原始棋法
(島田拓爾ルール)
島田拓爾著「囲碁の数理」(1943年初版、58年改訂)


第1条 碁は黒白両者によって競技される。

定義 碁盤は縦横各19本の平行線を描いた平面盤である。その 361個の交点を以下で単に点という。

碁石はそれぞれの点の上に置いてその点の占拠を明示するために使用される小片、黒は黒石を、白は白石を使用する。一点aから出る各線分に沿うてaから最も近い点をaの隣点という。

幾つかの列a1、a2……、anにおいてa2以下の各点がそれぞれその直前の点の隣点であるとき、この点列をa1nを結ぶ点鎖という。

幾つかの点の集合を一つの部分と言う。一つの部分が一点のみを含むとき、或はその部分の任意二点を結ぶ点鎖が少くとも一つその部分に含まれるとき、その部分を連結部分という。

連結部分Aの隣点とはAの点の隣点全体からAの点を除いた残りの点をいう。

連結部分Aの点の各々に白(黒)石があって、Aの隣点には白(黒)石が存在しないとき、Aにある白(黒)石全体を一連の白(黒)石という。その場合Aの隣点の中の空点をこの一連の白(黒)石の活路と言う。

以下では一連の点を単に石という場合がある。幾つか(零を含む)の点に黒石が在り、他の幾つか(零を含む)の点に白石が在るとき、碁盤のその状態を一つの型という。但し活路をもたぬ石は存在しないものとする。

黒の着手とは次の手続きを言う。(白の着手も同様に定義する)

1 任意に選んだ空点の一つに一つの黒石を置く。
2 その結果活路をもたぬ白石ができたならばこれを取り去る。
3 2が成立しない場合、活路をもたぬ黒石ができていればこれを取り去る。

第2条 両者は交互に着手する権利をもつ。最初の型及び先着者は別にこれを定める。

第3条 着手の結果として生ずる型は、その碁において既に現われた如何なる型とも異なることを要する。

第4条 着手権利が連続して2回放棄せられたとき、碁盤上に在る黒白それぞれの石の個数を比べ、その大なる方をその差だけの勝とする。


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