜紀の恐竜と入れ替わるように生まれてきた新しい恐竜です。体長13M、バロサウルスよりかなり小型化しています。エドモントサウルスは、花園が広がる暖かい場所ではなく、なぜ、寒いアラスカにいたのでしょう?タガート博士が注目したのは、同じ地層から発見された植物の化石でした。この地層から見つかった植物の化石は、じつに90%以上がメタセコイアなどの針葉樹、つまり裸子植物で占められていました。エドモノトサウルスは、針葉樹を食べていたのです。裸子植物から花への大きな変化に適応できず、恐竜が裸子植物を食べていたとすれば、ここに来るしかなかったのです。ここは、寒さなど問題があったけれども確かに食べる食料には困らなかったでしょう。 白亜紀に誕生した花は、赤道周辺の温かい地域から周辺に広がり、針葉樹など裸子植物を北に追いやっていきました。エドモントサウルスは、その針葉樹を求めて温かい場所を捨てて、あえてアラスカにやって来たのだとタガート博士は考えています。酷寒の地、アラスカで生きたエドモントサウルス、彼らは針葉樹と共に花によって追い詰められていったのかも知れません。 恐竜時代末期の恐竜、花に適応したトリケラトプスが登場 カナダ・アルバータ州にあるドラムヘラー、砂と岩だけの不思議な風景が広がる場所から、恐竜時代末期の化石が見つかっています。ここを流れるレッドディア川は「時の川」と呼ばれ、恐竜時代最後の1千万年の地層が続いています。 この「時の川」の上流から新しいタイプの草食恐竜が見つかりました。3本の角という意味で名づけられたトリケラトプスは、白亜紀後期に最も繁栄した角を持った恐竜、角竜の一つです。全長9M、高さおよそ2M、大きな頭、下に向いた顔、まるでサイのような形をしています。このトリケラトプスは、花を付ける植物を食べる事が出来たのでしょうか? トリケラトプスを見ると、これまでの恐竜に比べて背が低い体型をしています。ですから、牛のように大群で草を食む恐竜だったのではないか?と思います。トリケラトプスは明らかに低い植物を食べていた事でしょう。白亜紀で低い植物といえば、花を付ける植物、つまり被子植物しか有りません。トリケラトプスは、ひたすら食べて食べて、そして食べ続けたでしょう。そして一帯の花を食べ尽くすと、別の場所に移動してまた食べ尽くすという事を繰り返していたのではないでしょうか?トリケラトプスのほとんどは、花が広がる温かい地域から発見されています。そのことからも、彼らは新しい植物、花に適応して繁栄した恐竜だと考えられています。恐竜の中で、ようやく花をつける植物を食べる恐竜が登場したのです。 はじめに
花の新しいパートナー、私達の祖先 哺乳類の登場 トリケラトプスの繁栄の陰で花をつける植物は、昆虫だけではなく、さらに新しいパートナーを求め始めていました。白亜紀の夜、眠りについたトリケラトプスの足元で私達の祖先、哺乳類が活動を始めました。当時の哺乳類は、今のネズミ位の大きさしか有りませんでした。私達の祖先は、恐竜の襲撃を避けて、夜しか行動できない脇役の存在だったのです。哺乳理のほとんどは、それまでずっと昆虫を食べて暮らしていました。花が選んだ新しいパートナー、それはこの小さな哺乳類だったのです! アメリカ・シカゴ大学のバンバーレン博士は、恐竜と共に生きていた時代の哺乳類の研究を続けています。博士が注目しているのは、化石に残された哺乳類の小さな歯です。もっぱら虫を食べていた時代の哺乳類の歯は、釘のような細い歯が間隔を空けて生えています。一方、白亜紀の哺乳類の歯は、長さが短くなり、さらに歯と歯の間隔が密になっています。花、つまり被子植物が増えると哺乳類は、それを食料として利用しようとしました。哺乳類は、被子植物を食べるようになったのです!そして、哺乳類が実や果物を食べることで、種をまき散らしてくれたのです! はじめに
花と哺乳類の共生が始まる 初夏の北海道、野付半島の広大な原野にハマナスの花が咲きます。このハマナスは、初めて果物をつけた植物の仲間だと考えられています。昆虫と手を結ぶことで効率良く種を作れるようになった花は、さらに果物という新しいご褒美を作って種を運んでもらおうとしたのです。 そしてそのサインに答えたのが、哺乳類だったのです。種は果物を食べた後、吐き出されたり、あるいは糞と一緒に排泄されたりして遠くまで運ばれます。こうして動けない植物は、さらに勢力を広げる事が出来たのです。 そして哺乳類にとっても果物は、魅力的な食べ物でした。昆虫を捕まえる時のように必死に動き回らなくても、高いカロリーを得る事が出来たからです。神戸大学の生態学者、湯元博士は、東南アジア・アフリカを舞台に動物と植物の関係について現地調査を重ねてきました。 博士が注目したのは、熱帯雨林で見られる花と哺乳類の関係です。リスなどの小さな小動物の為に作った小さな実、猿やチンパンジーの為のちょっと大きな果物、様々な大きさ、形、花と哺乳類は、果物を通して一対一の親密な関係を築き上げているのです。ラクビーボールのような大きな実は、象の為に花が作った特大のご褒美です。では、花は恐竜に食べてもらう為の果物は、作り出さなかったのでしょうか? はじめに
花から嫌われた恐竜達 もし、恐竜達が種子散布をして植物の繁殖を助けるような共生関係にあったならば、植物は恐竜に対しても大きな果実をご褒美として作り、もっと効率よく種子を運んでもらっていたことでしょう。しかし、現実にその化石を見ると、恐竜に種子を運んでもらった植物は存在しないし、恐竜にもそうゆう形跡は見られません。ですから、現在の哺乳類と被子植物(花)の上記に述べたような緊密な関係、あるいは花粉を媒介するという昆虫と植物の緊密な関係、つまりそのような植物と動物達の親密な関係から恐竜は、徐々に排除されて生態系の輪から外れていったという可能性は十分に考えられるのです。 はじめに
恐竜の衰退と哺乳類の繁栄 植物にとって、トリケラトプスは全てを食べ尽くす破壊者だったと考えられます。一方で、哺乳類は植物と互いに分かち合い、共に生きるという緊密な関係を築いていったのです。カナダ・アルバータ州・ドラムヘラーのレッドディア川「時の川」は、もはや植物を独占できなくなったトリケラトプスたちの運命を教えてくれます。7千5百万年前、ここにはトリケラトプスに代表される角竜が8種類いました。しかし、1千万年後には、僅か1種類に減っていました。逆に哺乳類は、10種類から20種類へと増加しているのです。1億6千万年にわたって地上を支配した恐竜達、しかし6千5百万年前の北米大陸では、恐竜達の種類は大幅に減少していました はじめに
花に嫌われた恐竜達の末路、トドメを差した大事件とは? 恐竜達の種類は、大幅に減少していました。そこにトドメを差すような大事件がおきたのです!直径10キロ、桁外れに大きな隕石が地球を襲いました。空高く巻き上げられた大量の粉塵が、地球全体を覆っていきました。太陽がほとんど差さない暗黒の世界、巨大隕石がもたらした長い冬の始まりです。恐竜は、この事件を最後に地球から姿を消したのです。 我々の祖先、哺乳類の運命は?哺乳類の繁栄の始まり この暗黒の時代をネズミほどしかない私達の祖先は、生き続けました。彼らはカロリーの高い果物をお腹一杯に詰め込んで寒さに耐えたのでしょうか?やがて大気中の塵が地上に落ち、太陽が再び地球を照らし始めました。哺乳類は、生き抜いたのです。王者だった恐竜がすべて姿を消した一方で、不思議な事に花と共に生き始めた私達 哺乳類の祖先は、新しい時代の地球を見る事が出来たのです。哺乳類は、恐竜がいなくなると同時に急速に進化していきました。花は様々な種類の果物を生み出し、それと共に多くの猿の祖先が誕生していったのです。人につながる霊長類の誕生です。 私達人類の始まりは、恐竜時代に果物を通して花と手を結んだことにあったのです。恐竜の絶滅については、まだ多くの謎が残されています。しかし、北米大陸の化石データは、花、昆虫、そして哺乳類が共に繁栄していくなかで、恐竜だけが衰退していったことを示しています。花が、昆虫や哺乳類と手を結ぶことで作り上げていった新しい世界に、恐竜は入る事が出来なかったのかも知れません。 はじめに
私達が、花が美しいと思うのはなぜ? 恐竜の多くは、花と共に生きる事は出来なかったようです。食べ尽くすだけという一方的な関係を変える事が出来なかったのです。一方、昆虫や私達哺乳類は、花と共に生きるという道を選んだからこそ、今の繁栄があるのかもしれません。 私達が花をとても美しいと思うのは、もしかしたら恐竜が支配していた時代に花に支えられ、花と共に繁栄の第一歩を築いたことを無意識の内に受け継いでいるから!かも知れません。植物があるからこそ、私達は生きているのです。そして、植物と共に生きる事が何よりも大切なのです。 太陽の光を浴びて、ひたすら静かにたたずんでいるかに見える植物。しかし、その細胞の中は、活発に揺れ動いています。太陽の光を利用して私達の食料を作り出す光合成。最新技術をもってしても成し得ないこの偉大なシステムが、4億年にわたって全ての動物を支えてきたのです。地球生態系の頂点に立つ私達人類も、植物と共に生きる事無くして繁栄を続ける事は出来ない、花に追われた恐竜達の運命が、そのことを雄弁に語っているのです。 はじめに
編集後記 我々人類の祖先である哺乳類たちは、花との共存という道を選んだからこそ繁栄し、ひいては人類の誕生につながったのです。一方、花との共存を拒んできた恐竜は、花によって絶滅の道をたどる羽目になった、といっても過言ではないようです。これは、現代における環境問題と深く関わる重要な問題だと思います。地球の生態系は、「調和」によって見事に機能していいます。そのことをこの第4話で感じとってもらえれば嬉しいです。 「TAKE AND TAKE」の道を選んだ恐竜が滅んで、花との「GIVE AND TAKE」の共生関係を結んだ昆虫と哺乳類が見事、生き残ったのです。人類は今後、自然に対して、そして人に対しても「TAKE AND TAKE」を行っていけば、きっと恐竜と同じように絶滅の道を歩む羽目になるのではないでしょうか?我々人類のこれからの進むべき道は、「GIVE AND TAKE」、もしくは「GIVE AND GIVE」だと言えるかも知れません。そのことを、6千5百万年前に絶滅した恐竜達の運命が教えてくれています。 はじめに
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2019/03/26 - 進化心理学/Evolutionary psychology」は、1990年代にその創始が宣言され、アメリカやヨーロッパを中心に近年世界的に注目を集めている、まだ比較的新しい、サピエンスの「心(Mind)」を研究する学際的な学問分野だ。 この分野は、欧米 ...
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